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2010年11月15日 (月)

TPPやEPA 彌縫策とバラマキででどうかなる時代は終わった

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「青空」様がおしゃっるように、確かにTPPやEUとのEPA(経済連携協定)は日本農業の致命傷になる可能性があります。

特にEUとのEPAは乳製品、豚肉などに大打撃を与えると思います。畜産でかろうじて生き残る可能性があるのは、ブランド和牛と牛乳、効率化が極限まで進んだ養鶏くらいではないかと思ったりもします。

既に韓国がEUとのFTA交渉で自由化対象からはずしたのは、米、大豆、にんにくなど42品目であることに対して、日本は米を筆頭に、乳製品、豚肉などに及ぶ720品目を自由化対象からはずしてきました。

EUは、既に日本の自動車、医療器具の安全規格を厳しすぎると批判し、これを非関税障壁だと主張しています。米国もかねがね日本のBSE基準を緩和しろと言い続けています。

まことに自分勝手、得手勝手な言い分で、これが立場が逆だったら、「自国民の健康の保護は当該政府の崇高な使命である」くらいのことは平気でたまうことでしょう。

欧州人のよく言ってやれば交渉上手、ハッキリ言ってエゴイズムを荘重な言葉で美化する手口は、歴史的に戦争ばかりしてきた欧州人特有のもので今に始まったことではありません。見上げたイヤな奴です。

そのしたたかなEUを相手に、なにを考えたのか、「EPA交渉を来春の首脳会談をめどに開始したい」などと管首相がファンロンパイ大統領に口走ってしまうのですから、嗚呼と天を仰ぎたくなります。

実は私は、一国民としてはTPPもEPAもやむをえざるものが来たと思っています。おっと、同業者の皆さん、モノを投げないで下さい!

これだけ大規模な環太平洋経済圏が出来て、それに日本が参加をできないとなると、日本の経済は絶望的になることは明らかです。そんなことは分かりきったことなので、今更私があえて述べるほどのことではありません。

ただ、一農業者として言うなら順番が逆だろうと思います。

民主党は未だ日本農業がどのようにあるべきかを提示していません。日本農業の現状をどのように変えていくのか、そのイメージをまったく議論しようとはしてきませんでした。これこそが問題なのです。

民主党政権は、「日本農業をこうしたい。だからこのような農政をする。そしてTPPに耐える農業を作る」という議論を素通りして、「生活が第一」という小沢流政治で農業政策をしてしまったのです。

それは、当時の小泉改革の新自由主義の行き過ぎが、農民の「これ以上改革が進むのならば、わしら小規模兼業はお終いだ」という危機感を招き、それを読んだ小沢氏の伝統的自民党農政への回帰でした。

自民党農水族も既に2世、3世議員となり、地盤を農村に持ちながらも、日本のムラの泥臭さや、複雑な心情を肌でわからなくなってきていました。

4品目横断政策を自民党の石破大臣が提唱したときには、私は内心、必要な政策だが、たぶん農民の総スッカンを食うだろうなと思いました。案の定で、減反緩和策を含めて、選挙で自民党は手痛いシッペ返しを食うことになります。

わが村では、あの額賀福志郎氏が、名もない新人の村長に敗北するというジャイアント・キリングをされてしまい、票を入れた当の村人がたまげたほどです。

民主党の農業政策は、篠原孝氏(現副大臣)が農水大臣となっていたら様相が変わった可能性がありますが、小沢氏の流れに乗った赤松氏がなったために、小沢流の「生活が第一」農政が始まりました。

つまり、あの悪名高き戸別農家所得補償政策です。

これについて私は、この政策の日本で最初の提唱者であった野党時代の篠原氏自らから直接に議員会館で長時間レクチャーしていただきました。

詳細は別の機会に譲りますが、氏がモデルとして描いていたドイツ型の所得保障方式による農業支援策と、現実に民主党政権下で実施された戸別補償政策はまったく別物でした。

なぜでしょうか?そう、ドイツと日本の農民数が違うのです。日本は戸別補償を受け取る農民数(専業も含む)が極めて多いのです。ここが篠原氏の提唱する戸別補償制度が、農業強化に向けての政策誘導とならずに、単なるカンフル剤的バラ撒きに終わった最大の原因でした。

現実に村でどのようなことになったのでしょうか?2010年度はまず米作農家からということで、1hで15万円が支給されました。これでは多少の補償にはなっても食えません。

しかし他人に貸すよりましです。水田の年貢、つまりは借地料はわずか1hで数万円にしかなりません。そこが整備されているか、浅いか、深いか、谷津か平野かでも違いますが、たぶん10㌃あたり数千円がいいところでしょう。

ならば、数万円もらうより、戸別補償金を15万もらって、捨て作りをしたほうがましということになります。

結果どうなったのか。私の地域で大型稲作に挑もうとしていたやる気のある農業者が立て続けに、田んぼを返してくれと言われ始めました。今年の収穫まではなんとかなっても、来期の交渉はたいへんだ、3分の2になりかねないと、20hの水田にチャレンジしている仲間はこぼします。

