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2010年5月22日 (土)

宮崎口蹄疫事件 その10 韓国と日本の口蹄疫防疫方針の巨大な差から見えたもの

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今日の夕刻のTBS「報道特集」には教えられることがいくつかありました。
番組は韓国と日本の口蹄疫の防疫方法について比較しながら、その巨大な差を見せつけました。

ご存じのように、韓国は日本と同時期の4月6日に口蹄疫を確認しています。にもかかわらず、韓国は殺処分をしながらも、ほぼ感染状況は終結しています。

一方、ご承知のように日本は膨大な21万頭という殺処分予定を抱えながら、いっかな処分は進展していません。ワクチン投与+殺処分という方針も、肝心なワクチンが確保できなかったり、殺処分をする資格のある獣医師が圧倒的に不足しているのが現状です。

ところで、実は韓国は2001年にも口蹄疫のパンデミックを経験しており、しっかりとその総括をして、経験則を政府方針としてマニュアル化してありました。その差が大きく今回の事態に反映しているような気がします
ではその違いとはなんでしょうか?

第1に、防疫対策の立ち上がりの迅速性です。韓国は英国と同様にこれをある種の「社会に対するテロ」と位置づけます。パンデミックという「テロ」との戦いなのです。既にこの出発点で、その緊張を大いに欠いて弛緩し切ったわが政府と出だしから異なっています

第2に、口蹄疫対策本部が設置されると大きな権限委譲が行われます。発生地点の封鎖、汚染地域へのアクセス網の消毒ポイントの設置、殺処分対象地域の早期の設定のためのゾーニング、そして殺処分命令などです。

これらは数日間の内に完了し、今回は発生農場を中心として500メートル以内を全頭処分するという方針が確定され、直ちに実施に移り、1週間以内で殺処分も完了しました。

実に驚異的スピードだといえます。発生確認後たらたらと1カ月後に対策本部がやっとでき、自衛隊の投入要請も国より県が先となり、獣医師の集中投入が進まないために殺処分がダラダラと続いたあげくは、待機患畜を膨大に生みました。
また、埋却地が複雑な手続きのためにいっかな確保できなかったり、あろうことか、埋却処分後の処理が甘い為に死体から再びウイルスの発生をみる例も出る、という醜態続きのわが国とは大きな対称を見せています。

わか国では殺処分は自治体に属する家畜保健衛生所(家保)が所管しています。しかしこれでわかるように、このようなパンデミック状況下での地方自治体の権限と国の権限が平時から整理されていません。また資材面でも、消毒液や機材の予備備蓄、そしてなにより口蹄疫を特定する検出機材が現地にないのです。今回、宮崎県に口蹄疫を特定する遺伝子検査機材があれば、あの「空白の20日間」はなかったものを。

また口蹄疫は、地方自治体や民間の農場レベルの危機対応でどうなるという類の生易しい伝染病ではありません。というのは、発生農場の封鎖、その地域への交通の遮断、人的交流の制限などは、市民の財産権や生活権の制限を含むからです。
このようなことが可能なのは、唯一泣いても笑っても「国家」しかありえません。それはある意味、パンデミックに対する「戒厳令」と言っていいでしょう。

ちなみに宮崎県の「非常事態宣言」は、危機に対しての県民の団結を訴えたいわば檄で、そのような権限は地方自治体にはありません。本来国がなすべき仕事を宮崎県がしており、あろうことか国のほうが「初動が遅れたのは宮崎県のせいだ」などという政府ガバナンスの自覚もクソもない発言への宮崎県知事の怒りが込められているようです。

私は統治(ガバナンス」の極北である非常事態を仕切る強権を、いかにコントロールできるのかが、今回問われていたのではないかと思っています。まず口蹄疫を「社会へのテロ」と位置づけ、それに対しての国家の強権発動をためらわず、そしてそのような非常事態をいかに短期間に終了させ、平時回復するのかの統治能力そのものが問われていたのです。

