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2010年10月 4日 (月)

宮崎口蹄疫事件 その115  感染拡大が止まったのは殺処分が緩衝帯を作ったからか?

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私は、自分の茨城トリインフル事件後にやって来た「専門家の時代」を経験しています。これは事件が終息に向かい、生産者や関係者が「その後」を考えはじめたころから始まります。

疫学調査チームの中間報告書が出るあたりが分岐点でしょう。あれが出ると、現地は不満ながらもなんとなく納得しちゃうんですよね。あの疫学用語で埋めつくされた膨大な文献の神殿を、じっくりと探索する農家などそうそういません。復興で死にもの狂いですから。

こうして「専門家の時代」が始まり、現地被災者の思いや悲嘆とは無縁にもっともらしい整合性のある「正史」が作られていってしまいます。

それに対して、ちょっと待てよ、まだ検討しきれていないだろう、と言っているのがこのブログです。

今回の事件において、ワクチン接種・全頭殺処分方針を評価することは、事件のの核心につながると私は思っています。この新方針がどのようないきさつで誕生したのか、誰が、誰と計って、どのような経緯で決定したのかを知りたいと思っています。

また、現実のその効果はどうであったのかも客間的に評価すべきだと思っています。その第一回は前回に行いました。ワクチン接種が「ウイルス抑制」に貢献したという証拠は見いだせませんでした。

むしろ、5月22日のワクチン接種から6月10日までの期間で発生した100件以上の発生は、すべて例外なく接種後に発症しています。

一方ワクチン未接種で発症したのは、6月14日から7月5日の末期の4件しかありません。

これを見ると一種の脱力感に襲われます。あれだけ大量のワクチン接種・全頭処分をやって、被災地にうず高く健康な家畜の死体の山を築いておきながら、その効果はほとんどなかったとすれば、いったいあれは何であったのでしょうか?私たちは悪い夢でも見たのでしょうか?

原因はいくとおりも考えられます。まず、あのワクチン自体が原因で感染拡大をしてしまったことです。山内一也先生が指摘するように、接種後にキャリアーとなった家畜から感染が拡大してしまった可能性があります。

(2)ワクチン接種した動物でも感染することが あります。その際には症状はほとんど出ませんが、動物はキャリアーになってウイルスを放出してほかの健康な動物に感染を広げることがあります。
     (山内一也 人獣共通感染症 第116回 口蹄疫との共生」(日本獣医学会)

不活化ワクチンは備蓄する期間が長くなると劣化してしまい、ウイルスが生き残っている場合です。口蹄疫のような強力な感染力をもつ伝染病でこの事態が起きると、人為的にウイルス散布をしているに等しいことになります

(3)不活化が不十分で ウイルスがワクチンの中に生き残ってしまうことがあります。現実に1980年代にヨーロッパでこの事態が起きて、それ以来、ヨーロッパでは口蹄疫ワクチンの使用は完全に中止されました。ただし、現在の品質管理システムでは、このような事態が起こることはないと考えられます。
                                             (同上)

次に考えられるのは、ウイルスのタイプが違っていたことです。たとえば、トリインフルエンザでもH5N1型というだけで、グアテマラ株もあれば、メキシコ株などもあります。日本にはグアテマラ株が2005年に侵入しています。

「O/2010/JPN」という宮崎口蹄疫のウイルス・タイプが、備蓄していたO型ワクチンとタイプが同一であったか誰にも分からないことです。私は、あの抑制効果が見られなかった状況からして、相当に疑問だと思われます。

宮崎県のウイルスは既に変異をして「新型口蹄疫」、勝手に名をつけて「口蹄疫O型宮崎亜型」(←こんな名称は存在しません、念のため)というサブタイプになっていたのだとすれば、抑制効果が限定されるのは当然のことです。

(1)口蹄疫ウイルスには、7つの血清型があり、さらに多くのサブタイプがあるため、ワクチンは流行株に適合しなければ効果がありません。時折、これまでのワクチンが効果を示さない新しいタイプのウイルスが出現することがあります。流行株に合致しないとワクチン効果が期待できない点はインフルエンザの場合と同様です。
                                              (同上)

