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2010年8月23日 (月)

宮崎口蹄疫事件 その80   なぜ宮崎の処理堆肥が温度が上がらないのか不思議です

Img_0001

「みやざき甲斐」さんの元気な声が聞けて嬉しい限りです。糞尿の堆肥処理でご苦労されているご様子です。

「西日本新聞」8月21日にも記事があります。やや長いですが全文を引用します。

宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」で、終息への最後のハードルとなる、処分家畜のふん尿の堆肥(たいひ)化処理が難航している。国と県はウイルスを死滅させるための基準を「発酵温度60度以上」としたが、水分調整などがうまくいかず、60度に届かない農場が続出しているためだ。27日に予定されている終息宣言を視野に基準緩和を求める声も上がり、東国原英夫知事は難しい判断を迫られている。

 ワクチン接種で約200頭を処分した川南町の繁殖牛農場。空っぽのままの畜舎で、経営者の男性(55)は堆肥をかき混ぜて発酵を促す「切り返し」を3回も行った。

 この農場の繁殖牛のえさはカロリーの低い草。肥育牛に与える穀物と比べてふん尿の発酵温度を上げにくいため、もみ殻や酒かすを混ぜて調整したが、55度が限界だった。約600平方メートルの堆肥舎は高さ2・5メートルほどまで埋まり、切り返しの作業場所にも不足する。「ウイルスが生きていれば牛の犠牲が無駄になる。ぎりぎりまで頑張りたいが…」と不安をのぞかせた。

 町農林水産課のまとめでは、60度以上を達成した対象農場は牛と豚を合わせて約22%(19日現在)にとどまる。民主党の口蹄疫対策ワーキングチームが関係自治体に17日行ったヒアリングでも、「資材も人手も足りず、27日までの完了は厳しい」との訴えが相次いだ。

   ■   ■

 県が「60度以上」にこだわる理由はこうだ。農水省が基礎資料とするニュージーランドの研究報告では、口蹄疫ウイルスは常温でも時間の経過とともに不活化(死滅)するが、61度なら数分間で感染力を失うためだ。

 堆肥化は、見えないウイルスとの戦いの仕上げ。基準緩和の要望がある一方で、「少しでも安全な状態で飼育を再開したい」(川南町の繁殖牛農家女性)と、処理徹底を求める声も少なくない。

 県内では「27日」を前提に、月末から観光イベントや復興記念行事がめじろ押し。終息宣言がずれ込めば、県とJAグループの生産者総決起大会(28日)、家畜競り市再開(29日から)などへの影響は必至だ。

   ■   ■

 東国原知事は、22日前後に対応を決める考えだが、県畜産課は「状況を考えると27日は最優先課題。予定通りやるしかない」。このため農場を巡回する職員を増加、作業の支援を強化している。

 宮崎大農学部の後藤義孝教授(家畜微生物学)は「60度はウイルスの感染力を確実になくせる温度。実際は40-50度でも時間をかけて発酵させればクリアできるはずだが、保証するデータは乏しい」と指摘する。

 このため、感染拡大防止を目的に国内では動物衛生研究所(茨城県つくば市)以外に口蹄疫研究ができない現状に疑問を投げ掛け、「国は保有するデータを、感染力をなくす温度の研究に生かすべきだ」と訴えている。

=2010/08/21付 西日本新聞朝刊=

正直言って、60度が宮崎大学後藤先生もおっしゃる口蹄疫ウイルス死滅温度であることはわかりますが、なぜ60度に上がらないで苦労しているのか理解に苦しみます。

私たちの堆肥センターで今まで温度が60度以上でなかった経験はありません。牛堆肥は敷料が大量にあるので、発酵が遅れるのはありそうなことです。しかし、水分をやや多めにやり、切り返しをひんぱんにする、エアレーションを強めにかける、あるいは発酵菌を散布するなどの調整で解決できるはずだと思うのですが。

*追記と「りぼん」様のコメントを参照のこと。

Img_0010

上は私の所属する有機農業団体の堆肥センターの写真ですが、堆肥温度60度以上は切り返しにより最低2回以上おこなっています。これはホウセン菌、枯草菌などの有用微生物を活性化させ支配させるるために、まず害となる菌を死滅させる必要があるからです。

