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2010年10月29日 (金)

低速回転養鶏法

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もう少し私の養鶏の話を続けます。

私の自然卵養鶏法は、「古い革袋に新しい酒を入れる」というものでした。

私は自分の農場が「5分の3経営」でいいと思っています。5分の3、つまり稼働率6割でわが農場は回っています。わが農場には鶏舎が5棟あります。私の同業者は、仮に5棟あれば目一杯産む鶏を入れようとします。私はそのうち3棟しか生産には使いません。

ちょっと算盤をはじいてみましょう。私の農場では、この1棟に収容できる限界を600羽~650羽としていますから、め一杯入れると約3千羽です。しかし現実には、私は3棟分しか産む鶏に使いません。約1800羽~2千羽といったところです。実に千羽強の差があります。我ながらゼイタクな使い方です。

これを収益に置き換えてみます。産卵率80%として、目一杯10割入れると2400個/1日が生まれます。一方、6割入れた場合1600個/1日です。800個/1日の差です。これを30円/1個で販売するとして、24,000円/1日、そして月で実に720,000円、年にするとなんと864万円もの収益の差があることが分かります。どひゃ~、こんなにあるのかぁ。計算すんじゃなかった(汗)。

Img_0022 気を取り直して、近代畜産は、施設を高速回転させて効率よく生産することを至上課題としました(←いきなり教師口調になる)ちょうど工場のベルトコンベアーを高速でぶんぶん回すのに似ていますね。

どんどんと家畜を入れて、がんがん出荷しようという考え方です。私のようにわずか6割の鶏舎しか使わず、のんびりとやっている低速回転農場など、現代畜産農家のいわば辺境だと思われてきました。

では、どうして私はこんな辺境農法をとっているのでしょうか?それは私の農場が「一貫」だからです。さてと、ここでまたひとつ専門用語が出てしまいました。説明をします。「一貫」とは、雛から最後の淘汰まで、文字通り「一貫」して自分の農場の責任で飼うことです。

なんだ、あたりまえじゃないかと思われるでしょうが、私の農場のような「一貫」は今やまったくの絶滅危惧種、レッドブック入りです。養鶏家は、外部の育成業者から産み出し寸前の120日齢(生まれてから120日め)の大きな鶏を入れて、ものの1カ月以内で産ませることになんの疑問を感じていません。

言ってみれば、苗を自分の農場で育てず、よそから買ってくるようなものです。こうすれば、仮に5棟あれば、全部に産む鶏を入れてしまえることになります。

残念ながら、今や平飼養鶏も含めて、大部分の養鶏農家はこのような方法で飼育しています。(私が属するグループは全員が一貫飼育です)生育技術を持たない養鶏家などざらです。

ついでに言えば、完全配合飼料を使った場合、餌もなにか知らないという知らない尽くしの人すらいる有り様です。これで鶏に愛情を持てるはずもないではありませんか。

では、なぜこのような「手抜き」をするのか?理由は、さきほど述べた経営的に施設稼働率を上げられるという事以外に、雛を育て上げるというのは神経がくたびれることだからです。

先日入った雛の様子を見に、今日も私は夜でも見回りを絶やしません。しっかりとした硬い羽根が生えるまでの1カ月間は寝不足の日が続きます。暴風雨や台風のときには、彼女たちを守るためにつきっきりで側にいます。

濡れた雛は、一羽一羽よく拭いてやってぬるいドライヤーで温め、自宅のコタツに入れたりもします。食欲がない弱った雛には餌を練って口に運んでやります。そしてうまく育った時のなんとも言えない充実感と爽快感、彼女たちへの愛情、これが鳥飼という職業の醍醐味なのです。Img_0003

このようなことを養鶏農家は忘れかかっています。企業養鶏はそもそも話の外です。彼女らを採卵マシーンとしか思っていません。農家が企業と張り合えるのは、そのきめの細かい愛情なのに、それを忘れかかっています。悲しい。

養鶏農家は高い雛を買い込み、淘汰をした後にすぐに鶏糞出しと消毒をし、そして数日以内にまた産み出し寸前の鶏を導入するという作業します。過酷な腰が痛む労働で、実際、養鶏農家の職業病は腰痛でなのです。

人は毎日鶏糞出しと消毒作業をし、腰を痛め、消毒農薬による肝臓障害などを起こしたりします。一方、産み出し寸前で入れた大雛は、新たな飼育環境に馴れないためにひ弱で、おまけに私の眼からみればバカ高い値段です。

これを次から次に入れていけば、年間の雛代だけで膨大なものになります。計算したことはありませんが、たぶん私のような一貫飼育の数倍ではきかないのではないでしょうか。

私の農場では5分3しか鶏舎を動かしていませんし、育成期間中は1棟5部屋のうちの一部しか使わず、大部分は遊休期間としています。

鶏舎を休ませるのが、最大の予防防疫なのです。

このように、近代畜産では、確かに入ってくる売り上げは一見大きくなったようにみえても、消毒代、薬剤費、人件費、施設費などがかさんで、農家は心身ともよれよれにくたびれ果て、腰痛を患い、そこで一回どこかで事故が起きようものなら、倒産しかねません。これではヒヨコ屋、薬屋、資材屋を儲けさせるために農家が身を粉にしているようなものです。

実際、茨城トリインフル事件の時には収入が途絶えたために、破産の瀬戸際まで行った農家が数件出ました。

そう考えると、私のようなグータラが5分の3回転などと言ってやっている辺境農法と、結局はさほどの収益的な差はなくなりました。そして人と家畜の幸福という価値を考えると、高速で突き進むベルトコンベアーから降りるのが幸せではないかとふと思うのです。

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コメント

生き物を飼ってその恩恵を受けている立場の人間として、強く同意します!

