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宮崎口蹄疫事件 その39 クローズアップ現代・英国口蹄疫緊急対策 第4回 2007年発生時に英政府はどう動いたか?

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色々なコメントをありがとうございました。「ひよこ」さんどうもご職業を間違えていたようですいません。言いすぎたかもしれませんが、私の主張の根本は多少おわかりいただけたでしょうか。懲りずにまたお越しください。

さて、NHKクローズアップ現代「口蹄疫なぜ初動は遅れたのか」(6月7日放映)をテキストにして、英国の口蹄疫緊急対策計画を見ています。(番組前半の今回の宮崎口蹄疫事件に関しては、私のシリーズその21に要約してありますのでそちらをご覧ください)

2001年の第2次パンデミックを受けた英国口蹄疫緊急対策は、2007年に実地テストを受けることとなります。                              ~~~~~~~~~

●2007年9月11日午後5時30分・・・牛を飼う農家ローレンスさんの農場で疑わしい牛が発見された。ローレンスさんのインタビュー「苦しそうにして大量のよだれが出ていたので、すぐにデフラ(DEFLA 英国環境・農業・食糧農村地域省 日本の農水省に相当)の通報窓口に電話をしました」。
●9月12日午前6時・・・デフラの専門獣医師が到着し、直ちに診察。
●同日   午前8時・・・研究所で分析。
●同日  午後12時・・・感染確定。

「ただちに英国政府は発生確認とともに、当該の発生農家だけではなく、全国の牛を移動禁止としました」。(番組ナレーションより)

この全国移動禁止措置は、非常に徹底しており、欧州本土での発生においても英国は全国移動禁止措置に踏み切ります

これにはこの私も驚かされました。これはわが国に置き換えれば、中国、台湾、韓国など隣国で発生した場合においても、わが国が自国内移動禁止をかけるということになります。

英国の緊急対策基準からいえば、わが国が先日、九州地区の家畜市場を再開したのはありえない措置ということになるでしょう。

逆に言えば、全国規模の移動禁止措置は、きわめて短期間で終息できる、せねばならないという英国緊急対策の裏返しでもあります。厳しい移動禁止は取らないが、処分はためらうが、代わりにいつ果てるともなく拡大が進行していったというわが国の状況と好対照です。

また処分に関しても、英国では時を移さず、既に待機していた処分チームが処分を開始しました。処分を誰がするのか、獣医師か、当該農家か、はたまた県職員か、自衛隊かなどという逡巡はまったくありません。専門処分チームがあたります。

この番組中では触れられていませんでしたが、当然のこととして埋却地の準備が義務づけられてしていることが前提なのだと思われます。

このような英国緊急対策でかかった時間は、発生を疑う農家通報から処分までおおよそ12時間でした。
現在は、獣医師診断から研究所に回さずに直接その場で診断をする簡易検査キットや口蹄疫用サーモグラフィ(次回あたりにご紹介します)の開発で更に迅速化していると思われます。

このように英国の緊急対策計画を見ると、たとえば簡易検査キットがあればよかったとか、埋却地が準備してあればとか、処分を誰がするんだ、というようなことはすべてがひとつの部分品に過ぎず、要はこの大きな緊急計画の「流れ」(フロー)の中で理解し、位置づけられなければ意味がないことが分かります。

ですから、もしわが国の政府が英国のこの口蹄疫緊急対策を学ぶのならば、部分を都合よく持ち込むのではなく、丸ごとの体系として研究し、そしてシテスムとして輸入せねばならないでしょう。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

なるほど、「症状らしきものが現れた。即通報」→即応チームがいてすぐに展開か。勉強になります。。
そして、英国の対策システムをそっくりグロスで移入というわけですね。

私が今回の「法改正の動き」で感じたのは、ホントにそこまで持っていけるのかなぁ、という疑問。
『為せば成る!』とは思ってますが、小さな障害やら行政の壁がたくさんありそうで、ホントに有効なシステム構築できるのか…と。
是非ともやり遂げて、日本は世界一の防疫対策国と呼ばれるようになってほしいと思ってます。

投稿: 山形 | 2010年6月29日 (火) 13時02分

管理人様、山形様

宮崎大学の家畜衛生講座の末吉先生が、今後の悪性海外伝染病に対する構想をコメントされています。
先生は今回の口蹄疫で、まさに最前線で活動された方です。
管理人様の考えてと共通する点が多々あると思います。よろしければ一度HPの方をご覧ください。

URLは貼り付けません。

勝手申し上げてすみません。

投稿: 一宮崎人 | 2010年6月29日 (火) 15時34分

意地悪なコメントになりますが、事実は事実として。

DEFRAが2007年の英国の口蹄疫に関して初期制圧ができた(ただし飛び火は起こった)ことは過去1世紀の口蹄疫との戦いの経験の積み重ねが準備態勢に反映されていることはご指摘の通りで、わが国がそれを参考にすることは当然です。ただし、2000年の時に日本は経験済みであり、その経験が今回まるで活かされていなかった(甘く見て逆効果?)ことは残念でした。

NHKの報道は見ていませんが、多分取材先の恥部は伏せたのではないでしょうか。2007年の英国の大きな問題はウイルスの発生源がDEFRAの研究所(IAH:動物保健研究所)Pirbright Laboratory
http://www.iah.ac.uk/about/lab_p.shtml
とワクチン製造施設(民間)が同居していた隔離施設の内部から漏れ出た、しかも老朽化した配水管から処理前の生のウイルスが外界に出て、それが何らかのルートで被害にあった畜産農家に運ばれてしまった(関係車両が汚染土壌を運んだのではないかという推論だけ)事故だったという疫学調査の報告がDEFRAから出されています。遺伝子解析で発生源がピンポイントで分かってしまったのですが、極めてオソマツな信じられない発生源でした。

英国では独立委員会で、この関連施設のバイオセキュリティの不備に関する調査結果を発表しています。
http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/atoz/fmd/documents/spratt_final.pdf

2つの施設が配水管を共有していたため、どちらからウイルスが漏れたのか分からず、責任の所在が不明確となって訴追ができなくなったそうです。

アメリカの研究者がイギリスの2007年口蹄疫事件で政府と農民の間のギクシャクした信頼関係を分析しています。
Whom Do You Trust? Information Seeking During the U.K. Foot and Mouth Crisis
Author: Christine Hagara
Library & Archival Security, Volume 23, Issue 1 January 2010 , pages 3 - 18

報道では伝えたい話の筋書きを書いてから、その線に沿って取材し、情報を都合よく取捨選択する傾向があります。民放よりは一般的にましであっても、NHKは公共放送と称して洗脳放送をやるところですから、注意して受け止めましょう。

投稿: beachmollusc | 2010年6月30日 (水) 09時08分

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