宮崎口蹄疫事件 その15 宮崎畜産農家を救え!
口蹄疫事件はそれでなくとも厳しい宮崎の和牛農家の首を締め上げていっています。
日本が世界に誇る黒毛和牛は、その品種改良の長い歴史と、まさに職人的な技術と愛情を注いだ芸術品のような存在でした。たとえばブランド牛のA5クラスなどの品質は、世界で追随できる国はないでしょう。それが故に、広大名牧草地で放牧を主とする低コストのオージービーフや、飼料基地と牧場がワンセットになったアメリカとも異なった独特の展開をしてきました。
黒毛和牛の生産は、3年間以上という肥育日数をかけます。これは、食肉生産としては世界最長ではないでしょうか。ちなみに豚は6カ月間、ブロイラーに至っては60日間ていどにすぎません。
その間に抱え持っていなければならない飼料コストや人件費、施設の維持費、機械のリース代などなどは大きなものになります。
日本でなぜ和牛の生産農家に小規模の畜産農家が多いのかというのは、この和牛の経営の回転率と利益率の低さ、そして子牛導入にかかる経費が大きいからです。法人化して大規模飼育をする農場もありますが、未だブランド牛では個人経営の小規模農家が主流を占めています。
したがって、このような個人小規模農場には老齢化の影が色濃く覆っています。ですから、今回の巨大畜産伝染病が起きた場合立ち直りが厳しいのです。
まず今回の場合、出荷目前の牛から肥育を開始した子牛まで、全部殺処分となります。つまり、農場は経営的にはいったん完全な白紙状態になるわけです。いや、それは正確ではない。経営的に大きな損失を被ってのマイナスの地点から再出発となります。
いや、それだけではなく、今拡大を続けている口蹄疫の進行が完全に停止し、清浄性確認をし、知事の終結宣言を経て、やっと移動禁止区域が解除されてからの再建となります。
これが果たしていつになるのか、誰も分かりません。5年前の私も当事者のひとりだった茨城トリインフルエンザ事件では移動禁止・制限が解かれるまで足かけ2年間要しました。今回はその深刻さは茨城をはるかに超えていますので、今年中に終結宣言はまず無理だと思います。来年中に終結宣言が出て、移動制限が解除されればいいのですが、他県で発症した場合はもうまったく読めなくなります。
移動禁止期間内に子牛を導入することは事実上不可能です。となると、再建はそこまでズレ込むことになります。仮に、来春に終結宣言が出たとしても、そこから子牛を導入し、肥育して1年半から2年間。つまりは3年間前後は無収入となり、その間の生産コストのみが被ってくるという最悪の経営状態となることが予想されます。
たぶん今回の特別措置法で得た補償は、そのまま右から左へ借金返済へと消えることでしょう。そしてなによりも大事な「やる気」がすり潰されます。
忘れっぽいマスコミやネット界が今回の事件を忘れかかった頃、一軒一軒と、農場は閉められて無人の荒れ果てた農場が立ち並ぶようになるでしょう。そして農民は、若ければ都市部のドカチンへと行くか、老齢ならば年金で細々と暮らすしか道は残らなくなります。
宮崎畜産農家を救え!
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コメント
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口蹄疫の早期終息、早期清浄化を願うばかりであり、加えて関係者のご苦労に心よりお見舞い申し上げるところです。
さて、清浄化までの期間はもとより、今回の発生を教訓に、防疫に対する意識向上や、終息後すぐに忘れることなく恒常的に防疫を実行して行かなければなりません。
今後の防疫対応について参考となる文献を見つけましたので紹介します。尚、小生発行元から何の依頼もされておりませんし、発行元と何らかの関係(利害関係)もありません。また在庫状況等は確認していませんので、その点は理解の上ご覧ください。購入に際しては発行元に直接確認してください。
【タイトル】
切迫するミクロの世界からの攻撃:あなたは何をする
「Biosecurity-バイオセキュリティ」
①著者:伊藤紘一(いとう こういち)
呉克昌 (くれ かつまさ)
②発行者:伊藤紘一
③発行所:ウイリアムマイナー農業研究所
〒102-0073
東京都千代田区九段北3-2-2B.R.ロジェT-3
電話:03-3230-0610 FAX:03-3230-0910
③制作:(有)ビックバン
④印刷:ロータス印刷(株)
⑤2005年12月初版発行
⑥ページ数:111ページ
⑦金額:2,625円(税込)
ネットで「ウイリアムマイナー農業研究所」を開き「商品案内」をクリックすると
2.切迫するミクロ世界からの攻撃 あなたは何をする?
