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2010年5月20日 (木)

宮崎口蹄疫事件 その9   家畜に「感情移入」できない者にこの事件は語れない

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宮崎口蹄疫事件のような大きなパンデミックが起きると、こんなに世の中に防疫学者がいたのか、と驚くほどたくさんのお顔を見ることができます。皆さん、温厚な紳士でいらっしゃるのですが、惜しむらくは歯切れが悪い。

たぶん内心忸怩たるものがあるのではと拝察いたします。というのは、ここまで防疫体制の構築が遅れたことは、単純に赤松さんの外遊や、ましてや最初に診断した獣医師の責任にできるほど単純なことではないからです。

それは防疫学者がいままで否定してきた、「清浄化にワクチンを用いてはならない」という大原則を、「ワクチンを用いても、接種した全頭を殺処分すれば、3カ月後に清浄国に復帰できる」という抜け穴ですり抜けようとしていることにあるのかもしれません。

しかし結果はどうでしょうか?同じく悲惨です。半径10㌔の家畜は罹っていようといまいと、感染防止ワクチンを打って、その後、殺処分にすると!今の時点での推定で、20万5千頭が殺処分に合います。
たぶん、感染は各所に飛び火しており、この「感染地点から10㌔をワクチン接種の上、殺処分」という方法を今後の防疫戦略とするなら、今の防疫阻止線を超えて出てくるかもしれません。そしてそのつど、まだ発症もしていないウイルス検査で陽性も出ていない完全な健康体の牛、豚を大量に殺していくことになるでしょう。

このワチクチン投与⇒殺処分という方法は、もしこのワクチンと殺処分のコンビネーションが効かなかった場合、とてつもない殺処分の爪痕を残していくかもしれません。

さて、私はあるコメントによると「家畜に感情移入して可哀相と言っている馬鹿者」だそうですが、馬鹿でけっこう。牛の出産を見たことがない者に、子豚に乳を含ませる母豚に、飛び跳ねるヒヨコに対して、私たちがどのような気持ちで接しているかが想像できない人が、この宮崎県の悲劇を「感じ取れる」はずもありません。

宮崎の川南町を中心とする畜産農家は、今の今、ワクチンを与えて殺すためだけに生きている牛に、豚に餌をやっています。出荷することも不可能となり、よしんば殺処分による損害補てんをを得られたり、早期出荷差額分を支給されたとしても、そのようなものは気休めにもなりません。

たぶん恐ろしいほどの家畜農家が、法人が多額の借金を抱え、破綻することでしょう。回復までは2年では済まず、その間の運転資金はとてつもない重石となって、畜産家を押しつぶし、打ちのめすでしょう。

そしてこの間、従業員は解雇されて散り散りになっていきます。町の仕事はなくなり、都市部へと働きにいかざるを得ません。

こんな宮崎のわが同業者たちが、ただ補償金をせしめたいだけで、家畜に餌をやっているとしか思えないなら、あなたは不幸です。私たちは農場から出ていく家畜に、最後の日にも通常の餌を通常どおりの量でやります。

いや、時には一番いい餌を上げるでしょう。そして農場から出ていく彼らに頭を下げます。ありがとう、と。

通常それは出荷という経済行為でした。今日、テレビで若い川南町の畜産家がこう言っていました。

「こいつらが食べてもらえるのなら、我慢できる。うれしい。うちの豚を俺は誇りに思っている。しかし、健康な家畜にワクチンをやってそれから殺す。そんなことはできねぇ」

私はこの「可哀相」という共感の感情を踏まえてから、宮崎口蹄疫を考えてほしいのです。感情に溺れる必要はないが、その「心の芯」とでもいうべき部分がない議論は、いくら理屈をこね回しても虚妄です。

今日は家伝法や防疫体制について書こうと思いましたが、長くなりましたので次回にいたします。

■ブログ2周年を機に、テンプレートを模様替えしました。またまた緑が基調ですが、どうも私は緑色が好きみたいですね。そうしたら、サイド・デザインがやたら下に行ってしまいました。あれあれ。復旧に努力していますので、お待ちを。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

宮崎県内の処分された、される家畜の犠牲が無駄になります。最悪宮崎県内で感染を止めないと!いろいろ有ります本当は。いまだに殺処分待ち(発症済み)の農場の皆さんは、それぞれの発育ステージに合った飼料(授乳期、ミルク・・・)を最後まで食べさせてます。(金銭だけ考えたら肉豚用を与えていればいいんです)。明日埋却(殺処分実行)になるかもしれないのに、明日のえさ配達を電話してます。
どうせワクチン接種後処理・範囲内全殺処分をするなら意味のある段階でないと

