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クライメイト事件 第5回  ホッケースティック曲線の疑似科学とは

_edited_edited 迷いながら書いて行こうと思います。

私は農業については専門家のはしくれではありますが、狭い意味での、気象に関してはただの門外漢にすぎません。
ですから、私の記述に誤りがあれば、遠慮なくご指摘ください。その都度、誠意をもって訂正させていただきます。

さて、このクライメイトゲート事件の中心人物であるフィル・ジョーズ教授(イギリスCRU所長・IPCCの中心的な指導者のひとり)と、マイクル・マン教授(米国マサチューセッツ大学)のラインが浮かび上がってきました。

マイクル・マンは、この地球温暖化・CO2説の卸元のような人物です。後世、この地球温暖化・CO2説がどのように審判されるか私には皆目わかりませんが、いずれにせよ、ゴチック大文字で刻印されるべき人であるのは間違いありません。

_edited1 彼はこの左図のグラフにより世界を揺るがしました。私たち素人には何やら心電図のようですが、西暦1000年から2000年にかけての千年単位の気象変化を記録したものです。
グレイに塗った部分は無視してくださってかまいません。濃い青線を左から追っていくと20世紀後半から、ロケット花火よろしくそ~れドーンとばかりに温度が急上昇することが赤線で示されています。これがホッケースティックに似ているので、ホッケースティック曲線と言います。

これぞ、揺るがぬ地球温暖化の人為的な証拠というわけで、この図はIPCCの「気象変化2001」にデカデカと掲載されました。マンは若手の気象学者で、主に気象代替指標といって年輪などを使って1000年~1980年代までの気象変化を調べていた人でした。

このホッケースティック曲線は1998年に発表されたのですが、これが2001年のIPCCという国連機関の公式文書に登場するやいなや、大騒動に発展しました。

まず、米国のクリントン大統領、というよりゴア副大統領というべきでしょうが、米国政権の公認の資料となりました。当時の「クリントン政権と、IPCCが気象変動に関してほしがっていたお手軽な答え」(S・フレッド・シンガー元米国海洋・気象諮問評議会副委員長)を与えてしまったからです。

ま、言っちゃあなんだが、いかにも素人受けしそうな曲線ですなぁ。昨日の記事でも書きましたが、専門家が自分の知見を分かりやすく書くというのは、あんがい大変なものなのです。
この私も何度も大学に引っ張りだされては有機農業についてゲスト講義をしてきましたが、「え~、そもそも土壌の団粒構造は、化学肥料や農薬の多投により、微生物相が失われ、また物理的にも押しつぶされたようになった結果、空気がかよわなくなりますぅ~」なんてくっちゃべるより、元気一発「みんな、CO2増大こわくねぇ」と脅かせばよろしい。コホン、私はやりませんよ。

だから、このときのIPCCの諸君の気持ちがわからないでもありません。地球に対して警鐘を鳴らしたい人々にとって抗いがたい誘惑があったのでしょう。国民大衆が一発で納得する「決め手」を欲していたのです。それがいかに疑似科学であろうとも。お察しします。

_edited1_2もちろん専門家集団のIPCCは、このマイクル・マンの曲線がデタラメだということは重々承知していたはずです。
知らなかったなどということは言わせません。だって、1995年にIPCC自身が作成した「気象変動1995」の図22にはこのようなグラフがしかと掲載されているからです。

上図をマンのフッケースティック曲線のグラフと比べて下さい。これは気象学の素人でも分かりますね。マンのグラフでは1000年からの気象変動がほとんどなく異様に安定しています。しかしこれはデタラメで、実は、下のIPCC自らが採用した上図のほうが本物なのです。

マンは意図的に、中世の農業発展を支えたといわれる中世温暖期と、その後にやって来るテムズ河も凍ったという小氷河期をあえて無視しました。中世温暖期に至っては、現代より温度が高いのです!

今、思わず文末にビックリマークを付けてしまいましたが、これこそがIPCCがもっとも悩ましい問題としていたことなのです。そりゃそうでしょうとも。中世が現代より温度が高かったらシャレにもなりません。中世に石油内燃機関はありましたか?二酸化炭素をボンボン出す工場は?火力発電所は?牛のゲップは?

中世にも牛のゲップくらいはあったでしょうが、中世温暖期、さらにはローマ温暖期といわれる紀元前200~期限600年の古代ローマ時代の温暖期も、現代といい勝負の気温上昇なのです。だとすれば、地球は温暖化しているかもしれないが、それは人為的なCO2増大とはまったく関係がないということになりはしませんか

そしてもう一点のマイクル・マンの学説の弱点、それこそが、気温測定する場所に対する疑惑でした。それについては次回。

■写真北浦の朝。湖の漁師たちが網を引いて走ります。

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コメント

 地球温暖化CO2犯人説は、実は先進国側が途上国に「わしらに追いつくな」という為にいっているのであり、ゴアさんの「不都合な真実」に書いていない最も不都合な真実とは”これはデマである”ということかもしれない。

 というジョークを常用していたのですが、ジョークにもならん事だとはね。

投稿: | 2009年12月15日 (火) 19時31分

濱田様
素晴らしい!素人とは思えません。IPCCのReportの図表といい、マイケル・マンのホッケースティック曲線といい、こうしたものを手に入れてブログに貼り付けられとは並みの素人ではありませんね。さすが、農業専門家。ひやかしではありませんからね。心から感動しているのです。続きを楽しみにしています。頑張れ、頑張れ、濱田。地球の気温(地表に近い部分)を決定する大きな要素は、太陽の活動水準とその結果としての、地球の磁場のの強さと、降り注ぐ宇宙からの放射線の量です。それらは、雲の発生量に影響し地表の温度を決定していきます。炭酸ガスの影響力はかなり低いはずです。

投稿: 葦原微風 | 2009年12月15日 (火) 19時36分

はじめまして。東と申します。
クライメートゲートの検索でこのブログにたどり着きました。

現代世界の温暖化対策のすべての基板である、IPCCの調査に捏造があるという重大なニュースにもかかわらず、日本ではほとんど取り上げられていないのが残念だと思っています。
そういう意味で、本記事はとても意味のあるものだと思います。

さて、一つ質問です。
1995年のIPCCの縦軸の単位を教えてください。
真ん中が零度だと思うのですが、上下は何℃単位で推移しているのでしょうか。
教えていただければ幸いです。

投稿: 東 | 2009年12月16日 (水) 09時12分

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