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2010年11月16日 (火)

TPP、心しよう、今度は本気だ。自由貿易圏構想の裏側

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民主党が自由貿易圏構想を言い始めたのはこれが最初ではありません。

元々民主党の昨年の選挙マニュフェストにはしっかりと、しかし姑息にも小さい活字で(笑)、おまけに農業の項目ではなく、「外交」の項目に「日米FTAの推進」と書かれてありました。

結局、そのときも農業界の大反対でうやむやになりました。当時は野党でしたからともかく、今はレッキとした政権党で、しかも首相自らがTPPだのEPAだのを言っているわけですから、これは本気であろうと思われます。

ある意味、「環太平洋」となっただけ、かつての日米FTAより規模が格段に大きな自由貿易圏構想に「成長」しています。

その意味、民主党政権はマニュフエストどおり誠実に実行していると言えないこともありません。ですから、農業団体のある種の本音である、「自分たち農家がこれだけ反対すれば、TPPもEPAもできるはずがない」という甘い幻想は捨てたほうが良いと思います。

民主党は自民党と違って、農民的体質も、農村に基盤を置くことも少ない政党です。むしろ都市型政党で、農水族も一握りにすぎません。

民主党政権がどこまで持つかははなはだ不透明ですが、一国の首相がEUの首脳と「交渉開始」を約束してしまった以上、これはもはや一国の国際公約とみなすべきです。

仮に民主党が政権を去ったとしも、外交公約は生き残るのです。国内公約は時の情勢次第ですか、国際公約は違います。普天間問題のようなもので、後継政権はそれに束縛されざるをえません。したがって、農業界が泣こうがわめこうが、この国家方針は形を変える事があっても継承され続けます。

むしろ自民党からすれば、内心苦い薬を民主党に呑んでもらってラッキーとほくそえんでいるのが本音ではないでしょうか。菅氏の並外れて軽いおつむが、このときばかりは自民党は頼もしく思えたことでしょう。

今後、自民が政権に復活してTPPを言い出しても、「それは民主党が言い出して決めたことだ。困ったものだ。しかし諸外国との関係上やらないわけにはいかない」とかなんとか言いながらやるのでしょうかね(ため息)。

菅首相は、このTPPがいかなる意味を持つのか、真の重みをまったく理解せずに自由貿易圏というパンドラの箱を開けてしまったのです。

ですから自民党に再び政権が移行しても、このTPP、EPA路線は形を変えて継承されます。もう不可逆です。そのことを私たち農業者は肝に銘じたほうがいい。

ではなぜ、この時期にということです。まぁ、APECで日本が議長国だったというのはあたりまえとして、その陰になにがあるのか、私は去年からずっと不思議に思ってきました。

米国の利害は農産物の大規模無規制輸出とミエミエですが、日本の利害が「輸入品が安くなる」ていどしか見えなかったのです。

答えのヒントはお燐の韓国にありました。韓国は実は去年の段階で、米韓FTAは14カ月間の交渉を経て、現在両国の国会で批准を待つばかりとなっていました。

米国のほうが、オバマ政権になったためもあり、一時足踏み状態だったそうですが、実は米国の方も一枚岩ではなく、全米自動車労組などの反対もあったそうです。

韓国は他にもEUなどと積極的にFTA交渉を持っています。それがわが国をいらだたせています。今回のAPECでも、G20をわざわざ本会議の前に強引に割り込ませてきて、TPPに対しての存在感をアピールすることに成功しました。

韓国政府が米韓FTAを締結に邁進したのは、自動車関税が原因でした。韓国のヒョンダイ(現代)自動車にとって米国市場は死活でした。そしてヒョンダイ自動車の死活は、韓国経済の死活と直結していたのです。だから、当時のノムヒョン政権は、農業部門が受ける大打撃を事前に承知していながら、締結に突き進んだのです。

米韓FTAにより、ヒョンダイ自動車は米国市場でかけられていた自動車関税をゼロにでき、一挙にシェアを伸ばす起爆剤にできると考えました。ただし、韓国農民を切り捨ててですが。

