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2010年10月22日 (金)

宮崎口蹄疫事件その130 現地識者座談会を読む第1回 発生を生産者に県は伝えていなかった!

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「PIGジャーナル」9月号には、たいへんに面白い座談会が掲載されています。

なにせメンツがすごい。まずは私が口蹄疫防疫の師と仰いでいる岡本嘉六鹿児島大学教授、続いて、疫学チームのメンバーであり、堆肥残存ウイルス調査をされた地元宮崎大学准教授の末吉益雄先生、そして地元獣医師のS氏、同じく地元養豚家のK氏などによる豪華対談です。

まぁ一般誌ではぜったいに見られないでしょうね。私はよくテレビに出てくるような東京の学者よりは、現地に近い防疫研究者や獣医師の意見を聞きたいと、かねがね思っていました。それがこのような対論形式で聞けるとは嬉しい限りです。いや、一冊2000円の価値はありますよ(←しつこい)。

もう丸ごと買って下さいと言って終わりにしたいくらいですが、なかなか入手できる雑誌でもないので、少しずつご紹介しましょうか。

まぁ当然最初に出て来るのは、初動の致命的なミスでしょう。

冒頭で末吉先生が、そのことを手厳しく指摘されています。末吉先生は、牛と豚の密集地であったことが感染拡大の重要なポイントだとしながらも、こう述べられます。

「10年前の口蹄疫、そしてトリインフルエンザの発生で早期の封じ込めに成功したという自信が裏目に出たのではないかを反省せねばなりません」。

このことは単なる精神論ではなく、今回の初動がなぜあれほど遅れたのかを知る手がかりになります。

具体的に出てきたのは、地元養豚家のK氏のこの訴えです。

「私の農場に口蹄疫発生に関連した情報が県から入ってきたのは発生から1週間もたってのことでした」。

これは絶句です。K氏の農場は発生地ですから1週間と言えば、4月27日、まさにあの県畜産試験場の豚の発症という火薬庫が爆発する前日です。そこまで県からの連絡がないとは・・・。もはや唖然とします。

実はいちおう県も情報を流してはいるのです。
「なぜもっと速く生産者に知らせなかったのか」というK氏の問い質しに対して、県は「防災無線で知らせた」と答えたそうです。

二度絶句。わが農場にも、自慢じゃないが防災無線なんか設置していませんよ。村の中にスピーカーのエコーかかりまくりの防災放送がたまにありますが、ほとんど聴取不能です。 

わが茨城県では、即時に県家保からファックスで防疫情報が農場に伝達されます。つい先日も韓国でのトリインフル発生の情報が流れました。伝染病の発生と確定情報を流すなどは、県家保業務のイロハのイの字でしょう。その基本がおざなりにされていたことが判りました。話になりません。同じ畜産家として怒りすら感じます。

K氏も4月20日早朝に、養豚家の仲間からの電話で発生確定を知ります。しかし、それを知らなかった仲間には20日のうちに出荷をしてしまった人もいたそうです。

もし仮にこの生産者間の連絡網がなく、知らないままでいた人がいたとしたら(たぶん相当数いると思われます)、潜伏期間中の家畜を県外移動したことは大いにありえることです。

K氏はこう言います。
「そもそも非常事態にあたって、まず生産者に連絡しようといういう発想がなかったのだき思います。口蹄疫が発生しているから、移動制限をしろ、消毒をやってくれ、とまず生産者に連絡をしないと始まらないではないですか」。

いや、まったくそのとおりです。防災無線で流して事足りたと思うこと自体が、異常です。だいたい家保や県の家畜課の職員が手分けして電話すれば数時間もあれば済むことなのに、それさえもしていないわけです。

このような話を聞くと、宮崎県には口蹄疫のまっとうな緊急マニュアルが存在していないか、あるいは誰もそれを読んでいなかったのではないか、とさえ思えてきます。

そして末吉先生も移動制限がこの10年間で逆に甘くなっていることを指摘します。

「2000年当時は、1997年の台湾口蹄疫の事例もあり、移動制限20㎞、搬出制限50㎞で設定されました。しかし2000年7月に北海道に飛び火して以来、その後の各地のトリインフルエンザの発生では、移動制限10㎞、搬出制限20㎞に緩められてしまいました」。

今回の口蹄疫事件で、かねがね指摘されているのは早期の移動制限、搬出制限が甘かったことです。末吉先生は言います。

「口蹄疫本来の恐ろしさを考えると、経済的打撃は大きいですが、移動制限20㎞、搬出制限50㎞の防疫ラインがやはり必要なのではないでしょうか」。

10年間で緩められている移動制限と搬出制限、そして弛緩しきった危機管理体制が、この宮崎口蹄疫禍の背景にはあるようです。

S獣医師もこう言います。

「今回の口蹄疫では、重要なポイント、ポイントで楽観的な見方が郵政な状態で物事が決定れれていったように思います。私は当初から悲観的な見方をしていましたから、現実はそちらの方向にどんどん進んでいってしまいました」。

明日もまたこの座談会を読んでいきます。あの言い訳と、肝心なことがまったく書かれていない東国原手記よりはるかに面白いことは確かです。

■写真 青ゆずがたわわに実り始めました。もうすぐ黄色に色づきます。霜が降る前に収穫して、わが農場ではママレードやポン酢にします。青ゆずもゆず胡椒を数瓶つくります。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

「なんでもっと早く知らせないんだ」
「防災無線で知らせました」

典型的なダメ役人じゃないか…。

基本的に、愛知県は、農家FAX番号登録制の一斉同報です。
また、口蹄疫には、関係ありませんが、警察の不審者情報は、登録携帯メール、PCメールへの、一斉同報メールです。

