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2010年6月

宮崎口蹄疫事件 その40 クローズアップ現代・英国口蹄疫緊急対策 第5回 大事なことは簡易検査器材を初動で使うこと!

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今日、私にサッカーの話をしないで下さい。悔しくて寝ておりません。ひさしぶりに試合を見て泣きました。負けていなかったので、いっそう・・・。いかん、ストップ、止め、ここまで!
よくやった、サムライブルー、泣くな男だろう。胸を張って帰って来てくれ!

                                     ~~~~~~~~~~

さて、本日はNHKクローズアップ現代で紹介された(6月4日放映)英国の簡易検査資材を見てみましょう。

できるできないといった次元の話ではなく、ましてや民主党がどーたら、自民党がどーしたのといった生臭い話ではなおさらなく、口蹄疫は短時間に感染を制圧しなければ、拡大が止められません。初動制圧こそ、口蹄疫防疫のイロハのイです。

その場合いつも問題となることがあります。そのひとつが、現場で判断ができないという問題です。これはいままで何度か書いてきましたが、当該の県の家保には口蹄疫だと確定診断する権限がないことです。

ですから、今回の宮崎県のケースもそうですが、感染の疑いがある家畜の血液、水疱上皮、水疱液を採取し、厳重に梱包し、冷凍保存処理した上でた上で茨城県つくば市にある国管轄の動物衛生研究所(NAH )、あるいは海外病研究施設(小平市)に送付します。

動物衛生研では、短時間で結果が出るRT-PCR法で遺伝子診断を行います。これらの研究所は24時間対応となっており、約半日で結果が出るようになっています。

現在では感染の拡大に伴い6月9日の都城市では農水省動物衛生課の獣医による写真判定を行っています。この方法は、4月28日の県畜産試験場の豚486頭の処分時にも用いられましたが、残念ながら飼い主の承諾を得ることが難しいそうでPCR法判定を待ってから処分しているようです。

番組は、英国家畜衛生研究所で開発された口蹄疫簡易検査キットをいくつか紹介していました。これの眼目は、言うまでもありませんが、いつにかかって速やかな判定、速やかな処分にあります。

上記の写真の上から対応測定装置(サーモグラフィ)です。2番目の画像写真には、口蹄疫の特徴である白い部分がヒズメにはっきりと出ているのがおわかりでしょう。

3番目の写真は番組中解説がなく、ただ簡易検査キットとして紹介がありました。たぶん遺伝子診断キットではないかと。お分かりの方、ご教示ください。

これらの器材は実に簡単なもので、類似のサーモグラフィなど秋葉原で売っています。中国などで、新型インフルエンザ流行時にディスコの入り口で客の額にこの機械を押し当ててチェックしている写真を見たことがあります。

わが国で大量かつ安価に調達できるもので、現場の家保の防疫員に支給されていないほうがおかしいとすらいえます。

大事なことはこれらの器材の技術的な水準ではありません。とうぜん日本では技術的にはもっと気の利いたものを作れることでしょう。しかし、そんなことは問題ではありません。問題は、これを初発の初動の判定に用いることを可能にせねば何の意味もないのですあるいは、発生点からの感染動向調査に使用せねば意味がありません

これと同等の器材を今の日本では、多数の感染が出た後の大量に存在するであろう感染が疑われる家畜の感染判定に使用することでしょう。その迅速化でしかありません。まさに本末転倒です。使用するなら、初動です。口蹄疫の極初期に投入するからこそ意味があるのです。

この番組の中でこれらの開発に携わったペイトン博士はこう言います。
「できるだけ短時間で検査をしないと感染が拡大してしまいます」。
このシリーズをお読みの方にはもはや分かりきったような文句ですが、この分かりきったことをしなかったが故の地獄を、宮崎で見たのではないでしょうか。

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宮崎口蹄疫事件 その39 クローズアップ現代・英国口蹄疫緊急対策 第4回 2007年発生時に英政府はどう動いたか?

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色々なコメントをありがとうございました。「ひよこ」さんどうもご職業を間違えていたようですいません。言いすぎたかもしれませんが、私の主張の根本は多少おわかりいただけたでしょうか。懲りずにまたお越しください。

さて、NHKクローズアップ現代「口蹄疫なぜ初動は遅れたのか」(6月7日放映)をテキストにして、英国の口蹄疫緊急対策計画を見ています。(番組前半の今回の宮崎口蹄疫事件に関しては、私のシリーズその21に要約してありますのでそちらをご覧ください)

2001年の第2次パンデミックを受けた英国口蹄疫緊急対策は、2007年に実地テストを受けることとなります。                              ~~~~~~~~~

●2007年9月11日午後5時30分・・・牛を飼う農家ローレンスさんの農場で疑わしい牛が発見された。ローレンスさんのインタビュー「苦しそうにして大量のよだれが出ていたので、すぐにデフラ(DEFLA 英国環境・農業・食糧農村地域省 日本の農水省に相当)の通報窓口に電話をしました」。
●9月12日午前6時・・・デフラの専門獣医師が到着し、直ちに診察。
●同日   午前8時・・・研究所で分析。
●同日  午後12時・・・感染確定。

「ただちに英国政府は発生確認とともに、当該の発生農家だけではなく、全国の牛を移動禁止としました」。(番組ナレーションより)

この全国移動禁止措置は、非常に徹底しており、欧州本土での発生においても英国は全国移動禁止措置に踏み切ります

これにはこの私も驚かされました。これはわが国に置き換えれば、中国、台湾、韓国など隣国で発生した場合においても、わが国が自国内移動禁止をかけるということになります。

英国の緊急対策基準からいえば、わが国が先日、九州地区の家畜市場を再開したのはありえない措置ということになるでしょう。

逆に言えば、全国規模の移動禁止措置は、きわめて短期間で終息できる、せねばならないという英国緊急対策の裏返しでもあります。厳しい移動禁止は取らないが、処分はためらうが、代わりにいつ果てるともなく拡大が進行していったというわが国の状況と好対照です。

また処分に関しても、英国では時を移さず、既に待機していた処分チームが処分を開始しました。処分を誰がするのか、獣医師か、当該農家か、はたまた県職員か、自衛隊かなどという逡巡はまったくありません。専門処分チームがあたります。

この番組中では触れられていませんでしたが、当然のこととして埋却地の準備が義務づけられてしていることが前提なのだと思われます。

このような英国緊急対策でかかった時間は、発生を疑う農家通報から処分までおおよそ12時間でした。
現在は、獣医師診断から研究所に回さずに直接その場で診断をする簡易検査キットや口蹄疫用サーモグラフィ(次回あたりにご紹介します)の開発で更に迅速化していると思われます。

このように英国の緊急対策計画を見ると、たとえば簡易検査キットがあればよかったとか、埋却地が準備してあればとか、処分を誰がするんだ、というようなことはすべてがひとつの部分品に過ぎず、要はこの大きな緊急計画の「流れ」(フロー)の中で理解し、位置づけられなければ意味がないことが分かります。

ですから、もしわが国の政府が英国のこの口蹄疫緊急対策を学ぶのならば、部分を都合よく持ち込むのではなく、丸ごとの体系として研究し、そしてシテスムとして輸入せねばならないでしょう。

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「名無し」氏のコメントに一筆啓上いたします

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先日の「名無し」氏の言説にこのまま私がコメントをしないと都合よく解釈されては困りますので、一筆啓上いたします。

氏はたぶん、それなりの経験もあるブロイラーのインテグレーターお抱え獣医でしょう。すくなくとも、私のようなただの農業者ではなさそうだ。それを前提に書きます。

「名無し」氏のような立場の人に、私は思い当たる記憶があります。茨城県のA鶏園の専属の獣医たちです。

5年前の茨城トリインフル事件でH5N2型トリインフルエンザ・ウイルスを、己が農場に違法接種し、結果茨城県全体を地獄に陥れました。名無し氏のいう「過去のトリインフル発生例は小規模・単独は(略)自己責任だった」とは、いつの事例でしょうか。よもや、養鶏関係者で5年前のこの事件を知らなかったら、それこそもぐりです。

では、あそこで自業自得だったA鶏園を除く、大多数の被感染の農家や小規模零細法人もまた「自己責任」だったとおっしゃるおつもりでしょうか。それこそ氏のいうように衛生観念が希薄な連中だから当然であるとでも。

あれは典型的な「もらい」です。関連車両や鶏糞、廃鶏の移動による感染拡大でした。そしてその感染の中心にあったのが、それこそ「名無し」氏のような専属獣医を何人でも雇えるような企業だったのです。そんな飼養衛生基準トップクラスの企業が、「衛生劣悪な」農家養鶏に感染をうつしたのです。

「名無し」氏はウインドレス養鶏をよくご存じであると思います。ウインドレス(無窓鶏舎)は完全に外部から遮断をした上で、空調管理下で鶏を飼う技術体系です。農場とは名ばかり、まさに工場そのものです。
しかし、あの茨城トリインフル事件では、そのウインドレス、別名「究極の衛生管理畜舎」から感染発症しました。そして隣のウインドレス棟にも感染拡大していきました。最後は自衛隊も参加しての560万羽の殺処分です。

「名無し」さん、なぜですか?おかしいではないですか。あなたの再三のコメントの言い分では農場は「完全隔離」出来るのではなかったですか。個々の農場の衛生管理がきちんと出来ればすべてが事足りる、だから出たのは単なる衛生義務を怠った生産者の自己責任ではなかったのですか。

ならばどうして飼養衛生基準トリプルAに輝き、たくさんの獣医を抱えているような大養鶏企業がなぜ感染爆発の中心にいて、なおかつ、ウイルスを外部へと持ち出したのかまったく説明できないではないですか。

あなたが言うように「完全隔離」なんぞされてはいなかった、それが真実です。これらウインドレス農場群は単に違法ワクチンを打っていただけではなく、裏側には複雑怪奇な感染ルートが存在したのです。

このウインドレス棟は表通に面した所は、大病院の如く清潔に見えました。しかし裏通はウイルスだらけの廃鶏や鶏糞を地域に平気で垂れ流していたのです。それが先に述べた関係車両、鶏糞や廃鶏などの表面には見えにくい複雑な移動経路でした。
私が氏の「完全隔離」など笑止だというのは、この現実を知り尽くしているからです。これでもまだ「完全隔離」をいいますか、名無しさん。

ところでその時、養鶏会社お抱えの獣医たちはどんな所業をしたのでしょうか。獣医師としての職業的良心に目覚めた?とんでもない。違法ワクチンであることを百も承知で、おのが企業可愛さで違法接種に手を染め、その後に露顕しようものなら専門知識を駆使して、あろうことか捜査の目から逃れるための隠蔽工作に奔走しました。

かくして主犯は逃げおおせ、今でも彼らは飼養衛生管理トリプルAを誇る優良企業です。一方、周辺にいた私たち農家は2年間ほどの間打撃から立ち直ることができませんでした。よく自殺者がでなかったものです。

さて、看視できない言辞がありました。「名無し」氏はこう言い放ちます。
> 「今回の口蹄疫のように被害が拡大すれば政府補償となれば、「伝染病が発生すれば周囲にばらまけ」的な考え方が広まる可能性があります」。

どうしようもない品性が疑われる言いようですね。そんな目でお抱え獣医は私たち農家を見ているわけですか。あなたはほんとうに今回宮崎の被災農家が自分のところで出たから、周囲にバラまいて国から補償をとろうとしたと思っているのでしょうか私はこの言葉を許せません。撤回しなさい!
私にではない。今回の宮崎県で廃業の危機に怯えている川南を中心とする児湯の農家に謝りなさい。開拓で入ってもう80を超える、たぶん再起は不可能かもしれないであろう老農夫たちに謝罪しなさい。

あなたが属するご立派なインテグレ企業にとって土地は単なる「畜舎を立てる社有地」にすぎないでしょう。
しかし農家にとって生きる「土地」の意味はそれだけではありません。開拓ならば牛と共に汗水流して木の根を掘り起こすことから始めた「土地」であり、学校に通った、嫁をもらった、子供が出来た、親類のいる、そして仲間がいる「土地」なのです。

彼らは今、すべてを失おうとしています。その彼らにこんなことをしたり顔で言えるあなたのような企業お抱え獣医たちという存在がそら恐ろしいと思います。


そんなあなたがたの同族は茨城では自分の企業のみ助かろうとして違法ワクチンに手を出し、ウイルスを地域に放ち、農家を地獄に突き落としました。

名無しさん、えらそうなことを長々と書く前に、あなたの同族の茨城トリインフルでの所業を知りなさい。すべて話はそれからです。

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コメント欄のルールについて

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昨日のコメント欄に名無しで本文の3、4倍はあろうかという長文の書き込みがありました。いい機会ですので、このブログのコメント欄のルールを申し上げます。
あたりまえですが、このブログは私が私の責任において管理する私のブログです。2チャンネルの掲示板ではありません。また、できるだけ多くの方にコメントをいただきたいと思っています。そのためには、ルール作りが必要な時期になったと思いました。

私はブログ管理者として以下の注意をいたします。

コメントにハンドルネームがないコメントは絶対にお止めください。これは当然のことで、特に論争的な内容を書き込む場合、名無しというのは実に無礼な態度であり、ありえないことであると考えます。
それでなくとも私が実名で書いているブログに対して、アドレスはおろかハンドルネームもないというのは社会的に無責任にすぎます。これではこちらは内容的なことに行く前に読む気を失ってしまいます。

次に、本文記事より長いコメント書き込みは止めてください。これは私が知るいかなるブログでも即時削除対象となりえます。いわばブログの世界の普遍的なルールとでもいうべきものです。
もし、そのような論争的なことを書きたくてたまらないならば、ご自分でブログを作って、その上でトラックバックをしてください。あるいは、私にコメント欄でその旨をコメントください。お約束はしかねますが、記事としてスペースを与えるかどうかその都度判断いたします。

と言いますのは、私には私なりのブログ記事の展開構想があり、今回は英国の口蹄疫対策をシリーズ化しています。画面起こしという手間暇がかかる仕事で、これをその都度論争のやりとりで途切れさすとしたら、一体いつまでかかるか私にもわからなくなります。
今回の長文の書き込みの内容についてのこちらのコメントも、この英国シリーズが終了してから、どこかでまとめてさせて頂くことになるでしょう。お約束はしかねますが。

それともうひとつ、他人がシリーズ化している記事の先回りをしてあらかじめその批判コメントを投稿するという方法は、いかがなものでしょうか。これは社会常識の範疇です。かなり失礼なやり方ではありませんか?


名無し様、私がそうとうにいやな気分になっていることはお分かりですね。あなたのやり方は社会人として疑問符がつきます。内容的には私と同業者のようですし、その丹念な考証も含めて私も学ぶ部分も多々ありますので、もったいないと思います。もう少し常識的にやって下さい。自分の主張を意見の異なる相手に理解させるにはそれなりにやり方があるはずです。

第3に、よほどの重大事でもないかぎり重複投稿はお控えください。「みやざき甲斐」様だけはその現場からの情報発信の迅速性で例外といたしました。ただし、「みやざき甲斐」様も緊急時を除き1回につき2本までと制限させていただきます。

第4に、これはこのところ該当するものはありませんが、野卑な言葉、罵倒的言葉づかいは、内容に関わらず原則即時削除の対象となります。

第5に、私のコメント欄は掲示板ではありません。原則として、ブログ記事を無視しての自分たちだけで情報のやりとりをすることはほんとうは控えて頂きたいと思っていました。
ただし、今回の口蹄疫という重大事件を受けて、いち早く活字化されない情報をこのコメント欄を受け皿にしてやりとりする必要を感じ、口蹄疫というテーマでのみそれを許容しております。
今のところ許容の範囲内ですが、いちおう頭において下さい。

私は今までの記事をお読みの方にはお分かりのように、コメントを大切に扱ってきました。しかし、当然のこととしてルールもあります。本日は英国口蹄疫緊急対策シリーズで書く資料も万全に準備し、内容も定まっていたのですが、あえて差し替えることにしました。

私の悔しい心情をご理解いただけましたら幸いです。

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宮崎口蹄疫事件 その38 クローズアップ現代・英国に学ぶ口蹄疫緊急対策 策3回 口蹄疫確認と同時に中央危機管理委員会を設置

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昨日の新聞報道によれば、山田農水大臣は24日19万9000頭の処分を終え、これで患畜の処分を終えたと発表しました。またワクチン接種による処分予定がまだ3万頭残っているそうです。
また、「農水省の発表によれば、西都市の2農場で発生したケースについて国の対策に基づく早期出荷のため家畜を食肉処理施設に運搬した際に、トラックを通じて感染した可能性がある」とし、「この2農場はいずれも牛の感染の感染の疑いが確認される数日前に、移動制限区域内の都農町の食肉処理施設に家畜を出荷し、その際に同じトラックを使っていたことがという」(以上産経新聞6月25日)。

「日本農業新聞」(6月26日)によれば、口蹄疫で取引を中止していた九州各地(沖縄も含む)の家畜市場を再開しました。再開した家畜市場は以下です。山口県1カ所、熊本県5カ所、長崎県6カ所、佐賀県1カ所、沖縄県7カ所です。

「25日、農水省は西都市、国富町、宮崎市で口蹄疫の発生が19日以降ないことを受けて、清浄性確認確認を28日にも始めると発表」(同上)しました。今回の清浄性確認は、ワクチン接種していない家畜が対象です。

                ~~~~~~~~~~~

さて、英国の口蹄疫緊急対策計画を続けます。
ここまでを少しおさらいしておきます。英国は2001年の645万頭を処分した口蹄疫の大発生を受けて、「口蹄疫の制圧には数時間が重要だ」という教訓が守られていなかったことを抜本的に見直しました。

まず、いままで地方自治体に降格させていた緊急対策の主体を「国に一元化」しました」(NHKグローズアップ現代のナレーション)。また、今までの獣医局のみで止まっていた情報の流れを改め、国の諸官庁、官邸との間での「情報の共有化」を図るシステムとしました。

この対策作りに関わったケンブリッジ大学教授マコーネル博士はこうインタビューで答えています。
「口蹄疫を封じ込めるためにはスピード、ともかくスピードです。1時間の遅れも許されません。関係者がバラバラで動いたのでは根絶できないのです。国が確固として方針をもって臨む
ことが大切です」。

これらの緒官庁、官邸との「情報の共有化」は既に「感染の疑い」段階で始まり、これが「感染確定」なるとデフラ(DEFLA・環境・食糧 農村地域省)を中心として首相、関係閣僚、官僚による「中央危機管理委員会」が招集されます。(上記図版参照・図版は同番組より引用)

これは国家に対するテロと同格の危機管理です。つまり9.11同時テロと同格の対策で英国は臨むと宣言したことになります。いかに英国が口蹄疫を重く受け止めているのかがわかるでしょう。

