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2010年9月10日 (金)

宮崎口蹄疫事件 その97  ほんとうに宮崎県外で口蹄疫が発生していないのか?

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私は今回の宮崎県口蹄疫が、宮崎県以外になぜ発生しなかったのだろうかとかねがね引っかかっていました。

私の住む茨城県は韓国の仁川と直通の航空路で結ばれており、仁川は口蹄疫発生地点である江華島の近隣です。上海とも空路があり、もう毎日ドヤドヤと中国人観光客が大量に押し寄せています。

このような口蹄疫発生国の観光客を大量に迎え入れている県は、茨城に限らずかなりあるはずです。そのひとつが沖縄です。

沖縄は台湾、上海、香港、韓国とも近いために通年に渡って発生国の観光客が訪れます。この沖縄でも畜産は盛んで、石垣島などは種牛の有力な供給地のひとつで、いまや大人気の石垣牛の産地でもあります。

実はこの沖縄からもこの5月末に、東京の動物衛生研究所に口蹄疫検査依頼が送付されてPCR(遺伝子)検査がなされています。

「沖縄県畜産課によると、同県石垣市で肉用牛1頭がよだれを流すなど口蹄疫(こうていえき)に似た症状を発症し、ウイルス検査の結果を待っている。
 農林水産省によると、宮崎県での口蹄疫発生後、週に数件、こうした家畜の検体が持ち込まれているという。」
(読売新聞 2010年6月1日 )

 また広島県からも同様に6月7日に、疑わしい家畜の検体が送付されています。

広島県庄原市で鼻の周囲にただれなどの症状がある牛1頭が見つかり、検体を動物衛生研究所(東京)で PCR検査をしている件で、同県畜産課は7日、検査結果は陰性だと明らかにした。口蹄疫の感染疑いは否定されたことになる。」
(産経ニュース 2010年.6月.7日)

両者とも幸いにもシロ判定でしたが、私はこのように家保のアンテナに引っ掛かり東京に検体を送付されたものは、氷山の一角ではないかと思っています。

感染気付かず拡大か 数十検体から抗体確認

 「口蹄疫の遺伝子検査により感染疑いが見つかった複数の農場で採取された数十検体から感染後1~2週間程度でできるとされる抗体が確認されていたことが25日、農林水産省が公表した疫学調査チームの検討会資料で分かった。抗体が確認された農場では一定期間、感染に気づかなかった可能性があり、同チームはそれを感染拡大の要因の一つとして推測している

 遺伝子検査は動物衛生研究所海外病研究施設(東京)で行われ、その後にすべての検体で感染の履歴を調べる抗体検査を実施する。検体は1農場当たり3~5検体を送付しているが、抗体が確認された農場数は不明。」
(宮崎日日新聞)

この記事を読んだ時に私は背筋に冷たいものが走りました。抗体検査で陰性が出たということは、過去に感染履歴があるということです。私が血清学的検査をしろとしつこく言っているのは、このような過去の感染履歴が明らかになるからです。

口蹄疫のいやらしいことは、2週間ほどで自然治癒してしまうことです。上記の記事ですと、感染の疑いがあった個体かどうかまでは書いてありませんが、もしそうだとしたら過去にいったん感染して、それが管理者に発見されず治癒してしまい、感染を拡大していた可能性があります。

また、感染の疑いがなかった牛でたまたま抗体検査で判ったのなら、外見上はまったく健康な牛であったということになり、写真判定や目視判定などはほとんど無意味な気休めだという証拠になります。

感染⇒発見されずに自然治癒⇒再感染⇒他の家畜に感染拡大というループを農場内で何度も繰り返しながら感染が常在化していた可能性があります。

このようなケースは宮崎県東部地域だけの特殊な現象でしょうか?残念ながら、私にはそうは思えないのです。宮崎県はたまたま感染爆発をしてしまったためにあぶり出されただけであって、他の県でも潜伏しているだけで発見できていないケースがあるのではないかと思えてなりません。

このように考えると、私は日本が口蹄疫「清浄国」であったというのは幻想にすぎないと思い始めています。たぶん、潜在「していた」、いや今も「している」と思うほうが自然です。

口蹄疫清浄ステータス回復において、口蹄疫を「根絶する」(エラディケーション)という表現をしばしば使います。口蹄疫ウイルスがその国にまったく「いない」状態を指します。

ほんとうなのでしょうか?ほんとうに口蹄疫ウイルスがひとつも「いない」クリーンな国などありえるのでしょうか。

少なくともわが国は違います。ありえない幻想です。口蹄疫が感染地域の防疫圏内からは駆逐されることはありえるでしょう。この状態を「排除する」(エリミネーション)という表現を使います。

