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2010年5月

宮崎口蹄疫事件 その15 宮崎畜産農家を救え!

008  口蹄疫事件はそれでなくとも厳しい宮崎の和牛農家の首を締め上げていっています。

日本が世界に誇る黒毛和牛は、その品種改良の長い歴史と、まさに職人的な技術と愛情を注いだ芸術品のような存在でした。たとえばブランド牛のA5クラスなどの品質は、世界で追随できる国はないでしょう。それが故に、広大名牧草地で放牧を主とする低コストのオージービーフや、飼料基地と牧場がワンセットになったアメリカとも異なった独特の展開をしてきました。

黒毛和牛の生産は、3年間以上という肥育日数をかけます。これは、食肉生産としては世界最長ではないでしょうか。ちなみに豚は6カ月間、ブロイラーに至っては60日間ていどにすぎません。

その間に抱え持っていなければならない飼料コストや人件費、施設の維持費、機械のリース代などなどは大きなものになります。

日本でなぜ和牛の生産農家に小規模の畜産農家が多いのかというのは、この和牛の経営の回転率と利益率の低さ、そして子牛導入にかかる経費が大きいからです。法人化して大規模飼育をする農場もありますが、未だブランド牛では個人経営の小規模農家が主流を占めています。

したがって、このような個人小規模農場には老齢化の影が色濃く覆っています。ですから、今回の巨大畜産伝染病が起きた場合立ち直りが厳しいのです。

まず今回の場合、出荷目前の牛から肥育を開始した子牛まで、全部殺処分となります。つまり、農場は経営的にはいったん完全な白紙状態になるわけです。いや、それは正確ではない。経営的に大きな損失を被ってのマイナスの地点から再出発となります。

いや、それだけではなく、今拡大を続けている口蹄疫の進行が完全に停止し、清浄性確認をし、知事の終結宣言を経て、やっと移動禁止区域が解除されてからの再建となります。

これが果たしていつになるのか、誰も分かりません。5年前の私も当事者のひとりだった茨城トリインフルエンザ事件では移動禁止・制限が解かれるまで足かけ2年間要しました。今回はその深刻さは茨城をはるかに超えていますので、今年中に終結宣言はまず無理だと思います。来年中に終結宣言が出て、移動制限が解除されればいいのですが、他県で発症した場合はもうまったく読めなくなります。

移動禁止期間内に子牛を導入することは事実上不可能です。となると、再建はそこまでズレ込むことになります。仮に、来春に終結宣言が出たとしても、そこから子牛を導入し、肥育して1年半から2年間。つまりは3年間前後は無収入となり、その間の生産コストのみが被ってくるという最悪の経営状態となることが予想されます。

たぶん今回の特別措置法で得た補償は、そのまま右から左へ借金返済へと消えることでしょう。そしてなによりも大事な「やる気」がすり潰されます。

忘れっぽいマスコミやネット界が今回の事件を忘れかかった頃、一軒一軒と、農場は閉められて無人の荒れ果てた農場が立ち並ぶようになるでしょう。そして農民は、若ければ都市部のドカチンへと行くか、老齢ならば年金で細々と暮らすしか道は残らなくなります。

宮崎畜産農家を救え!

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趣味の雑草写真

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昨日ちょっとテンションを上げてしまったので、今日は趣味の写真の話など。

木の葉がくれというか、新緑の木々の間から見たら青くなった山椒を見つけました。私の農場には山椒がわんさかありまして、裏山から苗木の時にお移りいただいたのが、もう人の背の倍にもなっています。

今はこの山椒の葉の一番柔らかい部分をひとひら頂いています。葉は小さくともその芳香の強さは一人前です。実ももう少し熟してから乾燥させて、粉にします。農場の赤唐がらしと柚子の皮を混ぜて三味唐がらしをつくったりもします。

私は写真は、気がついた日常のひとかけらを刻むものだと思っています。だからなのか、いわゆる絶景はすごいなぁと思っても、誰が撮っても一緒になるので写真としてはあまり面白くありません。

私の住む霞ヶ浦のあたりだと、西の夕陽を浴びる筑波山と湖面というポイントがいくつもあります。確かに大絶景で、土日ともなると三脚を構えて遠くから私と同じような趣味の写真を撮りに大勢いらっしゃっています。私も何枚か撮りましたが、ま、すごく綺麗な平凡な写真なんですよね。

私が好きなのは野草というより、雑草です。園芸種も綺麗だなとは思いますが、ケバい。メイクをできめたギャルという風情でどうもなじめません。


私が好きなのは、透き通ったピンクの花をおしげもなく咲かせている昼顔、轍の間でも健気に咲いているイヌフグリの青。見事な円球を描くタンポホの綿毛。清楚なヨメナ(野菊)。そして雑草界の女王であるカラスウリのレースのスカートをまとった華麗な花。

今後も、野草の花や、水たまり、水田の変わりゆく季節の姿、雲の形、昆虫などを友にして、写真を撮っていきたいですね。趣味の雑草写真とお呼び下さい。

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宮崎口蹄疫事件 その14  被災農家が受け取るべきなのは、「補償」ではなく、「賠償」だ!

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ワクチンは幸運にも、おおむね拡大阻止に一定の働きを見せています。本日の報道では川南町で3農場で陽性反応が発見されました。一方、移動した種牛5頭は陰性で、6月4日まで経過を観察するとのことです。
宮崎市が2頭の種牛の陰性を隠匿したと、農水省とマスコミは大騒ぎをしていますが、褒められることではないにせよ、いかに宮崎県が国に不信感を持っているのかが改めて露になりました。

また口蹄疫特別措置法が可決されました。内容的には反対をしている方も多いようですが、畜産農家としてはまぁこんなもんかな、ていどの常識的内容です。私が感じる問題点は内容的なこと以前にいくつかあります。

まず何度も繰り返しますが、「すべて遅すぎる」ということです。このような緊急的な支援予算は、パンデミックが起きる前に投入されるべきでした。4月下旬に予算組みをして直ちに実施していれば、10分の1以下の規模で、感染阻止ができたと思います。今はもう6月になんなんとしているのですよ。

つまり、今はパンデミックの盛りを超えて、清浄性確認をしながら、別な地域に飛び火していないか、野生動物に潜伏していないか観察する時期になってきています。こんな時期に戦後焼け跡処理よろしく、特別措置法を出してきても肝心の「気持ち」が伝わらないのです。

私がここで言う「気持ち」は単なる感情ではなく、「筋」です。北海道様には叱られるかもしれませんし、「みやざき」様の一丸となってという訴えもじゅうぶんにわかりますが、いいのですかこのまま終わってしまって。

私がこの特別措置法で引っかかるのは、ワクチン接種⇒殺処分に抵抗している農家をなだめる取引条件として出されています。偽悪的に言えば、補償のカネで頬を叩く、言うことを聞かなければ強制執行するぞ、ということではないですか。私はこのようなやり方が大嫌いです。

私が被災農家だったら、国や地方行政、そして世論から袋叩きにあっても「冗談じゃねぇや、その前にやることがあるだろう!お前らの謝罪があるまで、オレは自分の家畜に手をかけさせない!」の啖呵のひとつも切ることでしょう。

農家の怒りは絶望までに至っているのです。筋をきちんと立てて、政府当局者は現地被災農家と向きあい、現地に来て、対策が大幅に遅れたことに対する誠意ある謝罪をしたらどうなのですか。農水大臣は現地に来ても県庁どまりですか。それともまた居直りますか?

5月初めに特別措置法をいまより小規模でもいいから緊急支出し、現地行政に緊急的な裁量権を与えれば初動体制の構築が可能となり、なによりも現地が心理的に落ち着いたことでしょう。

前回の口蹄疫も宮崎県で起きましたが、江藤拓議員の父君が尽力して、100億円というそれなりのボリュームのある緊急支援予算を、きわめて初期に投入して初期制圧ができたと聞きます。

殺処分に対しても、4月20日の口蹄疫確認から3日以内、遅くとも1週間以内に決断を下せばよかったのです。この最初のボタンをかけ間違ってしまったために、この大惨事になりました。

また、ワクチン投与も遅い。私は殺処分には抵抗感を持つ者です。本来ワクチネーションと対症薬、消毒体制で防疫できるものを、なぜ殺すのかというのが根本的な疑問でした。確かに国際的防疫体制の枠組みからの離脱を伴うことは、緊急時には不可能でしょう。ならば、発症しても周辺ワクチンの投与をためらわなければ、被害は最小限でくい止められたと考えています。

川南町で豚に感染が発症したことを重大視した被災現地の関係者は、赤松大臣の宮崎入りの時に、「川南町の豚をすべて殺処分させてほしい」と陳情しました。しかし、この要望は家伝法を楯ににべもなく拒絶されました。

赤松大臣はこの増幅家畜という意味も、そもそも口蹄疫のイロハも知らないのですから、川南町の畜産農家から豚の殺処分を訴えられた時に、謙虚にその場で拒否せずにいったんペンディングにして、農水の防疫官僚や専門家と検討してからでも拒絶は遅くなかったはずです。

今頃になってにやにや笑いながら「早く殺しときゃよかったんだよ」とは、どの口から出る言葉なのでしょうか。赤松さん、はっきり言うが、あんたおかしいよ。

パンデミックにうろたえてワクチン投与をしてでは遅いのです。周辺ワクチンをするなら、初発から数例の殺処分の包囲網が破られて、その次の拡大に対して決断すべきでした。私は5月の初めからそう主張してきました。それを30万頭も殺処分対象を出してからでは、自分の優柔不断の代償としてはあまりに大きいのではありませんか?

そして情報の提供も遅い。豚を増幅する空気汚染に対しての警告も農水省からなく、逆に当初「空気感染はない」という誤った情報を農水省が出してしまったために、当時の暑さから豚小屋の窓を開放してしまい、被害を大きくしました。

口蹄疫において豚が持つ位置は、牛からもらったウイルス感染を最大2~3千倍にも増幅する動物です。口蹄疫は牛から豚に感染すれば、新たな感染ステージに突入してしまうのであり、感染速度はおそろしいほど加速します。

他の防疫対策も遅れ続けました。特に交通の制限と消毒の遅れです。口蹄疫のような驚異的なスピードで伝染するウイルスには、交通を統制していかねばなりません。自動車、人、モノを、一定の制限下におき、完全な消毒をせねばなりません。

たとえば、川南町には国道10号線が走っており、折からのGWという交通量が増加する時期にもかかわらず、消毒対象を飼料運搬者や業務車両に限定したために、西都市や、木城市にも拡大してしまいました。

それ以外にも獣医師投入の遅れによる殺処分の遅滞、埋却地の不足と混乱などなど今まで過去ログでも取り上げてきた膨大な失敗の累積を検証せねばなりません。

これまで失敗が重なることが信じられるでしょうか?ひとつ、ふたつのミスではなく、たぶん数十のミスが重なって、更に事態をひどくしています。ひとつの失敗が次の悪しき結果を出し、それを総括しないままにそこからまた別の失敗を導き出し、ついには等比級数列的に倍増していくというまさにケイオス(混沌)です。

この宮崎公蹄疫事件は明らかに「人災」です。行政の不作為による人為的な畜産災害です。諸外国がなしている防疫措置を取っておけば、起きずに済んだパンデミックでした赤松大臣がカリブ海に遊びに行ってゴルフをしようがしまいが、このような不作為が必然な体制の中では構造的に起きるべくして起きた人災でした。

したがって行政、特に国家の不作為、なすべきことを知りながらしない結果の必然であった以上、今、被災農家が受け取るべきなのは、「補償」ではなく、「賠償」です。私は被災地農家と農業団体が事態が鎮静化した後、国家損害賠償の集団訴訟を起こすべきだと思います。

これは、単に金銭的な賠償にとどまらず、裁判の席でなぜこのような大規模災害が起きたのか、人災的な側面はなかったのか、行政の初動はあれでよかったのか、責任体系はなんなのかなどを、国家に情報を公開させて明らかにしていくべきだと思います。

さもないと、わが国はもう一度この悲劇を繰り返すことになります。殺されていった無辜の家畜たちの霊も浮かばれますまい。

がんばれ、宮崎!

■写真 5月の太陽にかざした柿の葉です。葉脈が美しいですね。

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宮崎口蹄疫事件その13   口蹄疫ウイルスの侵入経路の修正と、宮崎県選出議員の国会質問に対する民主党の狂態について

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まずは、「みやざき」様、いつもほんとうにありがとうございます。皆様、私の記事を飛ばしてくださってもかまいませんので、「みやざき」様と「北海道」様のコメントをお読みください。実に濃い内容です。

「みやざき」様のご質問に私に分かるかぎりでお答えいたします。5月22日~25日にワクチン接種済の牛から、26日に4例発症が出たことに対してです。

通常、ワクチンはよく勘違いされるように、万能でもなければ、特効薬でもありません。私は過去ログでも書きましたが、今回のワクチン接種は半分効果が上がらないだろうと思っていました。

その理由はこんなことです。
第1に、ワクチンはこのような清浄化の露払いにポンっと一発打って使用する性格のものではなく、積み上げ式に抗体を高めていく性格のものだからです。だいたい30日間隔ていどで数種類のワクチンを接種していきます。これをワクチネーション・プログラムと呼びます。

経営的には手間とコストが馬鹿になりませんが、薬剤を使わない防疫方法はこれが王道です。ですから、このプロセスを省いて、いまさら一回こっきりやっても効果のほどは・・・う~んなのです。

第2に、ワクチンには2種類あります。生ワクチンと不活化ワクチンです。生ワクチンは名称どおり、ウイルスが活きていますので、抗体を上げるにはふさわしいのですが、ちょっとヤバイのです。
といいますのは、生ワクチンは飲み水に溶いて与えるのですが、時にウイルスが漏れ出して農場を汚染してしまう可能性もあります。いままで、ウイルス的にはクリーンだった所が、バイオ・ハザード(なんかゲーム名みたいですね)されてしまうことが往々にしてあります。
ただし、ワクチンは人工的に弱毒化してある株なので、すぐに病気に罹ることはありえません。

ところで、一方の不活化ワクチンはこのウイルスを不活化してあるので安全ですが、抗体を上げる力はやや弱いとされています。通常は、ワクネーション・プログラムの最後の仕上げで使用します。
今回使われているのは、とうぜんのこととしてこんなパンデミック下に危険性がある生ワクを接種する馬鹿はいませんから、不活化ワクチンを使用しました。従って効果のほどは・・・う~んなのです。

第3に、潜伏期間にワクチンを打って、その後発症したことも考えられるかもしれません。ワクチンには潜伏期間の症状を止める働きはないからです。

第4に、これは考えにくいのですが、「株」が違った場合です。この4例だけ別なウイルス株であったのかもしれません。う~んねぇな、そりゃ。

第5に、私はかなり前から、周辺ワクチンを接種することを主張してきました。発生中心部はやむを得ず殺処分するとしても、そこから離れた周辺部にはワクチン投与をするべきであるという考えでした。

この方法は賛成反対があって、かえってウイルスを拡散させるし、感染がワクチンのものかどうかわからなくなるのでかえって危険であるという説と、いやある段階までならバリアーを張れるという説があります。主流は前者です。

私は後者なのですが、しかしやるなら遅すぎました。防疫関係者はあまりの拡大の速さと規模の巨大さに恐怖して、ワクチン使用と殺処分の組み合わせで防衛しようと考えたようです。しかし、ここまでパンデミック状況となってしまってからでは、今後も多くのワクチン効果が現れない事例が生まれると思えます。
この私の観測がはずれることを切に祈ります。

止まってくれ!頼むから止まってくれ!

「やまおか」様。そうか、なるほどね。中国⇒韓国/日本へ同時期に浸入か・・・。おおいにありえますね。中国⇒韓国⇒日本ではなく、中国⇒韓国/日本ルートか。

韓国の4月に江華島で発生した、韓国第2例目の農場主が、3月8日から13日にかけて中国への旅行を終えた後に発生をみています。消毒も不完全だったと言われていますが、どこに旅行したのか地名を知りたいものです。

この江華島株は中国株O型と相同性99.06%です、その後、飼料や獣医師、人工授精師、対策会議などを通じ金浦、忠州、青陽へとウイルス拡散していったのではないかと思われます。

韓国の口蹄疫は、最初の京畿道の抱川(乳牛)や漣川ではA型でしたが、江華島(牛、豚)、仁川、江華郡、西源ではO型でした。つまり4月を境にして、A型からO型にシフトしているのです。
なお韓国の発生状況地図は下からPDFでご覧いただけます。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/100510krfmd.pdf

このように、口蹄疫の血清型を見てみますと、中国も韓国も、ある時期からそれまでのA型からO型にシフトしていると考えられます。

一方中国の感染状況は、A型と0型があり、A型からO型に移行しています。1月に中国の新彊ウイグル地区で発生の口蹄疫(牛)は、A型で、その後A型は遼寧、河北、山東、河南、広東、広西などに拡大していいます。

3月中旬になって、中国の甘肅省の蘭州や臨夏の回族自治州や天水一帯で発生した口蹄疫(豚、羊)は、O型でした。中国での口蹄疫関連ニュースは、以下でご覧いただけます。
http://news.google.com/news/search?cf=all&ned=hk&hl=zh-TW&q=%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB&cf=all&scoring=n

つまり、3月から4月にかけて東アジアの口蹄疫は、ウイルス株のA型からO型へのシフトが見られたようです

このように考えていくと、こう整理できるでしょう。
韓国の口蹄疫感染ルートは、実は2ツあったと思われます。まず、今年1月の感染はA 型で、今年4月の第2回目の発生はO型であることから、同じ中国からの感染ルートですが、出所が違うと思われます

ということは、宮崎への感染ルートの初発が3月であったことから中国、モンゴル、台湾などからの侵入ルートが主ルートで、その後に4月以降の韓国からの従的ルート浸入が重なったのではないかと推測できます

いずれにせよ口蹄疫の大本は中国です。

というわけで、この件に関して私は韓国侵入ルート説を修正いたします。「やまおか」様のご指摘のとおり、第1例の韓国からの人による侵入を示唆する情報には疫学的には信憑性がないと思われます。ありがとうございました。それにしても、農水省は今の段階で伝播図はおろか、感染経路についてすら公開していません。このような信憑性のない情報を一掃するためにも、一刻も早い公開を望みます。

さて長くなりましたので、そろそろと思いましたが、江藤拓議員(宮崎県選出)の衆議院本会議での質問に対しての、民主党の狂態に愕然としましたので追加いたします。゛
まぁ見て下さい。百聞は一見にしかず。
YouTubehttp://www.youtube.com/watch?v=mfavIkEI0-4&playnext_from=TL&videos=E088d3hE0JE&feature=rec-LGOUT-exp_fresh%2Bdiv-1r-6-HM

