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トリインフルエンザの初動3点検査セットが威力を発揮した

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動物衛生研究所の確定診断でもH5型であることの結果が出ました。まだなんのNの亜型かは判っていません。まぁ亜型判定が出来ても出来なくても、処分方法の結論は一緒ですから困りません。

さて、今回のトリインフル事件で特徴的なことは、その対処の迅速性です。これはたぶん全国の関係者もびっくりしているのではないでしょうか。もちろんいい意味でです。

私たちは、宮崎県の口蹄疫のあまりの処理の遅さを知っているだけに島根県の対応に仰天しました。
それにはもちろんタネがあります。

まずひとつめのタネは、奇妙な因縁ですが宮崎県にあります。
みなさんは、平成19年に起きた宮崎県のトリインフルエンザ事件を覚えておられますか?この時も、実は東国原知事が指揮を執りました。

この事件以降、農水省はトリインフルエンザの防疫方針を改善します。なぜならこのトリインフルは、濃厚接触によりヒトに感染する可能性があるからです。外国では豚を媒介にしてヒト-ヒト感染する新型インフルエンザに転換してしまうケースもありました。
ここが口蹄疫との最大の違いです。口蹄疫はヒトに伝染しません。

農水省が大きくトリインフル対策を変えたのは、今までインフルA型か否かの判定だけに止めていた家保の診断を、トリインフルエンザH5型判定まで拡げたことです。

これで県家保の診断範囲が一挙に広がり、動物衛生研究所に検体を持ち込む前にトリインフルエンザか否かの判定が可能になりました。
今回の島根県での素早い対応の秘密はここにあります。

今回、家保は初動において3種類の検査を同時に行っています。
〇PCR遺伝子検査
〇抗体検査
〇ウイルス分離

これはトリインフル診断の3点セットと呼ばれるもので、血液採取と咽喉や肛門からの糞便の検体採取で行います。PCKとウイルス分離は同じ検体を共有して行います。

3種類を並行して行う理由は、抗体検査のみだと既に陰性に変わってしまう可能性があるからです。PCR遺伝子診断の判定技術は、現在非常に進んでいて、かなりの確度でH5型か違うのかを判定可能です。そしてそれをウイルス分離することで、いっそうたしかにするという念の入った方法です。

これらの3点セット診断は、1日以内に県家保の施設で行うことが可能です。現在検体は動物衛生研究所に行っていますが、これも最終的な確定をするためのもので、既に県家保段階でH5型であると出ているわけです。

この動衛研の確定診断は、発育鶏卵を使って行われるもので、そのために48時間ていどの時間がかかってしまいます。この初動の時間のロスを失くすためにも、県家保の初動の3点検査はとても有効なのです。

これが今回の島根県で、動物衛生研究所の確定診断以前に殺処分を始められた理由です。たぶん、島根県家保はPCRの陽性判定が出た瞬間、殺処分方針を決めたと思われます。

トリインフルエンザに対しては、この3点セット診断の簡易検査キットが家保には配備されているそうで、今回威力を発揮しました。


■ 写真 北浦河口の夜明けです。湖に漁船のポンポンという音と水鳥の朝のあいさつが響きます。ただし、トリインフルからみるとちょっとこわい。野鳥の会と家保が定期的に野鳥の糞便検査をしています。

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コメント

なるほど…すごく分かりやすいです。
「経験の蓄積」が上手く働いたケースだったんですね。重要なポイントです。

今回の場所は中の海に面する場所ですから、やはり渡ってきた水鳥でしょうね…。

とにかく、今は拡大しないことを祈るのみです。

投稿: 山形 | 2010年12月 2日 (木) 07時42分

やはり、シベリヤから越冬の為に、南下した水鳥(たぶん、カモの類)がH5ウイルスを持ち込んだ!。すぐ近くに宍道湖などの中海がありますからね。中海でウイルスが糞便に潜伏、それが、他の小鳥に伝染した。問題は、カモから感染した小鳥が養鶏場の排気口から鶏にウイルスを感染させたので、養鶏場周辺の野鳥(スズメ、ムクドリ、カラス)など捕らえて感染有無の疫学調査が必要でしょうね!

投稿: AniVet | 2010年12月 2日 (木) 09時27分

AniVet 様、山形様。私も水鳥だと思います。
おっしゃるようにカモ⇒野鳥⇒鶏だと思います。保菌している水鳥がまだいると思われます。
水鳥だとして、どこからの侵入ルートかです。シベリアルートか、中国東北部ルートか、あるいは北海道の過去発生地点からの国内の伝播か。
この半年は中国、韓国ではトリインフルの発生が見られていません(香港ではヒトの発生が11月にありました)。となるとバイカル湖からか・・・。もう少し調べてみます。

投稿: 管理人 | 2010年12月 2日 (木) 09時44分

すでに2万羽以上が処分されてしまいました。悲しいことですが、渡り鳥の移動自体は避けられない。
かつインフルエンザ流行期の冬に雁・鴨・白鳥がやってくる。その渡り鳥たちは優雅で美しい。懸命に生きてるだけ。
迷惑だとしても恨むこともできない。

北浦近くの濱田さんも気が気で無いことでしょう。
今のところ初動の速さが効いてるようですが、全国の養鶏関係者にお見舞い申し上げます!

投稿: 山形 | 2010年12月 2日 (木) 10時34分

御無沙汰しております。
鳥インフルについて、濱田様に於かれては、深刻に受けとめているものと推察いたします。
先般北海道稚内の湖でもウイルスが発見されましたし、渡り鳥の季節には何処で発生するか分からない為、防疫にも苦労すると思っています。
我町に養鶏・養豚農家はいませんので、直接的な被害は出ないとは思いますが、防疫に関しては他人事ではありません。
また、本町には湖沼が数多くあり、渡り鳥も多数飛来します。(もう少し経つと一面氷に覆われますので、
春先までは居なくなりますが)
十勝川温泉近くの「十勝川」には凍らない場所があって、冬でも沢山の白鳥や鴨がおり、観光客には喜ばれていますが、インフル問題が出てからは、嬉しいやら心配やらで複雑な感じです。
何はともあれ、感染拡大しない事を祈るばかりです。

投稿: 北海道 | 2010年12月 2日 (木) 13時35分

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