« 宮崎口蹄疫事件 その140 政府検証委員会と疫学チーム報告書出揃う | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その142 7例目大型農場「A牧場」の疫学調査チーム報告書  »

宮崎口蹄疫事件 その141 初発6例目「水牛農場」の疫学調査報告

002_edited1

疫学調査チーム報告書より初発6例目の部分を抜粋して掲載します。

この農場は初発とされたために大変なバッシングの嵐に合ってきました。農場主は、若い日より、イタリア本場に留学し、チーズの製法を学んできた苦労人です。特徴あるチーズを製造し、ようやく軌道に乗ったのもつかのま、この口蹄疫事件に合ってしまいました。心から同情します。

この報告においては、今まで風説として流布されてきた韓国人訪問団や、韓国人研修生は「疫学的に注目すべき情報はなかった」とされました。

また従業員や経営者の渡航歴もないと断定したようです。
獣医師、飼料敷料関連も可能性がないとされました。

唯一、侵入ルートして可能性が指摘されているのは、訪問した観光客のみですが、出入りの記録がないために調査は事実上不可能でしょう。

6例目からの伝播は、4例目、5例目共に従業員として働いていましたが、3月末までの期間に勤務していませんでしたので、可能性はないと判断されました。

1例目の農場主が、自治会会報を届けに3月26日、4月11日に訪れており、伝播との関連があるとされています。

飼料運搬車による伝播も、8カ所の発生農場に出入りしていましたが、搬入時期と発生時期がズレたために可能性から排除されました。

なお、読みやすいように改行、ゴチックを施してあります。原文はこちらからどうぞ。http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/ekigaku_matome.pdf

■6例目 ウイルス侵入推定1番目
所在地:都農町
飼養状況:水牛42頭、豚2頭
発生確認日:4月23日
推定発症日:3月26日
推定ウイルス排出日:3月23日
推定ウイルス侵入日:3月19日
(注) 発症日、ウイルスの排出日・侵入日の推定方法については、P.14を参照。(以下、同じ。)

■〔発生の経緯〕
3月26日: 水牛2頭に発熱、乳量低下が見られたことから獣医師が診療。その後、数日間で同一の症状を呈する水牛が増加。

3月30日: 異常が9頭で認められたため、獣医師が家保に通報。

3月31日: 家保が立入検査。症状は発熱、乳量低下、下痢等であり、この時点で
は口蹄疫を疑うべき症状とは考えず、3頭の血液、鼻腔スワブ(鼻腔内のぬぐい液)、ふん便を採取し、ウイルス・細菌・寄生虫検査を実施。

4月5日: 家保が獣医師から「ほとんどの水牛が解熱したが、一部の水牛の乳房に痂皮(かさぶた)が見られ、アレルギーを疑っている」と聴取。

4月14日: 家保が再度立入検査し、3月31日に採血した3頭のうち1頭から再び採血。回復した水牛もいたが、乳質の低下(脂肪分減少)、一部で脱毛が見られた。

4月21日: 4月20日に発生が確認された1例目の農場との関連農場であることから、宮崎県疫学調査班が立入調査。全頭が回復し症状が見られなかったが、当該農場主が1例目の農場主に初期の症状を確認したところ、自分の水牛の症状と似ていると考え、「4月1日に上唇に大豆大の潰瘍、他の1頭にマッチ棒大からゴマ粒大の白っぽい丘疹が乳房に散在していきゆうしんた」旨を家保に報告したとのこと。

4月22日: 家保が立入検査したところ、臨床的な異常は見られなかったが、検体を採取し、3月31日に採取した検体と合わせて動物衛生研究所に検体を送付。その結果、3月31日に採取した鼻腔スワブ3検体中1検体でPCR陽性、4月22日に採材した血液で5検体中5検体が抗体陽性。

■〔要因ごとの調査結果〕
■1 家畜関連
水牛の導入
【侵入】
平成20年に20頭、21年に5頭の水牛を豪州より導入しているが、豪州は口蹄疫の清浄国であり、かつ、輸入検疫が実施されていることから、当該農場にウイルスが侵入する要因となった可能性は極めて低いと考えられる。

豚の導入
【侵入】
平成19年に鹿児島県から黒豚2頭を導入し、22年2月に出荷。また、22年3月には町内の生産者から2頭を導入しているが、口蹄疫の発生確認後に実施した豚の抗体検査の結果は2頭とも陰性であり、当該農場にウイルスが侵入する要因となった可能性は極めて低いと考えられる。