ウイスルは強力な伝染性を持っていますが、生存できる条件が限られています。phを変化させるか、温度を上げてやればいいのです。強アルカリにするか、60度以上にすればいいわけです。

だから酢の散布や、品温の加熱で防ぐことができます。もちろん口蹄疫ウイルスも60度以上で死滅します。やっかいだったのは高温高圧下で生存できるBSEです。「北海道」様はお詳しいですよね。

さて、初期の堆肥においてはさまざまな微生物や、ときにはウイルス類がモーレツに跋扈している状態です。戦国状態と言ってもいいでしょう。微生物は堆肥内部の豊富な栄養と水分により、互いにコロニーを作り、食い合いをします。実に不安定な微生物環境だといえます。

この状態を安定させて、人間にとって有効な発酵に持ち込むために必要なことが温度管理と水分調整です。発酵をを均一に進めるために、堆肥温度が内部と外部表面で均一になるようにします。そのために天地返し(切り返し)をバケット車(写真右の車両)で行います。

同時に、この写真では見えませんが、床に設置したエアレーション装置から空気を強制的に送り込んで微生物を活性化しています。このエアレーションは初期に活躍する好気性菌を活発化するためで、60度を数回上昇させた後には停止します。めったにしませんが、エアレーションのチューブを堆肥内部に挿入する場合もあります。

安定した状態になれば、温度は急速に下がっていき、芳香ともいえる香りが立ち込めます。出来不出来は、この香りで判断するのがいちばんです。失敗した堆肥はえてしてグチッグチョで、なんとも言えぬ悪臭を発しますので、容易に判ります。「発酵と腐敗は紙一重」とは、私の堆肥の師匠のお言葉です。

私たちはこの方法で約4カ月以上かけて堆肥を作ります。今話題となっている石灰類にはカキガラを使用しています。これは分解が遅く、カルシウム分のみならず各種のミネラルを供給できるからです。

動物性チッソとしては平飼養鶏の鶏糞を使っています。動物性チッソがなくとも堆肥は出来ますが、非常にチッソ分が低いものとなります。

ところで生石灰ですが、私にもその禁止の理由がのみこめません。私は堆肥作りに使ったことはありませんが、たぶん「りぼん」様もおっしゃるようにかなりの高温になるはずです。大量に使用している場合、堆肥のphがアルカリに傾きすぎているので、phを測定しながら修正をかける必要がでるでしょう。

「松井」様もおっしゃるように生石灰といっても色々の品位がありますので、私にもよくわかりません。

また、ひんぱんに堆肥の品温とph値を表面と内部(特に内部)で測定し、グラフに記していかねばなりません。特に大量の堆肥を作る場合や、新しい素材を使った場合、あるいは馴れない人が作る場合にはこれを怠るとひどいことになります。

宮崎県ではこのほかに、ウイルス測定も定期的にやるべきでしょう。ウイルスが残っていては話にならないので、とうぜん家保がやっていると思いますが。

宮崎現地の皆様、酷暑の中大変な作業が続きますが、お体をご自愛下さい。

■追記 「りぼん」様よりコメントで、温度が上がらないのは消毒用石灰が大量に入っているために強アルカリになっているためとご教示いただきました。なるほどph8~9ではきついな。生石灰についても同感です。いつもありがとうございました。

■写真 ヒルガオとハチ。ハチもばてているようです。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

なぜ、堆肥の温度が、上がらないかというのは、すでに、6月の時点で、お話しているように、今回は、消毒用消石灰が、大量に混入し、PHが8から9になっていると思われます。もともと、強アルカリで、ウイルスが死滅するなら、発酵菌も死滅するか、活動しません。これだけ大量に消石灰が混入していれば、少しばかり、発酵菌を足しても、発酵しないでしょう。よって、発酵温度は、上がりません。
まずは、すでに、アルカリ化しているので、生石灰で、一気にアルカリ化しながら、反応熱200度以上で、完全にウイルスを死滅させ、その後でしたら、ダンプで運んで、堆肥センターで、処理しようが、一時的に空き地で、保管しようが、出来るはずです。

