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2010年7月 5日 (月)

宮崎口蹄疫事件 その45   清浄性確認時期こそほんとうの修羅場なのです

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南九州の豪雨が気になります。人的な被害が出ないことを祈っております。また、せっかく撒いた消毒液や石灰が流れたり、作業が終了した埋却地が陥没したりしてはいないか気になります。

そんな折も折、4日、宮崎市内で清浄性確認中に陽性の牛が新たに1頭発見されました。292例目となり、この農家で飼っていた十数頭も処分対象となります。

今、目の前に光明が見え始めました。大きな嵐の暗雲が頭上をゆっくりと通りすぎていくような気持ちでしょうか。この時期は晴れた空が見えただけに、新たな清浄性確認作業期間の新たな発生は、より大きく精神に響きます。

私自身が体験した5年前の茨城トリインフルエンザ事件の時もそうでした。ある意味、清浄性確認時期ほどイヤな時期はありません。出荷すらままならず、蓄えは減る一方。
飼料の搬入ひとつも、幾重もの消毒ポイントを通過して真っ白になるようにして(実際はなりませんが)農場に到着しました。

農場は真夏なのに、季節はずれに現れた雪景色のように石灰で真っ白でした。目に痛いような真っ白で、いまでもあの事件を思い出すと、あの異様な純白を思い出すほどです。毎日の散布で、ゴーグルは汗ですぐ曇るのではずしてしまいます。そのために、目は結膜炎のように充血してしまいました。手もカサカサになります。目薬が必需品となりました。

N95サージカルマスクは一体何ダース買ったことやら。いまでも買い溜めの残りが数ダースあるほどです。あの宇宙服のような白い防護衣はさすがにあまり着ませんでした。あまりに暑くて作業にならないからです。その代わり一回の作業で上から下まで全部交換していました。

また、このトリインフルエンザは、人と鶏との共通感染が疑われていたために神経がピリピリとひりつくような毎日でした。処分作業をしている人に陽性が数名集団で出たという報を聞いた時には、心底ゾッとしました。

そのときのウイルス株はH5N2型という非常に強力な感染力を持ちながらも、毒性は弱いワクチンに使用されるタイプでしたが、連続して感染を続けると強い毒性株に転化する可能性も指摘されていたからです。

その集団感染は処分の過程で何らかの濃厚接触をしてしまったのが原因だと言われています。たぶん過って体液がかかったか、素手でさわってしまったのでしょう。

ある媒体に軽い調子であのトリインフルは人獣共通感染症だ、もう日本でもうつった人も出た、大変だ、というふうに書かれて、「バカヤロー、真っ先にそのときにくたばるのはオレたちだ!」と思いました。

今回も一部のウェッブで、口蹄疫は人獣共通感染症だなどと書き散らしている素人たちを見ると、一発張り倒してやりたくなりましたっけね。このタコ、他人の不幸がそんなにうれしいのか!

このごろはそんな素人の政治屋も赤松氏の首を取り損ない、口蹄疫にも飽きてどこかに行ってしまいました。実にすがすがしいことです。

それはさておき、もっとも気にしていたのが私たちトリインフルエンザの場合、野鳥の侵入でした。トリインフルは水鳥⇒野鳥というルートがはっきりしていましたので、私たち霞ヶ浦湖畔はまさにそのどんぴしゃの水辺エリアです。

スズメのサイズまで鶏舎侵入を防げる防鳥ネットを、漁網を切り貼りして各棟にスッポリとかけました。廃物利用で自分でやっても30万円近い出費でした。経済的に厳しい時期に痛い出費でした。

一度写真でお見せしましたが、実に作業性も悪くなり、うっとおしい。夏場に確保したい通風性も悪くなり、いやまったくわが農場も要塞化したもんだとため息が出たものです。ただし野犬やイタチ除けにはなりますが。

なによりこたえたのは、私たちの茨城トリインフル事件は、殺処分560万羽を出した戦後最大級の畜産災害だったにもかかわらずまったくと言っていいほど報道されなかったために国民の応援もなく、私たち現地農家は仲間の集会や会合を開くことも出来ず、入ってくる情報すらごくわずかな家保経由のものしかない状態でした。