宮崎県という発生地の議員の訴えに対して、党派が違うからといって、机を叩く、足踏みはする、聞くに絶えない罵詈雑言を投げつける。国会議事堂というより、崩壊教室です。
正気の沙汰ではありません。しかも、ひとりやふたりではなく、たぶん数十人の民主党議員がバカ騒ぎをして、聴取不能にしているのです。

江藤議員が発生地の窮状を訴え、「政治の不十分な対応を謝罪せねば」というと、なんと民主党籍からは「いつまでも謝ってろ!」、「おまえらだけでなんとかしろ!」、「お涙頂戴なんだよ!」、「おまえが自殺しろ!」という、おぞましい言葉が投げつけられます

まさに狂態です。
国会議員うんぬんではなく、人間失格です。この「いつまでも謝っていろ」、「おまえらだけでやってろ」、「おまえが自殺しろ」とわめいた馬鹿者は探し出して、懲罰委員会にかけるべきです。国会議員として絶対に許されない類の発言です。

この者たちは、単に野党議員を貶めたのではなく、被災地全体を侮辱したのです。絶対に許しはなりません。
それにしてもわずか半年の間に民主党議員は、人間としての柔らかい感性を忘れ、猿のような下品さと、権力者の傲岸無恥だけを身につけてしまったようです。

赤松大臣の姿も出てきますので、ご覧ください。まともに聞いてもいません。鳩山首相は途中で退席してしまいました。
私は政局にしたくはない、今は与党も野党もなく、赤松大臣の責任を問うのは後回しにして、今は彼を支えるべきではないかとすら思って、民主党政権批判は抑制してきたつもりです。

しかしこの動画を見るに至って、その考えが甘かったのかと苦く思い始めました。あんな恥を忘れた猿山の猿どもになにを言っても無駄です。

■写真 ヘビイチゴです。こんなに綺麗だとは思いませんでした。

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宮崎口蹄疫事件 その12 飲み友達の現役獣医師に聞きました

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先日、飲み友達の獣医と一杯やる機会がありました。話題はまずはサッカー日本代表の激弱ぶりを嘆くことをオードブルにして、やがてお約束の口蹄疫となりました。

獣医に、「第1例が見破れなかったことが批判されているのだが」と振ると、彼は冗談じゃねぇやとばかりにこう言いました。

「あのね、今の時点で結果が出ているから騒ぐが、第1例は下痢と発熱だけだよ。この症状だけを見て口蹄疫だと診断したら超能力者だ。下痢と発熱なんて症状は一般的に疑われる病気なんぞ山ほどある。オレだって無理」

「でもさ、あのときに遺伝子検査をしてればって誰でも思うじゃないか」と私が言い募ると。

「あのね、第6例が出て口にただれが出たりしていたんで、もしやと思って綿棒で呼吸器の検体をとることにしたわけよ。これだって口蹄疫の疑いがあるだけで゛東京の動物衛生研まで検体を送らねばならなかったんだ。そしたら行って帰って20日間ちかくもかかってしまって、その間に疑わしい症例が続々と出てしまったってわけだ」

「ならば口蹄疫が特定された4月20日の段階で、すぐに殺処分措置を取れなかったんだろうか?だって県の家畜保健衛生所に殺処分の権限があるんでしょう?

「これもメディアが宮崎県責任論として書き散らしているのを読んだが、実態を知らなすぎる。殺処分は確かに家伝法(家畜伝染予防法)を上っ面だけ読むと、家保が自由に裁量できるように読めるが、とんでもない誤解だ!」、と焼酎をグビリと一口。

「家伝法をもっとよく読むと第3章に農水省の指導を受けてと書いてあるんだ。勝手に地方の家保が殺処分なんかしたら、霞が関1丁目1番地はメンツを潰されたと怒り狂うだろう。
あの段階で殺処分を決断できなかったのは、農水省とそのトップの赤松大臣だよ。やれ財産権がどうしたのと、まごまごしているうちに彼はカリブ海にバハハイしちゃうし、トップがそのていたらくだから農水省全体もGW中は長期開店休業だったようだ。信じられない話だがね」

あなたは感染の浸入ルートは何だと思いますか?」

「人と藁以外ありえないでしょう。まずこんなときにいちばん疑わしいのは、まずは人の移動だ。君も経験している茨城トリインフル事件の時もまずはグアテマラ株だから、グアテマラ人の労働者がいないかを徹底的に調べたんだよ」

「じゃあ、やっぱり韓国ルートかしら?」

「9割そうだだろうね。そしてえびの市へ拡大したのはA牧場からだ。でなければ、あんなボツンと離れて発生するはずがないもんな。そして第1例から川南町の中心部へもやはりそこで働いていた人が持ち出したんだろう。いったん牧場が密集している中心部に浸入すれば、もう後はトラックや機材について持ち回ってしまう」

今の状況はどう思いますか?」

「いままで日本が経験したことのない正真正銘の巨大パンデミックだね。茨城の時も560万羽殺処分したが、言っちゃなんだが、弱毒タイプのN2型(H1N2)だから、獣医は初めから違法ワクチン由来だと皆んな思っていた。
しかし、今回は本格的な、ワクチンによらないパンデミックだ。しかも埋却処分が追いつかないので、清浄化しきれないのが困ったことだ。
うちの県でもたくさんの獣医が宮崎に動員されたが、行っても埋却する場所がないので、殺処分も出来ずにボーッとしている時もあったってさ」

死体から野生動物がウイルス拡大をするって聞いたけどほんとうなの?」

「ああ、あれだけ強力な感染力を持っていると、死体をついばんだ鳥や、ネズミ、果ては蠅までがウイルスを持ち運ぶことがわかっているんだ。それが野生の偶蹄類の鹿やイノシシに移すとやっかいだな。もう手の打ちようがない。毎日、新聞で野生動物に出たかどうかをチェックしているくらいだ」

うちの県は対策しているのかしら?」

「当然していますよ。常陸牛は宮崎から子牛をもらっているし、徹底的に調べていると思う。牛や豚の牧場でも生石灰の塗布や消毒の強化が既に行われている。大騒ぎは風評被害とのからみでしないが、どの県もビクビクしているよ」

私は通常のワクチネーションと対処薬をやれって主張していますが、専門家としてどう思います?

「君の気持ちはわかるが、清浄国からの離脱は先進国としては簡単に取れない選択だろうな。いわば高度の政治的判断がいることで、現場サイドではうんぬん言えないな」

■初稿で「えびの市」を「えびな市」と打ってしまいました。ご指摘をいただきまして、訂正をいたしました。ありがとうございました。

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宮崎口蹄疫事件 その11   なぜ韓国ルートが感染ルートだと宣言しないのか?

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感染地域は「みやざき」様の報告のように拡大を阻止できていません。殺処分対称は30万頭を超えましたが、たぶん・・・このような数では済みますまい。

ところでこの宮崎口蹄疫パンデミック事件で謎なのは、いっかな感染ルートの情報が農水省から出て来ないたことです。なぜ、発生1カ月もたって感染ルートが特定されないのでしょうか?テレビに出る防疫学者も、「今は抑えることで、感染ルートの解明は後回しです」というようなことすらいいます。

正直に言って、防疫学者の言うこととは思えません。感染ルートの特定は、防疫戦略を作るための基礎情報なはずです。宮崎県内で戦っている畜産農家のみならず、全国の畜産農家や防疫関係者が今すぐに知りたいことです。

県外に飛び火する可能性が大いにあります。例えばわが茨城県には茨城空港で直接にインチョンと結ばれており、その場所こそが韓国口蹄疫の発生現場なのです。

A農場が100例隠したという情報が宮崎の地方紙に乗っています。これは農水省の情報では確認されておらず、これが真実ならば、えびな市ルートはここです。またここから感染の疑いのある牛が県外へ出荷されてしまったという情報すらあります。

同じく第1例の浸入ルートには多大な関心がありますが、これは韓国ルートを確定したいからであってD議員がどうしたのなどの政局絡みのことは私にはどうでもいいたとで、韓国ルートであること、そして人を介して浸入したことを知りたいのです。

口蹄疫は、①A, ②O, ③C, ④アジア1,⑤ー⑦南アフリカ地域 (SAT) 1, 2 、3にわけられます。今回は、A型からO型へのシフトがあった中国、香港、韓国のタイプです。韓国のウイルスタイプとの同一性は98.59%、香港とは99.22%です。発生時系列から見ても、ほぼ韓国・香港タイプであるとみていいでしょう。

口蹄疫ワクチンはこの「株」がちがうと効果はありません。現在打たれているのはO型ですが、ならば、はっきりと農水省の防疫関係者は韓国ルートと認識しているはずです。

だったらはっきりと韓国ルートと宣言して、韓国との交通、特に韓国からの人の防疫体制を厳重にすべきであることを、全国の畜産関係者、行政に呼びかけるべきです。

■追記 この記事において中国⇒韓国⇒日本を感染ルートといたしましたが、新たな情報の提供をいただき、疫学的に誤りの可能性が高いと思われます。この回の次の次の回をご覧ください。(5月27日記)

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宮崎口蹄疫事件 その10 韓国と日本の口蹄疫防疫方針の巨大な差から見えたもの

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今日の夕刻のTBS「報道特集」には教えられることがいくつかありました。
番組は韓国と日本の口蹄疫の防疫方法について比較しながら、その巨大な差を見せつけました。

ご存じのように、韓国は日本と同時期の4月6日に口蹄疫を確認しています。にもかかわらず、韓国は殺処分をしながらも、ほぼ感染状況は終結しています。

一方、ご承知のように日本は膨大な21万頭という殺処分予定を抱えながら、いっかな処分は進展していません。ワクチン投与+殺処分という方針も、肝心なワクチンが確保できなかったり、殺処分をする資格のある獣医師が圧倒的に不足しているのが現状です。

ところで、実は韓国は2001年にも口蹄疫のパンデミックを経験しており、しっかりとその総括をして、経験則を政府方針としてマニュアル化してありました。その差が大きく今回の事態に反映しているような気がします
ではその違いとはなんでしょうか?

第1に、防疫対策の立ち上がりの迅速性です。韓国は英国と同様にこれをある種の「社会に対するテロ」と位置づけます。パンデミックという「テロ」との戦いなのです。既にこの出発点で、その緊張を大いに欠いて弛緩し切ったわが政府と出だしから異なっています

第2に、口蹄疫対策本部が設置されると大きな権限委譲が行われます。発生地点の封鎖、汚染地域へのアクセス網の消毒ポイントの設置、殺処分対象地域の早期の設定のためのゾーニング、そして殺処分命令などです。

これらは数日間の内に完了し、今回は発生農場を中心として500メートル以内を全頭処分するという方針が確定され、直ちに実施に移り、1週間以内で殺処分も完了しました。

実に驚異的スピードだといえます。発生確認後たらたらと1カ月後に対策本部がやっとでき、自衛隊の投入要請も国より県が先となり、獣医師の集中投入が進まないために殺処分がダラダラと続いたあげくは、待機患畜を膨大に生みました。
また、埋却地が複雑な手続きのためにいっかな確保できなかったり、あろうことか、埋却処分後の処理が甘い為に死体から再びウイルスの発生をみる例も出る、という醜態続きのわが国とは大きな対称を見せています。

わか国では殺処分は自治体に属する家畜保健衛生所(家保)が所管しています。しかしこれでわかるように、このようなパンデミック状況下での地方自治体の権限と国の権限が平時から整理されていません。また資材面でも、消毒液や機材の予備備蓄、そしてなにより口蹄疫を特定する検出機材が現地にないのです。今回、宮崎県に口蹄疫を特定する遺伝子検査機材があれば、あの「空白の20日間」はなかったものを。

また口蹄疫は、地方自治体や民間の農場レベルの危機対応でどうなるという類の生易しい伝染病ではありません。というのは、発生農場の封鎖、その地域への交通の遮断、人的交流の制限などは、市民の財産権や生活権の制限を含むからです。
このようなことが可能なのは、唯一泣いても笑っても「国家」しかありえません。それはある意味、パンデミックに対する「戒厳令」と言っていいでしょう。

ちなみに宮崎県の「非常事態宣言」は、危機に対しての県民の団結を訴えたいわば檄で、そのような権限は地方自治体にはありません。本来国がなすべき仕事を宮崎県がしており、あろうことか国のほうが「初動が遅れたのは宮崎県のせいだ」などという政府ガバナンスの自覚もクソもない発言への宮崎県知事の怒りが込められているようです。

私は統治(ガバナンス」の極北である非常事態を仕切る強権を、いかにコントロールできるのかが、今回問われていたのではないかと思っています。まず口蹄疫を「社会へのテロ」と位置づけ、それに対しての国家の強権発動をためらわず、そしてそのような非常事態をいかに短期間に終了させ、平時回復するのかの統治能力そのものが問われていたのです。

第3に、この事実に私もやや打ちのめされていますが、口蹄疫のワクチン接種は韓国において効果がなかったということです。実は「うま」様から頂いた情報も、英国のかの歴史的大被害の原因は、ワクチンを防疫で使ったために、接種半径内の家畜をワクチン接種後に殺処分したためだそうです。

となると・・・防疫的ワクチン投与は現実に英国や韓国で過去に使用されたが、感染拡大を止める効果がなく、かえって被害を拡げかねないということになります。

第4に、韓国においては対策本部の検疫官が捜査権を持っているのです。これはうらやましいと思う日本の家畜保健衛生所(家保)の係官も多いのではないでしょうか。

私が経験した茨城トリインフルは、560万羽もの殺処分を生みながら、その感染ルートの特定には至らないまま終結しました。3次に渡った農水省の膨大な専門家による報告書においても、「違法ワクチンの可能性」はほのめかされながらも特定に至りませんでした。

なぜでしょうか?現場の感染地域の家保には一切の捜査権がなかったからです。発生現場に行き、相手の好意で話を「聞く」ことは可能です。しかし、警察と違い必要だと思える文書の押収や証拠物の押収などといった一歩踏み込んだ捜査権はありません。

韓国は初発の農場を、捜査権をもった検疫官が調査し、初発農場の農場主が近隣の北東アジア(中国)に旅行したこと、そしてその発生後、第2例の農場主が会合で訪れ、第3例は第2例から消毒機械を持って行ったトラックであることを早期につき止めました。

この感染ルートを解明できれば、どこを感染遮断するのかが明確になります。残念ながら、わが国では第1例の感染ルートすら明らかになっていませんし第2例への拡大もそうです。感染ルートの確定は後から報告書に書きましたというのどかなことではなく、即時に解明せねば感染拡大を防止できません

今回のパンデミックは、残念ながらとうぶん災厄をまき散らしながら拡大を止めないでしょう。ほんとうに悔しいのですが、韓国の口蹄疫対策と比較してそう思わざるをえませんでした。

■追記 本記事は放映直後に書いたもので、情報のウラを取っておりません。従いまして、韓国政府の防疫方法について誤った情報が混在している可能性があります。調査して、分かり次第アップいたします。

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たくさんのコメントをいだきました

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みやざき」様、コメントありがとうございます!情報を収集しながら発信する、現地の力を知りました。すごいです。

むしろブログを作られませんか?まだ長引きます。簡単にこの事件は収束しません。押さえ込めないというだけではなく、その後の畜産農家の苦闘は想像してあまりあります。たぶん2年はかかるかと思います。

いわば定点観測のようなウオッチャーが必要です。ぜひブログを作ることをお勧めします。そのときにはリンクしましょうや。

北海道の同業者様。ありがとうございます。まったく同感です。愛情と経済は秤にかけられません。経済があっての愛情です。経済が根底からひっくり返れば、愛情もクソもないですからね。このあたりの感覚は、たぶんオレたち畜産屋じゃないとわからないのかとも思います。

先日に来たコメントのように、「その場で殺して埋めてしまえばいい」というような乱暴なことを言われるとカチンっときます。ふざけるな、牛や豚はモノかと言い返したくなります。一頭の牛や豚を肥育して出荷に仕立て上げるあげるまでどれだけの手間がかかると思っているのでしょうか。

私はかつて研修生だった時に、牛が産気づき夜引いて見に行き、そのまま牛小屋で寝込んでしまったことがあります。夜明けに苦しむ母牛の泣き声で飛び起きました。陣痛は始まっていて、しかも因果なことには、それが逆子だったのです。母牛は苦しむ、私たちは腹の中で正常な位置にひっくりかえそうとします。
結局どうにもならず、子牛の脚をロープで縛り、トラクターで引っ張って出しました。子牛は紫色の舌を出して引きずり出されました。もちろん死んでいました。

なんともいいようのない敗北感と、私が居眠りさえしなければもっと早い処置を取れたのに、という自責の念でしばらく落ち込んだことを思い出します。

また別のコメントにあるように、「殺処分するも、食べるも一緒」とまで言われると、私たち畜産屋はなんと答えたらいいんでしょうね。人が食べて、その人の血となり肉となるから、それが供養なんだと言っても、たぶんわからないかもしれませんね。

もし、私たちが全部殺して埋めるから作れ、ゼニは同額出すといわれたらこの稼業やりますかね。オレは抜けます。埋めるために育てているのではない。

おっと、誤解していただきたくないのは、今回の殺処分については私は理解しています。誤解なきように。次元が違う問題です。なんせ私は、5年前の茨城トリインフル事件の時に1キロ先まで来た経験がありますから。その時には、素直ではないが処分したでしょう。そして簡単でもお墓を作りましたよ。

北海道様の仰せのとおり、地域全部で被ったらシャレになりません。ただ、口蹄疫やトリインフルのような家伝法によって、いかなる予防ワクチンも接種できず、治療薬も設定されず、防げって言ってもどうやるんだ、コラってなもんです。おれら現場は、こんな超弩級の伝染病に消毒しかできんだろう!というのが私の意見です。

北海道様、「自分の農場は自分で守る」というのはまったくそのとおりです。そのとおり過ぎるくらいそのとおりです。私もそうしています。しかし、口蹄疫とトリインフルに関しては、「国家」の枠組みがガチッとハマっています。口蹄疫など「清浄国」というタガさえはずせば、通常の伝染病予防のセオリーどおりワクチネーションをして、出たら対処薬を処方してもらえばいいだけです。こんなに大騒ぎする病気ではない。ましてひとつの県の畜産を壊滅させる病気ではありません。

現在進行している事態に対して、ほとんど盲目的にQIEの防疫指針に沿っている農水省や動物衛生研究所を私はおかしいと思います。現状に合致していません。「清浄国」神話はとうに崩れているにもかかわらず、その形骸を担ぎ回っているからおかしくなるのです。

私は、この家伝法に対する議論を呼び起こしたいのです。今となってはもう法改正は不可能に近い状況です。しかし、この悲惨な口蹄疫の教訓を次につなげたいのです。

今回の悲劇の教訓として。そのあたりをご理解いただいて、もう少しおつきあいいただけたら幸いです。

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宮崎口蹄疫事件 その9   家畜に「感情移入」できない者にこの事件は語れない

