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2010年7月15日 (木)

宮崎口蹄疫事件 その53  東国原知事を検証する

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私は今まで県知事に対しての検証をしてきませんでした。その理由は公選で選ばれた県知事は人格的に宮崎県民を代表する人格だと思ってきたからです。 今、まがいなりとも移動制限解除の時期を迎え、事件における知事の位置を抜いては話が進みません。 そしてなにより、先日の知事対農水大臣のバトルのように、公人たる知事と大臣みずからがその制約を外して場外乱闘をするに至っては、私のそんな気遣いは無用のこととなりました。

宮崎県民の方には不愉快に思われるかたも多いでしょうが、以後、知事に対する検証を解禁することとします。 さて前置きが長くなりました。誰しもが感じる事でしょうが、もしこの事件において彼が県側の最高指揮官ではなく、「あたりまえ」の霞が関官僚あがりの知事だったのならば、まったく違った展開となったことでしょう。

東国原氏はたぶん日本に数人しか存在しない政治家的知事でした。というより、中央政界願望が強烈な知事と言ったほうが正確かもしれません。

ちっとも面白くないコメディアンとしての道をスキャンダルで頓挫した後に、早大に社会人入学し地方行政を学び、県知事に打って出るというキャリアはなまじの東大卒、自治省あがりの知事らにないギラギラしたパワーを感じます。私自身、わが県の4期めの県政と引き比べて、新鮮味をかんじていました。

そんな彼は宮崎県民の信用を失墜させた「自民党総裁要求事件」に現れているように、宮崎の「田舎知事」に安住していることに飽きていました。もし、この忌まわしい口蹄疫事件がなければ、この参院選で「そのまんま新党」でも作ったことでしょう。

彼が望んだのは国政という大きなステージの中のキーパーソンで成り上がることだったようです。後の口蹄疫事件でたびたび現れる国との軋轢は、宮崎県を守るという純粋な意志によるものとはややはずれた、彼の個人的な政治的野心から出ていると見られてもしかたがないことが多かった気がします。

たぶん今回の口蹄疫事件での知事の最大のミスは口蹄疫を甘く見たことです。彼は自分が就任直後の2007年に発生したトリインフルエンザを抑え込んだことに自信をつけていました。

ちなみに、当時多くのマスコミを引き連れて発生現場を闊歩する知事に、私の地元家保の獣医が、「馬鹿じゃなかろか。あのマスコミ車両で感染拡大したら損害賠償は知事に送れ」と言ってたことを思い出します。

このような、「危機における強いリーダー」の過剰演出とパーフォーマンスの習癖は、今回の口蹄疫事件でも拡大再生産されていきます。

そして、もうひとつ2000年に宮崎で出た前回口蹄疫の処理が、わずか35頭の殺処分で済んだことも成功イメージとしてありました。

だから、前回有効だった防疫指針どおりに確定直後に県対策本部を立ち上げ、発生地から10㎞まで家畜を動かせない移動制限区域に、そして10~20㎞までを搬出制限区域に設定し、関係車両を消毒し始めました。

まさに国の定めたマニュアルどおりです。
ここが後に県知事をして「国の防疫指針どおりにやったのになにが悪い。悪いのは国ほうだ」という主張の論拠になっています。しかしこの知事の主張は半分正しく、半分間違っていました。

マニュアルどおりというのは正しいし、防疫指針も昭和24年に作られたような家伝法も旧態依然たるボロ家でしたが、現場指揮官としての大きな見逃しをしでかしていました。

知事が見逃した大きなほころびはふたつありました。ひとつは感染確定の4月20日以前に、ウイルスが多方面に車両や人などを介して広範に持ち出されていることを見逃したことです

ウイルスが確定以前に持ち出されたこと自体は致し方がない側面がありますが、この確定段階ですかさずその飛び火の規模やルートを調査すれば、アウトブレイクはなかったとまでは言えないにしても、はるかに小規模で終息したことでしょう。

これは発生点からの発生動向調査を怠ったことと、消毒対象を畜産関係車両に限定してしまったことが原因です。

そしてもう一点は、27日の県畜産試験場での豚の発症の重大性を認識していなかったことです。豚という増幅家畜を通して、川南地域のウイルス濃度は飛躍的に高まっていきました。

これら二点に関しては、大事なことですので別稿で詳述します。ここでは、知事の対応のみにふれます。

では、知事は確定判定が出た4月20日に何をしていたのでしょうか。午前11時に開かれた定例会見ではもっぱらくだらない新党ラッシュの話に終始しました。質問しているマスコミに口蹄疫の恐ろしさの認識が皆無だったのは当然として、肝心の指揮官たる知事にすらその認識がなかったのです。

ここで口蹄疫初動上もっとも重要な数十時間が空費されました。知事が事態の深刻さに気付いたのは翌日21日の県対策本部でのことでした。ここになって知事はようやく「10年前とは違う全身全霊で蔓延防止を」と呼びかけます。

