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2010年5月15日 (土)

宮崎口蹄疫事件その7  現実にそぐわない家畜伝染病予防法がかえって感染拡大をしている

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いろいろなコメントをいただきました。ありがとうございます。現在、ネット界を別にして、地上波、活字媒体などの報道はほとんどない状況です。確かに私自身も当初は、風評被害のためかと思っていましたが、それにしても異様な風景です。

一方唯一気を吐いているネット界も保守系ブログが中心であり、正義感あふれるもののおしなべて「民主党政権打倒」的な政治的論調になってしまっています。


私も民主党政権には大いに懐疑的ですが、ひとりの現役畜産農家として
私には失敗に終わった防疫方法を問う議論がなぜ起きてこないのか、単に赤松大臣の怠慢だけで済ましてしまっていいのか、彼の首を取れば気が済むのかと思っています。もっと事態の根は深いように思えるのです。

さて現在、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)遺伝子診断が陽性だった場合、殺処分をする防疫方針で望んでいます。しかし現実には、宮崎の畜産農家の前々回に紹介した悲痛なメールにあるように、殺処分は獣医師の圧倒的不足(九州地区からの応援獣医師はわずか3名にすぎませんでした)のために大幅に遅れており、現在6分の1ていどが処分されたにすぎません。

つまり、殺処分が間に合わないために待機患畜が1週間以上生きたまま農場に約3万頭もいる状況となっています。(5月8日現在)、特に牛よりも最大2千倍もウイルスを排出している患畜の豚が多く農場に残されていることは非常に危険です。その地域のウイルス濃度を押し上げていくからです。

またこれらの患畜には、長い待機期間中に自然治癒するものも現れると思われます。となると,自然治癒してしまった家畜を処分するという二重の悲劇が起きないとも限りません。もしそのようなことになれば、農家の胸は哀しみで張り裂けることでしょう。

この事態はなにを物語るのでしょうか?それは大型家畜伝染病がいったん発生した場合、特にそれが大型家畜である牛や豚であった場合、獣医師しかその処分が出来ない柔軟性のなさも相まって、殺処分の大幅な遅れをもたらし、それが拡大感染の2次的引き金になる事態が起きているということです。

そうです、殺処分は自然治癒可能な家畜を、治療することもなく放置し、そして殺すだけが防疫という非人道性があるばかりか、現実に起きてしまって初期封じ込めに失敗した伝染病に対しては、殺処分が追いつかないという無力な防疫方法なのです。

私は、今の家畜伝染病予防法があまりに実情に追随していない法律と化していることを指摘したいと思います。この法律は゛昭和26年に制定されましたが、実態は戦前の旧法をそのまま踏襲しています。

戦前の旧法時代には考えられもしなかった国際的な物流が地球を覆い尽くすこの21世紀に、国際的な家畜と畜産加工品の輸出入が船しかなかった時代の法律がそのまま家畜伝染病予防法として生きているのです

また、ありもしない「清浄国」神話があるため、現代のように国際物流が盛んであれば、複雑多岐な侵入ルートがあり、いつどのようなルートで侵入してもおかしくはないにもかかわらず、あいも変わらず、第1例の発生農場(初発農場)はまるで犯人扱いされ、地域で今後生きていくことすらつらい立場に追い込まれてしてまいます。

このような大型伝染病で必ず自殺者が出るのは痛ましい現実です。京都のトリインフルの初発の経営者夫婦の自殺は今でも鮮明に記憶に焼きついています。このようなことを再生産してはなりません。

今回の宮崎のケースでいえば、3月31日の都農(ずのう)町における第1例の水牛農家の診断を、獣医師が誤診してしまい、後に東京の動物衛生研究所で遺伝子検査をした結果、それが口蹄疫だと判定されました。それが4月20日で、実に半月経過しています。

実際は、この20日間の間に感染が川南町で牛を中心に拡大していったものと思われます。東国原知事が「この瑕疵を問わない」と言明したことは賢明な判断でした。もし、それを問う態度をみせれば、この農家と獣医師は地域で生きて行けないでしょうから。

ところで、川南町には注目すべき施設がありました。宮崎県家畜試験場です。川南町は畜産の町として全国的に有名で、宮崎牛やはまゆう豚、日向地鶏など数々の強力なブランドをもっています。私たち茨城の畜産農家にはまぶしいような地域でした。その中心の中心の県家畜試験場が爆心地となったのです。

そういえば、日本養鶏業の心臓部であると自認していたわが茨城でも大爆発しましたっけね。メッカ、心臓部ほど脆弱なのかもしれません。だから、深刻なのです。私が単に政局で語ってくれるな、と言うのはそこにあります。

川南町の県畜産試験場(県試)で豚に口蹄疫の感染が発見されたのは4月28日でした。これは「あろうことか」と枕詞をつけねばなりません。県家畜試験場(県試)は、その県のブランド畜産品を作成する本尊です。とうぜんもっともウイルス・セキュリティは最高度のものを持っていなければならないし、ここにウイルス侵入されたらシャレにもなりません。そんな場所です。

