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2009年12月16日 (水)

COP15 コペンハーゲンの非友愛的光景と、なぜ「1990年比削減率」なのかについて考える

_edited_4 葦原微風様、いつも温かい励ましをありがとうございます。
東様、ありがとうございます。ご指摘の図表の中心点線は、仰せのとおり0℃で、欄の一番上の線が1.0℃です。今後ともお気づきの点をお教えください。

さて、今日もCO2と地球温暖化問題をやろうと思ったところ、ニュースを見るともうコペンハーゲンは大変なありさまのようです。

途上国全体の削減割合明記へ COP15政治合意案判明 
 【コペンハーゲン=山口智久、石井徹】国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で議長国デンマークがめざす政治合意案が8日判明した。温室効果ガス排出を減らす長期目標として、2050年までに世界全体で「1990年比で半減」と明記。途上国全体についても削減割合を決め、総排出量が減少に転じる年を盛り込むとした。京都議定書で削減義務を負わない途上国が反発を強め、交渉が難航するのは必至だ。

議長国案は「コペンハーゲン合意」と名付けられた。冒頭、締約国が共有するビジョンとして、産業革命以来の気温上昇を2度以内に抑えることをめざし、野心的行動をとることを約束すると提示。2013年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組み(ポスト京都議定書)の柱となる削減目標については、2050年までの長期目標とした世界全体で「90年比で半減」を達成するため、先進国全体で「80%以上削減」をめざすとしている。(朝日新聞 2009年12月9日)

http://www.asahi.com/international/update/1209/TKY200912090150.htm 

●「削減目標25%」中国が批判、EUも応酬 

 【コペンハーゲン=河野博子】国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で、中国が8日、記者会見を開き、日本など先進国が発表した2020年までの削減目標をバッサリと切り捨てた。

 欧州連合(EU)も会見で中国の目標を「不十分」と批判。会議は2日目を迎え、激しい舌戦が始まった。

 20050305_2_2 中国の国家発展改革委員会の蘇偉・気候変動司長は詰めかけた報道陣を前に、日本の「1990年比で25%削減」が「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意」などの前提条件付きである点を指し、「実現不可能な条件であり、何も約束していないに等しい」と批判。さらに、国内削減(真水)分などの内訳が不明だと疑問を投げかけた。

 EUについては「20%という削減目標は、自画自賛するほど野心的でも実があるわけでもない」。米国の「05年比で17%削減」(日本の環境省の換算では90年比で5%削減)についても、「90年比だと1%減」と独自の換算値を示した上で「著しい削減とはとても言えない」と非難。会見では、現在の温暖化は先進国の責任だと重ねて強調した。

 一方、EUも会見で、中国の「国内総生産(GDP)当たりの二酸化炭素排出量を05年比で40~45%削減」について、「今の高い経済成長が続くとしたら十分とは言えない」と指摘。デブア条約事務局長は「各国がテーブルの上に出した削減目標を巡り、厳しい交渉が始まっている」と話した。( 読売新聞 12月9日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091209-00000643-yom-soci

いや、なんとも「弾の飛んでこない戦争」ですな。
鳩山イニシャチブとやらが前提条件としていた「他の排出主要国」という部分に、ガブリと中国が噛みついてきたようです。
それはそうでしょうとも。自分の国の決意を述べるに際して、「他の主要排出国」、つまりは米国と中国、あるいはブラジルあたりを指しているのでしょうが、それを前提にしてしまえば、そりゃ枕にされたほうはたまらん。カッコだけつけて、なんだオレの国がやらんのを見越しているだろう、というわけです。

ついでに中国は返す刀で、EUも「90年比で1%にすぎない」と文句をつけています。自分が世界一の排出国で、このしぶとさはあきれて見事。変に感心してしまいました。

_edited_6 もちろん、中国が提案した「GDP05年対比で40~45%」ということはそれ自体爆笑モノで、人を馬鹿にするのもいいかげんにせぇやという類です。40~45%という数字だけみれば、すごいのですが、なんのことはないたかだか4年前の、しかも自分で勝手に決めたルールのGDP比です。


そんな数字のトリックとも言えんことをチャラっと言って来るのが、面憎いと見えて、こんどはEUから逆襲されて噛みつかれています。とうぜん、基準はあくまで「1990年比」での削減率ですから。

会場の表では、「もっとガッポリCO2を削減しろぉ!」と環境団体が叫び、会場内は、都合のいいときだけ発展途上国に成り下がる中国と、EUが胸ぐらをつかみ合わんばかり、発展途上国は、「先進国のツケをはらわされてなるものか」と言い張り、まぁこりゃバトルロワイヤル状態。
たぶん、幸か不幸か、なんにも決まらんだろうな。

そりゃまとまるはずがないのです。いくつか理由はありますが、この「1990年比CO2削減」という枠組みそのものが、本質的にヨーロッパ、EUが人為的に作り出したものだからです。

なぜ「1990年比」なのでしょうか。それは共産主義東欧圏が崩壊し、新たなヨーロッパの枠組みが出来た年だからです。東欧圏は、ルーマニアに典型なように国内の工場廃液、産業廃棄物などの環境問題が山積していました。そして国内インフラは東独のような共産主義の優等生と言われた国ですら、もう崩壊寸前でした。共産主義はイデオロギーで崩壊したのではなく、自らの生産活動と生活基盤の崩壊により消滅したのです。

ですから「1990年比」という、旧東欧圏まで含むヨーロッパ圏全体を基準値にしてしまえば、これ以上悪くなりようがないわけです。
たとえばドイツをとれば、西独人は統一して初めて旧東独のすさまじいばかりの環境とインフラの崩壊を目の当たりにしました。工場は19世紀に作ったままボロボロ、廃液排気ガス処理などないに等しい、道路や鉄道はこの十年以上まともに手が入っておらず、自動車ときたらトラバント。性能がどうとかいうより燃費や排気が話にならない。真っ黒な黒煙を上げてブスブスと走る。ついでに言えば、本多勝一も嘆いていましたが、ビールまでまずい。

だから、この時点でCO2排出基準を定めてしまえば、ここから這い上がって行くしかないわけです。つまり、ヨーロッパ地域にとって「ここより悪くなりようがない時点」、それが1990年だったのです。だからこそ、彼らはこの時点を国際基準にしたのでした。

この変にハンパな印象を与える「1990年比削減率」という数字は、EUブロックのみにとって、圧倒的に有利な力関係で他の地域と交渉ができることを意味しました。
まさにWTO交渉においても、軍事交渉においても、常にしぶとく、したたかであり、いやらしいまでに自分勝手でありながら、かつ、崇高な理想を掲げているかにポーズを決められるヨーロッパ人らしいことです。
彼らは伊達に数百年間、支配人種をしてきたわけではありません。その新たな手管のひとつが、このCO2削減・地球温暖化阻止という「人類共通の危機に対する戦い」だったと私は考えています。

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コメント

鳩山が出発した。会議15の結果がどうなるか注目ですね。温暖化が温室効果ガスのせいでもなく、そもそも温暖化がないとすると、これまでの騒ぎはどのように歴史的評価されるのだろう。そこま事態が明らかになるだろうか。陰謀をたくらむ連中の懐の深さははかりしれないから、きっと、うやむやのまま、資源の節
約、環境破壊の防止などに姿と理念を替えて、存続するのではないかと微風は考えています。

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