宮崎口蹄疫事件 その22 えびの市の緊急対策レポートを読んで
本日の報道では、農水省の疫学調査チームの発表として、感染経路に家畜運搬車があったのではないかという報告が出ました。
「動物衛生研究所の津田知幸企画管理部長は、川南町の農場とえびの市の農場に家畜運搬車両の行き来があった、と指摘、えびの市への感染ルートとして関連が疑われると述べた」
「津田部長によれば、口蹄疫発生が最初に確認された4月20日以前に、川南町の農相から牛を摘んだ食肉処理場に向かう途中えびの市に立ち寄ったことが、関係者の聞き取りで確認された」(産経新聞6月9日)
これはA農場のことですね。えびの市という児湯郡からポツンと離れた地域に発症したことは奇異に見られていました。これで疫学的にも裏付けられたようです。
さて、なかなか決まらなかった農水大臣は予想どおり、山田正彦氏がなったようです。現地対策本部の上になる農水大臣にトンチンカンなことをやらかす人が来るとひどいことになると思っていましたので、とりあえず妥当な人事だと思います。赤松さより悪いってことはないでしょう。
山田さんは農業オンチ揃いの民主党内では珍しく現実に農業を、しかも今回の口蹄疫にはふさわしい牛飼いを五島でやっていました。ただし大失敗して借金こさえたんだけどね。まぁその失敗を含めて頑張って下さい。
「みやざき」様の昨日のコメントでえびの市の緊急対応のレポートがありましたので、最下段に掲載させていただきました。いつもほんとうにありがとうございます。
私はえびの市の対応は、小さな地方行政としてはこれ以上ないという対応であったと思います。
ここで教訓となるポイントは、このような強力な感染症が侵入した場合、国や県すらも一切頼ってはいけないということです。県や国はなにもしてくれないもの。してくれてもそうとうに後のことで、そこまで自力で対処して持ちこたえる自治体独自の体制構築がいることです。
これは私のブログでくどいほど言っていることですが、現在の国の家畜伝染病予防法、防疫指針はあくまでも国ではなく、自治体にゲタをあずけている歪な形である以上、とうぶんその覚悟は必要となります。この事態が一段落したら、世論として、この改正を呼びかけていかねばならないでしょう。
次に、自らの自治体を文字通り「砦」と考えて、外部と感染ルートを遮断する必要があります。
えびの市では畜産従事者が、ホテルからの通勤となったことが記されています。たぶん他の市から通勤している人は、家畜同様の移動制限がかかったのだと思われます。これはある意味市民の生活権の侵害ですが、これを納得してもらってその人たちへの支えを地域全体でしていく態勢があったのだと思われます。
第3に、住民に対する緊急時のガバナンス(統治)としての情報の周知と統制が必要です。風評にまどわされない、風評を無責任に伝聞しないことが必要です。えびの市はかなり早い段階で市が緊急広報を出しており、他の情報によると電話連絡網が行き渡っていたようです。
これがないと、今回のネット界で洪水のようにあふれた風聞による伝言ゲームが支配し、正しい情報が住民に届かなくなります。市が公的に出す情報はこのような統制下に入った地域にとって、地域行政との信頼を維持していくためにも貴重なものでした。
大事なことは゛この死活の緊急時に、行政組織ならば、警察、消防、病院まで含んだオール市民、オール地域の態勢作りが必要です。それも顔を合わせて会議をというわけにも性格上いかないので、大変であったと思われます。
これは市民生活の制限のみならず、地域経済活動の麻痺を意味しますし、このような緊急態勢は長期に及んだ場合、非常に大変なことになりますが、短期で終わりにするためにも我慢して協力してもらわねばなりません。
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[以下引用]
①発生直後はマニュアルを追いかけて対策を打つ。
②埋却地選定を農家ではなく対策本部で当たる。基本的に農場内で埋却している。地域の同意を取ったり 全ての手続きをやったという意味です。えびの市所有地での処理が可能な様に準備していたのも、いざという時の腹つもりにもなったと思います。
