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2010年9月 2日 (木)

宮崎口蹄疫事件 その89  清浄国ステータス回復に どうして血清額調査が必須要件とされるのか

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村では稲刈りが始まっています。今年は台風がまったく音沙汰がないので、今のうちに刈っちまうかというところです。ただし、田植え前後の天候不順で田植え自体が遅れていましたから、まだ始まったばかりです。

もっともこの炎天下に稲刈りはやりたくねぇなとは、村の仲間のぜいたくな愚痴。、豊作だろ、待てよ、豊作だと値が下がるっけ。どっちにしろ愚痴が多いわが業界です。

さて、なんとか復旧しました。再開いたします。
私がこの宮崎口蹄疫事件を振り返ってどうにも解せないことのひとつに、血清検査が意図的か否かは判りませんが、すっぽりと抜け落ちていることです。

なぜ、この血清学的検査が必須なのかといえば、牛が非常に長い期間にわたってのウイルス・キャリヤーとなるやっかいな家畜だからです。口蹄疫の国際的標準的手引きであるFAO「口蹄疫緊急対策」第2章の「この疾病の特徴」にはこうあります。
訳出 鹿大岡本嘉六教授 ゴチック、赤字は訳出者による。原文はこちらからどうぞ。
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Contingency%20Plan%20CHAPTER%202.htm

臨床症状がなくなった後、反芻動物の最大80%は持続的感染状態になる。この状態は、「キャリヤー状態(保菌状態)」と呼ばれ、初感染から28日を越えたウイルスの保有と定義される。そのような持続感染は、咽頭組織と食道上部組織で成立する。キャリヤー状態の持続時間は、宿主、ウイルス株およびその他の要因によって異なる。報告されている様々な動物種のキャリヤー状態の最長期間は、牛で3年半、羊で9ヶ月、山羊で4ヶ月、そして、アフリカ・バッファローで5年以上である。

牛が3年半にわたって口蹄疫ウイルス・キャリヤーであり続けることこそが、OIEが陸生動物規約で血清額検査を清浄国への回復要件としている理由です

このOIE陸生動物規約第8・5・6「清浄国ステータスの回復」の2項には以下の記述があります。原文はこちらからどうぞ。http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/oie/pdf/rm5fmd.pdf

2. FMDの発生又はFMDVの感染が、ワクチン接種FMD清浄国又は地域で起きている場合には、次に掲げる待機期間のいずれか一つが、ワクチン接種FMD清浄国又は地域のステータスを再取得するために必要とされる。

a) FMDVの非構造タンパク質に対する抗体を検出する血清学的サーベイランスが、ウイルス循環がないことを証明している場合であって、摘発淘汰政策、緊急ワクチン接種及び第8.5.40条から第8.5.46条までに基づく血清学的サーベイランスが適用されているときには、最終症例後6ヶ月間

ところが、今回の事件において血清学的発生動向検査はおろそかにされ、目視検査で済まされてしまいました。これは宮崎県の7月21日のプレスリリースにも明らかです。

県内の全ての牛、豚飼養農家を対象にした清浄性確認検査を下記のとおり実施する。

  1. 期間  7月22日(木曜)~8月11日(水曜)
  2. 対象  県内で飼養されている全ての牛・豚
         対象戸数 約7,700戸(牛 約7,200戸、豚 約500戸)
         ※直近の清浄性確認済み農家を除く
  3. 方法  牛(肉用牛、酪農)については、農場巡回による目視検査、
         豚については、管理獣医師等の目視検査または電話聞き取り

目視検査と電話聞き取りですか。論評したくなくなります。聞くところによれば、申し出た農家からのみの任意の聞き取りだったということすらささやかれています。

口蹄疫において、臨床に携わる獣医師が口を揃えて言うとおり口蹄疫の初期症状を発見することは非常に困難です。

私は獣医師でもなんでもありませんので、症例写真を見てのことに過ぎませんが、発症第1日目の患畜の牛の舌の水疱はわずかでしかありません。食欲の減退やよだれも他の病気と重複するものです。

この段階で口蹄疫だと診断できなかったとしてもそれは獣医師をせめられないと思います。現に、今回の第6例では、他の牛に感染が認められなかったために、診断が遅れました。やむをえないところです。

また、幸か不幸か、口蹄疫は第10日目以降から急速に自然治癒してしまいます。当然症例の痕跡も速やかになくなっていきます。これをどうやって発見しろと言うのでしょうか。

ましてこれだけ大量に作り出してしまったワクチン接種家畜に対して、血清調査なしでどのように過去に本当に発症していたかもしれない個体と判別できるというのでしょうか?

