• 20250216-055038
  • S-127_20250215005301
  • S-129_20250215004901
  • S-141
  • S-142
  • S-143
  • 20250214-014540
  • 20250215-001818
  • 20250213-105949
  • 20250211-165850

« 宮崎口蹄疫事件 その61  疫学調査チーム第4回検討会報告速報 侵入ルート明らかにならず! | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その63   鹿児島側消毒ポインの写真 »

2010年7月31日 (土)

宮崎口蹄疫事件 その62  移動制限解除となっても農家の困難は続く

036_edited1

お暑いので、涼しい写真を。今年3月にわが農場の欅に降った雪です。もうわが農場の女性従業員のトリさんはバテバテで、まぁいいか無理すんなよってかんじです。この焼けつくような酷暑の中、復興に励まれている宮崎現地の皆さんに、心から敬意を表します。

このような復興期は今までの防疫問題だけではなく、経営問題も噴出してきます。私の時の茨城トリインフルもそうでした。殺処分による補てんがあっても、いちばん応えるのがローテーション(*ロットの回転のこと)でした。

移動制限がかかっている場合、新たなロット更新が出来なくなります。これはどういうことかと言えば、処分されて空っぽになった畜舎を補充できない期間が存在してしまうということです。

つまり、石灰がまるで化石のように堆積したわが畜舎に復興の新たな芽である次のロットを導入できないことになります。脱線しますが、今「化石のようになった石灰」と書きましたが、言葉のアヤではなく消毒液をかぶった石灰はほんとうにガチガチの板のようになります。一時は私の農場もアルカリ砂漠と化していましたもんね。

私の農場はいわゆる「一貫」といって、雛から廃鶏までを一貫して飼育しています。いまでは非常に少ない形態で、普通は生育期間は別の業者に委託するのですが、わが農場は「一貫」飼育にこだわっています。

ですから、ロット更新が出来なくなると、丸々半年間の経営上の空白が生じてしまうわけです。これに移動制限で出荷も出来ないとなるとその期間、宮崎県の場合3カ月間が丸々空白となったわけですから、加えてそこからのローテーションの空白と合わせて非常に長期の経営上の空白期間が出来てしまうわけです。

あるいは、移動制限地域外でも、セリが立たないために、出荷適齢期を過ぎても延々と飼い続けなければならないことになります。これも痛い。

「日本農業新聞」(7/20)を読むと、移動制限地域外の高原町などでも、セリが3カ月間たたなかったために畜舎が出荷適齢期を超えた牛で満杯になっていることを伝えています。

肉用はかなりタイトに出荷適齢期があり、それを越すと飼料効率が非常に悪くなり、ときには肉質にも影響が出たりする場合があります。たとえば肉用牛ならば300~400キロが出荷適齢期ですが、それを100キロも超えてしまいます。

また出荷ができないため見込んでいた収益がなく、代わりにその間の飼料代がズシッと乗っかってくるわけです。だいたい和牛繁殖で100頭規模の農家だと、約200万円の飼料代が毎月かさんでいくことになるそうです。

しかし、一貫飼育農家や肥育農家はまだセリが立てば出荷ができるわけですが、種付けの自粛が4月下旬からかかっていた繁殖農家はまったくどうにもなりません。今回私がいちばん心配しているのはこの層です。

経営的に弱い農家は資金繰りがつかず、真剣に廃業を考えることになります。若い農家はまだ公的融資やJAからの借り入れでつなぐ気力がありますが、後継者がいない高齢の農家などは、ここが潮時だと廃業の決断を迫られてしまっうことも多々あると思います。ほんとうに痛ましいことです。

このように畜産農家、特に牛は飼育期間のスパンが長いので、負債を抱えながらの経営が常態化しているケースがあります。宮崎県の場合、このような過去の負債を免責しないと、たぶん立ち直れないのではないでしょうか。

そのための負債を国が買い上げるための緊急基金が必要です。ただしそれも、どこで線引きするのかということを考えると、ある意味、県内全部が丸ごと被害農家という激甚災害だったわけですから、頭が痛い問題となります。

処分された家畜には特別措置法や家畜共済(免責条項を読むとけっこうめんどくさそうですが)で補償されるとして、短期のつなぎ資金や負債整理資金を複合させていかないと現実には立ち行かなくなると思われます。

国や県は、農家の側にたった再建計画を作って下さい。お願いします!被災農家が新たな宮崎牛を出荷できる日まで、宮崎口蹄疫事件は終息していないのですから。

頑張れ、宮崎の農家!頑張れ、宮崎人!

« 宮崎口蹄疫事件 その61  疫学調査チーム第4回検討会報告速報 侵入ルート明らかにならず! | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その63   鹿児島側消毒ポインの写真 »

口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

ホント頑張れ!
宮崎の皆さん!!

このところ私が最初に思ったのは、アルカリ殺菌処理化のために巻いた石灰の対処です。
牛舎や堆肥ピットのカチンカチンになった石灰の除去作業…辛すぎる!

家畜に餌をあげたり、寝藁換えやサイレージのための草刈りといった、直接に生産性が無い作業の虚しさ…

考えただけで泣いちゃいます!

はじめまして
記事の内容に具体的な大変さを知りました。
・まだ心配が残る今の防疫
・今、困窮している人
・再興のための労力・土台
そんなことに心強い支援があってほしいです。
宮崎県知事がセールスマンをする効果もあるとは思いますが、
しっかりした土台造りが成されることを、
税金が堅実に使われることを願います。

以前「全くの一般人」としてコメントさせていただいた者です。ハンドルネームこれでよろしければ「^^」で・・・。

2年間収入が無くなるという話を聞きました。
それって普通に考えると無理なんじゃないか?と思います。
まずは回転の速い家畜と本業の家畜を並列で飼育するみたいな事ってできないのでしょうか?
それとも、農家で協力し合って、複数の農家で同じような体制をとり、一時的に金銭的な関係も分け合うとか?(もちろん契約書交わしてですが)

県も政府も予算的にかなり出していますから、今後十分な予算も出しづらいと思います。
地震災害の時も最後は自力で復興されたと思います。

農家の方々の努力と知恵と団結が必要だと思います。

お疲れ様です

例えば、国の行っている糞尿処理対策事業の償還がまだ
終わってない被災農家の場合、国がその残った償還額に対して何らかの対策を行わなければならないと考えています。
収入源となる家畜を、国のワクチン接種という方針に従い処分されてしまったのですから。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 宮崎口蹄疫事件 その61  疫学調査チーム第4回検討会報告速報 侵入ルート明らかにならず! | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その63   鹿児島側消毒ポインの写真 »