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2010年11月19日 (金)

TPP時代、外国は何を「武器」にして上陸してくるのか?

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cowboy様。確かに仰せのとおり貴兄の繁殖牛の分野と、私たち有機農産物と平飼養鶏は重なる部分がまったくといっていいほどありません。

もっとも大きな差は、私たちの分野が日配品であるのに対して、牛、豚は月に数回、あるいはもっと長いスパンでの出荷であることでしょう。私たちは週5日のデリバリーを組む必要がありましたが、牛や豚ではそのような必要はありません。

ですから、私たちの野菜+卵の分野はデリバリーや倉庫の協業をし易いといえます。

私が構想したのは家族農業の連合体でした。どうしても規模が小さいために難しくなっていることを、ひとつひとつ解決していくために作られました。

デリバリーや倉庫などのハード面にとどまらず、有機JAS認証に必須であるトレサビリティが統合されました。有機JASが要求する膨大な文書管理システムの維持管理は個人では無理だからです。

今、このトレサビリティ・システムは、GAPと組み合わせることで新たな展開をしています。

ご承知のようにGAPは、「第3者認証」システムです。自分で自分の農畜産物がいいものだと自己申告するのではなく、目標を定め、チームを作り、記録を保管し、開示に備え、そして定期的に第3者に見直しをしてもらって認証してもらうシステムです。

もともとEUの市場統合の過程で生まれたユーレルGAPが原型です。まさに自由貿易圏構想の落とし子のような存在です。

各国色々なGAPをもっています。私たちのグループは訳あって加入していませんが、日本ではJGAPがあります。

GAPの認証とは、おおよそこのようなものです。これは必要最低限なもので、以下の項目に付け足すことは可能です。

①農産物の安全
②環境への配慮
③生産者の安全と福祉
④農場経営と販売管理

たぶん5年先前後には、ということはTPPなりEPAなどの自由貿易圏構想が現実化する時期には、ということですが、GAPないしは、それに類する第3者認証がない農畜産品は大手流通市場では生き残れないと思います。

今「それに類する」と書きましたが、各県やJAなどの団体が勝手に解釈して作っているような「GAPもどき」はほとんど無意味な存在となります。

わが県でも県推奨品マークや農業団体が流通と独自に作っているシールなどは沢山あるようですが、残念ですがそれらは自由貿易圏の時代には恣意的なものに分類されてしまいます。

なぜでしょうか。その大部分が隣国のChinaGAP(CGAP)にすら及ばない低いレベルだからです。県やJAが往々にして考える認証は、付加価値生産しか念頭にありません。

「シールをつければ売れますよ」というわけです。そうとでも言わないと生産者が付けようという意欲を起こさないからです。

これは日本の農業市場がクローズド・マーケットであることに原因があります。つい最近まで輸出はおろか、輸入農産物も中国か、せいぜいが米国、豪州さえ想定しておけばよかった内向きの体質がそうさせたのです。

何度も言いますが、好と好まざるとにかかわらず、そのような時代は終わろうとしています。

例えば、EPAによって日本に無関税で入ってくるであろう豚肉には、まちがいなくEGAPが付いています。そのときに「県推奨うまいもん」や、知事の顔のシールなど屁の突っ張りにもなりません。

また日本の農畜産物がシンガポールなり、香港、あるいは米国などに輸出する際には、TPP体制下ではグローバルGAPと同等性認証が必要となります。

それがなければ相手国の流通に受け取りを拒否される可能性があります。要するに相手にされないのです。門前払いです。

向こうさんはドカドカ入って来る、しかしこちらは輸出が難しくなるでは、日本農業が勝てる道理がありません。

それに対して、畜産分野の意識は農産物全体の中でもきわだって遅れています。それでもBSE以降のトレサビリティの蓄積を持つ牛はまだいい。しかし養豚や養鶏はまったく手つかずの状態の所も多いのです。

正直に言って大変に不安です。私たち農業者は、TPP時代に外国が何を「武器」にして上陸してくるのか知って研究しておかねばなりません。ですが、その認識さえまだ共有化されていないのがわが国の農業の現実なのです。

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コメント

これは難しいですね。
「圧倒的安さ」は予想できますが、それ以外は…。

去年もアメリカチェリー輸入時期を早めるとかで、山形県から大反発してギリギリまで遅らせました。
販売時期が被るとか値段よりも、輸入チェリーに付く虫が問題でした。
それで、こちらからも調査員をアメリカに送って、ミバエ類の痕跡が無い地域からだけ早期輸入を認めることに。

TPP実施となればこれでさえ「自由貿易障壁」として撤廃されかねないです。


米・野菜・果樹・牛・豚・飼料等々…
どうやって戦うのか!

