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« 宮崎口蹄疫事件 その37 クローズアップ現代・英国に学ぶ口蹄疫緊急対策 策2回 英国緊急計画の初動対応 | トップページ | コメント欄のルールについて »

2010年6月26日 (土)

宮崎口蹄疫事件 その38 クローズアップ現代・英国に学ぶ口蹄疫緊急対策 策3回 口蹄疫確認と同時に中央危機管理委員会を設置

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昨日の新聞報道によれば、山田農水大臣は24日19万9000頭の処分を終え、これで患畜の処分を終えたと発表しました。またワクチン接種による処分予定がまだ3万頭残っているそうです。
また、「農水省の発表によれば、西都市の2農場で発生したケースについて国の対策に基づく早期出荷のため家畜を食肉処理施設に運搬した際に、トラックを通じて感染した可能性がある」とし、「この2農場はいずれも牛の感染の感染の疑いが確認される数日前に、移動制限区域内の都農町の食肉処理施設に家畜を出荷し、その際に同じトラックを使っていたことがという」(以上産経新聞6月25日)。

「日本農業新聞」(6月26日)によれば、口蹄疫で取引を中止していた九州各地(沖縄も含む)の家畜市場を再開しました。再開した家畜市場は以下です。山口県1カ所、熊本県5カ所、長崎県6カ所、佐賀県1カ所、沖縄県7カ所です。

「25日、農水省は西都市、国富町、宮崎市で口蹄疫の発生が19日以降ないことを受けて、清浄性確認確認を28日にも始めると発表」(同上)しました。今回の清浄性確認は、ワクチン接種していない家畜が対象です。

                ~~~~~~~~~~~

さて、英国の口蹄疫緊急対策計画を続けます。
ここまでを少しおさらいしておきます。英国は2001年の645万頭を処分した口蹄疫の大発生を受けて、「口蹄疫の制圧には数時間が重要だ」という教訓が守られていなかったことを抜本的に見直しました。

まず、いままで地方自治体に降格させていた緊急対策の主体を「国に一元化」しました」(NHKグローズアップ現代のナレーション)。また、今までの獣医局のみで止まっていた情報の流れを改め、国の諸官庁、官邸との間での「情報の共有化」を図るシステムとしました。

この対策作りに関わったケンブリッジ大学教授マコーネル博士はこうインタビューで答えています。
「口蹄疫を封じ込めるためにはスピード、ともかくスピードです。1時間の遅れも許されません。関係者がバラバラで動いたのでは根絶できないのです。国が確固として方針をもって臨む
ことが大切です」。

これらの緒官庁、官邸との「情報の共有化」は既に「感染の疑い」段階で始まり、これが「感染確定」なるとデフラ(DEFLA・環境・食糧 農村地域省)を中心として首相、関係閣僚、官僚による「中央危機管理委員会」が招集されます。(上記図版参照・図版は同番組より引用)

これは国家に対するテロと同格の危機管理です。つまり9.11同時テロと同格の対策で英国は臨むと宣言したことになります。いかに英国が口蹄疫を重く受け止めているのかがわかるでしょう。

一方わが国では、国家に対するテロと同格はおろか、「北海道」さんがご指摘のように日本の家伝法では口蹄疫はヨーネ病などと一緒に並列されている有り様です。

いうまでもなく、今回の宮崎の事態をみれば明らかなように、口蹄疫はわずか数日で発生農場内で感染し、たちまちその地域、市町村、県を呑み込んで行きます。一県の経済を破壊し、被害は数千億円にのぼります。また、対策を誤れば、全国に波及し国全体の農業に巨大な損害を与えます。


ときおり、「今回の口蹄疫は特別に強力で、予測を超えた事態だったのだ」という不可避論が見受けられますが、そもそも口蹄疫緊急対策計画というのは、「予測を超える事態」に対処するものです。簡単に「想定を超えて」しまうような危機管理対策指針など、なまじあるだけ現場の手足を縛ってしまうので作らないほうがいっそましなほどです(←ちょっと言い過ぎ)。

NHKの同番組内で帝京科学大学・村上洋介教授授は、「想定を超えた感染の拡がりにどう立ち向かうのか」が重要だとした上で、その「備え」を作る前提として、誰が責任を持つのか、国か、県かが明確にせねばならないと述べています。

また同番組内で取材したNHK科学部記者は、日本では国の動物衛生研究所に匿名を条件で口蹄疫の疑いがある検体検査が年に何度も持ち込まれていると言います。これは、今の防疫指針では「感染確定」がされた場合、対策本部を県が立ち上げが義務づけられているために、大事になることを嫌うケースがあり、潜行してしまうケースがあるのではないか、と話ています。

