« 茨城トリインフルエンザ事件 第3回  農水省消費・安全局に攻め込むまで | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その99 口蹄疫対策検証委員会の中間報告 県にすべての責任を転嫁 »

茨城トリインフルエンザ事件 第4回  5年たつと「限りなくクロに近いグレイ」は「シロ」に漂白されてしまっていた!

034

「りぼん」様、毎回すごい行動力で感心します。農水省消費・安全局に電話したのですか。で、農水省は「茨城トリインフル事件は、人為的ワクチンが原因だと思っていない」、と。あ、そうそう裁判は提訴していません。

まずウイルス株からいきましょうか。以下農水省究明チーム中間報告書(2005年10月31日)からの引用です。

2 分離されたウイルスの特徴
(1)分離ウイルス株
分離されたH5N2亜型株の遺伝子は、2000~2002年にグアテマラで分離された株(97%)や2005年にメキシコで分離された株(94~95%)と相同性が高い。

グアテマラ株との相同性が97%、メキシコ株とは94~95%だと農水省究明チーム(疫学チーム)は言っています。

実に興味深い株ですな。グアテマラ株ときましたか。これは当時米国でアンダーグラウンドで流行っていたトリインフルエンザH5N2型ワクチンと同じなんですよ!米国防疫当局がてこずっていた、不活化が完全ではなくて、しょっちゅう付近に漏れ出して大騒ぎになった粗悪な密造品です。

ですから、この日本の事例を見て、経験者の米国疫学者は一発で、「あ、これうちの国で流行っているものと一緒だ。日本も違法ワクチンだね」と指摘したのです。その部分が下です。

未承認ワクチンなど人為的なものによる伝播の可能性
未承認ワクチンが中米地域で生産され、使用されているという未確認情報は以前から多く存在する。

未承認ワクチンの使用が感染源であるとした場合には、生ワクチンが使用された可能性と不活化が不十分であったために不活化ワクチン液の中に含まれる感染性ウイルスが原因となった可能性の2 通りあるとの見解。メキシコ以外の中米諸国で生産されたワクチン、あるいは東南アジア発生国において中米株を用いたワクチンが生産され、使用された可能性も否定できないとの見解」。

ウイルス株が一緒のグアテマラ株です。農水省消費・安全局は「人為的ワクチンじゃない」ですって、ワッハハ!まだそんなバカ言ってるんですか!ウソとトボケは霞が関官僚の伝統芸ですな。

それはさておき、地元の獣医師から教わったのですが、侵入経路を調査する時はまず徹底した遡及調査をします。農場立ち入りによる渡航歴と農場訪問者、外国人労働者の有無などです。

この場合はウイルス株の相同性から、グアテマラ、ないしはメキシコへの渡航歴です。またはそれらの国の労働者がいるかどうかです。実は、家保は徹底して調べています。結論、いません。渡航歴を持った者もいません。

下記には「更に調査をする」と書いていますが、そんな調査は究明チーム以前に地元家保が徹底してやっています。中国、韓国などと違ってそうそうグアテマラへの渡航歴やグアテマラ人労働者などこの田舎にはいやしませんって。

(3)農場関係者が発生国等へ旅行した際にウイルスを持ち込んだ可能性については、更に調査を進める必要。

次なる可能性は野鳥が持ち込んだ可能性です。「りぼん」さんのご質問に「自然由来のトリインフル・ウイルスは存在するのか」というようなことがありましたが、たしかに存在します。

口蹄疫がシカやイノシシなどの野生偶蹄類を自然宿主とするように、トリインフルエンザはカモやガンなどの水鳥を介します。変異すると豚も宿主にする場合があります。これが起きるとトリ⇒豚⇒ヒトという新型トリインフルの恐怖の伝染パターンとなりますが、2005年の茨城の場合そこまで行きませんでした。

バイカル湖が世界のトリインフルの故郷とされていて、そこからの水鳥の飛来によって中国の青海湖を介してアジア地域に伝播して行きます。しかし、渡り鳥はグアテマラやメキシコから日本には飛来しません。

これは、中間報告書に金井裕氏という日本野鳥の会自然保護室主任研究官が参加していますので、農水省もとうぜん知っているはずです。その部分が下記です。

(1)野鳥(渡り鳥)を介した侵入の可能性
以下の理由から、この仮説の可能性は低い。
① 中米から日本に直接飛来する野鳥は知られておらず、またアラスカを介した伝播の可能性も極めて低い