まずはこの血清動向調査を4月(できうるならば3月)から強力に組織的に実施していれば、感染拡大の局面は大きく異なったはずでした。百歩譲って、初動における混乱期はいたしかたがなかったとしても、それと違ってワクチン接種後の血清動向調査は、今後の清浄性の最大の担保であったはずです

清浄確認とは輸出を急ぐためでも、ましてや終結宣伝の日程から逆算されて決まるものではありません。あくまでも口蹄疫ウイルスの脅威が、完全になくなったことを意味します。

それが発症はもとより、家畜、なかでも牛に存在する3年半という潜伏期間の可能性を完全に断つこと、これが清浄化への王道だったはずです。それこそが、ほんとうの意味での「畜産王国宮崎の復興」の資産であったと思います。

山田大臣が強力に押し進めたワクチン接種と殺処分、そしてその陰にあった血清学的動向調査の抜け落ちは、OIEへの「清浄国ステータスの回復」の申請という政治目標ありきで進められた拙速であったような気がしてなりません。

今一度、終結宣言が出た今こそ立ち止まって静かに検証すべき時ではないでしょうか。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

宮崎のみなさん えびので疑いが出てます。私もただ陰性を祈りますが、ご存知の通り消毒ポイントはもう有りません。個人情報を主張する県に付き合っているとまた繰り返します。本日24時には判明しますのでじっとして待って下さい。市場はもちろん中止です。これが風評と言われても構いません。今自分達で出来る事をして下さい。パニックにならず、自衛消毒をお願いします。

陰性であることを祈っています。

口蹄疫か、終息宣言したばかりの宮崎で競り市中止  
2010.9.2 12:16

このニュースのトピックス:口蹄疫
 先月終息が宣言された口(こう)蹄(てい)疫問題で宮崎県は2日、えびの市でよだれなど口蹄疫が否定できない症状の牛1頭が見つかり、同日再開予定だった県内2カ所の家畜の競り市が中止されたことを明らかにした。

 県などによると、この牛は写真判定で感染疑いを確認できる明らかな症状はないが、疑いが否定できないという。このため、県は動物衛生研究所(東京都小平市)に検体を送付。検査結果は同日夜、判明する見通し。

 口蹄疫をめぐっては、8月27日に終息宣言が出されたばかり。仮に感染疑いが判明すれば、7月4日以来となる。

えびの市でよだれなど口蹄疫が否定できない症状の牛1頭が見つかり、>>>>>
この情報は、少なくとも、午前11時時点で、農林水産省動物衛生課、宮崎県県民政策部 総合政策課 調整担当 電話:0985-26-7115 、(終息宣言後の窓口)、畜産課のいづれも、情報共有していなかった。
つまり、事実を掌握できていませんでした。
12時30分になり、マスコミ報道されて、ようやく、現在、検体を分析中と国から、発言があった。

えびの市の口蹄疫感染疑いの牛について、江藤拓議員のブログに書いてありましたね。
http://gree.jp/etoh_taku/blog/
農家の方が念の為に調べて欲しいと要望されて、調べてもらっているそうです。江藤議員のブログでは今夜10時には結果が出ると書かれてます。
結果が出るまで、シロである事を祈って待つしかないですね。

みやざき甲斐さん。元気そうでなによりです!

まだ今は、ジリジリしながら待ってる段階ですが、シロであることを祈ってます。

万一クロだったら最悪の事態です。県も国も何をやっていたのか(怒)
電話聞き取りとか、アホかよ!

今後も含めて血清検査は必須と考えます。これほどの大惨事があったのに、教訓を活かせないなんて無能にも程があるでしょう。

地元の牛専門獣医に聞いてみましたが、口蹄疫初期段階での診断なんて「そりゃ無理無理!事例が古く少なすぎて、思いもよらないよ」
「夏バテか軽い風邪かな」くらいで経過観察程度。

これからは全国的に「ちょっと判らないから、とりあえず簡易検査キット(安くて高性能なのが日本なら作れるでしょう!)で検査しときましょう」が標準化されるべきです!

