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宮崎県口蹄疫事件その5   殺処分の根底にある「清浄国」思想 ・ 殺処分を考え直す時期だ

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宮崎県で口蹄疫が発生し、既に1カ月に近い日が立とうとしています。
今、宮崎県の畜産農家は破滅の淵にいます。口蹄疫という恐ろしい伝染病が発生しました。口蹄疫は潜伏期間が2~6日間で、発熱、喉の痛みが沖、口内、舌、ヒズメに水泡が見られます。生皮が剥けたようになり、家畜は苦しみます。

しかし、最後の水泡がみられてから1週間、だいたい約2週間で自然に治癒してしまいます。死亡率はきわめて低く、まして人間への感染はほぼありえません。

しかし、この口蹄疫が特異なことは、通常の家畜疫病には必ずあるはずの予防ワクチンも、治療薬も一切ないことです。というか、そもそも「設定されていない」のです。

なぜでしょうか?
口蹄疫は確かに偶蹄類に最強の感染力を持ちます。口蹄疫を発症すると、家畜は発熱や水泡により食欲の不振に陥り、増体や乳量を激減させるからです。

結果、この口蹄疫が蔓延すれば畜産業界は大変な経済的打撃を受けます。

ならば、治療薬を施せばいいではないですか。予防ワクチンを打てばいい。私たち畜産家はそう思います。いや、そう考えない思考方法のほうが首を傾げます。なぜ、病の家畜を救ってはならないのか?すこしでも楽にしてあげられないのでしょうか?

この理由は公式に次のように説明されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB
  1. 感染の診断が不可能になるので、その後の予防が著しく困難になる。また、感染した動物と抗体の区別がつかないので、ワクチンが投与された個体が生きている間は、輸入再開の許可を出さないケースが多く、産業への長期的打撃が大きい。
  2. 100%の効果がないので、感染源になったり偽の安心を生む。
  3. 日本での使用例がなく不安である。
  4. 日本にきちんとした在庫がない。
  5. ワクチン接種された動物は食品に使えない。
  6. 接種範囲の決定が困難である。

これらの発想の根底には、日本がこだわる「清浄国」思想があります。ワクチンを使えば、日本は常に伝染病がある「非清浄国」とみなされるという恐怖です。非清浄国になれば、清浄国に食肉を輸出できなくなり、逆に非清浄国からの輸入食肉にも文句を言えなくなってしまう。そんなこと先進国としてカッコウ悪いじゃないか、とだいたいこんなことです。

この恐怖心というか、見栄というか、現場知らずの学者バカというか、針小棒大というか、大艦巨砲主義というか、ことの軽重を知らずというか・・・まぁいかにも学者が考えそうなことです。

そして現実には私たち畜産農家ではなく、防疫学者が国に対して発言力を持ってきました。

そして「清浄国」という優生学もどきの過激な家畜伝染病防疫制度が作られました。私は口蹄疫を、制度対象指定のウイルス病疾病から除外して、現実に即した柔軟な方法に転換すべきだと思います。さもないと、今回でわかるとおり地域経済や畜産農家に打撃があまりに巨大だからです。

口蹄疫がいったん発生すれば、地域の牛や豚を根こそぎ殺処分にするしかないような硬直した現在の家畜伝染予防法を修正していくべき時期に入っています。家畜防疫制度を見直し、適切な方法で予防ワクチンと対処薬を使用可能にすべきです

さもないと、このような昨日の現地からのメールにある悲劇を再生産しつづけてしまいます。

・・・口蹄疫が発症してからというもの、父は今まで抑えていた餌の量を以前の量に戻して、「殺処分されるのは分かってる、でも最後までおいしい餌をおなか一杯食べさせてあげたいと。やはり悲しげな顔でやり続けています・・・

このことについてもう少し続けたいとおもいます。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

外国では先進国を含めワクチンは使用されているのですね。私の疑問は

1.どんなワクチンでも100%効果のあるものはないのに、口蹄疫ワクチンのみ忌避する理由が不明。

2.日本での使用例がないのでその効能に疑問を持ち使用しないのであれば、どんな医薬品でも、永遠に使用できない。

3.在庫がないなら、持てばよい。

4.外国では食用の家畜にもワクチンを使用しているのであれば、日本でも食用に供しても安全なのでは?

5.欧米先進国の基準に合わせれば問題ないのでは?

食肉の輸出実績は僅かで、他国での評判を気にする必要はないのでは?BSE騒動でも明らかにされましたが、そもそも日本は国際基準の牛肉の安全検査の認定さえ受けてません。

