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2010年9月13日 (月)

茨城トリインフルエンザ事件 第2回 茨城トリインフル事件、謎の中途方針転換について

020

doll24さんのおっしゃるように大企業を保護しようという姿勢は、2005年の茨城でありました。

まずおおざっぱに、茨城トリインフルの事件の経過を知っていただきましょう。
■茨城県鳥インフルエンザ事件の経過
【2005年】
6月26日 常総市(旧水海道市)の養鶏場で初めて感染確認
7月29日 茨城町の養鶏場で抗体確認
8月22日 美野里町、水戸市、石岡市の養鶏場で抗体確認。農水省の家きん疾病小委員会が、ウインドレス鶏舎の鶏の処分見送りを決定
  25日 小川町の養鶏場で抗体確認
9月2日 農水省の家きん疾病小委員会が感染源について「違法ワクチン説」を打ち出す
  12日 鶏の処分のため、県が自衛隊に災害派遣を要請
11月4日 茨城町の養鶏場で抗体確認。14施設で県の不適切検査が判明
12月18日 新たに19施設で不適切検査が判明し、県が再検査を決定
  25日 小川町の2養鶏場で抗体確認

【2006年】
1月16日 小川町の養鶏場で感染確認。約77万羽を処分命令
  30日 処分を見送った鶏の監視をすべて解除
2月3日 県内の移動制限をすべて解除

太字にした部分に注目ください。これは昨日も掲載した農水省究明チーム中間報告書(05年10月31日)の下記の部分と照応しています。

11 例目(*系列大規模農相を指す)は、鶏舎ごとの飼養管理が可能なウインドウレス鶏舎であり、万一ウイルスが存在していたとしても、厳格な飼養衛生管理がなされればウイルスを拡散させるリスクが低いと考えられた。
このため、一連の発生が臨床症状を示さない弱毒タイプのものであることも踏まえ、防疫上のリスクを高めない範囲内での合理的な措置として、
①ウイルスが分離された鶏舎については、ウイルスが存在する限り強毒タイプに変異するリスクがあることから、殺処分等の防疫措置を講ずる一方、
②抗体陽性であっても、ウイルスが分離されない鶏舎(以下「ウイルス検査陰性鶏舎」という。)については直ちにとう汰を行わず、厳格な飼養衛生管理と継続的な検査により、監視を強化することとした。なお、ウイルス検査陰性鶏舎の鶏卵については、家きんへの感染を防止するための防疫上必要な措置を講じた上で、その流通を認めることとした。」

今回の2010年宮崎県の事例を見るは、同じワクチン接種をされていながら(*正確には茨城は「疑惑」ですが)、国の対策が真逆なことに気がつきます。

宮崎県はワクチン接種した上で全頭殺処分、わが茨城は違法ワクチン接種「疑惑」がありながら、ウイルス分離があったものは殺処分、ウイルス分離ができなかったものは「ウイルス検査陰性鶏舎」として殺処分回避して監視下に置くという方針に中途転換しました。

「ウイルス陰性鶏舎」であっても、殺処分しないという方針です。唖然となりませんか。抗体検査をしてクロでありながら殺処分をしないとなれば、防疫原則もクソもありはしません。

2005年の茨城の防疫方針が正しかったのならば、2010年宮崎でワクチン打っても殺す必要などないということになります。陰性畜舎は「おとり家畜」を置いて監視下に入れれば済んだだけではないですか。

「ウイルス分離ができない」でいて血清学調査が陰性とは抗体が上がっていることで、とりもなおさず(違法)ワクチン接種の動かぬ証拠ではありませんか

ですから、この陰性鶏の殺処分回避政策が出た8月22日のわずか10日後、家禽疾病小委員会の疫学チームも、違法ワクチン説を公表しました。

つまり、農水省は違法ワクチンが原因であることを、家禽疾病小委員会から聴取しながら、8月22日の大方針転換をしたものと思われます。

当然のこととして、口蹄疫とまったく同様にトリインフルエンザもワクチン接種自体が、OIE清浄国規約に違反しています。ワクチン接種をしたならば、日本は清浄国ランクを「ワクチン非接種清浄国」から、いちランク下の「ワクチン接種清浄国」へと転落せねばなりません。

そして清浄ステータス回復も口蹄疫と同様の清浄性確認行程を経ねばなりません。ここに口蹄疫とまったく同様の壁ができてしまいます。すなわち、茨城トリインフルが(違法)ワクチン由来であることを認めてしまえば、国としてはOIEに報告した上で、「ワクチン接種清浄国」からやりなおさねばならないことになるからです