このようなFTAの動きは、ASEAN諸国と中国などの間にも見られます。このような競合する新興工業国と熾烈な市場競争をしている日本の輸出産業、ことに自動車産業にとっては、米国とのFTAは喉から手が出るほど欲しい協定だったのです。

民主党の日米FTAマニフェストの背後には、自動車産業と一体となった自動車総連があります。言うまでもなく、自動車総連は有力な民主党支持母体です。

そしてさらには、非自民・親民主の経団連内勢力であるキャノン、トヨタなどが自民党に見切りをつけたひとつの理由は、自民党の手ではいつまでたっても農業に足を取られて、自由貿易圏構想が始まらないと考えたからです。

このようにして、労働界と財界への供物に日本農業は供せられようとしています。

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民主党の農業政策ウオッチ」カテゴリの記事

コメント

結局、産業的に農業なんか零細弱小なんだから、
妙なグローバリゼーションの波に呑み込まれつつある。長いことかかってきただけにスキがない。
「いやなら、別に日本なんか入らなくてもいいよ。勝手に進めとくから。」

なんだかなぁ…
TPP加入を否定はしないし、やむを得ない事態でしょう。

ただ、これでいいのか?


前テーマの「通りすがり」さんは、あまりの理想主義と現実逃避とHNから無視させていただきましたが…。
よほど裕福な方なんですかね。

人間、自動車を食料にできないのに。
関税を撤廃したからと言って、食料自給率100%を越えているからと言って、飢饉の際、輸出してくれる約束でもしてくれるんだろうか。
韓国は、国内の需要が期待できないから、アメリカと仲良くしたいだけ。それに、韓国では、一応、農家に補償をすると約束している。
その点、日本は?TPP参加によるフォロー策は、な~んも、決まっていない。農家に、反対するなという方が無理がある。

ところで、管理人さん、何か意図的なことがあってのことなら問題ないですが、
「管総理」は「菅総理」の誤りでは?

cowboy様。すいませんミスタイプです(汗)。修正しました。ありがとうございました。

国際的な約束をしてしまったのですから、国内対策は別途検討します、所得補償しますから・・・なんて事で粛々と交渉は進んで行くのでしょうね。
マニュフェスト・・と言いながら、殆どを反故にしている政権を信用して下さい・・と言うのは無理があります。
昨年8月国民の大多数が耳ざわりの良い言葉を信用してしまったのですから、役者としては大したものだと思っています。しかし、そのアオリを受けるのは、ほかでもなく我々国民ですし、自己責任と言われればそれまでなのかな?とも思いますが、命の根源である食糧(料)を他国に依存する危うさが気になります。
どの国が自国を犠牲にして日本を助けてくれるのでしょうか?一時的な災害なら人道的支援もあるかも知れませんが、一度崩壊した農村や農地、コミュニティを復活するには、数倍以上のコストがかかるし、急ぎには間に合わない事も理解しておく必要があります。
バッタバッタと仕分けするのは、見ていて爽快ではありますが、仕分け人がどこまで知識を持っているのかも疑問視しています。

前記事エントリーのりぼんさんのコメント拝読して
感じたのですが、国内農業が輸出産業としてなり得る
可能性についての議論が殆ど行われてないにも関わらず
あたかもそれが可能だという論調が主流になりつつある
気がします。
輸出産業に育て上げるとすれば、大規模企業経営の展開を促進するつもりなのか?と言う事です。
ならば、宮崎県に於ける多大な犠牲を強いられた口蹄疫問題から得た教訓は何ら生かされないヴィジョンを描く事になります。