一方わが国では、国家に対するテロと同格はおろか、「北海道」さんがご指摘のように日本の家伝法では口蹄疫はヨーネ病などと一緒に並列されている有り様です。

いうまでもなく、今回の宮崎の事態をみれば明らかなように、口蹄疫はわずか数日で発生農場内で感染し、たちまちその地域、市町村、県を呑み込んで行きます。一県の経済を破壊し、被害は数千億円にのぼります。また、対策を誤れば、全国に波及し国全体の農業に巨大な損害を与えます。


ときおり、「今回の口蹄疫は特別に強力で、予測を超えた事態だったのだ」という不可避論が見受けられますが、そもそも口蹄疫緊急対策計画というのは、「予測を超える事態」に対処するものです。簡単に「想定を超えて」しまうような危機管理対策指針など、なまじあるだけ現場の手足を縛ってしまうので作らないほうがいっそましなほどです(←ちょっと言い過ぎ)。

NHKの同番組内で帝京科学大学・村上洋介教授授は、「想定を超えた感染の拡がりにどう立ち向かうのか」が重要だとした上で、その「備え」を作る前提として、誰が責任を持つのか、国か、県かが明確にせねばならないと述べています。

また同番組内で取材したNHK科学部記者は、日本では国の動物衛生研究所に匿名を条件で口蹄疫の疑いがある検体検査が年に何度も持ち込まれていると言います。これは、今の防疫指針では「感染確定」がされた場合、対策本部を県が立ち上げが義務づけられているために、大事になることを嫌うケースがあり、潜行してしまうケースがあるのではないか、と話ています。

同様に番組では、農家からの協力が得にくい理由として、「処分に対しての補償が確立していない」ことを上げていました。確かに特別措置法は補償に対して対策をまとめましたが、2年間の時限立法にすぎません。

英国は、国が一元的に責任を持つ立場に立ち、通報もデフラの専用窓口にいつも通報できる態勢を作ってきました。処分に対する補償金についてはあらかじめ国による査定人が組織されています。これについては後の回で詳しく触れます。

では次回、具体的2007年の発生事例を見る中で、どのように緊急対策計画が現実に動いているのか見ることにしましょう。

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宮崎口蹄疫事件 その37 クローズアップ現代・英国に学ぶ口蹄疫緊急対策 策2回 英国緊急計画の初動対応

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サムライブルーが決勝Tに進出しました。よもやこんな素晴らしい勝利を得られるとは思いもよりませんでした。一試合、一試合どんどん強くなっている!こんな嬉しい土下座はありません。ごめんなさい、岡田監督!そして選手たち!私はこの日本のセレソンを誇りに思います。世界は驚愕したことでしょう。ここまで来たらベスト4に入ってもっと驚かしてくれ!
ほんとうはこの特集をしたいくらいですが、今日はぐっと禁欲して、話を進めていくことにしましょう。

さて、2001年の第2次口蹄疫パンデミックを受けての英国政府の検証報告書はこう指摘していました。
緊急時の対策は用意されEUでも合意されていた。
②しかし、情報は獣医局に限定され、省庁や内閣で共有されていなかった。
③また訓練も行われていなかった。

ではこの反省を踏まえて、英国の口蹄疫緊急対策計画を日本と比較しながら、検証してみることにしましょう。

英国と日本の口蹄疫緊急対策のもっとも大きな差は、英国においては「国が直接に対策に当たることを明記している」ことです。(NHKクローズアップ現代のナレーション)

英国の口蹄疫緊急計画では上図(同番組より引用・以下図版は同じ)のように、疑わしい事例が出た場合、その通報はDEFRA(デフラ・英国環境・食糧・農村地域省)の通報窓口に直接行く仕組みとなっています

一方わが国では今回の最初の事例の場合の流れはこうでした。
[農家]⇒[地元民間獣医]⇒[県家畜保健衛生所]⇒[国動物衛生研究所]⇒[県]

また、第1頭目が単独で出たために、第2頭めが出るまで16日間かかり、その段階まで口蹄疫の可能性のまま留保されることになってしまい(*往診は継続されています)、いっそう確認が遅れました。これが第1例が口蹄疫と確認されるまで、なぜ20日間もかかったのかという理由です。

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それでは、この事例が口蹄疫と確認された場合、英国の緊急対策計画ではどのような次のステップに入るのでしょうか。通報を受けたデフラは、関係省庁である家畜衛生局、保健省、外務省、そして首相官邸など30箇所以上の組織に電話で連絡をとります

日本の今回の場合は、動物衛生研究所で口蹄疫が確認された段階で通報を受けたのは県以外では農水省消費・安全局で、おそらくは首相官邸や他の省庁に連絡されることはなかったと推測されます。

また、現在の日本の政権与党の民主党の「政治主導」という空疎なスローガンの元に、農水省内では官僚が徹底的に干されている状況もあるようですし、農水省内部ですら円滑に情報をトップに上げるパイプが詰まっていたと考えられます。

まして他の省庁に通報するなどは農水官僚の頭をよぎることさえなかったでしょう。さもなければ、4月20日に口蹄疫を確認して、その8日後の28日に防疫対策最高責任者の農水省トップが外遊を予定通り行うなどというのはまさしく狂気の沙汰です。

しかし、これを赤松前大臣の失政と批判することはたやすいことですし、実際言い逃れが出来ないような失敗であることも事実ですが、それを「可能としてしまった」硬直した現行システムが存在したこともまた事実なのです。

かくして、官邸には情報は届かず(仮に届いても普天間問題で機能不全だったでしょうが)、口蹄疫を封じ込めるための国道の管理統制、空港などの消毒体制に権限を持つ国交省はわれ関せずを決め込み、外務省、厚労省などは知ったことかといった状態となります。

つまり、政治的批判で言っているのではなく、口蹄疫事件においては「日本に政府はなかったも同然の状態」だったといえます。一方、英国口蹄疫緊急対策計画のシステムがもっとも力を注いでいる点は、この省庁間、首相官邸との一刻も早い「情報の共有」です

日本になかったのは、単に口蹄疫を現場で検出する簡易機材だけではなく、いかに政府が情報をいち早く共有し、時間単位で進行する口蹄疫を撲滅するために国家を上げて動く危機管理体制そのものだったのです。

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宮崎口蹄疫事件 その36 クローズアップ現代・英国に学ぶ口蹄疫緊急対策 策1回 英国の失敗

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上にアップした写真は、NHKクローズアップ現代「口蹄疫初動はなぜ遅れたのか」(6月7日放映・前半については「その21」を参照ください)http://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=63680187&blog_id=610475の後半部分、英国の口蹄疫対策に登場する、英国の口蹄疫緊急対策計画です。テレビから撮ったので、写りが悪いのはご容赦ください。

この番組を通じて私は英国が苦闘の末に辿り着いた口蹄疫緊急対策を学んでいきたいと思っています。英国のこの緊急対策計画は、EU各国、韓国、そしてFAOのマニュアルにも反映されているいわば世界の口蹄疫防疫のスタンダードと言って過言ではないでしょう。

実は英国は、畜産伝染病大国でした。これはたぶん畜産に関わる人なら誰でも知っていることですね。養鶏なら人に死者すら出させる感染症のサルモネラ、そして牛では世界を震撼させたBSE、そして口蹄疫。

いずれも現代世界を代表する家畜伝染病や感染症です。不名誉なことに、これらの世界への震源地はいつも英国という汚名を被ってきました。

口蹄疫では、EU諸国にまで飛び火した2001年の大流行があまりにも有名ですが、実はその前にも1967年11月イングランド中部のシュロプシャー州で、40万頭もの殺処分を出し、のべ44万人の軍隊を出動して7カ月間かかりようやく制圧した事例があります。

この第1次口蹄疫パンデミック・シュロプシャー事件で生まれた苦い教訓が、あの有名な「初期対応のスピードこそがすべて」という鉄則でした。

しかし、どこかの国ではありませんが、この教訓は英国では生かされることなく、防疫対策はサッチャー政権の「小さい政府」政策の中でむしろズタズタにされて後退していったのでした。

サッチャー保守党政権がした「事業仕分け」は、従来政府がしていた防疫業務を地方行政機関に降格させるという方針でした。予算、要員も大幅に大ナタが振るわれました。これが今のもう一方の防疫の流れである地方行政に代行させるか、民営化させるという方法です

そのシッペ返しは、2001年2月イングランド東部エセックス州から始まる第2次口蹄疫のパンデミックの大津波として、英国のみならずEU諸国までをも呑み込むことになったのです。

原因は、どこかの国とまったく同じで(しつこい)またもや「初動の遅れ」でした。21万人の軍隊が出動し処分にあたり、実に650万頭もの牛と豚が殺処分になりました。

当時のブレア労働党内閣は、予定されていた総選挙を取りやめ政治休戦に入り与野党を上げての制圧に乗り出したにもかかわらず(ここはどこかの国と違う)、終息したのは翌2002年1月ですから、ほぼ1年間かかったわけです。

影響は、今回の宮崎県と同様に畜産のみならず観光業などまで含んだ地域経済総体を直撃しました。被害総額、実に1兆5千億円に登ると言われています。

この2001年英国口蹄疫に対して、これを検証した政府報告書は、こう書いています。
緊急時の対策は用意されEUでも合意されていた。しかし、情報は獣医局に限定され、省庁や内閣で共有されていなかった。また訓練も行われていなかった」(産経新聞より引用)

国の防疫業務を地方行政に降格し、予算をカットしまくり、初動が遅れ、その状況を一部の獣医部局しか把握しておらず、情報の省庁間や内閣での共有がなされず、拡大を止められなかった。結果、巨大な被害を出した・・・まさにわが国がこの2カ月間経験したことそのままです。

英国はこの2回に渡る大きな失敗から学びました。まぁ3度も世界に大迷惑をおかけした家畜伝染病を出せば当然ともいえますが。その結果できたのが、冒頭写真の「英国口蹄疫緊急対策計画」です。

次回からこの内容に入っていきます。

■追記1 篠原現地対策本部長が「18日以降発生がない、終息の方向だ」と言っております。ほんとうにそうならばほんとうに嬉しいのですが、どうなりますか。
■追記2 農水省が口蹄疫防疫マニアルを改変しました。「えびの方式」を取り入れたようです。折りを見て検証したいと思います。

■蛇足 韓国が決勝トーナメント入りを果たしました。おめでとうございます。同じアジアのというより、決めたのがわが鹿島のイ・ジョンスです。あいつ3試合2得点だぜ。さて、わがサムライブルー、明日は3時半から大興奮です。ブログ力尽きて更新できますか、どうですか。 

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宮崎口蹄疫事件 その35    英国が2001年のパンデミックを真剣に反省した勇気に学びたい

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多くのご意見をいただきまして、ほんとうにありがとうございます。このブログは朝5時くらいに書き始めるのですが、書く前にいただいたコメントをしっかり読まして頂きます。ケチョンケチョンにされたコメントですと、意気消沈します。皆様、わが農場の生産性のためにぜひお優しいお言葉を(笑)。

このブログのコメントの特徴は、たぶん実際に現場に立つ農業者やその関係者が多いことではないでしょうか。特に口蹄疫をもうかれこれ35、6回連載し続けてきましたので、現役畜産家からのコメントが急速に増えてまいりました。ですから、内容的にも高度なものが多く、私もうろ覚えで書かず、論拠と出典を必ず明示するようにしています。

他のブログではひと頃口蹄疫が花盛りで、やれ「赤松口蹄疫事件」だなどとお祭り状態でした。その記事やコメント欄を読んでも、ひたすら前大臣を攻撃するばかりで、内容ははなはだ空疎なものが多かったような気がします。ああ、この人たちは、口蹄疫を政治的焦点だけでしか見ていないな、すぐに飽きるなとため息が出ました。

実際、昨日の9党首討論会でも口蹄疫の「こ」の字もなく、政治家たちが早くもこの巨大な悲劇を忘れかけていることが分かりました。政治家にとって、口蹄疫はとりもなおさず単なる補償金の問題以上でも以下でもなく、なぜ、いかなる理由でこのようなパンデミックが起きたのかということは封印されようとしています

再発防止というあまりに当然な視点が、政治的な渦の中に呑み込まれていこうとしていることは看視できません。たぶんこのことを追求すると、県には県の、国には国の弱みとでもいうべきものがあり、この政治の季節にそれをさらけ出すのは得策ではないと考えているのでしょうか。

そのせいかどうか、今、私が知るかぎり口蹄疫の防疫体制そのものに内包されている矛盾点や本質的欠陥を論じた論調は少ないように思えます。もちろん私の知る狭い範囲ですので、防疫学者や関係者の間ではとうに論点になっているのかもしれませんが。

私はいちおう畜産歴27年の現役農家ですが、畜産や疫学の専門知識にも乏しい浅学非才なひとりの国民でしかありません。しかし、この宮崎の巨大な悲劇をこのままなんの総括もされずに、補償金をもって解決となす、清浄化をもって終結とするが如き流れには抵抗感を覚えます。

そのような終結をすれば、断言しますが、必ず再発します。それは私の県かもしれないし、あなたの県かもしれません。

私は英国がかつて2001年のパンデミックを真剣に反省した勇気に学びたいと思います。

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宮崎口蹄疫事件 その34 口蹄疫緊急対応が県と国の二重構造なのが問題だ

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先日のコメントにあった「口蹄疫問題が早期解決することなど夢みたいなこと」という言葉にひっかかっていました。たしかに一面そのとおりなのです。

私は、かねてから数日どころか、数時間以内の緊急対応をしろ、と主張してきました。この「数時間以内」という表現は私が作ったのではなく、この間私が再三引用しているFAO(国連食料農業機関) Animal Health Manual(FAO口蹄疫防疫指針)の第6章「口蹄疫緊急時に対する早期対処緊急時計画」に記されている文言です。(訳文は岡本嘉六鹿大教授・訳文はこちらから)
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Contingency%20Plans%20CHAPTER%206.htm

この第6章冒頭部分の「疫学的特徴」にはこうあります。
効果的であるためには、決して数日ではなく、数時間以内の活動が成功を左右する。可能な限り短時間で制御措置を講じなければならない」とあります。

では、現実に今の日本で口蹄疫に対して発生から「数時間以内の対応」が可能なのかと言えば、民主党がやろうが、自民党がやろうが無理です。あえて言うなら、民主党のほうがより無理です。なぜなら「政治主導」と「素人主導」をごっちゃにしているからです。

というのは、口蹄疫との戦いはかぎりなく「戦争」、あるいは「災害救援」に近いジャンルだからです。英国や韓国が「国家に対するテロ」と同等の重さで口蹄疫と闘うとしたのは、言葉のアヤでも単なる決意表明でもありません。こんな「戦争」を素人に指揮を取らせたら、結果の悲惨は目に見えています。現にそうなりました。

ですから口蹄疫対策には、テロに遭遇した緊急時の国家対応と同様に、一元化された指揮命令系統が貫徹します。まさに司令部と現地部隊との上意下達関係なのです

これについて先のFAOマニュアルは第8章「緊急事態対策期間中の組織配置」でこう書いています。(訳文は同上・こちらから)
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Contingency%20Plan%20CHAPTER%208.htm

「緊急事態において、利用可能なすべての情報分析に基づいて、迅速に決定を下す必要がある」とした上で、「国の獣医療組織本部から(略)現場と試験場のある最前線まで情報と命令が直接伝達されるとともに、現場の情報が本部にフィードバックされる効率的な仕組みが実行されねばならない。」

そしてその本部の命令を出す者に、「決定を命令に換える資格が不可欠である」としています。そして「緊急事態の期間を通じて国の獣医療組織は、この命令系統、あるいは指揮シテスムの下におかねばならない」とします。

この緊急時の命令系統のトップに立つのが、FAOがいう「首席獣医官」(CVO/Chief Veterinary Officer)です。CVOは「口蹄疫緊急事態に対する事前準備と管理についての総合的な技術責任者」です。

所轄大臣(日本では農水大臣)には最終責任がありますが、この緊急時の技術的な命令・指揮系統のトップではありません。この指揮命令系統の不在こそがこの宮崎口蹄疫事件で日本が犯したある意味もっとも深刻な失敗でした

日本の場合、そもそもこの首席獣医官」に相当する部署はありません。というか緊急事態に対応する指揮・命令系統そのものがスッポリと抜けており、防疫指針や家伝法などはあっても、その権限者が県知事であったりしているわけです。

実はこのことにもFAOはマニュアルで触れています。
「近年、多くの国の獣医療組織が再編されるか、縮小された」と書きます。これはサッチャー保守党政権の失敗を指摘しています。

サッチャー政権では膨らみすぎた国家財政赤字を建て直すために、従来は国が管轄していた獣医医療分野においても、大幅な民営化や地方委託がなされました。その結果、ドカンと来たのが、あのBSEやサルモネラの世界的流行の発生であり(*両方とも英国が発生源)、そして2001年の口蹄疫大流行だったのです。

これに対しての深刻な反省から、このような地方委託や民営化は、口蹄疫などの強力な感染症と闘うにはふさわしくないとFAOは強く指摘しています。

ところが、日本においては英国やFAOの口蹄疫対策はなにひとつ学ばれませんでした。サッチャー政権と同じように口蹄疫対策を政府業務から降格し、県行政への名目的な委譲をしてしまいました
また実務を県家畜保健衛生所(家保)に移管したにもかかわらず、肝心な口蹄疫の疫学的「確認」は国管轄の動物衛生研究所でしかできないなどという、実務と決定の二重構造も生み出しました。

今回なにかと国と知事がゴタゴタし、非難合戦になってしまったのは、単に前大臣と知事の強烈なキャラクターにのみ理由があるのではありません。
名目だけで口蹄疫の防疫準備の予算配分もなければ、疫学判定の機材も権限ひとつなく、国道ひとつの交通統制も出来ず、現場の実務執行権の線引きひとつでも揉めるような緊急対策のあり方そのものに問題があったのでした

この典型的な一例が、種牛の処分問題でした。本来これは発症した種牛と同一の畜舎にいた牛すべてが無条件に処分対象とされるべきところを、県知事は「殺処分命令権者は知事である」という家伝法を錦の御旗として執拗な抵抗をしました。

種牛を和牛王国宮崎の至宝として守りたい気持ちは重々分かりますが、これでは一般所有牛と県所有牛の二重規範になってしまいます。本来やってはならないことです。しかし、これが法的には出来てしまうというのが、日本の口蹄疫対策のねじれをよく象徴しています。

私は、この事件を、国が悪い、いや県が悪い、民主党が悪い、いや違うといった低次元ななすり合いをするのではなく、著しく遅れた日本の口蹄疫防疫体制の抜本的な見直しの糧にすべきだと思います。

管直人総理は宮崎県で、「国家の危機」とまで言い切ったのですから、単にカイワレを食うようなパーフォーマンスではなく、きちんとした国が責任をとりきる口蹄疫緊急事態体制を構築していただきたいと思います。