堆肥化より、ウイルス死滅を優先すべきでしょう。
水分が多少あっても、生石灰の反応熱なら、乾燥できますし。。対象物のPHが中性なら、発酵菌で、発酵できますが。

7月25日、現地での堆肥モニタリングで、何カ所か回ったのですが、その際、牛がいる敷料時に消石灰を散布した農場があり、その堆積した排泄物は石灰が混ざった状態で、まばらに白い状態でした。温度は、50cmあたりが最も高く、55度くらいありました。
 pHは、白い石灰部分は10を保持ししていたものの、後は、ほぼ7.0~8.0でした。(実際に、現地で、サンプリングした人の情報です)

7月下旬で、最高55度、PH7前後らしいですね

ああ…やはり糞尿・堆肥が問題に。最後の胆です。残ってたらどうなるかなんて、想像もしたくない。

毎日作業を続ける方々のことを思うと…辛いです!
温度が上がらないならオーブンで焼いちゃえば…ってのはやっぱり無しですよね。有用菌類も全滅しますね。

松井さんの「高純度生石灰と水による処理法」、有機が盛んに言われはじめた30年も前から、すでに実地で取り組んで「商品化」していらしたとは、驚きました。
やっぱり志士たちはいたのだ!!
すごく勉強になりました。確かにお菓子の乾燥剤に水かけるだけで200℃行って「あっちっちー!」ですからねえ。その線で研究していけば…すごい成果ですよ!

で、家保は「生石灰→熱くて危険→お上から使用禁止」ってことかな?解せません…
ゴーグルどころか防護服着ての作業なら、取り扱いに気をつけてやれば全く問題ないとおもいますが。

田舎の大学で堆肥研究をかじった程度では全く知りえませんでした。牛糞尿に藁と籾殻をまぜて山にして数ヶ月…って基本のはやってましたが。(籾殻だけで1年半発酵熟成させて先輩が残して言った堆肥は、サラサラして無臭。スコップで撒くのも簡単。口に入ったが平気で「別に食えるぞ!」なんてことも)。


みやざき甲斐様。
現地残暑厳しくて大変でしょう。大きくて立派な堆肥センターですね。こちらは順調に処理OKのようで良かったです。

りぼん様。
この夏の暑さが味方してくれても消石灰が大量に混じるとそんなに温度が上がらんとは…発酵菌類死滅かあ。
まっ黒いビニールーシートかけとくだけで相当な温度に成りそうだけどダメっすか…。じゃあ一回焼いちゃうとか…だめですよね。
生石灰で一気に解決!ができればいいんですけどね。

で、27日をリミットに設定されて…祭りやイベントによって…もうここは政治判断ですね。
まだ処理が完了していないなら延期か止めるべきかと。
あくまでウイルス撲滅を確認されてからでしょう。


辛いですが、いつも応援してますよ!
残暑厳しい中で宮崎の皆さんの奮闘を応援しています!!
倒れないように身体は大事にしてくださいね!

お疲れ様ですはまださん。

この検証シリーズに於いて、はまださんはOIEの指針と
家伝法の対応策、そして鹿大岡本教授の意見を参考に、検証をなされておりますね?それはそれでよろしいかと思います。
宮崎県の事業団の対応も批判の的になってますが、考え方を変えると、種牛6頭の移動も忠富士一頭の感染のみでおさまった事を考えますと、岡本教授が唱える即殺処分のみが、口蹄疫対応策なのでしょうか?
逆に、宮崎県が批判を浴びながらも、指針を示してくれたような気がします。
生き残った5頭の種牛がその後、発生源になる危険性があると、本気でお思いですか?
16頭の移動もそうです。リスクを背負いながらも移動して、発生源に晒されると感じますか?
薦田さんの種牛もそうです。薦田さんの希望通り抗体検査がなされていたら、国が望んだであろう結果は出なかったと思います。
そのような捉え方で解釈する視点もある意味、大切なのではないでしょうか?
そして、深刻な問題になるであろうと憂慮されていた野生鹿やイノシシの問題も影を潜めてしまいました。
殺すばかりが脳じゃねえ、生き残れる手段もあるんだと、
逆に宮崎県が教えてくれた部分もあると思います。
旧態依然たるOIEの指針とそれに従う家伝法の対応策ばかりにこだわるのも、如何なものか?と提言したいです。
80の稿とは話題が異なった事をお許しください。