もしこの茨城トリインフルのウイルス株が、青海株だったりすれば話はまったく違って、自然由来もありえたわけです。実はこれも、地元家保の獣医師は、野鳥の会会員の獣医師がいて、趣味と仕事を兼ねて徹底的に霞ヶ浦、北浦などの水鳥の糞を調査しているんです。そして自然界にはトリインフルウイルスは存在しなかったのです。したがって、渡り鳥による侵入は完全に否定されています。

となると、後は輸入した家禽類、あるいは家禽肉ですが、これはグアテマラとメキシコが非清浄国ですから輸入されているはずがありません。これがこの部分です。

(2)輸入鳥類及び輸入家きん肉を介した侵入の可能性
以下の理由から、この仮説の可能性は低い。
① 本病発生国由来の生きた家きん類の輸入は停止されている

② 昨年2月以降、発生国由来の家きん以外の生きた鳥についても輸入が停止されている
③ 発生国産の生鮮鶏肉等の輸入が停止されている

侵入経路調査はこのように消去法で行われます。ヒト、モノ、自然由来、いずれも否定されました。となると、もう答えはひとつしかないじゃないですか(笑)。

もし、ウイルスが自然由来ならば、水鳥が媒介したわけですから、湖周辺にくまなく広く薄く発生するはずです。ところがこの事件においては、小川町、美野里町、石岡市に集中しています。第1例が出た水海道市は飛び火した「もらい」であることは中間報告書にも書かれています。

このような茨城3市に限定された局部的な発生を、どう農水省は説明するのかお聞きしたいものです。実は、農水省はこれも知っています。下記の部分です。

発生が茨城県南部に限局しており、分離ウイルスの遺伝性状が同一

そしてこの3市にはふたつの系列の系統農場が多数存在し、いずれの農場の血清学的調査でもおしなべて、例外なく陰性だったわけです。これをどう農水省は説明しますか?

おまけに、それらの農場の鶏舎内での発生状況は、ベタ一面、すべての鶏がクロ、陽性だったとすれば、これでも農水省が自然界由来だ、人為的ワクチンではないと言い張るなら、相当な馬鹿か、厚顔無恥ですね。

答えは、人為的ワクチンです。それしかありえません。

これについて、2005年12月7日に私たちと面談した農水省消費安全局動物衛生課防疫企画班 石川清康課長補佐はこう述べています。これは当日の複数のメモから再生したものです。

今回、発生の仕方が一カ所で局地的に爆発して発生しています。これは普通の拡がりとは異なっていることは農水省も着目しています。違法ワクチン接種は重要な原因でありうると思っていますが、なにぶん証拠が不十分です。
行政としてはグレイであるとは言えますが、クロだとは断定に至らない以上、「グレイをクロとは言えない」という立場に立たざるを得ません。
いいですか、農水省は「人為的ワクチンではない」と言っているわけではないのです。もし、今、農水省消費安全局がそう言っているなら、それは訂正させる必要があります。
正確には、農水省は中間報告書においても、当時の農水省の担当官も違法ワクチンである可能性は否定しないが、最後の物証がないと言っているだけです。これはまったく次元が違うことです。
ちょうど、小沢一郎氏(←落選おめでとう)が盛んに「小沢潰しのための国策捜査だ」と言っていたものが、地検特捜部が立件できないとみると、「地検は私を潔白だとおっしゃっています」とずうずうしく言い換えた構図に似ています。
特捜部は別に彼を潔白だなんてひとことも言っていないですよ。悔しいが立件できないと言っているだけです。小沢氏が「かぎりなくクロに近いグレイ」だと地検も考えているはずです。立場上司法当局はそう言えないだけです。
同じく農水省究明チームの中間報告書も、当時の農水省担当官も人為的ワクチンが「シロ」だなどとはひとことも言っていません。「グレイをクロとは言えない」と言っているだけです。非常に強い疑惑はあるが、最後の詰めができないと言っているに過ぎません。
それが5年たつと、「シロである」に漂白されてしまうわけですね。ああ、長生きはしたくないものです。すごく老け込んだ気分です。あ、まだ50代だったっけ。

|

« 茨城トリインフルエンザ事件 第3回  農水省消費・安全局に攻め込むまで | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その99 口蹄疫対策検証委員会の中間報告 県にすべての責任を転嫁 »

口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

限りなくクロに近いグレー…証拠のブツがでなけりゃ、それ以上は追求できないか。
推定無罪の大原則があるわけですが、歯痒いです。

しかも調査を委託(丸投げ)した上でのこととは…役所関連の業務委託ってのは、だいたい都合の良いような結果を導き出すのが前提というイメージがありますね(交通量予測とか)。