■追記 川南町の埋却作業が終了したとのことです。ほんとうにご苦労さまでした。一日も早い再建をお祈りします。

■写真 霞ヶ浦の堤。


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宮崎口蹄疫事件 その33  農場は宇宙ステーションでも、大学の実験室でもない コメントにお答えして

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ふたつのコメントにお答えしておきます。ひとつは「口蹄疫ウイルスは宿主から離れて生存しえないので、排水中で生きられるのか」というご意見です。また、「農場の防疫は隔離が第一だ。獣医師の発生動向調査も危険だ」というご意見です。

これらのご意見は、宮崎市跡江地区の排水からの感染拡大がありえた可能性を指摘した前々回(その32)の記事に対するご意見です。
私は排水ルートは、あくまで可能性のひとつだと思っています。しかし、私自身が当事者として経験した5年前の茨城トリインフルエンザ事件において、下水路は水海道地区において感染ルートになったことからみて、最終判断はやがて発表されるであろう疾病小委員会の報告書をまたねばなりませんが、私としてはありえる伝播経路だと考えております。

この茨城県水海道地区は、いわゆる養鶏団地で、養鶏場が密集している地域です。ここにトリインフルエンザH5N2型という強力な感染力をもつウイルスが廃鶏によって持ち込まれ、そこから鶏糞を媒介とする下水と人の移動、車両によって蔓延しました。

また鶏糞の移動を通じて、他の地域にも伝播し、茨城県下で実に560万羽もの殺処分を出した悲惨な事件でした。自衛隊も出動する大事件であったにもかかわらず、マスコミには無視され、一般国民がほとんど知らないままに終始した事件でした。

さて、FAOのAnimal Health Manual(2002)は口蹄疫の国際的な防疫指針が書かれているものです。この第2章に「この疾病の特徴」が述べられています。(岡本嘉六教授の訳文と解説はここから)http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Contingency%20Plan%20CHAPTER%202.htm

この第2章に「疾病の伝播」というセクションがあり、こう述べられています。要約すれば
直接接触・・・感染動物と感受性をもった動物との直接的接触による伝播です。飼育密度が高かったり、家畜のセリや家畜展示会などで媒介されて伝播していきます。

間接的な伝播・・・口蹄疫ウイルスは、感染された分泌液、排泄物(唾液、乳、糞便、尿など)で汚染された飼料、敷料、機材、家畜の係留場所、車両によって容易に伝播されます。またこのセクションには「獣医師や作業員もリスクがある」としています。

ウイルスに汚染された肉片、乳製品による伝播・・・航空機などから出される残飯による国際的な伝播。ちなみに、現地対策本部が進めている早期出荷には、同業者として経営的に納得しますが、ウイルス伝播の可能性からみれば疑問が残ります。

風による伝播・・・温帯地方では国際的に確認されています。一般的には半径10㎞ていどと言われています。一般的な伝播パターンは、増幅動物(*豚は牛のウイルスを最大3千倍まで増幅して放出する)である豚から風下の牛に伝播していきます。ただし、風の伝播は、そのときの湿度、地形などにも左右されます。

人口繁殖・・・人工授精の精液による伝播です。ただし国際胚移植学会(IETS)の手順に従って衛生的に採取された精液はリスクにならないとされています。

また同第2章には、「ウイルスの残存」というセクションもあり、そこでは「乾燥した糞便中ではウイルスは14日間、冬季のスラリー(糞尿感濁液)では6カ月間、尿中で39日間、秋季の土壌表面で29日間、夏期の土壌表面で3日間生存できる」とされています。

長々と専門用語を連ねて申し訳ありません。コメントされた方もご存じのようにウイルスは生物ではありません。タンパク質を自ら形成することができず、宿主に寄生してしか生きることができない原初的存在であることが一般的に知られています。

では、なぜ感染が拡大するのでしょうか?自然宿主同士の濃密な直接接触がない場合でも多数発生しているのはなぜでしょうか?

その理由が上記のFAOの防疫指針第2章です。ここが、おっしゃるように「完全に隔離する」ことが可能な宇宙ステーションか、あるいは大学の実験室(クリンルーム)ならそれも可能でしょう。現実には、農場は社会的な活動をする経済活動の単位です。ぶっちゃけていえばガサツな存在です。

大学で疫学を学んで獣医師免許を得た若者が、現実に家保に配属されていちばんとまどうのはここでしょう。ナンセンス、農家はレベルが低い!と決めつけてなんとかなるならそもそも家保はいらない。

私が何度も書いている伝染ルートの3要素は、一に糞尿、二に車両、三に人間です。その他、昆虫、野鳥類、野生偶蹄類、風などがあるでしょうが、現実問題としてそれらの可能性はやや低いと思われます。私は畜産の実務家として、まず上位3番目までくらいまでを厳重に管理し、それ以外に関しては注意するていどになると思っています。風媒介など農場をドームででも覆わないかぎり防ぎようがありません。

跡江地区での下水道に糞尿が流出しているかどうかは、私も確証がありません。ただ、人口密集地区での畜産農家が、一次処理をせずに直接汚水を下水道に流すことは考えにくい以上、農場内から出た一次処理済排水に糞尿含有ウイルスが残存し、それが下水路に流れ込むことはなしとは思えません。

私は汚水処理から漏れ出た微量の糞尿に残存するウイスル伝播の可能性を指摘しています。これは先に引用したFAOの防疫指針の「間接的伝播」に相当します。

そして口蹄疫ウイルスは、糞尿中にFAOによれば、14日間もの間宿主なしで生存することが可能です。多くの養豚農家が使っているスラリー処理施設ではなんと6カ月間もウイルスは残存するのです。

コメント氏は、いきなり農場の汚濁した糞尿が下水路に流れ込むことを想定されているようですが、そんな「稲が倒伏する」ような高濃度の窒素が出たら大騒ぎとなります。
第一、米が倒れ伏すような過剰窒素なんて、一体どれほど高濃度のものか現実にお分かりでしょうか。また下水がそのまま田んぼに入るなんてことは、少なくとも私の村ではぜったいにありえないことです。そんなことをしたら食味がひどいことになって商品になりません。

「ウイルスを発生できないようにコントロールすることが常識です」とおゃしいますが、そりゃあなた、それができなかったから発生したんでしょうが。繰り返して言いますが、「外界から農場を完全に隔離する」など失礼ながら、いかにも知識はあるが現場を知らない人が考えそうな夢想にすぎません

「防疫」とひと言で言っても、予防的な日常的防疫と、出てしまってからの防疫はまったく違います。それを一緒にして一般論を高見から言われてもいささか困ります。

「どこから来るのかわからないからすべてを遮断する」というのは確かに正解ではありますが、現実問題として、防疫指針第3条に反して、もっとも交通量の多い国道は国交省管轄で規制・消毒はできない、そしてわが村にウイルスが来たという状況の中での農家の心理を少しも考えておられないご意見です。

現実の被災地区の農家心理は、伝染の危険を最小化するために知恵を絞ろうとします。消去法です。家畜車両、来訪する一般車両、糞尿の移動、死体の移動、そして人間の要素のひとつひとつを洗って消していかねば安心できません。メシも喉に入らない。

「あらゆるものから伝染するのだから」などとのたまわれても気休めになりますか?自分で被災地農家の立場になって考えてみたらよい。
この不安を一掃するためには、通常の防疫手順である「発生動向調査」が必須なのです。それを家伝法第16条に反して家保の獣医師のみに患畜を処分させているから、やる余裕がなくなっているだけです。

今回このサーベイランスをしなかったために、発生2カ月間経過していかなる感染ルート情報も、県や国から来ないという異常なことになりました。というか、国や県は出したくとも出せないのです。

これは初めに甘く見ており、後にパニくっていたからにすぎません。押さえ込むべき数時間はおろか数週間をロストし、感染の極度の進行の速さに国も県もその対応で忙殺されていたからです。当初前回の制圧事例から極度に甘く見積もったツケを、後にたっぷりと払わされてしまったのです。私がこれを人災だというのはそこです。ただし、その責任を問う時期は、終結宣言の後であると思っています。

今、このブログで私が展開してきている論旨は、予防的な日常防疫活動一般ではなく、出てしまった現に目の前にあるパデミックをどうするのか、そして他の県はこれをどう教訓化して自分の地域の防疫指針に役立てるのかなのです

お気持ちは伝わるのですが、もう少し現実の畜産現場を見ていただけたらと思います。

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ほんとうにいいチームだ、サムライブルー!

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岡田監督に土下座をする必要はなくなってしまった。しかし頭を下げたい。いいチームである。泣けるほどいいチームだ。うちのチーム(当然鹿島である)が、まったく無視されたのですねていた自分が恥ずかしい。許せ。

昨夜の試合は負ける試合ではなかった。前半は下がりすぎだと言われているが、あそこで耐えたためにオランダに日本を攻め落とすことことの困難さを叩き込んだはずである。きっとデンマーク戦では、後半の怒濤の攻撃を前半から見せてくれるであろう。

それにしてもスナイデルのシュート、クソっ!川島、前に弾けよ。あれはあんたの力なら防げたぜ。

なんでもくさすことに暗い情熱をもっているセルジオ越後のジイさんが「ボールが変化したようだ」と言っていたので、新ボールのせいなのか。やらなくていい一点だった。実にもったいない。しかし終盤のセーブは鬼神に戻った。さすが日本屈指のキーパーだ。うちの曽ケ端には及ばんがね。あ、いかんまたアントラーズ・ナショナリズムが顔を出す。日本のGKが世界に通じることを見事に証明した。

そして岡崎、こらお前、カメルーンの時といい、今回といい、どうしてあの決定機でハズすんだ。あんなにフカしやがって。グランド3周、腕立て伏せ百回だ。次回同じことをしたら許さない。あれが枠に行っていたらひょっとして勝っていたかもしれないのに。

本田が絡めなかったのがつらかった。当人が一番地団駄踏んでいるだろうから、次回に期待したい。ヒデの後継者に内定しているんだから頑張ってくれ。
松井は私の大のごひいきで、日本の京都にいる時からファンだった。ほんとうにすごいよ。フランスでの活躍がほんものだったのがよく理解できた。
大久保もほんとうにいい。あんたにはあんまりいいイメージがなかったんだが、今回は何回も完全に崩してシュートにまで持ち込んでいた。苦労したんだろう。

守備陣、すごかった。中沢、闘莉王、長友、長谷部、見ていて目頭が熱くなるほどがんばっていた。オランダを本気にさせたのは君らだ。闘莉王は、正直言って好きな選手ではなかったが、団結を守る立場に徹すると個人プレーで味方を混乱させる悪癖がなくなる。

最後に岡田さん。大会前の重い絶望感は嘘のようだ。ひところルーピー岡田などと言ってごめんなさい。あなた鹿島地方ではめちゃくちゃ評判悪かったから。しかし、昨夜の交代カードには賛成できない。

俊介は肉体の故障だけではなくて、もっと精神的な部分が故障しているのではないか。だから、球を渡してもらえない。もらっても困ったようにマイナス方向に叩いてしまう。
かつての自信に満ちた、いつも私たちを驚かせてくれた10番はもういなくなってしまったのか。すまんが俊介、次回に出番はないと思う。ほんとうにW杯には運がない人だ。

W杯には参加賞はない。ここまで来たのだ。決勝トーナメントに出るぞ!出られなかったら私はバリカンで坊主になるゾ!

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宮崎口蹄疫事件 その32  もっとも恐れていた梅雨が来てしまった

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「みやざき」様の報告では(感謝!)、まだ川南地区の処分が終了していないそうです。理由は埋却地がないということらしいです。自分で探せとまで言われているとか。と言われてもあの狭い地域で見つかるはずもなく、折からの梅雨入りの大雨と重なって、いっそう困難さを増しているようです。

また宮崎市内の跡江地区では、先行して発症した豚のウイルス汚染された糞尿が下水(小川)を通して別の農家に流れ込み感染を拡大した可能性も報告されています。増水した排水路に流出した口蹄疫ウイルスは、その排水系統にある農家をことごとく汚染していきます。

現に大規模養豚農家がこの下流にあるようです。無事を祈ります。また宮崎市内といった交通が頻繁な場所にあるために、交通制限が難しく一般車両をとおした感染拡大も心配されています。

何度も私は書いてきていますが、一頭の発症した豚からは膨大な量の口蹄疫ウイルスが気道から排出されています。発症した豚の処分が遅れることは、とりもなおさず、感染拡大がどこまでも延々と続くことにほかなりません。

こんなことは分かりきったことのはずでした。そして埋却処分が梅雨にかかれば、作業が寸断され、重機は泥濘で動かず、せっかく掘った穴も水浸しになります。埋却し終わり土を被せ終わった場所が陥没したりすることもあるでしょう。消毒として撒いた石灰も、雨で流れたりしています。万が一、床面のシートの処理が甘かった場合、地下水系にウイルスが流出することもなしとは言えません。

篠原現地本部長は否定していますが、本来は、重油をかけて焼却していくのが望ましいのです。しかし、梅雨入りとの時間との競争で、あえて万全を期せず、拙速をもって良しとする判断があったのかもしれません。

とまれ、5月初旬の処分の遅れが今になって大きく響いてきました。えびの市が大胆に取り入れて成功し、都城市がそれを模範にした方法は、写真判定による即日処分でした。発症を疑われたら、間髪を入れずに処分する。半径10㎞などという悠長なことをやっていたら、とてもではないが処分が追いつかず、待機患畜を増やしてしまいます。

えびの市の事例も成功したから国は文句を言っていませんが、防疫指針違反です。しかし誰の目にもはっきりしたのは、このえびの市のような英断がなければ、口蹄疫初動制圧の基本である「数時間のうちの処理」など絵空事にすぎないということです。

「口蹄疫初動は数日ではなく、数時間が勝負だ」というのは、世界の常識です。発生農場から半径500メートル以内の偶蹄類は、無条件に発症の有無にかかわらず処分する。一見苛烈に見えるこの英国-韓国方式しか、私は方法がないと思います。この方法が、かえって多くの家畜の生命を救うのです。

この梅雨という防疫上最悪のシーズンに、こともあろうに選挙をぶつけて、国政機能を麻痺させる愚挙が今後どのような結果を招くのか、私たちは目を見開いて注視していかねばなりません。

本日の「日本農業新聞」にえびの市のルポが掲載されておりました。明日にでもご紹介できればと思います。だだ、なんせオランダ戦があるので、ひょっとすると明日は二日酔いで休刊かも(笑)。岡田さん、もう一回セルジオ越後なみに悪たれをついていたこの私に歓喜の土下座をさせてくれ!

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宮崎口蹄疫事件 その31 韓国で清浄化確認検査中に口蹄疫確認!

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私たちの目が宮崎県に釘付けになっている間に、韓国でもうひと波乱ありました。

韓国はご承知のように、5月6日の忠清南道の一農場の発生例を最後に終息されたと思っていました。韓国の防疫方法は、私の知人の家保の獣医師も感嘆するように徹底したもので、発生した場合は当該農場から半径500メートル(!)以内の偶蹄類一切を淘汰処分するというものです。

これは英国に範をとったものだと思われます。元祖英国防疫方法については、今調べていますので、しばらくお待ちを。今の世界の最高峰の防疫システムであることはまちがいありません。
ちなみに、もし世界防疫番付があって東の正
横綱が英国ならば、西の横綱は韓国。日本は今までけっこういい線いっていたように思えましたですが、今回の無残な結果で哀れ一挙に前頭13枚目角番へと大転落。

それはさておき、忠清南道の清浄化確認調査をしていたところ、なんと5月30日になって口蹄疫が確認されてしまいました。肉用牛45頭中22頭の抗体反応が陽性だったのです。

言ってみれば、消火した後に燃え残りの火はないかと焼け跡を検分していたら、まだ火種が眠っていたようなものです。韓国の防疫当局の衝撃が忍ばれます。なんせ24日間後ですしね、よもやというところでしょう。

この韓国の清浄化確認で再度発生という事例は、非常に大事なことを教えています。それはいったん伝染が終息したように見えても、再度感染が発生する場合があることです。一回目の抗体が陰性でも、次に時間を置いて検査すると陽性に転化している場合がありえます

特に口蹄疫の症状が豚に比べて軽く、自然治癒してしまいがちな牛においては、運び屋(キャリアー)になってしまうことがあるようです。農家が初期の軽い発熱、食欲の減退ていどだと見逃してしまう可能性があるようです。清浄化確認検査で陰性がわかったからいいようなものの、これがなければ、また感染拡大がぶり返す一歩手前でした。

たぶん児湯郡の最初の発生地帯でも、そう遠くない時期に清浄化確認が行われる地域が出てくると思われます。その場合、この韓国のような事例が出てくることは大いにありえると思って下さい。

ごめんなさい、児湯郡の皆さん。立ち直ろうとしているのに水を差すようなことを言ってしまって。

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宮崎口蹄疫事件 その30  ようやく「発生動向調査」が始まった!

