• 20241212-235901
  • 20241211-032939
  • 20241211-154712
  • 20241211-160322
  • 20241210-023508
  • 20241210-023758
  • 20241210-031101
  • 20241208-145048
  • 20241208-151315
  • 20241208-154842

« 宮崎口蹄疫事件 その43   清浄国への復帰を政治的スケジュールにからめてはいけない | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その45   清浄性確認時期こそほんとうの修羅場なのです »

2010年7月 4日 (日)

宮崎口蹄疫事件 その44    野生偶蹄類が家畜に再感染させる可能性は低いと思う

022

清浄化が射程にあがって、真剣に口蹄疫の野生偶蹄類への感染を考えねばならない時期にきました。正直に言ってこの私も含めて、頭でわかっていても、そこまで考えられないというか、考えたくないというのが今までの現状であったかもしれません。

毎日数百頭の単位で処分対象の家畜が増えていき、ウイルスを発生させている待機家畜が数万頭いるといった状況の中では、野生イノシシ、シカが発生地区に出没しているという情報に接しても、もうしばらく後で対応しよう、というのが本音ではなかったかと思います。

しかし、先日の記事でも書きましたが、清浄国への復帰という新たな命題に向かった今、それは避けて通れない課題になっています。それは単に「陸生動物衛生規約」に基づく条約ウンヌンといった問題だけではなく、野生偶蹄類に口蹄疫ウイルスが持ち出されてしまっている可能性があるからです。

その場合、いわば里でウイルス感染した家畜やたい肥、敷料、糞尿の処理処分が終わっても(これも先日の「みやざき甲斐」さんのコメントでは大変な作業となっているようですが)、里山の野生偶蹄類に潜伏していた場合、再びいつ何どき口蹄疫が再発するのか判らないことになります。

ただし、私には野生偶蹄類からの再感染の脅威度は低いと思っています。なぜなら、ウイルス感染した野生偶蹄類から家畜が感染を移されるというケースは非常に限られた条件下だからです

家畜が野生偶蹄類と接触する機会は、日本では実はあまりたくさんありません。それは家畜の放牧地がある場合、山間地での電柵による放牧形式などの場合などで、柵の破損によって野生偶蹄類と濃厚接触してしまった場合だからです。

たしかに野生イノシシは豚と同様にウイルスの増幅動物ですから、いったん感染すれば牛の最大3千倍のウイルスを気道から排出します。その意味で危険ではあると考えられていますし、実際にアジア地域での感染拡大の原因になっているのは確かです。


しかし、飼育形式がアジア地域での柵がない完全自由放牧と、わが国では大きく違います。わが国の宮崎牛は畜舎での飼育が中心です。畜舎内部までイノシシやシカが侵入することはほぼありえない想定です。
あえて
あるとすれば、野生動物が落としていったウイルスを含んだ糞を人や車両が踏み、それを農場内部に持ち込む場合でしょうか。

あるいは、霧島の観光地のシカに万が一ウイルス感染していた場合、エサをやる観光客と交差して拡大する可能性もなしとはいえません。これもあくまで理論的可能性にすぎません。

これらの危険は、ともかく野生偶蹄類のウイルス発生動向調査をしてみなければなんともいえず、シカやイノシシ集団の密度や行動パターンが解明されなければなりません。

パニックになる必要は全くありません。

末尾ながら九州南部の記録的豪雨のお見舞いを申し上げます。被災地の復興が遅れないことをお祈りしております。

■追記 本記事の「野生偶蹄類からの再感染の脅威度は低い」という認識には誤りがあります。「その46」をご覧ください。 7月6日記

■写真 カボチャの花です。

« 宮崎口蹄疫事件 その43   清浄国への復帰を政治的スケジュールにからめてはいけない | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その45   清浄性確認時期こそほんとうの修羅場なのです »

口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

野生動物からの感染はかなり低確率との記事を何かで目にしましたが、可能性がゼロで無い限り、絶対に見逃してはならなく、確認は行うべきです。
テレビを見ていますと、都城市では大雨で川の氾濫も起きているようで、とても心配しています。
以前九州を訪問したとき、まさにスコールの様な雨の降り方に驚きました。北海道の雨の降りかたとは全然違っていました。「バケツをひっくり返した様な降りかた」の表現通りだと感じました。近年は温暖化のせいか北海道でも似たような降りかたをする事もありますが・・・・・
コメントを寄せている皆様が仰る通り、まだまだ油断はできません。例えが適切かどうかわかりませんが、登山時あと一歩で頂上・・・と言う時が安心と油断で事故が起きる・・・と言う言葉を思い出します。
先が見えてきた事は共に歓迎したいと思いますが、我々の所も油断しないで、防疫対策を継続して行こうと思っています。
週明けには、畜産農家に石灰を役場の人たちと一緒に配布作業をします。暑いさなかですが、宮崎の人達の苦労に比べれば、軽いものです。心から宮崎県の関係者の皆様にお見舞い申し上げます。

感染確率は今は低いとはいえ、慎重に行きましょう。
テレビでは宮崎の山間部で、野生イノシシが食べられる店とか出てきますが、まだしばらくは慎重に。

被害に合った方、逃れて無事だった方の畜産生産者や観光地の方々は、1日も早く再開→牛豚の早期出荷をしたいことでしょうし、死活問題であることは理解しております。

ただ、また発生…となったら、もうどうしようもないダメージがあります。
厳しいのは承知ですが、まだまだ(秋頃までは)ひたすら安全確認と野生動物の動向監視が必要かと。あと堆肥・糞尿処理も大切です←有機農法を目指した経験からも、これを考えただけでもツラく悲しいです。作業する人々の重労働と空しさを思うと…。

