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2010年7月27日 (火)

宮崎口蹄疫事件 その58  一寸の虫の歯ぎしりがこのシリーズの原動力です

012

本日、移動制限解除となりました。おめでとうございます。この機会に、改めて今回の口蹄疫シリーズを書き続けることの意味を振り返ってみたいと思います。

今回、このよな長い口蹄疫追及シリーズを書くことになったのは、私が宮崎の被災地農民と同じ農民だからです。農民には国民一般では括れない農民独特の見方があり、農民の支援の仕方があります。

誤解を恐れずに書きます。
国民一般において被災地に対する同情と共感で済みます。それで充分であり、それは同胞を助けたいと思う美しい心情です。

しかし私たち農家、ことに畜産農家にとって口蹄疫問題は自らにはねかえってくることでした。正直に書けば、児湯地区で最初の発生を見たときに、私たちの多くはこんな気分にさせられたことだと思います。

「なんて防疫意識の低い人だ、今更口蹄疫をもらうなんて。しかし、すぐに消し止められるだろう。まったく迷惑なことだ」、と。もっともこの他県の畜産農家の感慨は、5月の連休明けに一変するこことなりますが。

「どこからもらった」というウイルス侵入ルート、「未だに感染拡大ルートが特定されていない」という感染情報の不透明性、そして感染拡大を許してしまった防疫当局の失敗などが、口の中に詰め込まれた砂利のように私たちに残り続けています。

これらのことを国民に説明すべき責任は、あげて行政にあります。それは家保を指揮する県知事であり、現地対策本部と疫学チームを指揮する農水大臣にあります。そして、発生から既に3カ月になろうとしている現時点においても、未だこの説明責任は果たされていません。

ありえないことです。情報の意図的な隠蔽を疑われても致し方がないことです。これは宮崎県口蹄疫の拡大を水際でくい止めねばならない私たち畜産農家にとって死活的な情報でした。これがなければ、防ぐに防ぎようがないではありませんか。

他県の畜産家は、目隠しをして防除しろとでも。ただひたすら怯えて、消毒液を撒いていればいいとでも。

私は、それらを自分なりに明らかにするために一個一個の石を積み上げるような検証作業を開始しました。またその検証の中から、今の家伝法や防疫指針の不具合が判りました。

私たちが、なんとはなしに世界で一流だろうと勘違いしていた日本の防疫体制が、実は抜け落ちだらけの年代物でしかなかったことも判りました。

私はこの検証作業をすればするほど、専門家任せにせずに新しい防疫体制のあり方を考え、このブログを読む人たちとすこしでも共有化していかねばならないと思いました。

そうしなければ、宮崎口蹄疫事件は、真の原因も明らかにされないままに疾病小委員会の疫学報告書の膨大な文書綴りの中に埋もれていくことでしょう。そして一般の人々の目に触れないまま専門家集団の中の専門性の闇の中に消えていくことでしょう。

残念ながら茨城トリインフル事件がそうでした。農家や農業団体も補償以外では声を上げず、うやむやのまま幕を閉じました。そしてなにひとつ物事は変わらなかった。

これではいくら被害を積み上げようと、家畜の屍と農家の涙を供物としようと、なにひとつ変わらない!
何の反省も何の検証もなく、防疫学者と防疫官僚たちが密室で作った作文が官報に掲示されてお終いです。

このまま推移すれば、宮崎でもまったく同様の結末となるでしょう。特別措置法で補償はしたと、その条件をめぐっての駆け引きはあっても、真相は明らかにされることなくそっとしておこう、農水省の疫学報告書が出るまで待とう、で終わりになっていくことでしょう。

これを許さないいわば一寸の虫の歯ぎしりが、この60回になろうとしている一連のシリーズです。

末尾となりましたが、今回の謹慎事件について書きます。
宮崎県は、この3カ月間未曾有の嵐の中にいました。それと闘うには県民が心をひとつにして闘うしかすべがありませんでした。なぜなら、本来、県民を守るべき国家が初期において県民を見捨てたからです。