「Biosecurity-バイオセキュリティ」
が出てきます。
小生も手に入れ読んでみましたが、とても参考となりました。
北海道は本日快晴です。気温は若干低いですが「太陽」さんのありがたみをしみじみ感じております。
投稿: 北海道 | 2010年5月31日 (月) 17時35分
濱田様、ワクチン後の発症、発症の広がりは余り変化が無い状態です・・・。効果が有る様に祈っていたのですが。発症後の殺処分はスピードアップしていますが、処分後の状況が凄いです。平らに埋め戻した土が盛り上がり、ブスッいう音と共に腐敗ガスが噴き出しています。つれてハエの発生が物凄く、「飛び回って」います。西都や高鍋方面の境界線を破るのも時間の問題ではないかと思い、固唾を飲んでいます。
20km圏に発生が始まる前に何とか処理が終わると良いのですが、10km圏の都農で牛が31日からスタート、20km圏内の日向(豚専用)はまだ協議中です。
もし今の20km圏内に感染が始まっているとすれば、どうなるかと殺処分の状況を見ながら力が抜けてメールしています。
頑張る宮崎!ではあります!
北海道様もいつも整理されたコメントで、頭の整理させてもらっています。落ち着いたら勉強します
投稿: みやざき | 2010年5月31日 (月) 23時10分
濱田様 北海道様
今晩は。えーっと、本日6月1日付けの発表内容が出るまで眠れないですね・・・。頑張れみんな!
投稿: みやざき | 2010年6月 1日 (火) 19時06分
宮崎「鳥インフルエンザ発症」考 2011/01/22(土) 12:06:41
最大限の警戒、防疫を
相次ぐ家畜伝染病に宮崎衝撃、農家「早期終息を」
「復興へ歩み出したばかりなのに」。宮崎市佐土原町の農場で鳥インフルエンザ感染の疑いが確認された21日、宮崎県内の農家に衝撃が走った。同県では昨年4月に口蹄疫(こうていえき)が確認され、牛や豚など約29万頭が殺処分された。畜産王国を相次いで襲う伝染病に不安の声が相次ぎ、県は対応に追われた。読売新聞九州版(Web)1月22日付記事http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110122-OYS1T00219.htmより参照のため抜粋引用/写真は読売新聞九州版の同記事より参照のため引用
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残念無念
今月、早々に帰郷し、宮崎県へのお邪魔するつもりでいた。しかし、誠にお恥ずかしい話だが、小稿に実情として正直に経済状況を報告させていただきたい。新年勉強会はじめ諸事を終え、しかし、いざ、帰郷へと思い立った時には、ここでチケットを買うか、月末の支払いに充てるか、との苦境に陥っていた。
つい5年前のわが身に考えられなかった愚かしい事態だが。基本的に、「私」のためにほとんど遣わなくても、実際の国思う活動には郵便費や通信費、開場費用、事務、旅費に要する費用などかなりの消耗が付随する。唐突な医療費や妨害対策に資する費用も響いた。「個」の立場としては限界。そのような次第で、帰郷はまたの機会へとせざるを得なくなったのが残念無念である。
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宮崎県のみなさまに、お見舞いを申し上げます
そのような次第で、帰郷していれば手にしていたであろう“報道”ローカル版も、しばらくWeb で見ざるを得ない状況である。その九州版のWeb記事には、宮崎県(佐土原町)の農場で、「鳥インフルエンザ感染の疑いが確認された」とするニュースが配されている。すでにニュースをご存知で、また宮崎県か、と思わる方も少なくないことかと思う。
親愛なる宮崎県の畜産農家のみなさまに心よりお見舞い申し上げる。特に、佐土原市には知己、幼なじみ、遠縁がおり、胸が締め付けられる思いである。一日も早く状況を回復され、安寧を取り戻されることを願って止まない。
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鳥インフルエンザの「標的」か
