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2010年8月27日 (金)

宮崎口蹄疫事件 その84  ウイルス汚染された可能性のある堆肥の処理について再考する

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小沢氏が出馬するそうです。農水大臣の山田氏も、現地対策本部(副大臣)の篠原氏も小沢氏に近い立場ですから、なにかの影響はでるかもしれません。いずれにせよ、山田氏は口蹄疫対策の継続性から見ても再任でしょうが。

県の、口蹄疫にウイルス汚染された可能性のある堆肥野処分方法で「りぼん」様のご意見を再度承って再考しました。貴重な情報とご意見を提供いただいた「りぼん」様に感謝します。

なるほど、7月25日の時点で県は発症農家21軒、ワクチン接種農家 1,018軒。合計1,239軒で60℃達成が不可能と知っていて、8月3日の一斉切り返しを命じた・・・か。

そこで、前々回うっかり見落としていたファイルをひとつアップします。
宮崎県が
家畜排せつ物の発酵消毒処理についてで事細かに図入りで解説をしたものです。このファイルの中に「りぼん」様もご指摘の「夏場であれば、40日間で1万分の1以下に低下」という部分があります。皆様もなかなか興味深い文書なので一度ご覧ください。http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000144602.pdf

この中で「20℃で90%が不活化する」とも記しています。言い換えれば、20℃という発酵前の温度では、10%が残存するということになります。

そしてもうひとつよく県の考えを理解できないのが、下段の「たい肥のリスク」というフロー図です。切り返し・発酵⇒運搬の工程の途中に「畜舎内のウイルスが付着?」という吹き出しがあります。

え?宮崎県はこの切り返しの過程で畜舎内のウイルスが付着する可能性があることを知っていてやらせているの!?

もし仮に、堆肥中にウイルスが残存していた場合ですが、それは切り返しのたびに周辺に散乱していきます。常識です。作業に使うタイヤシャボはバケットで切り返すたびに付近に敷料の藁をまき散らすからです。これにウイルスが付着していて、しかも畜舎内部にウイルスが残存していた場合、家畜の体内を媒介とせずに、一種の相乗効果のようなものが生まれることもありえそうです。

もう一カ所運搬⇒施肥のところにも、「運搬中にウイルスが付着?」という吹き出しもついています。なにかオイオイといったかんじですが、これは運搬車両のウイルス残存を考慮しているのでしょうか。

私の勘違いかもしれませんが、県は2カ所の堆肥処分の工程で、「ウイルスが付着する」可能性をあらかじめ認めていることになります

また、この県のファイルの温度帯の図表にも記されているように、61℃以上ならば30秒で瞬殺されてしまいますが、49℃では1時間殺菌されません。

次に、県は60℃で処理を命じた時にどのようにその温度を測定することを考えたのかです。これもこのファイルに載っています。「家畜防疫員が確認する」とあります。写真では堆肥表層部を計っているようです。

通常私たち農家がする場合には、堆肥表面と内部を棒温度計(30㎝くらいの棒状の温度計)を数カ所に差し込んで計測します。これは堆肥と深部がそうな温度差があるからです。深部は発酵が盛んですが、表層部は発酵が止まって温度が下がっています。

この県の写真は模擬的なものだとは思いますが、この計測方法ですと正確には測定できません。「りぼん」様の懸念する「60℃もあれば40℃のところもあるのではないか」という危惧はありえることです。

県には当初、ふたつの選択肢があったと思います。つまり、ひとつは汚染可能性がある堆肥を汚染物質として除去するという考え方です。しかし、これは宮崎県自身が認めるように埋設場所がないために特例とされました。

いまひとつの道もふたつあって、61℃以上で処理するか、あるいはそれ以下の40~50℃温度帯で最低1~7時間発酵熱をかけ続ける方法です。この選択ができたにもかかわらず、県はより安全ではあるが、現実化が困難な前者を選んだわけです。

しかし、現実にはやってみるとご承知の結果で約半分しか60℃以上にあがらなかったわけです。これが7月25日の時点です。

目標温度に上がらないとわかったにも関わらず県はこの60℃以上方針を変えないで規定方針(7月16日発布)どおりに8月3日から堆肥一斉切り返しを開始します。それについてはこちらをご覧ください。汚染物品(たい肥など)処理に関するヘルプデスクの設置についてhttp://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000143644.pdf

