村の酔っぱらいたちの赤松農政の評判
昨年の暮れに村の友人たちと鍋を囲みました。話はするともなく、今年は厄年みたいなもんだっぺから始まって、来年はというと、もうまったく分からんということに揃い踏みの情けなさ。
となると、今の民主党政権はナニ考えているんだべ、と言うことになっていったとおぼし召せ。
私など自民党農政の頃はバリバリの批判派であったことは隠れもないことですから、「一回やらっせてみっぺよ」で政権を握ったところに好意的と見られていたようです。あ、この「一回・・・」ウンヌンは、ほんとうにこの茨城3区の民主党候補者のキャッチコピーです(笑)。
余談ですが、うちの地方は語尾にペをつけただけで、なんか土着オリジナルになると、やや安易に考えている節がありますんで、バリエーションとしてはご当地交通標語「酒飲んで運転やめっぺよ」(「泥酔して運転やめっぺよ」ではない)なんかがあります。
まぁそれはともかく、酒に酔うほどに皆どこに入れたんだ、白状せいや、ってことになりました。笑えることに2名を除いて皆民主党ということでしたが、1名は額賀先生の後援会の地区幹部の息子ですから、これはしゃ~ない。そして民主党に入れなかったもうひとりがこの私で、なんと共産党ときたもんだ。
おい、ハマちゃんや、いつから共産党になったんだ、と追求が厳しい。だって村の共産党は一種の屋号みたいなもんでありまして、どこそこの亭主、その舎弟、その嫁、その甥、そのまた女房と、なぜかみな「その」でつながる血族の園みたいになっているのですな。ですから、浮動票で共産党に入れるというのは、ほぼないのです。
私が共産党に入れたのは「その」血族とはなんの関係もなく、ましてや党員などでもなく、自民党にも民主党にも愛想が尽きていたからにすぎません。少なくとも私は、マニフェストとやらにこっそりと日米FTAを忍ばせるというやり口が信用ならん、と思ったからです。
で、皆の衆が言うことにゃ、民主党が農家戸別所得補償制度(ええい長ったらしい)をしたくてしたくてしょうがないのはよ~く分かった。しかし、それの実態が段々明らかになるにつれ、な~んだ米の減反補償金とおっつかつだっぺ、となってしまいました。
今までの減反奨励金を止めて、替わりに所得補償金という形に変えてみた。建前は減反廃止だが、内実はどうもそう簡単じゃないみたいだ、と皆が頭をひねる。
計算式は難しいのですが、反あたり1万5千円くれるというのは農業新聞にデカデカと出ています。
じゃあ割り当ての減反生産数量守って、その金握ったとして、その次はなんなのさ、ということろで話がパタリと詰まってしまいました。フツーはですね、例えば赤松さんの前任者の石破さんの頃だったらとしましょうか、専業農家の農地集積化事業や、それに見合った政府金融の低利の資金設定があったり、山間地ならばまとまって営農組合を作って、それに対する山間地支援策がある、という方向がとりあえず出ていました。
しかし赤松農政では所得補償金の「その次」がまったく見えないのですから、評価しようがない。たとえば農地集積事業はバッサリと真っ先に切られました。次いで、耕作放棄地対策事業もバッサリ打ち首。農道建設事業もバッサリ、そしてなんとびっくり仰天したことに有機農業支援事業も、農地改良事業本体すらも脳天唐竹割りで惨死寸前。
そしてこれらの屍累々の山も、なんのこたぁない、ただ農家戸別所得補償制度の財源の犠牲にされたにすぎないとわかってくると、もう悪酔いです。
つまりですなぁ、赤松農政は、専業農家が村の中の田んぼや耕作放棄地を借り集めて農家経営を成長させていくという道を、事実上バッサリと切ってしまったわけです。水田は、多くが改良区というひとつのため池から伸びるパイプラインでつながった水利組合が管理していますから、農地集積事業を止めてしまい、個々の水利組合の小規模農家(要するに兼業農家ですが)に農家所得補償で現金を配ってしまえばどうなるのか。
ま、これからは、たとえ専業農家が張りきってこれらの兼業農家に貸してくれや、と頼み込んでも、うんにゃお国が減反生産目標さ守れば、現金くれるつうに、貸借すっと所得補償金の受給関係がめんどうなだけだべ。おめぇにゃ貸せねぇな、となるのは必定でしょう。
じゃあ、なぜ民主党はこんな俺ら専業農家を目の敵にするようなことを始めたんだっぺとなるわけですが、誰かが杯をチビチビ舐めながらドッチラケの表情で言うには、選挙以外になんかあっか。
ああ、この一言で皆、酔いも覚めました。お~いねぇちゃん、代行さ呼んでくれや!おお、表はサブい。
■写真 食べごろの干し柿です。前にアップした干したての時と比べてください。
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はじめまして いつもROM専で楽しく拝見しています。はじめて書き込みさせていただきます。よろしくお願いします。
農業の現場、これからどうなるのでしょう?子供手当と個別補償をするために他の背策が全部しわ寄せを受けた印象を持っています。まあ予想は出来ましたが。
しかし、専業農家さんがたは民主党に何を期待して投票したのでしょう?
バラマキに兼業農家が群がるのはわかる気がします。でも、頑張っていこうという専業農家が、その割りを食うのは、少し冷静に考えてみればわかることだと思うのですが。
きつい言い方かもしれませんが、そこがわからないまま、迂闊な選択をしたつけが回ってきているだけのような気がします。愚痴を言う前に、なんでそんな選択をしたのかじっくり考えてみた方がよいのかもしれません。それは都市住民も含めてなのでしょうが。
(もっとも後のエントリで触れておられる外国人参政権は、民主党がマニフェストからわざわざ外した項目です。こいつを実現すべき政策としてもちだすのは「詐欺だろ」と言いたい気分です。でも、詐欺師をそうとは見抜けずに選んだのも残念ながら国民なのですがね。)
投稿: nyakopong | 2010年1月16日 (土) 01時52分