濱田さま
川南地区の発生件数は現在確認後追い進行中のため、多く見えますが、既に発症した養豚農場(しかも処理待ち4日目、5日目の状態で)の50m隣や100m目の前の養豚農場には何故か一切発症がまだ見られません。既に微弱な感染を経ているのでしょうか?発症は今日か明日か、と過しながら、ここ数日は隣の高鍋町の感染スピードが加速しています・・・。高鍋町はもちろん強力な消毒・行き来シャットアウトをしていました。あの狭い地域で感染のキャッチボールを繰り返したあと、より活力の有る状態になっていないかと・・・

濱田様
農水の発症事例の発表、不気味、ではないですか・・・。5月20日付け発表147~159件の分がホームページ上に5月20日23時間30分反映。農家からの申し出5月117日~5月19日(同時に検体採取)。陽性判明5月20日。早いといえば早い、でも発症の加速が3ケ所同時にまた早まっている様な・・・。整然と進める方々のはずですが、乱れていませんか。検査件数の急増?
すみません、現在の未発症区間が気になります。

西都で発症確定、都農町の発生北上、門川町が制限区域へ・・・。

健康な牛、豚として育て出荷しても、結局最後は、人間のために殺される。病疫の拡大防止の為といっても、人間の都合の為に殺される。家畜にとっては同じ事です。これを可哀想というのは矛盾してます。日本人は江戸時代まで牛、豚は食しませんでした。動物を殺すことに罪悪感を持っていたからです。畜産事業は日本人には向いてないのではないのでしょうか。どうしても肉を食べたいのであれば、輸入すれば済むことです。

国が具体的な補償金の金額を提示しなければ、ワクチン接種や殺処分は受け入れないと現地の畜産農家は言ってます。これは当に恫喝に等しく、ダダを捏ねる幼児と同じです。5月20日に北海道の畜産農家の方のコメントがありましたが、日本にもこの様な立派な農業者がいらっしゃることを知って救われる思いです。

酪農畜産農家は常に様々な伝染性疾病に晒されています。自分の牧場を守る事を基本に、日頃から細菌やウイルスを持ち込まない、持ち出さない様防疫を徹底する事が必要です。喉元過ぎれば・・・・と言う感覚で10年前の発生による悲惨な出来事を忘れるようでは、可愛い家畜も経営も守る事はできません。家畜に対する愛情があればある程、大切な家畜を守ってやる事が必要なのではないでしょうか?しかし、いくら万全の防疫を行っていたとしても「空気感染」による伝染性疾病は防ぎようがありません。不幸にして発生した場合は、感染拡大を防止する事が「畜主」は勿論、行政やJAなど団体の優先課題です。その1牧場がどうのこうのではなく地区・地域・郡・県単位への感染を食い止める事が最優先です。ここに、家畜への愛情論を持ち込んだら、いたずらに感染拡大を招く事になります。何が優先か、何を優先するか・・その判断は最終的に権限を持ち、金銭的な負担をする行政(国・県)です。畜主の判断を待てば「感情論」となり時間がかかります。時間との戦いである事は誰もが分かっている事ではないでしょうか?昨日のコメントに「300万円出されても・・・・」と書きました。優秀な家畜で、思い入れが強ければ強いほど1,000万円出されてもこの牛(豚)は売りたくない、殺したくない・・と生産者なら誰でも思う事です。長期間かけて改良し愛しみ育ててきた家畜は、正に家族以上の存在かも知れません。しかし、その感情を通せば通すほど時間がかかり、近隣の仲間の家畜に感染拡大するリスクが増す事を忘れてはならないと思います。関係者の身体的精神的苦労は計り知れないものがあると思いますが、可能な限り早期の終息を祈るばかりです。関係団体も支援の為に「署名」や「カンパ」も開始されました。いくばくかの支援しかできませんが、積極的に協力して行こうと思っています。日頃の防疫について、私の町では「家畜自衛防疫組合」があり、組合では有事の際の初期対応の費用にあてる為積立てを行っていると同時に、初動時の消毒作業の為に消毒剤の備蓄もしています。1週間から10日ぐらいは消毒できる準備は常にしています。
今回の発生を受け北海道内では、毎年開催している町村・地区・全道段階の共進会は全て自粛し中止となりました。家畜や人を1カ所に参集するリスクを考慮しての判断です。当然の処置と考えます。管理者さんがおっしゃられる「愛情」は重々理解しますが、家畜への愛情と今後の営農までを考えた経済と秤にかけるわけにはいきません。世界最強の悪性伝染病の発生時には、何を優先するかです・・・・

でも、ビンタが悪いんで、2010年5月21日 (金) 07時55分、には、うまい肉くうな!
 
 北海道さんがおっしゃる通りだと思います。のんびりと想定していなかったのが背景にはあります。ここまで来たら何とか他県へ感染させないで終息させたいと願ってます。頑張れみんな!

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