同様に番組では、農家からの協力が得にくい理由として、「処分に対しての補償が確立していない」ことを上げていました。確かに特別措置法は補償に対して対策をまとめましたが、2年間の時限立法にすぎません。

英国は、国が一元的に責任を持つ立場に立ち、通報もデフラの専用窓口にいつも通報できる態勢を作ってきました。処分に対する補償金についてはあらかじめ国による査定人が組織されています。これについては後の回で詳しく触れます。

では次回、具体的2007年の発生事例を見る中で、どのように緊急対策計画が現実に動いているのか見ることにしましょう。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

濱田様
丁寧、簡潔な内容有難うございます。しっかり「見て」考えています。

今日は一日黙祷をささげます
凄まじい戦いをして来られたみなさんへ
絶対に忘れません
とにかく無事に一日を終わって下さい

誤解されたら困りますので・・・・
家伝法に指定されている所謂「法定伝染病」の中に「ヨーネ病」がありますが、ヨーネ病を軽く見ているわけでは有りません。
感染(保菌)していてもも中々症状に表さなく、時々糞便とともに排菌し、同居家畜に静かに伝染します。
大抵の患畜は感染から4年~5年後の分娩前後や、ストレスにより体調不良(抵抗力が低下した時)となった時、下痢がはじまります。治療しても中々治癒しなく、家保に検査に出して初めて「ヨーネ病」と診断されます。患畜は家伝法に則り殺処分されたり、同居牛を定期的に検査します。(発生頭数によって1年~3年間)検査も一週間程度でわかる方法と、3ヵ月かかる糞便検査を行い、陰性であればよいのですが、陽性となれば、当該畜を処分していきます。一度患畜が発生すると中々清浄化する事が難しく、時間もかかると言う特徴がありますが、口蹄疫など強伝染性疾病と違うのは空気感染はしなく、その牛群から菌を持ち出さなければ他の牛群に感染する事はありませんし、口から菌が入らなければ感染もしません。
伝染病はどれでも発生すると経営に重大な影響を受けますので、こっちの方が良いとか軽い・・・と言う次元ではありませんが、病気の特徴毎に家伝法の中でも対応方法(施行規則ででも)をきちんと定めておく必要があると思っています。