では貸す土地所有者側も農家戸別補償を必ずしも欲しいのかといえば、そうでもないのです。この制度を利用するには煩雑な事務手続きの山と格闘せねばなりません。その上、いったんやってしまえば、今度は将来宅地に転用しようと考えてもほぼ不可能です。

ですから、いつまでも村役場には「戸別所得保障政策の参加農家募集」のポスターが虚しく貼られ続けていることになります。

このような水田を貸す側も借りる側も中途半端なことになったのは、ひとえに「農民」という名の第2種兼業農家、村の農水課の美的表現を使えば「自給的農家」の数が、本業の専業農家数より上回るという日本独特の現象があるからです。

財源難で、限られた枠でしか戸別補償が支給できない、しかし、それを受け取る農家数は極端に多い、これでは薄く広くというまさにバラ撒きになることは必然でした。

農民は要するに、かつての自民党農政の復活を望んでいるだけです。旧自民党農政の改革派であった石破農政を嫌ったのは、民主党戸別農家所得補償金をほしかったというより、今までのやり方が否定されて底無しの奈落に転落するようで怖かったのです。

民主党政権はこの1年間、まったく農業において積極的議論を構築する努力を怠りました。その上事業仕分けとやらの政治ショーで農業関係をバサバサ切りまくりました。小沢元幹事長は、仇敵の野中氏が会長を務めるというだけで土地改良事業を半分にしてしまったほどです。

まぁ山田氏が口蹄疫でそれどころではなかったということは理解しています。たぶん村で一番理解しているのは、この私です笑)。

ならば、なんの議論もなく、空き缶のように軽い菅首相にTPP交渉開始などというアドバルーンを上げさせるべきではなかった。

反応はアレルギーのように襲ってきました。「日本農業新聞」、別名「日本農協新聞」は政党機関紙のように連日1面に大きな活字で「TPP阻止!」を叫んでいます。

もうこうなっては、まともな農政議論もへったくれもありません。

農業は伝家の宝刀の票田をかざして民主党農水族に圧力をかけています。山田、赤松、篠原各氏までもが、連日厳しい政権批判をする有り様です。農村部に地盤を持つ議員がTPP推進などと言ったら最後、次の選挙はありませんから。

民主党は親代々の地盤がないので、石破さんのような短期的に農村の反発を招いても平気というしぶとさがありません。もうパニック寸前で、わが選挙区の石津さんなども火消しに懸命です。

そう言えば、5年前にもコメの部分的開放に伴って5兆円もの税金が投入されました。なにに消えたのかと言えば、あの毒米のMA米、果ては農業と関係あるのかはなはだ疑わしい道路、公園といったハコものでした。

鹿野大臣は旧自民党農政の体現者みたいな部分もある人ですから、管首相も微妙な方針転換を計っているのかもしれません(いや、ないな・・・)。

となると出てくるのは、TPP対策費の名目での、農村をなだめる金のバラ撒きでしょう。そしてこれもわけの分からないままどこかに消えていくのです。

今ほんとうに必要なのは、金ではない、農政のイメージなのです。

民主党農政はどこがどうという以前に、まったくその議論をしてきませんでした。そして経済界に押し切られるようにしてTPPを開始する号砲を鳴らしてしまったのです。

いったん政権が打ち上げたTPPの号令は、もういくら農業界が反発しようと変わらないでしょう。時間の問題です。

順番が違います。まず日本農業をどうするのか、どうしたいのかの議論を早急に始めるべきです。彌縫策とバラマキででどうかなる時代はとうに終わったのですから。

■写真 わが家の上空を飛ぶYS11。国産初の旅客機です。

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コメント

\(^-^)/YS-11だぁ!


TPPはねえ…もう今の日本に加盟できるのかという問題も含め、厳しいですね。アメリカとオージーが主導することになるでしょうから。
この20年、日本の農政は何をやってきたのか…農地法改正論議なんか昔からあった。
自民党から民主党政権に変わって1年余り。
なんの未来も見えません。
個別補償を断行して、苦しい予算から莫大な補助金をバラ撒きして凌ぐのでしょうか?
ありえません。勝負になりません。

米どころ山形でも、貸していた田んぼ返してね!ってな事態が頻発してます。
一方で耕作放棄地も拡大。
TPPは否定できませんが、なんか暗い未来ばかりが見えてきます。

あれほど声高らかに食料自給率向上を訴えてた山田前農相のヴィジョンとは相反するTPP参加表明ですね。
何ら前触れもなく唐突にこうした話を持ち出してくる政権です。
「第1次産業のGDPに占める割合は1.5%に過ぎない。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっている」と言い放った前原外務大臣を眺めていたら、、ガゼネタメール問題で自殺された永田議員を
信じ込み強気発言を繰り返し、結局は引責辞任した当時の前原代表の姿を思い起こしました。

山田前農相のブログ、参考になるかもです。
http://www.yamabiko2000.com/modules/wordpress/

TPP参加、時間の問題でしょう。第二の開国。
わずかなブランド和牛(4・5等級)は生き残れるかもしれない。
でも、第二のMA米として、何か別のものを買わされるかもしれません。そして、膨大な備蓄費用がかさむ一方となるでしょう。
だから、JPPAのようにMA米を安く買うという別の新たな構図が増えることになるでしょう。