政府の“対応”は期待し得ないものとしても、行政(宮崎県)が、先ず、ここでなすべきは「鳥インフルエンザ」の感染経路の究明にある。果たして、今回確認された「鳥インフルエンザ」の渡来経路が、中露韓など不浄国からの渡り鳥の飛来などの自然経路がもたらしたものなのか。または、観光誘致政策による不浄国からの渡航者、すなわち「人」を介して運ばれてきたものなのか。その特定が防疫にとって最重要ではないか。たとえば、後者である疑いが濃厚な場合には、口蹄疫大流行に併せるかのように、鳥インフルエンザも流行し始めている韓国からの渡航者に着目すべきだ。
たとえば、韓国で流行しているものとDNAが一致する場合は、ほぼ間違いなく後者の「人」為的経路である疑いを強めて然りである。なぜならば、当該の佐土原市が、先月、白鳥の鳥インフルエンザの感染が確認された鹿児島県出水市と同様に、渡り鳥の飛来地に該当するのか、どうか。専門家の所見を拝さなければ何とも申し難いことだが。鹿児島県の事例が中露から飛来する白鳥であったのに対し、今般の宮崎県の事例が、特にブロイラーへの感染であった点に注視している。
地鶏の出荷(総数約11万羽)では、全国第一位が鹿児島県、次いで宮崎県が第二位を占めている。両県は名産地であり、合わせて全国の地鶏出荷総数の4割近くを占めている。小稿の段階では断定はしないが、名産の和牛、種牛に続いて、今度は地鶏か、と思わせる事例ではないか。先年の口蹄疫被害では、ウィルスのDNAが、明らかに同年1月すでに韓国で確認されたウィルスと99%以上の確度で同一とみなされるものでありながら、民主党政府は、感染拡大以前も、その最中も、さらにその後も、韓国からの渡航者を足止めしなかったのである。
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「無政府」政府と無防備な自治体
たとえば、これは宿泊者の全国統計だが、口蹄疫被害の最中にあった時期の統計を示す「国土交通省観光庁」の「宿泊旅行統計調査報告」(平成22年4~6月)によれば、当該時期にあたる「第2四半期(4~6月)」での、韓国からの渡航宿泊者は87万人。中国からは同121万人と集計している。不浄国からの渡航者が激増していた様子は、その拡大前の第一四半期(1~3月期)の統計に記されている。すなわち、同時期の韓国からの渡航宿泊者は、94万人(前年同期比95.5%増)、中国からは89万人(同41.7%増)とある。いかがだろうか。
さらに、昨年の(4月~6月期)の外国人宿泊者の割合を観れば、沖縄県を除く、九州7県での「トップ」は韓国が不動の1位である。口蹄疫感染が拡大した最中にあっても、宮崎県は外国人宿泊者の45%が韓国。ちなみに鹿児島県も38%であった。宿泊者分布図から割り出しても、宮崎県では同時期に少なからず韓国からの渡航(宿泊)者を許容していたことになるが。現実とすれば余りに過酷であり、当時の無政府状態ともに、親韓を方向転換し得なかった同県行政の盲点を指摘し得るものとなり得ないか。今後の対策を考えられる上で、小稿の瑣末な指摘も何らかのご参考となれば幸いである。
西日本の外国人宿泊状況(平成22年4~6月統計より)
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口蹄疫感染“発症”の地と指摘されて来たどこぞの牧場(宮崎県川南町)が、宮崎県の対策検証委員会から「改善指導」に資する、との正式発表があった、との報道がつい2日前にあった。“感染発”の地と指摘し、2月の時点から感染発症がみられていた、と同牧場の状況を報じたローカル紙に対し、事実無根として訴訟を起こしたが、発公判の前に訴訟を取り下げている。法廷での事実露見を回避するため、としか指摘し得ない「取り下げ」であった。同地での発症は、明らかに韓国視察団、研修生らが同地を踏んだ時期と時系列的に符合している。詳しくは、後の現地調査報告にて。
平成23年1月22日
博士の独り言
投稿: タニ ユタカ | 2011年1月23日 (日) 13時16分