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2010年10月28日 (木)

たまには私の養鶏法の話など

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今回「ピッグ・ジャーナル」誌を読んで感じたことは、養豚家さんたちの立場が、非常に明確だということです。明確すぎるほどで、逆に言えば、養豚家さんたちは自分の世界以外を知らないのではないか、と思えるほどです。

それは例えば、養豚家さんが今回の口蹄疫報道で一番腹が立ったのは、「家族同然の家畜を殺された」という報道だと言ったことに現れています。氏は、あくまで豚は「経済動物」であって、動物愛護で言うなというわけです。そしてこのような殺処分は悲惨という言い方に、感情的だという言い方をぶつけています。

正直私は鼻白みました。それはあくまでも多頭飼育をしている養豚業の話ではないのでしょうか。氏と同じ川南町にも、数頭しか和牛を飼っていない農家も多くあるはずで、その人たちはまた別な家畜との接し方をしています。

末吉先生もとりなすように、そのような和牛農家の「尋常ではない可愛がり方」を説明し、いきなり殺処分ををドンと持ち出してもまったく理解されませんよ、と言っていました。

これに絡んで、少し私自身の話をすることにします。

私は養鶏が生業ですが、同じ養鶏業といってもわずか3千羽しか飼育していない小規模というのもおこがましい零細農家です。飼育方法は、いわゆる自然卵養鶏法という地べたで放し飼いにする方法です。

これは昭和30年代以前にいったん消滅した方法でしたが、私たちの世代が再度見直して25年ほど前から復興したものです。復活させるにあたって、私は古い農文協の本や、先駆者である中島正先生の本も参考にしましたが、実際には私自身の体験の中から一から作ったというところです。

この自然卵養鶏法は、まず大量飼育-大量販売-大量消費という近代養鶏の前提そのものを疑うところから始めます。一般に大規模養鶏場では、一農場100万羽単位で設計されており、それを数人の従業員が全自動で操業しています。

私の農場は夫婦のふたりで、わずか3千羽の採卵鶏と600羽の雛を育てています。比較するほうが愚かというか、まったく別次元だと考えたほうがいいでしょう。あちらも同業者だとは思ってもいないでしょうしね(笑)。

大規模養鶏は多くが、ウインドレスという無窓鶏舎です。のっぺりと窓がなく、外からは臭気さえなければ(ちなみにわが農場は無臭が自慢)、養鶏場だと気がつかないほどです。舎内は密閉されて、気温と湿度管理がされており、要するに卵製造工場だと思ったほうがいいでしょう。

すべてがフルオートで、餌やり、採卵、包装まで一貫して人間が手を触れることはありません。このような養鶏場の従業員に、鶏は生き物であるとか、経済動物以外の側面もあるのだ、などと言っても虚しいだけでしょう。

一方私たちの農場は、機械に金をかけないだけ、手間をかけています。餌やりは鶏の体調とご機嫌を知る最良のコミュニケーションの場ですし、採卵も腰にきますが、一個一個の卵重をチェックできるいい機会です。

今年の夏の酷暑では、さすがにうちの女性従業員たちのニワトリもバテ気味でしたが、その時に餌を工夫したり、与える時間を早朝にしてみたり、やる量を細かく見ながら餌やりをします。

このようなことは自動給餌機にはまねできないはずで、わずかの匙かげんで、ニワトリと会話をしています。

また餌やりの時だけ、鶏舎内に立ち入りますが、そのときに具合の悪いニワトリがいないか、いじめられている者がいないか、たべられなくなっている者がいないか、糞に異常がないか、などを観察しています。

餌はかつて凝りまくりました。お茶の屑や撥ね出しの小麦や玄米、そして私のグループの有機野菜の屑などをやるようにしています。これはその季節季節、鶏の体調によって微妙に変化をしていきます。

私は耄碌してヨイヨイになるまで、この餌やりは自分の仕事だと思っています。

卵も一個一個自分の手で拾うわけですが、そのときにザラ玉があるとか、変形が出る、あるいは色が白っぽくなるなどの変化を確認しながら拾っていきます。それを観ることで、その棟のニワトリの体調を知ることができます。

管理上一番気をつけているのは、舎内が湿気を帯びないことです。舎内が湿気るとてきめんに呼吸器系の病気が発生します。また、新鮮な空気がいくつも通うように気を配っています。