団結には中心が必要です。そして「指導者」を必要とします。
宮崎県民がこの危機の時期において、知事を中心にして団結できたことを素晴らしいことだと思います。そして知事は、県民に危機を訴え、団結させ、外圧たる国と戦い、県の農家と農業を守ろうとしました。その意味で東国原知事は非常に卓越した指導者でした。

私への批判でいただいたコメントの中に「1年間は知事について外部の人にはふれないでほしい」という意味のものがあったことを覚えています。これを読んだ時に私は自分の犯した不覚に気がつきました。

不用意に団結の中心を批判したうかつさにです。今なぜ知事が95%以上という驚異的な支持率を誇っているのかに対して思いを致せなかった自分を恥ずかしく感じました。

さて今後ですが、私は知事の検証を続けるでしょう。なぜなら、もはや宮崎口蹄疫事件は、ひとり県民だけの災厄ではなく、国民全体が共有すべき災厄だからです。知事の存在なくしては団結がなかったように、知事なくしては今回の事件の全容を解明することは不可能だからです。

今後の日本の畜産のみならず農業全体は、この事件をどのように捉えて、教訓を活かしていくのかで決定されるでしょう。

明日から清浄化のことなどを具体的に論じていくことになります。よろしくご指導を賜りますようにお願いします。なお、コメント欄は口蹄疫をテーマにするかぎり良識をもってご自由にお使いください。

■写真 夕暮れの霞ヶ浦の岸辺。

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コメント

茨城トリインフル事件では結局うやむやで終わってしまったこと、覚えています。今回もそうなってしまうと、お先真っ暗、気分暗澹、脳味噌の中は疑問だらけです。

業界内での力関係、密室の中の政治力、色々と妄想が湧いてきます。

今回の口蹄疫の発生については、4月20日のプレスリリースを見た時に、何故またもや宮崎?・・・宮崎からの導入牛が多い北海道でも出るかも?・・・・・でも前回は早期終息したので、今回も短期間に終息するだろう?・・・と正直考えていました。(濱田様が仰った通りです)
危機感を持ったのは、試験場の豚の発生が伝えられたときでした。
これはとんでもない事になる・・・・九州はもとより本州、北海道と全国的に拡大し、国内の酪農畜産は壊滅するかも?台湾の豚の壊滅を想像しました。
絶対に北海道に入れてはいけない。十勝にも我町にも・・・と思いました。
以前個体識別に関するコメントをしましたが、平成9年当時、農水省の官僚は「日本は海に囲まれている島国だし、検疫もしっかりしているから大丈夫。個体識別に関して、法整備するには、何か大きな事が起きないと理解が得られなく難しい・・」と言っていました。私は「人と物がこれだけ自由に行き来しているのにそんな認識で大丈夫なの?5年以内にBSEと口蹄疫が国内で発生するよ」と予言しました。不幸にも予言が当たり、平成12年には口蹄疫、13年にはBSEの発生がありました。これを受けて、個体識別に関する法整備もなされましたが、家伝法に関しては、BSEやヨーネ病の追加は為されたものの、10年前の口蹄疫が思いのほか早期に終息した為、見直されなかった事につながりました。
国は基本的に、何かが起こらないと、その法律が時代にそぐわないとしても見直しもする事はありません。
今回の発生から終息(現時点「仮終息」としておきますか)までを細かく検証し、法改正を含めて見直される事を期待したいです。
それにしても、感染経路が判明させ、公表する事がイロハのイである事は言うまでもありません。
濱田様が仰る通り、目隠しをされた状態で、黙々と消毒をするだけで自分の牧場を守れるのでしょうか?
何もしないよりマシかも知れませんが、それが出来るなら、こんなに被害を出す事にはならなかったでしょう・・・

ウイルスの侵入経路、感染拡大の経路等、諸々の解明されるべき事項は多々あると思います。
今後、それらがきっちり解明され、公表されることが絶対必要であるはずです。
ただ、現状では、何故か暗雲が掛かっている気がするのは、私だけではないと思います。
企業農場と新聞社の裁判で、採用される証拠が、これからの全てを暗示していると考えています。
会社側なら、疾病委員会の報告通りですし、新聞社側なら、他の隠蔽の事実も出てくるかもしれません。
それらが、今後の検証の試金石だと思います。

