地域の保育所から子供手当てを考えてみよう
3日間ばかり晴れが続きました。この春ときたら雨と雪ばかりで、もう畑も農場の敷地もグチャグチャ。雨は作業性が落ちるし、体力も消耗するだけではなく、ここまで続くと畑に入れなくなる場合もあります。
農家というのはだいたいがゴム長を履いているもんですが、この春はとうとう四六時中ゴム長生活となりました。
昨日あたり村を走ると、どの畑にもトラクターが出て必死に働いています。水田の耕起も始まっています。定植も急がねばなりません。。というのは今日が雨と予報がでていたからです。いやー、こんなにトラクターが一斉にうなっている光景も珍しいね。
さて、昨日はたまった農作業でおおわらわでお休みをいただきました。書きたいことが山積していて、せっかくはじまった地球温暖化シリーズも資料や本だけが溜まって行く一方ですし、ホームベースの農業問題でも書きたいことがあります。
しかし、今日はやはり子供手当て問題を書きます。今書かないと時期を逸します。
村には保育所がひとつしかありません。いつも満杯で、待機児童もでているそうです。
私のかつての個人産直のお相手に鹿嶋市の私立保育園があります。この園長さんご夫妻とはもう、就農以来の30年ちかいおつきあいです。園長先生と、先日お話する機会がありました。
自家菜園をつくったり、手作りのお菓子や給食に心を込めて保育をしているのですが、問題は保母さん不足だそうです。保母さんがいつかないのだそうです。認可保育園は、受け入れ児童数や保母さんの保育児童割り定数、労働条件が行政によって定められています。
しかし保母さんの労働条件が必ずしも良くないので、どうしても辞めていく人が増えていきます。するとそれをカバーするためにいろいろな所にしわ寄せが行って保育の水準が思うに任せなくなるそうです。
とくにこの保育園は、給食に冷凍食品を一切つかわず、有機農産物や全粒粉の穀類などを使っておやつを作っているので大変です。保育方法や遊戯なども工夫しているために保母さんの負担が増えています。
となると、同じ労働条件ならば・・・という人も出てくるわけで、なかなか定着してもらえないそうです。そしてなにより、市内の保育所が不足しているために断らなければならない子供が増えて、園長先生の心を悩ませています。
うちの村もそうですが、せめて今の倍ほど保育所があれば、子供が断られたりすることもないし、保母さんの待遇ももっとよくしてあげられたら、、もっと質の高い保育をのびのびと受けさせてられるのになぁ、と園長先生はいつも思っていました。それほど地域では保育所不足と保母さん不足は深刻なのです。
民主党政権が提唱した「社会全体で子育てを応援していこう」という方向は期待を抱かせました。なにも親から子供を取り上げるというのではなく、地域社会がしっかりと子供が育てられる社会インフラが出来ていれば、若いお母さんたちは順番待ちせずに安心して働きに行ったりできます。
また企業内保育所などが充実していけば、出産休暇明けのお母さんも、休み時間などに自分の子供の顔を見られたり、保母さんに今日の子供の状況を説明できます。そういえば、駅中保育所の構想もあるそうです。
少子化の今、子育てをいろいろな社会セクションで少しずつ分担して支え合っていくようにしていかねばならないでしょう。
ですから、園長先生は去年民主党政権が成立した時には小躍りしました。少子化対策担当大臣に社民党の福島瑞穂さんがなったことも期待を高めました。しかしそれから半年の春はどうでしょうか。あまり民主党政権のことは話題にならなくなりました。
子供手当てが、もしこの保育所対策に充当されていたらと考えてみましょう。三重県松坂市が数字を出していますので参考になります。
松坂市の場合、子供手当てとして国から入るのは、76億円です。松坂市は人口が16.9万人、鹿嶋市は6.5万人、われらが行方市はぐっと小さく3万人といったところですから、この比率で割ってみましょう。
すると、鹿嶋市にはだいたい20億円、行方市には13億円が国から子供手当てで入る計算になります。そして保育所をひとつ開設するのに、だいたい3億円かかるそうですから、鹿嶋市ならばこの子供手当てが保育所に当てられれば7箇所、行方市でも4カ所も増えることになります。ちなみに松坂市クラスだと25カ所。
すごいですね。園長先生の願った2倍どころではない。こういう政策をしてほしかったもんです。ならば誰も税金を使っても文句を言わない。
子育てというのは地域で考えなければならない問題です。そしてそれぞれの地域で事情が大きく違います。今例にあげた松坂市は大都市のベッドタウンですし、鹿嶋は住金製鉄所を中心にした地方工場都市です。そしてわが行方は農業地帯と鹿嶋などへの通勤圏が入り組んでいます。
ならばいっそう、地域事情を知り尽くした地方自治体に使途を委ねてしまえばよかったのです。保育所の不足要求などは毎年のように地方議会では取り上げられているのですし、保母さんの待遇や、保育所の給食のあり方、それを支える地域農業まで含めて大きく考えることができたはずでした。
ところが、なにがなんでもこの夏の参院選までに通さねば、選挙で大敗をするという民主党個別の党利党略にすぎない危機感からか、まともな論議もなくあたふたと衆院を通過してしまいました。来月末には支給が開始されるのでしょう。
そして、子供手当て対象と見込まれる15歳以下児童数1735万人、そして前々回の記事でも取り上げた外国人労働者の母国の子供が推定でその1%として、10年度に給付される2.3兆円のうち、実に230億円が外国に流出していくことになります。
福島大臣、長妻大臣、もう少しまじめに地域保育を考えませんか。地域から子育て支援を練り直しませんか?あなたたちにはがっかりさせられることばかりです。
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コメント
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民主党の推し進める子ども手当ては売国法案です。日本人だけでなく、日本に来たことがない外国人にも支給されます。外国人には戸籍がなく、本人の自己申告に頼るしかないそうです。もし本国に100人の養子がいるといったら毎月260万円がその外国人に支給されてしまうのです。そうなると日本人が大変苦労するのは目に見えています。
子ども手当てには断固反対。
投稿: | 2010年3月16日 (火) 17時28分
福島瑞穂は、産まない選択なる本を出してるのに
少子化対策ってちゃんちゃらおかしいって話です。
子供が18になったら家族はばらばらにする家族解散式をするとかも言ってましたし。
まあ、民主が政権取ったら、その思想性も含めて、危険だ、とんでもない事になるとはずいぶん言われてたんですが、マスコミに踊らされた国民が「自民にお灸」とかいって、遊び感覚で入れた人多いですもの。
そうだ、千葉法相もネット規制で動くらしいですよ。
いよいよ言論封殺、共産主義化ですかね。
投稿: | 2010年3月16日 (火) 17時56分