宮崎の現場の畜産農家の衝撃的なメールが共同通信社の47NEWSにありましたので、全文転載いたします。同業者として耳を覆いたくなるような悲痛な声が記されています。
農水大臣と農水省はこの声を真摯に受け止め、「やることはすべてやった」というようなつまらない居直りをやめて、直ちに全面的な救済策を立てるべきです。
特に未だ6分の1しか処分できていないという殺処分の大幅な遅れと、消毒液の不足は深刻な事態を招いています。ウイルスを保有する患畜の放置が現地では続いており、これが感染拡大の大きな原因となっています。
大型家畜である牛豚の殺処分は、獣医師資格が必要であり、現地における獣医師の極端な不足がこの状況を招いています。7万頭という膨大な数の殺処分は、全国の獣医師の総動員をかけたとしても気が遠くなるような頭数です。
「今2倍の100人へ増強」と赤松大臣は言いますが、ひとりの獣医師が一日で処分できる牛豚などわずかなものでしかありません。たぶん100頭すらもいかないのではないでしょうか。
一カ所に集めてシステマチックにやることが、伝染病の特質から不可能な以上、一軒゛一軒獣医師が訪問してやることになる現状では、仮に100人の獣医師が投入され、かかり切りで殺処分したとしても、一日に千頭すら処分しきれないと思われます。理論的には最大で2千頭などといいますが、空論だと思います。
実際、九州各県からの応援の公務員で獣医師資格を持つものはわずか3名にすぎなかったそうです。もう焼け石に水の状態で、患畜が累積する一方です。
第一、獣医師は殺処分だけではなく、宮崎県のみならず近県の家畜の診断もせねばならず、殺処分だけに特化して派遣されるわけでもないからです。
そして埋葬地も、そこへの運搬方法、、重機も不足しています。そしてなんといっても、今緊急に大量に必要とされているビルコンという消毒薬が、アイスランド火山噴火の影響での航空路の麻痺のため致命的に不足しているという驚くべき状況です。
ともかく、かくも巨大な感染拡大を許してしまってからではすべてが困難を倍加させます。せめて前回のように初動で制圧しきってしまえば、このような事態にならなかったはずです。2000年時には700頭で封じ込めに成功しています。
この事件は畜産界の阪神淡路大震災となりました。村山首相と赤松大臣、事件での役回りも所属党派も同じ(村山氏は旧社会党委員長、赤松氏は同書記長)なのはなにかの因縁でしょうか。
詳細な分析は次回行い、とりあえず本日は全文を一挙掲載します。まったくといっていいほど報道されない状況下で、宮崎の農家の生の声に耳を傾けて下さい。
既に発生から20日を過ぎ、農家の精神的肉体的な限界に近づきつつあります。私が心配するのは、自殺者が出ることです。宮崎県の畜産農家の皆さん、頑張って下さい。あなた方は孤立してはいません。全国の農家があなた方を思っているのですから。
[以下引用・太字引用者]
宮崎県の畜産農家を襲っている口蹄疫の惨状を、養豚場の現場から47NEWSに伝えるメール報告が2010年5月9日届きました。以下はその全文です。(47NEWS)
【口蹄疫】殺処分という響きがやりきれない
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[第1信]
私は、宮崎県児湯郡川南町川南で父が経営する養豚場を手伝いをしています。
今、川南では口蹄疫が発生し蔓延している状況です。日々、知り合いの農場、近所の農場と口蹄疫が発生しています。
そして、5/7の早朝に母豚の様子がおかしいのでもしやと思い、口の周りを見てみると口蹄疫の症状と酷似した症状がでており、当日に家畜保健所に連絡、そして験体を採取、翌日に口蹄疫と断定されました。
宮崎県のホームページで発表されました、44例目の農場が私の父が経営する養豚場です。
口蹄疫1例目発生から、神経をとがらせて、消毒の徹底、そして外部からの人の出入り、また買い物などを極力控えて、家の敷地内にはいる前にはかならず車両は消毒して、人も消毒薬が目に入らないように息を止めて消毒していましたが、それでも、防げませんでした。
父は、「口蹄疫が出たショックより、すこし楽になった、、、」と今まで全神経をとがらせて消毒をしてきた苦労から解放される事に悲しみの顔をしながらポツリと言いました。
なぜ、ここまで拡大しなくてはいけなかったのでしょうか?対策は十分だったのでしょうか?ニュースや新聞を見ても、県の対策は完璧であり、国際的にも間違った手法ではないと報道されています。
そうなると、国際的にここまで感染が拡大して農家やそれに携わる人や企業に多大な被害を被るのが正しい手法なのでしょうか?