水牛の出荷
【侵入】
平成19年12月に子牛を近隣の生産者に譲渡しているが、当該農場にウイルスが侵入したと想定されている時期よりもかなり早く、ウイルス侵入の要因となった可能性は極めて低いと考えられる。

■④ 死亡水牛の処理
【侵入】
水牛は食肉処理場への出荷が認められていないため、雄子牛や受胎成績が悪い雌牛は獣医師による安楽殺(直近では3月20日に実施。年間では5~6頭程度)を実施。死亡獣畜処理業者(地域内)には自家用トラックで持ち込んでいた。

当該死亡獣畜処理業者の従業員等に本年に入ってからの海外への渡航履歴がないことから、この持込みがウイルスの侵入要因となった可能性は極めて低いと考えられる。

【伝播】
死亡獣畜処理業者のトラックが3月20日の直後(20~22日)に訪問した農場の一部(13、18、23、25、37、60、122、146、191、216、227例目農場)で発生が確認されているが、これらの発生農場に立ち入った時期と各農場にウイルスが侵入したと推定される時期がずれており、この死亡獣畜処理業者のトラックの移動がウイルス伝播の要因となった可能性は低いと考えられる。

2 飼料関連
【侵入】
3月に入ってから飼料運送業者の車両が当該農場に飼料を4回搬入しているが、当該飼料運送業者の従業員等に本年に入ってからの海外への渡航歴がないことから、この搬入がウイルス侵入の要因となった可能性は極めて低いと考えられる。

【伝播】
3月に入ってから飼料運送業者の車両が、当該農場に飼料を搬入した4回のうち、3月25日及び4月12日は当該農場で水牛がウイルスを排出していたと推定される時期にある。
これらの車両が当該農場への搬送後に立ち入った農場の一部(111、168、222、284例目農場)で発生が確認されているが、これらの発生農場に立ち入った時期と各農場にウイルスが侵入したと推定される時期がずれており、このことがウイルス伝播の要因となった可能性は低いと考えられる。

3 敷料関連
【侵入・伝播】
ウイルスの侵入が想定される時期に敷料を搬入していた業者は2社だが、双方ともに他の発生農場との関連は認められないことから、敷料運送業者の車両及び人がウイルス侵入及び伝播の要因となった可能性は低いと考えられる。

4 人関連
農場主本人
【侵入】
当該農場を開設した一昨年(平成20年)の春以来、海外へは渡航していないことを確認。また、農場主からの聞き取り調査によると、他の農場への出入りもないことから、農場主の動きがウイルス侵入の要因となった可能性は低いと考えられる。
【伝播】
農場主からの聞き取り調査によると、当該農場主の他の農場への出入りはないことから、農場主の動きが他農場へのウイルス伝播の要因となった可能性は低いと考えられる。

獣医師
【侵入】
本年に入ってから海外への渡航歴はなく、ウイルス侵入の要因となった可能性は極めて低いと考えられる。

【伝播】
3月に入ってから獣医師が当該農場を訪問したのは5回であり、うち、3月26、
28、31日、4月12日は当該農場でウイルスが排出されていたと考えられる時にある。
獣医師が当該農場を訪問した後に立ち入った農場の一部(46、47、99、105、173、180、193、254例目農場)で発生が確認されているが、これらの発生農場を訪問した時期と各農場にウイルスが侵入したと推定される時期はずれており、ウイルス伝播の原因となった可能性は低いと考えられる。

従業員
【侵入】
本年に入ってから従業員の海外への渡航歴はなく、ウイルス侵入の要因となった可能性は極めて低いと考えられる。

【伝播】
水牛の飼育を担当していた従業員2名は、西都市と都農町から通勤していたが、両者ともに他の発生農場との関連はなかった。
4例目と5例目の農場の家族がチーズ工房でパート従業員として勤務していた。(水牛との直接的な接触はなかった。)

4例目の家族であるパート従業員については、2月末までに休職し、その後は勤務していないため、4例目農場へのウイルス伝播の要因となった可能性は極めて低いと考えられる。

5例目の家族であるパート従業員については、牛群の乳量が低下したことから3月末までに休職しており、その後は当該農場へ行っていない。この時期は当該農場でウイルスが排出されていたと推定される時期であるが、5例目農場へのウイルスの侵入が推定される時期(4月14日)より前であり、ウイルス伝播の要因となった可能性は低いと考えられる。

見学者
【侵入】
農場自体はかなりの山奥に位置しているものの、農場主は特徴あるチーズを製造し、宮崎空港内の店舗や大消費地のレストラン等に販売するとともに、ホームページを開設し、農場の様子やチーズの製造・販売を広く紹介していた。また、昨年、全国ネットのテレビ番組で紹介された後は、当該農場への行き方に関する役場への問い合わせが増加したとのことであった。