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遅まきながら、宮崎県でようやく家保による「発生動向調査」(サーベイランス)が行われるようになりました。何回かこのブログで書いてきていますが、「発生動向調査」とは口蹄疫が発生した場合の基本的なマニュアル手順に入っています。

少し専門的になりますが、ご勘弁ください。これは国際的防疫マニュアルであるFAOのFAO animal health manualNo.16、第6章「口蹄疫の緊急事態に対する早期対処緊急時計画」にマニュアル化されて掲載されています。(原文訳と解説はここから)
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Contingency%20Plans%20CHAPTER%206.htm

この第6章の「地区割り」(ゾーニング)は、伝染病を早期にくい止めるための疾病制御です。まず初発の地点から半径10㎞を「感染地区」とします。いわば火事で言えば、出火地点です。これはよくニュースでも聞きますね。あのグルリとコンパスで描いた内側の同心円です。この地域は移動制限と殺処分対象地区となります。

問題は次の「発生動向調査地域」です。これは「清浄地区」の安全地帯と、今述べた火の元である「感染地区」の間の地域で、いわばグレイゾーンです。感染が侵入しているか、どうかわからない地域です。

ここが問題なのです。ほとんどニュースで聞かないでしょう。ニュースでは「非常事態宣言」だとか、「全頭処分」だとか、「感染拡大」といった禍々しい話題ばかりで溢れていましたが、その陰で忘れさられたていた存在が、この「発生動向調査」でした。

実はこれが今回の口蹄疫事件ではまったくなされなかったのです!
現実には官民共にパニックでした。感染スピードがあまりに速かったこともあります。「みゃあ」様のおっしゃるように政治家の対応も非常に遅かったのも事実です。それはこのシリーズで再三指摘し続けてきました。

4月28日に川南町で豚の感染が確認されると、一気に豚の感染が拡がり、豚が持つ増幅動物(*牛から感染したウイルスを2~3千倍にする)の特徴で、一気に地域の汚染濃度を濃くしていきました。

そして処分対象が瞬く間に積み上がり、この処分地がないことがいっそうパニックに輪をかけます。そして処分できずにいる患畜が数万頭といった目も当てられない状況になっていきます。この待機患畜からは、膨大なウイルスが日夜排出され、これが拡大にいっそう拍車をかけることになりました。

この時点でブログ界は「赤松口蹄疫事件」などという政治的な利用主義が主流を占めてしまいました。そして片や民主党支持者たちは県知事責任論を持ち出して対抗するという不毛なバカ騒ぎとなりました。
赤松前大臣と鳩山前政権の無為無策はいうまでもありませんが、彼の首を取ったところで何も解決しないのに。大事なことは、この口蹄疫をどうやって止めるのか、その一点にかかっていたはずでした。

この時点で必要な緊急事態対処政策はなんだったのでしょうか?頭を冷やしてFAOの対処マニュアルを紐解くべきでした。実際に日本政府のあまりのドタバタぶりに見かねたFAOは、顧問団を派遣することを申し出たのですが、なんと呆れたことには政府は拒絶してしまいました。ヤレヤレですね。このときFAOの顧問団に来てもらえればその後の展開はまったく違ったものになったことでしょうに。

対策本部がパニックに陥ったために「手順の後先」が忘れられていました。発生地区を確認した後にすべきは、この「発生動向調査」だったのです。どこまで発生が進んでいるのか、どこに飛び火しているのか、いないのか、それを農場に立ち入り検査をすることが必要でした。

このきわめて重要な「発生動向調査」を欠落させて、農家の自己申告に委ねたために農家もまたパニックになりました。それはそうでしょう。侵入ルートがわからないのですから,防ぎようがありません。どこまで来ているのかの発表もないのです。信じがたいことですが、事実です。農家はまったく目隠しされたまま、ただ風聞に恐怖し、ありったけの石灰を蒔き、足りないビルコンをチビチビと撒いて凌いでいたのです。

この原因は「発生確認調査」にあたるべき主力部隊である家保の獣医師団が、殺処分の現場にことごとく釘付けになったことです。人間の伝染病にたとえるのならば、いわば医師が斎場に全員張りつきになったようなものだ、と岡本嘉六鹿児島大学教授(獣医衛生学)は言います。

そして今、ようやく、やっとですが、農水省の家畜衛生部会疾病小委員会は、都城に感染が飛び火したことを受けて重い腰を上げ、このような答申をしました。「発生農場周辺の、従来の農場からの異常畜の通報による方法に加えて、近隣の農場(略)については、それぞれ念のために抽出検体について精密及び臨床検査を実施する」。(本文はPDFでこちらから)http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/eisei/pdf/gaiyou14.pdf

この疾病小委がグダグダと解りにくく言っているのが、「発生動向調査」です。なんとこれが発生以来最初の「発生動向調査」なのです。都城では、PCR検査と抗体検査を実施し、陰性であることが判明しました。

この発生動向調査の陰性結果を得て、都城は落ち着きを取り戻しました。あの発生農場近辺の大規模農場が陽性で、疑似患畜が出た場合とてつもない大惨事になったからです。

私自身5年前の茨城トリインフルエンザ事件で爆心地のすぐそばにいた農家のひとりとして、もっとも不安なことは、「どこから感染拡大しているのかわからない」ことでした。どこから来るのかわからないから対策を立てようがないわけです。

その代わり風評は山ほど飛来します。不安心理につけ込むように、やれ野鳥だ、やれアブだ、いや蚊もアブねぇ・・・。こんな被災地農家心理を更に煽るように、やれ何国人が運んだ、カルト宗教がからんでいる、最後には某国のウイルステロだ、もう日本の畜産は全滅だ・・・!
いいかげんに外野はくだらない情報を流さないでいただきたい!ちっとは被災地農家の気持ちにもなってみろ!あなた方がやっているのは、同情に見せかけた単なる煽りです。火に油を注ぐ行為に等しい。

ウイルスの運び屋の三要素は、家畜糞尿、家畜関係車両、そして人です。この3要素以外に今の段階で、農家がアブや野鳥までブロックできるはずもありません。この3要素をまず徹底的にブロックし、発生動向調査を徹底して行い、被災地農家を安心させるのが急務です。

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宮崎口蹄疫事件 その29   宮崎の悲劇をここでくい止めるために   防疫指針は机上の空論だ!

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「ななし」(都城出身)様、コメントをありがとうございました。私も東国原知事は超人的 な頑張りを見せていると思っております。また、宮崎県も、地方行政組織として極限まで戦っていることは重々承知しております。称賛に値します。

このブログでも前大臣に対してはかなり批判しましたが、知事や県に対してはむしろ言いたいことを呑み込んでおりました。特に宮崎県責任論などという、事の軽重をわきまえず、国の責任を県に転嫁するがごとき論調にはその都度反論して参りました。

今回、私が家保獣医師の殺処分投入について家伝法16条の規定を持ち出して、あえて県の対応を批判したのは、いつにかかって口蹄疫が鹿児島県へと越境する可能性が濃くなったからです。

昨日「北海道」様がからいただきました情報でも(感謝!)、北海道十勝総合振興局においても同様に「家畜防疫員か、その指示を受けた獣医師免許取得者だけが殺処分を実行できる」とのことでした。

家保自身がどのように認識しているのか、その事実上の上部組織(*家保は県管轄)である農水省消費安全局がどのように考えているのかは、調査しておりませんが、たぶん似たような回答になると思われます。

また同様に家伝法施行令第3条による車両の通行制限、あるいは遮断、消毒に対しても、「北海道」様の調査では、「県知事の権限で国道野遮断はできず、国道は管轄外であり、消毒対象も一般車両は任意」とのことでした。

ということは鹿児島県においても、あるいは飛び火してとんでもなく遠方の県に発生したとしても、宮崎県の前車の轍どおりに進む可能性が高いということになります。

果断な初動はやりすぎ批判を恐れて躊躇し、前例踏襲で事足りるとする官僚の因循姑息な我が身かわいさの発想です。その「前例」とは、2000年の宮崎、北海道の感染力が低いウイルス株でのために少数の殺処分で封じ込めに成功した事例でした。

現実には、2001年に英国での大規模感染拡大で645万頭もの殺処分を出した事例など多くの深刻な被害な事例を出しているにもかかわらず、防疫マニュアル(防疫指針)は、その新たな状況を取り入れることなく、役にたたなくなったような古びたマニュアルにしがみついていたわけです。

今回宮崎県の新たな口蹄疫拡大の原因は、「防疫指針は机上の空論だ」という大阪府立大の向本雅郁准教授(獣医学)のご意見をまとめてみるとこうなります。(産経新聞関西版5/29・ウイキ「口蹄疫」からも読めます)
http://www.sankei-kansai.com/2010/05/29/20100529-024425.php

①口蹄疫は牛の病気だと誤解されているが、今回は豚に感染したことが大きかった。豚は感染増幅動物であり、ウイルスを最大2000倍(*3千倍という説もある)にして放出する。

②口蹄疫のウイルス判定が国管轄の動物衛生研究所でしかできない仕組みになっているために、診断が遅れる。県の家保で判定できるようにすべきである。

③一刻も早い処分と埋却が必要だが、処分の埋却地が不足し多数の順番待ちが出てしまい、感染がより拡大してしまった。

④豚が地域の汚染濃度を押し上げて空気感染するようになると、同心円的に一気に感染拡大する。今回は順次南下しているので、昆虫や野生動物の媒介が疑われる。(以下略)

私はこれに2点を追加したいと思います。

①移動制限の不徹底。畜産車両も初期においては夜間通行を許してしまった。国道を通行規制する権限が県にはなかったために、GW時などに発生地域を通過する国道を一般車両が通常と同じように通行してしまった。

②「獣医師のみが殺処分資格者」としてしまっために、殺処分が滞留したのみならず、本来の仕事である発生地点から、次の感染拡大状況を確認する「発生動向調査」を行なえなくなってしまった。このために発生動向が判断できず、一時は農家からの申告待ちという状況を呈した。

このような状況に対応しないマニュアル(防疫指針)に縛られて、宮崎県知事の判断があったと思います。私は誰が間違っていた、民主党政権が悪い、いや宮崎県だなどという議論には今は関心がありません。後でゆっくりやりましょう。

今や口蹄疫は、都城という宮崎の畜産の心臓部に侵入しており、そして鹿児島まで手が届きかけています。ここでしっかりといままでの失敗を総括して、次に何をしたらいいのか特別措置法ができたからいいや、防疫関係者が考えるさ、と言うのではなく国民皆で考えるべきではないでしょうか。

              ~~~~~~~~~~~~~

先だってご指導いただきました山崎畜産様より、消毒液の濃度等を修正したとのコメントをいただきましたので、その修正した内容を転載させていただきます。ありがとうございました。
非常に実践的でしっかりした内容のブログです。ご覧になって下さい。

「ぺぶろぐ」http://koji.air-nifty.com/cozyroom/2010/06/post-7edc.html

口蹄疫ウィルスに有効とされる消毒薬

ヨウ素系消毒薬    (効果が認められた最高希釈倍数)
   ファインホール (400)  
   動物用イソジン液 (2)
   クリンナップA (400)
   ホリアップ3  (400)
   リンドレス  (1000)

塩素系消毒薬
   スミクロール (1000)
   クレンテ  (2000)
   アンテックビルコンS (2000)

アルデヒド系消毒薬
   グルタクリーン (800)

複合消毒薬
   アリバンド (200)

逆性せっけん+水酸化ナトリウム
   クリアギル (0.2%水酸化ナトリウムを添加した場合) 4000)

        以上 全国肉牛事業協同組合からの情報+農業新聞より

※上記の希釈倍率は30分浸漬の場合などの条件での数値であるため、畜産農家ではこれらの最高希釈倍数より濃い目の使用が望ましい。

例:ビルコンSの場合
・踏み込み消毒槽・・・100倍
・畜舎消毒・・・・・・500倍
・一般の車両消毒・・・2000倍 など

詳しい希釈倍率などは製造販売業者に確認すること。

                   ~~~~~~~~~

■写真 少し田んぼの水が温かくなってきました。今年は冷夏で決まりのようですが、オタマジャクシは元気に泳いでいます。

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宮崎口蹄疫事件 その28  侵入ルートが2月のA牧場の韓国穂視察団だというのは間違いです

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まずは、岡田監督に土下座!監督、いままでの日本代表ダメダメぶりは、敵を騙すためにはまず味方からという高等戦術だったのですね!本田、お前が大きいのは口だけではなかった!松井、スーパーアシストだ!守備陣もよかった。うれしいの一語です!

と、喜んでいたら、背すじに冷水をドッと民主党政権が浴びせかけてくれました。わずか2日で国会開催を閉幕させ、7月11日に参院選を強行することにしたそうです。全野党から批判が集中しました。当然です。もはや暴挙と言っていいでしょう。

これで次の国会まで、首相が「国家的危機」と言った舌の根も乾かぬうちに、口蹄疫に対しては国会はまったく機能しなくなります。また、発生地区のみ選挙運動を禁止することはしないようですから、口蹄疫ウイルスが選挙運動車両に付着して県境を超えて盛大にバラ撒かれることでしょう。見事、ワールドカップのいい気分にたっぷり水をかけてくれました。

               ~~~~~~~~~~

さて、都城出身の「ななし」様の「家伝法16条の解釈についてです。「所有者の委託を受けた例えば自営体でもいいのでしょうか」とのことですが、私は下記の条文を読む限りそれでかまわないと思います。

第16条 家畜の所有者家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該の家畜を殺さねばならない。
一、(略)口蹄疫
二、(略)口蹄疫の(略)疑似患畜
三、家畜防疫員は、(略)緊急の必要がある時は、同項の指示に代えて、自らこれを殺すことができる。

つまり、家伝法第16条の「家畜を殺さねばならない」の主語は、明らかに家畜所有者であり、家畜防疫員(家保獣医)は「指示」し、緊急の場合に代行「できる」立場にすぎません。

また、「ななし」様のおっしゃるように家畜所有者はその処分を委託することについての規定がありません。ということはしていいのです。法律は禁止条項がない限り、認められていると解釈すべきです。

事実,鹿児島大学の岡本嘉六教授(獣医衛生学)は、自衛隊こそがもっとも処分を速やかにすることができる組織であるとおっしゃっています。ちなみにFAOのマニュアルには「銃で処分」という記述もあり、そのようなことも検討されてもよかったかと思います。英国の2001年の口蹄疫大パンデミック時にも、英軍が出動し処分にあたりました。

このように柔軟に考えると、獣医に毒液を注射させるだけにこだわったほうがかえって不思議です。

このように家伝法第16条は、それ以外に読み取りようがないほど明確に法的に規定されています。従って、県知事が繰り返しマスコミの前で「殺処分できるのは獣医師しかいないんです」と言い、事実そのように獣医師を殺処分にのみ投入したことは、法学部出身者とは思えない誤った解釈でした。

とうぜん、県家保からは猛烈な抗議がきたのでしょうが、知事はそれに耳を貸さず、この過てる方針を頑固に変更せずに突き進みました。かくしてウイルスを出しまくっている殺処分待ちの患畜が万単位で溜まり、その上にワクチンした後に処分待ちの対象家畜が山となっていったのでした。

この県知事の過てる方針は事件終結の後に検証されるべきであり、鹿児島県においてはその轍を踏むことのないようにお願いしたいと思います。

               ~~~~~~~~~~

次に、有名ブログの「博士の独り言」の6月14日の記述に間違いがありました。

この記事は「旬刊宮崎」を下敷きにしています。
内容としては内部告発の形をとっていてこのようなものです。
①2月にA牧場(記事は実名表記)に韓国から視察団が訪れ、この数日後に涎を垂らす牛が見られ、これが感染侵入の糸口となったこと。
②4月20日まで口蹄疫確認が遅れたのは、隠蔽工作であること。
③この間にA牧場では100頭にのぼる牛に症状が見られた。
④A牧場近辺の山野でイノシシ、カモシカなどの死体が見られた。

これらを総合して記事は、2月の韓国視察団が口蹄疫ウイルスを持ち込んだと断定しています。これについて検証してみます。

まず、現在宮崎県を襲っている口蹄疫ウイルスはO型です。このことを頭に置いて下さい。では、韓国視察団が2月に来たとのことですが、2月時点での、韓国の口蹄疫のタイプはA型でした。ならば、この韓国視察団が侵入ルートならば、A型でなくてはならないわけですね。ここで既に、「博士の独り言」の記事の大前提が崩壊してしまっています。

たしかに4月の時点で韓国も宮崎と同じ口蹄疫O型を発生させています。これは江華島で発生したのですが、原因は既に特定されています。
韓国第2例目の農場主が、3月8日から13日にかけて中国への旅行を終えた後に発生をみており、旅行の後の消毒も不完全だったと言われています。中国から韓国へO型を持ち込んでしまったのです。

この江華島株は中国株O型と相同性99.06%で、その後、飼料運搬車や獣医師、人工授精師、対策会議などを通じ金浦、忠州、青陽へとウイルス拡散していったのではないかと思われます。

それ以前の今年1月からの京畿道の抱川(乳牛)や漣川ではA型でしたので、3月下旬から4月にかけて明らかに口蹄疫はウイルスタイプの変化を起こしているのが分かります。なお韓国の発生状況地図は下からPDFでご覧いただけます。http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/100510krfmd.pdf

この口蹄疫のウイルスタイプのシフトは、アジアの発生源である中国の変化に応じたものでした。1月に新疆ウイグル自治区での発生はA型で、遼寧省、河北省、河南省、山東省、広東省、広西省などに拡大しています。

中国の中国の新彊ウイグル地区で発生の口蹄疫(牛)はA型で、その後A型は遼寧、河北、山東、河南、広東、広西などに拡大していきます。

このA型が3月中旬から甘粛省の回族自治区や天水一帯で羊、豚に発生した時には、O型に変化していたわけです。なお中国の口蹄疫情報は以下でご覧になれます。(中文です。泣くな)
http://news.google.com/news/search?cf=all&ned=hk&hl=zh-TW&q=%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB&cf=all&scoring=n

つまり、アジアの口蹄疫タイプはA型とO型の2種類あって、3月中旬にO型に変化しました。それを知ることで侵入ルートのおおよその見当をつけることができるのです。今回の宮崎県の場合、初発が3月下旬から4月であったことから、中国、台湾,香港、モンゴルなどから侵入したと推測できます

この時点での韓国からのウイルス侵入はまったくなしとはいいませんが、少なくともA牧場に韓国視察団が来たのが2月ならば、持ち込めるウイルスタイプがA型以外にありえない以上、初発が韓国ルートである可能性はきわめて低いか、あるいはないと言えます。

ただし、その後4月に入り韓国ではO型が発生していますから、これも時期を遅くして宮崎に侵入したことはありえます。中国⇒韓国⇒日本ではなく、中国⇒韓国/日本の感染ルートが、今のところ正しいと私は考えております。

ところで、A牧場の近辺でニホンカモシカやイノシシの死体がゴロゴロあったといいますが、私はまったく信じておりません。口蹄疫はそう簡単に死ぬ病気ではなく、2週間程度で自然治癒してしまいます。その感染力の強力さが問題なのです。

第一、そんな野生動物まで拡がるためには地域全体のパンデミックが起きねばなりません。その時期になれば、野生動物に拡大することは大いにありえることですが、A牧場が発生した段階では、地域パンデミックは起きておらず、この牧場には豚も飼われていなかったと思います。もちろん野生動物の死体などという情報はこの「旬刊宮崎」以外に見当たりません。完全にヨタ話です。

A牧場はかねがね色々と噂がありますが、未だ噂の段階に過ぎず、私はこのようなパンデミック時に、クロスチェックしていない風聞を流布することのほうがよほど危険な行為だと思っています。

確認が4月20日まで遅れたのは、私のブログのその21http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-1523.htmlでも触れましたが、初発が1頭しかでなかったために、2頭めが症状が出た16日まで確認が遅れてしまい、その後にイバラキ病の疑いもあって県家保が同定できなかったためです。別に陰謀めいたことがあってのことではありません。

「博士の独り言」さんは、口蹄疫発生直後から精力的に宮崎支援を訴えられてきたプログです。また,、ランキング1位の影響力が非常に大きいブログですので、下調べをちゃんとしてから記事にしていただきたいものです。

■写真 霞ヶ浦の船溜まりの風景。

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宮崎口蹄疫事件 その27  口蹄疫解決まで政治休戦し、参院選を延期してください! 酢の口蹄疫に対する効果

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首相が宮崎県を訪れました。現地まで足を運んだことはいいことです。「国家的な危機」という位置づけも述べたことも前進といえましょう。完全に1カ月遅れ、周回遅れではありますが、いままでの赤松前大臣、鳩山前首相の無為無策から比べれば、遅まきながら国が本腰を入れるのかという淡い期待をもたせました。

首相が決意を込めて「国家の危機」というならば、口蹄疫の解決宣言が出るまで、参院選挙を延期し政治休戦をしてください。、選挙が今の宮崎県で出来る状況なのかどうなのか、常識で判断をしてほしいと思います。