そして、今日5/9未だに殺処分の日程や埋設す場所もなにも聞いてこない連絡もない役所の口蹄疫対策本部に、父が連絡を入れたところそのずさんな対応に驚愕しました。
父「 いつ殺処分にこられるのでしょうか?」
対策本部担当者「 明後日には、、、 」
父「 そんなに遅くにこられては、まだ口蹄疫が発症していない農家に被害が及ぶじゃないですか、ウィルスはいまでも飛散しているんですよ?」
対策本部担当者 「その、ウィルスを出さないようにするのは、その農場の責任だ」
父「うちでは、ウィルスが入らないように最善の努力はした、それでも入ったということは飛散しないように消毒をしてもウィルスは飛散すると言うことでしょう? 夜には私どもだって寝ます。その間にもウィルスは飛散してるでしょ?」
対策部担当者 「そうですね、、、、、、」
こんな状態です、法的に殺処分を定められている非常に感染力が強いウィルスなのにも関わらず、未だに殺処分されない現状。
これはもはや、意図的にウィルスを拡大させてると思わざるえないのではないでしょうか?
また、5/1に経済連原種豚センター川南市場で、口蹄疫が発生しました。
これは豚感染2例目ではなかったでしょうか?
殺処分は5/1から処分開始されて、当日もしくは5/2には完了して、埋設されているはずでしたが、しかし実態は5/8に、はじめて埋め戻しをしていました、殺処分されてから5/8まで、埋設場所に穴を掘り、そこに殺処分された豚などを放置し腐敗がした状態で埋設したのです。
そして、そこの場長が言った言葉が「早く埋めてくれ、ウィルスがいるから」と、、、、
なぜ、すぐに埋設せずに5~6日間も放置したのでしょうか?
その間、GWでも堪能していたのでしょうか?
最後にもう一度、この状況ではまるで、県もしくは国単位で、川南の畜産を意図的に潰してるとしか思えません。
どうか、このことを報道して、二度とこのようなことが無いようにして欲しいと願うばかりです。
[第2信]
昨日、メールいたしました口蹄疫44例目農場の者です。
5/9 午前10:30頃に、対策本部の方から殺処分時の埋設場所についての打合せ来ました。
幸いにも、私どもには埋設場所になる畑がありましたので、そこを提示させていただきました。
その話し合いの中で、なぜこのように対応に遅れが生じてしまうのか、または今までの発生農場での現状を知りうることが出来ましたので
ここに記載させていただき、幅広く皆様にこの現状を知っていただきたいと思います。
①:殺処分する前に、埋設場所の確認をとる
②:埋設場所があれば、そこの近隣住民の理解を得て掘削に取りかかる
③:殺処分開始
④:殺処分された家畜を埋設場所に適切な処理をして運搬・埋設
⑤:農場内全てを消毒をする
上記にあげたのが大まかな流れなのですが、まず①でつまずくのが多いと担当者が疲労の顔を浮かべながら語っていました。
そうです、埋設場所がなければ殺処分できず、その農場は現状では殺処分は後回しになってしまっているのです。
そして、次に問題なのは③の殺処分です、この殺処分にかかわる薬品及び行為は薬事法により獣医師資格者以外が行うことを
法律で禁じているのにもかかわらず、獣医師の人手不足により、5/10現在までに確認されている、6万5000頭の殺処分対象の約1/6しか
いまだに殺処分されていないという驚愕の事実でした。
県知事が農林水産省大臣に人員確保の要請をし、来た人員ですら足りず、今居る人員をフル活動させても川南全体で一日に1~2000頭を処理
出来るか出来ないかと言う事実を聞き、私を含め父や母は驚きました。
自衛隊を派遣しましたが、あくまで自衛隊は殺処分された家畜の運搬作業にしか従事できないのです、殺処分は法律で資格なきものは出来ないのですから。
