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宮崎口蹄疫事件 その114 ワクチン接種が感染拡大を阻止したというのは大本営発表か?

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私は今回のf宮崎県で取られたワクチン接種・全頭処分政策に対して少しずつ疑問を抱き始めています。

「日本農業新聞」(9/27)で、ワクチン接種されて殺処分された家畜と、通常の殺処分と補償水準が異なることが問題となっています。

「補償水準が感染農場とワクン接種農場で異なるという問題も、再建への動きが具体的になる中で鮮明になってきた。
「ワクチン接種後に殺処分された農家には家畜共済の支払いがない。いつ氏原さんら割れるのか判らない家畜を買い続けたのに房卯平だ」。尾鈴が25日,都農町で開いた経営再開説明会でも、農家が声を上げた」。

このように現実に、ワクチン接種・全頭殺処分をくった畜産農家は、健康な家畜を国の命令で殺された上に、共済金が降りないという二重の苦しみにあっています。

コメントにも頂戴しましたように、国は事前に実験室レベルで試験はしていると思われます。しかし、現実のフィールドで、いかなることになったのでしょうか。

国は5月22日に豚で、そして翌23日には牛でワクチン接種を開始しています。したがって、この後に発生したケースは、ワクチン接種が何らかの理由で効かなかったと考えていいと思います。

口蹄疫の潜伏期間は、通常24時間から10日間、平均して3~6日だと言われています。

では、ワクチン接種後の発症を、平均潜伏期間3日後から6日後の期間で牛と豚別に見てみます。

●ワクチン接種から3日後…3件(牛3)
            4日後…14件(牛12、豚2)
            5日後…10件(牛9、豚1)
            6日後…4件(牛4)

                計31件((牛28頭、豚3頭)・・・①

この31頭という数字は、同期間の発症の51%に相当します。つまり半数がワクチンが効いていないということになります。

続けて、もう少しスパンを拡げて、最大潜伏期間である10日間を見てみます。

●ワクチン接種後7日後…6件(牛5、豚1)
           8日後…4件(牛3、豚1)
           9日後…4件(牛1、豚3)
          10日後…3件(牛1、豚2)
              計17件(牛10.豚7頭)・・・②

さらに最小潜伏期間の24時間を加えます。

●ワクチン接種後2日後…4件(牛3、豚1)・・・③

①+②+③=52件

さて、ワクチン接種が始まった5月22日から10日間の発生状況を見ます。
5月22日は児湯郡木城の第172例です。そして10日目の6月1日は西都の第253例です。つまり81件の発症をみているわけです。

また6月10日の第282例までは、ワクチンを接種しています。ワクチンを接種せずに発症したのは、6月14日の第289例から7月5日の宮崎市の第292例の4件しかありません。

発生日とワクチンの接種日の関係は、わがブログでおなじみの岡本嘉六先生のHPでご覧いただけます。先生、いつもありがとうございます。http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Events.htm

となると、この期間5月22日の第172例から6月10日第282例の110件の発生はことごとくワクチン接種をしたが効果がなかったことになります

私はあくまでも素人なので、この考え方でいいという確信はありません。というのは、ワクチンで抗体が上がるのが1週間ですので、そこまで勘案するともう少し複雑なことになると思えます。大雑把ですいません(汗)。

しかし、国が豪語するようにワクチン接種・全頭処分によって感染拡大をくい止めた、というのがどうも大本営発表くさいという気がしてきました。

農水省も、ワクチン接種後にこれほど多くの100件を超える規模の患畜を出してしまったことは予想外でなかったかと思います。
といのは、先ほど述べたように6月10日の発生までことごとくワクチン接種済の家畜であり、ワクチン接種していない家畜はまったく発症していないのです。これではなんのためにワクチンを打っているのか分からないではありませんか!