ではなぜ、ともかくも感染拡大が止まったのでしょうか?
私は答えは簡単だと思っています。それは殺処分が、家畜の存在しない緩衝帯を作ってしまったからです

効いたのは、ワクチンではなく、後者の殺処分だったのだと私は考えます。ならばそもそもワクチン接種をする必要もなかったし、それを条件にしての殺処分命令もナンセンスだということになります。

ワクチン接種などせずに、発生点から発生動向調査をかけて、陽性家畜を見つけ出し、摘発淘汰をかければ済んだことです。

あるいは、発生点から半径500mから1キロの範囲で予防殺処分をしたほうがはるかに小規模な殺処分で済み、かつ確実な方法であったと思います。

宮崎県でとられた手段は、本来丹念に行うべきこまめなサーベイランスと組み合わされた殺処分という防疫の王道をから大きく逸脱した邪道の防疫手段でした。

確かに殺処分をかけてしまえば、言い方は悪いですが、「死人に口なし」で自然感染であったかどうかは分からなくなります。私はここにも農水省官僚の歪んだ意思が見え隠れしているように思えます。

自然感染なのか、ワクチン由来なのかは、殺処分してしまえば闇の中に葬られます。たぶん農水省官僚はここまで考えています。だから、使用したワクチンがマーカーワクチンだということを未だ伏せているのではないでしょうか

マーカーワクチンならば、NSP抗体の陰性が確定しさえすれば、自然感染だということのなによりの証明となります。「自然感染した家畜と区別がつかない」などということはたわ言です。

かつてのベトナム戦争は、膨大に備蓄して破棄処分せねばならない弾薬の捨て場でもあったという説がありました。憶測に過ぎませんが、農水省は、期限切れ寸前の70万頭分のワクチンを宮崎県という「戦場」に一挙投下してみたかったのではないでしょうか。

そうすると、ワクチン接種国に格下げになることから、殺処分を強行したのかもしれません。

そしてワクチンが備蓄期間中に不活化が甘くなっていたために、かえって感染を拡大したが、それも殺処分と区組み合わせることで、闇の中に消し去ったのかもしれません。

だとすれば、明らかにマーカーワクチンの本来の使用方法から逸脱しているわけで、それに驚いたOIEのアドバイザーの訪日を農水省が拒否した理由も解ります。

私としては珍しく陰謀ストーリーになって恐縮ですが、突き詰めるとそのようなことも考えてしまうのです。

■写真 栗が沢山採れました。うちでは大量にジャムにしたりしています。

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コメント

消費期限切れ寸前のワクチンを使ったのなら、その効果も期待薄ですね。せめて、半額のシールでも貼っとけばよかったかも(笑)
今回の記事の内容が、総括(国でも、県でも)されることはないのでしょうね。少し、県には期待しているのですが。
ワクチン接種によるウィルス制圧より、殺処分の方が効果があったことは、明らかなようですね。たとえれば、今回のワクチン接種&殺処分は、山火事の延焼を防ぐとき、消火剤をかけてから木を切り倒す作戦と同じ。消火剤の効果は期待薄、燃える木を排除するだけでも十分な効果が得られるということでしょうか。少しくらいの火の粉は、すぐに消し止められるし。

ワクチンの消費期限はかなりの余裕をもって表示されていますから、期限切れ間近だからといって、効果が落ちることは考えられません…保存状態が悪ければ別ですが。

また、国が備蓄している緊急ワクチン(豚コレラ、口蹄疫)は、期限切れ前に随時更新できるよう予算措置されています。
入れ替えられたワクチンの廃棄費用も予算措置されていますので、期限が切れそうだからといって慌てて使うことはありませんし、第一使う方が金がかかってしまいます

今回の口蹄疫はおかしな事ばかりです。
欧米のような防疫のプロが居ないから仕方ないのでしょうか?
DNAが最大で30%も違う口蹄疫ウイルスにワクチンを接種する必要は???

消毒薬も次亜塩素酸???
挙句の果てに農水の委員をしていた大学教授から効果が低いとのデータが発表され徳島県のHPに掲載された。
つまり防疫など ないに等しい事が証明された事になるでしょ。

なのに宮崎の農家の怒りが伝わらないのは何故?
今のままでは畜産農家が気の毒です。

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