科学的には↑のような「殺さないでもいい方法があるのでは」となりますが、畜産は海外との貿易でもあると言う事が重要ではないでしょうか。
日本はBSEや口蹄疫において、極端に厳格な「清浄」を今まで求めており(BSEの全頭検査要望や地域主義への反対、コンパートメントへの反対等)、これにより一定の国内畜産への防御を行なっていました(米国産よりも更に安いブラジル産等を輸入しない)が、その日本が口蹄疫でコンパートメントを実行(種牛隔離の特例)したり、どう考えてもいい加減な防疫手段を採っていた事は、日本畜産に対する背信行為であると言えるんじゃないですかね。
「防疫」を盾として、安い海外産から畜産農家を守っていたのに、自分でそれを否定してしまったのですから。


まあ、消費者としては、今よりも更に安くてそれなりに美味い肉が輸入されるのは、いい事であるとも言えます。

はじめまして
このままではまずいと思い投稿いたします。
私は他のブログでコメントをよくしているものです。山形様が「家保が・・」からのくだりで考えた事は、まさに私がコメントで私見として述べたもので、それを松井様が勘違いしたものと危惧します。
他のブログ記事で堆肥の事が書かれた時におそらく初めて松井様がコメントされ、紹介された方法の中に殺菌に関する事があったので現状の消石灰のせいで温度が上がらない問題が緩和されるかも?と思い私を含め何人かが質問しました。
その中で他の方が生石灰は口蹄疫発生中使用禁止であった事を教えてくれまして、その流れで私が私見でコメントした事を信じてしまったかもしれません。
松井様のコメントのいくつかは国への不満が書かれたものもあったので・・・。
残念ながら私達は今の堆肥の問題に役立つか、と聞いているのに対して、この農法は素晴らしい、やっておけば口蹄疫は広がらなかったかも、と論点がずれていたので私は議論に断りを入れました。
勘違いしないで欲しいのは松井様の紹介した農法は素晴らしいと思います。
ただ、もっと県が安定し、補償金が払われ、さあこれからという時に考える事じゃないのか?大事なのは今の問題じゃないの?と。
よって口蹄疫発生中になぜ禁止したかは、わからないし他の理由があったかもしれないという事です。
憶測が広がらない事を祈ります。

まっ黒いビニールーシートかけとくだけで相当な温度に成りそうだけどダメっすか…>>>>これ、牛や豚が、地面を少し掘って、涼むように、比熱の問題で、黒のビニルで覆っても、表面温度が上がるだけで、内部温度が上がりません。内部で、ウイルスが生きてしまいます。

種牛6頭の移動も忠富士一頭の感染のみでおさまった事を考えますと>>>>これ、口蹄疫ウイルスは、基本接触感染、飛まつ感染で、厳密には、空気感染もあるってことでしょ。

まず、小屋を別にするなど、ベニヤ1枚で隔離するだけで、8割方、感染防止に役立つってことです。開放牛舎を個室にするだけで、かなり、飛まつ感染が減るはず。

濃厚接触感染の可能性と空気感染の可能性を同列で扱うのは、どうなんでしょうか?

岡本教授が唱える即殺処分のみが、口蹄疫対応策なのでしょうか?
>>>>これは、清浄国が、汚染された場合の復帰方法として、OIEコードに示してあるので、そういう意見なのでしょう。
マーカーワクチン接種で、監視しつづける費用は、相当かかりますので、今回の殺処分数が、ちょうど、分岐点なのでしょう。宮崎が、国内の10%程度の家畜数ですので。。

全国家畜牛界全体が、高級黒毛和種A4-5の造成に、こだわっているから、ステーキ用A4-5は、国内市場で、だぶついています。よって、国外へ輸出する。
今回、輸出禁止になりましたので、ますます、だぶつきますよね。

「防疫」を盾として、安い海外産から畜産農家を守っていたのに、自分でそれを否定してしまったのですから>>>>これに、対抗するには、と殺するのが、1番、相手国の理解を得やすいと思います。

