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宮崎口蹄疫事件 その59   清浄化確認が目視検査だけなのはちょっと心配だ

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清浄化のコースが確定したようです。昨日の移動制限解除を経て、8月27日が終息宣言という予定表が立てられました。ほんとうによかったと思います。宮崎を覆っていた暗雲の終わりとなることを心から祈っています。

もらろん、いささかの危惧もあります。喜びに水を差すようですが少しだけ書かせて下さい。

まず清浄化検査の方法が、目視検査にだけになったことが最大の危惧です。宮崎県のプレスリリース(7/21)を読むと以下のことが発表されていました。

  1. 期間  7月22日(木曜)~8月11日(水曜)
  2. 対象  県内で飼養されている全ての牛・豚
         対象戸数 約7,700戸(牛 約7,200戸、豚 約500戸)
         ※直近の清浄性確認済み農家を除く
  3. 方法  牛(肉用牛、酪農)については、農場巡回による目視検査、
         豚については、管理獣医師等の目視検査または電話聞き取り

私の知り合いに獣医師がいるのですが、彼にこの件を聞いてみました。すると、いつもはおおむね歯切れがいい人なのですが(特に酔うと)、今回は「他県がやることだからね。農水省も認めている以上なんとも言えないなぁ、ゴニョゴニョ・・・」。

私が「でも、前に口蹄疫は目視検査でよくわからないケースがあるって教えてくれたのは、あなたですよ」と水を向けると、
「うん、初期の症状や、治ってしまったケースは確かに解りにくいのは確かだがね。初期の場合はほかの病気との相似が多いし、自然治癒した場合は疫痕といってこれまた解りにくい。ただ熟練の獣医師がしっかり見れば判るから安心しなさい」。

「安心はしているんですけどね」と私もややしつこい。
「ひとつだけ教えて。疫痕のある家畜はウイルス保菌しているの?」

「保菌しているよ。だから今回は宮崎の医師も必死になって目視検査をしていると思う。もう決まった以上、彼ら現場の家畜防疫員を信じるのがベストだ」と獣医師。

よく私のブログで登場するFAOの口蹄疫防疫指針Animal Health Manualの第2章「口蹄疫の特徴」としてこうあります。

臨床症状がなくなった後、反芻動物の80%は持続的感染状態となる。この状態をキャリアー状態(保菌状態と呼ぶ」。

また同じく気になる一項もありました。「畜産物」という部分です。
口蹄疫ウイルスは(略)、リンパ節、骨髄、残血野中できわめて長期にわたって感染性を維持し、内臓でも短期間維持できる。ウイルスが長期間感染力を維持できるその他の製品には、未調理の塩漬け肉と加工品(略)、未殺菌の乳、乳製品が含まれる」。

このようなキャリアー状態の家畜は、牛で3年半の持続時間を持つとされているそうです。

どうして血清検査との併用に踏み切らなかったのか、私にはよくわかりません。血清検査をすれば過去の感染が明らかになり、キャリアー状態であるかどうかが明白になるからです。大丈夫と信じつつもやや不安です。なにせ検査数がハンパじゃないから。

そしてもう一点は、食肉加工製品です。これは相当数が既に処理済であり、移動制限解除となっていっそうその数を増すでしょう。もちろん人への感染はありえませんが、冷凍状態においてもキャリアー状態は維持されます。

この食肉加工品のキャリアー問題には、ほとんどのメディアが風評被害を恐れてか(確かに大いにありえます)、言及がない状態です。

最後にもうひとつ、野生偶蹄類がキャリアー状態になっている場合です。これに関してはもうまったくと言っていいほど情報がありません。 ・・・そしてなによりこれらすべてが杞憂でありますように。

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ところで、「日本農業新聞」(7/22)によると、簡易検査キットの導入が本決まりになりそうです。英国や韓国と同タイプだそうですので、上の写真のようなものかもしれません。

判定誤差があるので、遺伝子検査と併用するそうです。2011年の概算要求に盛り込まれるとのこと。まずは一歩前進ですが、県家保の支所にまで配備しないと意味がありません。しっかりこういうところには予算を使って下さいね、山田さん!

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コメント

念には念を入れ


杞憂で終われば、いいですね。

投稿: 下請です | 2010年7月28日 (水) 09時37分

田んぼのあぜ道の草を刈る写真・・・何故かホットします。田舎って良いな~。農業って良いな~と思わせる写真です。

マスコミでは、非常事態や移動制限解除が報道されていますが、被害農家の1%程度は、家畜を飼うのをやめるようですが、殆どの人は前向きに家畜飼養を再開する考えのようです。再開する・・と言っても課題はありますし、まだまだ先になりそうですが、是非復活して欲しいと願っています。
濱田様が仰る野生動物ですが、北海道に猪はいませんが(「猪豚」は少数いるとは聞いていますが)最近発表された北海道内の鹿は約65万頭との事です。仮に北海道で今回の様な口蹄疫が発生し、野生鹿に感染したとしたら防御するすべはありません。
侵入防止しか手は無く、その為には防疫体制の堅持しかありません。行政は基より、関係団体(者)の意識の向上を行うべく努力して行きます。

投稿: 北海道 | 2010年7月28日 (水) 13時18分

いろいろ書いたのに消えちまったorz

制限解除はでたけど、まだまだ茨の道ですね…。
いますぐにでもピット掃除に飛んで行きたいです。

投稿: 山形 | 2010年7月28日 (水) 14時19分

山形様 
本当に暖かいお気持ち、ありがとうございます。皆そんな言葉が有るだけでありがたいです。
終息宣言へせきたてられる様に堆肥処理を頑張っています。ピットは石灰でしっかりアルカリ化はされていますが、取り除くのに至難の業です。
 牛さん豚さんをもう一度側におきたいと思っても断念せざる得ない方々もいます。再開しないと取り壊し、という費用のかかる問題も有ります。農家同士で合間を縫って撤去に協力したり、堆肥の発酵のやりかたが良く飲み込めない方々(お年寄り)にも農家同士で手伝いに行って地域全体で責任を持って頑張っています。
いつまでも応援して下さい。頑張って還って来てくれると私も信じています。

北海道様
再開に関してまずは保証金で債務を整理しないと、今まで通りには動いてくれない組織も有ります。再開したくても諦めざる得ない方もかなり出そうです。何もなければうまく回転している仕組みですが、一度壊れると大変な事になります。いつまでも北海道の安全を守って下さい。
都城はかなり奥まった部落で一本道だったのが幸いしました。封鎖もやりやすく、発生当日から制限期間中警察の方もついていて下さって、効果、のある封鎖が出来ていました。派出所の方々も頼めばすぐ動いて頂けますので、今後の方針には是非定期的に交えてチームを作っておいて下さい。消毒ポイントへの事故防止の誘導も警察の方々が出て頂いていましたが、タイべックスを頭まできちんと着用して、立ちっぱなしでした。たても頼もしく、任務に対してとても信頼出来る組織だと実感致しました。(もう考えられているとは思いますが・・・すみません)
 また野生動物の件ですが地元としても心配で、農家からの訴えもあり、大学・自治体で猟友会のご協力を得ながら、捕獲・確認を進めることで動いています。

 

投稿: みやざき甲斐 | 2010年7月29日 (木) 21時41分

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