う~ん、確かに県の対応は理解に苦しみますねぇ。7月25日の時点でスパッと60℃方針を捨てて、49℃方針にするべきでした。結果論ですが、8月27日の終息宣言という日程目標を後にズラしてしまうても、当初にはありえたのです。

官僚機構の融通性のなさと言ってしまえば一言ですが、規定方針が不可能とわかった時点で切り換えれば、傷は浅かったのです。ほぼ1カ月間丸々ありますからね。

しかし、それを終息宣言日程の間際の8月下旬になって49℃への戦術ダウンをあたふたとしたわけですから、やはり県の判断の後手後手は指摘されてもいたしかたがないところでしょう。

県にはもっとも望ましい埋却方針が物理的にとれなっかたこと、堆肥が通常なら問題なく上がるはずの61℃以上に石灰の大量投入による強アルカリ化のためになかなか達しなかったこと、という気の毒な面があります。

しかし一方、県はこの口蹄疫事件で求められた「判断の迅速性」という教訓をまだ活かしきっていないような気がします。

■写真 村の床屋。扉の上には藤がからまっていて、花の季節には薄紫の藤の房がたわわに店頭を飾ります。

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コメント

すみません。訂正です。2,900軒の堆肥処理農家数を、発症農家221軒、ワクチン接種農家 1,018軒。合計1,239軒に訂正してください。
なお、宮崎日日新聞では、1,243軒となっています。

誤:2900  正:1239

ごめんなさい。思い込みで、勘違いしていました。よろしくお願いします。

終息宣言、予定どおりに出ましたね。
堆肥の処理は「完了」したそうです。
が、本当に大丈夫なのか?という疑問が残ります。
順調さを強調して安心させてくれる発表は大切ですが…万一再発したら…宮崎県の畜産のイメージダウンは致命的になるでしょう。
わたしは今日の終息宣言には強い疑問を感じます。

ちなみに、堆肥の中心部の温度を測るには、1例として、細い鉄パイプを、外の目印(深さOOcm)にあわせて、差込み、1度抜いて、パイプの土を落とし、再度差し込んで、パイプの中に、ひもをつけた温度計を落として、底についたら、数センチ、パイプを戻すと、指定の深さの温度が、測れます。

様々な思惑もあり、予定を優先しての「終息宣言」ありきでこれまできたものと推察しますが、今日の日が本当の終息宣言となる事を祈るばかりです。

今年は「豪雨・猛暑」と言う、例年とは違う気象条件の中で、現地の関係者に置かれては、苦労の連続だっだと思います。
先の見えないトンネルから、やっと一筋の光明が見え、そのトンネルを抜ける事が出来、チョット一息しながらも、まだ霧がかかったような状況ではないかと想像しています。
これまで本当にご苦労様でした。

これから、モニター家畜の導入と検査などの後で、再建がスタートする事が伝えられていますが、スムーズに事が運ぶことを遠い北海道から祈っています。

> 県は2カ所の堆肥処分の工程で、「ウイルスが付着する」可能性を
> あらかじめ認めていることになります。

家畜の話ではまったくの素人ですが
リンクされた資料を見た感じでは、
「堆肥化処理の全プロセスの中で、これだけのリスクが心配されるかもしれませんが、すべてだいじょうぶです」
というのが伝えたいメッセージのようです。
図の下に[畜舎は徹底的に消毒」(→だからウィルスの附着はありません)などの対策が書いてあるのはそういう意味でしょう。
その表現や内容は必ずしも十分ではありませんが、少なくとも危険性を知っていて無視している、ということではないと思います。
もっとも、リスクとその可能性を消す対策との関係が明確でないために、かえって疑念を生むようなパンフレットではあると思います。