「通りすがり」で複数入っておりますが、IPをみると違った方です。おふたりの方、別なハンドルネームをつけて下さい。゛

>生石灰のことについて・皆さまへ

お読みいただき感謝します。松井です。

家畜糞尿に10%強の生石灰を添加し、殺菌してリサイクルする事業に補助金を出したのは、30年前の国県市の担当者です。
私は、その後、そのようなものがあることを知ったものです。この先達の慧眼に驚いています。
そして、数千haで劇的な農業を営んでいる生産者も、清水の舞台から飛び降りた方々だと思います。

私は、肥しの農業で育ち、堆肥施設とかに接し、この生石灰処理を見て「これで完了」と思っていたものです。

今、ラボに身を置く方なら直ぐに実験できるのですが、一般には難しいです。
http://www.geocities.jp/enelizer3/CCP048.html/
ここに、生石灰処理の生石灰を書きました。簡単には高純度生石灰で、焼成後から完璧に外気を遮断して、鋼製サイロへ移したものです。市中のものとは違います。生石灰と水で決まった反応熱は出ます。しかし、それは理論的なものを逸脱しません。
専属の作業員の方が担当していますので、危険かもしれませんが、格別なものではありません。それは、いろいろな職業では付きものではないでしょうか。

今の時期が良いか悪いかは別として、口蹄疫の前から、私は、サイトで家畜糞尿の生石灰処理とリサイクルを紹介しています。
それと、私は、須らく安寧に生活するには畜産と耕種農業が根幹と思っています。特に日本は。皆、精一杯努力されているのは判ります。しかし、その上で、さらに上を目指すとすれば、畜産の糞尿も活用してはどうだろうか、と思うだけです。

平易に言えば、今の耕種農業と同額程度の増産に繋がります。9千万トンの排せつ物のエネルギーの半分でも農産品になれば、法外な量です。自給率も高まります。
その時得られる社会の利益は、大きなもので、今回の被害など微々たるものと言えます。
そのような、明るい展望に立てば、被災者、地域社会を含めて困窮に陥れる救済策ではなく、過分ではないにせよ十分な手当ては、国民に納得されると思います。
若い人には、将来を見据えた教育を与え、被災者や従業者、地域の人々には再建までの安心した生活を支えることに誰も異論はないと思います。

仮に、糞尿を施設内で生石灰処理で殺菌すれば、仮に口蹄疫を持ち込まれても、1か所ので抑制できます。

この口蹄疫の前から、畜産関係者は十分な防疫に配慮していたのです。それと、生石灰処理が組み合わせれば、怖いものなしです。それが、宮崎県の方々が散々罵倒されて手にした貴重な知見です。
エース級の顛末とえびのの成功が判れば、後は、淡々とコマを進めるだけのように思います。

「今の糞尿、堆肥」は大変気になるでしょうが、ここは、総理大臣が、ドーンと潤沢な支援を約束すれば良いのではないでしょうか。

少なくとも、30年前、国県市の関係機関は補助金を与え推進していたのです。先人の切り開いた道に感謝して、突き進めば良いと思うのです。
宮崎の方々や畜産の人が、明日の希望を持てず、寝床で心休まらぬ日々を過ごさせるのは、失政です。
「より良い明日のために、今日はゆっくり休む」と安心させなければいけません。
技術的にはかんたんですから。

疾病としての口蹄疫においてOIEコードが絶対かどうかは、今後、議論がでてくるのかもしれません。
一時話題にでた、マーカーワクチンなど、色々な意見があるのでしょう。
しかし、産業として考えた時、今現時点では、OIEコードは絶対ではないでしょうか?
関税障壁の根拠として、日本が今まで使ってきたOIEコードを、日本が破ったことになれば、他の国は、ここぞとばかりに、日本に圧力をかけてくるのは、火を見るより明らかな気がしますが?
関税障壁により、守られていた畜産関係者が、自分から、その切り札を捨ててしまったのが、今回の特例ではないでしょうか?
それが、宮崎だけの問題であるなら、宮崎だけが、その不利益を被れば良いだけですが、そうではありません。日本の畜産全体の問題になってしまいました。
その点が、他県の畜産関係者から出ている批判の本質だと思うのですが。
16頭の移動は、何ら法的には問題ないことでしょう。やはり、モラルの問題だと思います。
県民に消毒への協力を求めながら、自分たちだけは、自前の消毒機材?候補牛に消毒液が掛かる心配があるから?何か違いませんか?それが、正しい事だと思われるのなら、それは、もう感覚の違いとしか言いようがありません。
民間種牛に関しては、知事の一人相撲、パホーマンスの賜物でしょう。結果は最初から判っていながら、上手く対立の構図をすり替えてしまいましたから。
やはり、口蹄疫に対する有効な手段は、早期の摘発と処分。これが、コストパホーマンス的にも一番有効だと考えます。今回のように、隠蔽疑惑がでるほど、摘発が遅れてしまえば、多大な被害がでる。と言う事実だけは、しっかりと教訓として残さないといけないと考えます。