しかも、これが国の防疫作戦の一環ならばまだしも、関連農場を複数持つ大規模農場の関与が疑われるとなれば、二重の痛手となります。

農水省は、99.99%違法ワクチンがこの2005年の茨城の感染爆発の原因であることを承知していました。そして当初は防疫原則に沿って対処しようとしました。

なにせ、地元家保の家畜防疫員が実にまめに初動から血清学的動向調査と遡及調査をしてしまうもので、次から次にと大規模農場とその関連農場に抗体陰性が発見されてしまったからです。

そして他の地域への伝染経路も特定されてきつつありました。こうなっては、農水省としては逃げようがありません。家伝法、防疫指針に沿って粛々と陰性家畜を殺処分するしかなかったわけです。

そのあたりまえの防疫方針が「なぜか」8月22日にストップしました。第11例という大規模農場の中枢的施設が殺処分作業に入ろうという直前に,、農水省消費・安全局から直々に殺処分停止通達が緊急で来たのです。

これに立ち会って処分作業を遂行していた家畜防疫員たちは呆然となったそうです。「ウイルス分離ができない陰性鶏は殺処分を免れるだって!?」・・・自分の耳がおかしくなったんじゃないか、とその命令を聞いた人は回想しています。

さぞ農水省消費・安全局はその理由づけに苦慮したことでしょう。

実は、2005年12月20日に、私たち「茨城トリインフルエンザを考える会」は農水省に出かけて、あらかじめ送付してあった質問状に対する答えを、消費安全局動物衛生課・課長補佐石川清康氏に求めています。

当時、私は自分にある限りの政治力を使って(たいしたことはありませんが)、野党議員2名、消費団体、環境団体などに同席を依頼しました。私達農家がノコノコ出かけても相手にされないことは明らかだったからです。

まぁ、結果は予想通りてしたが、長くなりましたので次回にでもお話しましょう。

■追記 本事件における大規模農場の事件の関与は、農水省によって否定されています。また、違法ワクチン由来であることもまた、「かぎりなくクロに近いグレイ」(農水省消費・安全局課長補佐の表現)であることも言い添えます。

■写真 菊の季節です。

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コメント

なんというか、呆れて物がいえないというか…

大手農場が、政治的コネとカネの力でウヤムヤにして揉み消してもらったんだろうな!
としか理解できません。

政治云々言うと荒れる要因になって仕舞わないかと心配ですが…。
他に説明つかないでしょう。

05年の鳥インフルに関しては、当時私の町ではネット環境も整っておらず、このようなブログも見ること出来なく、情報はテレビや新聞でしか入手できませんでした。
(ちなみに我が家ではいまだに「ADSLや光」ではなく、昨年夏までアナログ回線で、現在はFOMAのハイスピード対応です。「光」は来年早々に可能となるよう準備が進められている様です=話題が逸れました)

宮崎県で東国原知事誕生直後に「鳥インフル」発生がありましたが、その時はマスコミにも大きく取り上げられていましたので、知る事ができました。
一般国民には裏の事情までは中々伝わってこないのが現状ですね。
しかし、今回の口蹄疫発生から一応の終息に関しては、感染経路まで含めてきちんと検証して欲しいと願っています。
何が原因で初発したのか、感染拡大の原因は?不明ならどうして不明とせざるを得ないのか、何をすべきだったのか、沢山の組織や人が関わったと思われますが、全てを総括し検証する事が、被害を受けた人・家畜に対し報いる唯一の事だと思っています。
二度と同じパンデミックを起こさない為にも・・・

管理人様お疲れ様です

御紹介いただいた茨城鳥インフルエンザ問題と、今回の口蹄疫問題、複数の接点が見受けられるように感じています。

>実は、2005年12月20日に、私たち「茨城トリインフルエンザを考える会」は農水省に出かけて、あらかじめ送付してあった質問状に対する答えを、消費安全局動物衛生課・課長補佐石川清康氏に求めています。
当時、私は自分にある限りの政治力を使って(たいしたことはありませんが)、野党議員2名、消費団体、環境団体などに同席を依頼しました

管理人様がとられた勇気ある行動が、今回の宮崎県内に於いても実践される事を願いたいです。

「違法ワクチン」なんかじゃなくて、野鳥にも養鶏にも、周辺フィールドにごくごくありふれてる常在ウイルスの感染歴を示す「抗体価」だという風に考えることはできませんか? そちらのほうが、「違法ワクチン」よりも現実的かと思います。今回の口蹄疫に関しても。もっといえば、宮崎地鶏鳥インフルH5N1も、愛知豊橋ウズラH7N6に関しても。「清浄国」前提を鵜呑みにすると現実が目の前の現実が見えなくなります。

名無し様。ハンドルネームをお付けください。投稿者の識別が出来なくなりますので。

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