昨日にもご紹介した山内一也先生の指摘を思い出して下さい。先生はこう言います。

2)ワクチン接種した動物でも感染することが あります。その際には症状はほとんど出ませんが、動物はキャリアーになってウイルスを放出してほかの健康な動物に感染を広げることがあります。
         (人獣共通感染症 第116回 口蹄疫との共生」(日本獣医学会)

私は,ワクチン接種後にキャリアーとなった家畜が、ウイルスを放出して、むしろ感染拡大を拡げてしまった可能性が高いと思っています。そう考えないと、この5月22日からのワクチン接種した家畜に100頭を超える発症を出した反面、ワクチン接種していない家畜の発症はゼロであったという明らかな違いを説明できません。

少なくとも、農水省疾病小委員会の寺門委員長代理が言うように、「ワクチン使用によって、感染しても家畜からのウイルス排出量を減らすことができ、殺処分の時間を稼ぐことができる」(毎日新聞5月18日)というのは、願望にすぎなかったことだけは確かなようです。

■写真 秋空とトンボ。絵になりますなぁ。この写真ヤブ蚊にさされまくって撮りました。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

「ワクチン使用によって、感染しても家畜からのウイルス排出量を減らすことができ、殺処分の時間を稼ぐことができる」(毎日新聞5月18日)というのは、願望にすぎなかったことだけは>>>>>

初めて、現場で、行ったのですから、当初より博打と同じと言うことは、解っていたはずです。

この問題は、本来、ワクチン接種家畜の検体を採取して、詳しく調べないことには、解らないでしょう。

ワクチン自体の不活化ミスとかもありえる話ですし。
注射量も、すでに、自然感染済みの場合は、当初決めた量で、良かったのかとか。。

投稿: りぼん。 | 2010年10月 3日 (日) 09時56分

家畜共済は、不慮の事故等に対処するために設けられていますので、今回のようなワクチン後殺処分と言うような事態は、想定されていないと思います。法的根拠が無いために共済金の支払いが不能なのかもしれません。或いは、特措法による基準評価額の問題もあります。通常、母牛は60万評価が基本ですが、今回は80(81?)万ですので、既に共済の評価額を越えています。その為に、共済金を支払うことが出来なくなったとも考えられます。
80(81?)万と言う基準評価額が、どこから出てきたのは知りませんが、その金額は、あくまでも基準であり、系統や年齢等で加算されます。
通常であれば、母牛1頭が概ね100万前後になるそうです。この補償金の額が、前のトピックスでdoll24様からの指摘を受けたロゴの答えになります。

ワクチンは、地図上では同心円内で接種されたように見えますが、実際は、地理的要因等で、接種予定円ないでも、接種されていない農家も存在します。
それらの農家にとって、ワクチン接種から殺処分の間までは、自分の家畜が殺されずに済んだことは、一安心であり、喜びにも似た感情があったかもしれません。しかし、その後の補償が始まると、その感情は一変します。
先程の補償金で勘案しますと、例えば10頭の母牛を飼育していた農家は、母牛と、もちろん子牛や胎児もいますので、概算で1000万以上の補償金を受け取ることになります。そのお金で、今までの設備投資やその他の負債を整理して、余力があれば、畜産を再開する際の資金となります。また、再開する気が無ければ、新しい事業への資金とする事も可能です。いずれにしても負債0から再出発が可能です。
しかし、ワクチン非接種農家は、全国の皆さまからの義捐金はいただきましたが、それ以外の補てんはされていません。負債は出荷停止の期間、増えこそすれ減りはしていません。
口蹄疫が終了し、市場再開、事業再開となった時に、方や負債ゼロ。方や今まで以上の負債。
家畜はあくまでも経済動物である以上、お金が絡むのは仕方ないことですし、ワクチン非接種農家から、「うちもワクチン打ってもらったほうが良かった」と言う、心情の吐露があるのは、私は理解できます。
実際に、そう言う農家を何人か知っています。
皆、まじめな農家です。自分の牛を殺したいとは思っていません。しかし、お金の話とは、そういうものではないでしょうか?

投稿: 一宮崎人 | 2010年10月 3日 (日) 12時40分

岡本先生の情報と宮崎県のプレスリリースの内容に不一致があります。全部、チェックはできませんが、160例目以降を見ていただければ、はっきりします。
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/nosei/chikusan/miyazakicow/h22koutei79.html

それから、
>5月22日は児湯郡木城の第172例です。
とありますが、160例目の誤りでは?