③5月7日の2例目発生後、「発生農場から半径1kmで封じ込め」の独自方針を設定。半径内に自主消毒ポイントを5ヶ所設置し、半径内の全ての方々(住民含む)の出入りは必ず消毒ポイントを通過する様に設定。
④}臨時広報発行し、地域住民への協力要請周知。
⑤対策本部にえびの警察署も参加してもらい、防疫対策による事故防止にも努める。
地域住民の方々のスムーズな協力が無ければ成り立たない事をあれだけの混乱の中実行されたえびの市市民・市長・家保・市当局・警察ほか全ての方々の一致団結の結果だと思います。(川南地域が何もしていなかった訳ではありません。本当に発生頭数・対象農家さんの数など大きすぎて、市町村レベルを一瞬で越えてしまっただけです。)
⑥独自封じ込め対策費用:1億2千万を緊急拠出。
⑦当事者である畜産関係者(10km制限区域内周辺農場)の従業員も区域外に出入りしない様に区域内のホテルに缶詰め通勤をしてもらう。
多分法律とか難しい基準からすれば「アウト」なのかも知れませんが必死に感染拡大を阻止しようと全力投球していました。
⑧風評被害の問題も心配されていて「徹底した緘口令」を出しました。
でも、正直、やっぱり地区の雰囲気は、5月7日の2例目までは「そこまでせんないかけ」という空気でした。
⑨その他の対策。お酢の希釈水を入れたタンクを幹線道路沿いに設置しちょろちょろかけ流しで、24時間通過車両を消毒しました。
あくまで手探りでの対策でしたのでこれをこのまま当てはめるのは、冷静な知識の有る方の判断を仰がないといけないとは思いますが。
[引用終了]
■写真 霞ヶ浦の灯台というか、標識。私としては珍しく絵はがき的です。
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コメント
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ワクチン接種、接種後発生件数(プレス)減少、えびの解除で何で安心するのでしょう。「種牛」ももちろん喜ばしいです。でも、川南近辺、都農、高鍋、木城でじわっと発生、処理遅れは変わっていません。ワクチン接種後14日経過しつつ有ります。
発症後ウイルス拡散家畜がまだそのまま、後手後手の応急処置ワクチン接種なんですよ。ワクチン接種後の処分に5市町村はまだ合意出来ていないんです。
20km圏内も「処理する」と決めただけで何も進んでいません。
制限区域以外でも牛の疑いは頻発しています。こんな「後手後手」の対応をした結果がどうなるかは、誰も分からないんです。
お願いです、皆あとひと頑張りです。頑張りましょう!
投稿: みやざき | 2010年6月 9日 (水) 19時56分
先日はなんか思いのままコメント欄に書き込んでしまい、申し訳ありませんでした。
みやざきさま、御丁寧にお答えいただきありがとうございました。我々の中でも、最初はふるさと納税が主流だったのですが、少しでも早く対応してくれそうなのは義援金だとわかり、次第にこちらにシフトしていったので、それで皆さんの生活に少しでもお役に立てたのならよかったです。まだまだ足りないと思いますが、継続していくことが大切だと思っています。
また、えびの市の対応について、非常に勉強になりました。北海道さまのおっしゃるとおり、今後各地域で緊急対策マニュアルを整備することが重要ですね。また、これは家畜防疫だけでなく、災害など様々な緊急時にも当てはまることであり、誰もが他人事ではなく自分達のこととして受け止めるべきものだと感じました。
口蹄疫報道がまた少なくなったり、募金箱の設置なども期間終了するところも出てきました。でも、現場はまだまだ大変なんだということを、きちんと伝えて行こうと改めて思いました。また、応援メッセージも迷惑かもしれませんが、「忘れずに応援している」という意思を伝えるためにも続けて行こうと思いました。