選挙戦ともなれば、無数の選挙用車両が走り回ります。特に参院戦は比例区がありますから、県をまたいで宣伝カーが走り回ります。マスコミ車両も同じように県を超えて追いかけることでしょう。

口蹄疫をまじめに考えている者にとって悪夢のような風景です。たぶんこの参院戦で、鹿児島県などの他県に口蹄疫ウイルスが持ち出されると思います。そうなった場合の損失は・・・かんがえたくはありませんが・・・優に1兆円を超えて拡大し、南九州全域の畜産を壊滅状態に陥れます。

2001年の英国口蹄疫のパンデミック時には、労働党政権のブレア首相は、1カ月間先に議会選挙を延期しました。これが良識、コモンセンスというものではないでしょうか。

今、選挙を急ぐ理由はなにもないはずです。郵政法案も衆院で強行採決したが、参院の成立は放棄し、廃案となりました。
今、政権が通したい重要法案は目白押しであり、むしろ会期を延長することのほうが、民主党にとってもよいはずです。巷間伝えられるように支持率が冷えぬうちになどという、話にもならない理由で政治判断をしているのなら、ほんとうに大馬鹿者としか言いようがありません。

野党と政治休戦をし、口蹄疫解決まで参院選を延期してください。もし、どうしてもやるのだというなら、児湯郡全域とその周辺市町村、えびの市、都城市、日向市、宮崎市全域とその周辺地域、及び宮崎県と接する鹿児島県北部地域には、宣伝カー、マスコミ用車両の立ち入りを禁止してください。

それも出来ないというなら、いちいち消毒ポイントでウイルス防御衣を着たり脱いだりするのは大変でしょうから、防御衣を着たままで7月の炎天を走り回っていただきたい。そうすれば、今この時期にこの「戦場」でのんきに選挙などやることの愚かさが身に沁みてわかることでしょう。

                  ~~~~~~~

            ■口蹄疫に対する酢の効用について 

「さくら」様。「みやざき」さんが答えてしまいましたが、まぁあのとおりです。いちおう私からもお答えすれば、口蹄疫に対しての酢の防疫効果についてですが、結論から言えばあります。ただし、これを消毒の主要な防疫資材には出来ません。あくまでも、家畜を楽にさせてあげ、家庭や人が集まる場所にウイルスを寄せつけにくくする補助資材的な働きです。

東京農工大の白井淳資教授は、「日本農業新聞」の中でこう書いています。
口蹄疫ウイルスは、ph5~6で死滅します酢はPH3という強酸性ですから、これを千倍に希釈しても,PH4ていどとなり効果を期待できます

ビルコンなどと違って口に入れても安全な食品ですから、家庭や食堂、車内などでも気軽に散布ができます。

また、「みやざき」さんもお書きのように、ビルコンなどは強力な化学殺菌剤ですので、患畜の生体噴霧は好ましくありません。口蹄疫でヒズメの皮が剥けたりしている家畜に対してはかえって苦痛をひどくしてしまいます。酢で口や鼻周辺をしめしてやる、乳房を拭くと家畜が楽になります。


あくまでも補助資材です。消毒液で衛生管理した後に、副資材として使用してください

■具体的な使用方法は以下です。(小林市口蹄疫侵入防止対策本部)      

1.動力噴霧器を使って使用する場合(500倍から750倍)

・動力噴霧器で牛体、畜舎の内外及び周辺に散布。

・雨の日は牛舎内及び牛体に散布。

・牛体には毎日1回、午前中に前と後ろから散布(目に注意)。

・また、餌にかかっても大丈夫です。

2. ハンド・スプレーで酢の希釈液を噴霧する場合(1000倍)

・朝夕に牛の顔に噴霧。

・車等で外出時には必ず持ち歩き、車の出入り時に噴霧。

・家に帰るときには十分に行う。

・新聞・郵便等を受け取るときもハンドスプレーで噴霧。

・あちこちにおいて体や靴の裏に噴霧。たとえば車のペダル、ハンドル、マットなどにシュっ。希釈倍数が高いので、ほとんど酢の匂いはしません。

・搾乳時には、バケツに酢を数滴たらして乳房を拭く。
  (ただし牛乳への混入がないよう注意が必要)

*作り置きが長すぎるとPHが変わる場合があります。半日ていどにしてください。

*踏み込み消毒槽には向いていません。長靴についた有機物などの汚れで酢が中和されてしまいます。

               ~~~~~~~~~~

            口蹄疫に有効な消毒薬一覧
          
    *下記の濃度は修正されました。6月16日の記事を参照ください。


ヨウ素系消毒薬  (効果が認められた最高倍率)
  ・ファインホール(400)
  ・ホリアップ3(400)
  ・動物用イソジン液(2)
  ・クリンナップA(400)
  ・リンドレス(1000倍)

塩素系消毒薬
  ・スミクロール(1000)
  ・クレンテ(2000)
  ・アンテックビルコン(800) *牛体にはかけないほうがいい。

アルデヒド系消毒薬
  ・グルタグリーン(800)

複合消毒薬
  
・アリバンド(200)
逆性せっけん+水酸化ナトリウム
   
・グリアギル0.2%水酸化ナトリウムを転嫁した場合4000)

*山崎畜産様のサイト http://koji.air-nifty.com/cozyroom/2010/06/post-7edc.htmlを参考にさせていただきました。ありがとうございました。

               ~~~~~~~~~

■写真 柚子の花です。非常に短い期間しか咲かず、咲いたとおもったらすぐに散ります。さて今年はよくできるかしらね。

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宮崎口蹄疫事件 その26  自治体は移動制限の権限をギリギリ一杯まで使って防御してほしい!

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鹿児島県が準非常事態宣言を発して、鹿児島県と宮崎を結ぶ道路6本を封鎖したことが伝えられました。しかし、これらはいずれも県道であり、国道という主要幹線は国交省の管轄であるために対象に入っていません。しかもえびな市側ルートなどは遮断されていないようです。

また意地の悪い表現で恐縮ですが、宮崎県も出した非常事態宣言は、県民に団結を呼びかけるための一種のパーフォーマンスであり、現実に県知事が非常事態特別法制を行う権限を持っているわけでもありません。

さて、児湯郡の被害を大きくしたことの原因のひとつに、この「移動制限」があります。私のブログでも触れましたが、先だって新聞で「えびの市の口蹄疫発生ルートは川南町からのものだった」という報道が、農水省疫学調査チームの発表でありました。

この事件の不思議なことは、感染ルートが一切明らかにされてこなかったことです。これが韓国研修生説(誤報)や、果ては某国による農業テロだなどという無責任な風聞を生む素地になってしまいました。
この川南町のえびの市への感染伝播も、あくまでも家畜移動車両のことであり、「ただ川南町の牛をえびの市に移したかは確認されていない」(読売新聞)というあいまいさが残っています。

今回「移動制限」と消毒ポイントの設置は4月20日の発生確認とともになされています。(宮崎県プレスリリース参照)http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/nosei/chikusan/miyazakicow/h22koutei_press.html

消毒ポイントは半径10キロに2カ所、半径20㎞に2カ所です。後のパンデミックを考えると、あまりに少ないと言えますが、とりあえずこれは結果論として置くとしましょう。

むしろ問題は別なところにありました。4月21日には「一定の条件の下に、家畜を移動する車両の国道10号(*川南町を通過する国道)の通行が可能になった」。(宮崎県プレスリリースとPDF参照)http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000138895.pdf

そして、鹿児島大学岡本嘉六教授(獣医衛生学)によれば、現在は削除されていますが、この4月20日の時点では昼間のみの制限であり、「畜産車両は制限時間内にお通りください」とされていたそうです。

言い換えれば、これは家畜関係車両においてすら「時間制限外は無規制」だったことになります!夜間に移動してしまえば、川南町からどこに家畜を移動しようと自由だったわけです。

そしてこの昼間移動制限、夜間は自由通行という曖昧で不完全な移動制限内にやって来たのがGWでした。このGW時期に国道10号を通過した一般車両は膨大な数にのぼったと思われます。これら観光地に向かう一般車両はまったく制限にかからずにウイルスを拡散していった可能性が高いのです

本来、発生と同時に家保の家畜防疫員(獣医師)は昨日述べたように殺処分などに携わることなく、その本来の仕事である発生動向調査に専念すべきでした。

しかし、それがなされないまま殺処分に追われ、馴れない大型家畜にの扱いにふりまわされてしまいました。その光景はNHKクローズアップ現代にも登場します。

そして家保の農家に立ち入っての発生動向調査(サーベイランス)ができないために、「農家からの通報待ち」というパンデミック時とは思えない受け身の発生動向確認となってしまいました

本来は、発生地点からの発生拡大調査により、汚染地区を確定し、対策を立てるべきであるのに、農家や市民は発生状況が後追いでしか知らされず、また日に日に拡大する感染情報にふりまわされる形で不安ばかりを増大させていったのでした。

岡本教授によれば、この時点で、発生動向調査が完了するまでの時点まで、一般車両まで含めた交通遮断をすべきでした。家畜伝染病予防法(家伝法)第15条にはその権限をこう記しています。

第15条 (通行の制限または遮断)
都道府県知事または市町村長は、家畜伝染病の蔓延を防止するために緊急の必要があるときは、政令で決める手続きに従い、72時間を超えない範囲において期間を定め、(略)口蹄疫(略)の患畜又は疑似患畜の現在の場所(略)、(または汚染した恐れのある度所を含む)とその他の場所との通行を制限し、または遮断できる

また、家伝法第3条にも同様の自治体の権限がうたわれています。(家畜伝病予防法施行令を参照)http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%89%c6%92%7b%93%60%90%f5%95%61%97%5c%96%68%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S28SE235&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

同様に「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」(*特別措置法とは違う)にも通行の制限が記されています。この中には以下のような内容も含まれています。
家畜伝染病防疫指針 
ウ 通勤、通学、医療、生活必需品確保、郵便等のための通行は(略)、適当な消毒を行った上でを除き、不要不急の通行を禁止する
(PDF参照)http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_bousi/pdf/fmdsisin.pdf

冒頭で自治体は非常事態法を作る権限がないと書きました。しかし、それは正確な表現ではありません。家伝法、防疫指針の移動制限条項には、国道、県道の区別がありません。自治体の判断ひとつで一般車両まで含めた一定期間(72時間以内)の車両通行の遮断まで含む移動制限が出来ます

都城市、宮崎市、日向市、鹿児島県などは、この各種法令で与えられた権限を最大限に超法規すれすれまで使用して、移動制限に務めて下さい。

ためらってはなりません。今のひとつのためらいが、将来その百倍の禍根を残すことになります。

■写真 夕暮の霞ヶ浦。先日、同じ角度から昼間の風景を撮りましたが、覚えていらっしゃいますか?

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宮崎口蹄疫事件 その25  家保のマンパワーを殺処分ではなく、発生動向調査に投入しろ!

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宮崎市と日向市の疑似患畜は陽性であることが確認されました。これで北は日向市から南は都城まで、実に南北約100㎞を超える地帯が口蹄疫感染エリアに入ったことになります。

現地対策本部はえびの市を教訓として早期の殺処分に入ることを決定しました。本部長は党内で農政最高の理論家である篠原孝副大臣ですから、ぜひその手腕のほどをこの「戦場」で見せて下さい。彼に対しては手ひどい批判をこのブログでしたことがありますので、皮肉ではなく、今回は心から応援しています。

さて、児湯郡の拡大阻止の失敗を振り返ると、いくつかの問題点が浮かび上がってきます。第1に、初動の失敗ですが、このことについては今まで何回か触れてきましたので、今回は触れません。
第2に、処分と発生動向調査(サーベイランス)の遅れがあります。今回はこの問題を考えます。

私が児湯郡の防疫態勢を見て感じたのは、単純に発生地点から半径10㎞を移動制限区域、半径10~20㎞を搬出制限区域とするような機械的な方法で感染の拡大状況が分かるのだろうかということでした。

これは実際自分が感染エリアの近くで営農してみれば分かります。私には5年前の茨城トリインフルの時にその経験がありました。家保がどうやってそのコンパスを回すのか実際に見ていたからです。

よく新聞などでグルリと輪が描かれていますが、実際はそんな単純なものではありません。行政区や地形、そしてなにより実際に家保(家畜保健衛生所)が発生動向調査をしながら慎重に移動制限ラインを引いていくのです。

ところが今回、想定の速度をはるかに超えて感染が拡大しました。となるとどうなるのでしょうか。疑似患畜として処分を決めた家畜が、処分仕切れないまま膨大な数万頭という数で残されていき、そこから(特に豚)更に感染が加速していくという構図でした。もはや細緻な制限ラインを引く余裕などなかったのです。

その上、その処分しきれない待機患畜の上にワクチンを打った後に処分すべき16万頭が更に積み重なるという二重の泥沼を引き起こしてしまいました。

この原因のひとつは、家畜伝染予防法(家伝法)の読み間違いによる家保獣医師を殺処分にのみ動員したためです。家伝法16条にはこうあります。

第16条 家畜の所有者は、家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該の家畜を殺さねばならない
一、(略)口蹄疫
二、(略)口蹄疫の(略)疑似患畜
三、 家畜防疫員は、(略)緊急の必要がある時は、同項の指示に代えて、自らこれを殺すことができる。

驚きませんか。この私も含めて「殺処分をするのは家保の獣医師資格者のみ」と思い込んできていましたから。この鹿児島大学岡本嘉六教授(獣医衛生学)の指摘を知って、私も愕然となりました。今まで宮崎県が全国から家保とボランティアの獣医師を集めて何をさせてきたのかといえば、殺処分です。国の現地対策本部も異議を唱えませんでした。

結果、牛豚を扱える獣医師という貴重な存在を全国から駆り集めておきながら(*獣医師で牛豚などの大型家畜を扱えるのは半分にも満たない)、本来任務ではない殺処分にマンパワーを注ぎ込んでいたわけです。

岡本教授はこのような処分は、家畜防疫員(家保獣医師)がするのではなく、訓練と規律が行き届いた組織である自衛隊に任せ、処分-搬出-埋却まで依頼すべきであるとしています。

家畜防疫員がすべきことは、処分にかかわことではなく家保でなければできない任務、つまり発生動向調査(サーベイランス)です。

つまり、発生地点から単純に半径10㎞のコンパスを描くことではなく、「感染地帯」の周辺地域(「発生動向確認地帯」)、さらには「清浄地域」まで含んで、感染が飛び火していないかを入念に調査し尽くすことです

私の農場は家保のモニタリング農場なので、月に一回家保の獣医師が数人一組で訪れます。つい先日もいらっしゃいました。この暑いさなか、例の白い宇宙服もどきの防御服に農場の外で着替えて、消毒液で長靴を洗浄し、サージカルグローブ(ゴム手袋)をつけて入念に、家畜の咽喉や肛門から検体を採ったり、血液採取や、聞き取り調査をしたりするわけですが、大変な仕事です。だいたい一農場で2時間はかかります。専門性のみならず、肉体的にも大変な作業です。

岡本教授はこのような獣医師でしかできない立ち入り検査の頻度こそが、拡大阻止につながる鍵だとされています。児湯郡において、獣医師が大量投入された時点では、既に感染が拡大しきっており、感染ルート確定調査もなにもグチャグチャな状況でした。いわば、殺人現場で刑事が現場に来た時点では、足跡だらけ指紋だらけだったようなものです。

不幸中の幸い都城、宮崎、日向はまだ感染が初期の段階です。感染動向確認地域を防疫の最前線として家保が全力で調査に入り、感染ルートを特定し、感染を撲滅できます!

前車の轍を踏むことなく、この災厄を根こそぎやっつけましょう!

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宮崎口蹄疫事件 その24 宮崎市、日向市でも疑似患畜確認! 消毒液が不足などという煽りは止めてください!

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口蹄疫 宮崎深刻、感染さらに拡大 西都や木城でも
6月10日20時14分配信 毎日新聞

農林水産省と宮崎県は10日、都城市高崎町の農家で家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)特有の症状を示していた肥育牛が遺伝子検査の結果、陽性と判明したと発表した。日本最大級の畜産地帯である都城市で感染疑い例が確認されたのは初めて。県と市は10日、この農家が飼育する208頭すべてを殺処分し、埋却した。口蹄疫特有の症状を示す家畜は10日、宮崎▽日向▽西都の3市と木城、川南両町でも見つかり、宮崎での感染拡大は歯止めがかからない状況だ。

県と都城市は近く、この農家を中心に家畜を動かせない移動制限区域(半径10キロ)、運び出せない搬出制限区域(同10~20キロ)を設定する。市によると、半径10キロ内の牛・豚は約17万頭で市全体の37%、同20キロ内だと約33万頭で70%に達する。既にJA組織を通じて周辺農家に移動の自粛を求め、移動制限区域内にある食肉処理場も稼働を停止した。

 県によると、発生農家で診察した獣医師から9日、よだれを垂らしている牛がいると県に届け出があり、県が立ち入り検査。3頭に舌のただれなど口蹄疫特有の症状がみられた。農水省も写真で確認し、同じ部屋で飼育されている9頭の殺処分を決定。この農場で飼われていた残る199頭についても、都城市が日本最大級の畜産エリアであることなどから、検査結果を待たずに全頭を殺処分した。

 感染拡大防止には迅速な対応が欠かせないとの考えから、市は今月4日に終息宣言を出した同県えびの市のケースを参考に、一報が入った9日午後4時以降、約23時間で埋却まで終えるというスピード処理を進めた。

 県は当初、この農家の飼育頭数を250頭としていたが、その後208頭と分かった。

 一方、3市のうち宮崎市と日向市で口蹄疫特有の症状を示す家畜が見つかったのは初めて。宮崎市のケースは、1325頭の豚を飼育する同市跡江の養豚農家で、3頭の豚の鼻などに水疱(すいほう)があるのが見つかった。市は1325頭を殺処分する。

 日向市では、349頭の肉用牛を飼育する肥育農家で、3頭の牛に口中のただれなどが見つかった。市は感染疑いの可能性が高いと判断し、10日午後から全頭殺処分を始めた。また、西都市での疑似患畜の発生は6月1日以来。550頭の牛がいる同市三財地区の農場で、舌にただれがある牛2頭が見つかった。

西都市には、宮崎県の畜産業を支えてきた「スーパー種牛」5頭が避難中で感染拡大が懸念されるが、この農場と避難先は20キロ以上離れており、市は現時点で感染の可能性は低いとみている。

              ~~~~~~~~~~~~~~

口蹄疫の封鎖線は破られました。都城市で発症し、次いで宮崎市、日向市でも疑似患畜を確認しました。岡本嘉六鹿児島大教授((獣医衛生学)の言うように「今回はあまりに大きな火事で、周りに火の粉が飛ばないわけにはいかない」(産経新聞6/11)という指摘が現実となってきました。

今、国と県、市と町の自治体は家畜伝染予防法http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%89%c6%92%7b%93%60%90%f5%95%61%97%5c%96%68%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S26HO166&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1を最大限に行使して防御に務める義務があります。

家伝法は、岡本教授が「口蹄疫緊急時の対策」http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Contingency%20Plan%20CHAPTER%2011.htmの中で述べられているように、緊急事態に対して対応するための「非常時の法律」であって、平時の法律とは根本的に成り立ちを異にしています。

そのために権限者に緊急対策をする権限を付与しています。この行使をしなかった前大臣、あるいは行使が万全でなかった知事を教訓にせねばなりません。

平時の法律は、関係各所と相談をして合意形成を計るものですが、この家伝法は違います。「時間」が勝負なのです。一分一秒の判断の遅れが何万頭もの殺処分につながり、そして地域経済の壊滅をもたらします。

後手ではなく、先手、先手を打って感染を叩き潰さねばなりません。感染拡大の可能性は、たとえ可能性であっても断ち切らねばなりません。その意味でえびの市の対策を見て「北海道」さんがいみじくも「超法規的」だといった感想は当を得ています。まさに超法規的ラインでぎりぎりでせめぎあう伝染病との戦いです。

都城、宮崎、日向の皆さん、特に家保と行政の皆さん大いに「やりすぎて」下さい。現在のところ皆さんの素早い判断には感嘆しています。これからもぜひ緊急時の権限を目一杯使い切って下さい。

また、このようなパンデミックの地鳴りが再び聞こえてくる時期特有の悪質な風聞がネット上で流れ始めています。いわく、「消毒液が足りないので、酢を撒いている」というものなどがそうです

児湯郡の時には、ビルコンを民主党大物が自分の選挙区に優先して送っているというデマ情報がまことしやかに流れました。根拠のあやふやな風聞は止めて下さい。民主党憎しで死に物狂いで戦っている現地の人の足を引っ張ってどうするのですか!