他国のような強制捜査権も必要と思いますが、それ自体がウイルス拡散の原因にもなりかねない危険もあります。ジレンマですね。


宮崎の畜産家の皆さんに悪気はありませんが、安全宣言はあまりに早すぎたと思います。
始めから行政のスケジュールありきで進められたとの疑いを一段と強くしました。

連投失礼いたします。

検査結果が出ないうちに言うのもなんですが…

行政(県や国)は当てにならない。
政治的駆け引きや政治家の利害関係、そして杜撰極まりない家畜改良事業団の実態。

畜産農家の皆さんの苦しみは想像を絶します。
大事に大事に育ててきた牛や豚を殺さざるを得なかった悲しみ。思いを馳せるだけで涙がでます。
それがこのエントリにあるように、殺さずに済んでた可能性があるなんて…今更そんなこと言われても、ですが、実はそうだったわけです。
これが、今突き付けられた現実なのです!
悲しい。辛いです。

猛暑の中、農業や畜産を生業として戦った皆さんの生の声が聞きたいです。

これは、宮崎県だけの問題ではなく、日本の畜産業全体に関わることなのです。

今後のために率直な意見をお願いします。

また、今回のえびのの件が無事であることを心より祈ってます。

検査の結果が出ました。シロだそうです。
とりあえず、報告まで。

エライザでもシロで良かったです。市場も再開しますが・・・意思決定の経過が相変わらずです。
抗原検査の認可が一刻も早く降りて、タイムラグが短縮されないとまた繰り返す事に間違いなくなります。
国自体が認める「症状のわかりにくい口蹄疫」を目視だけで済ませてしまった事が棘の様に残っています。

K先生のご冥福を心からお祈りします。残った方々が西諸地区は今回も基本に忠実に動いて頂いています。
私は決して忘れません。

山形様 遅くなりました。宮崎を気にかけて頂いてありがとうございます。暑いですが、頑張ります!

先生 人工授精師には義援金から配布が有っています。配慮して欲しいです。切に願います

濱田様 度々申し訳ありません。

口蹄疫ではなかった、えびの市の牛検査結果 農水省は2日夜、えびの市の乳牛用農場で見つかった口蹄疫(こうていえき)のような症状のある牛1頭について、動物衛生研究所(東京都)での遺伝子検査の結果、陰性だったと発表した。(読売新聞)

良かった。。。

陰性ほっといたしました。
当該農家さんもさぞ緊張されたことかと思います。
結局のところ王道はなし
生命倫理観
ひとつずつ丁寧に
でしょうか。

陰性であった農家は、うちから目と鼻の先。
生きた心地はしませんでした。
明日は、今日できなかった分の競り市です。今日連れて行った牛は、畜連預かり。
明日、早朝、所定の場所に繋ぎなおします。

素直に喜びたいです。ただ、素直になれない自分もいます。
10年前と同じですか?

一宮崎人さんへ
>素直になれない自分もいます。10年前と同じですか?

意味不明です。私、10年前、牛飼いじゃなかったもので。できれば、素直に喜べない訳を、ご教示下さい。

cowboy様
すみません。詳しくは言えません。
また、例え話ても、伝聞、噂の類です。
何も証拠のない話は、ないのと同じですから、妄想族の戯言でお願いします。
戯言ついでに言えば、最終的に白黒決めるのは、10年前も今回も、いつも同じ所と言うことです。

一宮崎人さんへ
お伺いした内容を確認したかったのですが、睡魔大魔王が襲ってきまました。失礼いたします。
必ず、後で、確認させてもらいます。

さっそくのレス、ありがとうございます。
「まぁ、いっか」で済まされることであれば、良いのですが・・・。
妄想族のたわごとですか・・・。う~ん、気になる。

>最終的に白黒決めるのは、10年前も今回も、いつも同じ所と言うことです。

同じ所とは、「小平の動衛研」ということですか?

Cowboy さん。他人のコメントに質問をすることはいいのですが、上記のような問いつめるような言い方はやめて下さい。基本的にこのコメント欄は相互批判を許容しておりません。よろしくご理解ください。

管理人さんへ
それほど、問い詰めたつもりも、批判したつもりは無かったのですが、そうとられてしまわれたのなら、仕方ありません。
一宮崎人さんの、その歯切れの悪さというか、奥歯にモノが挟まったようなコメントが、どうしても気になってしまいました。今回のえびの市での口蹄疫疑いに翻弄された一人として。現役養豚家さんところのブログでも、一宮崎人の同様のコメントがあったものですから、少し、むきになったのは事実です。
ご本人が気を悪くされていたら、申し訳ありませんでした。

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