これは、外出していても、携帯なら、連絡が着くからです。

幼稚園の雨による運動会の延期連絡すら、登録携帯一斉同報メールです。つまり、1軒で、両親共働きとか、祖父母まで、運動会を気にしている人が居ますので、関係者全部に連絡です。
もちろん、その情報が、きちんと読まれたのか、学校のパソコンで、誰が、メールを開いて、読んだのかも、全部、リストで、解りますので、メールで伝わってない人には、個別で、電話するなど、対応できます。

これらは、地元、電力会社がシステム構築していて、携帯電話の通信業者や機種にかかわらず、全部通報されます。

現在、非常通報に、FAX同報や、携帯メール同報などは、当たり前でしょう。

特に、東海地震があると言われている地域ですので、そういう1瞬の時間で、緊急通報するシステムは、愛知は、揃ってますね。地震のP波を感知して、何秒後に、S波が来ますなんて言う自動放送設備も、気象台のコンピュータ連動で、ありますし。。。

FAX同報システムが、存在しないことすら、信じられません。これらは、どの地区で、どういう伝染病が、発見されたかとか、平生、利用価値のあるものです。

愛知県スゲーな。
いつ大きな地震が来るかってのもあって2重3重に通報網構築してるんですね。
自分とこ地震通報専用機材もけっこう安いのが出回ってますが、ほとんど売れてない。
テレビはデジタル化で3秒遅れる。

じつは災害が少ない場所とはいえ、最近そこら中で活断層が見つかってます。


伝染病なんか、電話するかファックス・携帯メールの一斉配信で住む話。
なんか心配になってきた…。

宮崎の郡部では、防災無線による周知は普通です。
電話もまだアナログ回線のままの家も多いでしょうし。FAXがない家も多いでしょう。
都市部の方から見れば、驚きかもしれませんが、そう言うインフラの整備は、まだまだ遅れています。
やっと、光回線が入るかも?なんて所、いっぱいありますよ。
ただ、それでも、周知が遅れたのは、口蹄疫と言う病気が、人に影響がなく、家畜の病気であるだけで、凄まじい経済損失をもたらすことを、町や村の担当者が認識していなかったと言う事はあるかもしれません。
その認識の甘さが、初期の周知の遅れを招いたことは間違いないのではないでしょうか?

震源地の養豚農家へ県から一週間経てから伝えられた
のは「口蹄疫発生」ではなく「口蹄疫に関連する情報」
だとすれば、微妙にニュアンス変化するような気がします。ただ、発生情報を防災無線云々はいただけないですね。
畜種によって異なると思うのですが、和牛なら振興会、連絡協議会、酪農ならば県酪連、養豚の場合はよくわかりませんが、県=地方自治体よりも、所属組合との連絡網の方がキチンと確立されてると思います。
国同様、県をあてにできないのはこちらでも似たり寄ったりです。

一宮崎様。
私のとこは都市部なのに光回線なんかやっと5年前ですし、ちょっと田舎行くとブロードバンドなんて「なにそれ」です。
でも昔から電話ならある。
電話連絡網があるだけで、数時間で末端まで必要最低限の重要情報は伝えられるでしょう。

最近は「個人情報保護」とかで、学校のクラス連絡網にさえ番号掲載拒否するケースもあると聞きますがねぇ…。

なんなら、消毒車引き連れて一軒毎に広報車消毒しながらスピーカーでがなりたてて回ることだって可能なはずです。

残念ながら仲間内の連絡のほうがよっぽど当てになるみたいですね。

家保がんばれよ!

最近は「個人情報保護」とかで、学校のクラス連絡網にさえ番号掲載拒否するケースもあると聞きますがねぇ>>>>ここまで来ると、個人情報保護条例や保護法を、利用した行政のサボタージュ以外の何物でもありません。緊急電話連絡網に、電話番号が書かれていないなんて、意味ないでしょう。公益に見合う情報提供は、当たり前です。電話番号を知らせない方には、緊急情報が、到着しない。で、OKでしょう。その方は、緊急情報をもらうより、自分の電話番号が知られたくないのですから。。個人経営であれ、牛飼いも豚飼いも事業です。事業が、事業所の連絡先もオープンにしない状況で、果たして、世間から信用できますか?銀行が、電話番号も公開しない牛飼いに、融資をしますか?
個人情報保護のはき違いも、はなはだしいですね。
牛飼いと言う事業をやっているのに、ぞの事業の存在を、外部にまったく知らせないなんて。。

現状、携帯メールだって、ツイッターじゃないけど、リアルタイムで、情報が来ますし、それが、当たり前。
FAX付き電話機を、常備するくらい。事業者なら当たり前でしょう。

なお、個人情報保護法には、電話連絡網を作ってはいけないなんて、書いてありませんよ。第1、牛飼い事業が、個人?かね~。れっきとした、事業でしょう。税法上、白色とか青色とかで、申告しているだけで、株式会社や有限会社と、やってることは、同じでしょ。

防災無線は、あくまで、サブで、非常用ですよね。
聞き取れない場合もありますし、その場に居ないと伝わらない。その点、FAXやメールは、発信者、内容、発信時刻など、きちんと、証拠が残る。

重要な情報で、記録を残さないシステムは、メインの情報伝達には、なりえないと思います。

一斉同報可能なFAXを役場に導入するか、NTTと契約して、一斉同報をするかでしょう。

すでに、都市部では、一斉メールサービスなど、いろいろな緊急連絡システムサービス会社が、たくさんあります。田舎ほど、そういうサービス網を使わないと。。。使わないから、光ケーブルだって、敷設が遅れる。
ケーブルTVで、一斉同報する市町村もありますし。。

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