濱田さま、コメント欄お借りしてすいません。またお邪魔させていただくかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 猫の手 | 2010年6月 9日 (水) 20時24分
宮崎様のご指摘とおりとなってきました。先ほど外出から帰ってきてMAFFのホームページ確認したら、都城市高崎町での発生です。今まで何とか防御していたと思いますが、壁を超えてしまったようです。新たな展開になりそうです。まだまだ安心なんかしていられません。えびのの解除は本当に良かったとは思いますが、安心したり、もう大丈夫なんて考えるのはまだ拙速です。まだ最盛期と考えて防疫の徹底をもう一度全国的に気を引き締めて行う必要があります。
投稿: 北海道 | 2010年6月 9日 (水) 22時40分
宮崎のみなさん
「種牛で奇跡は終わり」です。良く考えて見て下さい。えびのが徹底してディフェンスしたから制限区域が一つ消えただけなんです。地図を見て下さい。宮崎なんて一つですよ。川南の丸の中は何も変わっていません。感染した家畜も0になっていません。ウイルスを排出し続けています。「ウイルス汚染地域から来るものは限りなく危ないんです」。「飼料車や家畜車だけではないんです」。ワクチンを接種して「ひょっとしたら感染拡大が弱まるかもしれない」だけで、処理が進んでいる様な気になっているだけです。大分・熊本・鹿児島に接しているんです。
えびのの消毒ポイントは制限解除が終わったから、手順に沿って撤去されただけです。
もう一度皆で頑張るんです!!!!
投稿: みやざき | 2010年6月 9日 (水) 23時52分
「ウイルス汚染地域から来るものは限りなく危ないんです」
「飼料車や家畜車だけではないんです」
それを判断するのは自分です。おおげさではなく種牛だけが助かっても、日本の畜産が崩壊すれば全て何の意味も無くなります。宮崎での制圧に日本の畜産がかかっているんです。
もう一度頑張りましょう!
濱田様 北海道様
何度も乱文ですみません。本当に防疫の基本は「本人」の意識です。頭が白くなるくらい防疫意識の低さに。・・・都城まで呼び込んで来てしまいました。
えびのの解除、えびのの消毒ポイント撤去、種牛の奇跡、「みんな」油断していたと思います。
目と鼻の先には鹿児島が。なんとしてももう一度踏ん張ります。今後ともよろしくお願いします。
投稿: みやざき | 2010年6月10日 (木) 00時05分
都城のみんな
確認後の対応は高崎町頑張っています。えびのも迅速な埋却を基本に成功しました。出来るんです。
明日には全て片付く準備が出来ています。
あとは皆の努力です。
まずは一人ひとりが「その農家さんと最近会ったか」「その農家さんの所へ行ったか、来たか」を落ち着いて思い出して下さい。もし思い当たったら「うちも心配やが」と手を挙げて下さい。すぐに家畜を調べてくれます。何もなければしばらく大人しく自粛して下さい。
「そん位で・・・」「くせらしい」とは思わないでください。川南の時とは違って、補償もすぐ出してくれます。何も心配はいりません。
「うちは大丈夫」って勝手に思い込むのが一番だめです。
少しでも何か心配事が有れば遠慮はいりません。
近辺の方々は自分の家畜をじっくり観察する習慣を思い出して下さい。ちょっと長くなりますが、宮崎の底力をもう一回見せましょう。
頑張りましょう!
投稿: みやざき | 2010年6月10日 (木) 00時35分
口蹄(こうてい)疫問題が、全国トップクラスの畜産地域である都城(みやこのじよう)市に“飛び火か”か?
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100610/biz1006100106000-n1.htm
いつもロムさせていただいています。
標記の件、恐れていたことが起きてしまいました。
やはり感染源を特定し防除を行わなくてはなりませんね。
これは県の責任というより国の責任だと思います。
新内閣でも山田大臣が引き続き対応するようですが心配です。
投稿: きんちゃん | 2010年6月10日 (木) 06時09分