第3に、この事実に私もやや打ちのめされていますが、口蹄疫のワクチン接種は韓国において効果がなかったということです。実は「うま」様から頂いた情報も、英国のかの歴史的大被害の原因は、ワクチンを防疫で使ったために、接種半径内の家畜をワクチン接種後に殺処分したためだそうです。

となると・・・防疫的ワクチン投与は現実に英国や韓国で過去に使用されたが、感染拡大を止める効果がなく、かえって被害を拡げかねないということになります。

第4に、韓国においては対策本部の検疫官が捜査権を持っているのです。これはうらやましいと思う日本の家畜保健衛生所(家保)の係官も多いのではないでしょうか。

私が経験した茨城トリインフルは、560万羽もの殺処分を生みながら、その感染ルートの特定には至らないまま終結しました。3次に渡った農水省の膨大な専門家による報告書においても、「違法ワクチンの可能性」はほのめかされながらも特定に至りませんでした。

なぜでしょうか?現場の感染地域の家保には一切の捜査権がなかったからです。発生現場に行き、相手の好意で話を「聞く」ことは可能です。しかし、警察と違い必要だと思える文書の押収や証拠物の押収などといった一歩踏み込んだ捜査権はありません。

韓国は初発の農場を、捜査権をもった検疫官が調査し、初発農場の農場主が近隣の北東アジア(中国)に旅行したこと、そしてその発生後、第2例の農場主が会合で訪れ、第3例は第2例から消毒機械を持って行ったトラックであることを早期につき止めました。

この感染ルートを解明できれば、どこを感染遮断するのかが明確になります。残念ながら、わが国では第1例の感染ルートすら明らかになっていませんし第2例への拡大もそうです。感染ルートの確定は後から報告書に書きましたというのどかなことではなく、即時に解明せねば感染拡大を防止できません

今回のパンデミックは、残念ながらとうぶん災厄をまき散らしながら拡大を止めないでしょう。ほんとうに悔しいのですが、韓国の口蹄疫対策と比較してそう思わざるをえませんでした。

■追記 本記事は放映直後に書いたもので、情報のウラを取っておりません。従いまして、韓国政府の防疫方法について誤った情報が混在している可能性があります。調査して、分かり次第アップいたします。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

断っておきますが、地域にいる者として感じている事です。
汚染地域での感染・発症の傾向
①ビタミン欠乏の肥育末期の牛が発症が早い。発生地域の未発症農場が20km圏に入った時点で、その20km以内にト畜場が無い場合出荷が出来なくなる(搬出制限のため)。20kmに入った時点で出荷ストップ、それまで出荷に向けて仕上げていた牛はビタ欠。そこへ近所で、養豚農場の発症や、発症済み後処置の遅れ(殺処分・埋却順番待ち)が発生すると発症が早い。
えびのの発症区域は1ケ所20km圏内にしか入っていない処理場が有り、20km圏内ではスムーズに出荷が出来ています。
*出荷されているのは20km圏内の健康な家畜だけです。少しでも異変の有る家畜は口蹄疫であるかないかに関わらず農家側・受け入れ側ともに自粛しています。*
②養豚農場も同じ区域に有っても発症までのスピードが違う。母豚でのフレーム作りがしっかりしている(ボディコンディションが良好、きちんと管理の指標がはっきりしている)農場の感染・発症は同じ区域でも後の方になっていたり、未だ未発症。他疾病の感染歴(PRRSなどの疾病度合いなど)も関係しているみたいです。

はじめまして。
私は専門知識のない全くの素人ですが、GWが始まった頃に口蹄疫に関する報道の少なさにやきもきした一人です。

今日放送の「報道特集」を見ていないのですが、伝聞で聞いたところ、口蹄疫が日本と同時期(日本より少し遅れて)に発生しているような放送内容だったそうですね。

最近のTV番組は韓国のバイアスがかかったものが多いので、その話を知った時は「えっ?」と驚愕しましたが、濱田さんもその内容を鵜呑みにされているようなので、少し驚きつつ、少しブログを遡りつつ読ませていただきました。

