素人の地球温暖化に対する疑問 第3回 ホッキョクグマとイヌイットの微妙なバランスとは
北極圏の生態系を考える時に、ひとつご注意していただきたいことがあります。
それは2万5千頭というホッキョクグマの個体数が北極圏の上限であると思われることです。
たぶんこの北極圏という生態系では、それ以上ホッキョクグマの個体数が増大すれば、ホッキョクグマの餌となるアザラシなどの海洋哺乳類が減少しすぎてしまい、やがてホッキョクグマ自身も餌不足で減少してしまうからです。増えればただいいというものではないのです。それは北海道のエゾシカの増大による地域生態系の攪乱という事例で日本も経験しています。
食物連鎖の体系の中で、ホッキョクグマはこの生態系の中で最上位に位置します。ホッキョクグマを捕食できる動物はこの北極の自然界ではいません。もしあるとすればそれば、それは私たち人間というかならずしも自然生態系の内にはいない存在だけです。
ホッキョクグマが絶滅に瀕して絶滅危惧種になった場合を考えてみます。
クマが捕食していたアザラシが急激に増加し、増えすぎます。その結果、今度はアザラシの捕食する食物連鎖下位生物である小型魚類が激減していくことになります。
これは深刻な影響を北極圏の生態系に与えていきます。なぜなら、北極に生きる多くの生物にとって共通の基盤的な食料である小型魚類が減少することだからです。小型魚類の減少はそれを食べるシャチやクジラなどの海棲哺乳類に深刻な打撃を与えるはずです。
逆にホッキョクグマが増加しすぎれば、アザラシが減少しすぎるでしょう。食料であるアザラシが減りすぎれば、ホッキョクグマは生存できません。生態系は冷厳な食物連鎖の中で安定しています。これを共生関係とよびます。
自然界はこの共生関係によってしっかりと守られているのです。人間の自然保護t活動によって守られているのではありません。ヒトが出来るのは、己が破壊した帳尻合わせでしかないのです。
ひとつの環境(生態系)の中でホッキョクグマを一定の範囲で淘汰できるのは、私たち人類、ヒトしかいません。ですから、イヌイットの400頭の狩猟は理にかなったことです。イヌイットは乱獲をすれば獲物がなくなるというギリギリの線の上で狩猟をしているのです。
私はイヌイットがホッキョクグマの狩猟頭数を米国政府により制限されかかった時に、猛然と反対したことを聞いて、かえってホッキョクグマの健在を確信したものです。
さて、具体的な地域名とデータを出しましょう。世界動物保護連合(IUCN)の調査では、ホッキョクグマ個体群20個のうちバフィン湾の1から2の群で個体数が減少しているだけで、半分以上の個体群は安定、ビューフォート海付近の2個体群では増大しているという結果がでています。この調査結果を見て、どうして絶滅寸前などといえるのか首を傾げたくなります。
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