この両者は厳密には別概念です。「根絶する」は文字通り当該国全体を口蹄疫ウイルス・フリー(FMD Free)の状態にすることであって、「排除する」はあくまでも一定の緊急防疫対策をとった地域内部がウイルス・フリーになっただけのことにすぎません。

今回の宮崎県の状況は、いうまでもなく後者の「排除した」段階にとどまっています(私はこれも怪しいと思っていますが)。これを「根絶した」と言うならば、まさに羊頭狗肉もいいところです。

全国には管理者が気がつかずに口蹄疫に家畜が感染し、自然治癒してしまい、感染を別の家畜に移し、そしてその家畜からまた感染を拡げていくという農場内感染の潜伏事例が相当数あると思います。

一方、中国産ワラなどの外国産家畜飼料や、感染国からの観光客や労働者などのヒトの移動は、どこの県にでも等しく当てはまる条件です。

現代においては、今までの日本の防疫の基本であった水際防除という概念が、先だっての新型インフルエンザ時において空港検疫がザルだったように、いまや役に立たなくなる事態が急速に進行しています。

もはや口蹄疫がどこの県に出てもおかしくない国であることを前提に立てて今後の対策を考える時期に入りました。

たまたま今回の宮崎県が不運な事例であっただけにすぎません。

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コメント

たしかに不安は残ります。国を挙げて、地方や地方空港の活性化のために外国人(特に中・韓・台)観光客誘致に力を入れてますからね。いつ何処にウイルスが持ち込まれても不思議はないです。

そして口蹄疫の特殊性(ほんとにイヤラシイ)で、いつ何処で発生しても、時間が経つとわからなくなってしまう。

それでも、あれだけ物凄い勢いで拡大したのを宮崎県で食い止めたのは『よくやってくれた!』と賛辞を送りました。
昨日のニュースでは、東京のデパートで宮崎フェア再開で、美味しい宮崎牛をアピールする姿が放送されてました。

ただ、私は安全宣言を出すのはまだ早かったと思ってます。
清浄国復帰ありきのスケジュール最優先で宣言をだしたのかと、なんだか疑心暗鬼になってしまいます。
輸出に関わる方々には大きなことでしょうが、一消費者としてなんとも納得いかない。
万一…があったら、それこそ回復困難なイメージダウンですし。

普段から防疫体制は大丈夫なのかと。


新型インフルエンザの水際作戦に関しては、「ザル」「無駄」だったと言われる一方、
海外からは「素晴らしい」「やらなかったら遥かに酷かっただろうし、シミュレーション的にも有益だった」との評価も、テレビ報道でありました。

感染経路の調査として、口蹄疫とインフルエンザのケースをうまく擦り合わせて、比較・参考できればいいとおもいます。

これだけ人・物が動いている中で、完全にフリーと言うのは、そうしなければ安心できない人たち、あるいはそのような状態であると言う体面を保たなければ都合が悪くなる人達が作り上げるもの・・・だと言うくらいの認識で丁度良いと思います。
濱田様が仰る通り感染(症状)が発見されなかった事を根拠にフリーであるとの判断は甘いと言わざるを得ません。
今回の発生を受けて、北海道でも家保の全戸調査が行われましたが、目視で症状が確認されなかったらOKですので、たまたま症状が無かっただけかもしれないなんて思うと、不安になりますね。
不安を煽るわけではありませんが、普段からそのくらいの認識で居る事が家畜を守る事になるのではないかと思います。

日本獣医学会は、述べている。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/Kouteieki-Ozawa.html

今、日本は図3に示すごとくO型の口蹄疫ウイルスによって取り囲まれている。しかも、今日極東に広 がっている口蹄疫には、牛や山羊に教科書通りの口蹄疫の症状を示さないで感染抗体だけを作るO 型のウイルスが蔓延している。これは目に見えない口蹄疫とも言える不気味な口蹄疫でたちが悪い。

和牛だけを見ていると口蹄疫が見分けられず、見逃すか誤診をしてしまう可能性が高い。必ず近辺の 外来種の乳牛や山羊等に、異常がみられないか十分に調査する必要がある。
また一度汚染農場に入ったり、口蹄疫の患畜に接した場合には、すべての衣服や靴や車や機械器具 は高熱もしくは消毒薬(酸もしくはアルカリ液)で完全消毒し、手足や体も石鹸でよく洗いシャワーを5分 以上浴びなくてはならない。出来ればしばらくの間、偶蹄類の動物には接しないように心掛け家畜のい る農場には入らぬようにする。使い捨て用の衣服や手袋等もたくさん用意しておく必要がある。

