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宮崎口蹄疫事件 その140 政府検証委員会と疫学チーム報告書出揃う

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政府の検証委員会の最終報告が出ました。まぁ予想どおりの内容です。
全文はこちらからPDFで見られます。http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/kensyo_hokoku_sho.pdf
国に甘いとされていた中間報告省を一部加筆してあるのが新味です。国の対応の遅れとして、ワクチン接種が5月19日までズレ込んだことを批判しています。
「初動対応で感染拡大が某氏できない場合には、速やかに防疫方針を改定する必要がある」としています。
また、同日に疫学チーム調査報告も出ました。検証委員会のものと異なり、疫学チーム報告書は読みごたえがあります。各種の侵入ルートの検証や農場見取り図までついた豪華版です。
と言っても、訪問者ルートを匂わせつつ、要するに「ウイルスの侵入経路はわからなかった」のが結論ですが。
回を改めて見ていきたいと思っています。このふたつが揃ったことで、検証作業は終了となりました。これをもって来年の通常国会に家伝法改正案を出すという段取りになります。
正直に言って、こんなことで幕引きになるのか・・・というなんとも言えない無力感が私にはあります。

■今春から夏にかけて宮崎県で流行した家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)への国や県の対応を検証してきた農林水産省の対策検証委員会は24日、最終報告書をまとめた。
中間報告で県の初動の遅れを指摘したが、最終報告では国の対応の甘さも批判。国が感染拡大防止のため家畜へのワクチン接種に踏み切った時期について、「結果的に決定のタイミングが遅かった」とした。

 国は報告書を踏まえ、家畜伝染病予防法の改正案を来年1月の通常国会に提出することを検討する。

 今回の流行で国は5月19日、感染拡大を遅らせるため健康な家畜にワクチンを接種して殺処分する方針を決定。しかし、報告書は、感染家畜が増えていた5月はじめには必要だったと指摘した。

 また、畜産業の規模拡大が進み、「10年前の口蹄疫の発生を踏まえて作られた防疫体制が十分に機能しなかった」「国と宮崎県・市町村などとの役割分担が明確でなく、連携も不足していた」などと問題点を列挙。改善策として、「防疫方針の策定は国が責任を持ち、具体的措置は都道府県が中心となって市町村、生産者団体などと迅速に行う」ことを挙げた。

 そのうえで、宮崎県の通報が遅れたケースにも言及し、「口蹄疫であってほしくないという心情が強く働いた」と指摘。通報のルールに従わなかった農家や都道府県には手当金などの削減を含めたペナルティーを科すよう求めた。

また、県有の種牛について県が殺処分見送りなどの特例を実施し、国も認めたことについては「特例的扱いは一切認めるべきではない。種牛の分散や冷凍精液の保存でリスク分散を行うべきだ」とした。

 感染ルートを調べていた同省の疫学調査チームも同日、中間報告を公表。最初に感染が起きたとした農場について「見学者の訪問などによってウイルスが侵入した可能性は否定できない」とし、人や車両の出入り記録の農家への義務づけを提言。その一方で、侵入経路の特定はできなかった、とした。(朝日新聞11/24)

■宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)問題での国や県の対応を検証する「口蹄疫対策検証委員会」は
24日、最終報告書をまとめ、今年6月に口蹄疫が疑われる症状の牛を発見した県職員が検査せずに
殺処分していたことについて、「県の対応は問題だった」と結論づけた。

 これを受け、東国原英夫県知事は「報告書の内容を把握していないが、もし事実であれば、真摯(しんし)に
受け止めないといけない」と述べた。
 この問題は6月25日、同県新富町の畜産農家で殺処分の作業中、口蹄疫のような症状の牛が見つかったも
のの、県の家畜防疫員が血液を採取するなどの検査をしなかった上、国にも報告しないまま殺処分したというもの。
 報告書は「県は発疹(ほっしん)やびらん(ただれ)の症状の牛が見つかったにもかかわらず、国に報告しなかった」と
認定。早期発見・通報という対策の原則に照らし、「宮崎県は『典型的な症状とは認められなかった』と説明して
いるが、念のため写真を撮ったり、検体を採取したりするなど適切な調査をすべきだった」と、県の対応を批判した。

http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/news/1290618882/

ご参考までに県の中間報告書の報道記事も掲載します。原文はこちらです。(コンタンさんありがとうございます)http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000148486.pdf

