野鳥とともに作るレンコン第2回
今、Yさんが握っているウォータージェットの筒先には約5キロの圧力がかかっています。出荷の繁忙期の今は時々この倍の10キロをかけるそうです。
筒先をにぎってた手がカチカチに凍ってホースから指が離れなくなるような時もあるそうです。
彼は消防団の経験もあるのですが、10キロとは、消防のホースと変わらないんじゃないかなと苦笑。仕事に消防団が役だっているのは、オレくらいだね、と大笑い。
親父の時代にはこんなウェータージェットなんかなかったので、大変だったそうです。これになってから、レンコンの傷つきやすい肌が守れて大進歩だったそうです。昔は鍬の一種で掘っていたので、どうしても肌に傷がついたそうです。商品化率は大きく上がったのだそうです。
着ているのはレンコンやセリ用の農業ウェットスーツです。霞ヶ浦の漁師さんも冬の漁には着ることもあるそうです。あんがい温かいもんよ、漁師さんのほうが田んぼに漬かっていないぶん大変でしょう、とYさん。
この時期の田んぼは、朝など薄氷をパリパリ割って田んぼに漬かるのだそうです。しっかり朝飯喰っておかねぇと冷えてしかたがないのだとか。
やはりベテランの彼でも、小雨まじりで風が強い朝は、寝ていたいなと思うとか。鉄人もやはり人の子であったのだよ。
オレのほうはホース握ったり、田んぼを動き回っているからあんがい汗かくけど、しんどいのはあいつのほうじゃねぇかと、田んぼの淵で寒風に吹かれながらシコシコと選別作業をしているスタッフの方を指さしました。
余談ですが、下の写真のスタッフの後ろにある赤いものが、舟といって掘ったレンコンを乗せて運ぶものです。
彼は、芽を摘んだり、良くない形のものを選別しています。持って帰って納屋でやりゃいいじゃないですか、と言うと、掘り出したのを、ここでどんどんやっていかないと、溜まってしまうのだそうです。
この第1次選別の段階で2割、そして品作りの段階でまた1割、都合3割は規格外として捨てなければならないと言っていました。
というのはこれは1次選別にすぎず、これを持って帰って、本格的な品づくりにするのです。そのときにはおっかあ、おばぁまで出てやるそうで、その時にはYさんは出番がないそうです。このような、いいものなのに市場の規格で出荷できなかった農産物を無駄にしない場所としても、私たちのグループの直販所はあるのです。
今が盛りのレンコン出荷、田んぼから掘り起こして第1次選別をかけたものをせっせと農場の納屋で待っている女性軍団に渡し、またとって返して堀り続け、夜の遅くまで品作りを家族総出でするそうです。
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