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宮崎口蹄疫事件のような大きなパンデミックが起きると、こんなに世の中に防疫学者がいたのか、と驚くほどたくさんのお顔を見ることができます。皆さん、温厚な紳士でいらっしゃるのですが、惜しむらくは歯切れが悪い。

たぶん内心忸怩たるものがあるのではと拝察いたします。というのは、ここまで防疫体制の構築が遅れたことは、単純に赤松さんの外遊や、ましてや最初に診断した獣医師の責任にできるほど単純なことではないからです。

それは防疫学者がいままで否定してきた、「清浄化にワクチンを用いてはならない」という大原則を、「ワクチンを用いても、接種した全頭を殺処分すれば、3カ月後に清浄国に復帰できる」という抜け穴ですり抜けようとしていることにあるのかもしれません。

しかし結果はどうでしょうか?同じく悲惨です。半径10㌔の家畜は罹っていようといまいと、感染防止ワクチンを打って、その後、殺処分にすると!今の時点での推定で、20万5千頭が殺処分に合います。
たぶん、感染は各所に飛び火しており、この「感染地点から10㌔をワクチン接種の上、殺処分」という方法を今後の防疫戦略とするなら、今の防疫阻止線を超えて出てくるかもしれません。そしてそのつど、まだ発症もしていないウイルス検査で陽性も出ていない完全な健康体の牛、豚を大量に殺していくことになるでしょう。

このワチクチン投与⇒殺処分という方法は、もしこのワクチンと殺処分のコンビネーションが効かなかった場合、とてつもない殺処分の爪痕を残していくかもしれません。

さて、私はあるコメントによると「家畜に感情移入して可哀相と言っている馬鹿者」だそうですが、馬鹿でけっこう。牛の出産を見たことがない者に、子豚に乳を含ませる母豚に、飛び跳ねるヒヨコに対して、私たちがどのような気持ちで接しているかが想像できない人が、この宮崎県の悲劇を「感じ取れる」はずもありません。

宮崎の川南町を中心とする畜産農家は、今の今、ワクチンを与えて殺すためだけに生きている牛に、豚に餌をやっています。出荷することも不可能となり、よしんば殺処分による損害補てんをを得られたり、早期出荷差額分を支給されたとしても、そのようなものは気休めにもなりません。

たぶん恐ろしいほどの家畜農家が、法人が多額の借金を抱え、破綻することでしょう。回復までは2年では済まず、その間の運転資金はとてつもない重石となって、畜産家を押しつぶし、打ちのめすでしょう。

そしてこの間、従業員は解雇されて散り散りになっていきます。町の仕事はなくなり、都市部へと働きにいかざるを得ません。

こんな宮崎のわが同業者たちが、ただ補償金をせしめたいだけで、家畜に餌をやっているとしか思えないなら、あなたは不幸です。私たちは農場から出ていく家畜に、最後の日にも通常の餌を通常どおりの量でやります。

いや、時には一番いい餌を上げるでしょう。そして農場から出ていく彼らに頭を下げます。ありがとう、と。

通常それは出荷という経済行為でした。今日、テレビで若い川南町の畜産家がこう言っていました。

「こいつらが食べてもらえるのなら、我慢できる。うれしい。うちの豚を俺は誇りに思っている。しかし、健康な家畜にワクチンをやってそれから殺す。そんなことはできねぇ」

私はこの「可哀相」という共感の感情を踏まえてから、宮崎口蹄疫を考えてほしいのです。感情に溺れる必要はないが、その「心の芯」とでもいうべき部分がない議論は、いくら理屈をこね回しても虚妄です。

今日は家伝法や防疫体制について書こうと思いましたが、長くなりましたので次回にいたします。

■ブログ2周年を機に、テンプレートを模様替えしました。またまた緑が基調ですが、どうも私は緑色が好きみたいですね。そうしたら、サイド・デザインがやたら下に行ってしまいました。あれあれ。復旧に努力していますので、お待ちを。

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速報!半径10㌔にワクチン接種し、全頭処分へ!  獣医官僚の中途半端な防疫方針

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ようやく私の主張が半分取り上げられたことになる。一定評価したい。半径10㌔ワクチン接種をし、その後に全頭処分し、政府が買い上げるとのことである。これはワクチン投与をしてウイルスを抑えながら、かつ「清浄国」の地位を保ち続けるために殺処分をするという折衷案的方法である。いわば燃え盛るパンデミックを止めたい獣医官僚のいかにも考えそうな妥協の産物であるといっていい。
なるほど、たしかにこの方法ならば、現行の家畜伝染予防法の改正を踏まずに、防疫学者が一番恐怖する「清浄国」の地位を失わずに済む。今回は致し方がないともいえよう。しかし、このような方法で果たして感染拡大が止まるかまだわからない。私は確率半分ていどだと思う。

というのは、第1にあまりに感染が飛び火し実態としてどこまで感染拡大しているのか不明であることである
現地からの生情報ではもう新富、西都にまで飛び火している以上、相当に悲観的にならざるをえない。しかし、しないよりはましである。
第2に、ワクチンの性格上、すぐに抗体が作られ、防疫効果を現すか読みきれないことである。これは防疫学者がワクチン接種消極論の決まり文句として言うのでお聞きになったことがあろう。「ワクチンは清浄化に用いるものではない」というのが防疫学の原則である。今回獣医官僚は、その大原則から逸脱する「清浄化にワクチンを用い」ながら、使用したことのペナルティから逃れようとあがいている。結果、不徹底にならざるをえない。
通常このような強力な法定伝染病には、数回の生ワクチンと不活化ワクチンの組み合わせで対処するのが決まりである。これをワクチネーション・プログラムと呼ぶが、その工程を全部飛ばして、いきなり一回打っても効果は限定されるのはいたしかたがない。 このようなパンデミック状況下で、生ワクチンを使うわけにいかないので、当然不活化ワクチンに使用は限定されるだろう。しかし、その効き目は生ワクチンより相当に弱いのである。 またこの口蹄疫用ワクチンは、牛には効果があるが豚には効果がない以上、もっともウイルス排出が大きく、感染頭数が多い豚を抑えきれない。
そして通常の伝染病においては、このワクチネーションと、発症を押さえ込む治療薬が組み合わさり、更にそれに消毒薬が入る立体的衛生プログラムがある。しかし、今回の口蹄疫は、これらを最後の消毒薬と殺処分だけで対抗しようとし、パンデミックを引き起こしてしまった。
今回、発症してしまっている患畜に対して薬剤投与を認めないと、発症をストップすることは不可能であり、当然ウイルス排出は止まらないことになる。一刻も早く患畜に対しての薬剤投与をすべきである。これによって症状を和らげ、ウイルスを押さえ込み、これ以上の感染拡大の原因となることを防止できる。
このワクチン接種+薬剤投与+消毒の徹底の3要素が揃ってなんとかパンデミックを押さえ込めるのであると私は思う。
そして第3に、これはいわずもがなであるし、誰もが口をそろえて言うだろうが、それにしても遅い、遅すぎる!この決断があとせめて20日早ければ・・・!断腸の思いだ。このような大規模防疫作戦は地方自治体にできない以上、国の責任は逃れられない。

もう一点、私が恐れることは、第1例が出た3月31日から、感染確認がされて、口蹄疫発生が公的に宣言された4月20日までの約20日間に宮崎から子牛の出荷が行われていたことである。
これはたぶん現在追跡調査しているはずだが、このウイルス検査を早急に行わないと、ほんとうに口蹄疫を全国にバラまくことになりかねない。この調査が気になる。今はBSE以降、完全な牛のトレサビリティ体制があるので、その結果を早く知りたい。
また、政府の中井国家公安委員長が(責任外だろうに)「宮崎県の初動体制が不備だったことが問題だ」との発言をして、それに追随するメディアもある。確かに宮崎県の初期対応の失敗という側面はある(これは別途検証するが)、かといって政府の対応の遅れを合理化することにはならない。別次元の話をしてすりかえている。
このような「宮崎県に責任」論は、このパンデミックが終わってゆっくり徹底的に法廷(たぶんそうなると思うが)でやってほしい。
また宮崎県にも国の初動体制に対する批判が当然あり、政府と現地行政との関係は非常に良くないと伝えられる。昨日の知事会見で、知事が切れたのもそれが理由と憶測されている。
しかしそのようなことをしている暇があるのか!?消防隊同士で内輪もめしている場合ではない。政府、現地、行政、民間、与党、野党が一丸となって戦う時なのである。つまらない政局がらみにしている余裕などないはずだ。そのような見苦しい争いはこのパンデミックの業火を消し止めてからにしてほしい
          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以下引用
資料1・<口蹄疫>「全頭処分、仕方ない」 
 宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、感染が広がっている地域の牛や豚が全頭処分される見通しになった。感染まん延を遅らせるためにワクチンを接種したうえでの処分となる。畜産農家や地元は大きな打撃を受けることになるが、発生地区や地区外の農家などからは「全頭処分は仕方ない」という意見の一方、「国の対応は遅すぎる」と批判の声も上がった。

 感染1例目が確認された都農(つの)町。牛40頭を飼育する永友浄さん(65)方は感染を免れているが、全頭殺処分には賛成という。連日、消毒などの防疫作業に追われるが、感染の広がりを見ると「どれだけ意味があるのか」と絶望的な気持ちにもなる。「全頭処分してゼロからスタートした方がいい」。その一方で「初動態勢が遅すぎたから感染がここまで広がった」と国の対応を批判した。

 感染確認が最も多い川南町で、飼育している牛76頭に感染の疑いが出た江藤民子さん(65)は全頭処分には反対の立場。「これ以上殺処分の頭数が増えると、埋却処分の遅れに拍車がかかる。牛は出荷までに年月がかかるので、感染していない農家は簡単には受け入れられないだろう」と他の農家を気遣った。

 川南町の蓑原敏朗副町長は「現時点で国からの連絡はない」としたうえで、「ワクチン投与が決まれば、農家の方々に粛々と説明するしかない。ただ、殺処分される牛や豚の補償など具体的な経済支援策がない限り、説得は難しいと感じる」と話した。また、都農町対策本部が置かれた産業振興課の酒井雅彦課長は「地元農家の意見を十分に聞くしかない」と話した。

 県内最大の畜産地で、感染が確認されていない都城市。豚6000頭を飼育する石原政孝さん(36)は「全頭処分もやむを得ないが、対応が遅すぎる」と批判。「1例目が確認されたころから1キロ圏内の家畜を全頭処分するべきだと訴えてきた。ここまで拡大するとどこまでワクチンを打てばいいのか分からないのではないか。どこまで感染が拡大しているのかきちんと見極めてほしい」と話した。

5月19日11時44分配信 毎日新聞
資料2・本ブログへの宮崎県からのコメントを転載
引用開始
野尻の件、いまだに「今日の時点では何も起こっていない」って、新富・西都への感染がはっきりしている今。両地区ではもう埋却準備に入っていますよ。101例目の事業団への感染が確認された時点で、加速しているのが分からないのでしょうか・・・。2次・3次感染後の増殖スピードを経験したことがなかった、という話はないですよ、後日。
今やっと公式コメントとして言われている「ワクチン緩衝帯」も緩衝候補地が宮崎に無くなってしまいます。野尻への疑いが疑いだったらよいのですが検査をした先生、どうなんですか?明日の結果待ちだったら、明日まで目と鼻の先にある非汚染地域は、通常の動きをしてしまいます。
出荷、移動・・・。明日の時点ですでに感染していたのに、気付かず撒き散らしてしてしまう、という事になりませんか?他人任せの県民性があだになってます・・・。「てげてげ」を勝手に解釈するな!誰かがなんとかするじゃろ~ではダメやよ!
資料3宮崎県の方からのコメント転載
*下記情報には韓国の口蹄疫発生地域からの研修生が第1例水牛チーズ農場に民主党議員の紹介で入ったことを示唆しています。JAICAに問い合わせた人によるとJAICAは否定しています。同議員も否定しています。
従いまして、信憑性においてウラが取れた情報とはいえませんが、感染がしにくいと思われる山の中にある水牛農場でなぜ発生したのか、という謎を解く一助になると思ってあえて転載いたします。信憑性に疑問符がつくということを念頭にお読みください。追記/本情報は疫学的に間違っています。また第1例農家も非常に迷惑をしています。削除しようかとも思いましたが、未だネット上で流れているようなので、あえて誤情報ということの警告でそのまま掲示しますのでご了解ください。
{今年の1月にJICAを通じて熊本の酪農家に韓国からの研修生が来ることになった。
この酪農家は知り合いで俺も何度か見に行った事がある。
研修生は韓国京畿道州抱河市西域から。昨年から口蹄疫が発生している地域。熊本の酪農家はこれを断った。
宮崎2区のJICA出身のD議員、地元宮崎での受け入れを要請。
熊本の酪農家はこれを断った。
宮崎2区のJICA出身のD議員、地元宮崎での受け入れを要請。
宮崎のある程度の規模の所は当然断った。そこで目を付けたのが都農の水牛チーズ農場。この農場は東京のお店でイタリアンのお店で働いてた人が立ち上げた農場。俺も熊本でチーズ農場をやってる友人のつてで親交があり、何度も一緒に飲んだ事がある。
この農場も初めは断った。この農場立ち上げの時、国からの補助を受けており、D議員(民主党議員・本文は本名)に押し通される形で受け入れた。
2月半ば頃から原因不明の下痢・乳量の低下・流産が多発。獣医にも原因が解らず、検体を取って動衛研で検査。3月半ばに口蹄疫の疑いが判明。しかし、水牛には抵抗性があり発症はなかった。
この頃から牛飼い仲間には『原因不明の下痢が発生してる。移すといけないから…』と言って飲み会にも来なくなった。
4月10日にこの農場の近くの和牛農家で口蹄疫と疑われる症状が発生。動衛研で検査したところ口蹄疫と確定。
20日に口蹄疫発生と発表。
水牛農場に川南の農場の娘がバイトに行っていた。ここが川南で最初の発生農場。
この農場と行き来のあった農場を中心に広がり川南で多発、国内最大手の直営で発生。同系列のえびのの委託農場に感染。この農場は『保証金目的でわざと口蹄疫を出した』
とか言われてますが、それはないwこの会社とも付き合いはありますがえびの農場は比較的成績の良かった農場。わざわざ潰さないと思う。
後、『水牛が元々持ってた』という噂もありますが、ちゃんと全頭家畜としての
導入検疫を受けてます。導入時は口蹄疫も陰性でした}

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宮崎口蹄疫事件その8 種牛まで処分された!   空気感染によるパンデミックが始まっている

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一昨日、衝撃的なニュースが日本畜産界を走りました。あろうことか川南町の南隣の高鍋町にある宮崎県家畜改良事業団に口蹄疫ウイルスが浸入し、肥育牛259頭忠5頭に陽性反応がでました。

殺処分の対象には種雄牛49頭が含まれており、その中にはあまりにも高名な「安平」が含まれていました。2007年第9回全国和牛能力共進会で父牛系統第1位に輝いた「安平」はまさに日本畜産の宝石とでも言うべき存在でした。いわば日本畜産界のディープインパクトのような雄牛です。

宮崎県の畜産関係者は、血の涙を流したことでしょう。その悔しさをお察しいたします。残った種雄牛6頭は、緊急に西都市尾八重に移動しました。もう大畜産県宮崎に残ったのは、この難を逃れた6頭、「福之国」、「勝平正」、「忠富士」、「秀菊安」、「美穂国」、「安重守」の系統のみとなりました。

一般の方には実感が湧かないかもしれませんが、作出するのに短くて7年、それまでの世代も入れれば、そろばんを弾くことすら難しい種牛というのは価格があるようなないような存在です。競りにもかけられません。それをこともあろうに、全国和牛共進会第1位の「安平」を失うとは・・・!

宮崎牛は各地に肥育前期の牛を供給している大本なので、松坂牛など各地にもしわ寄せが遠からず行くことになります。

さて、今回の事態の深刻さは、川南町の県畜産試験場(県試)に次いで、もっともウイルス防御が高いはずの、宮崎畜産の中枢施設に易々と侵入を許してしまったことです。

県試や肉牛試験場には、私も何回か足を運んでいます。このような県の畜産施設は、おおむね獣医師資格をもった職員によって運営されています。またウイルス・セキュリティも当然ハイレベルです。

私たち民間の畜産屋の目からみれば、獣医師が税金を使ってやっている農場という実にゴージャスな存在なわけですし、ましてや、今回の口蹄疫のパンデミックという状況下で、最大限の防疫措置が取られたであろうことは想像に難くありません。

車両、機材、飼料、糞の処理、人員の出入りなど最大限の防疫対策がされていたはずです。となると、もはや原因はひとつしか考えられなくなります。そうです、空気感染です。この可能性しかありえません。消去法で考えると、いくら車両、機材を消毒洗浄しても、侵入したとなると、それはもはや防ぐ術がない「空気」によるものしかありえません

コメントを頂きました「うま」様によりますと、口蹄疫の感染スピードは、1週間で200㌔という信じがたい速度を持っているそうです。私が経験した5年前の茨城トリインフルH5N2など、口蹄疫と比較すればまことにのどかなものでした。

私たちは接触感染を中心に対策をたてればよかったからです。農場に侵入する車両のタイヤ、人員の衣服、靴、機材などに消毒し、生石灰を散布すればことが足りました。しかし、空気感染においては、対策の立てようが事実上ありません。空気には遮る壁などないからです

たぶん、私の推測では4月28日の川南町の県試における豚の感染の発見が、大きな分岐点でなかったのかと思います。牛の最大2千倍ものウイルスを気道から排出し続ける豚にウイルスが伝播してしまうことを許してしまったことが致命的であったと思われます

死んだ子の歳を数えてもしかたがないのかもしれませんが、この時点までに初動で制圧すべきでした。殺処分が8万頭を超え、100例をこえて、種牛まで殺処分する状況となって、いまさら対策本部に首相がなるそうですが、もうあんたらには怒る気にもなりません。これが新型インフルの強毒タイプだったのなら、もう何万人か死んでいますよ。民主党には危機管理という概念自体が欠落しているようです。
平野さんなにをいまごろ「水際作戦」ですか。すでに空気感染が始まって、改良事業団で種牛が殺されている時期に寝言言ってんじゃないよ。「水際」なんてとっくに破られてんだよ。

ああ、いかん、こんな愚か者を相手に腹をたてていてもしかたがない。私なりに問題を整理します。ええっとその前に、いただきましたコメントに少しお答えをせねば。

「宮崎県」様、いつも熱いコメントをありがとうございます。通常は重複コメントはありがたくないのですが、今回はむしろ大歓迎です。今後も現地の生の声をお伝えください。
私たち遠く離れた茨城の農家も皆、毎朝心配でならなくって口蹄疫から農業新聞を読むんだと言っています。初めのうちは、「うちの県の牛屋、相場が値上がって喜ぶっぺな」などとひどいことを言っていましたが、ここまでとなると、カンパをするべいとなってきています。いつもはライバルですが、今回は全国の農家が味方ですよ。