えびの市でも酢は散布され、一定の効果がありました。今回も酢が撒かれていますが、消毒液ビルコンが不足して酢を撒いているのではありません。

このような時期にビルコン払底などという煽りをすればどうなりますか。家畜農家はビルコンの買い占めに走ります。そうするとたちまち限られた地域の農薬店やJAのストックはほんとうに切れてしまいます。お願いですから、現場にいない人たちは、危機をいたずらに煽らないでほしいのです。

この段階で野鳥によるウイルス飛散も視野に入れた拡大防止策をとるべきだと思います。東大大学院の白石博臣教授(動物ウイルス学)は、「都城までの50㎞という距離から考えて、侵入ルートは車のほかには鳥や風」(産経新聞6/11)だと述べています。

私は感染拡大原因の第1は車両だと思います。既に一部では始まっているようですが、家畜関係車両のみならず、一般車両もまるごと消毒してほしいと思います。また、野鳥に関しては、今日の写真でアップしました私の畜舎のようにすっぽり覆う防鳥ネット(漁網)しか対策はありません。ぜひ宮崎県でも実施されることを望みます。

               ~~~~~~~~~~

■「みやざき」さんの現地からのアピール(昨日のコメントと重複します)

みなさん
ビルコンって1ケースもすぐにには使わないですよね?慌てるのはよく分かります。でもちょっと考えてください。「小分けして皆で使いましょう」
そうすれば来週にはどっかり来ます。
決して不足してはいません。慌てて「余計に確保しまくっているだけです。」
こんな時こそ一丸となって行きましょう!
頑張れ宮崎!日向!

もちろん川南・児湯郡!

■写真 私の農場の畜舎をすっぽり覆う野鳥対策用ネット。もっとも小さなスズメも入れない目の細かさです。また漁網なので非常に丈夫です。私の農場は湖のそばにあるためにトリインフルエンザを媒介する水鳥⇒野鳥対策をせねばなりませんでした。

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宮崎口蹄疫事件 その23  都城市で新たな口蹄疫感染発見!市ぐるみで跳ね返せ、都城!

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口蹄疫:日本最大級の畜産エリアに飛び火 宮崎県都城市

 宮崎県央部で感染拡大が続いていた家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)が、県南西部にある日本最大級の畜産エリアに飛び火した。9日夜、農水省と県が発表した同県都城市での疑い例。同市には約2600戸の牛飼育農家と、190戸を超す養豚農家があり、飼育頭数は45万頭を超える。「皆が気をつけていたのに」「どうなるのか」。悲痛な言葉が相次いだ。

 宮崎県庁で9日午後10時から開かれた会見。押川延夫県農政水産部次長は「まずは1例目をたたき、まん延させないことが先」と語ったが、都城での発生は想定外だったと明かし、うなだれた。

 都城市は県央部から南西に約60キロ。1955年以前から兵庫県の有名ブランド牛「但馬牛」を導入して血統の改良を進め、06年の和牛販売額は110億円。多数の畜産農家を抱える都城への感染拡大は県や地元が恐れる「最悪の事態」だった。

 市によると、今回疑い例が出た農家の半径1キロ以内に、飼育頭数が1万頭を超える大規模養豚農家1軒を含む計7戸の農場がある。市は周辺道路を封鎖し消毒作業を始めた。長峯誠市長は「早め早めに行動したい」と語り、疑いが出た農家の残り241頭について10日未明に殺処分に着手した。

 牛300頭を飼育する50代の男性は「私だけでなく、農家全員が気を付けてきたのに。今日は症状が出なくても明日は分からない。これからは毎日が感染の恐怖との闘いになる」と頭を抱えた。(毎日新聞6月10日)

                    ~~~~~~~

えびの市で移動制限解除となり、種牛の朗報があった直後の激震です。今まで児湯郡以外の発症がえびの市であり、そこの感染ルートも特定されつつあっただけに、鹿児島県との境に位置する都城市の発症は私もショックです。

今回の発生は児湯郡に続く、第2次パンデミックの可能性を否定しきれません。というのは、発生農場半径1キロの至近距離に1万頭規模の大規模和牛牧場と、同じく大規模養豚農場もあるからです。

もし豚に感染が拡大するとなると、豚はウイルスを3千倍に濃縮して拡散する増幅動物ですから、大規模養豚農場だけに、とんでもないことになります。豚はきょうにでも家保の緊急検査が入るでしょうが、その結果が待たれます。

また、どのような対策を現地対策本部が取るのも注目されます。通常では、発生地点から10㎞が家畜防疫員(家保獣医)の指示で殺処分とされています。またワクチン投与によるウイルス飛散の防止は、あくまでも殺処分の遅れという児湯地区の個別事情によるもので、今回はどのように判断されますでしょうか。

なお、侵入ルートですが、寄せられた情報には敷料として川南町からカンナ屑が都城に入っているという情報もありますが、未確認です。児湯郡との発生の時間的な差から言っても、5月下旬か6月初めに侵入していると思われますので、移動性現対象の家畜運搬車の線はないと思われます。

あるいは、飼料用ワラ(台湾産)などの、外国からの新たな侵入もありえないことではないでしょう。

とまれ、都城市が一刻も早く、えびの市のような厳戒体制に入り、市ぐるみで防衛されんことを祈ります。

                  ~~~~~~~~

■「みやざき」様からのアピール(本日コメントと重複します)

都城のみんな
確認後の対応は高崎町頑張っています。えびのも迅速な埋却を基本に成功しました。出来るんです。
明日には全て片付く準備が出来ています。
あとは皆の努力です。


まずは一人ひとりが「その農家さんと最近会ったか」「その農家さんの所へ行ったか、来たか」を落ち着いて思い出して下さい。もし思い当たったら「うちも心配やが」と手を挙げて下さい。すぐに家畜を調べてくれます。何もなければしばらく大人しく自粛して下さい。
「そん位で・・・」「くせらしい」とは思わないでください。川南の時とは違って、補償もすぐ出してくれます。何も心配はいりません。
「うちは大丈夫」って勝手に思い込むのが一番だめです。
少しでも何か心配事が有れば遠慮はいりません。
近辺の方々は自分の家畜をじっくり観察する習慣を思い出して下さい。ちょっと長くなりますが、宮崎の底力をもう一回見せましょう。
同一地域での2ヶ所の騒動は「1ヶ所はただの火事です」落ち着いていきましょう。

今現在埋却済みの1件だけです。
地域の皆、「ヘルパー」に心当たりの有る方もすぐ手続を上げてください。悩む必要は有りません。
市長の緊急対応方針のもと航空機での警戒案内も出ています。皆バックアップしてくれます!
頑張れみんな!!

              ~~~~~~~~~~~

追加情報が出ましたのでアップいたします。

■ 追加情報1

6月10日11時16分配信 読売新聞

 鹿児島県の伊藤祐一郎知事は10日、隣接する宮崎県都城市での口蹄疫(こうていえき)発生を受け、消毒地点を設置した幹線道路を除く県境の一般道を封鎖する方針を明らかにした。

 両県を行き来する車両の通行道路を限定してすべての車両に消毒を実施することで、ウイルス侵入を防ぐ。封鎖対象の道路、期間などについては検討中で、鹿児島県は早急に実施したい考え。

 伊藤知事によると、道路の封鎖は、今年1月に韓国で口蹄疫が発生した際に実施された防疫対策だという。

 県畜産課によると、県内で搬出制限の対象は、曽於市財部町の畜産農家約30戸で飼育する牛約200頭、豚約1400頭となる。県は9日夜、同町の県道2か所に新たに消毒地点を設置した。

 県は午前9時半から、県庁で口蹄疫対策本部会議(本部長=伊藤知事)を開き、知事は「準非常事態」を宣言。「県に近い地域で発生した。長期化することを覚悟し、国や宮崎県と力を合わせて全力で対応してほしい」と呼びかけた。

 今回、搬出制限区域内となる曽於市や霧島市も相次いで対策会議を開いた。

最終更新:6月10日11時16分

■追加情報2

最終更新:6月10日14時3分 読売新聞
宮崎県都城市の畜産農家で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の疑いのある牛3頭が見つかった問題で、農林水産省は10日、遺伝子検査の結果、いずれも陽性だったと発表した。

 同県などは同日朝までに、この農家で飼育する牛全208頭を殺処分すると同時に、半径5キロ圏内の農家に対し、感染の疑いのある牛や豚がいないか確認作業を進めている。

 宮崎県と、都城市に隣接する鹿児島県は、発生地から半径10キロ圏内を移動制限区域に、同20キロ圏内を搬出制限区域に指定する予定。鹿児島県は、県境近くでは消毒ポイントを設けた幹線道路に通行を限定し、それ以外の一般道路を封鎖する方針。

 一方、政府の現地対策本部長を務める篠原孝農林水産副大臣は「発生農家から一定の範囲で家畜をすべて処分したい」と述べ、口蹄疫対策特別措置法に基づき、一定範囲での全頭殺処分も検討している。

 農水省などによると、東京都内の動物衛生研究所の施設で遺伝子検査したところ、3頭ともに陽性反応が出た。ウイルスのタイプは、まだ分かっていない。感染が多発している宮崎県川南町周辺や終息宣言を出したえびの市ではO型だった。同省は、都城市の感染がこれらの地域から飛び火した可能性もあるとみて、ウイルスのタイプや感染経路を調べている。

 感染が判明した農場では、9日に牛によだれなどの症状を確認。写真判定の結果、同省が口蹄疫の症状と判断した。このため、まず同じ牛舎の計9頭を殺処分し、さらにこの農場の牛もすべて殺処分した。

 山田農相は10日の口蹄疫対策本部の緊急会議の後、「午前中のうちにすべて埋却を終える方針」とした上で、「迅速に対応したい。交通遮断も含めて、総力を挙げて封じ込めなければいけない」と述べた。

 都城市は2006年の肉の生産額が牛151億円、豚225億円で、いずれも市町村別で全国トップ。隣接する鹿児島県も日本一の黒豚の産地。都城市に隣り合う同県曽於(そお)市も90戸が豚計約16万8400頭を飼育している。

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宮崎口蹄疫事件 その22   えびの市の緊急対策レポートを読んで

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本日の報道では、農水省の疫学調査チームの発表として、感染経路に家畜運搬車があったのではないかという報告が出ました。

「動物衛生研究所の津田知幸企画管理部長は、川南町の農場とえびの市の農場に家畜運搬車両の行き来があった、と指摘、えびの市への感染ルートとして関連が疑われると述べた」
「津田部長によれば、口蹄疫発生が最初に確認された4月20日以前に、川南町の農相から牛を摘んだ食肉処理場に向かう途中えびの市に立ち寄ったことが、関係者の聞き取りで確認された」(産経新聞6月9日)

これはA農場のことですね。えびの市という児湯郡からポツンと離れた地域に発症したことは奇異に見られていました。これで疫学的にも裏付けられたようです。

さて、なかなか決まらなかった農水大臣は予想どおり、山田正彦氏がなったようです。現地対策本部の上になる農水大臣にトンチンカンなことをやらかす人が来るとひどいことになると思っていましたので、とりあえず妥当な人事だと思います。赤松さより悪いってことはないでしょう。
山田さんは農業オンチ揃いの民主党内では珍しく現実に農業を、しかも今回の口蹄疫にはふさわしい牛飼いを五島でやっていました。ただし大失敗して借金こさえたんだけどね。まぁその失敗を含めて頑張って下さい。

「みやざき」様の昨日のコメントでえびの市の緊急対応のレポートがありましたので、最下段に掲載させていただきました。いつもほんとうにありがとうございます。
私はえびの市の対応は、小さな地方行政としてはこれ以上ないという対応であったと思います。

ここで教訓となるポイントは、このような強力な感染症が侵入した場合、国や県すらも一切頼ってはいけないということです。県や国はなにもしてくれないもの。してくれてもそうとうに後のことで、そこまで自力で対処して持ちこたえる自治体独自の体制構築がいることです

これは私のブログでくどいほど言っていることですが、現在の国の家畜伝染病予防法、防疫指針はあくまでも国ではなく、自治体にゲタをあずけている歪な形である以上、とうぶんその覚悟は必要となります。この事態が一段落したら、世論として、この改正を呼びかけていかねばならないでしょう。

次に、自らの自治体を文字通り「砦」と考えて、外部と感染ルートを遮断する必要があります。

えびの市では畜産従事者が、ホテルからの通勤となったことが記されています。たぶん他の市から通勤している人は、家畜同様の移動制限がかかったのだと思われます。これはある意味市民の生活権の侵害ですが、これを納得してもらってその人たちへの支えを地域全体でしていく態勢があったのだと思われます。

第3に、住民に対する緊急時のガバナンス(統治)としての情報の周知と統制が必要です。風評にまどわされない、風評を無責任に伝聞しないことが必要です。えびの市はかなり早い段階で市が緊急広報を出しており、他の情報によると電話連絡網が行き渡っていたようです。

これがないと、今回のネット界で洪水のようにあふれた風聞による伝言ゲームが支配し、正しい情報が住民に届かなくなります。市が公的に出す情報はこのような統制下に入った地域にとって、地域行政との信頼を維持していくためにも貴重なものでした。

大事なことは゛この死活の緊急時に、行政組織ならば、警察、消防、病院まで含んだオール市民、オール地域の態勢作りが必要です。それも顔を合わせて会議をというわけにも性格上いかないので、大変であったと思われます。

これは市民生活の制限のみならず、地域経済活動の麻痺を意味しますし、このような緊急態勢は長期に及んだ場合、非常に大変なことになりますが、短期で終わりにするためにも我慢して協力してもらわねばなりません。

                 ~~~~~~~~~

[以下引用]

発生直後はマニュアルを追いかけて対策を打つ。

埋却地選定を農家ではなく対策本部で当たる。基本的に農場内で埋却している。地域の同意を取ったり 全ての手続きをやったという意味です。えびの市所有地での処理が可能な様に準備していたのも、いざという時の腹つもりにもなったと思います。

③5月7日の2例目発生後、「発生農場から半径1kmで封じ込め」の独自方針を設定。半径内に自主消毒ポイントを5ヶ所設置し、半径内の全ての方々(住民含む)の出入りは必ず消毒ポイントを通過する様に設定

④}臨時広報発行し、地域住民への協力要請周知。

⑤対策本部にえびの警察署も参加してもらい、防疫対策による事故防止にも努める。
地域住民の方々のスムーズな協力が無ければ成り立たない事をあれだけの混乱の中実行されたえびの市市民・市長・家保・市当局・警察ほか全ての方々の一致団結の結果だと思います。(川南地域が何もしていなかった訳ではありません。本当に発生頭数・対象農家さんの数など大きすぎて、市町村レベルを一瞬で越えてしまっただけです。)

独自封じ込め対策費用:1億2千万を緊急拠出

⑦当事者である畜産関係者(10km制限区域内周辺農場)の従業員も区域外に出入りしない様に区域内のホテルに缶詰め通勤をしてもらう。
多分法律とか難しい基準からすれば「アウト」なのかも知れませんが必死に感染拡大を阻止しようと全力投球していました。

風評被害の問題も心配されていて「徹底した緘口令」を出しました。
でも、正直、やっぱり地区の雰囲気は、5月7日の2例目までは「そこまでせんないかけ」という空気でした。

⑨その他の対策。お酢の希釈水を入れたタンクを幹線道路沿いに設置しちょろちょろかけ流しで、24時間通過車両を消毒しました。

あくまで手探りでの対策でしたのでこれをこのまま当てはめるのは、冷静な知識の有る方の判断を仰がないといけないとは思いますが。

[引用終了]

■写真 霞ヶ浦の灯台というか、標識。私としては珍しく絵はがき的です。

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宮崎口蹄疫事件 その21  NHKクローズアップ現代「口蹄疫初動はなぜ遅れたか」を見て

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昨夜6月7日のNHKグローズアップ現代「口蹄疫初動なぜ遅れた」は見応えがありました。わずか30分間でしたが、今回の宮崎県の事例と英国の口蹄疫緊急対応政策を比較して非常に説得力ある内容でした。受信料払っておいてよかったとたまに思わせるNHKです。

私もちょうど前回記事を書き終えてビールでもと思った時に始まったので「山形」さんといっしょで初め5分は見逃しましたが(笑)、以後はあせって録画しましたので、それに私の情報を加えて子細に検討していくことにします。

■(1) まずは、口蹄疫と確認されるまでの経緯です。

①4月9日に児湯郡都農町に所在する繁殖牛農家(飼養頭数 繁殖牛9頭、育成牛3頭、仔牛4頭)を往診した獣医(開業医)から、口のただれ(軽度の潰瘍)があったので病症確認の為に家保に見てほしいとの依頼がありました。
同日、県家畜保健衛生所(家保・県所管))が検診しますが、症状がでている牛が一頭であり、経過を見ることになりました。

②4月16日夕方に同じ症状の牛が出たとの農家からの報告があり、翌17日に家保で検査しました。3日かけて検査(類似の症状が出るイバラキ病など)しましたがすべて陰性であったために、19日夜に東京の動物衛生研究所(国所管)に持ち込まれました。http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/nosei/chikusan/miyazakicow/page00032.html
③20日4時30分、動物衛生研究所は口蹄疫と確認しました。