元気そうな赤い鶏を見るとホッとします。(もちろん大手の量産工場の恩恵も受けてますし、それは有り難いことだと理解してます)

なぜでしょう?
学部時代の畜産の先生にはデータを出されて「玉子の色に栄養的違いは無い」と言われてたのに、赤玉だとなんだか貴重というか大事な印象を受けるんですよ。

濱田さん、ご無沙汰しております。
変わらずの検証作業に頭が下がります。 口蹄疫事件その118?ぐらいから出遅れておりまして、申し訳なく思っております。

ムッチーさんこと弥永睦雄さんが被災農家発の口蹄疫被災者協議会を設立され奔走されていますね。このままでは終わらせないという強い意志を感じており、感染源、ルートの解明を期待しております。

昨日久しぶりにブログを拝読して、雛の面倒を見る部分・・まるで新生児を世話するお母さんのようですね^^ 愛情たっぷりの鳥さん達の卵さぞかし美味しいんだろうなぁぁ・・。

「濱田さんの卵が食べたい!!」と思いました! 

卵かけ(贅沢に黄身だけ派です)が大好きで、いつも価格よりも美味しそうな卵を買うようにしてます・・消費量が多いので1パック400円以上はちょっと躊躇しますが(^^ゞ 

濱田さんの卵はこちらのような卵なのかなぁなどと思っております。 普段は買えない卵ですが、友人へのちょっとした手土産によく購入していました。
http://www.houjuran.co.jp/ 

普段はこちらの1パック360円のもみじ卵でした。

http://www.tvk-yokohama.com/midori_archives/index040815.html

鶏舎のようですが、ウィンドレスとは違うようです?! 残念ながら引っ越してしまったので、今色々試して美味しい卵を探しているところです。

8月に主人がアメリカに出張に行った際は卵からサルモネラ菌が出たようでほとんどの店で回収になっていたようです。3億8千万個が回収・・・。 くらくらしますね。アメリカは超大規模卵工場が数社あるだけのようです。 なるほど旨くないわけです。 アメリカにいたころは卵かけご飯は封印しておりました。 

調べていたら見つけました。日本は、世界有数の卵消費国なんですね。 デンマークと並んでトップでした! 今回も長文になってしまいました。すみません(^^;

海外では、基本的に、生たまごは、食べない方が、無難でしょ。
日本ほど、神経質に、鶏を飼っていないから、サルモネラとか、でちゃうのでは?

ねずみが居れば、サルモネラも居ると思ってよいのでは?

子どものころ、卵は、1個50円もしました。当然、スーパーの1パック98円なんていうのは、えさ代も出ない不思議な値段です。

こどものころは、都会でも、ゆうせい卵から、ひよこを育てることを、学校の宿題で、家庭で、やってました。電球で暖めたり、こたつに入れたり、いろいろやってました。

そりゃ、1羽だけでも、大変です。あわをどれくらいの温度で、どれくらいふやかしたら、食べてくれるのか?試行錯誤で、大変。

かもや、あひるの卵は、フラン場へ持っていって、何日に、採りに来てねとか、言われて。もらいに行くと、むせい卵が、混ざっていて駄目だったり。。

腐った卵は、早く処分しないと、爆発しちゃうし。。

小学校で、結構、1人で、1匹づつ、ふなの解剖とか、授業で、ありましたけど。
今、生き物を殺す授業なんて、ないのでしょうね。

かえるだって、生きたものを解剖する訳ですから。
生と死を、授業で、見届けるのが、当たり前だった時代でした。

豚も牛も、広いところで、のびのび育てる方が、結局、簡単だし、健康的なのに、社会が、それを許さない、不思議な国、日本ですね。

幼稚園児に、オスのひよこを1日触らせると、大抵、10羽くらい駄目になります。わからないように、処分しますが、小さいころから、動物に触れ合わないと、脳みそで、生きているってことを、理解するのは、哲学以上で、難しいです。やっぱり、他人には、説明できないけど、体験することが、1番なのかも。。

「鶏舎を休ませるのが、最大の予防防疫」この事実は、すごいことですね~。消費者団体に、理解してもらわなば。。ねずみ駆除は、やっぱり、鶏舎を空にするのが、てっとり早いのでしょうか?

加工用液卵が、主体になってる今、生たまごは、価格アップできないのでしょうね。

農業は、都会の消費者には、わからないことだらけですね。

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