TPPが日本の農業に致命傷を与えるとは思えない。
日本人が、ただ安いだけの農産物に飛びつくだろうか?
日本のコメ農家がすべて消えるだろうか?
そんな論理が通用するなら、日本の農家はとっくに消えてなくなっているはずだ。
小麦や大豆の自給率が低いのは、海外産品との間に質の差がなく(もしくは国内のほうがむしろ低く)、価格が安いからだ。
影響は農水省の数字よりはるかに矮小と予想する。

アメリカ農業の最大の圧力団体は牛肉業者です。
確かアメリカの牛肉はオーストラリアの肉より相当高いと聞いています。
アメリカのカウボーイや食肉業者が、無関税でオーストラリアから牛肉が入ってくるのを、すんなり許すとはとても思えない。

今までは関税で農業が守られていたと思います。関税がゼロになれば別の形で支援が必要だと思います。所得補償では努力しなくても補償されるので良くないと思います。生産奨励金ようなものがいいと思います。携帯電話で販売奨励金を出して安く売ってように対抗力をつける必要あると思います。但し奨励金だと財源が必要になります。関税で取っていた分は増税で集めなければならないと思います。
政策次第で農業が生き延びる事ができると思います。

輸入関税がなくなるということは、それを財源としている(農家への)助成金もなくなるということなのでしょうか?
政府は、その助成金までもなくして、日本の農業(畜産)をどうしたいのか。
管理人さんの言われるように、まず、日本の農業の中長期的ビジョンを出してから、TPPを論じて欲しい。

dollさん、その通りでして「金額ベース」で言っちゃったら、農業なんて吹けばとぶようなもんです。
だから参加と経済界や前原さんは言うんでしょうが、どういう未来を描いてるのかが見えません。

Cowboyさん
TPPの場合は関税ゼロに加えて、おそらくMA米みたいな姑息な手段は通用しないようです。「あらゆる輸入障壁」を原則撤廃で、話はすでに日本抜きで進んでいます。
どうなる、蒟蒻芋!

山形さんへ
コンニャク芋、自家用(自前の加工場用)に栽培しているだけですし、販売量は大したことありません。
輸入コンニャク芋の関税が撤廃されると、国産は、ヘロヘロでしょう。
マンナンライフ社は喜ぶかも。いや、マンナン粉にも、たくさんの関税が掛かっているのかなぁ。

農家さんには、叱られると思いますが、世界の貿易動向を見れば、TPP環太平洋パートナーシップ協定(Trans Pacific Partnership)。EPA経済連携協定 (Economic Partnership Agreement)
、FTA(自由貿易協定)など、多国籍間貿易、2国間貿易での、関税撤廃自由貿易の方向は、世界の常識となりつつあるので、止められないと思います。

ただ、どこの国も、貿易上、すべての関税をゼロにして、貿易できる品目を、そろえているかというと、そうでもありません。結局、農業で、関税をなくして、なりたたない国は、他の産業で得た利益を農業に廻して、補助金として、支えているのが、実情です。どこの国も、強い産業、弱い産業があり、ドル換算で、強い産業を、関税なしで、売り込み儲けて、その利益を、貿易で勝てない産業だが、つぶしてしまっては、困る産業に、内政として、補助金を出したり、小麦粉のように、一度政府が買い取って、再販売したりと調整しているのです。

そういう意味では、大量生産、大量消費を、日本経済の原動力にしている間は、関税撤廃は、時代の流れでしょう。ただ、諸外国のやってるように、関税撤廃で、産業にダメージを与える分は、国内政治として、補助金行政とか、再販処理とかで、その産業を潰さないように、各国とも、国内政治をやってます。

農業でいけば、日本の農産物ほど、安全で、規格のうるさい産業はないでしょう。関税撤廃以外に、農産物規格も、自由にして、残すべき産業に、税金から、設備投資や補助金行政もすべてやめてしまえば、日本の農業は、壊滅するでしょうが、どこの国も、表向き、関税撤廃で、自由貿易を標榜しながら、支えるべき産業は、国内法で、フォローしてます。

そこをしっかりやれば、関税を主とした保護貿易は、もう時代遅れでしょうね。

一気に、TPAは、できませんが、国内法を整備して、産業を守りながら、関税障壁は、なくしていくのは、世界の潮流ですので、いかに、関税を減らしても、農業がやっていける国内法にするのかが、ポイントではないでしょうか?

日本の農産物も、国内市場だけあてにして、関税で保護したところで、人口減の日本では、先が見えませんから、人口の多い国へ農業も輸出産業と国内消費と両方をやっていかない限り、無理だと思います。単に、貿易自由化反対だけでは、先が見えてますので、関税撤廃の代わりに、どういう政府援助や輸出拡大方法があるのか、真剣に提案する時代に来たのだと思いますが。。

日本だけ、関税鎖国しても、国際的には、意味がないでしょうね。

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