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2010年11月14日 (日)

宮崎口蹄疫事件 その139 口蹄疫対策検証委員会はほんとうに「第三者機関」か?

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「口蹄疫対策検証委員会」が8月5日から始まりました。これは山田前大臣の強い意向によって実現したもので、「第三者機関」と呼ばれているそうです。

これは口蹄疫の発生前後からの国・県の対応、殺処分、ワクチン接種、予防的殺処分等の防疫の対応を検証し、今後の危機管理体制作りに活かしていこうというものです。

趣旨はまったく立派です。異論をはさむ余地がありません。しかし、問題なのはこの「第三者機関」と称するものがほんとうに第三者なのかという疑問が残ることです。

メンツを見ていきましょう。学識経験者が5名、そのうちの2名が動物衛生研究所(動衛研)の現役研究者である坂本研一氏(研究管理監)と、氏の元上司にあたる村上洋介氏(動衛研前所長・現帝京大学教授))です。

つまり、元上司と部下が検証委員会にそっくり入っているわけです。ここになんとも言えないうさん臭さを感じてしまいます。

というのは、この検証委員会で検証せねばならないことの中には、とうぜん口蹄疫防疫対策の司令部的役割を果たした動物衛生課と、牛豚疾病等小委員会(疾病小委)の対応が含まれているからです。

思えば、この疾病小委の存在自体が動衛研の大きな影響力下にあります。専門委員、臨時委員を合わせて8名のうち実に5名までもが動衛研の現役研究者とそのOBで占められているからです。

なかでも疫学調査チームの座長を務めた津田知幸氏は、動衛研の海外伝染病担当の研究管理監を経て、現在はナンバー2の企画管理監をしている人です。

そして検証委員会の事実上の座長格である村上洋介氏は、先にも述べたように動衛研では津田氏の直属の上司である前所長でした。

また、検証委員会のメンバーである坂本研一氏も、津田氏が管理監に昇進した後任の海外病担当研究管理監です。

つまりは、動衛研の前元所長の村上氏は、直系の部下であった津田氏の仕事を、津田氏の現在の直系の部下である坂本氏と共に検証するということになります。

動衛研の元上司と部下がふたりして、動衛研が8人中5名を占める疾病小委の対応を「第三者」として検証しようということになります。

失礼ながら笑ってしまいます。「第三者機関」に当該対象のライン関係が持ち込まれることは、本来あってはならないことです。

こういうのを、動衛研という狭い世界では何と言うのか知りませんが、世俗では出来レースと呼びます。

もちろん村上洋介氏は日本の口蹄疫研究の権威であり、OIEでも要職を歴任されてきています。その学識を疑うわけではありませんが、ならばいっそうのこと李下に冠を正さずの姿勢をとられたほうがよかったのではないでしょうか。

たぶん、この人事自体に農水省物衛生課の意思が働いていると考えるほうが自然でしょう。動物衛生課は、官僚の自己保身の本能として、自分のとった政策を批判されたくはないと強く思っているはずです。

できるならば毒にも薬にもならない疫学報告書を、国民の誰もが知らないうちに農水省サイトでアップして、いちおうパブリック・コメントを募り、聞くふりをしてお茶を濁して手仕舞にするのが一番だと考えているはずです。

実際、5年前の茨城トリインフルエンザ事件はそのようにして終わってしまいました。

ですから、この官僚のなぁなぁ体質を退けて検証委員会を作ったことの裏には、山田前大臣の政治力があったと思われます。このことは素直に評価したいと思います。珍しく民主党を褒めますが、自民党農水族にはできないことです。

私としては、弁護士郷田信郎氏、消費者団体連絡会の前事務局長である神田敏子氏、NHK解説委員の合瀬宏毅氏、日本獣医師会会長の山根義久氏などのメンバーが入ったことが、動衛研派閥のカモフラージュに終わらないことを祈るばかりです。

さて、この検証委員会は非開示で行われます。議事録は要旨しかでません。発生農場の個人情報の保護が理由だそうです。しかし現実には、第6例などは今まで好奇の目でバッシングを受けており、むしろ正確な情報の開示こそが望まれているはずです。

ジャーナリストや消費者団体代表、弁護士なども参加しているわけですから、この議事録の完全公開を要求して頂きたいと思います。

既に検証委員会は最終とりまとめの段階に入っています。ぜひ、農水省の都合のいい報告書ではなく、何が議論され、何が問題となったのかの詳細な開示をされんことを望みます。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