「ほんだ」様、ワクチンは打ちたくても打てないのですよ。口蹄疫やトリインフルは家畜伝病予防法に指定されたウイルス伝染病で、ワクチン投与は法的に認められていません。お上うんぬんではなく、現在のところ打つと違法となり処罰されます。私はこれを合法にしろと主張しているわけです。あと、農業過保護論については、この事件が終わったらおつきあいします。今はお分かりのようにそれどころではないのです。

さて、「うま」様。専門的なコメントをありがとうございます。教えられること多々ございました。「うま」様のコメントをまとめますとこのようになります。
■① 口蹄疫は伝播スピードが驚異的に速い。
■② 感染地区からの輸入は禁止される。
■③ 感染した家畜は1週間か2週間で自然治癒するが、ウイルスは体内に残存する。
■④ 罹患した家畜の肉、精液等は拡大感染の危険を持っている。もし今回患畜と知らずに販売してしまったケースが出た場合、訴訟に発展するケースがありうる。
■⑤ 感染源から半径1.5㌔ほどに緩衝地帯を設ける対策もあるが、現実には困難か。

④の患畜の販売は、今の段階ではわかりませんが、第1例で獣医が見逃したほどですので、現場サイドでは重篤にならないかぎり出荷してしまう場合もなしとはいえません。ただ、常識的に言って、家保が緊急に全頭検診をしているはずですので、その編み目を潜ってというのもありえない気もします。

⑤緩衝地帯は、宮崎県知事が発生源から一定の範囲を全頭処分するという方針を出しました。赤松さんは「財産権に抵触する」などと言っているようですが、素人のごたくはともかく、ありえる方法です。

ただ、私としては・・・とてつもない痛みが伴う非人道的な方法です。私自身がその緩衝地帯の畜産農家だったら、「陽性もでていないうちの家畜を殺すなら、オレも一緒に殺せ」と叫ぶだろうな。防疫作戦としては頭で理解できても、人の道に反します。健康な手塩にかけた家畜を殺すことなど、私にはできない。

私は25年前にニューカッスル(ND)をもらったことがあります。当時幼稚な反ワクチン主義者だった私は、目の前でバタバタ斃死する家畜をただ見ていることしかできませんでした。そして唯一できることは、殺処分です。

発生した棟と発生していない棟の中間の棟の家畜を伝染緩衝地帯として殺していくのです。まだ罹患していない健康なヤツを殺す。気道を切り裂き、脇の樽に捨てていく・・・悪夢です。しかも悪夢にだんだん無感覚になって行く悪夢です。自分が人間でなくなっていくような気分でした。もう二度と御免です。しかも感染を止める効果はなかったのですから。

たぶん既にウイルス汚染濃度が上昇し、空気感染の段階になっていたようです。そうなった場合いくら緩衝地帯を設けようと、そのときの風向きで汚染されていきます。

今回の宮崎では、防除方法の問題点が浮き彫りになりました。これも箇条書きにしてみます。
■① 牛に発生した初期例の初動制圧に失敗した。
■② 牛の感染が明らかになり、、感染の増幅家畜である豚に感染し始めた5月初めから一気に川南町を中心とする空気汚染濃度が高まった。牛からの伝染病が、いったん豚に感染し、増幅してウイルス排出をし、更にまた別の牛に感染して拡大を増殖させる構図ができてしまった。
■③ 口蹄疫になると「家畜伝染病予防法第16条屠殺の義務」により、家畜防疫員(要するに家保)の命令で家畜を殺す義務が生じる。これが今問題となっている殺処分です。
■④ しかし現実には、患畜を殺処分するには獣医師の資格が必要であり、発生現場において充分な獣医師が圧倒的に不足するために、殺処分が大きな遅滞をする。一日、殺処分できるのはせいぜいが100~150頭であり、現実には8万頭の処分対象に対して3万頭しかできない。
■⑤ これでは結果、処分を待つ患畜から日々ウイルスが排出され続け、感染拡大を阻止するはずの殺処分がかえって拡大の2次的原因となる。

口蹄疫の感染のスピードは驚異的であり、川南町から飛び火しています。たぶん早晩、県境を超えるでしょう。そしてもっともウイルス・セキュリティの高い公的施設にも浸入されました。次代を担う種牛も殺されました。・・・そして現在の政府の防疫方法では阻止することが不可能です。

残る方法は、宮崎県知事が提案する緩衝地帯の設定しかありません。つまり、川南町から1.5㌔を一切の家畜がいない地域とすることです。しかしその方法をとってもなお、「うま」様が言うように現実には野ネズミなどやタヌキなどの野生生物が感染媒介となり完全には遮断しきれません。

私は殺処分による防疫方法は完全に破綻したと思います。殺処分が有効なのは、初動制圧が可能であった条件下でなのです

そして初動制圧ができなかった今回の場合、私にはこれを止める方法は、ただひとつしか思い浮かびません。川南町の周辺半径2キロの地域に予防ワクチンを接種することです。そして抗体があがらない家畜がいて発症した場合は投薬します

現在の宮崎の状況に戻るならば、既に予防ワクチンがありえない以上、緊急に感染国からの口蹄疫や薬剤を輸入し、投与します

したがってOIEとの関係で、日本は「清浄国」から「感染国」に転落し、経済的なダメージを被ります。OIEとの国際調整も多難でしょう。しかし、こういう時のために、つまり一地域で解決がつかない問題で中央政府があるのではないですか?

畜産が伝染病からわが身を守る方法は基本的にふたつしかありません。ワクチンと薬剤です。大きくは飼育方法や飼料組成がありますが、一般的にはそういっていいでしょう。このふたつを封じられてかくも恐ろしい口蹄疫を防げとは笑止です。

日本は今回の悲惨な宮崎の事件を機に、口蹄疫に罹ったら殺すしかないという迷妄から覚めるべきではないでしょうか。ひとつの町、ひとつの県の農家をまるごと潰しての「清浄国」なら、いったい意味があるのでしょうか。

■追加1
農林水産省は18日未明、宮崎県で発生した家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)の感染確定・疑い例は計126例で、殺処分対象の家畜が計11万4177頭になったと発表した。これを受け平野博文官房長官は閣議後の記者会見で、一定区域内の家畜全頭を殺処分するための措置を検討する考えを明らかにした。

全頭殺処分には、感染の疑いが出た農場の家畜に殺処分を限定している家畜伝染病予防法を改正するか、特別措置法を制定する必要がある。平野氏は全頭殺処分について「ひとつの考え方だ。封じ込めるためにはあらゆる検討をしなければならないと思っている。現行法でできるのか、法改正がいるのかを含めて検討した上で判断しなければならない」と述べ、早急に検討を進める考えを示した。
朝日新聞 5月18日


■追加2
赤松農相は18日の閣議後記者会見で、宮崎県側が口蹄疫の感染を見逃したことについて「いまは力を合わせて抑え込むのが最優先」と述べた。

 また、感染の拡大を許したことに関し、「結果的に10年前に比べて大きな数が出てしまったのは残念。(現場の人員配置など)うまく仕切りがされていなかったのは反省点としてある」とした。しかし、自民党などから辞任を求める声が出ていることについては「対応のしようがない。わたしがやってきたことは反省するところ、おわびするところはない」と語った。
読売新聞2010年5月18日(火)

 

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赤松広隆農水大臣の最初の仕事のスゴサ

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コメントにいくつかお答えしなければならないのですが まずは赤松さんからいきますか。 この赤松広隆氏の人物的な特徴は、コワモテなような気がします。なんてんだろう、強権的なんですよ。上から権力ずくで押さえつけてくる感じとでも言うのでしょうか。

秋田県と彼は大いにトラぶってるんです。佐竹知事をして「皆さん、選挙というものがいかに怖いかお分かりになりましたね」とまで言わしめたほどです。佐竹知事は温厚な殿様タイプ(実際にその末裔ですか)お人柄で、いかに赤松大臣に腹を据えかねたかがわかります。

ことの起こりは去年まだ民主党がブイブイ言わせている得意絶頂期の11月26日のことでした。赤松さんは、民主党の金看板だった農家所得補償政策の突破口に、場所もあろうに大潟村を選んだのです。

大潟村はオランダをモデルにし、ヤンセン教授を迎えて作られた1万3千町歩もの巨大な農地です。この村民も募集で集められました。日本にこんな「村」、ありません。

この村は、減反を遵守するか、それを無視と決め込むかでまっぷたつに別れて、ケンケンガクガクの争いをしました。いわゆる「村の共同性が効かないのです。だから単純に経済的な利害だけで村を二分する闘争をしてしまいます。

今は大潟村も第2世代が主人ですから、多少は変わったのかもしれませんが、こなれていない「村」でした。普通の村はよくも悪しくも、誰それの分家がどうしただの、嫁がどこに行っただの、十重二十重の人間関係によって支えられています。いくら否定しようとそれが村の数千年のあり方なのです。

しかしここに、こんな巨大面積を持つ、しかも大規模農法をする「村」ともいえない村が現れて、その半分が減反拒否をしたのですから周りの地域は穏やかではないでしょうね。

たしかに減反という政策に私も疑問をもっています。しかし、私が大規模コメ作り農家だったとしても、それを頭から無視することはないでしょう。なぜかといえば、私が仮に、そうですね10町歩やっていたとして、36%の減反が掛かりますから、その分を米粉にするか、麦やソバ、大豆、飼料用米などに転換せねばなりません。

そりゃやりたくはないですよ。米は米で売りたいもの。しかし、仲間のコメ農家も20町歩やっていますが、やはり減反は泣く泣くやっています。米粉も泣きながらやっています(売れないけど)。というのは、拒否すれば、地域の中で拒否した分が他の農家仲間に割り振られるだけだからです。それは仁義に反する。今風に言えば、コンプライアンス違反ってもんでしょうが。

秋田県では大潟村の減反拒否分があまりに巨大であったために、県全体で拒否派の減反分を肩代わりしました。してもらった減反拒否派は別にありがたがるわけでもなく、「悪いのは減反を押しつける国だ。オレらじゃない」とシカとしている。こりゃもめるよ。リクツはそうかもしれないが、人の情を逆撫でしてますもん。

赤松さんは現地の秋田県と事前の話し合いもしないで、こんなややっこしい地域に凱旋将軍よろしく意気揚々と乗り込んだのだと思ってくだされ。そしていきなり謝罪をかましました。
「大潟村は国の政策に翻弄されて苦労してきた。国の責任だ」。そしてペコリ。

一見カッコイイでしょう。気分としては薬剤エイズ事件の管直人氏気取りだったのかもしれません。けれど、なんのことはない「国で謝罪する」といっても、単なる自民党農政のダメ出しですから、謝っても痛くもかゆくもありません。

しかし、謝罪する方向がおかしかったので、現地で怒りが爆発しました。彼は減反反対派にだけに誤ってしまったのです。せめて減反受容派も含めて全部の村民に謝罪したのなら筋はそれなりに通ったものを。

くりかえしますが、減反なんて好きでやっている奴はいないのです。イヤダと横車を押す奴がいるので、しかたがなく泣き泣きそいつの分も減反をして苦しんでいるわけです。それなのに、減反拒否派だけに謝罪をしたら、受容派、つまりは尻ぬぐいをして一番苦労してきた人たちは「正直者が馬鹿をみる」となって当然でしょう。

戦争中にガダルカナルやインパールに行って死ぬ目に合いながらも帰国してみたら、大臣が逃亡兵にだけ謝罪しているのを見るようなものです。

大潟村がある県南地域は、県内の他地域との減反調整や、果ては新潟県と他県の減反調整でいつも頭を下げてきていたのですから。こんな複雑な事情を知ってか知らずか、いや絶対に知らないで、その火元の大潟村に来て、大臣の肩書で拒否派にすまんこってとブチかましたわけです。私はそうとうにルーピーだと思うぞ。

ルーピーが出たところでやや横道にそれますが、沖縄の普天間問題にどこか似ています。辺野古の3地区の住民や、岸本元市長や島袋前市長などの名護の行政は延々とこの移設の重荷を背負ってしんどい交渉をしてきたわけです。地方行政は国家の専管事項である安全保障政策には介入できないし、国から泣きつかれ、県もよろしくと頭を下げられて泣く泣く受容してみたら、いきなり民主党政権になってちゃぶ台返しをやられてしまいました。あげく、こぼれたオカズを拾い集めて、これはどうだ、あれはまだ食えそうだなどと言う始末です。

まるで受容した人たちの重さ、苦しさを分かろうとしていないのです。ですから当然、このような国家政策にまつわる複雑な人間模様の苦渋など見えるはずもない。

そう、まるで坊やです。しかも大勝利した後の凱旋将軍気取りの坊やです。「民主党の意志こそが国民の意志だ」。彼らはそう言いました。つまりは「オレの言うことが正義だ」とでもいうことですか。この場合の赤松さんもまさにそうでした。

その後の赤松大臣の暴走はむしろ勢いがついていきます。12月8日の大臣会見では、「減反ペナルティを遵守するなら新潟県を農家所得保障制度からはずす」という驚天動地の発言をします。

更に12月12日には「減反面積に差をつけざるをえない」とまで言い出す始末です。ここまで来ると、もはや権力の濫用という気さえします。自分の党の煮詰まっていない政策を、自分でもよく分からないまま、いちばん矛盾がしこっている村に持ち込んで、片方だけを持ち上げたあげく、減反を肩代わりしてきた農家を加害者呼ばわりし、事態に驚いた新潟県知事にまで恫喝をかけたのですから。いやはや、なんとも。

「くおらぁ、俺らは選挙で大勝利してた民主党様だ。逆らったら所得補償はねぇかんな!」。赤松さんいい歳して、あんた、マンガの中学校番長か、朝青竜かって。

かくて、赤松大臣は大潟村の減反受容派のみならず、佐竹県知事や農民までをくまなく敵に回してしまったようなのです。
農家所得保障制度をやりたいにしても、やり方があったものを。しかし、パチンコ業界には精通していても、農民のことなどいままでこれっぽっちも関心がなっかった赤松大臣には、支持率を背景にして国家権力をバックにしてすごめば自分の意志が通ると思っていたようです。

いままで権力に縁がなかった人のある種のタイプが陥りやすい、権力大好き症候群とでもいうんでしょうか。

まずは全国の農村を精力的に歩き回って、農民の声を聞いて、語って、飲んで、バカを言い合ってからでも遅くはないはずでした。

それをいきなり強権発動からとは、恐れ入ります。赤松大臣とはこのような人なのです。今回、宮崎県に行かなかったのは偶然ではなく、彼は「現地」の生々しい農民の声がイヤなのです。東京で「政治」をやっていたいのです。
せいぜいが県庁で、自民党の地元議員を恫喝するていどの小さい器の人、それが赤松広隆氏なのです。

■写真 棕櫚です。こうして日差しにかざすときれいですね。

■コメン様。ありがとうございます。大潟村は秋田県です。訂正いたしました。このところ地名でまちがえぱなし。(汗)

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宮崎口蹄疫事件その7  現実にそぐわない家畜伝染病予防法がかえって感染拡大をしている

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いろいろなコメントをいただきました。ありがとうございます。現在、ネット界を別にして、地上波、活字媒体などの報道はほとんどない状況です。確かに私自身も当初は、風評被害のためかと思っていましたが、それにしても異様な風景です。

一方唯一気を吐いているネット界も保守系ブログが中心であり、正義感あふれるもののおしなべて「民主党政権打倒」的な政治的論調になってしまっています。


私も民主党政権には大いに懐疑的ですが、ひとりの現役畜産農家として
私には失敗に終わった防疫方法を問う議論がなぜ起きてこないのか、単に赤松大臣の怠慢だけで済ましてしまっていいのか、彼の首を取れば気が済むのかと思っています。もっと事態の根は深いように思えるのです。

さて現在、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)遺伝子診断が陽性だった場合、殺処分をする防疫方針で望んでいます。しかし現実には、宮崎の畜産農家の前々回に紹介した悲痛なメールにあるように、殺処分は獣医師の圧倒的不足(九州地区からの応援獣医師はわずか3名にすぎませんでした)のために大幅に遅れており、現在6分の1ていどが処分されたにすぎません。

つまり、殺処分が間に合わないために待機患畜が1週間以上生きたまま農場に約3万頭もいる状況となっています。(5月8日現在)、特に牛よりも最大2千倍もウイルスを排出している患畜の豚が多く農場に残されていることは非常に危険です。その地域のウイルス濃度を押し上げていくからです。

またこれらの患畜には、長い待機期間中に自然治癒するものも現れると思われます。となると,自然治癒してしまった家畜を処分するという二重の悲劇が起きないとも限りません。もしそのようなことになれば、農家の胸は哀しみで張り裂けることでしょう。

この事態はなにを物語るのでしょうか?それは大型家畜伝染病がいったん発生した場合、特にそれが大型家畜である牛や豚であった場合、獣医師しかその処分が出来ない柔軟性のなさも相まって、殺処分の大幅な遅れをもたらし、それが拡大感染の2次的引き金になる事態が起きているということです。

そうです、殺処分は自然治癒可能な家畜を、治療することもなく放置し、そして殺すだけが防疫という非人道性があるばかりか、現実に起きてしまって初期封じ込めに失敗した伝染病に対しては、殺処分が追いつかないという無力な防疫方法なのです。

私は、今の家畜伝染病予防法があまりに実情に追随していない法律と化していることを指摘したいと思います。この法律は゛昭和26年に制定されましたが、実態は戦前の旧法をそのまま踏襲しています。

戦前の旧法時代には考えられもしなかった国際的な物流が地球を覆い尽くすこの21世紀に、国際的な家畜と畜産加工品の輸出入が船しかなかった時代の法律がそのまま家畜伝染病予防法として生きているのです

また、ありもしない「清浄国」神話があるため、現代のように国際物流が盛んであれば、複雑多岐な侵入ルートがあり、いつどのようなルートで侵入してもおかしくはないにもかかわらず、あいも変わらず、第1例の発生農場(初発農場)はまるで犯人扱いされ、地域で今後生きていくことすらつらい立場に追い込まれてしてまいます。

このような大型伝染病で必ず自殺者が出るのは痛ましい現実です。京都のトリインフルの初発の経営者夫婦の自殺は今でも鮮明に記憶に焼きついています。このようなことを再生産してはなりません。

今回の宮崎のケースでいえば、3月31日の都農(ずのう)町における第1例の水牛農家の診断を、獣医師が誤診してしまい、後に東京の動物衛生研究所で遺伝子検査をした結果、それが口蹄疫だと判定されました。それが4月20日で、実に半月経過しています。

実際は、この20日間の間に感染が川南町で牛を中心に拡大していったものと思われます。東国原知事が「この瑕疵を問わない」と言明したことは賢明な判断でした。もし、それを問う態度をみせれば、この農家と獣医師は地域で生きて行けないでしょうから。

ところで、川南町には注目すべき施設がありました。宮崎県家畜試験場です。川南町は畜産の町として全国的に有名で、宮崎牛やはまゆう豚、日向地鶏など数々の強力なブランドをもっています。私たち茨城の畜産農家にはまぶしいような地域でした。その中心の中心の県家畜試験場が爆心地となったのです。

そういえば、日本養鶏業の心臓部であると自認していたわが茨城でも大爆発しましたっけね。メッカ、心臓部ほど脆弱なのかもしれません。だから、深刻なのです。私が単に政局で語ってくれるな、と言うのはそこにあります。

川南町の県畜産試験場(県試)で豚に口蹄疫の感染が発見されたのは4月28日でした。これは「あろうことか」と枕詞をつけねばなりません。県家畜試験場(県試)は、その県のブランド畜産品を作成する本尊です。とうぜんもっともウイルス・セキュリティは最高度のものを持っていなければならないし、ここにウイルス侵入されたらシャレにもなりません。そんな場所です。

しかし、この県試が川南町の豚感染の初発なようです。県試のウイルス・バリアーを超えて侵入するルートなど、平々凡々たる私のような畜産農家には想像もつきません。

しかしこの県試の豚感染こそが、今回の宮崎県口蹄疫パンデミックの地獄の釜の蓋を開けたのでした。ならば、県の公的機関たる県試の社会的責任を問わないわけにはいかなくなります。そのあたりのニュアンスがあっての知事の「瑕疵は問わない」発言と解したほうがいいようです。

私は、県試という獣医師資格を持つ公務員によって運営されている実験目的の農場ですら、ウイルス侵入を許したという事実が、この家畜伝染病予防法の虚構性を現していると思います。

ならば、現実に生産し生活している私たち農家は、更に複雑なウイルス侵入の地下茎で結ばれているのです。それはあるいは牛が食べる粗飼料の輸入ワラ一本かもしれないし、あるいは働いている外国人労働者の靴一足かもしれません。

考え出したらきりがないぼど、感染ルートはありえます。それをひとつひとつ全部潰せますか?今回の侵入源はおそらく中国か韓国であることは間違いありません。私たちの茨城トリインフル事件では、なんと中米グアテマラのウイルス型をもっていたために、グヲテマラ人が働いていたかの調査まで行われたのです。

外国と完全に経済社会的、そして人的な交通を遮断できるのでしょうか?それを私たち畜産農家だけがしろとでも言いますか?