九州でのイノシシ、私の住む東北地方でのカモシカのようかと。高速道路に侵入してよく事故のニュースがあります。私も夜中の山道で何度か跳ねそうになりました。狸の死骸はよく見ます。
野生動物とはいえ、身近な所に偶蹄目がいるものです。

だからこそ、まだしばらくは慎重に!と。
県の「一部解除宣言」と、消毒協力車両の減少は危険だと思ってます。

もうしばらく、しばらく耐えましょう。野生動物の安全確認まで頑張りましょう!

佐賀県は鹿は居ませんが、猪はウヨウヨ。近頃は人間も平気で、冬場鋸屑換えたときなんか特に、朝仲良く一緒に眠ってます。

鳥フルH5N1が3年前に宮崎県で発生した時も今回も自宅の至近距離で起こったことなので、特別な関心を持っています。

単なる外野席の野次馬のつもりはありません、ネット裏にいます。沖縄つながり(大浦湾は研究フィールド)もあるので、ありんくりんさんの書かれている記事はずっと注意してみています。

マイナーなことですが、生石灰と消石灰は別物ですので、修正されるとよいでしょう。

野生動物のことは、外野から見ると分からないでしょうが、宮崎県北部の口蹄疫発生地域は、鹿児島大学の先生も勘違いされていましたが、平野部の農村地帯とは違います。山地が海に迫っていて、起伏が激しい、海岸段丘がうねっている場所です。宮崎市の跡江も隆起平野の段丘が沖積平野の中に頭を突き出している場所です。さすがに跡江に鹿はいないでしょうが、猪はいるかもしれません。

都農、川南、高鍋、新富、木城は全て丘陵から山地にかけての斜面で、海に近い場所でも複雑な地形です。海岸に沿った砂丘地形もあります。家畜の畜舎の多くは人家から離れている所で丘や林に囲まれていることが多く、最近は山地に多くの農場ができています。また近隣の山には放牧地があちこちにあります。

豚舎はよくわかりませんが、牛舎は大小さまざまで、多くは開放的であり、林、藪や草原に囲まれていて野生動物は日常的に周囲を徘徊しています。川南の市街地から近い発症豚舎に鹿が居座っていたことが目撃されています。餌のオコボレや堆肥を狙っていると思われます。猪は鹿よりも人家に近づいて、農地を荒らしまくっています。

自宅の日向市の場合、市役所から車で10分、距離は5キロくらいの山地の入り口ですが、毎晩鹿が家の周りを歩いていますし、猪は裏手でヌタ場を作っており、林道に無数の獣道があります。夕暮れにはウリボウをゾロゾロ従えて母猪が林道を横断しています。周辺の谷間の水田には猪よけの電気柵が必須です。していなかった田んぼのなかで稲がなぎ倒されていたことを何度も見ています。

昨年都農の山中を調査していた時に見ましたが、山の放牧場(水牛牧場のすぐ近く)で鹿が昼間からウヨウヨしていました。木城町でマスコミが放牧場の牛と鹿を撮影していましたが、全く同じことは川南と都農でもおこっています。

というわけで、野生動物の実情をよく知っているので、発生当初から野生動物と接触する感染リスクについてブログで情報発信を続け、県にもメールでアドバイスしたつもりですが、全く手ごたえがなかったので驚きました。

野生動物が再感染に関係するリスクですが、このまま野生の鹿と猪の疫学調査なしで、感染を確かめないままの児湯地区の畜産業の再開は危険だと思っています。もしもすでに感染しているとすれば、野生の鹿と猪は畜舎の周辺に慣れている、言い換えれば共生関係になっている個体が多いはずです。

beachmollusc様
初めまして。とても専門的(すみません語彙が乏しく)で的を得られていると思います。
えびの、小林、野尻、高原、高崎(今回の都城から車で30分圏内の畜産地帯)につながるえびの高原がご存知の様に鹿の一大生息地です。各地は霧島山系を通じて山林、林で殆ど繋がっています。農場(牛さん、豚さん、鶏さん)関係なく畜舎にかなり接近した場所に糞をしています。どう関連性が有るかは分かりませんがわなを仕掛けると猪もかなりの確率でわなの中に入って来ます。かかるかかからないかはその時の猪の大きさに関係するみたいです。特に雨上がりは続出する状態です。都城や小林、高原でも平坦地に農場がある所ではそうでもないのですが、周りが山林だとどこでも似た様な状態です。私は個人的にですが、秋口に須木村を通じての、西都や高鍋方面の汚染濃度の高い地域からの移動鹿からの感染が再発しないかと心配しています。移動ルートになっているはずです。
猟友会や趣味の鉄砲射さんもいますが皆高齢化されています。
私ではレベルが違いすぎますがので、野生動物に関して引き続き関心を持って頂けると幸いです。

濱田様 とても勉強になる繋がりありがとうございます

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 宮崎口蹄疫事件 その43   清浄国への復帰を政治的スケジュールにからめてはいけない | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その45   清浄性確認時期こそほんとうの修羅場なのです »