ここまでの処理において確かに11日間が経過しています。これをして「宮崎県の初動が遅い」との批判がこともあろうに内閣の一員からなされました。またこれに便乗する一部心ないメディアが面白おかしく宮崎県バッシングの材料にしました。

■(2) 番組の中で家畜伝染病が専門の東京農工大白井淳資教授は、現在の仕組みの中で素早く口蹄疫だと確定することは難しいと言います。
「現在の仕組みの中で県の家保にだけ責任を押しつけるとそれはとても負担が大きいし、大変なことだと思われるので、国が家保を応援する仕組みを作ってほしい」

■(3) 殺処分の想定を上回る遅れがなぜ出たのかについてです。
①国の防疫指針において処分は原則として「農家が行い、それを県が積極的に協力すること」が定められていました。宮崎県は指針に従って職員を派遣しましたが、職員は家畜の扱いに馴れていないために手こずりました。
②口蹄疫の防疫の原則は3日以内に処分することでした。しかし現実には、感染が拡大するごとに処分にかかる日数は増えていきました。8例目で既に1019頭が処分対象となり、8日目になっています(番組のナレーションとグラフ)。

これについて番組内での宮崎県畜産課 岩崎充祐(家畜防疫対策監)はこう言います。
「早期に処分せねばならないのはわかっていたのだが、馴れていないために作業場でトラぶった」

■(4) 国の対応の遅れについて。初動の国の認識にはこのようなものでした。
「国は感染が徐々に拡大していることについて事態をおさめる有効な方策をうちだせずにいました」(番組ナレーション)。
①4月28日(発生確認から8日後)、農水省が専門家を集めた牛豚等疾病小委員会が開かれました。しかしそこで出た答申は事態の大きさと実態をまったく掌握していないものが出ます。報告書は言います。
「迅速かつ適切に防疫措置がなされている」
②しかし口蹄疫の感染は、急速に拡大し、特にグラフで見ると5月3日を境にして一気に80度の急上昇をみせていくのが分かります。6月3日の段階ですぐに処分が必要な患畜は18万頭を超えて国内最大の家畜伝染病となりました。

③この4月28日から5月の上旬までの期間こそが、第10例川南町の県家畜試験場の豚の感染であり、以後毎日のように26例まで養豚の感染が続いていきます。牛から豚への感染が、一挙に川南町のウイルスを最大3千倍までに拡大していき、地域の汚染濃度を一挙に押し上げていったのです(番組ではこのことに触れていませんが)。
(感染リストに関しては鹿児島大学岡本嘉六教授参照。なお岡本教授の論旨には多少抵抗感がありますが、大変に教えられます)http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Events.htm

これについての番組内での赤松農林大臣の宮崎県庁での発言(2回目の宮崎入り時)。
「残念ながら、数そのものについては押さえ込むにはいっていっていない。そのことについてはほんとうに申し訳なく思っています」

なんだか今となってはどーでもいいやという気分になるのが不思議ですが(あ~いかん怒りは持続せねば!)、この番組では出てきませんが、赤松前大臣の4月28日からのカリブ海外遊が、この農水省牛豚疾病小委員会の危機感のない答申に背を押されたことは間違いないようです。ついでに対策本部が1カ月遅れだったことも(←やっぱり政権与党に気を使っているのでしょうかね)。

さてここで、改めて問います。なぜ初動が遅れて押さえ込めなかったのでしょうか?繰り返しになりますが、もう一回その経過と原因を洗います。イヤな顔をせずにおつきあいください。

その第1の原因は、4月9日の症例を口蹄疫だと確認することが県の家畜保健衛生所ではできなかったことです。その理由は
①感染数が一頭だったために、下痢、発熱などを呈する類似の感染症が疑われた。
②感染数が2頭となったのが5日後の16日であり、結果論的にはそこまでに感染拡大しており潜伏期間だったわけだが、現場でそれを口蹄疫だと確認することは不可能に近かった。
③16日に宮崎県の家保で検査にかけるが、
宮崎県の検査施設では判定が困難で、東京の動物衛生研究所に送ったのが19日だった。
④20日に動物衛生研究所で口蹄疫と確認。

この間実に11日間ですよ・・・。3月下旬にも疑わしき症例報告がありますから、たぶん4月20日までに優に初動20日間はロストしています。なぜこのようなことが起きたのでしょうか。

今や、原因ははっきりしつつあります。
まず、疑わしき症例を県に持って行き、そこから更に国の検査機関に行くという回り道をしたからです。複数頭発症しなかったので5日置いたのはいたしかたがないとしましょう。

しかし、県で3日間検査して分からず、そして国へというまだるっこさがこの初動制圧を妨げました。ここで素朴な疑問が浮かびます。初めから国に検体を持っていけばいいではないですか。

こんな30万頭にのぼる殺処分を出し、宮崎県に数千億円の被害を出した巨大伝染病は、国が検査し、防疫の指揮を取り、処分も国が行うって思っていませんでした?

ノンノン、そうではないのですよ。今の国の家畜伝染病予防法や家畜伝染病防疫指針はそうできていないのです。国はまず県にその防疫の主体であることを任せています。殺処分に至っては、なんと家保の獣医が判断して農家が自分でやれ、と。家保は「協力する」だけだ、と。おいおいではありませんか。

地方分権?馬鹿言ってはいけない。財源なき地方分権は、単に国の責任逃れです。小泉改革でズタボロになっている貧窮問答歌状態の地方自治体にこんな巨大パンデミックを受け止める力があるわけがないでしょう。

だから口蹄疫判定の遺伝子検査機材がなかったのです。全国の都道府県で、口蹄疫の遺伝子検査ができる県などどれだけあるのでしょうか

たとえば、殺処分した家畜を埋めたくとも土地ひとつにしてもないわけです。では防疫指針どおりに「農家の責任で処分する」ために農家自らが買うのでしょうか?そんな金が被災農家にあるはずもありません。国有地にといっても、現実には近隣の人の了解やらなんやらでこじれにこじれて、航空自衛隊の基地に埋めるかなどという仰天案もあったようです。そして待機患畜が万単位でて、感染を拡大し続けました。

また、川南町を通る国道10号線は、川南町から感染を拡大するルートになりました。このようなパンデミックにおいては、飼料運搬車などの関係車両だけではなく、韓国のように一般車両までふくめて徹底的な消毒が必要です。最悪な事態では、国道の交通統制が必要です。これは国交省の管轄ですので、そのようなことはできませんでした。前原さん、シラっとしてますが、あなたにも責任の一端はあるんですぜ。

なにより、口蹄疫の侵入ルートを遮断したり、消毒したりすることは国や他の自治体とも関わり、単一の地方行政が出来る権限の域をはるかに超えています

私は口蹄疫は国家が一括して所管すべき伝染病だと考えます。これが口蹄疫被害先進国の英国の出した教訓でした。これを変に法律的にだけ地方自治体に責任を分けて、しかも国が最終的に握っていたいなどと思うねじれがあるからおかしくなったのです。農工大白井教授がおっしゃるようにまさに「地方自治体にだけ責任を押しつけるのは負担が大きすぎる」ことなのですから。

                   ~~~~~~

■写真 咲き始めた早朝のユズの花

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宮崎口蹄疫事件 その20  マスコミが口蹄疫事件に飽きても、私たちは追いかけ続けます

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いやどうも、「はる」さん。ぜんぜん問題ないですよ。というか、何か問題あることをおっしゃいましたか?

「児湯地区に住んでいる誰もが密集させたくて飼っている訳ではないはずです」という言葉は、逆に私の方に響きました。そのとおりです。こんな打撃を受けて、膨大な家畜を死なせ、立ち直れない人も出るかもしれない状況で、批判めいたことを言われてはたまりませんものね。

むしろそのお気持ちを大切にしてください。自分の育った村を思う気持ちが人にとって芯になることですから。

私は「みやざき」さんも言うように、この悲劇は日本中のあらゆる地域で起きる可能性があると思っています。たまたま色々な不運がかさなって川南町で起きてしまっただけです。

だからなおのこと、この悲劇を悲劇で終わらしてはならないと思っています。川南の農民の涙の数だけ、牛や豚の魂の数だけ、全国の宮崎を思う人たちの数だけこの事件が何であったのかを問い続けねばならないでしょう。

赤松氏は逃げました。ほんとに最後まで卑怯なお人です。もし、彼に政治家として、いや、それ以前に人としてこの宮崎口蹄疫事件を終結させるまで力の限りを尽くす責任がありました。初動の失敗は、もはや誰の目にも明らかなのですから、児湯地区の感染を完全に止めきり、特措法のゆくえをしっかりと見届けてから辞任するべきでした。

ところが総辞職という煙幕の中に紛れ込んで、「再任をする気はない」と誠実な仮面をかぶって逃げおおせました。これならば、引責辞任ではなく、ましてや野党から辞任要求を突きつけられて泥を被ることがないと踏んだのでしょう。いずれにせよ、あなたの汚名は残ります。

「山形」さん、おっしゃるとおりマスコミの報道が急速に減りましたね。私は今回の隠れた「犯人」のひとりがマスコミだと思っています。マスコミはGW以前は、報道管制かと見紛うスルーをし、GW以後になってようやくポツポツと報道を開始し出しました。そしてその悲劇が巨大であることがわかると我も我もと熱狂し、そして特措法が成立し、ワクチンが打たれ、種牛が助かると急速に覚めて行きました。

もしマスコミが4月下旬の段階で口蹄疫の重大性を報道していたのなら、「宮崎を救え!」の世論形成が少なくとも2週間は違っていたはずでした。そしてそれにあわてて、赤松大臣もカリブ海外遊などをするこはできなくなったはずです。

この失われた1カ月間、マスコミに代わって現地情報を発信し、それを交換し、危機感を持たない政府を検証して対策を要求してきたのは私たちネットでした。

今後も私のブログは根気よく宮崎口蹄疫を追いかけていくことをお約束します。ただ、私のブログの元来のテーマである、沖縄、チベット、東トルキスタン、農業問題、環境問題などのテーマをやりながらの長距離マラソンになりますのでご了承を。

■写真 本日の霞ヶ浦の船溜まりの日暮れ。

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宮崎口蹄疫事件 その19  川南町の教訓・集中と集積の価値を疑う時期が来ている

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今まで私たちを心配させてきたエース級の種牛5頭の検査が陰性と分かりました。FAOも言っているとおり、「この段階で貴重な種を残しておくことの重要性」が保持されたことは嬉しいかぎりです。

今まで私は種牛問題に関して発言しなかったのは、簡単に白黒をつけられない問題だと思ってきたからです。ネットで署名運動まで始まった時は、なんと言っていいのやらという気分でした。

このパンデミックという段階まで来ると、エース級種牛だろうと例外はありえないからです。また、このような種牛が存亡の危機にさらされた原因は後に総括するとして、今の段階で感染拡大を止めるために何が有効なのかを最優先されねばなりません。

私には種牛助命嘆願運動には、情に流されて大状況を見ていない危惧を感じていました。しかし一方、「宮崎がんばれ」の熱い気持ちで種牛助命を叫ぶ心理も充分に理解できますので、あえて水を差すようなことは言いたくなかったのです。ですから、ひとまずこのような形で終息しつつあることを心から歓迎します。

さて、川南町がパンデミックの爆心地であることは、発生件数の数からもわかります。6月5日現在274件発生していますが、川南町192件、次いで都農市29件、高鍋町が24件、新富町16件、西都市5件、木城市4件、えびの市4件です。

えびの市を除く発生地域は児湯郡であり、そして70%が川南町で占められています。この川南町の特殊性がふたつあることを前回指摘しました。ひとつは「畜産の町」、いいかえれば畜産基地であること。今ひとつは、それが可能だったのは「日本3大開拓の村」だったからです。

私は5年前の茨城トリインフルエンザ事件の時の爆心地がふたつあったことを思い出します。ひとつは第1例を出した水海道市であり、もうひとつは真の発生原因を作った小川市(現小美玉市)です。

このふたつの地域は養鶏全国第1位の茨城県養鶏業のまさに心臓部でした。かねてから、ここに伝染病が侵入したらどえらいことになると家保関係者がささやきあっていた、まさにそのハートランドでメガトン級ウイルスミサイルが爆発したわけです。

このふたつの地域は同じ畜産基地でもやや性格を異にしていました。水海道市は中小の養鶏業者がひしめき合う地域であり、小川市は世界的な大規模養鶏企業のイセ・ファームが展開している地域でした。後の調査による疫学伝播図によれば、後者の小川町から出たウイルスが、なにかしらの形で前者の初発第1例農場に持ち込まれ、そこから感染爆発したと推測されました。

では、このふたつの地域を結ぶのはなんだったのでしょうか?それは廃鶏です。卵を産んで一定期間たった鶏は、廃鶏とし処分業者に下ろされ、それを強制換羽という技術を用いて再度利用するシステムが養鶏業にはあります。消費者には目に触れない裏街道のようなものです。この裏街道の受け皿農場が水海道にあったのです。

この水海道市の裏街道受け皿のF農場にトリインフルエンザ・H5N2型ウイルスを持った廃鶏が持ち込まれ、そこで他の鶏に感染拡大し、そして隣接する養鶏場に飛び火し、更にまた分岐して複数箇所に飛び火するしていく鼠算的連鎖が始まったのです

この水海道市は養鶏団地として計画的に作られており、一カ所の狭い地域に中小の養鶏業が林立していました。まさに道隔てて隣に別な養鶏場があるという風景です。

これは行政の「迷惑施設」を一カ所に集中させて養鶏コロニーを作ってしまう政策からきています。この利点は前回にお話しました。しかし、ひと度強力な感染力を持つウイルスに侵入されてしまうと、隣接する農場同士を結ぶあらゆるものが感染を媒介するものに変じていくのです。

この場合第3次報告書を読むと、養鶏団地で使用している下水道と、そこのネズミがウイルス・キャリアーとなる原因としてあげられています。私の村では同業者はいないに等しいので、私は自分の農場に入って来る飼料運搬車を中心に消毒すればよかったのですが、水海道では縦横に走る下水道が感染爆発のネットワークになったのでした

また、養鶏場で働く作業員が作業用長靴のまま行ってしまった食堂やスーパーなども伝染の中継点となりました。つまり、畜産の従事者と一般の市民生活と重なる部分にまで目を配らねばならないことが分かります

整理すれば、まず畜糞尿、家畜(死体も含む)の運搬、飼料運搬車両、農場間の行き来、下水道、ネズミ(口蹄疫では野鳥、蠅も含む)、町の人がよく行く場所などがウイルス感染の媒介となります。さらには、町を通過する一般車両も警戒せねばなりません。

今回の川南町の感染伝播図が明らかにされていないので推測の域を出ませんが、水海道市と同じことが更に大規模に拡大再生産されたのではないかと思われます。

特に4月28日に第10例の県畜産試験場(!)で豚に発症した時点で、川南町は市民生活も含めて厳戒体制に入るべきでした。というのは、第12、18、19、20、21、24・・・と養豚業がわずか1週間ほどの間に立て続けに発症しています。

これら養豚農場間の距離は私には分かりませんが、しかしなんらかの伝播関係があるはずで、すべてを関係車両や空気感染とすることには無理があると思います。おそらくは、下水道や市民生活レベルでのウイルス伝播があったのではないでしょうか。

その意味で、えびの市の酢の散布や、商店や役場の踏み込みマットや市民各戸への消毒液の支給はすごい!4件ていどの初動段階でこれをすれば、効果は大きかったと思われます。

初動においてやりすぎという言葉はないのです

私は川南町の教訓として、一カ所に集中した畜産基地は防疫上きわめて危険あり、今後分散型畜産のあり方を考えていくべき時代だと思います。伝染力が強力な感染症が国境を楽々と超える時代において、集中と集積の価値を疑う時期が来ていることを、今回の口蹄疫事件は教えているような気がします。

■写真 村の簡易郵便局。とても綺麗な老婦人が局長です。

■資料 毎日新聞 6月5日 
宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で農林水産省と県は5日、国の特例措置で同県西都市に避難している「宮崎牛」のエース級種牛5頭について、4日採取した検体の遺伝子検査はいずれも陰性と発表した。念のため実施した血液抗体検査結果も6日に判明する。宮崎牛ブランドの種牛全滅の危機はひとまず回避される見通しとなった。

 県によると、口蹄疫ウイルスの潜伏期間は1~2週間。5頭とともに避難した「忠富士」が5月21日に感染疑いとなり、県は6月4日までの2週間を経過観察期間として、検体を連日、動物衛生研究所(東京)に送っていた。5頭は当初の簡易畜舎と同じ敷地内の新畜舎に3頭、約500メートル離れた畜舎に2頭と分けて厳重に管理している。県は5頭を引き続き現地に留め置くが、検体検査などの継続については国と協議するとしている。

 また、発生地から半径10キロ圏内でワクチン接種した同県日向市の農家1戸が飼育する豚約600頭の殺処分と埋却が5日、終了した。予防的殺処分を定めた口蹄疫特措法の初適用となった

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宮崎口蹄疫事件その18   川南町・畜産の町の光と影

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まずは、なんと言ってもえびの市の移動制限解除、おめでとうございました!ひさかたぶりの朗報です。私もえびのに親戚がいるので(私の父祖の地は鹿児島です)、他人ごととは思えません。

初動、それも豚の感染拡大をいかに制圧するのか、また緊急時にはえびの市のように現場の裁量において柔軟な対応が必要であることを全国に知らしめました。ぜひ緊急時マニュアルとして教訓化されるべき良き事例でした。

一方「みやざき」様のご報告どおり、川南町の苦戦は続いています。これは川南町特有の難しさが絡んでいるようです。

川南町で今回ほど被害が拡がった原因はいくつもありますが、そのひとつに畜産農家の密集地域であったことがあげられます。

私の住む行方市(なめがた)は面積が222㎢、人口が33万8千人です。一方川南町は面積90㎢、人口1万7千人です。わが市は3町村合併で大きくなりましたので、元の北浦町ていどのようです。

さて、川南町を特徴づけるのは2点あります。ひとつはさきほどから言っている畜産の町という点です。平成17年度の川南町勢要覧資料編によれば、豚の飼育が農家79戸で12万5千頭、肉牛が228戸で7千6百頭、乳用牛28戸で1万5千頭となっています。人より牛豚が9倍もいるのです。

牛と豚あわせて15万頭の産出額は、町の5割のを占めており、宮崎でもトップ。宮崎牛という日本有数のブランドを支えているのはこの川南町です。つまり、宮崎畜産の心臓部だったのです。

これは私の実感から言ってもとてつもないマスで、肉用牛228戸という数を見たとき、一瞬28戸の間違いではないのかと目をこすったほどです。私の市では私が知る限り肉牛農家は4、5軒しかありませんし、豚屋はもう少し多いですがせいぜいがふた桁でしょう。

このケタ違いの数の畜産農家が、私の市の3分の1の面積にひしめいているのですから、これは迫力だなぁ。これがどうしてなのかは川南町の歴史を調べてみるとすぐに分かりました。

川南町は、青森の十和田市、福島の矢吹町と並ぶ日本3大開拓の村なです。ああ、なるほど。でなければ、このような畜産に傾斜した産業配置にはならないわけです。

なぜでしょうか?私自身が畜産家だからハッキリ言いますが、「畜産は嫌われ者」だからです。蠅が出るといってはイヤがられ、臭いと言っては役場に電話をされ、夜鳴いたといって110番されたという仲間もいるほどです。かくしてつけられた行政の名前が「迷惑施設」。おいおい、俺らは社会のやっかいものかい。

ですから、都市近郊で畜産をやることはまず無理で、私のような純農村部で、しかも環境保全型畜産と銘打っている私ですら畜舎を建てようと計画をしただけで、近隣の土地の価値が下がると立ち退き要求までされた苦い経験があります。

これは古い農村であるほど、縦横斜めの人間関係が折り重なっており、畜産のような旧来の田んぼと畑を相手にした耕種農業とは体質的に異なる畜産への無理解が濃厚だからです。

また、これは話出すと長くなりますが、日本人の心理の基底にある神道的「畜生の汚れ」に対する嫌悪感、「血」への忌避感もあると思われます。

ですから川南町の特徴の2点目として、川南町のように戦後すぐに入植が始まった開拓地域であることです。村自体の歴史が浅く、村人もほとんど同じような境遇から出発している地域だと、旧村の縛りから自由です。「皆んなで畜産の町にしよう」という合意すらできます。

そして、ある程度の畜産産業の基礎が固まれば、むしろ集中して畜産基地化していくほうが経営的にはメリットとして働くでしょう。

まず、飼料搬入が当該地域で固まっているために合理的な配送がかけられます。10㎞離れた西にポツン、東にポツンそれぞれ月一回3トンバラ車では、飼料会社はたまったもんじゃありません。一地域で配送網を構築できるのは経済的にはデリバリー価格の削減となり、飼料価格を抑えることにもつながります。

次に、出荷にしてもこれもえらい遠くまで行くのと、一地域で集荷ができるのは魅力です。また宮崎経済連豚原種豚センター川南市場があるように、品種を更新したり改良したりする上でも有利です。

そして、困りものの畜産廃棄物の豚糞、牛糞の処理にしても共同で家畜糞尿処理施設を設けて優れた堆肥として販売することさえも可能です。

このように川南町は開拓の地ということをバネにして、全地域一丸となって畜産を押し進めてきた土地柄だったのです。これがいったんこのような強力な感染力を持つ伝染病が侵入すると、今までの有利なことがそのまま危険性へと暗転していきます

それについては次回にお話ししましょう。

■写真 わが村の新緑に走る郵便屋さん。中央に見えますか? 

