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2010年7月29日 (木)

宮崎口蹄疫事件 その60 家伝法が改正されそうだ!防疫関係者に農場立ち入り権限を与える動き

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家畜伝染予防法(家伝法)の改正が決まりそうです。

[以下引用 太字引用者]

口蹄疫 家畜伝染病予防法改正へ 国の権限強化、強制調査も

(産経新聞) 7月28日(水) 08:00:00

 口蹄(こうてい)疫問題で農林水産省は、感染予防などで国の権限を強めるため、家畜伝染病予防法の改正案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。山田正彦農水相が27日、閣議後会見で表明した。

 改正案には感染経路を調べるため、農場などを強制調査できる権限を国などが持つことも検討する。現行法は殺処分の命令など重要な決定は都道府県が行うことになっている。だが、今回の口蹄疫問題では、現地に対策本部を置いた国と、県との責任の所在があいまいで混乱したとの指摘が出ている。

 山田農水相は「今後は国がきちんと危機管理体制に責任を持つ形にしていかざるを得ない」と強調。「諸外国では感染経路を調べるため、強制調査ができる」などと述べ、改正案にはこうした権限を国が持てるようにする意向を示した。

 また、農水省は同日、国や県などの対応を検証する第三者による検証委員会を設置した。8月5日に初会合を開き、11月ごろのとりまとめを目指す。

 委員会は識者や弁護士らで構成し、発生前のウイルス侵入防止対策▽初動対応▽殺処分や消毒など防疫措置の進め方−などについて、国や自治体、個々の農場のそれぞれの対応を検証し、改正案に生かす。

 また、事実上停止している牛肉の輸出再開を目指し、農水省は10月、国際獣疫事務局(OIE)に、口蹄疫の発生していない「清浄国」への復帰を申請する。

 一方、野田佳彦財務相は27日、今回の口蹄疫対策として、家畜伝染病予防法に基づいて今年度予算の予備費から追加で88億円を支出することを決めたと発表した。家畜を殺処分にした農家への手当金などに充てる。支出は今回を含む3回分を合わせて、計411億円に膨らんだ。
                                       [引用終了]

この記事を読む限り、改正の要点は二点です。
第1に、かねがね必要を叫ばれていた防疫関係者の農場立ち入りの調査権の強化です。国がその調査権を持つとされています。

第2に、今回、現場で混乱を究めて県と国の感情的対立にまで発展した県と国の権限を、国を主体として危機管理体制を作っていくことで整理していきたいようです。

直接改正とは関係ありませんが、第三者による検証委員会が8月に開催されて11月に答申されるそうです。

私のコメントを加えます。
まず第1の、国の調査権の強化ですが、遅すぎたくらいでした。前回の茨城トリインフル時は違法ワクチン接種が引き金だというのが防疫関係者の一致した見方でした。家保の獣医師などは、「もしこれが違法ワクチン由来でないという者は獣医師免許を返上しろ」と言っていたくらいでした。

にもかかわらず、家畜防疫員たる家保、あるいは国の疫学調査チームのいずれも「誰が見ても怪しい」農場に立ち入り調査ができませんでした。いや、正確には仮に入場しても、欲しいロット管理記録、衛生管理記録、あるいは車両や人員の出入りを示す帳票類を「任意で見せてもらう」うかできないのです。

これらを押収して(柔らかに言えば「提出願って」)、精査することができないことが、9割クロだという言われる対象を法廷に引っ張りだすことができなかった大きな理由でした。

そりゃそうでしょう。いくら疫学的に詰めていっても、肝心な物証がないんだもん。いわば状況証拠の積み重ねのようなもので、これでは検察は立件してくれません。

今回の宮崎でも、感染をバラまいて、それを隠蔽しようとしたといわれる農場があります。これに対しても、家畜防疫員や疫学チームは、「資料を見せてもらう」ことはできても、調査の為に農場に立ち入って聞き取りをして、関係書類を押収する権限までありません。

これは捜査権という司法権の範疇であり、例外はありますが原則として警察と検察が占有しています。今回のような大規模な政治問題化した事件ですと、地元警察のみならず検察機関が動く可能性もあり、多少状況は違うのですが、一般的に言えば、警察関係はど素人です。ぜんぜん判っていないんですな、これが。

茨城トリインフル事件の時は、石岡署の生活安全課の気のいいお巡りさんでしたが、同時に捜査していたのは痴漢でしたか。伏魔殿のようになった事件の全容を、何の畜産知識もないお巡りさんが、それもたった1~2名で聞き回ってなにが出来ます。

その時から家畜防疫員、疫学チームに農場立ち入り、証拠物件の押収などの準捜査権を与えよという声は現場で高まっていたのです。今回はそれをおろそかにしたツケが回ってきて、ウイルス侵入ルートや感染ルートの特定が非常に困難になりました。

今回、これを改正するというのは非常に期待が持てます。これによって発生動向調査の遡及調査が強化されることになります。

ただこのような権限が国の疫学チームに限定されるのか、地元家保の家畜防疫員にまで及ぶのかは不明です。

私は国、県のいずれにも与えるべきだと思いますが、その場合の権限の整理とプライオリティ(優先権)を明確にしておかないと、ひとつの事例をめぐっての綱引きというバカなことになりかねません。
これは調査権のみならず、口蹄疫緊急対策の主体を国に置くのか、それとも法定受託で県に背負わせてきた従来の形のまま行くのかにもつながることです。

このあたりをあいまいにして調査権のみの強化はありえませんし、やったとしてもかえって現場での混乱に輪をかけることになってしまいます。

長くなりました。家伝法改正の第2点以降は次回ということにいたしましょう。

■追記 疫学調査チーム第4回検討会概要が発表になりました。侵入ルートを、はっきりと第6例を初発で、3月中旬と明記しました。明日はこちらの情報を優先します。

■写真 月見草です。実に可憐な花で私は大好きです。

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コメント

家畜伝染病予防法の改正の動きの中で、ご意見がある方は、農林水産省動物衛生課へ、メールで、改正希望点を、伝えるのも、良いと思われます。(何も言わないより、良いです)

省が、今回、パブリックコメントを求めるかどうかは、わかりませんが、内容のある意見であれば、法律に、書かれなくても、施行令、施行規則、通達等で、書かれる可能性は、あります。

政治家は、無知ですので、官僚の実務責任者レベルに、意思をつたえると良いと思います。

実際、法改正時のみ、情報は、ほしいが、普段は、何を言われても、既存の法律を守るだけで、外野の意見は、聞きたくない。って言うのが、保身のための立場ですから。。

強制捜査権は、裁判所の家宅捜査令状、押収令状を必要としますから、行政でも、無理かな。 認可取り消しぐらいでしょう。警察権限で証拠を押収できるな、専門家の鑑定ができますが。 ワクチン接種された疑いの鳥がすべて焼却ですから。どうにもです。 

16条も変えた方が良いでしょう。主責任者は所有者ですから(刑責任を問われるのも)。他は
できるです。

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