ちょうど一昨年前でしたか、新型インフルエンザの水際防衛を叫んだ厚労省が、いくら国際空港で防疫体制を敷こうと、結果としては続々と国内感染が見つかったことを思い出します。

ではあの成田空港のサーモグラフィまで使った防疫体制はなんだのでしょう。茶番じゃないですか。新型インフルエンザは厚労省の「清浄国」というありえない幻想を軽々と乗り越えて蔓延しました。厚労省のパーフォーマンスだったのです。

かつて「らい予防法」という法律がありました。これは法律が作られた時代の知見の水準でできていました。そしてこの過てる「らい予防法」のために、ゆえなく多くの人々が社会的隔離をされました。

私にはこの家畜伝染病予防法も同じにみえるのです。

■訂正 都農は「ずの」ではなく「つの」だそうです。お恥ずかしい、地元の皆様すいません、訂正します。ちなみにわが市は「行方」ですが、読めますか?「ゆくえ市」?、「なめかた市」?いずれもブーっ。「なめた市」です。

■ 口蹄疫問題が大きくなりそうなので、新カテゴリーに加えました。

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宮崎県口蹄疫事件その6  なぜ豚が感染した後に、周辺ワクチンを接種しなかったのだろうか?

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私はかつて、宮崎県の今の畜産農民のような立場にいたことがあります。5年前のことでした。私の家畜は幸運にも感染せず、また首の皮一枚で移動制限区域に入りませんでしたが、知人や地域の農家が続々と飲み込まれていく様を目の前で見ました。

あのひたひたと襲って来る目に見えないウイルスの恐怖感は、言葉ではなかなか説明しにくいものです。ご丁寧にも私の地域は10年前に東海村の原子力燃料会社のボンっにも遭遇しており、放射能とウイルスという現代2大「目に見えない恐怖」を学習させていただきました。もう二度と学習したくはありませんが。

さて、今回の宮崎県口蹄疫のパンデミック(感染爆発)は、もうそう言ってかまわないと思いますが、豚への感染がひとつの目印でした。それは4月28日です。川南町のこともあろうに県の畜産試験場というもっともウイルス・セキュリティが高いはずの場所で発生しました。

なぜ豚への口蹄疫の感染時期が重要かといえば、豚は口蹄疫の感染ルートの中でいわばアンプ(増幅装置)のような位置にあるからです。感染疫学において口蹄疫では牛が初めに発生し、それを豚が増幅するとされています。

そして豚の潜伏期間は長いのでなかなか表にでません。しかしいったん出るとなると、豚のウイルス排出量は、一般的に牛に比較して百倍から2千倍も多く、高濃度の口蹄疫ウイルスをエアロゾル状態で呼吸器から排出し続けます。

ですから、牛と豚が一緒に飼われている地域においていったん口蹄疫が発生してしまうと、牛から発生したウイルスが豚で増幅されて、一気に地域のウイルス汚染度が高まる結果、空気伝播(空気感染)が起こりやすくなります

こうなると防疫は非常に困難になります。まさに今の宮崎県の状況です。この分水嶺が豚に口蹄疫が出た4月28日でした。豚に出たことにより、宮崎県の感染は一挙に進みました。パンデミックです。

しかし農水省第12回牛豚等疾病小委員会で防疫専門家たちは、このような評価をしています。

「初発から2週間以上経過しているが、宮崎県での発生は半径10kmの移動制限区域の概ね3km以内に収まっており、引き続き厳格な消毒や農場内への出入りの制限を実施するとともに、現行の発生農場での迅速な殺処分、埋却等による防疫措置を徹底すべきである」

この疾病小委員会の答申を聞いて、たぶん農水省は2000年時の740頭発生時のように地域封じ込めができると甘く読んだのでしょう。だから、農水大臣に外遊に出たいと「政治主導」されると、それを抑えきれなかった。結果、パンデミックです。

この報告書を農水省のHPで読むと、まったく危機感が感じられません。おざなりの防疫ラインの設定しか話されておらず、成功パターンの10年前の踏襲をしています。地図上でコンパスで川南町から10㌔をクルリと輪を書き、20㌔でももうひとつ輪をクルリ、と。

しかし、現実にはこのような想定を超えて、遠く離れたえびな市でも発生していきます。畜産農家は飼料、生乳、ふん尿処理、人の出入りなど複雑な農場への出入りをしています。

私たち茨城のトリインフルの場合は、日々排泄される鶏糞と廃鶏が感染拡大の地下茎でした。違法な闇ワクチン投与から始まったトリインフルエンザの大感染は、この廃鶏と鶏糞のラインという地下茎に乗って感染を拡大していきました。

この4月28日の豚感染がみつかった段階で防疫当局は頭を切り換えるべきでした。ここにひとつの方法があります。

殺処分のみでは防疫が間に合わない場合、緊急時に地域を限定して蔓延を防止のために周辺地域にワクチネンを接種する方法です。これを「戦略ワクチネーション」といいます。この方法によって、被害を最小限度に止め、畜産農家の悲惨を軽減できます

このワクチンを接種した家畜は、感染しにくくなり、またウイルス排出量も最小限なります。そして伝染が収まったあとは、出荷することも可能です。

なぜ、このような周辺地域への防御的ワクチン投与を行わなかったのでしょうか?そして今、このような絶壁に立ってもなお、その選択を考慮しないのか不思議でなりません。

■写真 田植えが終わった田んぼ。今年は非常に寒い。冷夏が心配です。

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宮崎県口蹄疫事件その5   殺処分の根底にある「清浄国」思想 ・ 殺処分を考え直す時期だ

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宮崎県で口蹄疫が発生し、既に1カ月に近い日が立とうとしています。
今、宮崎県の畜産農家は破滅の淵にいます。口蹄疫という恐ろしい伝染病が発生しました。口蹄疫は潜伏期間が2~6日間で、発熱、喉の痛みが沖、口内、舌、ヒズメに水泡が見られます。生皮が剥けたようになり、家畜は苦しみます。

しかし、最後の水泡がみられてから1週間、だいたい約2週間で自然に治癒してしまいます。死亡率はきわめて低く、まして人間への感染はほぼありえません。

しかし、この口蹄疫が特異なことは、通常の家畜疫病には必ずあるはずの予防ワクチンも、治療薬も一切ないことです。というか、そもそも「設定されていない」のです。

なぜでしょうか?
口蹄疫は確かに偶蹄類に最強の感染力を持ちます。口蹄疫を発症すると、家畜は発熱や水泡により食欲の不振に陥り、増体や乳量を激減させるからです。

結果、この口蹄疫が蔓延すれば畜産業界は大変な経済的打撃を受けます。

ならば、治療薬を施せばいいではないですか。予防ワクチンを打てばいい。私たち畜産家はそう思います。いや、そう考えない思考方法のほうが首を傾げます。なぜ、病の家畜を救ってはならないのか?すこしでも楽にしてあげられないのでしょうか?

この理由は公式に次のように説明されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB
  1. 感染の診断が不可能になるので、その後の予防が著しく困難になる。また、感染した動物と抗体の区別がつかないので、ワクチンが投与された個体が生きている間は、輸入再開の許可を出さないケースが多く、産業への長期的打撃が大きい。
  2. 100%の効果がないので、感染源になったり偽の安心を生む。
  3. 日本での使用例がなく不安である。
  4. 日本にきちんとした在庫がない。
  5. ワクチン接種された動物は食品に使えない。
  6. 接種範囲の決定が困難である。

これらの発想の根底には、日本がこだわる「清浄国」思想があります。ワクチンを使えば、日本は常に伝染病がある「非清浄国」とみなされるという恐怖です。非清浄国になれば、清浄国に食肉を輸出できなくなり、逆に非清浄国からの輸入食肉にも文句を言えなくなってしまう。そんなこと先進国としてカッコウ悪いじゃないか、とだいたいこんなことです。

この恐怖心というか、見栄というか、現場知らずの学者バカというか、針小棒大というか、大艦巨砲主義というか、ことの軽重を知らずというか・・・まぁいかにも学者が考えそうなことです。

そして現実には私たち畜産農家ではなく、防疫学者が国に対して発言力を持ってきました。

そして「清浄国」という優生学もどきの過激な家畜伝染病防疫制度が作られました。私は口蹄疫を、制度対象指定のウイルス病疾病から除外して、現実に即した柔軟な方法に転換すべきだと思います。さもないと、今回でわかるとおり地域経済や畜産農家に打撃があまりに巨大だからです。

口蹄疫がいったん発生すれば、地域の牛や豚を根こそぎ殺処分にするしかないような硬直した現在の家畜伝染予防法を修正していくべき時期に入っています。家畜防疫制度を見直し、適切な方法で予防ワクチンと対処薬を使用可能にすべきです

さもないと、このような昨日の現地からのメールにある悲劇を再生産しつづけてしまいます。

・・・口蹄疫が発症してからというもの、父は今まで抑えていた餌の量を以前の量に戻して、「殺処分されるのは分かってる、でも最後までおいしい餌をおなか一杯食べさせてあげたいと。やはり悲しげな顔でやり続けています・・・

このことについてもう少し続けたいとおもいます。

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宮崎県口蹄疫事件その4 赤松農水大臣よ聞け! 現地農家の悲痛な声を!  衝撃の畜産農家からのメール3通一挙掲載

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宮崎の現場の畜産農家の衝撃的なメールが共同通信社の47NEWSにありましたので、全文転載いたします。同業者として耳を覆いたくなるような悲痛な声が記されています。

農水大臣と農水省はこの声を真摯に受け止め、「やることはすべてやった」というようなつまらない居直りをやめて、直ちに全面的な救済策を立てるべきです。


特に未だ6分の1しか処分できていないという殺処分の大幅な遅れと、消毒液の不足は深刻な事態を招いています。ウイルスを保有する患畜の放置が現地では続いており、これが感染拡大の大きな原因となっています

大型家畜である牛豚の殺処分は、獣医師資格が必要であり、現地における獣医師の極端な不足がこの状況を招いています。7万頭という膨大な数の殺処分は、全国の獣医師の総動員をかけたとしても気が遠くなるような頭数です。

「今2倍の100人へ増強」と赤松大臣は言いますが、ひとりの獣医師が一日で処分できる牛豚などわずかなものでしかありません。たぶん100頭すらもいかないのではないでしょうか。

一カ所に集めてシステマチックにやることが、伝染病の特質から不可能な以上、一軒゛一軒獣医師が訪問してやることになる現状では、仮に100人の獣医師が投入され、かかり切りで殺処分したとしても、一日に千頭すら処分しきれないと思われます。理論的には最大で2千頭などといいますが、空論だと思います。

実際、九州各県からの応援の公務員で獣医師資格を持つものはわずか3名にすぎなかったそうです。もう焼け石に水の状態で、患畜が累積する一方です。

第一、獣医師は殺処分だけではなく、宮崎県のみならず近県の家畜の診断もせねばならず、殺処分だけに特化して派遣されるわけでもないからです。

そして埋葬地も、そこへの運搬方法、、重機も不足しています。そしてなんといっても、今緊急に大量に必要とされているビルコンという消毒薬が、アイスランド火山噴火の影響での航空路の麻痺のため致命的に不足しているという驚くべき状況です。

ともかく、かくも巨大な感染拡大を許してしまってからではすべてが困難を倍加させます。せめて前回のように初動で制圧しきってしまえば、このような事態にならなかったはずです。2000年時には700頭で封じ込めに成功しています。

この事件は畜産界の阪神淡路大震災となりました。村山首相と赤松大臣、事件での役回りも所属党派も同じ(村山氏は旧社会党委員長、赤松氏は同書記長)なのはなにかの因縁でしょうか。

詳細な分析は次回行い、とりあえず本日は全文を一挙掲載します。まったくといっていいほど報道されない状況下で、宮崎の農家の生の声に耳を傾けて下さい。

既に発生から20日を過ぎ、農家の精神的肉体的な限界に近づきつつあります。私が心配するのは、自殺者が出ることです。宮崎県の畜産農家の皆さん、頑張って下さい。あなた方は孤立してはいません。全国の農家があなた方を思っているのですから。

[以下引用・太字引用者]

宮崎県の畜産農家を襲っている口蹄疫の惨状を、養豚場の現場から47NEWSに伝えるメール報告が2010年5月9日届きました。以下はその全文です。(47NEWS)
【口蹄疫】殺処分という響きがやりきれない

       ------------------

[第1信]

私は、宮崎県児湯郡川南町川南で父が経営する養豚場を手伝いをしています。
今、川南では口蹄疫が発生し蔓延している状況です。日々、知り合いの農場、近所の農場と口蹄疫が発生しています。
そして、5/7の早朝に母豚の様子がおかしいのでもしやと思い、口の周りを見てみると口蹄疫の症状と酷似した症状がでており、当日に家畜保健所に連絡、そして験体を採取、翌日に口蹄疫と断定されました。
宮崎県のホームページで発表されました、44例目の農場が私の父が経営する養豚場です。
口蹄疫1例目発生から、神経をとがらせて、消毒の徹底、そして外部からの人の出入り、また買い物などを極力控えて、家の敷地内にはいる前にはかならず車両は消毒して、人も消毒薬が目に入らないように息を止めて消毒していましたが、それでも、防げませんでした
父は、「口蹄疫が出たショックより、すこし楽になった、、、」と今まで全神経をとがらせて消毒をしてきた苦労から解放される事に悲しみの顔をしながらポツリと言いました。20100511_1_IMG_0038.jpg

なぜ、ここまで拡大しなくてはいけなかったのでしょうか?対策は十分だったのでしょうか?ニュースや新聞を見ても、県の対策は完璧であり、国際的にも間違った手法ではないと報道されています。
そうなると、国際的にここまで感染が拡大して農家やそれに携わる人や企業に多大な被害を被るのが正しい手法なのでしょうか?

そして、今日5/9未だに殺処分の日程や埋設す場所もなにも聞いてこない連絡もない役所の口蹄疫対策本部に、父が連絡を入れたところそのずさんな対応に驚愕しました。

父「 いつ殺処分にこられるのでしょうか?」

対策本部担当者「 明後日には、、、 」

父「 そんなに遅くにこられては、まだ口蹄疫が発症していない農家に被害が及ぶじゃないですか、ウィルスはいまでも飛散しているんですよ?」

対策本部担当者 「その、ウィルスを出さないようにするのは、その農場の責任だ」

父「うちでは、ウィルスが入らないように最善の努力はした、それでも入ったということは飛散しないように消毒をしてもウィルスは飛散すると言うことでしょう? 夜には私どもだって寝ます。その間にもウィルスは飛散してるでしょ?」

対策部担当者 「そうですね、、、、、、」

こんな状態です、法的に殺処分を定められている非常に感染力が強いウィルスなのにも関わらず、未だに殺処分されない現状
これはもはや、意図的にウィルスを拡大させてると思わざるえないのではないでしょうか?

また、5/1に経済連原種豚センター川南市場で、口蹄疫が発生しました。
これは豚感染2例目ではなかったでしょうか?
殺処分は5/1から処分開始されて、当日もしくは5/2には完了して、埋設されているはずでしたが、しかし実態は5/8に、はじめて埋め戻しをしていました、殺処分されてから5/8まで、埋設場所に穴を掘り、そこに殺処分された豚などを放置し腐敗がした状態で埋設したのです

そして、そこの場長が言った言葉が「早く埋めてくれ、ウィルスがいるから」と、、、、
なぜ、すぐに埋設せずに5~6日間も放置したのでしょうか?
その間、GWでも堪能していたのでしょうか?

