辺野古がなぜ重いのでしょうか?
私のブログには保守の方から、共産党支持者の方まで、いろいろな人に訪れていただいています。右と左という尺度を使っては、私は解りにくいと思います。
たとえば、辺野古の海に基地を作ることに、私は明瞭に反対です。その限りにおいては私は、民主党や社民党と意見をひとつにします。ですから、名護市市長選で反対派が勝利した時にはほんとうに嬉しかった。心から祝杯をあげました。長かったね、よかったね。これで元の村に戻れる。祝電を打ちたかったくらいです。
私は普天間基地移転問題を、まず実感として知っているやんばるの人の生活や経済から考えます。そのしんどさや重さ、生きていることの誇りはかつて名護の山奥にでハルサー(農民)をしていた私の中にも、いまでも生きています。
それが私の百姓としての根っこの部分なのです。この根を抜いたら、私は私ではなくなります。少なくとも、農民を志した私の根の部分は死にます。
政治はその後です。「政治」はしょせん、「生活」より広くはないのですから。ではなにが「政治」なのか考えてみましょう。
社民党は一縷の望みのようにしてグアム移設を唱えました。また、普天間基地の地元の宜野湾市の伊波市長も同様に、グアムの米軍基地に移転先として余裕があるとか、既に米軍が移転計画を持っているといった言説を出し、プレゼンテーションをしています。
しかし、このグアム移転案は現実を踏まえていません。詳しくは必要があれば述べますが、そもそも米軍の,「グアムにおける米軍計画の現状」という米軍の評価資料を読み間違えた上での、希望的観測でしかありません。
同様にして、国内移設案は、その案が漏れると同時に自治体の反対決議が出るていたらくです。そんなに国内移転をしたいのならば、岩手か北海道にでも持って行きなさい。小沢さんが大好きな土木利権に大いになるでしょう。辺野古のそばの宜野座に国庫からくすねた土地買ってる場合じゃないって(笑)。
共産統系、あるいは、反米独立派の保守の方は、米国のイラン・アフガンなどの国際戦略の非道を説き、米国従属から脱すべしと言います。ご説ごもっともな部分があり、私としても気分としてはそのとおりとうなずきたいほどです。しかし、唱えていらっしゃる方自身が重々お分かりのように、今、目前の移設問題への答えにまったくなりません。
米軍が要求しているのは大きく2点です。
ひとつは海兵隊の兵力を投入する拠点基地です。そのためのヘリ基地として普天間基地あります。ですから、陸上兵員の駐屯地であるキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュアブは普天間基地と同一の軍事的インフラなのです。この部分を残念ながら、ほとんどの人、いや首相ですら理解していないようです。
もう一点は、嘉手納基地にもしもがあった場合の緊急時の滑走路です。また逆に、嘉手納の空軍の空軍戦力の保護下に海兵隊基地を置くことが出来ます。その意味で、まさに好むと、好まざるとですが・・・、今の沖縄の軍事基地群は絶妙な位置関係にあり、現にそのようにして機能しているのです。
ですから、ここから普天間だけ単一な飛行場として移設できないわけです。これが相手側の、すなわち米国側の「政治」です。
そのように考えると、この「生活」と「政治」がぶつかる場所としての辺野古問題には答えはふたつしかありません。
ひとつは、「生活」のひとだびの勝利としての辺野古移設が阻止されることです。しかし、それは自動的にもうひとつの生活の犠牲の継続を意味します。つまり普天間の永続化です。ひとつの「生活」の勝利は、別の「生活」の犠牲の上にしかなりたたないのでしょうか。
そしてもうひとつは、その反対です。
私が辺野古の重さというのはそのような意味です。この重さを軽々と政局や党利に使って恥じない者を私は許せません。
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コメント
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濱田さんは沖縄の気持ちが本当にわかるのですね。私には到底及びもつきません。米軍の基地を全部なくして、日本軍が自国を守り、世界平和に貢献するようになればいいのにと思う程度です。ただ、平和憲法があるので、それを変えなければならない。そこで、米国との安保条約がある。戦争はするべきではないが、隣国が軍備を持ち、脅威があるなら、それに対抗できるものは、やはり、持たなければならない。全世界が軍備を廃止すればいいのですが、まず、今のところ不可能。まったく、困ったもんです。世相に背を向けて、田舎でのんびりと暮らせれば幸せのように思われますが、それだって、簡単ではない。個人はすべて、社会と自然とに囲まれて、もがき苦しんでいる。本当に人間ってどうしょうもない生物だと思う。まあー、こんな観念的なことを言えば、笑われるだけでしょう。あるいは、敗北主義とも言われるかもしれない。
投稿: 葦原微風 | 2010年2月 9日 (火) 14時18分
辺野古が重い?
辺野古の重要性はインド洋の環礁に過ぎないディエゴガルシアに最大の米軍基地があることと同じです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%82%B4%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%B3%B6
この島から
ICBMを中国に向けて発射すると・・・
ヒマラヤ山脈がレーダー電波を乱反射してミサイルを補足出来ないのです!
だから米国は絶対にこの島を手放しません。
地中海の真ん中の「マルタ」
ダーダネルス海峡の要衝「イスタンブール」
南シナ海の要衝「香港」
・・・・みな”小さな島”ですが・・・
海軍国の戦略は常に「小さな島を確保する」ことだからです。
太平洋戦争でも
ミッドウエーの敗戦後・米軍が襲来したのは
大きな島:フィリピンではなくて・もっと小さな島であるテニヤンとサイパンでした。
そして2つの小島を確保した米軍はB29で日本本土を爆撃したのです!
次に米軍が来襲したのも大きな島国:台湾ではなくて
小さな島:沖縄でした!
小さな島は補給が確保されれば「不沈空母」ですが
大きな島では「ゲリラに悩まされる」から安定使用には不向きだからです。
ですから
また戦争になれば沖縄は島民の意思とは関係なく・否応無しに戦場となります。かつてそうであったように・・・運命ですネ
投稿: 柳生大佐 | 2010年2月10日 (水) 00時47分