戦後最大の農業パラダイムシフトがやってきます!

そして、現状はすでに30年前から「高齢化」を指摘されてきた疲弊した農村が攻撃正面に立つわけです。

残念ながら苦しい戦いになるでしょう。

「食料自給率」云々はどうなるんでしょうね。
霞でも食えと言うのでしょうか?

国内の農畜産物をアメリカに輸出しようとすると一番先に衛生条件があります。一昨年十勝のJAが和牛肉を輸出しましたが、十勝にある屠場では認定がされなく、栃木?茨城?(ど忘れしました)の屠場でのと畜となりました。原則他の家畜のと畜と厳格に区別されていないと認証されないようです。
私の町が出荷している牛乳工場ですが、横須賀基地に牛乳(飲用乳)を納品していますが、半年に一回は工場の立ち入り検査と出荷牧場の検査があります。
検査は獣医師の資格を持つ担当官と事務担当官の二人態勢でやってきます。
牧場では、牛の状態や病気の場合の治療状況、出荷までの期間、牧場に常備している薬品の使用状況や保管状況など多くの項目があります。
どこの国でも自国の国民の健康に影響を与える(受ける)事項は排除するのが原則です。
日本人は品質にうるさい・・・と言われていますが、まだまだ甘いのではないでしょうか?軍人さんの食料ですから、イザと言う時腹を壊していた・・・なんてシャレにもなりませんから、一般国民向けよりは厳格な事は分かりますが、若干レベルを下げたとしても、大差無いと思います。
輸出国の理論で様々なリスクを持った食料品が輸入される可能性は否定できないと思います。
何が安全で、その安全性を担保するコストを理解して負担する国民であって欲しいと願っていますよ!

牛のトレーサビリティーも、蓄積はあるにせよ、単に異動記録でしかありません。母牛の情報、いつ誰がどこで繁殖し、いつまで誰が肥育し、いつどこで、屠畜されたかくらいしか記載がありません。つまり、子牛の段階で、どんな薬(抗生物質)を投与したか、どんなワクチンを接種したかなど、細かい事項は、ある意味、闇の中。
ましてや、名義貸し獣医による指示書で購入した抗生物質をガンガン打っている牧場だって、少なからずあるはずです。
グローバルGAPに比べれば、実質的には、豚・鶏と変わらないといえそうです。単に、人の名前などが、出てくるだけ。あくまで、性善説に基づいた脆弱さは付きまといます。成熟度の観点から言えば、まだまだ青いシステムです(北海道さん、生意気言って済みません。)。無論、何も無い畜種よりは、スタートラインはかなり前と言えますが・・・。

COWBOY様気にしないで下さい。現実はそんなものですから・・・
ただ、北海道では「畜産物生産履歴記帳」を義務付けしており、治療歴(投薬歴)は勿論、給与した飼料名やサプリメント及び自給飼料に関しても栽培履歴(肥料・農薬・堆肥投入・収穫日等)を記帳する事になっています。JAでは項目によっては毎月、自給飼料関係については半年か或いは年毎に確認しています。
購入飼料やサプリメント等はJAの購入実績からデーターをとりますし、JAを通さない分は購入伝票で確認しています。都府県と違うのは、北海道のほとんどのJAでは「クミカン」制度によって農家の収入・支出を把握できるシステムになっていますので、支出項目を故意的に申し出しない限りは概ね正しいデーターをとる事が可能です。治療歴は全ての畜産農家はNOSAI加入していますので、NOSAIからデーターをもらう事になっています。(当然本人から承諾書は頂いていますよ)
100%とまでは言わないまでも、ほぼそれに近い確率で把握していると思っていますが、全てを記帳しているの?と問われれば、若干自信は有りません。
100%目指していますよ!!

関税撤廃の影響は、国内のより一層の産地間競争激化をも、もたらすでしょう。
酪農業の場合殊更で、現在も北海道からの飲用乳の府県への流入拡大の影響で、少子化、商品の多様化などが絡んで、府県生産乳価の伸び悩みがこちらでも嘆かれてます。

管理人さんの唱える小規模農家同士のネットワーク戦略構想、素晴らしいと思いますが、そうしたグループの乱立が、マーケッティング市場の奪い合いという問題を派生させるリスクを背負う事になると予想しています。

個人的には、JA、酪連組織などの思い切った改革を期待
したいです。

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