最後にもう一度、この状況ではまるで、県もしくは国単位で、川南の畜産を意図的に潰してるとしか思えません。
どうか、このことを報道して、二度とこのようなことが無いようにして欲しいと願うばかりです。

[第2信]

昨日、メールいたしました口蹄疫44例目農場の者です。
5/9 午前10:30頃に、対策本部の方から殺処分時の埋設場所についての打合せ来ました。
幸いにも、私どもには埋設場所になる畑がありましたので、そこを提示させていただきました。
その話し合いの中で、なぜこのように対応に遅れが生じてしまうのか、または今までの発生農場での現状を知りうることが出来ましたので
ここに記載させていただき、幅広く皆様にこの現状を知っていただきたいと思います。

①:殺処分する前に、埋設場所の確認をとる

②:埋設場所があれば、そこの近隣住民の理解を得て掘削に取りかかる

③:殺処分開始

④:殺処分された家畜を埋設場所に適切な処理をして運搬・埋設

⑤:農場内全てを消毒をする埋設場所の写真2

上記にあげたのが大まかな流れなのですが、まず①でつまずくのが多いと担当者が疲労の顔を浮かべながら語っていました。
そうです、埋設場所がなければ殺処分できず、その農場は現状では殺処分は後回しになってしまっているのです。
そして、次に問題なのは③の殺処分です、この殺処分にかかわる薬品及び行為は薬事法により獣医師資格者以外が行うことを
法律で禁じているのにもかかわらず、獣医師の人手不足により、5/10現在までに確認されている、6万5000頭の殺処分対象の約1/6しか
いまだに殺処分されていないという驚愕の事実
でした。
県知事が農林水産省大臣に人員確保の要請をし、来た人員ですら足りず、今居る人員をフル活動させても川南全体で一日に1~2000頭を処理
出来るか出来ないかと言う事実
を聞き、私を含め父や母は驚きました。
自衛隊を派遣しましたが、あくまで自衛隊は殺処分された家畜の運搬作業にしか従事できないのです、殺処分は法律で資格なきものは出来ないのですから。
ここまでくると、現場の獣医師たちの疲労はピークを越え殺処分数も次第に1000から900,800と落ちていくことでしょう
県も必死で対応しているのですが人員を他県に直接応援は出来ないと、政府から指示が無いと出来ないとも言っていました。
このような現場の声をきかず、上はマニュアル通りの指示しかしないのでしょうか。
昔、人気のドラマの映画があったことを思い出します、主人公が現場の声を聞かずに無茶苦茶な指示を出す上層部に一括した言葉を
「 事件は会議室で起きてるんじゃない、現場でおきているんだ 」
報道陣もぜひ現場にカメラをいれて報道していただきたい、この現状を

我が家では、日に日に口蹄疫の症状をだす豚が増えてきてます。足の蹄の付け根から血を流し痛さに鳴く母豚、蹄が根本からただれ落ちて生爪状態になって痛くて立てない肥育豚
鼻の周りには水泡だらけになり、それが潰れて血が流れながらも、空腹にたえられず餌を体を震わせながら食べ様、また生まれたばかりの子豚が突然死していく様をみるのは正直辛い
です。

口蹄疫が発症してからというもの、父は今まで抑えていた餌の量を以前の量に戻して、「殺処分されるのは分かってる、でも最後までおいしい餌をおなか一杯食べさせてあげたい」と
やはり悲しげな顔でやり続けています。


私は、薬事法も防疫に関しても専門的な知識も教育も受けていません、ですがこのままでは確実に口蹄疫は川南をこえ宮崎全土にそして他県に広がるのでははいでしょうか?
政府は何をしているのでしょうか?もしかして都濃・川南の全畜産関係者を使った災害シミュレーションでもやっているのではないでしょうか?
なぜ、報道されず政府も動かずなのか
疑問でならない。

人に発症しない伝染病だから関係ない、とでも思っているのだろうか。
事が終わって、保証金を積めばいい話とでも思っているのだろうか。
 

[第3信]

みなさん、こんにちはこのメールを送るようになって3通目になりました。
口蹄疫発生44例目農場の者です。

5/11午前10:00、私どもの提示した埋設場所に重機が来て、掘削が始まりました。
口蹄疫発見時の、5/7をいれて5日目です。
私どもの農場近辺の養豚施設ではすでに口蹄疫に感染し、その埋設のための掘削作業をする重機の轟音がここ数日鳴り響いてます。
未だ、作られた原稿を読むだけの報道しかされない現状で私は、現場に居るまさに目の前で起こっている事をみなさまに伝えなくては
いけないのではないかと思う毎日であります。

5/11午前10:00、重機のオペレーター1名と掘削指示をする対策本部の方2名がこられ埋設場所で試掘から始まりました。

試掘とは?と思う方もいるでしょう、試掘とは埋設場所はあるけども、掘削していくうちに地下水などの水が湧き出てこないかと確認
するためのものです。
掘削幅6m 地表から深さ4mもの巨大な穴を掘るわけですから、水が出てくる可能性もあります、もしそうした場合はその場所には
埋設できないのです。

豚の写真2埋設場所があるけど、水が出てきて埋設できないといった畜産業の方々が多いのも事実です、昨日メールした内容にも書きましたが、
埋設場所が無い農場の家畜は、殺処分されず放置されている状態です。

試掘の結果、水の湧き出る様子もなく本格的に掘削可能と判断され今現在、掘削をしています。
その作業の間、掘削を指示する方と私の父が少し口論となりましたので、その内容を記したいと思います。

父は昔気質な人で、「遅い事は誰でも出来る」が口癖の人で仕事は手早くするの人でした。
私もそんな父に育てられ、父までとは言いませんが仕事は手早く正確にを心がけるようになりました。

ですが、掘削指示の方々は小走りに動きもせず歩きながら作業をするばかり、それを見た父は激怒し担当の方に言い寄った次第であります。
私も、怒りを覚えました。
一刻でも早く、埋設しなければ行けない状況で、本部からの人間はどこ吹く風と言わんばかりの仕事の仕方にです。

しかし、ここは大人の対応をと思い、怒りを抑え、父を抑え、担当に聞きました。

「あの、一つ聞きます。 現場はここだけではないですよね? この現場の指示などを早くすませて、他の現場の指示などをしたほうがいいでしょう?」と

そして帰ってきた答えは、、、、

「それは分かっています。ですけど他の農場などは埋設場所がないし、殺処分の日程も決まってないし、急いでも意味がないでしょう?」

驚愕です。

何も言葉が出ませんでした。

埋設場所がないから、ここの現場をゆっくりしても問題は無いでしょう?とこんな事ですよ現場は、自分の言われた事をそれだけやってればいい、

こんな状況になったら、普通は他に埋設場所になる候補地は無いのか?他にやることはないのか?と探すのが普通ではないでしょうか?

こんな考えで対策本部、または殺処分の現場が動いてるとしたらこれはもはや口蹄疫の感染を止める事は出来ないでしょう。

「今日中に、この農場は殺処分できなから今日はここまででいいかぁ」 などとやってるのでしょうか?

断じて、そのようなことは無いと信じたい、現場で頑張っておられる獣医師の方々や要請に応じてくれた自衛隊の方々、または民間企業よりきて下さってる
重機作業員の方々がどれだけ必死になって作業しているか私は感じております。

しかし、本部内部では対岸の火事または迷惑な話だという態度で仕事をしている人も少なからず居ると感じた瞬間でした。

埋設場所の問題で一言、言いたいことがある。

5/10、初めて農林水産省大臣が県に訪れ、宮崎市内のホテルにて生産者団体との会談が行われました。

その中で、埋設場所がなく、国有林を提供していただきたいとの意見が出た時に、大臣の返答が

国有林に埋却したいと言うのでことなら県を通して上げてもらえばすぐ出来る」と、、、、おかしくは無いだろうか?

ここまで感染拡大をしていてる最中、大臣に直接、要望を出しているにもかかわらず、県を通さなければ出来ないと言う現実が

なぜ、そのばで大臣権限をもって国有林の提供にならないのか?

私には、人に自慢するほどの学力も学歴もありません、そんな私には到底わかり得ない複雑な手続きがいるのだよ、と言うのでしょうか?

ですが、そんな問題ではすまされない状況では無いのでしょうか?

私の常識が一般の方とずれているのでしょうか?

現場とそれを管轄する上との温度差はあまりにも激しいものがあると思います

埋設場所の写真1今日より、写真を添付させていただきたいと思います。

写真は今日より、掘削作業に入った現場の風景と、現在の父の経営する養豚場の風景です。

掘削風景の写真では、埋設する穴を見つめる父が写っております。

その背中はやはり、どこか寂しげです。

養豚場の風景は、口蹄疫の症状がでて、立てなくなった母豚に寄り添う子豚が移っております。

写真に写っている子豚は、発症はしていません、ですがこれも殺処分対象なのです。

そんな風景を毎日みながら殺処分を待つ気持ちを少しでもご理解いただけたらと思います。

なお、添付します写真についてはメールを送ったサイト様の判断で公開するかしないかはお任せいたします  【47NEWS】 http://www.47news.jp/feature/topics/2010/05/post_146.html

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宮崎県口蹄疫事件その3 感染拡大してから、補償の話をしても遅い

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赤松広隆という人は致命的にこの状況を理解していないのではないかと思います。ようやく10日になって宮崎県に入りました。口蹄疫が発生が公式に確認されたのが4月20日ですから、遅れることなんと20日ということになります。

今から10日前の4月30日の時点で、移動・搬出制限区域を宮崎、鹿児島、熊本、大分の4県に拡大し、そして現時点で殺処分の牛豚は7万6852頭(5月11日現在)にも達しています。

本来ならば、赤松大臣は対策本部長として遅くとも発生1週間以内、出来るならば3日以内に現地入りして、宮崎県と協議に入り、緊急支援策をとりまとめるべきでした。そして国庫から補正予算を組んで緊急支援対策費をひねり出し、当座の緊急支援対策費として100億円単位の予算を一気に投入すべきでした。これは一見大変な額のようですが、半年後になれば10分1以下の支出で済んだことがわかるはずです。

なによりもこれによって自治体や農家をパニックと失望から落ち着かせることができます。この心理的な効果は絶大です。いわば、「ちゃんと国は君らを支えるから」という心理的メッセージなのです。2000年時の同様な発生が小規模で落ち着いたのは、この初期の緊急支援策が有効だったからです。

しかし今回のような対策予算の逐次投入は、口蹄疫という極度の感染スピードに追いつけません。予算設定から執行までのタイムラグがありすぎるからです。執行主体に自由裁量権も与えねばなりません。1週間が勝負という口蹄疫との戦いにおいては、そのような裁可を仰ぐ時間など不可能なのですから。

政府は宮崎県に、このような性質の100億円単位の予算を4月一杯に出すべきでした。しかし、政府が与えたのは4月23日に家畜疾病経営維持資金融資枠を20億円から100億円に拡大するとしただけにとどまります。その時、赤松農相は「これ以上病気を広げないための防疫措置と、畜産農家への経済支援など、あらゆることをやっていきたい」と言ったそうです。

必要なことは経営維持資金といった事後のことではなく、今、目前に燃え盛っている業火を消し止めるための緊急防疫対策費なのにもかかわらず!

また、自衛隊の出動も重要です。というのは、優に7万頭を超える大型の患畜(病気にかかった家畜のこと)の殺処分、埋葬、畜舎の消毒、移動制限区域の設定と維持が緊急に必要だからです。ところが県レベルでは、どのように動員してもせいぜいが400人体制ではないでしょうか。

たぶん家畜保健衛生所は休日もないフル動員体制に入っており、九州各県を中心として全国から大動員をかけて支援体制を組んでいるはずです。また各地の県農政事務所も同様のシフトを敷いているはずです。
しかしこのシフトは長続きません。いわば「平時」の体制を無理やり拡大して非常時対応させているからです。続くとそのように出来ていない平時の行政組織では、参ってしまいます。

今回の場合、宮崎県は国の判断が遅れたために5月1日、県知事の権限で可能な災害派遣要請を陸自都城駐屯地の第43普連に出しました。現在、100名の自衛隊員が緊急に派遣され、埋却作業などに関わっています。

しかし、政府は県の災害派遣要請から遅れること1週間後の5月7日になってから、平野博文官房長官は閣議後の記者会見で「自衛隊についても足りなければさらに追加出動を北沢俊美防衛相に要請しなければいけない」と周回遅れのことを言っています。

まぁ平野さんはそれでなくとも普天間で頭が一杯だったんでしょうが自業自得ですが)。ちなみに、もはやどうでもいいですが、逃亡した赤松さんの農水大臣代理はこともあろうに福島瑞穂さんで、もう考えるまでもありません。

世界常識一般からいえば、2001年にあった英国の口蹄疫事件においては、英国が軍隊出動が遅れたことに対して国際機関の批判がされました。大規模畜産伝染病に、軍隊を投入するのは当然なのです。同様に、たぶん今後だされるFAOやQIEの報告書で、日本政府は初動制圧の失敗と自衛隊の派遣の遅れを批判されると思われます。

このことについて、私は5年前の茨城県トリインフル大発生事件の当事者でしたから、皮膚感覚で理解できます。あの時は、560万羽が殺処分となり、県南、県央、県北の多くの地域が移動禁止区域となりました。これも戦後史上最大規模の畜産災害でした。

当時は夏であったために、防護服、マスク、ゴーグル着用しての殺処分は苛烈を究め、家畜保健衛生所の職員は過労の為にバタバタと倒れていったそうです。しかし、現場にしがみつくようにして、死臭で食べ物が喉を通らないのを無理やり詰め込むようにして、まさに血反吐を吐くようにしてこの困難な防疫をやり遂げたのです。

途中から、応援の消防団、建築会社、自治体職員、そしてなによりも強力な助っ人であった自衛隊員も参加し、延べ数万人を超える防疫作戦をやり切ったのです。私はあの炎天下に、自らに感染する危険を顧みず戦い抜いた人たちに心からの敬意を表します。彼らこそ名を刻まれることのない英雄でした。

ちなみに自衛隊は、このような伝染病の修羅場において大変に優秀でした。まず、組織だって訓練されているだけではなく、食事、給水、重機などの機材、輸送手段に至るまですべて自前で完結しているために、迎い入れる現地は受け入れ準備がなにも要らないのです。一方、他県の行政がらみの支援者ではこうはいきません。宿、食事、交通手段まですべてを地元行政が準備せねばなりません。

自衛隊は防疫関係者をして、そこまで張り切るなよとまで言わしめたほどの高い献身性を発揮し、地元に感謝されました。彼らが疲れ切って帰っていく夕方、彼らのトラックの車列に深々と頭を下げた地元の人々がいたことを覚えています。

さて一方、地元の畜産農家は、殺処分にかかった農家は一挙に1年間分の所得を失いました。というのは、単に死んだ家畜の数だけの損害ではなく、それが生みだすはずであった利益が消し飛んだからです。通常家畜はいくつものロットに分けられていますが、このような強力な伝染病においては、もっとも若い育成期間中のものから、出荷寸前の仕上がり段階まで一気にすべてが殺処分対象となります。

ありうべき来月からの収入が消滅し、これに続く複数ロットもまた処分されたために、その先約1年間は出荷する家畜がなくなる、言い換えれば所得がゼロになるばかりか、急遽入れた代替えの育成用家畜の餌代、管理費などが積み重なるという非常事態となったわけです

要するに、畜産農家は所得は1年間は見込めないが、経費は積み重なるというゼロどころかマイナスの累積をせねばならなくなったのでした。いままで多くの家畜伝染病において自殺する人が絶えませんでした。今回の宮崎県で自殺者が出ないことを祈ります。

私はこの5年前の茨城トリインフル事件を「茨城トリインフル戦争」と名付けました。まさに伝染病という悪魔と人間との総力をあげた戦争そのものなのです

赤松大臣にはこの「総力を上げた伝染病との戦争」という意識が欠落しています。ですから「一部報道では対応が遅いと言われているが心外だ。できることはすべてやっている」(宮崎日日新聞5月10日))などというとぼけたことがいえるのです。

7日現地入りした小沢一郎幹事長は、「大変大きな県の課題」という表現で、責任を県行政にすり替えるような逃げを打っています。次回にお話しますが、2週間たてば自然治癒してしまうような死亡率が低い口蹄疫を、なぜ殺処分せねばならないのかはQIE(国際獣疫事務局)などの国際防疫協定によって決められているからです。

これは国が批准しているもので、あたりまえですが県が批准しているものではない以上、トリインフルや口蹄疫の防疫に伴う殺処分とその被害の回復はすべて国に責任の所在があるといえます。第一、宮崎県は既に緊急予算を300億円以上も出費しており、もう鼻血も出やしません。

それにしてもこのような大規模家畜伝染病が、政府の体をなしていない政権時に起きてしまったのは悲劇でした。

■資料

農水相、全額補償を表明 処分対象6万匹超の口蹄疫
                     
5月10日 産経ウェブ

宮崎県で家畜感染症の口蹄疫被害が拡大していることを受け、赤松広隆農林水産相は10日、宮崎県庁で東国原英夫知事と会談し、感染拡大防止などのために家畜を処分された農家に対し、全額補償を実施すると表明した。

 現在、家畜処分への補償は評価額の8割とされているが、農水相は会談で「(当面は)県が残りを措置し、後で国がやる。事実上の5分の5(の補償)だ」と強調した。

 同県で4月下旬からこれまでに、牛や豚の感染疑いが見つかった農家や施設は計56カ所。処分対象は6万匹を超えており、国内で過去最悪の被害規模になっている。

 また農水相は、家畜の埋設処分の場所として国有地を提供するほか、防疫態勢を確保するため獣医師を倍増させ、九州農政局からの人員派遣を現在の10人から100人まで増やすことなども打ち出した。農家に対する生活支援については「検討したい」と述べた。

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春のテントウ虫の冒険、あらよっ、こらさっと!