初動時に殺処分や埋却など一連の作業がどれだけスムーズに行われるかで、その後の状況が一変すると言う事なので、記事とは若干ズレましたが、昨日の記事にコメントさせていただきました。
記載漏れの部分がありましたので、追記させていただきます。昨日は⑨まで記載しましたので⑩として・・
⑩口蹄疫疑いの一報が入ってから、県獣医師5名及びNOSAI獣医師7名が、待機状態になっており、写真判定確定から約20分で現場に集結、即作業に入る事が出来た。
⑪疑いから確定までの間に、家保獣医師が近隣の農家10戸ほどに対して、牛の状況チエックと併せて、発生の可能性(発生かも知れない)を、周知する為に巡回したので、周りの畜産農家が冷静に対応してくれた。(落ち着いた)
⑫発生農家の埋却場所確保が比較的条件が整っていた。(水の湧出等が無かったし、土壌が岩盤ではなく容易に掘削出来た)等、諸々の条件が整った場所だった為に早期処理が可能だったと思われます。

「検証委員会」及び「第三者機関」に関しては、濱田様の予測通り、「出来レース」で結論が導き出される可能性が高いでしょう。それはこれまでも同じだし、これからも同じようになるものと思っています。ただ、ネットをはじめこれだけ情報が瞬時に世界中を飛び交う時代ですから、これまでと全く同じ手法が通じるか?国民や関係者が曖昧な情報で許容してしまうかを見誤ると、尖閣ビデオの様な事態になってくると思います。

お題とずれます、ご容赦下さい。
この水木金の3日間で、鹿児島において、九州の共済獣医師の研究発表会があったそうです。
その中で、岡本嘉六先生の講演があったそうです。氏は、
▼FAOの指摘どおり、患畜・疑似患畜を食用にすればよかった。
▼ワクチン接種後、殺処分せず、食肉として流通させればよかった。
▼早期出荷を確実に実施すべきだった。
と主張されていたそうです。(参加獣医師談)
う~ん、どれも無理がある。
無論、その場で、屠畜して、即、食す人が居れば別ですが。

また、「宮崎県警は、口蹄疫発生当初、車両の消毒などせず、児湯地区を巡回していた。」との報告もあったとか。パトカーが、口蹄疫の蔓延に一役かったということになります。

▼FAOの指摘どおり、患畜・疑似患畜を食用にすればよかった。
▼ワクチン接種後、殺処分せず、食肉として流通させればよかった。
▼早期出荷を確実に実施すべきだった>>>

これは、全国の食肉加工場が、口蹄疫ウイルスで、汚染されても良いと言うことと捕らえてよいのでしょうか?

基本的に、陽性牛、陽性豚を搬入すれば、汚染されますよね。よって、汚染国宣言をして生きていくと言う意味なのでしょうか?

三谷先生や岡本先生、山内先生のおっしゃる意味が、よく理解できていません。もちろん、ワクチン接種家畜は、食べても害は、ないようですが、輸入肉との価格競争には、確実に、負けますよね。また、多くの都会の食肉加工場が、汚染されることを、望んでいるのでしょうか?

海外では、汚染エリア専用食肉工場と清浄地域専用食肉工場が、存在するような感じもしてます。また、感染牛専門の牛舎も存在するような気もします。具体的には、知らないのですが。。。

もちろん、汚染牛、清浄牛を、比較して、食べ比べたことは、ありませんが。。

今でも、生きた牛が、宮崎から名古屋へ生きたまま搬入されているので、生きた汚染牛が持ち込まれれば、感染は、確実に全国に広がるでしょう。

清浄国ブランドが無くなったら、輸出畜産は、産業として、成り立たないでしょうし、現実、高級黒毛和種の肉質の良いブロックは、市場で、だぶついているはずですが。。

第三者機関は、単なる行政上の中立の専門家に、意見を聞いたというパフォーマンスで、省庁事務局の結論を承認するのが目的ですので、あまり、意味を持たないのでしょう。単純に、省内の手続き上、やっているだけです。
村上先生の時代(10年前)と、現状は違うし、津田先生の九州支局時代とも、現状は、ウイルス学も進んでいて、違っているでしょう。

もっと、勉強してもらわないと、素人の論文の方が、切り込みが鋭く、よく実態を表現している気がします。

データーが、動物衛生研究所に、たくさんある訳なので、きちんと、若手に、まじめに解析してもらうのが、まず、大事と思います。10年前のことを、あまりひきずってほしくないですね。oieコードも、当時から、変わりましたし。。