この換気と採光は私たちのような飼い方をする上で最も重要で、ただ地べたに放し飼いにすればいいというものではありません。劣悪な環境で放し飼いにすると、地べたからアンモニアや硫化硫黄がガスとして発生して、鶏を苦しめます。臭い養鶏場の原因は、換気不良によるアンモニアガスの悪臭です。

飼育密度もたいへんに重要です。私の農場では、坪10羽以下、平均8羽ていどで飼っています。100万羽飼育の養鶏場は、たぶん私の農場の数十倍の密度だと思われます。病気がでないほうが不思議です。どうやっているんでしょうかね。

飼育密度を上げるといっけん経済効率が高まるような錯覚をしますが、自然とはよくしたもので、飼育密度を上げると糞尿が乾くより先に堆積してしまうので、たちまち地表は湿りけを帯び、ガスを発生させ、病気を多発するようになります。

病気が多発すれば、当然産卵は低下し、死亡鶏も増え、経済はガタガタになるという具合に自然から手厳しいお叱りを食うわけです。

雛は一貫して初生といって餌付けからわが農場で育てられます。いわゆる一貫飼育です。これは今ではほとんど見られなくなった飼育方法で、だいたいの養鶏農家は、初生から産み出し寸前までを余所の業者に委託して、すぐに生む鶏だけで農場を回転させています。

私はこの方法を好きではありません。確かに鶏舎の回転は高まるのですが、結局余所で飼ってもらったトリはひ弱で、私の農場のスケスケの通風、冬にも遮蔽しないようなシビアな環境には適しません。

余所で育てられたやつはモヤシっ子なんですな。うちの農場の鶏は、家保の獣医がびっくりするほど羽根の下の羽毛がびっしりと生え、股の筋肉はたくましく盛り上がっています。まぁ毎日走ったり飛んだりしていますからね。

クチバシもダテではなく、カボチャなど舎内に入れようものなら、あっという間に薄皮一枚まで喰ってしまいます。野菜クズなどほぼ5分で完食。さすがごぼうは食わないなぁ。

こんな話をしだすときりがないのですが、こんな飼い方をしている私は、単なる「経済動物」だなんて思ったことは一度もありませんよ。確かにペットではなく、経済動物には違いありませんが、同じ生き物として遇しているつもりです。

そんな悠長な飼い方で食えるのかって、大丈夫喰っています。金持ちにはなれませんが、25年間この方法で生活してきました。うちの卵は安くありませんから。

私から見れば経済動物であり、「家族」です。ですからワクチンを打って殺処分をするなどというのは、私の感性が許しません。

あくまでワクチンは生かすためのものです。殺すために打つという考えには、理屈ではなく私の神経が耐えられません。

今日は理屈以前の話をしました。

 

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コメント

最近じゃ〇〇地鶏といったブランドで平飼いやってるところもふえましたが、苦労なさったんでしょうねぇ。
大規模でギュウギュウのブロイラー飼育は、玉子の安定価格供給という素晴らしい成果を残してますから頭ごなしに否定はしません。
だけど、やっぱり元気に走り回る鶏を育てて玉子を1つずつ拾う(私の母の実家でも20羽ほど自家用に飼ってたので)育てかたには共感します。

養豚家さんがのおっしゃる報道のされ方、私のまわり
(非畜産業の人)でも「ペットじゃないんだし~」云々は、割合良く聞く話でありました。
ちょっと、情が無い話だとは思いますが…同じ事象でも
立場立場で随分受け止め方が異なるものですネ。

「私のダッシュ村時代」や「青春ゲバゲバ」のテイストが好きです。
新しいネタがありましたら~UPお願いいたします。

濱田様お久しぶりです。
コメは久しぶりですが、毎日覗かせて頂いております。
情報提供です!
今日届いた「デーリィマン誌11月号」に口蹄疫に関する記事が掲載されていました。
「口蹄疫からの復興」と題して、瀬野豊彦氏(畜産コンサルタント)と三谷克之輔氏(畜産システム研究所所長)の対談形式で掲載されています。
マーカーワクチンや生かす為のワクチン接種など詳しく書かれています。興味のある方は一読を・・・

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