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ある春うららの農場の朝、テントウムシの曲芸的冒険をみていただきましょう。まずはホトケノザの大木にえいこらさ。しかし、何しに登ってるんだろうね。

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葉っぱの大テーブルに乗っかってヤレ;うれしや。いい景色。と思ったら。これが不安定でやんの。おっとと。弁当を食べて、ヤッホーを言う暇もなく、たちまちアクロバットをするはめに。

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あらら・・・。シュワッチ。短足ですが健気にしっかりしがみついております。見ているほうは面白いんですが、でも落ちたら・・・ぜんぜん平気。だって羽があるもん。なら、初めから羽で飛んでこいよ、と思うのはあさはか。「非常際使用のこと」ていどなもんでブンブン飛ぶもんじゃないようです。

しかし男テントウムシ(←性別未確認)そう簡単に落ちてはならぬ。勢いをつけて隣にエイヤっとのり移ります。いやホントはズルズルとですが。

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この後、このヒョロヒョロの草を降りて行ったのであります。ま、そこにあったから登って降りただけか。短い人生、こんなことに使っていいのかぁ。あ、余計なお世話でしたか。

私にはこの無為な行為に短い人生を費やすテントウムシに哲人の相貌をみたのであります。

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宮崎県口蹄疫事件その2  初期防疫の人災的失敗

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仰天しました。どうかしているとしか言いようがありません。本日は前回書いたとおりあまり政治絡みにしたくなかったのですが、ここまでボケが進行すると、額に手を当てたくなります。

・・・赤松大臣ドノ、あんた正気か?あんた自分がなんの大臣なのか分かっているのか?今宮崎で何が起きているのかちゃんと把握しているのか?・・・

この赤松大臣、現場指揮から逃亡し、閣僚懇にも欠席し、ようやく帰ってきたと思ったら、その足で真っ先に指揮をとるべき宮崎口蹄疫対策に乗り出すどころか、佐野市の民主党議員の選挙応援に行ってしまったんだとか・・・!絶句。
会場のアナウンス、「赤松大臣が帰国の便を早めて帰国後直接にこの会場に駆けつけて頂きましたぁ!」・・・だそうです。駆けつける場所が違うだろうって。

たぶんこの人、まったく口蹄疫のイロハがわかってないんじゃないかしら。農水官僚は何も教えていないとしか思えません。というかきっと「政治主導」とやらで聞く耳を持たなかったのでしょう。

時系列で見てみましょう。なぜ日単位の時系列で見るのかは、口蹄疫の際立った特徴が三つあるからです。
①異常に早い感染力と感染速度。
②治療薬がない。また予防ワクチンが設定されていない。
③防疫方法は殺処分しか現状では認められていない。

これら三点の口蹄疫の特徴があるため、いったん初期防疫に失敗した場合、燎原の火のように燃え尽きるものがなくなるまで燃え盛ります人間はこの燃え盛る疫病に対して、いわば破壊消防のように高価な和牛や豚を殺処分、つまり殺して防ぐしか方法はなくなります

おわかりでしょうか。いったん初期防疫に失敗すれば黒々と壁のような津波があっさりと堤防を乗り越え、家畜と人々を苦海に飲み込むのです。これが今の宮崎県の畜産を包む状況です。時系列を巻き戻しましょう。

3月31日。 都農(つの)町の農家で水牛3頭に下痢の症状があり、動物衛生研究所海外病研究施設(東京都小平市)で遺伝子検査を行い、陽性と判明しました。川南町では22日、農家から役場を通じてよだれや発熱の症状を示す牛がいると、宮崎家畜保健衛生所(宮崎市)に連絡があった。3頭に症状がみられ、うち1頭が陽性でした。つまり、微弱な感染が3月中旬頃から見られていたのです。

4月9日。口に水泡がある牛を獣医師が発見。 

4月17日。更に2頭発見。

4月20日。口蹄疫が10年ぶりに宮崎県で発生したことが報告されました。この時点で、自動的にQIE(国際獣疫事務局)の取り決めに従い、国産牛肉の輸出は禁輸になりました。これでこの禁が解けるまで、一切の国産牛肉は輸出が不可能となりました。大変な打撃です。

●同日。疑似患畜の確認を受けて、感染が拡大されていることを農水省は確認しています。

●同日。赤松大臣は「消毒液が現場で不足している」旨を宮崎県選出の外山いつき議員から陳情されます。

4月21日。本来この時点であるべき政府・農水省からの指示や支援策が現地に来ないことで、宮崎県はパニックになります。現地が備蓄している消毒薬には、当座のものしかなく限界があるからです。そこで組合が融通し合って消毒液を拠出し合うという異常事態になりました。

4月22日。農水山田福大臣「限度場の状況を初めて聞いた」と発言します。これは外山議員の陳情が伝わっていない政府内部の連絡のなさと、指揮するべき大臣、副大臣が現状をまったく把握していないことを語っています。

4月25日。殺処分の処分対象1000頭を突破。過去の2000年時をはるかに凌ぐ最大規模になることが明らかになります。この時点で初動制圧は失敗していることがわかります。
本来はここの時点までに、資金とマンパワーを一挙に投入して一気に沈火
せねばならないのです。殺処分対象が1000頭となったということは、ネズミ算的に感染が拡大していることをしめしているからです。

4月27日。東国原知事が上京し赤松農水大臣と自民党谷垣総裁に陳情。自民党は、翌日自民党口蹄疫対策本部を立ち上げます。対策本部長は谷垣総裁。かつての2000年時の政府トップが本部長に座り指揮する伝統的布陣を取ります。
ちなみに、鳩山首相は政府対策本部の指揮官にもなることもなく、5月1日に近隣の水俣病慰霊祭に出席していますが、この宮崎県口蹄疫についてはなんの発言もありませんでした。色紙には「友愛いぐさ」と書いたとか。もう怒る気にもなりません。

4月28日。農水省は川南町の県畜産試験場の豚5頭に感染の疑いがあると発表。同試験場の豚486頭が殺処分されることになった。牛感染が豚にも共有して感染していることが確認される。牛にとどまらず、豚にまで共通感染していって拡大の一途であるという悪夢の事態になったことが明らかになります。自民党対策本部谷垣氏、現地視察。

同日。国連食糧農業機関(FAO)は28日付けで日本での口蹄疫の集団発生を国際的に通知し、国際的には報道されました。

4月29日。谷垣氏に遅れて山田副大臣がようやく発生から1週間後、宮崎視察。現地には行かないことが論議となる。このあたりは複雑で、副大臣に伴うマスコミなどが現地に来ると感染が拡大するというのも事実です。山田さんは、珍しく北海道で農業を現場で知っている人なので、危機感はあったと思います。

4月30日。自民党口蹄疫対策本部が42項目を政府に要請。赤松大臣に会見を要求するも断られる。赤松大臣、カリブ海へと外遊の旅に出発。
正気の沙汰ではありません。このようなことを指揮官前線逃亡といいます。大火災を前にして戦っている消防の指揮官が、「あ、オレ、ゴールデン・ウィークなんでカリブ海に行ってくるわ」と逃げてしまったというわけです。これが軍隊ならどこの国でも死刑です。

●同日。民主党事業仕分けにより、口蹄疫被害を受けた畜産農家に融資を行う役割の中央畜産会が仕分けられる。たぶん前々から仕分けることにしていたのでしょうが、よりにもよってこの時期にぶつけなくとも。これにより緊急の非政府関係の被害支援は不可能になってしまいました。これも政府与党内部の統一された意志の欠如という民主党特有のの症状です。

●同日。移動・搬出制限区域を宮崎・鹿児島・熊本・大分の4県に拡大。

5月1日。宮崎県知事、自衛隊に災害出動を要請。もはや前代未聞の激甚災害となりました。

まさにもっとも大事な3日、いや負けても1週間という貴重な時間を政府は空費しています。赤松大臣には口蹄疫に対する対処は速度が第一という鉄の法則を知らなかったとみえます。

赤松大臣、5月8日時点で、6万頭が殺処分となりそうな気配です。もはやすべてが手遅れです。火が乾いた原っぱをなめつくしているそのときに平気で外遊してしまい、ようやく帰ってきてみたら真っ先に選挙応援に駆けつけてしまうあなたの感性を疑います。

まさに農民や国民などあなたの視野のどこにもない、選挙大事の腐り切った永田町どぶ泥政治そのものです。今更宮崎県に行ってもなんの役にもたちません。辞任しなさい。あなたには農林大臣の資格がありません。今やそれがいちばんの国民への貢献です。

■追加資料 宮崎日日新聞  2010年05月09日

「あんな鳴き声初めて」処分農家ら叫び悲痛

 「ついにうちでも」「一般車両も消毒を受けて」。口蹄疫の感染疑いが確認された農場の約9割が集中する川南町で“見えない敵”との戦いに神経をすり減らす畜産農家らが8日、宮崎日日新聞社の電話取材に応じ、感染への恐怖や殺処分の精神的苦痛を口々に訴えた。

 そうした声の一方で、外遊から帰国後、10日の来県を決めた赤松広隆農林水産相には「今更どんな顔で来るのか」と怒りの声も上がった。

 「注射を打たれた豚は鳴くんです。あんな鳴き声を聞くのは初めてで、胸が詰まった」。感染疑いの豚が確認された養豚農場に勤める30代男性は、殺処分の様子を切々と語った。今も畜舎の防疫作業は続くが、「(何も生み出さない仕事を続けるのは)むなしい」と話す。

 別の養豚農場では埋却場所の選定が遅れ、殺処分が始まっていない。補償を受けるには1頭ずつ評価を受ける必要があり、それまでは豚を生かし続けなければいけない。30代経営者男性は「処分されると分かって飼い続けている。今は餌を食べられるだけ食べさせてあげたい。味わったことのない気持ちだ」とつぶやいた
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=25894&catid=74&blogid=13

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宮崎県口蹄疫事件その1 口蹄疫は殺処分しか方法がないのか?

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口蹄疫感染による殺処分対象が4万5千頭にものぼりつつあります。やれやれですな。一部では「日本畜産業壊滅!」などという声すら上がっています。うーん、これも困ったリアクションなんだなぁ、正直言って。

心配していただいているお気持ちはありがたいのですが、畜産屋としてはあんまりテンション上げて煽らないで欲しいんだな。その理由は前回お話しましたよね。風評被害というのは、実際の感染被害以上に二次災害として深刻なんです。

それと政局絡みはやめにしませんか。もちろん今回は民主党政府のあまりにツーレイト、ツーリトル、おまけに指揮官カリブ海へと逃亡では、お話にもならない。途中で帰って来るくらいのパーフォーマンスみせてくれねばやれん。

いみじくも、かの小沢一郎自身が一昨年でしたか、大連立を執行部に否決された時に言っていたじゃないですか。「民主党には政権担当能力はない」(爆笑)。わかってたらやるなよ。国民、迷惑だから。

毎度のことながら枕が長くなりました。で今回、私はやや違った角度から今回の宮崎県口蹄疫事件を見ることにします。どうしてこんなに大量に殺処分、つまりは殺さねばならなかったのか、です。

そしてもうひとつ、誤解を恐れずに言えばですが、口蹄疫ってたいした病気じゃないんですよ

こんなことを私が言うのは、業界内と業界外の受け止め方がかなり違うんです。今回の事件をみていると、なんか畜産界の外の人は大変な誤解をしているんじゃないかという気がしてきました。つまりイメージとして、バタバタ牛豚が折り重なって死んでいるってかんじじゃないですか。それも死ぬも死んだり4万5千頭。屍の山。

ん~ですかね。畜産業界に生きる人にとって、参ったな、なんであんなチンケな病気でうちの牛豚が殺されにゃあならんのだ、というのが本音じゃないでしょうか

そう、意外かもしれないですか、口蹄疫は死亡率は非常に低いのですよ。Wikipediaから引用します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB

「一般的には、感染すると発熱、元気消失、多量のよだれなどがみられ、舌や口中、蹄(ひづめ)の付け根などの皮膚の軟らかい部位に水泡が形成され、それが破裂して傷口になる(但し、水疱が形成されないケースも報告されている)。「口蹄疫」という病名はこれに由来する」

そして続けてこうあります。

「患畜がウイルスの感染そのもので死亡する率は低いが、水疱が破裂した際の傷の痛み(細菌によるその後の二次感染も含む)で摂食や歩行が阻害され、体力を消耗する

ね、カッタルイ専門的表現ですが、即死ぬって病気じゃないんですよ。摂食量の低下に伴う乳量の低下とは、要は「腹がへんないで、乳の出もよくないっすよ」と牛が言っているだけの話でしてね。

そこで、牛屋のオヤジが調べたらヒズメの付け根に水泡があったり、口や舌にも水泡があったと。同じ畜舎にいる連中も皆んな同じで、ヒズメと口にブツブツがある。これが獣医に見せたら、なんと口蹄疫!

ガビコーン(←古いね)ってなもんです。家畜にとっても人間サマにとっても。だってこの瞬間、口蹄疫という法定伝染病と認定されて、この牛豚と畜産農家の運命は決まったも同然だからです。

しかし口蹄疫は確かに感染力は強いのですが自然治癒しちゃうんですそんなていどの病気なのです。だから私は前回の記事でも「騒がないでくれ」と書きました。人獣共通感染症であるH5N1トリインフルのようなヤバイものではないのです。

それを全部、うーもスーもなくすべて殺すという今の防疫方針にも問題があると私は思っています。

長くなりそうです。このテーマもう少し続けます。

■追記 サブタイトルは当初「あえて問う、口蹄疫はたいした病気ではない」でしたが、コメントをいただきまして、誤解をうける可能性があることに気がつきました。

私が問題としたいのは次回に詳しく展開しますが、殺処分を中心とする防疫方法と、その発想の大本にある「清浄国」思想です。私はここをテーマにしたいのですが、その前段で「経済的には被害があるはずだ」というコメント氏のおっしゃるような誤解をうけるのは避けたいと思い、表記に差し替えました。

コメント氏様。私は現場を持つ畜産農家ですので、経済的ダメージは百も承知です。ただ、殺処分とした場合の、経営の壊滅的打撃や、ブランド品種系統から根こそぎにされてしまう地域経済の壊滅的結果と相対的にどちらが大きいのかを問うています。詳述は次回で行いますので、それをご覧ください。
                                     

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なぜ、宮崎県口蹄疫の報道が少ないのか?

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現役の畜産家として今ネットで伝播されている口蹄疫感染について、「なぜ報道が少ないのか。政府による報道管制ではないか」という疑問に答えてたいと思います。たしかに非常にもっともな疑問です。

普天間問題にかき消されたと怒っている方もいるようですが、これは次元の違う問題を一緒にしています。普天間問題は今や、単なる政局や国の安全保障場の問題だけではなく、「国のあり方」まで問う問題にまで発展しつつあります。一緒にしちゃいかんでしょう。

ではたぶん報道が「少ない」と思われるのは新型トリインフルエンザと比較されているからではないでしょうか。トリインフルH5N1型は人獣共通感染症といって、トリの感染症がヒトにも感染してしまいます。いや、まったく掟破りですな。

この掟破りの新型インフルに対して、まっとうな免疫機能がアウトになりますから、人間はタミフルとリエンザというふたつの薬品に頼るしかなくなるわけです。新たな人類の脅威といっていいでしょう。しかも、悪質なことには、感染性もH1という「極悪」区分けに示されているように強い感染力を持っています。だからすこぶるタチが悪い。

しかし、今回の口蹄疫は、牛と豚という別の種にまたがっていますが、口疫という名称にあるように、要するにヒズメがある動物共通に感染していくタイプのウイルスです。ヒト感染はありえません安心して下さい。新型インフルとはそもそも違うのです。

確かに4月20日の時点で、日本産牛肉は輸出禁止となりました。これはヒトに対する脅威のためではなく、あくまでも家畜の感染症を外国に持ち出さない国際時な取り決めに基づいた禁輸措置です。

では、「なんで報道が少ないのだろうか」という問題に戻るとしましょうか。理由は簡単です。風評被害を懸念しているからです。マスコミは今回、明らかにその配慮をしています。

宮崎県には「宮崎牛」や「はまゆうポーク」などといった優れたブランド畜産物があります。これらの優秀な系統を保持することは大変なことで、長い時間と手間、コストがかかっています。

報道が抑制されているのは、決して政府が自分の無策を隠蔽するためではなく(確かに大いに無策ではありますが)、これらの商品は既に大量に出荷されていて、これに対しての消費者の「食べたら病気になっちゃうの」みたいな忌避感を起こしたくないのだと思われます。いわゆる「風評被害」に対しての配慮です。

私自身かつての東海村原子力燃料会社の核事故(←スゴイね。でもホント)による広域の核物質汚染の時にさんざっんぱらやられました。私の村には核物質は降らなかったのですが、それでも、それをいくら証明しようと「危険な核汚染された茨城農産物」でひとくくりにされてしまいました。
■旧ログ http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-09ca.html

販売苦戦は実に10カ月ちかくに及び、いや~往生しました。ですから風評被害のスゴサは身に沁みています。近年では前回書いたメガ級の茨城トリインフル事件もありました。

私たち農家が恐れるのは、故無き風評被害です。これは風評、風の噂というくらいに根も葉もなくとも、消費者は「病気が出ているようなところのものは買いたくないわよね」という判断をします。例えば感染症が出ているA産地ブランドと、出てないB産地ブランドを売り場で瞬間的に選別するとしたら、あなたならどうします?

A産地ブランドは、実は質が良くても買われないかもしれません。かつての茨城産農畜産物、今の宮崎産がそれにあたります。ですから今、宮崎県知事の東国原さんや宮崎県の畜産家は複雑な心境もあると思いますよ。

東国原知事は、いままでさんざん広告塔になって「宮崎県産のセールスマン」となって宮崎農産物を売り込んできた努力が、一夜にしてパーになりかねません。大声で政府の対応の遅さをなじりたいでしょうが、それも今後のGW以降の展開を考えると出来ないのかもしれません。小沢一郎も来るそうですしね。

大声で叫べば叫ぶほど、自分のところの農畜産物がアブナイと言っているようなもんですから皮肉にも知事や農家にとって報道が普天間一色だったのはかえってありがたかった側面もあったと思います

これが私の2度に渡って巨大風評被害に翻弄された産地の農家の実感です。緊急に対策は立ててくれ、しかし騒がないでくれ、こりゃ無理な注文ですかね。しかしこのアンビバレンツなのが現場の心境なんですよ。

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宮崎県に口蹄疫大発生!  政府はひとつの県の畜産が壊滅寸前なのに、暢気を決め込む

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晴天が続いたので、村中がこんなに農家っていたのねとびっくりするほど田んぼに畑にわらわらと同業者であふれています。まぁ、経営も苦しいし、国の先ゆきも見えないけど、なんか五月晴れの下で働けるだけで嬉しいもんです。

要するに、農家なんかたわいないもんなんです。晴れが続いて、できたら雨もテキトーに降っていただいて、季節の暦どおりに温度が進行すればゴキゲンです。あ、出荷価格が高ければ、もっとゴキゲン。その上、その時に売れるものがふんだんにあればいっそうゴキゲン。

だんだん爽やかな五月晴れの話が欲深になったところで(笑)、口蹄疫(こうていえき)という陰鬱な話題を少々やらざるをえないでしょうかね。いちおう私、畜産家なものなんで。しかもトリインフルで大損害を被ったご当地ですから。

さて、口蹄疫は非常に感染性の高い家畜伝染病です。今年、東アジアでは感染が出始めていました。クロニクルにするとこんな感じです。

●1月、新彊ウイグル地区に発生し、遼寧、河北、山東、河南、広東、広西などに拡大を見せました。ウイルス・タイプはA型です。
●3月中旬になって、今度は中国の甘肅省、蘭州、臨夏などの回族(ウイグル族)自治州や天水一帯で発生しO、ウイルス・タイプはO型でした。

と、ここまではもっぱら中国の発生です。中国は防疫関係者をして「暗黒大陸」といわしめるほどのよー分からん、なんでも隠す、ひたすら隠す常習犯の国です。トリインフルの発生の時も、SARSの時もひたすら隠蔽するというのがまるで国是のようなところです。

これがどのような理由かわが国に飛び火したから大変です。

●4月20日1例目の宮崎県都農町(牛16頭)から始まり、今や5月5日の23例目川南町まで拡大を続けています。(最下段の資料参照)

■動物衛生研究所の口蹄疫関連情報はここからどうぞ。http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/FMD/index.html

■日本の口蹄疫情報はこちらから。http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/FMD/top.html

現在の日本の防疫方針は陽性になれば、症状が発症していなくともウーもスーもなく情状酌量の余地なく殺処分というのがやり方です。かくして牛豚合わせての累計2万7772頭が殺処分の対象にされました。