ここまでくると、現場の獣医師たちの疲労はピークを越え殺処分数も次第に1000から900,800と落ちていくことでしょう。
県も必死で対応しているのですが人員を他県に直接応援は出来ないと、政府から指示が無いと出来ないとも言っていました。
このような現場の声をきかず、上はマニュアル通りの指示しかしないのでしょうか。
昔、人気のドラマの映画があったことを思い出します、主人公が現場の声を聞かずに無茶苦茶な指示を出す上層部に一括した言葉を
「 事件は会議室で起きてるんじゃない、現場でおきているんだ 」
報道陣もぜひ現場にカメラをいれて報道していただきたい、この現状を
我が家では、日に日に口蹄疫の症状をだす豚が増えてきてます。足の蹄の付け根から血を流し痛さに鳴く母豚、蹄が根本からただれ落ちて生爪状態になって痛くて立てない肥育豚
鼻の周りには水泡だらけになり、それが潰れて血が流れながらも、空腹にたえられず餌を体を震わせながら食べ様、また生まれたばかりの子豚が突然死していく様をみるのは正直辛い
です。
口蹄疫が発症してからというもの、父は今まで抑えていた餌の量を以前の量に戻して、「殺処分されるのは分かってる、でも最後までおいしい餌をおなか一杯食べさせてあげたい」と
やはり悲しげな顔でやり続けています。
私は、薬事法も防疫に関しても専門的な知識も教育も受けていません、ですがこのままでは確実に口蹄疫は川南をこえ宮崎全土にそして他県に広がるのでははいでしょうか?
政府は何をしているのでしょうか?もしかして都濃・川南の全畜産関係者を使った災害シミュレーションでもやっているのではないでしょうか?
なぜ、報道されず政府も動かずなのか
疑問でならない。
人に発症しない伝染病だから関係ない、とでも思っているのだろうか。
事が終わって、保証金を積めばいい話とでも思っているのだろうか。
[第3信]
みなさん、こんにちはこのメールを送るようになって3通目になりました。
口蹄疫発生44例目農場の者です。
5/11午前10:00、私どもの提示した埋設場所に重機が来て、掘削が始まりました。
口蹄疫発見時の、5/7をいれて5日目です。
私どもの農場近辺の養豚施設ではすでに口蹄疫に感染し、その埋設のための掘削作業をする重機の轟音がここ数日鳴り響いてます。
未だ、作られた原稿を読むだけの報道しかされない現状で私は、現場に居るまさに目の前で起こっている事をみなさまに伝えなくては
いけないのではないかと思う毎日であります。
5/11午前10:00、重機のオペレーター1名と掘削指示をする対策本部の方2名がこられ埋設場所で試掘から始まりました。
試掘とは?と思う方もいるでしょう、試掘とは埋設場所はあるけども、掘削していくうちに地下水などの水が湧き出てこないかと確認
するためのものです。
掘削幅6m 地表から深さ4mもの巨大な穴を掘るわけですから、水が出てくる可能性もあります、もしそうした場合はその場所には
埋設できないのです。
埋設場所があるけど、水が出てきて埋設できないといった畜産業の方々が多いのも事実です、昨日メールした内容にも書きましたが、
埋設場所が無い農場の家畜は、殺処分されず放置されている状態です。
試掘の結果、水の湧き出る様子もなく本格的に掘削可能と判断され今現在、掘削をしています。
その作業の間、掘削を指示する方と私の父が少し口論となりましたので、その内容を記したいと思います。
父は昔気質な人で、「遅い事は誰でも出来る」が口癖の人で仕事は手早くするの人でした。
私もそんな父に育てられ、父までとは言いませんが仕事は手早く正確にを心がけるようになりました。
