宮崎口蹄疫事件 その35 英国が2001年のパンデミックを真剣に反省した勇気に学びたい
多くのご意見をいただきまして、ほんとうにありがとうございます。このブログは朝5時くらいに書き始めるのですが、書く前にいただいたコメントをしっかり読まして頂きます。ケチョンケチョンにされたコメントですと、意気消沈します。皆様、わが農場の生産性のためにぜひお優しいお言葉を(笑)。
このブログのコメントの特徴は、たぶん実際に現場に立つ農業者やその関係者が多いことではないでしょうか。特に口蹄疫をもうかれこれ35、6回連載し続けてきましたので、現役畜産家からのコメントが急速に増えてまいりました。ですから、内容的にも高度なものが多く、私もうろ覚えで書かず、論拠と出典を必ず明示するようにしています。
他のブログではひと頃口蹄疫が花盛りで、やれ「赤松口蹄疫事件」だなどとお祭り状態でした。その記事やコメント欄を読んでも、ひたすら前大臣を攻撃するばかりで、内容ははなはだ空疎なものが多かったような気がします。ああ、この人たちは、口蹄疫を政治的焦点だけでしか見ていないな、すぐに飽きるなとため息が出ました。
実際、昨日の9党首討論会でも口蹄疫の「こ」の字もなく、政治家たちが早くもこの巨大な悲劇を忘れかけていることが分かりました。政治家にとって、口蹄疫はとりもなおさず単なる補償金の問題以上でも以下でもなく、なぜ、いかなる理由でこのようなパンデミックが起きたのかということは封印されようとしています。
再発防止というあまりに当然な視点が、政治的な渦の中に呑み込まれていこうとしていることは看視できません。たぶんこのことを追求すると、県には県の、国には国の弱みとでもいうべきものがあり、この政治の季節にそれをさらけ出すのは得策ではないと考えているのでしょうか。
そのせいかどうか、今、私が知るかぎり口蹄疫の防疫体制そのものに内包されている矛盾点や本質的欠陥を論じた論調は少ないように思えます。もちろん私の知る狭い範囲ですので、防疫学者や関係者の間ではとうに論点になっているのかもしれませんが。
私はいちおう畜産歴27年の現役農家ですが、畜産や疫学の専門知識にも乏しい浅学非才なひとりの国民でしかありません。しかし、この宮崎の巨大な悲劇をこのままなんの総括もされずに、補償金をもって解決となす、清浄化をもって終結とするが如き流れには抵抗感を覚えます。
そのような終結をすれば、断言しますが、必ず再発します。それは私の県かもしれないし、あなたの県かもしれません。
私は英国がかつて2001年のパンデミックを真剣に反省した勇気に学びたいと思います。
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コメント
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「家伝法」に指定されている中でも、強伝染性である口蹄疫と他の例えば「ヨーネ病」と同一のレベルに位置付けているのが、認識が甘いと言わざるを得ません。特定の農場或いは個体に限られるヨーネ病は、糞便検査では3か月かかりますが、持ち出さない限り農場内で抑える事は可能です。しかし、口蹄疫の様に一瞬にして農場はおろか町内や地域内、場合によっては県内、国内まで感染が広がる病気を、県知事レベルで何とかしろ!!と言っても何ともできません。家伝法に一まとめにされている所謂「法定伝染病」も、その種類によってランク分けし、対応方法を決めておく必要があると思います。今回の発生が終息した後、法の見直しに着手し現実的対応が可能となる改正に期待している所です。
「みやざき様」と「みやざき甲斐様」が同一な事了解です。防疫作業で大変な所、お知らせ頂きありがとうございました。今後とも地元の情報宜しくお願いします。
投稿: 北海道 | 2010年6月23日 (水) 09時16分
お疲れ様です。
本日のブログの内容にも強く同意します。
管理人様の言われる通り、今回の口蹄疫が補償と清浄化確認だけで、何も総括されることなく終わるなら、この国の危機管理に対する意識(民度)の低さを、全世界にさらすことになります。
しっかり総括され、法や制度の不備が改善されるべきです。
現行法および防疫マニュアルに則って初期の対処をしていた宮崎が口蹄疫の封じ込めに失敗したのは、周知の事実です。つまり現行法が機能していないことは誰がみてもハッキリしています。特措法が成立し、事態が進展しましたが、時限立法であり、まだまだ不備があります。しっかりした法整備が絶対必要です。
ただ、穿った見方をすれば、人の新型インフルエンザで国は検疫と言う水際作戦で、下手をうったので、国家防疫と言う立場に、二の足を踏んでいるとしたら残念ですが。
投稿: 一宮崎人 | 2010年6月23日 (水) 12時33分