日本の防疫方法は世界的にもっとも強烈な方法を用いています。たとえば、私も2年前に経験したトリインフルの場合だと、発生農場はすべて症状が出ようとでまいと殺処分となります。
そして、その発生農場を中心として半径3㎞が感染拡大防止のために移動禁止となります。

この移動禁止エリアはなんと私の農場のわずか1㎞ていどまで接近していましたので、まさに首の皮一枚でした。移動禁止になると、雛の導入、あるいは出荷に関しても消毒措置をして出て行き、消毒措置を潜って帰ってくる日常生活を余儀なくされました。

トリインフルの時には、なんと自衛隊まで出動し、「災害出動」のゼッケンをつけた自衛隊車両か 行き交ったものです。夕方、駐屯地に帰って行く疲労困憊した若い自衛隊員の姿を忘れられません。

2005年5月から2006年6月の知事終結宣言までの約1年間、全国一を誇った茨城県の養鶏産業は壊滅状態となりました。この時に殺処分にされた鶏は実に560万羽に昇りました。まちがいなくわが国史上空前の被害です。
■旧ログ  茨城トリインフル戦争・第1回~4回「週間金曜日」不掲載原稿復刻す!
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/1_3417.html

今回宮崎にもその悪夢が襲いかかろうとしています。しかしなんと、現地宮崎では現場の農場で使う消毒剤すらもが不足し始めました。

東国原知事は「想像を絶する規模だ。非常事態宣言も」(共同通信)と発言しました。しかし宮崎県知事が農水大臣にいくら陳情しても、当の赤松大臣はカリブ海に外遊中で連絡すらもつかないと噂される始末です。ほんとうかどうか知りませんが。まぁそんなことはどっちでもいい。というのは、この口蹄疫という感染力が強力な家畜伝染病に対して、あまりに国の対応のまずさ、遅さがでてしまったからです。

また、国の支援がないところで唯一期待された各種畜産関係団体の関連対策費も、あの事業仕分けでバサバサにされていたことが火に油を注ぎました。関連団体の基金が払底していたからです。
特に、口蹄疫に対する支援策を事業目的とした「家畜疾病経営維持資金融通事業」が無残にもバッサリやられていたことが痛かったようです。

あの粗暴野卑で鳴る事業仕分け3GWのレンポー女史と枝野議員が、「機構として多額の基金を積む理由がわからない。時代の変化が大きい時に、基金額は全額国庫に、ハイ、編入」として切り捨てたためです。

つまり、このような時に頼りになる関連団体の口蹄疫関連基金がスッカラカンだったのです。ほんとうに無知ほど恐ろしいものはない。畜産も防疫のなにかを知らない人たちが、権力をカサに着てやったことのツケ、つまりは人災です。

ところで、実はわが国は何度か口蹄疫をやっています。1回目は1908年で、2回目は2000年です。前回の2000年発生時は森内閣時は、緊急対策を速やかに立てました。内閣は発生直後、対策費100億円を拠出することを決定し、防疫対策費用から殺殺処分された家畜の補償費などに至るまでの緊急措置をしました。

結果、2000年においては感染3例、殺処分された家畜760頭、そして2ヶ月で収束しました。まぁ、これがフツーの国の防疫政策ってもんですよね。長年馴れ親しんだ「自民党の悪政」下も、彼らはやることはちゃんとやっていた、だから腐っても政権維持していたのでしょうね。

ところが、今回はズルズルと感染拡大をもたらして実に23例、殺処分実に約3万頭に迫るまで感染拡大を許してしまいました。もちろん現地の家畜保健衛生所は、連休など返上しての死に物狂いなのでしょうが、肝心の最高指揮官たる赤松大臣が発生後7日めに国外逃亡してしまい、優雅なカリブ海外遊に行ってしまいましたので、どうなりますことやら。なんせもう感染拡大はピークをむかえつつあるんですから。

今日の農水省HPを見ると、重要事項トップは「農家所得個別補償の受け付け」でした。そして指揮官たる農水大臣はカリブ海から帰って来ない(私は連休などなかったので、しつこい)。
もうとうに宮崎県と国が徹底した封じ込めをし、補正予算を組んで大損害を出している畜産業に緊急支援策を決定すべき時期であるにもかかわらず、なんの動きも見られないという、至ってのどかな危機感のなさです。報道もあまりありませんしね。

ひとつの県の主要農産業が壊滅しようとしているのに、まことに連休ボケしたように平和なことではあります。

■追記 この記事をアップした3時間後の5月6日10時の時点で23例目が確認されて、処分頭数は計3万3985頭(牛2917頭、豚3万1068頭)となりました。いよいよ大変な事態になることは必至です。

■資料

殺処分3万頭に迫る
5月4日19時52分配信  時事通信

 宮崎県は4日、同県川南町の2カ所の養豚農家でそれぞれ口蹄(こうてい)疫の疑いがある豚が新たに見つかったと発表した。これらの農家が飼育する計1万8757頭の豚は全頭殺処分の対象となる。感染疑いの発生はこれで19例となり、牛や豚の累計殺処分対象は2万7772頭となった。
 県畜産課によると、3日に口蹄疫の症状を示す豚が川南町の2カ所の農家で見つかり、遺伝子検査の結果からそれぞれ3頭ずつ感染が疑われることが4日、分かったという。
 このほか畜産関係者によると、同県えびの市の家畜の移動制限区域内で約300頭を飼育する養豚農家でも、所見で口蹄疫の症状が疑われる豚が同日見つかり、遺伝子検査の結果を待たずに殺処分を開始する予定という。

■ 追加資料 口蹄疫新たに4例 宮崎県
2010年5月6日 10時50分毎日新聞

 農林水産省と宮崎県は5日、家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)に感染した疑いが強い豚を、同県川南町とえびの市の計4軒の養豚農家で新たに確認したと発表した。20~23例目となる。県はこれらの農家で飼育する計6213頭を殺処分する。

 20、21、23例目は川南町で、1例目の農家の南東5~7キロ。22例目のえびの市は、同市で2カ所目で、1カ所目から北へ約1キロ。いずれも、それぞれの移動制限区域(半径10キロ)内だった。

 県によると、23例目までの処分頭数は計3万3985頭(牛2917頭、豚3万1068頭)となる。

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速報!鳩山首相、海外、県外不可能と明言!      これで普天間固定化に決まった

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県内、徳之島移設案を伝える 普天間で鳩山首相

  来県した鳩山由紀夫首相は4日午前11時すぎ、米軍普天間飛行場の返還・移設問題をめぐり、県庁で仲井真弘多知事と会談した。移設先をめぐり、鳩山首相は「すべてを県外でということは現実問題としては難しい。できれば、沖縄の皆さま方にご負担をお願いしなければならない」と述べ、全面的な県外移設を断念する意向を伝え、県内移設への理解を求めた。国外移設については「海外という話もなかったわけではないが、日米の同盟関係、近隣諸国との関係を考えた時、抑止力という観点から難しく、現実には不可能だ」と明言した。
2010年5月4日琉球新報

予期していたが、これが迷走の果てに辿り着いた結論だそうである。最悪の結果である。「国外、最低でも県外」と言って県民を煽ったのは誰だったのか?!北部振興予算を基地移転と切り離すという禁じ手を使ってまで、名護市長選挙で反対派に勝利させたのは誰だったのか?

県民は、いや国民は首相の政権居座りを許さないだろう。よしんば彼が辞めても問題はより複雑になり、解決不可能な問題として残り続けることだろう。そして公約破棄をなんとも思わない民主党政権は、この桟橋案すらもうやむやにしてしまうことだろう。なぜなら、もはや、県民感情は辺野古に基地を移設することを許さず、事実上不可能となったからである。

そしてつまるところ、2014年までの移設はこれで完全に振り出しに戻り、普天間基地の移設とワッセットだった海兵隊司令部要員8000人のグアム移転もほぼ不可能となってしまった。そして普天間基地は永続化する。

もし、首相にひとかけらの勇気というものがあれば、名護市庁のある西部から山ひとつ超えて、ほんとうの現場である東海岸の辺野古の地に足を運ぶべきだった。そこで辺野古3地域と隣接10地域の住民に会うべきであった。

容認派と言われ、いまや反対一色の観がある県内で複雑な立場に置かれることになった真の被害者は彼らなのだから。国を信じて、妥協に妥協を重ねて、話あいに話あいを重ねて、自らの生活の場である海を埋める選択をしたのは彼らなのだから。

しかし桟橋案(QIP)に対しては、容認派も乗ることは難しいだろう。ほとんど報道されていないことだが、政府が進めているこの桟橋案(QIP)を実現しようとすれば、桟橋部の張出しが辺野古漁港にかかってしまうことが技術的に指摘されているからである。果たして、漁港を潰してまで受け入れる漁民がいるだろうか。

この桟橋案 (QIP)は民主党政権にとって最後の切り札であっただろうと思われる。埋め立て案において必要だった「公用水面」の認可権を持つ県知事の許可が要らず、したがって沖縄県が反対しようとしまいと法的には着工が可能なのである。また反対派に対してもジュゴンの棲息地域の生態系にもやさしいというポーズも取れた

そしてもうひとつの隠し味は、この桟橋案(QIP)の工事とメンテナンスは技術的に高度なために沖縄現地の土木業者ではできないのである。思い出していただきたいのだが、太田沖縄商工会会長が、なぜ津堅島沖の海上基地に固執したのか。それは土木利権のためであった。

大量の埋め立て土砂を確保するための土砂利権、各種の工事利権などおそらくは数兆円の金が沖縄土木業界に落ちるはずであった。干上がりかかっていた沖縄土建業界にとってまさに普天間特需である。

この普天間土建特需は巨大なものとなる。従来の埋め立て案でおおよそ4000億円といわれ、この桟橋案(QIP)に至ってはなんと1兆円以上に膨れ上がるといわれる。あくまでも当初予算の推測なので、たぶん実際はこの数倍になることもありうる。

ちなみに日本国の法人税の税収が約8兆円であるから、実に国全体の法人税総額の8分の1を投下してしまおうということになるわげである。いやはやなんとも自腹が痛まないとなると、鳩山さんもずいぶんと太っ腹なこって。これじゃあ事業仕分けでみみちっく何百万円を切ってもねぇ。

当然のこととして、この桟橋特需は本土のゼネコンが受注することになるだろう。そしてゼネコンの「天の声」の主が小沢一郎である。小沢が意図したことは、沖縄土木利権、土砂利権を根こそぎ自民党から奪うことで、地元業者団体、商工会まで民主党支持にすることではなかったのか。 

小沢が辺野古に隣接する宜野座に土地を所有していることは知られているが、そんなささいな土地ころがしで儲けようなどとは思ってもいないだろう。たぶん彼は巨額な金を懐に汲み上げて着々と出来上がる基地を眺めながら、趣味の磯釣りでも楽しみたいだけなのだ。

しかしこの為政者の醜悪な夢がかなえられることはない。辺野古案は、桟橋案、現行案共に県民に拒否されてしまうからだ。沖縄現地の合意なくしては米国も乗れない。米国は普天間基地で痛くもかゆくもないのだから拒否することだろう。
したがって論理的な帰結としてはひとつしかないことになる。くりかえすが、それは2014年までの移転計画の完遂が不可能になったにとどまらず、普天間基地の固定化、海兵隊司令部要員8000名のグアム移転計画の中止である。

なんたることだ・・・。

今日の抗議集会に来ていたオバァのひとことが耳に残る。
「ハトヤマァ、どのツラ下げて沖縄に来たぁ!見つけたら首根っこを引き抜いてやるさぁ!」

追記 米国は実務者会談で辺野古桟橋案とセットになっている徳之島案を明確に拒否した。これで事実上、辺野古桟橋案は廃案となることになる。

米、徳之島案「運用上受け入れられない」

読売新聞 2010年5月5日(水)3時3分配信 

 沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、日米の外務・防衛当局の審議官級による本格的な実務者協議が4日、防衛省で行われた。

 日本側は、日米が2006年に合意した同県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画を修正し、杭打ち桟橋方式などで滑走路を建設する案と、鹿児島県・徳之島にヘリコプター部隊を移転する案を正式に提示した。

 関係者によると、米側は、杭打ち桟橋方式について、過去の日米協議でテロの危険性が高いことを理由に却下した経緯などを指摘。徳之島案については、「沖縄の海兵隊陸上部隊との距離が離れすぎていて、運用上受け入れられない」と明確に反対する立場を表明した。

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民主党政府、「反対しても政権維持のためには辺野古に強行する」

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首相側近「県民反対でも強行」 辺野古くい打ち案明言
 琉球新報

 【東京】米軍普天間飛行場の返還問題で30日、鳩山由紀夫首相の秘書官の佐野忠克氏が喜 納昌吉参院議員(民主)に、辺野古沿岸部へのくい打ち桟橋方式により、1800メートルの滑走路1本の代替施設を建設する案で政府が最終調整していると明かした。同日午前、首相との面会のため官邸を訪ねた喜納氏に、面会前に佐野氏が説明した。


 喜納氏が「くい打ち桟橋方式を含む県内移設には多くの県民が反対しているのに強行するのか」とただしたのに対し、佐野氏は「自分の考え方だ」と前置きした上で「(反対しても)強行する。政権を守るためにはやるしかない」と述べた。

 一方、首相は喜納氏との面談で、くい打ち桟橋方式や徳之島案などの詳細について尋ねた喜納氏に対し「まだ決まっていない」と従来の姿勢を繰り返した。しかし同時に、くい打ち桟橋方式は実現不可能だと主張した喜納氏に対し首相は「本当に無理なのか」と疑問を示し、同案の実現可能性を探る姿勢を示した。
 佐野氏は首相の政務担当秘書官で、普天間飛行場返還問題の実務担当者。4月の鳩山首相の訪米にも同行し、首相帰国後もスタインバーグ米国務副長官ら政府高官と交渉していた。

 同日、平野博文官房長官は4日に首相が沖縄を訪問すると正式に発表した。
 鳩山首相は同30夕、沖縄訪問について「現時点での政府の考え方を申し上げたい」と述べた。実質上、県内移設案の沖縄県側への打診とみられる。また政府案決定に向けた社民、国民新との調整について「擦り合わせをしながら政府の考え方を一つにまとめたい」と述べた。5月末決着については「米国と、沖縄と他の地域の皆さんに『よしこの方向で行こう』との合意がなされる時が決着だ」と述べた。
 首相の来県は就任後初で日帰り。仲井真弘多知事や高嶺善伸県議会議長、稲嶺進名護市長とそれぞれ会談するほか、翁長雄志那覇市長や伊波洋一宜野湾市長ら基地所在市町村長らとも意見を交わす。普天間飛行場周辺の住民との対話集会も予定している。 (太字引用者) 2010年5月1日

もはや言うべき言葉も見当たらない。「反対でも政権維持のために強行する」のだそうだ。だからこの間記事にしてこなかった。沖縄現地は革新も保守もない感情論の域になってしまっている。

そうしてしまった責任はあげて本土政府、すなわち唾棄すべき民主党政権にある。なにを今更沖縄訪問だ。半年遅い。なにもかも遅い。デモで顔を洗ってこい!県庁まで到着させないという沖縄の人もいるようだが。

悔しさと怒りで身体が震える。もし辺野古で強行するのなら、私も現地の抗議集会に参加するつもりだ。

・・・それにしても色あせた選挙ポスターの「公約実行」の文字が白々しい。このような行為を詐欺という。

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田植えの方法も色々あります

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ようやく少し春めいてきました。もう待ってはいられないと、ごく一部の田んぼは田植えを敢行したようです。いやまさに「敢行」というかんですな。

今年の稲の苗は、低温と日照不足がモロにたたって生育が非常によくないのです。稲の苗は温室の中でニクロム・ヒーターを入れて加温するのですが、それでも今年は苗が非常に良くないのです。

稲の苗はとてもデリケートです。いわば保育園の頃の子供のようなもので、ちょっとした水温の変化でもダメージを受けてしまうことがあります。これを嫌って、もっと大きくなるまで田植えを待つという農法もあります。

もっと根の分けつが進んで、しっかりとした根が出来てからおもむろに田植えをするのですが、すると5月末から6月となるわけです。だいたい通常の農法の1カ月から1カ月半遅れといったところでしょうか。

GWに田植えという農事暦も、まぁ有体に言えば人間サマの都合で、兼業農家が増えたので連休中に田植えをやっちまおうというただそれだけということでもあるんですが。

まぁ、昔の農事暦ではそんな兼業農家事情などは考えてもいないわけですから、6月近くにやっていたとジィ様が言ってましたっけね。6月になれば、田んぼの水温も充分に上がっていますし、根も立派なので活着も早いので、しっかりとした稲に育ちます。

ヒョロ苗を冷たい水に漬けていいわけなかっぺよ、とのことでした。確かに水温が低いのは万病の素で、日当たりの悪い田んぼなどひと晩でイモチ病という稲の業病でやられて真っ白になったこともあるそうです。

このごろはそれを予防防除といって、発症する前にあらかじめ殺菌剤系の農薬を撒いてしまいます。

また田植えの方法も違います。大きく株間を取って一尺(30.3センチ)くらいの升目に数本、ときにはたった一本の苗を植えます。今の田植えが機械植えのために密植しているのと対照的です。尺角植えと称します。

この方法だと無農薬栽培でやることが可能です。今のヒョロ苗⇒GW田植え⇒機械植えの農法ですと、やはり有機農法はかなりしんどいというのが、私の経験です。

ですから、この立派な苗になってから遅れて植える農法には合理性があるのです。しかし難点もあります。機械植えができませんから、人力での田植えとなります。自家用米ていどの私ならこれでもいいのですが、大面積の稲作農家にはきついでしょう。

そして、稲刈りがまんまズレ込みますから、台風シーズンに掛かってしまいます。私など何度台風で倒伏したことか。一回倒れた稲はすぐにでも起こさないと、たちまち穂から白い糸のような芽が出て、デンプン質を吸い取られてスカスカのものとなります。長い時間放置すれば、腐れが出て完全にオシャカです。

倒れた稲を田んぼの左右からロープをかけてせーのと引いて起こすのですが、水をたっぷりと吸った稲はなかなか起きないのです。それでなくとも、他の田んぼがぜんぶ稲刈りが終わっても、なお残るわが田が、それみたことかとぶっ倒されると、やはり恥ずかしいものです。いやまったく泣けます。

さて今年の田んぼ。なにとぞ冷夏になりませんように。瑞穂の神よ、やおろずの神々よ、頼みますぞ!

■写真 わが村の田んぼ風景。昔はこの川から水を田んぼにくみ上げていましたが、今は基盤整備をして右後ろに見えるコンクリートの小屋のポンプハウスからパイプラインで給水する仕組みとなりました。このせいもあって、あまり皆と時期をはずしての田植えはしにくいという事情があります。日本人の秩序意識にこの共同の田んぼの水管理が根っこにあるというのは、村に住むとヒシと実感できます。

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