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2010年10月 1日 (金)

宮崎口蹄疫事件 その112 東国原知事の手記を読む第6回 宮崎口蹄疫事件は国家防疫でなければならなかった

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東国原知事評価の難しさは、知事の意思と反した国のリングワクチン・殺処分政策に同意して推進していると事件当時には思われていたことです。

ですから、後にリングワクチン政策批判を始めると、「同意して推進したのはあんたじゃないか」という批判が生じてしまいました。

また、県有種牛問題では、法執行の平等性が問われてしまいました。まして民間種牛問題では、県有に転換するという薦田氏の意思がまっすぐに伝わらず、「二匹目のドジョウを狙って、なにをトリッキーなことをしているのか」という気分にもさせられました。

全体を通して知事が苦悩していることは理解できるのですが、どこか中心線がブレ続けているという印象がありました。これが多くの県内外の畜産農家の感想ではなかったかと思います。

これは初めのボタンの掛け違いに始まることが、事件後にわかってきました。
「初めのボタン」とは、赤松氏という論評もできないような無能大臣のことではなく、国が冒険的にも持ち出してきた「壮大な実験」であるリングワクチン・殺処分政策を呑まされてしまったことです。

これを呑まされてしまったために、知事としては不本意な「国の露払い」という評価が畜産農家の中に植えつけられてしまいました。後に事件中であるにもかかわらず知事は、リングワクチン政策に反対であったという意思を漏らしますが、そのときには既に大量の健康の家畜がワクチン接種後に殺されており、なにを今更と思われてしまいました。

このことが、県外のみならず知事自身がブログで書くように「後ろから弾が飛んでくる」ことを嘆く状況を招き寄せています。

この国の新方針を受諾する前後のことを知事はこう書いています。

「苦渋の選択、断腸の極みで受け入れていただけたのも国の責任で実行し、国が充分な補償をすると約束したからです。
お金のことばかり申し上げて恐縮ですし、農家の皆さんたちや関係者のお気持ちを考えるとこれまでのご苦労はお金には換えられないことは充分理解していますが、農家さんたちや関係者の現実の生活がそこにあるんです」。

知事がここで言っているのは、殺処分に伴うさまざま補償の財源的手当てが貧乏県の宮崎にはつかなかったために、その足元を見透かされるようにして、それを人質にされたかっこうでリングワクチン政策を呑まされたことです。

この交渉過程は未だ不明ですが、間違いなく、県は国からリングワクチン政策を実行しなければ、補償問題は進まないと言われているはずです。口蹄疫特別措置法の話も出ていると思われます。しかしこの特別措置法は、あくまでもリングワクチン政策をやってなんぼのものですから、知事にはほとんど選択肢はなかったように思われます。

続けて知事はこう書きます。

「またマスコミからは知事が国が国がと言いすぎるとの指摘を受けました。あくまでも通常の伝染病については、基本的に都道府県が法定受託事務として主体的に実施していくものと考えていますが、今回の口蹄疫のように極めて感染力が強く、県境を超えて感染拡大の恐れがある場合は、地方自治体の法定受託事務では適応できません」。

ここで知事が言っているのは、今回の宮崎の口蹄疫が伝染力の強力さにおいて、既に県の範囲を超えていて、広域に拡がらないためには国が主体とならねばだめだということです。知事は、続けてこう書きます。

「もはや広域の法定伝染病や広域災害同様、既に一自治体の範疇を超えた国家防疫でした。国家の危機管理として、国の責任において対策が求められる事態なんです。バイオテロにも通じる要素があり、私は戦争も同様とさえ思っていました」。

まったく同感です。評論家が言うのではなく、日本の畜産史上最悪の被害を出した口蹄疫と闘った首長の言葉には無視できない重さがあります。この言辞を、私たちはしっかりと今後の教訓にせねばなりません。

家伝法の見直しが始まるようですが、県に対する国の統制権限強化といった国の得手勝手に終わることなく、広域伝染病は国が責任を初動から取りきる新たな体制作りが求められています。

■写真 スペインの絵皿です。

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コメント

「国の壮大な実験」が、どれだけしっかり反映されるのか、見物ですね。

ネットのニュースで見ただけですが、副知事が後継候補として出馬に前向きだそうです。
で、この方は税務畑から県総務部長というガチガチの役人なんですね。

就任からあれだけテレビで言いたい放題で注目を集めながら、そういう人材を見方につけて副知事を任せていたということに、東国原知事の非凡さを感じます。

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