当該農場には、従来より、レストラン関係者や取材の目的での訪問者があったことに加え、毎日8:30~10:30までの間は見学者を受け付けていたが、これらの訪問者に関する記録はとられていなかったため、人の移動についての詳細な調査、あるいは検証を行うことは困難であった。

その他
【伝播】
1例目農場の農場主が自治会の地区班長であり、3月26日及び4月11日に地区の広報誌を配布するため当該農場を訪れており、1例目農場へのウイルス伝播の要因となった可能性は否定できない。

■5 野生動物
シカ、イノシシが放牧地に入っていたことはあったが、農場内の水牛用プールに水鳥等が確認されたことはなかった。

〔まとめ〕
・当該農場については、推定発症日が一番早いこともあり、海外からウイルスが侵入した可能性を念頭に置いて、様々な可能性について調査したが、家畜の導入や出荷、飼料、敷料などで当該農場へのウイルスの侵入につながるような情報は確認されなかった。

・当該農場はかなりの山奥に位置しており、シカやイノシシが農場の牧草地へ入っていたことが確認されたが、口蹄疫に感染した野生動物が未だ確認されていないことから、野生動物がウイルス侵入源となった可能性は低いと考えられる。

・農場主や従業員、さらには、周辺の関係者に対して、本年に入ってからの農場関係者の海外への渡航歴や海外からの研修生や訪問者の有無を含めて調査したが、疫学的に注目すべき関連情報は確認されなかった。

・一方、農場自体はかなりの山奥に位置しているものの、農場主は特徴あるチーズを製造・販売するとともに、ホームページを開設して農場やチーズを広く紹介していた。また、昨年、テレビ番組で紹介された後は、当該農場への行き方に関する役場への問い合わせが増加したとのことであった。

・また、当該農場には、従来より、レストラン関係者や取材の目的での訪問者があり、さらに、毎日8:30~10:30までの間は見学者を受け付けていた。しかしながら、これらの訪問者に関する記録はとられていなかったため、外部からの人の移動について、これ以上調査、検証することは困難であり、こうした人の移動によってウイルスが侵入した可能性は否定できない。

・診療した獣医師から家保への通報は3月30日に行われているが、発生の確認は1例目発生後の4月23日であり、約4週間を要した。なお、当該獣医師が最初に診察した3月6日の時点では口蹄疫を疑う症状は確認されていなかった。

|

« 宮崎口蹄疫事件 その140 政府検証委員会と疫学チーム報告書出揃う | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その142 7例目大型農場「A牧場」の疫学調査チーム報告書  »

口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

管理人様
初コメがこんな事で申し訳ないのですが、タイトルと本文1行目の「7例目」は「6例目」ですよね?(それとも意図的??)

水牛農場の方、ムッチーさん、知事のブログを読んでいたら、なんだか感情がごちゃごちゃになってきました。

26日、宮崎ではNHKで「みやざきスペシャル 口蹄疫 その時何が」が放送されました。
1例目の農家の方は心無い中傷が頭から離れず、再び牛を飼う事を断念したとの事。
ご自身の農場から見える川南の町に毎日あちこちにブルーシートがかかるのを見ては「どっかで止まってくれ!と手をあわせていた」という話。「口蹄疫は憎いですよ」と言われた言葉が心に重く圧し掛かっています。

投稿: tomotan | 2010年11月27日 (土) 01時16分

すいません。ポカミスです。もちろん6例目です。習性しました。ありがとございます。

第1例の方はほんとうに気の毒です。腹が煮えくり返ります。今後このような「初発」(第1例はちがいますか)の農家や獣医師を保護する仕組みを作らないと、自分の家畜がおかしくても通報することが出来なくなります。

水牛牧場もさんざん叩かれました。県外者だということもあり、ほんとうに気の毒でした。若い日からイタリア留学までして学び、苦労して一から作ってきたものが瞬時で崩壊してしまう。

今後、このような悲劇を根絶するためにも真相を明確にするのはむろんのこと、それを起こさないシステムを皆で考えていかねばなりません。

投稿: 管理人 | 2010年11月27日 (土) 05時33分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/515571/50126734

この記事へのトラックバック一覧です: 宮崎口蹄疫事件 その141 初発6例目「水牛農場」の疫学調査報告:

« 宮崎口蹄疫事件 その140 政府検証委員会と疫学チーム報告書出揃う | トップページ | 宮崎口蹄疫事件 その142 7例目大型農場「A牧場」の疫学調査チーム報告書  »