濱田様の取り上げられた6/7NHK放送のクローズアップ現代について疑問等を投げかけたいと思います。小生は以前、濱田様から「畜産現場を知らない、机上の空論者」と言われた人物ですが、ブロイラー・インテグレーター(川南に農場あり)でコマーシャル、種鶏、原種鶏の衛生・飼育管理経験や廃鶏取り扱い経験、若いころには養豚(繁殖農家)手伝いや子豚市場(経済連)のアルバイト、採卵鶏の孵化場・種鶏場・コマーシャル農場の手伝いなどしていた者です。和牛は学校の農場でしか飼育経験はありません。政府・法律批判などにあえて生産者批判の視点で述べさせていただきます。思い込みや偏った意見は誤った判断を導くため、別の視点で述べます。また、NHKの番組を中立な立場で分析してみます。
NHKは今回の口蹄疫問題について「国の初動(早期発見)の遅れ、国の家畜補償制度の不備で殺処分(封じ込めの早期対応)が遅れて感染拡大をまねいた」との国政批判論調で番組制作をしておりました。畜産現場である農場の日常防疫・衛生管理の実情には触れず、口蹄疫発生後のみに焦点を当て、宮崎県の対応としては「口蹄疫に慣れていない戸惑い」を番組内で表現し、国政批判の立場をとり、決して客観的な報道・解説番組ではなかったと思います。
まず、今回の宮崎県口蹄疫問題について、NHKは「農家担当獣医による最初の1頭の口蹄疫疑惑の通報に、宮崎県家畜保健衛生所が口蹄疫を疑わず経過を待ち、1週間後の別2頭の発生で家畜衛生保健所が3日の独自検査の後、検体を東京・小平の動物衛生研究所に送付したことで口蹄疫発生の判断が10日遅れた」と指摘しました。しかし、東京農工大学の先生のインタビューで「県の家畜保健衛生所に責任を負わせることは負担が大きいため、国が積極的にかかわることが望ましい」と展開します。初動の遅れを国に転嫁する論調でスタート。その後、家畜の傷病管理を国が直接把握・対応するイギリス(UK)の口蹄疫発見・対応システムについて報告しましたが、現UKシステムへの問題提起やUK畜産農家の防疫・衛生管理体制への検証は一切ありませんでした。
NHKは「英国では2001年の教訓から2007年には環境・食糧・農村地域省(DEFRA)の窓口(国の機関)が農家(ローレンスさん)から直接、口蹄疫情報を受けて国の首相を含む中央危機管理委員会が初動を早く行うシステムを作り、2007年の口蹄疫発生でそのシステムが機能して口蹄疫拡大を防いだ」と、UKの成功例を示しました。
具体的には
9月11日午後5時にローレンスさんからDEFRA窓口に連絡
12日午前6時にローレンスさんの農場にDEFRA獣医師到着、検査、サンプル入手
12日午前8時に研究所で分析
12日午後12時に口蹄疫発生を確定し全国の家畜移動禁止を発令
12日午後12に事前に待機していた処理チームが殺処分を開始
12日夜までに60頭の処分を完了。
以上、24時間の対応とのことでした。
ここで海外のwikipediaをつたない英語力で読んでみます。政府報告書ではないため、誤報もあるかと思いますので各自再確認ください。
2007年のUKでの最初の口蹄疫発生は第1波として8月2日イングランドのノルマンディーでの肉牛60頭。その後、8月4日にウイルス系統が確認され、8月5・6・7日にノルマンディーの別農場で発症・疑いが確認され、それぞれ殺処分された。第2波は9月12日、ノルマンディーから30マイル(約50km)離れたエガムで発見された。
以上、wikipediaには記録されています。ただ、別の項目で「8月4日にそれぞれ別の3地域の家畜すべてが処分された」という表記もありますので詳しい事実関係は不明です。ついでに、2007年8月のUK本土での発生の前、「2007年1月に北アイルランドで口蹄疫騒ぎがあったが関わりはなかった」と記されています。
NHKが口蹄疫発生農場として取り上げたローレンスさん(インタビュー映像では肉牛飼育?)については、9月の口蹄疫発生(第2波)として放送されました。wikipediaには8月7日発生に同名のローレンス・マシューズ農場(放牧中の乳牛COW)と記録されています。別のローレンスさんかもしれませんが・・・。(しかし、テレビのローレンスさんは2007年の口蹄疫発生当時の黄色い進入禁止テープを廃棄・焼却もせずNHKにみせたところから、かなり衛生観念が低いように映りました。)
また、wikipediaには感染源について、「8月7日の報告書で、発症と同じ系統のウイルスを取り扱っていたノルマンディーの農場4km圏内にあるワクチン研究所・工場ではないかと報告された」と記入されています。
また、NHKでは2007年にUKで未感染牛の全頭殺処分をしたエマーソンさん(映像から肉牛農家?)のインタビューから、UKでは感染拡大防止に対して「国によって補償が確立していたから、口蹄疫発生農場周囲の未感染家畜殺処分が迅速に行われ被害拡大を防いだ」との検証がありました。宮崎に関しては「(国の補償制度が確立されていないため)未感染家畜の殺処分が遅れて口蹄疫感染を拡大することにつながった」様な論調をとっていました。最初の結論の通り、一貫して今回の口蹄疫拡大は「国の初動(早期発見)の遅れ、国の家畜補償制度の不備で殺処分(封じ込めの早期対応)が遅れて感染拡大をまねいた」との論調で通しました。