ですが、掘削指示の方々は小走りに動きもせず歩きながら作業をするばかり、それを見た父は激怒し担当の方に言い寄った次第であります。
私も、怒りを覚えました。
一刻でも早く、埋設しなければ行けない状況で、本部からの人間はどこ吹く風と言わんばかりの仕事の仕方にです。
しかし、ここは大人の対応をと思い、怒りを抑え、父を抑え、担当に聞きました。
「あの、一つ聞きます。 現場はここだけではないですよね? この現場の指示などを早くすませて、他の現場の指示などをしたほうがいいでしょう?」と
そして帰ってきた答えは、、、、
「それは分かっています。ですけど他の農場などは埋設場所がないし、殺処分の日程も決まってないし、急いでも意味がないでしょう?」
驚愕です。
何も言葉が出ませんでした。
埋設場所がないから、ここの現場をゆっくりしても問題は無いでしょう?とこんな事ですよ現場は、自分の言われた事をそれだけやってればいい、
こんな状況になったら、普通は他に埋設場所になる候補地は無いのか?他にやることはないのか?と探すのが普通ではないでしょうか?
こんな考えで対策本部、または殺処分の現場が動いてるとしたらこれはもはや口蹄疫の感染を止める事は出来ないでしょう。
「今日中に、この農場は殺処分できなから今日はここまででいいかぁ」 などとやってるのでしょうか?
断じて、そのようなことは無いと信じたい、現場で頑張っておられる獣医師の方々や要請に応じてくれた自衛隊の方々、または民間企業よりきて下さってる
重機作業員の方々がどれだけ必死になって作業しているか私は感じております。
しかし、本部内部では対岸の火事または迷惑な話だという態度で仕事をしている人も少なからず居ると感じた瞬間でした。
埋設場所の問題で一言、言いたいことがある。
5/10、初めて農林水産省大臣が県に訪れ、宮崎市内のホテルにて生産者団体との会談が行われました。
その中で、埋設場所がなく、国有林を提供していただきたいとの意見が出た時に、大臣の返答が
「国有林に埋却したいと言うのでことなら県を通して上げてもらえばすぐ出来る」と、、、、おかしくは無いだろうか?
ここまで感染拡大をしていてる最中、大臣に直接、要望を出しているにもかかわらず、県を通さなければ出来ないと言う現実が
なぜ、そのばで大臣権限をもって国有林の提供にならないのか?
私には、人に自慢するほどの学力も学歴もありません、そんな私には到底わかり得ない複雑な手続きがいるのだよ、と言うのでしょうか?
ですが、そんな問題ではすまされない状況では無いのでしょうか?
私の常識が一般の方とずれているのでしょうか?
現場とそれを管轄する上との温度差はあまりにも激しいものがあると思います。
今日より、写真を添付させていただきたいと思います。
写真は今日より、掘削作業に入った現場の風景と、現在の父の経営する養豚場の風景です。
掘削風景の写真では、埋設する穴を見つめる父が写っております。
その背中はやはり、どこか寂しげです。
養豚場の風景は、口蹄疫の症状がでて、立てなくなった母豚に寄り添う子豚が移っております。
写真に写っている子豚は、発症はしていません、ですがこれも殺処分対象なのです。
そんな風景を毎日みながら殺処分を待つ気持ちを少しでもご理解いただけたらと思います。
なお、添付します写真についてはメールを送ったサイト様の判断で公開するかしないかはお任せいたします 【47NEWS】 http://www.47news.jp/feature/topics/2010/05/post_146.html
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