また、目に見えぬ口蹄疫から日本を守るためには、全国的な抗体のサーベイランスのネットワークを構 築する必要がある。万一、口蹄疫が発見された時のために各地域の緊急対応班の組織作りと準備体 制を、模擬訓練を通じて、強化しておく必要がある。


台湾には、豚に親和性の強いO型ウイルス(O/Taiwan/97株)が発生。
このO型ウイルスは主として豚(と水牛)にのみ病原性が強く、牛やその他の偶蹄類に感染しないと言 われているこの新種のO型ウイルス(O/Taiwan/99株)は在来種の黄牛には症状を示さず不顕性感染を起すが、 ホルスタイン種には口蹄疫の症状を示すことが、今年の1月に雲林省(Yunlin)の2農場でわかった。 その後の感染実験では豚にも感染することがわかっているが1997年の豚に親和性の強い O/Taiwan/97株とはVP-1の分子配列も病原性も異なることがわかった。

このように、O型といっても、家畜ごとの臨床症状は、実にまちまちです。

牛O型。豚O型とか、不顕性感染とか、いろいろ世界中で、発表されているのに、写真判定で、99%すぐに判別できる能力のある動物衛生研究所は、すごいと思う。ぜひ、世界の口蹄駅撲滅のため、OIEの科学メンバーになってほしいと思う。

私は、口蹄疫とそれ以外の病気の写真をみせられても、はっきり差が、わからなかった。

いまや、農水官僚は、私と住む世界がちがう人種と思うようにしている。

今回の口蹄疫禍で、川南からえびのへの飛び火(感染拡大)の原因を、農水省自ら、同じ家畜運搬車が使われた可能性を認めている。その時の牛なのか、車なのか運転手なのか?ウイルスを運んだ媒体そのものは特定していませんが、そのいずれかが、感染拡大に寄与した可能性も認めています。そして、運ばれた牛は食肉として処理されたと言うことも認めています。
しかし、その運搬車の行き先は、何故か発表されていません。宮崎県内であれば、幸いにもウイルスは宮崎の外にはでていません。しかし、県外であれば?
また、同じく、農水省の発表によれば、4月20日以前にすでに、口蹄疫は、あの地区に侵入しており、一番早い時期が、3月中旬ですか?
その頃から、口蹄疫が正式に公表されるまでに、あの地域から、牛や豚の出荷は、全くなかったのでしょうか?それらのことも、全く俎上に上がりません。
口蹄疫が確認されて、全国各地で家保による立ち入り検査の話がでましたが、幸いにも全て陰性でした。
だからと言って、宮崎以外に口蹄疫ウイルスが存在しない証拠になるでしょうか?
我々が本当に知りたい情報は、殆ど明るみには出てきていないのが、現実です。
我々、庶民は知る必要がない事なのでしょう。

我々が本当に知りたい情報は、殆ど明るみには出てきていないのが、現実です。>>>
今後も宮崎県民が、おとなしくしていれば、発表されないでしょうね。

我々、庶民は知る必要がない事なのでしょう>>>>

しかし、宮崎で、2回目と言うことで、世論が高まれば、多少なりとも、開示すると思われます。

今朝の農水さんとのやり取りでは、陰性結果報告や、1ヶ月あたりの検体処理数など、彼らに言わせれば、開示要求がなかったので、陽性事例のみ報告していると言っていた。鳥インフルエンザのときは、もっと、公開情報は、親切だった。

宮崎から影響力のある発言はないと思って、甘くみていると思います。理づめで、文書で要求すれば、世界各国は、きちんと、OIEに報告しているのに、日本だけ、概要報告でよいと言う理由にはならないはず。

逆を言えば、宮崎から要求があれば、公開する用意があるということだと、思いますが。。

口蹄疫が正式に公表されるまでに、あの地域から、牛や豚の出荷は、全くなかったのでしょうか?それらのことも、全く俎上に上がりません。
>>>>>これは、あがらない、発表されない理由があるからだと思います。
つまり、食肉加工センター、と畜場、レンダリング工場、死亡獣畜処分場など、生きているものの命が亡くなった途端、厚生労働省の管轄ですから、農林水産省は、何も言いませんし、言えません。もっと言えば、食肉加工場は、自治事務で、地方自治体の(食品衛生担当)権限ですから、地方分権法などの問題もあり、言えないし、官僚としては、ノータッチが、1番おりこうさんになれるからでしょうか。

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