一宮崎人さん

そうです。反省すべき課題も県も国も認めつつ、
今後、OIE加盟国の一員として、宮崎県に於ける
深刻な被害の中でも、提言できる事
は、可能ではないかと思います。
OIEの口蹄疫対応策の最終更新年を、どなたかご存知なら御紹介いただきたいです。

以下によると、2010.1.12が、最新版のように思いますが。。

口蹄疫関連部分だけについては、全部読んでないので、わかりません。

Animal disease information
The OIE has updated the technical disease cards for 33 important animal diseases, including 32 OIE-listed diseases. These are currently available in English only, but French and Spanish translations are in hand.

These OIE Technical Disease Cards are now available online here: http://www.oie.int/eng/maladies/en_technical_diseasecards.htm.

The OIE expresses its gratitude to the scientists from its Reference Laboratories and other experts, as well as key donors such as USDA-APHIS, who have contributed to the new versions of the disease cards.

The OIE has also prepared disease information on selected animal diseases including zoonoses for the general public. These 賭uestions and answers・sheets providing an overview on some major OIE listed diseases are available online here: http://www.oie.int/eng/ressources/en_diseasecards.htm

Update 12-Jan-2010

りぼんさん御指摘ありがとうございます。

堆肥化してリスクを背負うより、産業廃棄物として処理
すべきなのかもしれませんね。
いずれにせよ、国の支援を必要とするはず、
最後のハードルだと察しています。
一日も早い復興と再建を祈るばかりです。

関税障壁でなく輸入障壁ですね。訂正します。すみません。

どうもすみません。HNがかぶるとは思いませんでした。今から書く事で明らかに主張がおかしい、悪質だと思うのであれば、削除してください。
松井様
もしかしたら農業界全体から見た堆肥の問題と勘違いしていませんか?
・糞尿(堆肥)の処理(動かせない)
・消石灰が混入している為、通常の方法で温度を上げる事が出来ない。
これが宮崎の農家さんが、悩んでいる事です。
ムッチーさんのブログ
「知事さんとの対話会」において皆が農家さんの苦労を心配する中であなたのコメントが入った。
あなたのコメントに対して疑問を呈した方のコメントを読み返して見てください。皆、宮崎の農家さんの今の現状、つまり温度が上がらない事に対してあなたのコメントに期待したんだとおもいますよ。
だからあなたの紹介した方法が「動かせない」、「温度が上がらない」状態で
「出来る」、「出来ない」でよかったのです。
それだけなんですよ。
勿論、答えるも答えないも、今、未来、どちらを語ろうと自由です。
でも、皆が農家さんの事を考えていたのに違う事ばかり言われたらショックだと思いませんか?
A「この学校はいいですよ」B「トイレはどこですか?」A「特にグラウンドがいいです」
こういう噛み合わない会話になっちゃってるんです。もし他のブログで書くつもりなら、質問者の意図を理解し、悲しい思いをさせないよう気を配ってほしいです。他の方もコメントの流れを読んでみて私の意見がおかしければ批判をしてもいいし削除してもいいです。長々失礼しました。

>堆肥か産廃か:処理を優先しては!