wikipediaには、2007年の口蹄疫発生に対する補償額は記載ありませんが、2001年のUKでは殺処分及び家畜移動制限における家畜の損害に対してのみ政府補償があったと記載されています。エマーソンさんの発言から、2007年の口蹄疫発生源が公認の家畜病理研究所&ワクチン工場と特定されても政府補償があったようです。
シナリオが書かれていることから、私は、NHKの番組について懐疑的です。番組内では、患部確認のためのサーモ・カメラや30分で結果が出る口蹄疫簡易検査キットが紹介されていました。個人的には、UKのシステムがなくても、今回の宮崎県の口蹄疫発見に、これらの機器(どれだけ有効かは不明ですが)や口蹄疫用エライザキットを家畜保健衛生所に配備すれば早期発見は可能であったのではないかと考えます。また、家畜保健衛生所が病状を発症している家畜の検体をすべて家畜衛生研究所に送ることでも早期発見は可能と思います。症状画像などや相談もインターネットが発達した現在では連絡は自由に取れます。地域と国の分業で機能すると思います。地域主権は財源の移譲だけではなく、責任も負う必要があります。
番組キャスターが「UKでは当時の首相が休暇を返上して口蹄疫対策に指揮を執った」との発言をしましたが、ブラウン前首相の具体的な指示・行動の検証も聞かれませんでしたから、NHKによる政府や赤松前農水相の危機管理批判のネタではないかと疑います。Wikipediaには口蹄疫発生の公式発表前の会議COBRA(訳者注:中央危機管理委員会?)に首相が電話で加わったとあります。日本のマスコミには客観報道の姿勢がなく自らシナリオを書きます。もちろんネット掲載も事実かどうか判断するのは難しいところですが。
UKと日本の地形を比較すると、UK本土は本州と四国を合わせたほどの面積の丘陵地(地理で習ったヒース)で、日本の四島・山がちな地形とは異なりUKシステムの導入がベストとは考えません。NHK番組ではUKと日本のシステムの費用対効果についての検証もありませんでした。今回の宮崎での拡大は、都農・川南・高鍋・新富・国富は国道10号線で結ばれた海岸線を南下。木城は高鍋から小さな峠越えがあり、西都、木城は都農及び海岸線の国道10号線から若干遠く、感染拡大が遅かった理由かもしれません。西都では特例移動のエース級種牛の感染が最初の発生でした。えびの、都城は高速道路のICがある地域。宮崎と高鍋の間の国道10号線沿いには飼料保管基地(牛・豚・鶏用かは不明)がありバルク車が1日に何往復もしていたかと思います。2001年・2007年のUKと2000年・2010年の宮崎県では明らかに口蹄疫発生の条件が違っているため分析が必要です。UKシステムの導入を考えるなら、UKのみならず他の畜産国システムとの比較も必要でしょう。
ちなみに、wikipediaによりますと2001年のUK口蹄疫は、以下のように記録されています。
2001年2月19日にイングランド南部のエセックス州の食肉処理場でバッキンガムシャーとワイト島から出荷された豚に口蹄疫が発見された。その後4日間でエセックスにおいて数件確認されましたが、2月23日にエセックスとは離れたイングランド最北部のノースアンバーランドの豚で口蹄疫感染報告があり、これが後に発生源とされた。2月24日にはイングランド南西部のデボンで口蹄疫が発表され、その週末に北部ウェールズ、3月初旬には南部スコットランドまで拡大して行った。農水食糧省(MAFF)の方針で殺処分畜体は口蹄疫未感染地帯を通ってイングランド中西部のランカシャーの畜産廃棄物飼料化工場(レンダリング・プラント)に運ばれることとなった。3月16日までに発生は240件に拡大。MAFFは発生農場から3キロ圏内の羊の全頭殺処分を開始したが乳牛や豚に関しては適用しなかった。感染が見られない家畜や感染畜と同居家畜の殺処分については法律的な問題を引き起こした。この間、オランダでも小規模な口蹄疫発症があったがワクチン接種で封じ込められた。
UKでは、3月末までに口蹄疫発生はピークに達し、1日50件の発生で推移した。4月にはキング教授により口蹄疫コントロール宣言が行われ、5月から9月にかけては1日5件程度の発生に抑えられた。口蹄疫根絶までUKの豚、牛、羊は取引を禁止され、口蹄疫拡大防止のために殺処分後、感染農場近辺で焼却が繰り返された。(訳者注:前述のレンダリング工場での処理との因果関係は不明)その間、家畜生体、殺処分家畜、ウイルスを運ぶ人間の移動が禁止され、口蹄疫コントロールを行った。週8~9.3万頭の殺処分にMAFFスタッフだけでは足りず軍の協力を受けた。
最後の発生報告は9月30日のイングランド北西部。11月にはDEFRAが最終発生地域を「危険大」から「感染注意」に指定し2002年1月のイングランド最北部ノースアンバーランドの羊2,000頭の殺処分をもって口蹄疫は終息した。2002年いっぱい家畜移動制限は実施された。
口蹄疫発生中にワクチンの使用も議論されたが、輸出規則を重視する農業組合の抵抗もあり、政府がワクチン使用を決断しなかった。ワクチンは有効だがワクチン使用後の家畜輸出規制による損失は、観光収入減より損失が大きいとMAFFが判断したからだ。しかし、今回の口蹄疫発生後、法改正が行われ、殺処分よりワクチン接種を優先する法律が制定された。