再開されてよかったです。これからも拝読させてください。ひとつだけ、今日の内容の。。。
同じ畜産農家として、舌打ちはしておりません。口蹄疫報道を家内から知らされた小生は、食い止めてくれ。。。と
いう想いでした。
被災地域は被害者だという観点だけは、お忘れなく。皮肉でもなく、正直そう、申し上げたいです。
知事の検証はお手柔らく。笑

濱田様 五分の魂です。悔やまれる事も多い中再開に向けて堆肥の処理、を
北海道様 九州運輸局福本局長、「10年度内に100万人を超える事は十分可能」と九州への外国人観光客の回復を喜ぶ。10年1月~5月累計39万5551人。(前年比率1.7倍)
韓国から既に1.5倍。
一般経済効果を考えると避けては通れない防疫上の課題かと実感しています。
 北海道でも道を上げての観光客誘致キャンペーンが有ると記憶しています。防疫指針の策定に取り入れて下さい。お願いします。本当に塵に付着するのを実感しました。

濱田様 五分の魂です。悔やまれる事も多い中再開に向けて堆肥の処理を模索しながら再開へのスケジュールの検討が始まりました。農家でも安易な再開には慎重な意見が多いです。どうしても知事の動きにさまざまな経過がクロスします。引き続きよろしくお願いします。
北海道様 九州運輸局福本局長、「10年度内に100万人を超える事は十分可能」と九州への外国人観光客の回復を喜ぶ。10年1月~5月累計39万5551人。(前年比率1.7倍)
韓国から既に1.5倍。
一般経済効果を考えると避けては通れない防疫上の課題かと実感しています。
 北海道でも道を上げての観光客誘致キャンペーンが有ると記憶しています。防疫指針の策定に取り入れて下さい。お願いします。本当に塵に付着するのを実感しました。
*何度もすみません。手が滑りました

濱田さま、こんばんは。
ときどき拝見しておりました。

宮崎県知事は、ゆる〜く検証したとしても、既にボロが出ている状態な訳で。ブログも都合の悪いことは一切書いていません。
5月2日(石川県)、8日(熊本県)のオモシロ講演会は書かれてないですが、なぜでしょう?

doll24さん、濱田さんのブログ内容に暗に制約をつけるようなコメントは、おかしいですよ。

こんばんは、久しぶりにお邪魔しています。

ブログが更新されてホッとしています。今まで濱田様をはじめ多くの皆様に励まして頂きました。宮崎県民として知事の記事にムッとはしたものの(申し訳ありません)コメントは控えていました。


口蹄疫を検証することは大切な事だと思っています。宮崎県民として複雑ですが仕方のない事だとも思っています。覚悟は明日の朝には出来ているはずです。たぶん………。


本日、最後の移動制限区域が解除され非常事態宣言も解除になりました。糞尿などの処理が残っていますし油断出来ませんがとりあえずホッとしています。

おはようございます。
移動制限解除及び県の非常事態宣言解除は、課題は山積しているとは言え、一筋の光明と捉え共に喜びたいし、感染拡大を宮崎県内で食い止めた事に対し、心から敬意を表したいと思います。

みやざき甲斐様御配慮いただき感謝申し上げます。

仰る通り、口蹄疫発生国である「韓国・中国・台湾」等からの観光客も徐々に増加しています。
今回の発生を受けての千歳空港の防疫は、6月上旬実施と約50日経過してからでした。十勝帯広空港でも5月下旬と1ヶ月経過後です。行政は家畜飼養者等に消毒を呼び掛けるのは早かったのですが、国内持ち込みの入口での防疫はお粗末な状況でした。
「消毒マットを通過しなければ入国させない」くらいの徹底をしなければ、口蹄疫の様な伝染性疾病は防ぎようがありません。
10年前とは違い、いわゆる本物の口蹄疫を経験したのですから、今後途切れる事のない防疫体制を堅持すべきだし、しなければならないと思います。
防疫意識の保持は時間が経過すればするほど薄れて行くものですが、大きな犠牲を払った今回の事を絶対に忘れてはいけなく、当町においても継続して実施していきます。
空港、港、駅など北海道の玄関口となっている場所での防疫については、行政に申し入れしていきます。
みやざき甲斐さまありがとうございました。

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