このリボンさんのご指摘ですっきりするのかもしれません。
ほ場へのリサイクルを考えた時、堆肥を生産している人は、それなりに従来の効果を想定して堆肥を所定の条件で生産しています。その条件は、皆異なってしかるべきです。

ただ、今のものは危険な物の始末ですから、「ほ場還元」を前提とする必要もないものです。して見ると早急な「殺菌」となり、それを「温度」「酸性」「塩基性」「酸化力」などの何れを利用するかとなります。

堆肥化の発熱を利用することも、熱とは無関係に強酸性や強アルカリを利用することもいろいろ方法はあります。粉塵が舞う状態でなければ飛散はないと思います。

ただ、「堆肥の発熱で殺菌」とした時、曝気操作をすると、粉じんの飛散があり、現地では曝気ができずに温度が上がっていないのでしょうか。
堆肥の曝気は排気の始末で粉塵が舞うので、ウイルスが検知されるものには慎重になるのでしょうか。
堆肥の曝気について、現地の状況を見掛けないように思います。

私は、口蹄疫に関しては特措法で対応しているように、国が全面的に支援することを期待します。それ故、現地では1日でも早く、という気持ちはあるでしょうが、「多少時間がかかっても構わない、国が十二分に支援するから」というものがあれば良いと思います。

当初、「口蹄疫の防疫にボランティアを」という機運がありましたが、このような事案を「ボランティアで鎮圧」というのは筋違いで、国が潤沢な費用を投じて、正々堂々と防疫に当たるべきと考えていました。
それで、国はできるだけ迅速に、十分な支援を公表すればよいと思っています。
潤沢なお金で解決できる部分も多々あると思います。

口蹄疫終息 予定通り27日に宣言 宮崎知事
2010年8月23日 20:20 カテゴリー:社会 九州 > 宮崎
 宮崎県の東国原英夫知事は23日、家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の終息宣言を、予定通り27日に出す方針を明らかにした。殺処分した家畜の排せつ物を無害にする堆肥(たいひ)化は22日現在、対象農場の約8割で終わっており、残る263農場に対しては基準を緩和して間に合わせる。県内では、宣言後に家畜市場の再開などを控えており、東国原知事は「県民生活を考えると、27日は動かしづらい。2、3日中には堆肥化が終わる」と述べた。

 堆肥化は、排せつ物を発酵させ、高温でウイルスを死滅させる処理。国は7月27日に同県内の家畜の移動制限を解除し、家畜伝染病予防法上は既に終息を確認している。しかし、県はさらに安全性を高めるため、ウイルスが直ちに死滅するとされる60度以上を堆肥化の独自基準に設定。これを達成した後に終息宣言するとしていた。

 川南町など3市5町の約1200農場は今月5日から排せつ物をかくはんするなどの処理を開始。一部では温度が十分に上がらず、処理が遅れれば終息宣言が先送りされる可能性もあった。

 ただし、科学的には60度未満でも一定時間経過すれば無害化できるとされており、県は(1)55度以上で2分間維持(2)49度以上で1時間維持―を新たな基準に加え、国に報告することとした。

=2010/08/23 西日本新聞=

上記は、新聞記事ですが、これによれば、もともと、国は、お金も出さない、責任も取らないと言うことのようです。
国は、別に、宮崎で、再発しても、困らないと言う態度なんでしょう。もともと、宮崎の畜産が全滅しても、国内の1割ですから、国としては、たいしたことないって感じなんでしょうね。

「りぼん」様。ご相談したいことがあります。よろしかったら次回投稿時にメールアドレスをいただけないでしょうかもちろん非公開にいたします。よろしくどうぞ。

私、ウイルス処理と堆肥化のこと分けて考えるべきでしたね。
ご指摘下さったみなさん、ありがとうございました。

>生石灰処理の生石灰のサイト

申し訳ありませんでした。

「生石灰処理の生石灰」

をサイトアップしたつもりでしたが、何故か、送信されていませんでした。おわびします。
送信が完了しました。

http://www.geocities.jp/enelizer3/CCP048.html/

既に御存じの方もいらっしゃるとは存じますが、基本的に最も早く利用された化学薬品の性質が、1980年頃まで気付かなかったようです。
室内に放置すると(量にもよりますが)1時間とかで消え去る性質です。
昔は、密封は大変面倒な操作で、あまり、気にしていなかったようです。
生石灰表面に、水や炭酸ガスが付着していないものです。

大変申し訳ありませんでした。

優先は、堆肥化なのか不活性化なのかです。 消石灰が混入してしている状況で微生物の殺菌が進んでしまった状況で、農水の言う60度は困難になってきて、49度での時間のとなったのは、理解できますが。 堆肥化は後の処理に困りませんから、気持ちはわかります、ワクチン接種の糞尿だけでも膨大ですし。 不活性化の確認ができなけれいけないわけですから、不活性化が最優先とはなるはずです。 不活性化なら、多数方法はありますし。熱処理だけではありませんし。 消石灰の大量投入でも可能です。 攪拌はミキサー車でも導入すれば、搬出も可能です。