今回の口蹄疫発生原因はノースアンバーランドで豚に与えられた食品残渣(残飯)が加熱無菌処理されず口蹄疫ウイルス感染・汚染肉を含んでいたため豚への感染が起こったと結論付けられている。
以上がネット上のwikipedia記載です。記載内容の事実確認と誤訳についてはご勘弁ください。口蹄疫の発生がほぼ同時にUK南部と北部で始まったことには疑問が残ります。2001年の発生に対しては、被害拡大防止のワクチンを使わなかったようです。
失礼ですが、私は口蹄疫再発防止には、必ず、宮崎の口蹄疫発生農場の皆様に反省が必要であると考えております。また、パンデミックと大騒ぎして、日本全国の畜産に脅威を与えたことにも責任を感じていただき、感染予防対策や補償問題に公的資金を使用することに対しても自覚を頂きたく思います。国の初動が遅いとか、法律が悪いとか、民主党が悪いとか、英国のシステムが良いとか国道封鎖しろとかは的外れな意見と考えてみました。
今回、宮崎県以外では口蹄疫は発生していません。「好きで発生させたわけではない」と反論しても、世の中とは不条理なものです。「リーマンショックで会社が倒産した、リストラされた」のサラリーマン、派遣社員は政府の補償などありません。JALや金融機関のような助けはありません。政府の補償は日本の農業保護政策です。
近年2回も口蹄疫を発生させる家畜飼育技術とはいかなるものか。まず、検証すべきは口蹄疫を発生させないための防疫・衛生・飼育管理ではないでしょうか。それが不可能と断言される方は家畜飼育の素質がないと私は思います。北海道では自衛のための組織・対策がなされていることに安心しました。衛生指導協会、支庁の振興局、管内家畜自衛防疫組合、市町村自衛防疫組合など、現場管理者と一体で防疫するのが本筋だと思います。国に対応を求めるような、畜産経営者自らがプライドを捨てて国の下の家畜飼育管理者となる必要はないと思います。政界と同じで畜産業界も創業者から2世・3世が担う時代。残念ながら畜産に対する意識・情熱も変わり、それらが国策にすがらせているようで残念です。
余分に付け加えるなら、現在の家畜伝染病法や伝染病への対応システムは自民党政権時代の代物です。当時ブロイラー雛の輸入検疫も経験しましたが、動物検疫所の活動内容も厳格に行われているのか疑問はありました。一方で横浜の植物検疫所の担当官から「水際対策が無意味というなら勝手に言ってもらって結構」との率直な意見も聞きました。そこで有事に必要となると理解しました。
民主党政権・旧自民党政権の批判はしたくありません。イラクで拉致・監禁されても「テロに屈しない」と言って、日本人青年の首を切り落とさせた自民党であってもです。「自民党政権だったなら今回の口蹄疫拡大はなかった。現政権の政治主導の欠点」との野党側からの批判は、結局、鳩山退陣で参議院議員選挙を早める結果に。それに対して「宮崎で口蹄疫発生下に選挙とは何事だ」というのも、全国的レベルでは自己中心的過ぎるのではないでしょうか。
沖縄の米軍基地負担軽減に賛同しながら、いざ、自分の住居エリアに基地や訓練が来るとなると「お断り」という現在の日本国民気質。結局、「とにかく5月末決着、最低でも県外・海外と言った鳩山首相が悪い」で戦中・戦後の沖縄負担など考えない昨今の風潮。2005年に普天間基地の辺野古沖移設は当時の自民党政権と米国が既に決定済み。それをマスコミが「現行案」と言うのもおかしなもの。両国の決定事項をこの期に及んで修正させただけでも沖縄、日米安保・同盟に一条の光である。偏向したマスコミ報道には常に疑いの目も向けたいと思います。
また、過去の鳥インフルエンザ発生例のように小規模・単独の伝染病発生は自己責任で、今回の口蹄疫のように被害が拡大すれば政府補償となれば、「伝染病が発生すれば周囲にばらまけ」的な考え方が広まる可能性があります。なぜなら、現代の日本は性善説では語れない事例が増えてきているからです。
マスコミ情報、海外事例や現場だけに都合の良い視点からではなく、もう少し多角的視点から口蹄疫問題を考えていただきたいと思い長々と書きました。2001年のUK口蹄疫についてのwikipediaには「EUでは観光など他の産業に対する口蹄疫被害の補償を禁止している」とのことです。理由は書かれていません。今回の宮崎の口蹄疫問題でも地域産業への補償は聞かれません。畜産農家への補償は政府の優遇措置ではないでしょうか。
濱田様、FAOは実際にはお役所仕事です。残念ですが国連機関のスタッフは国際公務員です。マスターやドクターの肩書きを持つ現場から離れた立場のスタッフがほとんどです。WHOのフクダさんが新型インフルエンザに対して、パンデミック発言したが季節性インフルエンザレベルで終息したことでも多少理解できると思います。
山形様、GW明けのフジテレビ「めざましテレビ」で、「愛媛県はフェリー到着時にスプレー散布している」と県の畜産課の方が電話取材に答えていたと思います。早期に対応していましたのでご安心ください。

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