それ以外の可能性を考えたら、それこそテロくらいなもんでしょ。

それにしても結果が全体に伝わらずに、時が経てば白くなってるとかはふざけてます。
役人は5年も経てば別の役職になるからってのもありますが…。

投稿: 山形 | 2010年9月15日 (水) 08時21分

濱田様のグレーは時が経つにつれて「シロ」に漂白されてしまう・・・と言うのは言い得ていますね。全くその通りです。

とにかく行政職員は2~3年で異動ですから、責任ある仕事はできなく、責任取らされるような仕事もしないような仕組みになっているのでしょう。
農家は離農でもしない無い限り、死ぬまでその仕事を継続する訳ですから、逃れるすべがありません。
私も畜産に携わる者として、職場の中でも異動がありません。(他に使い道が無かったのかも?)
勤め始めてから37年役職は若干上がりましたが、ズーット牛と牛乳に関わっています。
これも人生ですね・・・でも牛と戯れる毎日は楽しいです!

投稿: 北海道 | 2010年9月15日 (水) 09時31分

噂話なのですが、茨城鳥インフルで、家保の動向調査が、農水省の指示のもと、急に中止され、次に指示が来た時には、全て農水直轄になったと聞いた事があるのですが、それは事実なのでしょうか?それとも、やはり噂話の類なのでしょうか?
事実としたら、そのまま家保が調査していたら、また違った結果がでたのかしら?
何だか、日本という国は、おかしな国ですよね。

投稿: 一宮崎人 | 2010年9月15日 (水) 11時28分

話は、飛んで恐縮なんですが、実は、中国、青海省青海湖へ行ってきました。現在は、かなり開発され、湖の面積も小さくなり、とても、野生の水鳥の宝庫と言う感じではなかったです。湖には、中国軍の魚雷の擬似目標が、残骸として残っていて、周りの湖は、塩湖であり、岩塩の産地です。湖全体が岩塩で、その湖の上の塩の上に、岩塩を運ぶ鉄道が走ってます。毎年、青海湖を1周する国際サイクリングレースも開かれますし、トヨタ自動車の有名な部品工場もあります。

青海湖が、自然ウイルスの発祥地って言う感じは、20年前の状況だと思うのですが。。。余談でした。

http://ribon-boo.a-thera.jp/article/1085597.html

http://ribon-boo.a-thera.jp/article/1080396.html

投稿: りぼん。 | 2010年9月15日 (水) 16時47分

本日の農水動物衛生課の茨城鳥インフルエンザ事件の件の回答は、ホームページに公表していることが、すべてで、間違いはないはず。当時の担当者は、今は、この課に居ないので、過去のことを、今言われても、お返事できない。ホームページの報告書に、白と書いてあるなら、白と思います。です。

結局、最終的な詰めで、ありんくりんさん達が、鬼ではなく、人間として、相手を信じたのが、間違い?かも、国家と戦っているのに、途中で、人間同士の情が入るから、結果が、うやむやになるのでしょうね。

僕は、すべての報告書を読みきれてないので、白、グレー、黒のいづれに、明記されているのか、確認中なんですが、。

投稿: りぼん。 | 2010年9月15日 (水) 17時15分

一宮崎さん

ぶったまげました。県内でもほとんど知られてない話です。
その話は県内家畜衛生行政関係者の間ではタブーです。だけど隠しきれないもんですね。
数年後、ある幹部衛生行政関係者が「三日間止められ、その後来た指示が、一切県は口を出すな」だったもんなと、私にポロッとこぼしました。

切歯扼腕の県関係者も、当初の疫学検査実施で大チョンボやらかしましたし、動衛研も某職員が闇検査とデータ改竄破棄やっても実質おとがめ無しのグレー決着。

汚名挽回に燃えた県関係者は、公務員の守秘義務で言いたいことも言えず。
なんとも後味の悪い事件でした。

投稿: 現役養豚家 | 2010年9月16日 (木) 19時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/515571/49452834

この記事へのトラックバック一覧です: 茨城トリインフルエンザ事件 第4回  5年たつと「限りなくクロに近いグレイ」は「シロ」に漂白されてしまっていた!:

« 茨城トリインフルエンザ事件 第3回  農水省消費・安全局に攻め込むまで | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その99 口蹄疫対策検証委員会の中間報告 県にすべての責任を転嫁 »