はじめまして。私は農家ではありませんが、世界をフラット化する自由貿易推進には疑問を持っています。特に農産物については、気候変動や環境破壊が続く昨今ではあり、更に新興国の生活水準の上昇もあります。そうした理由で穀物輸出国が輸入国に転じているという今日この頃、「輸出産業のためには農業を捨て、自給を捨ててもかまわない」なんて、平気で言う人がいるのが怖いです。だいたい、そういう人は欧米諸国が自国の農業をどれだけ保護しているのかを知りません。日本の農業ばかりが不必要に保護されていると思っていて、「農家のために俺たちが犠牲になって損をしているんだ」などと、言ってのけているのをしばしば見かけます。諸外国の農業の保護政策との比較については、私も詳しいことまでは分からないんですが、農業関係者(農家の方だけに限らず、学者の人とかも)の方々が、もう少しその点を詳しく調査してアピールしてほしいです。

私も数年前までは、自由貿易を推進するWTOが世界各地の農民やNGOから、激しい抗議を受けて来た事実があることさえ知りませんでした。私が不勉強だったのかもしれませんが、日本のマスコミはこうしたニュースはあまり伝えて来たようには思えません。

ウルグアイラウンド、ドーハラウンドと、内容を見ていけば、すでに、アジア、アフリカ、南米の組織票や意見を、無視して、いわゆる先進国と現在、呼ばれている国だけでの、考えは、国際的に通用しない状況であることは、たぶん、確かなんでしょう。

日本の農産物が、輸出が可能か、可能でないかはともかく、輸入農産物が増えて、輸出せず、国内消費だけで、農業が生きていくには、人口減、少子化の日本の市場では、苦しくなるばかりですよね。

関税撤廃がよいとか、悪いとか、もう、日本の意思は、世界市場では、通用しなくなって来ているってことでしょう。
農産物については、日本以外の国だけで、お互い取引すれば、間に合ってしまいますので、生産システムの改善は、難しいと思いますが、一応、世界市場を、頭に入れながら、農業を行う以外に、できなくなるのでは?

なお、上海とかですと、日本の農産物は、高値で、取引されてます。

シンガポールも、蘭とか、かきを、輸出産業に、育て上げてきたのですから、日本も、世界市場に向けてがんばらないと、だめでは?

発展途上国の国際発言力が、ついてきたので、日本の農業が生き残るべく、何か、付加価値をつけないと、自然に弱体化しますでしょうね。

ヨーロッパの国は、値段が高くとも、国産を愛好するらしいですが。。

百姓の子です。

民主党の政権政策マニフェスト 2009年7月27日
>52.東アジア共同体の構築をめざし、アジア外交を強化する(抄)
>○アジア・太平洋諸国をはじめとして、世界の国々との投資・労働や知的財産など
>広い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の交渉を積極的に
>推進する。
>その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを
>損なうことは行わない。

は二律背反的な内容を、前者を推進する目的で記載したもののようにも感じます。

民主党政権のTPPへのスタンスも同様で、後者のへの対応が薄らぎつつあるように
感じます。

身近の多くの都会育ちの知人・友人と農家出身の私と農業への思いが異なります。

都会育ちの多くの知人・友人が農産物が安く輸入されることは望まく、農業保護には
批判的という思いを持っているように感じています。この認識の背景は、

食料・農業・農村基本計画 平成22年3月 に記載されているような;

>食料自給率の向上に寄与し、食料の安定供給に貢献するという役割を担っている。
>また、農業は、空気・水・土壌の保全、国土や自然環境の保全、災害の防止と
>いった多面的機能

という農業への理解や、


>途上国では、人口増加や経済発展に伴って、資源や食料の消費が増え続けている。
>また、米国等を中心にバイオ燃料の増産が進むなど、農産物の用途も多様化して
>おり、農産物の国際的な需要は今後更に高まることが予想される。
>地球全体では、環境問題が深刻化し、農地の減少が進む中、食料輸出国は輸出
>規制を導入し、途上国の貧しい人々を中心に飢餓や暴動が深刻化している。こうした
>状況にもかかわらず、世界最大の食料純輸入国である我が国は、
>「経済力さえあれば自由に食料が輸入できる」という考え方から脱し切れていない。

という世界の食料状況での日本の認識が、多くの都会人だけでなく私達日本人全体も認識が不充分を感じています。

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