クライメイトゲート事件第7回 コペンハーゲン会議の失敗と京都議定書の延命
先だってのコペンハーゲンでのCOP15は不調でした。意図されたコペンハーゲン合意はできなかったわけです。
"The conference decides to take note of the Copenhagen Accord of December 18, 2009"(2009年12月18日のコペンハーゲン協定に留意すると決定した)
"take note "とは、直訳で「ノートする」、つまりは「聞きおいた」、「留意する」という決裂を回避するための外交的な表現です。このコペンハーゲンにおけるCOP15に期待された役割が、2012年に期限を迎える京都議定書以降の枠組み作りでしたから、その失敗によって京都議定書はそのまま温存されたということと考えていいようです。
日本は2008年から下図のように削減義務を負うこととなります。
「 ただ、原発の稼働率が低下している電力業界が自主的に定めた削減目標を達成するため、08年度分として海外から購入した約6400万トン(約5%分)の排出枠を政府に提供。これにより、2.5%の不足分を穴埋めするメドが立ち、初年度は何とか目標達成できそうだ。」
朝日新聞電子版2009年11月12日http://www.asahi.com/national/update/1112/TKY200911120002.html
日本は2008年から20012年の間で、8%という大きな削減をすると京都議定書で締結してしまいました。ところが2007年までに9%増大してしまった結果、苦しい立場にあります。
2008年度は「幸いにも」、経済の低迷で排出量が1990年比で1.9%と低く抑えさえられていますので、原発の再稼働、他国からの排出権枠の買い取り、そしてなにより経済不況の二番底への本格突入という「好条件」に支えられてなんとか初年度は行くようです。
もちろん、この日本の経済不況の恒常化、原発の再稼働、そして他国から「空気を買う」という仰天ものの巨額の国富の流出を犠牲にしてもなお、米国、中国という主要排出国が、京都議定書に参加していない以上、地球全体のCO2排出総量にはほとんどなんの変化もありません。
地球温暖化・CO2説が妥当だとしても、この京都議定書すら実行困難である現状にもかかわらず、さらにこのコペンハーゲン会議で1990年比25%削減を掲げるという鳩山政権の意図はなんなのでしょうか。
幸か不幸か、その会議の前段を狙って流出したと思われるクライメイトゲート疑惑により、会議自体が大きく揺らいだことは間違いありません。それは会議冒頭、IPCCのバウチャリ議長が「ジョーンズ教授のメール流出疑惑を調査する」と確約せざるをえなくなったことでも明らかです。
結果、クライメイトゲート事件は日本を救ったのでしょうか?
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