この辺りのデータが少し、ずれたくらいでも、管理人さんの主張にそれほど、影響は無いでしょうが、できるだけ、データの精査をお願いします。
生意気言って済みません。
良かったら、私の所有するデータ(Excelファイル)を提供させていただけませんか。ただし、関連農場の後報により、若干頭数が違っていますが。

投稿: Cowboy | 2010年10月 3日 (日) 14時49分

こんにちは青空です

口蹄疫に触れるブログ、ツイッター、マスコミも随分減りました。地獄の最中の4~7月のネット上での百花繚乱が嘘のようです。
いつぞや現役養豚家様がおっしゃっておりましたが、秋風が吹く頃には、参加者は少なくなり、残った人々が真に様々な意味で真剣に向き合っている人々だと。ことの本質をよく見られておられます。
コメントする方も随分変わりましたが、閲覧のみになった方も含め、今この問題を真剣に考えている方々が真に重要なのかもしれません。

DOLL24様、一宮崎人様それぞれご主張は異なり、おかれている環境も、年齢、経験も異なられるのでしょうが、あまり身構えず意見のひとつとして受けいられるのも一法かと、僭越ながら申し上げます。
私からは皆様の様々な発言は大変勉強になり、自身の考え方に参考に、あるいは考え方そのものが誤りであると知る記帳なものばかりです。

当然私も皆様の意見とは異なる知見を持っておりますし、記事やコメントに自分の考えを述べさせていただいております。お叱りやご批判、考え方の問題点などご指摘頂くことは従来から多分にありますが、それぞれありがたく拝見させて頂いております。

年齢が年齢ですし、当初は(ブログにコメントを始めたのは恥かしながら口蹄疫が初めてでした)ちょっとでも自分の意見と違うとそれを覆そうという欲求に負け、コメントを頂いた方に失礼な物言いをすることも多々ありました(今もそれほど改善されていませんが、管理人様にはご迷惑をかけ続けていると反省して、大変感謝、尊敬させて頂いております)

コメントや記事は各人が置かれた環境(経済的、ご拠点、生業、業種、家族構成、年齢、本災害での直接的、間接的な影響度合い)や本件へのスタンス(法的な面、政治的な面(行政のシステム・知事・大臣の個人への意見・行政官僚含む全体的なシステム・マニュアル・現法・他国との比較)、畜産業としての面(地区・宮崎県・九州・日本全体)、あるいは総合的な経済的・社会的な面(異業種含む))で大きく異なるはずです、同じであろうはずがありません。

すでに数ヶ月が経過した中で、依然これが正解であったといった納得のいくものはでていません。
マスコミ、各ブログ等ネット、書籍、政府意見・県意見ともです。
私見ですが、これは重要なことです。今回の伝染病を押さえ込むまで実質4ヶ月を要しましたが、5ヶ月を超えようという現在を持っても、部外者や他県、政治での大量のマンパワーや各種知識層の知見を持ってもいまだに納得のいく総括ができないのです。
いわんや感染拡大期に気が遠くなるような実処理を行っていた中で関係者があったであろう一本の糸のような真理にたどり着き、施行者、関係者、利害関係者全員が納得し、実行動に展開させるなどそれこそ机上の空論と言えるのではないかと感じつつあります。

ただ、現時点から、その時、その時の分析、反省、改善点、失敗を読み解くことを様々な意見を持つ方が行うことは、残念ながらまたあるであろう、大疫病の発生時(家畜・人問わず)の拠り所となる可能性があり大変貴重なものと確信します。
感情の昂ぶりは極力押さえ、冷静に議論を行うことは得るものこそあれ失うものはないはずです。
様々なコメント者が現れ、あるいは見なくなりました。願わくば今この時こそ、今はコメントされなくなった人も含めそれぞれの考えを発信すべきではと思っています。

投稿: 青空 | 2010年10月 3日 (日) 17時23分

cowboy様、岡本先生と宮崎県のプレスリリースと突き合わせはしていませんでした。5月22日は複数件発生しており、172~181例です。
160例は岡本先生のデータでは、5月21日の児湯のものです。どうしてそのよな違いが出たのかはよくわかりません。
私は一貫して岡本先生のデータに依拠していましたので、どうしたものかなぁ。岡本先生もその道のプロですから、そうそう安直なミスをするはずがないし。今更変えると狂ってきちゃうでしょう。
エクセルいただけると嬉しい。大喜びです。それと、メルアド教えてくださいね。

投稿: 管理人 | 2010年10月 4日 (月) 06時08分

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