こんばんは、青空です
災厄の最中ではあれほどの多くの人々が騒いでていたのにだいぶおちついてきましたね、ここにも日本人の悪い習性がでているようです。
つまり、「終わったことは穢れとして触らない」
事実と実績に対して真摯に向き合うことを過度に怯える傾向は、将来に重い禍根を残すという過去の事例もあるのに、今持っても払拭できないでいるとは、やや哀しくなります。しかし濱田様や皆さまのように真摯に向き合い続けている人も少なからずいることに心強さも感じます。

濱田様がご指摘の通り、第三者委員会はその立ち上げの時期から指摘されたように出来レースの会合です。内容は変わらずお粗末なままです。今後も期待できないものになるのでしょう。感染期にはOIEが最重要でしたが、現政権は無策のままTPPに走り出してしまいました。TPPはOIEコードを吹っ飛ばすレベルの波となるでしょう。国内法は修正はいかようにも効きますが、多国間契約がいったん進んでしまえば、取り返しは単体国家では不可能です。自由貿易は関税の撤廃のみならず、非関税障壁についても簡素化という名の緩和がなされるので、とてつもないショックが来るものです。かつての林業や漁業、町の商店街がほぼ壊滅の危機を迎えたのと同じように、政策の急展開により今後、医療(薬品)、畜産、農業は現業者はほぼ壊滅の危機を迎えるでしょう。
家族経営型は壊滅し、大型法人営業の大規模化を成功した業者とブランド戦略に成功した一部が主要になっていくのではと危惧しています。

思えば、今回の口蹄疫禍がある最中、中央政界も、大手マスコミも、あたかも災厄がなきがごとしに誰も触れなかったですし(与党の政治家のブログでもほとんど登場しませんでした)、感染拡大を待っているかのごとき無策ぶりにはやや不自然さを感じていたのですが、彼らはそもそも、TPPの最大障壁である畜産壊滅(国内中の口蹄疫蔓延)を願っていたのではと勘繰りたくもなります。(申し訳ない私の妄想ですが)

話が記事とはだいぶそれ申し訳ありません。
今回の口蹄疫禍での大きな問題点である埋設地についてコメントさせて頂きます。
先日、取引先の土建業者と雑談中、口蹄疫の話題になり、例えば急きょ2日で一ヘクタールの土地を深さ4メートルに掘り下げる(ただち農地で)ことは可能かと聞いたところ、一件二件ならともかく、県全体で発生して、移動制限もある中で、同時に実施する、しかも感染農家に一回入ったら消毒徹底で機材は痛むし、一週間以上他の現場に機材を移転できないのであれば対応はできない、と明言していました。

素人考えでも一町の土地を4メートルづつ掘ることさえ1週間以上かかるのではと考えてしまいます。
しかも宮崎県は今年激しい雨に悩まされていた聞いています。農地であれば電源もなく、夜となればよほど強烈な照明重機でもなければ作業不可能でしょう。(私も初任店である浜松に行くまでは農地の夜がこうも暗いとは想像だにしていませんでした)

自衛隊の重機はそもそも戦車や連隊クラスへの対応を前提としているのでしょうから児湯地区に侵入可能な大きさではないでしょう。よくもあの中で地元建築業者の限られた数で数日での作業ができたと感心している程です。

同時並行的に発生した場合、そもそも家伝法に書いていることを現在の豚・牛の畜産で実行できる人員も、重機も、資材も確実に履行することなど不可能なのではと思っています。つまり、今後発生すればまた同じ問題がでるということではと。
ここらへんは、管理人様や北海道様、COWBOY様が身をもって知っておられると感じましたので、できれば所見を教えて頂ければと思っています。

また、ここは特に北海道様に教えて頂きたいのですが、一戸の発生があれば、家畜課もしくは家保の職員はどの程度の事務量が発生するのでしょう。
宮崎県のそれらの陣容はせいぜい200名前後と記憶していますが、想像するに、消毒薬・資材・移動制限決定、手配、予算稟議作成、業者への配送手配、見積もり確認から始まり、移動制限区域の線引き、各資材等の配送手順、移動道路の注意、農家への説明、埋設地の検討、工事許可申請、決裁、殺処分人員の宿泊、移動手段決定、現場監督のブリーフィング・手配、契約書作成・殺処分する家畜の時価評価等などですが、おそらくそれ以上に必要ですよね。上記の物は地域を知り尽くした人員でないととんでもないものを作るでしょう。
児湯地区の畜産課の人員は2・3名と聞いてました、県直轄となっても、県職員がそれらの地域に精通していたとは思えません。結局はその2・3名等は死ぬような事務量だったのではないでしょうか(おそらく今も)。だとすれば、児湯地区の混乱は知事が行こうが総理が行こうが同じなような気がします。私としては直轄に移行した分だけまだよかったとは思いますが。
もし自分がやれと言われたら、即座に辞表を書いて逃げたくなるような気がします。