基準を下げるのが遅すぎるという問題も、そうともいいきれません。結局、80%は60度を超えたということだし、口蹄疫関連は全体に量子力学のような確率の濃い薄いで事態が決まるようなので、できるだけハイレベルの基準でギリギリまでやる、というのは正しい判断なのではないでしょうか。
そして、結局まにあったところを見ると、基準を下げて最後に残った一部の農場も救いとれるタイミングをはかっていたのかもしれません。
多分に、初期の見逃しや杓子定規の消毒方針が災いして大被害になってしまったということをおそらく現場は十分自覚しているのではと思います。ただぼんやりしていたとは考えにくいです。

口蹄疫はでもまだこれからですね。おとり牛が発症したらと思うと関係者は悪夢にうなされるんじゃないかという気がします。ウィルスは目に見えないし。
一方で、しばらくすると東国原知事も宮崎を去るんでしょうし、もし小沢総理になると全閣僚を一新して山田大臣も変わってしまうかもしれません(山田大臣は当初非常に嫌いでしたが結局彼が悪役にならなければこの事態はまだ続いていたかもしれません。今は立派に責務を果たした大臣だと思っています)。話題性も失って当事者以外は今応援している人も含めてみんな忘れていくでしょう。
ぼくは赤松大臣に腹を立ててこの問題に野次馬的に興味を持ちましたが、いろいろ知るほど口蹄疫という病気は底深いものだなと思っています。ここのブログでは、他よりも納得のいく見方と詳しい情報をそのつどいただきました。ありがとうございました。

「りぼん」様。いただきました修正はいたしました。ウラをとらなかった私にも責任があります。
さて mumlob さんのおっしゃるようなお考えもあるかと思います。確かに畜舎や車両にはウイルスは「ない」はずですが、現実の被災地を知っている私には完全な「ない」は、それこそないと思っております。本来はこのような短期間での敷料の移動は万が一を考えて止めるべきです。まして販売の許可はいかがなものでしょうか。
いずれにせよ、終息宣言は野生動物も含む、もっと徹底したウイルス撲滅を確認してからにするべきでは・・・という疑問が残り続けます。祝賀をしながら、一抹の不安もあります。

どうも府に落ちないままいたのですがやっと気づきました。60℃と49℃の比較についてです。
今回60℃の方針でいったからこのような議論になってます。
では、早々と49℃に転換して終息宣言された場合どうなったのでしょう。
「49℃では60℃に比べて確実にウイルスを死滅させているとは言い切れない、ギリギリまで60℃でやるべきだった」のような意見がでそうな気がします。
ただそれぞれのメリット、デメリットの差が大きいのか小さいのかが堆肥化について素人なのでわかりません。
49℃の方があきらかにメリットが大きいのであれば
早々と転換すべきだった、となりますが、そこまで変わらないのであれば60℃の方がウイルスをより死滅させる、安心の面で選択してもおかしくないと思うのですが。
その辺の比較についてわかりますか?

http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/pdf/100825-01.pdf

農場内の口蹄疫ウイルスの残存状況調査について
(速報)平成22年8月24日

農場No. 畜種堆積高(cm)温度(℃)平均(最低~最高)pH最低~最高
1 肉牛250 48.8 (46.9~50.3) 7.50~7.86
2 肉牛210 54.6 (42.8~58.6) 7.42~8.01
3 肉牛140 53.6 (43.3~59.3) 7.00~7.39
4 肉牛140 66.8 (51.3~71.6) 7.80~8.05
5 肉牛154 34.7 (31.1~36.6) 7.08~7.47
6 肉牛180 54.3 (46.1~57.5) 7.27~7.85
7 肉牛120 47.9 (37.3~56.5) 6.05~7.86
8 肉牛140 57.9 (53.4~66.4) 7.24~7.75
9 肉牛280 64.5 (52.5~70.2) 7.58~8.32
10 肉牛― 全て埋却済み全て埋却済み
11 肉牛280 55.0 (47.1~58.8) 5.10~7.95
12 乳牛100 24.7 (23.1~27.3) 6.58~6.74
13 豚220 57.4 (46.2~60.8) 7.64~8.38
14 豚180 42.0 (34.4~52.6) ―
15 豚140 49.7 (41.1~54.1) 7.60~8.09
16 豚200 56.4 (41.5~69.9) 6.89~8.08

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