最初の口蹄疫に関するエントリーに韓国の名前がなかったので、あれっ? と内心思いつつ、もかしたらご存知なのかもしれないと思いながら書かせていただきます。

農林水産省のHPの(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/index.html)
「韓国における口蹄疫の発生状況」にある、『韓国における口蹄疫の発生状況地図』を見て頂くとわかりますが、
韓国では1月に口蹄疫のA型が先に発症しています。
O型は日本とほぼ同時期みたいな感じですが、あちらの方が少し早いんです。

そういう情報があったのにも関わらず、何故観光客などに注意を呼び掛けなかったのか、
入管の時の消毒を徹底しなかったのかと怒りを覚えます(今年のGWに海外へ行った方が「そういえば、いつもある消毒マットがなかった」と仰っていました)。


余談ですが、某氏の地元の県のHPには、口蹄疫に関する情報が1月にはすでにあったようです。

「岩手県中央家畜保健衛生所 更新情報」
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=2419&of=1&ik=3&pnp=17&pnp=65&pnp=707&pnp=2419&cd=5724

「口蹄疫 ~過去10年の近隣国とわが国における発生と防疫対応~」
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=719&of=1&ik=3&pnp=17&pnp=65&pnp=707&pnp=719&cd=19952

2009~2010年度の口蹄疫の発生を時系列にしてくれた方がいたので、↓そのアドレスです。
http://www16.atpages.jp/onlyinkorea/etc/kouteieki.htm

口蹄疫についてまとめておられる方のブログも合わせて見てみて下さい。
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-880.html

最初に書いたように、素人とですので、情報収集しかできませんが、こういった情報もあるので資料として頭に入れて頂ければと思います。

長文、失礼しました。

追記です

すみません、農林水産省のHPのアドレスのリンクが少しおかしな感じになってしまっているので。

農林水産省・口蹄疫に関する情報
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/index.html

下へスクロールすると、中・韓両国を始めとする情報があります。

失礼しました。

ワクチン接種が開始されましたが、疑似患畜の処分も中々進まないようですね。遅れれば遅れるほど感染拡大が進みます。結果論となりますが、狭い地区内で多くの家畜を飼う(言い換えれば家畜密度が高い)事は効率的であり経済的効果は高まりますが、その分リスクも高まる事を改めて知らされた気がします。
①感染が一気に拡大する。
②殺処分して埋却する方法しかない場合、場所確保が難しい。(土地が無い)国有地あるいは県有地であっても地下水汚染の可能性がある場所及び4m以上掘削するには表土が浅い・・・等の条件に合わない場所を除くとどのくらいの土地があるのでしょうか?
それも処分した家畜の移動距離を最大限短くした場所・・・となると現実には難しいし候補地を探すにも時間がかかるのではないでしょうか?
韓国での対応についても読ませて頂きました(出かけていて特集は見てません)が、韓国の発生地での土地や密度等は分かりませんので、処分までの時間を単純比較はできません。
ただ、管理人様が仰る通り、制度や仕組み的(防疫官の権限など)に緩かったと言うか、危機感が足りなかったのは国として反省すべき点と思います。2001年の92年ぶり発生も短期間で終息しました。今回の発生まで10年間近隣諸国で頻発していたのにも関わらず、法やマニュアルを見直してこなかったのは大いに反省すべき点と思います。ここ数年、自民党政権時代の首相交代、昨年からの民主党政権となってからも、与野党の攻防(何も改善されてはいませんが)に、国民も官僚も、そして我々農民も翻弄され続けてきた結果だと思います。そして今回の発生と感染拡大・・・・宮崎県以外の関係者の気持ちには、少なからず「今回も早期に終息するだろう」「数件の発生はあってもすぐにおさまるだろう」と言う考え方があったものと思います。その事が、政府の初動対応・対策の遅れにつながったのではないでしょうか?
宮崎県の関係者及び殺処分対象の生産者の皆さん、頑張ってください。応援しています。