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赤松大臣、総辞職で逃げきる 次の農水大臣は農業を知っている人にしてほしい!

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鳩山内閣が潰れました。まぁ、予想された事態で、いまさらなんの驚きもありません。むしろ今まであれだけの失政を山ほど積み上げて辞めなかったほうがかえって驚きでした。

ただし、これも延命のための手段に過ぎず、小沢氏が表舞台から消えただけで、党内に150名もの「オザワ・ユーゲント」を抱え込んでいる権力構造が不変な以上、本質的変化はないと思われます。

農業に関しては、4月1日から農家戸別所得保障政策が、モデル事業として米作のみに取り入れられました。これは地域によって実施時期や事前説明にバラつきがあるために、農業者もまだよく全体像を理解していないようです。

所得補償を見込んでの米の買い叩きがそここで発生して農家を悩ませています。仲買が補助金を見込んで、その分を買い叩くわけです。米価は下がり続ける一方、前年度米の大量在庫という異常事態が生じています。

果たして今年の新米時期にどうなっているのか、この農家戸別補償政策を見る上で興味深いところです。というのは、今年は冷夏予想で、農家は冷夏による作柄不良を予想しています。通常なら供給量不足で価格は上昇するのですが、これと所得補償政策がどのように絡んで影響を及ぼすのか、過剰米対策が明らかになっていないので、私にも予測ができません。

一方、この農家戸別所得補償政策に5618億円も注ぎ込んだために、土地改良予算を前年度比63.1%も大幅カットするということをしました。土地改良事業の全国の会長が野中広務氏であったためです。自民が作った事業は潰し、自分になびく予算はお手盛りするという典型的な利益誘導型の予算配分でした。あまりにもオザワ的なオザワ政治です。

複数年の土地改良事業による基盤整備が中途で廃止されてしまったために、村でも途中のまま放棄される事業がポツポツ現れだしました。なびくものには金をバラまき、なびかぬ者の予算はたとえ複数年度であろうと中途でぶった切るという民主党の政策スタイルは農村に目に見えない亀裂を作り出しました。

JA茨城ですら、あれほどのJAいじめに合いながら、望月副大臣の選挙区であることを理由に、政権党の鼻息をうかがって民主党支持するありさまです。

あ、そうそう民主党はJAを解体するのが方針です。理由はJAが自民党の集票マシーンだった時期があるということと、民主党の持つ新自由主義的考えがあるからです。独占禁止法にからめて攻撃していますが、この政権が4年続けば、JAも郵便局のようなことに追い込まれるでしょうね。

つまり、民主党の農業政策は、選挙の利害関係だけはやたら鮮明に見えるのですが、では何をしたいのかとなるととんとビジョンが見えてきません。戸別補償にしても、だから金バラまいてどうしたいのか、子供手当ての農業バージョンを作ってもっと農業をひ弱にしたいのでしょうか、減反を緩めるのは私も賛成ですが、それとどう関わって来るのか、自民党農政に替わる全体像が何なのかさっぱり見えません。

第一、本来それを議論して政策に練り込んでいくべき党の農水政策研究会が、小沢氏による「政策は政府だけが考えればいい」という一元化政策により消滅してしまったために、脳死状態となってしまいました。無役の議員がやる仕事は国会での汚い野次だけとなり、最近これはあんまりだということで復活したようですが、肝心な政権のほうがガタガタでは今更どうしようもありません。

そんなこんなで、民主党の農政はズブの素人が政権中枢に陣取り、知見をもつ例えば篠原孝議員などにまったく出番がないという体たらくとなりました。それに加えて「政治主導」とやらで官僚というツールを使わないものですから、官僚はだらけきり、かくて口蹄疫事件のような口蹄疫確認から丸々1カ月遅れて対策が出るという想像を絶する事態が生まれました。

とまぁ、私は民主党農政を見るとき、とてもじゃないがまともな政権運営がなされているとは思えません。赤松さんウンヌンではなく、彼のような強権的な素人大臣でも勤まってしまう、口蹄疫の真っ最中にカリブ海にゴルフをしに行っても誰も止めない体制を考え直したほうがいいでしょう。

次の大臣が誰かは分かりませんが(たぶん山田さんかな?)、ゼイタクは言いませんから農業を何も知らない人に大臣をやらすのだけはやめていただきたいものです。農民やパンデミックの被災地が迷惑します。

■ 写真、海に見えるかもしれませんが霞ヶ浦です。沖の養殖網を見に行っています。

■ 追記 私の関わる有機農業支援予算も5年間予算が2年度目で事業仕分けされてしまい、今年度はまったく予算ゼロで活動することになりました。前年度で作った新規就農者支援施設もドンガラだけで、それを活用する予算が突如消滅したために途方に暮れています。

少なくとも、民主党が有機農業や環境保全型農畜産を支援していく気がないことだけはよく分かりました。

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宮崎口蹄疫事件 その17    口蹄疫の特殊性と、えびの市の発生直後の対応について

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毎回、現地宮崎からホットな情報を頂いている「みやざき」様の昨日のコメントをご覧ください。貴重な情報をありがとうございました。

この情報を読むと、川南町と異なり今までよくわからなかったえびの市の発生確認直後の様子が手にとるように分かります。えびの市は口蹄疫確認の20日には既にセリが終了して、゛売買の成立した子牛が移動していたようです。

翌21日には、関係者がセリ市開始にズレ込む朝8時台まで開催を必死に検討していた苦悩の様がうかがえます。たぶん先日20日に売買成立した牛を含めて、今日のセリをどうするのか、なんの指示も上部組織からないままだったのではないでしょうか。

言うまでもありませんが、この段階では農水省はいかなる指示も現地に出していません。現地は驚くべきことには消毒液すら不足する事態になりました。農水省はこの段階で発生地域が含まれる南九州一帯のセリ市を凍結する緊急指示を出すべきでした。農水省消費・安全局はいったいなにを寝ぼけていたのでしょうか。

このような指示が遅れたために、すべての判断が現地の関係者の肩に乗る異常事態になります。このような口蹄疫というきわめて強い感染力を持つ国際法定伝染病において、中央は絶対的な権限を有します。

一部のコメントに「農家は伝染病まで国家賠償を要求するのか」という批判がありましたが、この口蹄疫の特殊性を理解されていないようです。

口蹄疫には他の通常の伝染病予防で許されている(というか推奨されている)いかなる予防ワクチンの接種、対症薬の投与も許されていません。私たち畜産農家が持つ防疫の手段はわずかに消毒、ただそれだけです。
これであの強力な感染力を持つ口蹄疫と戦え、感染したら殺処分だというのですから、なんともやり切れません。

これはOIEという国際防疫機関の取り決めがあり、日本が清浄国であり続けようとする限りは変わらないでしょう。ワクチンの投与は弱毒の口蹄疫ウイルスをばらまくわけですから、清浄性を妨げられ、またワクチン投与によるものか感染由来のものか判別がつかないというのがその主な理由です。
私はこれに大きな疑問を持ちますが、今回の宮崎事件において急遽そこからの離脱が考えられない以上、現実はそうなっている、としかいいようがありません。

つまり、口蹄疫の防疫において「国」が司る権限の部分が大半を占めるために、現実に「現場」が出来ることはえびの市で取った対応ていどに限定されるのです。

この実態をよく知らない人たちは、家伝法の「殺処分命令は家保が出す」という一項を針小棒大に拡大解釈して、「なぜ現地家保が4月20日の時点で殺処分を出さなかったのだ、それは家保、ひいては宮崎県の対応の遅れだ」と批判します。

現実には、家伝法第3章に「上部機関の指示を受けて」という一項があり、農水省の指示がなければ不可能です。これは防疫関係者ならば常識のはずでですが、一部のためにするメディアやネットではこれを大きく取り上げて宮崎県責任論に転嫁しようとしています。

そこまでして民主党政権を守りたいのかどうか、そんなことはどうでもいいのですが、とまれ、農水省がいっかな動かないために現地は足踏みをしていおり、できる範囲内で最善の対応をして苦闘していたわけです。

えびの市ではせり市中止を決めてから非常に素早い対応をしました。いったん売買された牛を戻す、採血検査を徹底するなどの手を打っていきます。もちろんそれは完璧ではなかっただろうと思います。そのあたりのニュアンスも「みやざき」様は伝えています。

上部からの指示がない段階で、家保の獣医や市職員などが、電話連絡などを取り合って、状況を落ち着かせようとしているのがうかがえます。

その中でえびの市の対応でもっとも感心したことは、5月4日の豚の発症と同時に、検査結果も待たずに、家保の獣医師が殺処分し埋却したことです。大変に勇気のある行動です

これは平時においては譴責をくらうことですが、豚の増幅動物という性格を熟知した的確な対応でした。これを見逃すと、川南町のような事態になります。この時点で川南町も先に豚で発症しているにもかかわらず、殺処分に踏み切っていません。

川南町の畜産農家は農水大臣が宮崎入りした5月10日に、大臣に川南町の豚の全頭処分を陳情して拒絶されています。このあたりが比較的小規模でくい止めたえびの市と川南市との差につながるのかもしれません。

■資料(「みやざき」様のコメント(6月1日)

えびの地区の口蹄疫での対応
4月20日の1例目PCR陽性判明(確定は4月20日16時50分)時点で西諸家畜市場子牛セリ1日目終了。
翌4月21日も市場当日8時30分頃まで検討し、当日の家畜市場開催中止決定。しかし当日8時台まで決断を延期したため市場には当日上場子牛準備・購買者は集合した状態。
さらに、前日20日に売買成立した引き取り待ちの子牛の移動(引き取り)が各地より問い合わせ殺到(買主より)。事情からキャンセル希望が相次ぎ、なおかつ既にトラックに積み込んだ子牛もキャンセルとなり引き返す事態に。通常売買が成立すると、キャンセルは認められないのですが市場の判断で止む無しとなる。家畜市場には売買成立したものの、キャンセルされた子牛が約130頭係留される事態に。
この中から「発熱・下痢」などの口蹄疫疑いの症状が出る。(密集度、ストレスと思いますが)。慌てながらもきちんと1頭1頭採血検査を実施し、疑いを晴らしていく。しかし、中で3頭だけは最後までよだれが出るなどの濃厚な疑いが晴れず、都度採血検査を実施。この間近距離のと畜場には、明日の搬入は今回の採血結果が出るまで搬入を見合わせる様に水面下で蜜に連絡を取り合う。農家さんには夜中に「ちょっと連絡するまで待ってて下さいね」程度、翌朝早朝「大丈夫ですよ~」という具合です。
表現が悪いですが、家畜保健所に許される権限範囲の中で準備運動が出来ていた、という状態でした。
その後、4月28日9例目のえびの市での1例目確定。翌日29日18時には殺処分・埋却完了。同時に4月25日7例目(川南町)でのA農場からの移動牛との疫学調査結果を踏まえ、管内周辺の関係農場一斉聞き取り、立ち入り開始。血清検査も実施し確認。
そんな中5月4日の2例目の「豚」に発生が確認される。獣医師の立ち入りで血清検体採取と同時に、検査結果を待たず立ち入り当日から獣医師の権限で殺処分開始。翌日には殺処分・埋却終了。
前市長の不祥事により09年10月の選挙で交代したばかりの村岡市長も素直に行動に移し、消毒ポイント設置、消石灰自主散布(各商店、スタンドなど全域)、消毒ポイント増設、取りうる体制を素早く布陣。唯一消毒ポイント(裏道)が出来ていなかったが、すぐに看板にて消毒ポイントへ誘導。
そこまでしても5月11日68例目が発生。この時も即殺処分と同時に農場主が出入りしていた別農場も殺処分完了。しかし、車両の貸し借りの有った82例目でも5月13日に発症。
以後、農薬散布用のヘリコプターでお酢を空中散布したり、考えうるだけの対策と、きちんと臨時広報で一般住民にも協力と、食い止めることの重要性を周知されていました。
発症が13日以降休息しても、管内の少しでも疑わしい症状は全て採血し検体発送。通常の薬剤も配達を避け、農家に引取りに来てもらい、さらに往診も農場敷地には入らず、道路に引き出してもらって診断。徹底した接触遮断。おかげで「あそこで口蹄疫出た~」とう「デマ」が飛び交う状態ではありました。

まだ正式解除では有りませんが、もしどこかで何か有った時には、関係者の方々にはやり過ぎて頂きたいと思いコメントしています。南の島(ここ個人的に思い入れアリ)での騒動を聞いて、あらためて乱文まとめです。

■写真 わが県の牛競り市の様子。後方の電光掲示板に体重や品番が掲示され、手前の観客席で農家や仲買が手元スイッチでセリあっていきます。

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宮崎口蹄疫事件 その16  30万頭という膨大な単位の中にひとつひとつの命が埋もれていきませんように

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私がこの間訴えたかったことのひとつは、簡単にいえば「命」です。
殺処分にかかった畜産農家が、母豚と子豚が別に殺処分をされると知り、「なんで一緒に埋めてやらんのだ」と泣きじゃくったという話を聞いた時に、あらためてそう思いました。
この話はプロの、そうむしろプロの、ある意味すれっからしの畜産農家の心をうちました。彼らの死と交換に生きている自分の生活を思いました。
いちばん柔らかい心の部分だったのでしょう。私たち農家は、家畜を農場から送り出す時、心のどこかシャッターを降ろします。
彼らと日常接して手入れをし、なにくれとなく見ているのは私たちだからです。
小説「食堂かたつむり」のエルメスを肉にしていく部分があります。エルメスは最後の最後まで自分が殺されるとは思わなかったわけです。彼女を全部食べきるということが主人公の「愛情」でした。
家畜はペットではありません。私たち農家は家畜をもっと突き放して見ています。さもないと、人としてやっていけないからです。毎回エルメスを屠殺するような心を引き裂かれることをしていたら、正直、身が持たない。
「食堂かたつむり」の主人公はもう一回豚を飼うでしょうか?私は飼わないと思います。
それは「ひと」と「家畜」の距離があまりに心理的に近すぎるからです。ペットとして飼った生き物を殺せません。
畜産は家畜という生き物との距離のバランスの中にあります。あまりに近ければ、私たちは心理的バランスを失います。経営として成り立ちません。逆に遠すぎれば、家畜を単なる経済的な単位としてしかみないでしょう。つまり、肉や玉子、乳を生産する「モノ」としてです。
この宮崎の悲劇を見て、全国の畜産農家は自分の家畜と接した時にどこかで考えたと思います。
「こいつらにワクチンを打っていったん助けてから、殺処分などできるのか」、と。あるいは食べられないような家畜の死は何なのかと。
そのような理屈ではわかっていても、心が許さないような複雑な思いの中から、はるか宮崎の同業者の苦衷を思うのです。

そしてあらためて、あたりまえに彼らに餌をくれてやる喜び、手入れをしてやれる、いや手入れをできる日々の喜びを思ったのではないでしょうか。
私は祈ります。今回の人為的な災害が、あらためて家畜の命の重さを知ることにつながりますように。30万頭という膨大な単位の中にひとつひとつの命が埋もれていきませんように。
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■写真 アザミでお仕事中のニホンミツバチ。
■「北海道」様、参考書のご紹介ありがとうございます。探してみます。
■「宮崎」様。やはり感染の拡がりは止まりませんか。20㌔圏内で出ると・・・今度はまた同じことの拡大反復です。殺処分数は膨大なものとなります。出ないことを切に祈ります。
これから梅雨です。雨はウイルスが苦手とするものなので、多少は違うかもしれません。ただし埋却作業は穴に水が溜まり、泥濘になるので一層困難になりますが。
埋却からハエがひどいですか。ハエは感染媒介生物なんですよ。消毒液や殺虫剤で抑えきれないということか・・・。まずいなぁ。
■「宮崎」様、「北海道」様、よかったらメルアドを教えて下さい。当然非公開にしますので。
■メディアの報道が非常に減りました。赤松大臣が訪れて「謝罪」し、知事と手打ちしたことや、ワクチンが終了しつつあるという宣伝で、状況が終息しつつあると考えているのかしら?「みやざき」様、大手メディアなんてこんなもんですよ。現地からの発信よろしくお願いします!

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