■指針超えた対策必要  県検証委員会中間報告
口蹄疫の防疫の問題点や感染経路について調査する県口蹄疫対策検証委員会(座長・原田隆典宮崎大工学部教授、8人)の第3回会合は29日、県庁で開き、6項目からなる中間の論点整理(中間報告)を公表した。
国、県が道路封鎖やワクチン接種について、「防疫指針」を超えた判断が迅速に下せなかったことを問題視。また、国の疫学調査では「感染疑い6例目が初発の可能性が高い」とされているが、それ以外の可能性も現時点では否定できないため、「今後も感染経路の解明が必要」とした。

 今回の口蹄疫への対応では、消毒ポイントの設置や道路封鎖は国との協議を経て、防疫指針に基づいて実施された。中間報告ではそれらを踏まえた上で、国と県が初期段階で同時多発的な広がりを認識し、「防疫指針を超えた抜本的対策を検討する必要があった」とした。

 例えば、ワクチン接種の政府決定は5月19日だったが、同月初旬には県農政水産部の幹部が予防的殺処分を含め検討を農林水産省に要請していたことを明らかにし、「国はこの時点で判断を行うことも必要だったのではないか」と判断の遅れを指摘した。

 1例目の国への検体送付については、「リスクが少しでもあれば、検査を行う姿勢が必要だった」と県の姿勢を疑問視。その上で、農家や担当獣医師から依頼があった場合は原則として検体を送付すべきで、簡易検査キットなど早期発見が可能な態勢確立を提言した。

 一方で、早期通報した農場が初発とされてしまう現状についても言及。国の疫学調査で6例目農場が初発と推定されたことについて、「6例目、あるいは1例目の農場より前に感染が起きていなかったとする証拠はない」として、科学的に解明できる疫学調査のルール作りを求めた。

 検証委は東国原知事や隣県へのヒアリングも踏まえ、年内をめどに最終の調査報告書をまとめる。

 原田座長は「犯人捜しをするわけではないが、感染経路の解明は重要視している。農家の協力は不可欠で、幅広い情報提供を今後もお願いしたい」と話した。
(宮崎日々新聞 2010年10月30日付)

■写真 本日の夜明け。澄みきった秋の早朝です。写真ではよく分かりませんが、明けの明星が出ています。

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コメント

出ましたか…。
まあ、こんなもんですかね。


一つ、素人考えを述べますね。バカ呼ばわりでも結構です。

まず、全国の家保およびある程度(曖昧ですが)の規模の牧場お抱え獣医師、あるいは牧場主には、コンパクトデジカメ(安くても高解像度で水洗いできるようなやつがあります。今や携帯でも)を支給もしくは買わせて、ネット経由で速やかに画像を回す義務化(匿名性の問題もありますが…集積するサイトを作る)をするだけで、日本中どころか世界中の専門家の意見を直ぐに募って考察出来るのではないでしょうか?

「もしかしてヤバいかも。さっさと検体送れ」となったら、必ずそうする仕組みに。かつ、ある程度期日を置いたら「一般に全面公開」する。
ただし、犯人探しとは完全に分けて考察する約束が必要でしょう。

不可能ではないと思うし、診断~初動のスピードアップには大変有効だと思うんですが…。

投稿: 山形 | 2010年11月25日 (木) 10時09分

県の検証委員会の中間報告(10/29)はこちらです。
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000148486.pdf

(HPのトップにあるけど、気づきにくいです。)

投稿: コンタン | 2010年11月25日 (木) 20時10分

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