お疲れ様です。今日の時点で見る限りもう口蹄疫のパンデミックは野放し状態に思えます。宮崎は大雨ということで現場で殺処分埋設作業をされている方々の状態は最悪でしょう。お見舞い申し上げます。頑張ってください。湿気のため空気伝搬は遅くなるでしょうが
埋設したところから地下水に出で来る懸念があります。
腹が立つのが発生箇所から10km圏内、20km圏内と図に記してあるのはいい。なんで海の上にもしるしをするか?海の上に農場があると思っているのか?対応が素人集団では何を頼りにしたらよいのか。
現代社会であります。人やモノの流れがあります。
空港封鎖ということも考えねばならないのでしょうか。
いっそ海に帰す・・?そんなことをしたらニライカナイの神様に怒られる。あー、トゥートガー、トゥート。
封印することの難しさよ。パンデミック、パンドラの箱、映画でダスティン・ホフマン主演のがあった。そんなことはさせないぞ。

22時35分公表では、193例まで拡大との事。誰かが言っていたパンデミック状態になりました。ワクチン接種も予定通りには進まないだろうし、その前に疑似患畜の処理がまだまだでしょうから、しばらくはかかりそうな感じ。この先、牛や豚など家畜は処理したとして、次に気になるのが偶蹄類である「イノシシ」や「鹿」(九州に鹿がいるかは不明ですが)など野生動物への感染拡大です。
いかんともし難いジレンマがつのります。
頑張れ!!宮崎!!

①忠富士感染事件:感染地域に近い児湯郡高鍋町で種牛・検定牛308頭と共に同じ施設で管理。5月13~14日に中でも重要な6頭を20km離れた西都市北部へ移動(この時点で高鍋町ではまだ口蹄疫は発症0件)。移動前の血清検査で移動日までは未感染を確認。5月17日に高鍋町に残していた他の肥育牛5頭から感染確認。西都市に移動した6頭の中の1頭、忠富士から5月19日に採取した検体から陽性反応。水泡や流涎などの「症状が見られなかったため」「再度」5月20日に再度検体採取、結果再度陽性。5月21日に殺処分。「西都市北部で初めての発生となる」。同じ牛舎の同じ牛房で「ついたて1枚」を立てて、「隔離」している残り5頭はまだ未発症で、毎日採血し経過観察へ。
5月17日に高鍋町の改良事業団で肥育牛5頭から発症し、他の牛と共に全殺処分したはずだったが、後継牛49頭は「まだ」未処分だった事を、「県が正式発表」。49頭を未だ未発症との事でこのまま経過観察を国へ申し出る。
②同時進行
 10km圏内の未発症家畜へのワクチン接種(接種あと殺処分)を地元受け入れ、5月22日より接種スタート。1日日目27組(獣医師1、補助員1、運転手1)で22,096頭/日終了。凄いと思います。
5月23日も継続、57組に増員。
③えびの市・・・5月24日より洗浄性確認検査に入る!
混沌としてきました・・・

5頭は24日には既に簡易牛舎を「新たに新設」し、5月26日時点で生き残っています。素早い対応、、、だと思います。
6頭移動し、発症した忠富士は「気性が荒く、最初から1頭だけ5頭とは離れて隔離していた(だから5頭は安全なので今すぐ殺処分しなくていい)」と県はコメントされています。
5月26日時点でワクチンだけは終了しています・・・。
濱田さまの感染ルートの解明は、隣諸国との歴史も関係するのでしょうね。(私は全然、頑張る根性の有る人が多いな、と思っているだけです。)

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