しかし、この県試が川南町の豚感染の初発なようです。県試のウイルス・バリアーを超えて侵入するルートなど、平々凡々たる私のような畜産農家には想像もつきません。

しかしこの県試の豚感染こそが、今回の宮崎県口蹄疫パンデミックの地獄の釜の蓋を開けたのでした。ならば、県の公的機関たる県試の社会的責任を問わないわけにはいかなくなります。そのあたりのニュアンスがあっての知事の「瑕疵は問わない」発言と解したほうがいいようです。

私は、県試という獣医師資格を持つ公務員によって運営されている実験目的の農場ですら、ウイルス侵入を許したという事実が、この家畜伝染病予防法の虚構性を現していると思います。

ならば、現実に生産し生活している私たち農家は、更に複雑なウイルス侵入の地下茎で結ばれているのです。それはあるいは牛が食べる粗飼料の輸入ワラ一本かもしれないし、あるいは働いている外国人労働者の靴一足かもしれません。

考え出したらきりがないぼど、感染ルートはありえます。それをひとつひとつ全部潰せますか?今回の侵入源はおそらく中国か韓国であることは間違いありません。私たちの茨城トリインフル事件では、なんと中米グアテマラのウイルス型をもっていたために、グヲテマラ人が働いていたかの調査まで行われたのです。

外国と完全に経済社会的、そして人的な交通を遮断できるのでしょうか?それを私たち畜産農家だけがしろとでも言いますか?

ちょうど一昨年前でしたか、新型インフルエンザの水際防衛を叫んだ厚労省が、いくら国際空港で防疫体制を敷こうと、結果としては続々と国内感染が見つかったことを思い出します。

ではあの成田空港のサーモグラフィまで使った防疫体制はなんだのでしょう。茶番じゃないですか。新型インフルエンザは厚労省の「清浄国」というありえない幻想を軽々と乗り越えて蔓延しました。厚労省のパーフォーマンスだったのです。

かつて「らい予防法」という法律がありました。これは法律が作られた時代の知見の水準でできていました。そしてこの過てる「らい予防法」のために、ゆえなく多くの人々が社会的隔離をされました。

私にはこの家畜伝染病予防法も同じにみえるのです。

■訂正 都農は「ずの」ではなく「つの」だそうです。お恥ずかしい、地元の皆様すいません、訂正します。ちなみにわが市は「行方」ですが、読めますか?「ゆくえ市」?、「なめかた市」?いずれもブーっ。「なめた市」です。

■ 口蹄疫問題が大きくなりそうなので、新カテゴリーに加えました。

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コメント

都農はつのです

5月16日の農水省、学識経験者のプレスに関して・・・。押し並べて「現在の対処方法により大きく範囲は拡大せず封じ込めに成功・・・引き続き現在の封じ込め対処を続ける事で・・・」って、新たな畜産地帯(家畜が多数飼養されている地域)のえびの、高鍋町に拡大してます。さらに管理者さんが説明されている通り、発症発見後の迅速な殺処分はすでに手遅れを通り越して、不可能な状態です。発症確認後7日以上もそのまま殺処分の「順番待ち」です。当然待っている間に新たに近所で発生(感染)させています。
また、発症の進み方を見ていても明らかに「風向き」が影響しています。公式には「空気感染は考えられず、人や物の移動による感染拡大が一番可能性が高い」と言い続けています。現在の封じ込め対策は明らかに失敗しているのに。ワクチン接種に踏み切る段階ではないでしょうか?
少しでも実情が他の方に分かって欲しくて、たびたび投稿しています。

201-0-05-17

口蹄疫発症地区の皆様の無念さ、お謀りいたします。
この病気の伝搬速度は、私の経験では1週間で半径500kmの範囲内に拡大した経験を持っております(南米で、清浄でワクチン摂取試験の施設で、試験を行わず中止・閉鎖となった程です)。
症状とその経過は、死亡率10%以下ですが、感染地区(汚染地域or常在地の乳・肉やその加工品を含め)から、感受性のある動物の全ての生産物は輸入禁止となります(例:日本は中国から、牛や豚の製品は輸入できません)。
症状は、7~20日で消失しますが、ウイルスは体内に残り、精液・血液・唾液・乳・肉など全てで検出され、感染源となります。
この事は、非常な表現ですが、感染群から隔離し移動しても、既に生産した凍結精液や、此れから生産する凍結精液は大変危険な物となり、行政が許可しましたので、第二の人での訴訟問題の様にならない事を祈っており、拡大すると日本全体に広がる危険性を非常に高く持っております(既に、販売されている凍結精液、乳・肉の加工品、感受性のある動物の成〜幼畜への対応.出来れば、回収し焼却処分しなければ、各地での飛び火の危険性大)。
私は、緩衝地帯(幅1~5km)程を設け、家畜や人と車の移動を制限し、野生動物の動きを(封じ込めれば、一番良いのでしょうが、不可能と思います)監視し、浄化する事と思いますし、その方法を模索する事が大切と考えます。

通りがかった者ですが、都農町(つのちょう)です。

日本の畜産農家は、いつから、自分の家畜に病気が出たら行政のせいにするようになったのでしょうか。国に賠償請求ですか。畜産に対する姿勢として、これでいいのでしょうか。家畜伝染病に対する危機感がないのではないですか。家畜伝染病の発生は、生産者だけではなく、地域や畜産製品販売関連への犠牲も大きいのですよ。

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