 
OIEコードは、国際法ですから、加盟国は遵守の必要があります。加盟国の実情でコード選択は可能です。ただし、選択したコードは、WTO,SPSにても有効視されますので、貿易に関係します。 自国が選択したコード以上のモノは他国に要求できないとはなります。 日本は輸入障壁の維持のために、一番厳格なコードを採用してます、それが、家伝法、指針に反映されています。家伝法は国内決めの意味合いの法が強いですが。指針はほぼそのものです。 

日本が遵守したいのは、Article 8.5.2. FMD free country where vaccination is not practised であり、Article 8.5.9. Recovery of free status 
1.When an FMD outbreak or FMDV infection occurs in an FMD free country or zone where vaccination is not practised, one of the following waiting periods is required to regain the status of FMD free country or zone where vaccination is not practised:

a.3 months after the last case where a stamping-out policy and serological surveillance are applied in accordance with Articles 8.5.42. to 8.5.48. ; or

b.3 months after the slaughter of all vaccinated animals where a stamping-out policy , emergency vaccination and serological surveillance are applied in accordance with Articles 8.5.42. to 8.5.48. ; or

c.6 months after the last case or the last vaccination (according to the event that occurs the latest), where a stamping-out policy , emergency vaccination not followed by the slaughtering of all vaccinated animals , and serological surveillance are applied in accordance with Articles 8.5.42. to 8.5.48. , provided that a serological survey based on the detection of antibodies to nonstructural proteins of FMDV demonstrates the absence of infection in the remaining vaccinated population.

Where a stamping-out policy is not practised, the above waiting periods do not apply, and Article 8.5.2. or 8.5.4. applies.

3.When a FMD outbreak or FMDV infection occurs in a FMD free compartment , Article 8.5.6. applies.
※3は、絶対に避ける必要があるとの国益での優先であります。

FMD free compartmentのコードも加わりましたので、今後は日本も妥協が迫られますでしょう。
※日本はコンパートメントコードには反対を主張していました。が、コードされました。6頭のコンパートメントで、コンパネ1枚隔てたようなものでも、感染をある程度避ける事が立証されましたので、今度日本が主張していた、P3施設並みの設置基準は無効とされる可能性があります。 最高に厳格な施設を主張していた国が、コンパネ1枚でできる事を立証してしまいました。皮肉なものです。今後の協議で苦しい事に成りそうです。

今後推進されるは、FMD free zone where vaccination is not practisedとFMD free zone where vaccination is practised による、輸出可能地域化であります。国区分でなく地域区分ですと、輸出は可能になる所が多く出てきます。日本は反対の姿勢です。輸入障壁が下げられることに成りますので。

Article 8.5.47.
Members re-applying for recognition of freedom from FMD for the whole country or a zone where vaccination is either practised or not practised, following an outbreak: additional surveillance procedures

Four strategies are recognised by the OIE in a programme to eradicate FMDV infection following an outbreak :

1.slaughter of all clinically affected and in-contact susceptible animals ;

2.slaughter of all clinically affected and in-contact susceptible animals and vaccination of at-risk animals , with subsequent slaughter of vaccinated animals ;

3,slaughter of all clinically affected and in-contact susceptible animals and vaccination of at-risk animals , with subsequent slaughter of vaccinated animals ;

4,vaccination used without slaughter of affected animals or subsequent slaughter of vaccinated animals .

The time periods before which an application can be made for re-instatement of freedom from FMD depends on which of these alternatives is followed.The time periods are prescribed in Article 8.5.9

In all circumstances, a Member re-applying for country or zone freedom from FMD with vaccination or without vaccination should report the results of an active surveillance programme implemented according to general conditions and methods in this Chapter.

日本が国益上とりうるのは。1.2.です。今回も用いています。

6頭に移動は、 8.5.11.に違反することになりました。5頭の存命は、stamping-out policy にもはんしました。コンパートメントが有効と主張することのになるでしょう。

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