東南アジアでは、この病気の家畜は屠殺せず漢方薬で治療し完治させていると聞きましたが、実情はどうなのでしょうか。

投稿: ほんだ | 2010年5月14日 (金) 20時47分

はじめまして・・・。今回の発生は最初から現在の制度のも問題点の悪い面ばかりが裏目に出ていると思います。
①6例目の発症農家が「3月30日」の時点で熱もないのに下痢しています、と申告が有ったのに口蹄疫を疑わなかった。(血清検査は実施しましたが、ヨーネー病などしか検査申告しなかった)
②1例目が4月20日に目に見える症状が出ていたため(感染後期)、初めて1例目となった。しかし、疫学調査で1例目の農場主が6例目の農場へ乳製品製造の仕事に行っていた事が判明。慌てて6例目まで情報をさかのぼる。前述の3月30日の保存された血清検査検定を再度口蹄疫鑑定に送付。すぐに判明。
③つまり、最初の感染源が3月30日~4月20日に移動制限がかかるまで、放置されていた事に。
④この4月20日の判明(6例目が3月30日に発症していた事も)しても、なお周辺農家への「血清検査」は実施せず。実態を把握する機会を逃す。その実施しない間に養豚への感染が起こる。
⑤養豚への感染が経済連関係に多いのにも事情が見えます。(一部一般経営農場も有りますが)
経済連所属獣医師と家畜保健所の間で権利争いがこの発生の前から起こっていて、経済連側が指示書の占有を図り、家畜保健所獣医師の往診、通常のオーエスキーワクチンなどの立ち入りを認めていません。結果、牛農家への治療、養農家へのワクチン(オーエースキーなど)を同一獣医師が行う事態になっていました。つまり、口蹄疫感染が始まっているのを知らされていない獣医師が、通常のルーテインとして牛往診・養往診などを続けてしまい、経済連傘下農場に感染させてしまっています。県の疫学調査を詳細に公表されると分かるとおもいますが・・・。
⑥県の対策本部のリーダーシップの欠如。発生地域の中でさえ意見が集約出来ず、自衛隊に早期出動を求めるのも遅れ、赤松農林大臣が来県するまで現在の処分家畜の埋却処分地を確保出来ずにいました。結果5月の連休中にパンデミック状態になり発症から1週間以上も処分が進まない状況を作り出してしまい、発症からそのまま放置された農場の周辺でさらに感染が爆発。川南地域は全滅を待つ状態です。
⑦正式確認が4月20日になってしまい、7例目(4月25日発症)の安愚楽牧場が9例目のえびの市(7例目の発症牧場から4月20日に牛を生体移動。移動した牛から4月28日に発症)という結果に。範囲を県内で広げてしまったのと、隣接畜産県の鹿児島・熊本に感染の危険度を高めています。そのあとえびのでも9例目より800m先の22例目(黒豚子豚生産農場)に感染。子豚の移動先は鹿児島・・・。
⑧処分が遅れている間に起こっている「野外感染」はどう確認するのか?。今回の発症が季節的に収まったとして、再度の感染の可能性が高まっています
⑨とどめが、隣接畜産地域の高鍋町に設置されている家畜改良事業団からの発症。6頭の種牛を無理やり移動させる為に準備立ち入り(5月3日より着々と)した時に汚染物を持ち込んで感染。発症は肥育牛舎(移動した6頭と別棟)と説明されるかもしれませんが。では何故6頭の移動先が当初の西都の第一候補地から当日になって西都市尾八重(判断基準が5km四方に家畜のいない地域。10km以内には家畜が多数存在)に変更したのか?移動実行の時点で、同じ改良事業団の他の牛の異常(まだ血清検査の結果が出ていないため、感染の事実は「関係者も知らない事になっている」。)が分かっていながら実行している。これで感染地域を更に広げた場合の損害は国が認めるだろうか?宮崎県自ら全宮崎県内の家畜全滅させてしまった事にならない事を祈っています。

投稿: 現地 | 2010年5月16日 (日) 17時06分

家畜に感情移入して「可哀相」とか言ってるアホ発見。
口蹄疫は人獣共通感染症です。何時人が発症するようになるか判りません。感染した獣が生きていると呼吸や排泄でウイルスがばら撒かれます。その場で殺して埋めてしまえば感染拡大の恐れは激減します。
昔奇形の養殖ハマチが話題になったこともあります。インキンの人は風俗店からも追い出されます。

マスゴミなどによるワクチン実施への世論操作は唾棄すべき反日行為です。

投稿: よたろ | 2010年5月19日 (水) 21時50分

アホでええっちゃが!堆肥はしょっぱいんじゃ!

投稿: みやざき | 2010年5月19日 (水) 23時13分

>「清浄国」という優生学もどきの
世界規模のシステムですから、あなただけがどうこう言っても何もなりませんよ。
幼獣の死亡率が減るわけじゃないですし。

投稿: | 2010年5月23日 (日) 12時18分

2010年5月23日 (日) 12時18分さん
新型インフルエンザの時周りはどうでした?あっという間にマスクが店頭から消え去り、製造委託国の台湾からの入荷待ちしたよね。あなたもタミフルやリレンザの事が気になったでしょう。わが身はかわいいでしょう。気持ちはそれと同じなんです。目に見えないウイルスが襲いかかって来ているので、現地では何か出来る事はないか、家畜たちが1頭でも生き残れる様に何か少しでも効果のある方法は無いか、やってるんです。ワクチン接種対象に決まっても(殺処分が決まっても)。そんな状況なんです。誰も言わないと伝わらないし、何が起こっていたかを出来るだけ分かってもらって、今回の様な悲劇に行きついてしまわない様に
皆で考えて欲しいです。
2010年5月23日 (日) 12時18分さん

投稿: みやざき | 2010年5月23日 (日) 22時20分

よく、書いて下さいました。
ありがとうございます。沢山の人に読んでもらいたいです。生きものを食べている、ということを改めて考えさせられました。

あと、1つお伺いしたいのですが、治癒後の状態は
ずっと改善されないのでしょうか? 
仔牛に関しても、先にワクチンを使うようにしても
それほど高い(50%程と聞いています)のでしょうか?

投稿: 栞 | 2010年5月24日 (月) 16時45分

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