どうもこの人のオーバーな表現が気にかかりますが、「全身全霊」とまで言うなら、確定当日の20日を丸々1日間棒に振ったことを問われるでしょう。26日には県議会で、自衛隊出動を求める議員に不要であると回答し、翌27日には口蹄疫陳情で上京するかたがた新党に挨拶に出かけています。
ほんとうに知事が状況を把握していたのか、「全身全霊」であったのか首を傾げたくなります。

彼の行動のおかしさは、5月に入りいっそう増幅していきました。これが今回の口蹄疫事件の最大の失敗である埋却地不足による処分の遅滞と、種牛問題のダブルスタンダード問題でした。これについては長くなりましたので、次回にします。

なお言うまでもありませんが、政府は事実上5月12日の現地対策本部ができるまで何もしていません。マヌケな疾病小委員会を4月28日に開いて県の対処を追認したことと、あろうことか農水大臣が不要不急の外遊でどこかに遊びに行ってしまったことくらいです。
したがって県知事を批判することによって、国が免罪符を得たわけではないことを付記します。ちょっと知事批判のトーンが強すぎたかもしれません。ごめんなさい。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
以前から何度かお邪魔して拝読しておりましたが、書き込みは初めてです。
農業、農政の他、多種多様な考察、とても参考になる内容が多く、勉強させていただいています。ありがとうございます。

農政や家畜病のことはよくわかりませんが、今回のことについての自分の思いを書かせてください。
宮崎県知事については、以前は濱田様と同じような印象を持っていましたが、口蹄疫騒動(というと不謹慎でしょうか)以降、印象が変わりました。単なる私の心証ですが、知事ご自身が、変わられたのではないか、というように感じています。
発生初期からの県や知事の対応に問題がなかったとは思いません。でも、対応を誤った面があったとしても、その後からは県民の民意を背負ってあの方なりに懸命に頑張っているように見えます。
対して、国…政府・大臣・農水省は、国民でも国益でもなく、保身のために知事をスケープゴートにして逃げようとしているだけに見えます。特に山田大臣は、強い指導力を見せかけることで自身や自党・政権の支持率を上げようとしている、と思えます。異例のワクチネーションも、今回のことも、そのパフォーマンスの一つではないかと。
副大臣時代から、「コロセ」と「カネ(補償金)」しかおっしゃっていない方です。県の年間予算をはるかに超える費用がかかっていて埋設場所の確保など国の補助が見込めなければ難しいだろうに、コロセと命じるだけで県に丸投げに近い対応、自衛隊の投入も県側からお願いするまでなし、農家への補償のことも、対象範囲・金額・実施時期等の具体的なことは何も決まっていない。「国はこんなにやってます」と宣伝するだけ。
前大臣は無知だったのでしょうが、現大臣は畜産業経験もある詳しいはずの方なのに、陽性が確認された後のGWに鹿児島でメーデーに参加したり、時間も九州への移動も問題ないのに赤松大臣の外遊中に何もしなかった。
先日の選挙結果は、こういった大臣や政府への県民の不信感でしょう。県民が不信感一杯なのに、今後の復興への国の援助もアヤシイのに、代表である知事が言うままに従うことはできないというのは、私は納得できます。
特例措置の是非や、一部の利害に関わっているいないというのとはまた別に考えないとならないかもしれませんが。

優秀な母牛もいればもっといいですが、一頭でもいい種雄牛が残った方が現地畜産業復興への光になるし、もし種付け等で直近の収入の見込みがあるなら、僅かでも当面の安堵になる。
DNA検査をして、感染していれば仕方ないけど、陰性なら特例を認めてあげてほしい、というのが素人の気持ちです。
検査もせずに地自法の強制代執行で強行という姿勢も、大臣と現政権の独裁色を露出しており、対応の是非とは別に強く危惧します。

まとまらない長文、すみませんm(_ _)m

あの、朝に投稿しようとしたら×でした…

①国は原則に従って平等に従うべきだ→すぐに殺処分しろ!
②県知事側は、嵐が過ぎ去ろうとしつつある今、今健康な大事な種牛を殺させないで!

と、いいつつ、昨日はまた平行線で、国の強制処分の執行も先送り。
どちらの言い分も解るんですよ!
ただ、公平性を言う農水相も畜産経験者の立場から原則論で振り上げた拳を下ろせずに躊躇してるのか、はたまた「自分が悪者になりたくない」からか…先送りになってます(一番大切な時期に外遊に行き、帰ったら「さっさと殺しておけば…フフフッ」なんて口走らないだけ前任者よりマシかと)。
私は東国原支持者ではありませんが、自分の知名度を最大限利用して宮崎県をアピールする姿には、この地方閉塞の時代に好感を持っていました。
昨年の自民党の誘いで国政に色気を出したのがケチのつきはじめでした。

今回の騒動で県知事をスケープゴートにしようとする動きには嫌悪感を持ちました。対応の遅れは10年前の成功例とともに、役所やブレインから「ホントにヤバいぞ」と伝わらなかったのかと。

結局①と②の対立軸で、絶対の善悪では判断がつきません!