そして目に見えないウイルスが、感染ルートを特定できないままにひたひたと押し寄せてくる恐怖と日々戦いました。それは「孤立感」という人間にとってもっとも恐ろしい心の伝染病だったのかもしれません。

この嵐が去り、遠くに太陽が弱々しく見える時期、そのような時期が清浄化確認期間です。

昨日、つい野生偶蹄類からの再感染はあまり危険でないように書いてしまいましたが、コメントのご指摘どおり慎重に対策をされることを望みます。希望がわずかに見え始めた時期こそが一番危ないのです。

このじりじりするような清浄性確認時期こそ、ある意味ほんとうの修羅場です。私の経験など比較にならない大規模な被害を被った被災農家の一日も早い復興を祈っています。
宮崎の皆さん、こんな応援ブログを書くことと、頑張って下さいとしか言えない自分が口惜しいですが、あなた方は絶対に孤立していないことだけは信じて下さい。
頑張れ、宮崎の同胞!

■写真 今が収穫期の村のタバコのお花畑。この花を摘花して、葉が黄色くなったら一斉に収穫していきます。このところの禁煙化で作付けがぐっと減りました。

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コメント

その当時濱田さんを存じ上げなかったということもありますが、ブログ主の当時の苦労と奮闘そして心労が具体的に伝わってきます。迫真の回想です。当時も今もこういうことを知らされなければ、ニュースのひとつとして過ぎてゆくその時々の印象しか残っていません。現在、宮崎の人々をはじめ生産に携わる全国のみなさんのご苦労とご心労を考えれば言葉がみつかりません。そう、応援しようにも言葉がみつかりませんから、本日のブログ主の「励ましの言葉」をお借りしたいのです。濱田さんの述べる言葉の後ろに、当事者(生産者)として関わるみなさん方だけではなくて、一介の市井の私たちもおります。関心を持ちつづけることと支援のカンパに応じるぐらいしか成す術がなくって、おもはゆいのですが、気持ちだけは今日の濱田さんの言葉と一緒だということを伝えたいと考えます。

こんにちわ。
鳥インフルエンザの悪夢の状況が、目の前に浮かびます。
先日、ようやく先が見えた。と書きましたが、今朝はまた愕然としました。2週間経っての発症と言う事は、宮崎市の1例目とは、別の感染ルートだろうかと思いますが・・・赤松については、空白の1日とやらを、とことん調べてもらいたい気持ちですが、このままうやむやになるのでしょうか・・・
とにかく、いつも宮崎の応援本当にありがとうございます。同じ県内にいても、ガンバッテとしか言えないので、1人でも多くの方が関心を示して下さる事が救いです。

恐れていたと言うか、祈っていたと言うか、何とか終息に向けて一直線に進んでほしいと思っていましたが、本当に残念です。やはり油断はできませんね。
みやざき甲斐様のコメントを見て、埋却した所が大雨で墳流している事を聞き、今後の天気にも因りますが、そこここでの発生が心配です。
野生動物に関するコメントも多々ありますが、本当に油断できません。北海道には猪はいませんが「エゾ鹿」や「キタキツネ」は、そこいらじゅうに生息しています。キツネには感染しなくても伝搬する可能性は十分あります。仮に北海道で発生した場合、これら野生動物の対策もしなければならない事を考えるとゾットします。しかし、絶対に見逃してはならない事項だと思います。
北海道は今日も30℃を超える気温が続いています。
湿度は60%程度ですから、カラッとしていますが、九州では蒸し暑く且つ大雨の影響もあると推量されますので、その御苦労は計り知れないと思います。
本当に身体に気をつけ、そして事故に気をつけてもう一踏ん張りをお願いします。
農業団体のカンパに協力させてもらいましたが、関連産業である。「人工授精」業務に携わっている関係者に対するカンパも連絡が来ました。些少ですが協力させていただきます。
ミヤザキ頑張れ!!

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