かなり乱文長文になり申し訳ありません。

青空様のご質問にお答えしたいのですが、本日これから札幌出張しなければならないのと、資料が職場に有る為記憶に頼ったお答えしか出来なく、不正確なお答えも出来ませんので、回答はしばらくお待ちください。
申し訳ないです。

青空さんへ
口蹄疫が同時多発した場合、今の宮崎のような臨戦態勢を解いて間もない状況でもない限り、日本全国、当初の宮崎と同じような対応になると思います。
特に、養豚農家・牛の肥育業者は、通常、埋設に利用できる空いた土地をすぐに用意できないはずです。
それは、以前、コメントしたように、牧草地(採草地)などの畑を必要としない為です。因みに、牛の肥育業者も草を食べさせますが、用いる粗飼料は、ほとんど購入稲ワラです。稲ワラでないと(イタリアンライグラスなどでは)、肉が赤黒くなるため、商品価値が下がるからです。
ですから、大型養豚・牛肥育業者では、殺処分できても、埋却作業に手間取るはずですし、全体としても進捗は滞るわけです。
もし、殺処分した後、埋却までの時間が多少掛かっても問題ないような措置(例えば、簡便で完璧な防腐処理など)ができれば、かなり、事情は違ってくると思いますが。
また、一般的に和牛繁殖農家や酪農家は、牧草地やパドックを持っていますから、殺処分&埋却は、割とスムースに行くと思います。そうは言っても、経営主を中心とする家族2~3の人数では無理です。

青空さまへ
仮に北海道十勝で1件口蹄疫が発生した場合ですが、発生農家が「肥育」・「酪農」により違いますが、埋却地の確保については深刻な問題にはならないと思います。肥育経営では千頭を超えたりする場合もありますが、酪農でも小規模であれば40~50頭の搾乳から千頭以上の酪農家も存在します。(実際は育成牛も搾乳牛数の50%程度は常時飼養していますので、頭数的には搾乳牛の1.5倍程度と考えたら大きくは違わないと思います)
深刻な問題にはならないと考える根拠ですが、今回の宮崎の様に家畜密度は高く無い・・というのが理由ですが、農家の立地条件によっては処分家畜を埋却地まで移動しなければならない場合も想定されます。
ちなみに私の町の土壌条件では、4m以上掘ると水が湧いてきますから、距離は短いとは言え、町有地などへ移動する事になります。(机上の想定ですが、100戸の畜産農家があるとすれば、30~40戸はそのような対応が必要な事が分かりました)
殺処分及び埋却の人員ですが、都城市の場合獣医師が12名と市職員50名を派遣したそうです。他に重機関係者もいますから、若干増えると思います。
殺処分及び埋却に関しては、条件により違うと思いますが、土地条件さえクリアされればそれほど時間も人員もかからないと考えます。
次に事務量ですが、家保や官庁職員が行わなければならない事務がどれだけのものか分かりませんので、何とも言えませんが、発生から終息まで3か月かかったとすれば、1日10人×90日=900人(延人数)休みもあるからこれよりは若干少ないかも知れませんね?
青空さまが予想している通り、様々な業務を短期間に集中して対応しなければなりませんから、1日200~300人×3日間=600~900人区、その後の処理で数百人区の人員確保が必要になるものと想像しています。
想像しているだけで頭がパニックになります。
発生しない事を祈るだけですわ・・・
濱田様長文お詫びします。

COWBOY 様
北海道 様

貴重なご意見ありがとうございました。
濱田様、ブログの場にて意見の交換をご許容頂きましたこと感謝申し上げます。
平日はパソコンを使える時間が限られているため、御礼が遅れましたことお詫び申し上げます。

頂きました回答にて私も思うところがまとまりつつあります。週末またコメントさせて頂ければと。
TPPについては行内でも騒然となりつつあります。
銀行業はマイナス要因については過敏になりすぎるきらいがありますが・・・。しかし何れの産業も政治による危機は経験し、壊滅した企業も多いですが、生き残ってきた企業もまた存在します。
それについてもまた御迷惑でなければコメントさせて頂ければと思っています。

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