清浄国復帰や畜産農家の公平性、今後も発生しうる事態の対処としての「全頭処分」です。
結局は国益として考える意外にないとおもいますが、
生き物を無益に殺してはならない!
しかし牛は食料で経済動物である!

という、畜産業の根幹を問う出来事が図らずも具現化した出来事だと思います。

今後も注視しています!

私は今回のテーマの内容が知事批判のトーンが強いとは思いません。
口蹄疫問題に限らず、過去の記述においてもあらゆる角度からの考察や事実による裏づけそして問題提起などを明朗かつ建設的に書かれておられると感じました。
私も勉強させていただいてます、ありがとうございます。

http://ameblo.jp/tokuda-takeshi/entry-10591182657.html

実際の省令案に示された支援内容を見てみないと、何とも言えませんが。

只、子ども手当支給額の前科も有るので、心配ですね。

「金が欲しければ、言うことを聞け」が自民党よりも露骨な政権だけに。

いつも読ませて頂いています。

色々な立場、見る角度で県、知事、そして国の批判なり、反省点など意見があると思います。


しかし、今回の口蹄疫事件の一番の問題点は安〇楽牧場による口蹄疫発生の隠蔽です。

口蹄疫が公になった4/20時点では、既に児湯地区では蔓延しきったパンデミック直前状態でしたので、防疫のレベルを遥かに超えていた。(今日のブログでの指摘にある豚での発生も感染したのは一例目以前なのは誰がみても明らか)

この考えも及ばない異常な第一報発生で始まった口蹄疫を誰が、もっと小さな規模で抑え込む事が出来たでしょうか?
その後、普通に(と言っては妙ですが…)我がえびの市、都城市などは大規模感染にならないで押さえ込みが出来ています。

是非、濱田様には鋭い洞察力でこの未だに公に語られる機会のない安〇楽牧場の隠蔽の件を語って頂きたいです。


ご自身に確固たる信念がおありならば、伏せ字などせず、安愚楽牧場の事、足を使って調べ上げ、自分の名前の下に発信なさる事です。
寄らば大樹の陰、では、お話になりません。

東国原さんの政治力を買っています。
一人であらゆることに精通する人なんて居ません。
フォローする人と体制に恵まれれば、それを誰よりも上手くプロデュースできる方だと思います。
どうも僕たちは、ただ強引な指導力だけに惹かれ、中身を問う事をしません。
結果が自分たちの首を絞める事になっても、更に弱い者を見つけて、いじめて憂さ晴らししています。
なんだかんだ言って、日本はジミントウが変わらなければ駄目だと思います。
今度の選挙で勝ったかもしれませんが、心根は小さくなったままです。
東国原さんには、総裁として自民党を政治集団に変えて欲しいです。
そして、八百万の神の国らしく、小選挙区制度に頼らない国政にして欲しいですね。

濱田様、失礼します。

shum34さんへ。


私はネット上のマナーとして伏せ字をしています。あなたのようなマナーを軽視出来ないので、あしからず。


この問題を語る上で隠蔽を外して議論する事は、土台の無い討論となると思いますので、コメントさせて頂いたまでです。

匿名で他人の個人情報を公開するのは、マナー違反と言うより犯罪でしょう。
MICさんの行為は、安愚楽牧場からの訴追逃れでしかありませんが、おわかりでない?

おじゃまします。

shum34さん、
この前から何が言いたいのやらバラバラで分かりません。
主張があるならフリーの掲示板へ行かれたほうが良いかと思います。

ミスリードに乗せられるような濱田さんではありませんが、閲覧者は釣られてしまうものです。
自分は安全地帯にいて、自説を「権威」に語らせようとするのは、僕は卑怯だと思います。

また暴れてるのがいますので、おじゃましますよ。

また暴れてるのがいますので、おじゃましますよ。

shum34
何がミスリードで、あなたの八百万の神になるのか、
シラフの状態で自分の書き込みを読み直してみなさい。
場所をわきまえなさい。
画期的な解決法を提示できずに、一方的に個人攻撃してるだけですね。

釣り目的なら、なおさら大手掲示板で遊ぶか(じきに相手にされなくなることでしょうが)、キッパリ書き込み止めるべきです。

相手を下に見てるつもり(それにも気付かない社会性欠如?)が、
実はただ「ああ、馬鹿がまたきたなww」くらいにしか思われてないんですよ。


ブログ主さんも迷惑してることでしょう。
あなたはすでにイエローカード提示された存在ですから。

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