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2010年12月 8日 (水)

酢はあくまでも補助的対策としては有効だとする白井教授の意見

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一宮崎人様やcowboy様のご紹介の宮崎の畜産家たちの口蹄疫と戦う姿はほんとうにすごいですね。崇高ですらあります。ほんとうに頭が下がります。 

さてコメント欄で話合われている酢についてですが、以前にもご紹介しましたが、山崎牧場様のサイト(べぶろぐ 山崎牧場日記)にはこのように記されています。参考として引用させていただきありがとうございました。

この白井先生の提案ですと、あくまでもしっかりとした消毒をした上でのことですが、補助的手段としての酢はありえるとされています。
http://koji.air-nifty.com/cozyroom/2010/05/post-aa44.html

(以下引用)

東京農工大学 白井敦資教授 補助対策に提案
      (日本農業新聞より)

口蹄疫対策の補助的な防衛策として1000倍に薄めた酢を散布する手法を提案している。
口蹄疫ウイルスは酸に弱くpH5~6で死滅する。
酢は強酸性でpH3程度だが1000倍に薄めてもpHは4程度。

但し、通常での衛生管理(靴底や車などの消毒・畜舎を清潔に保つ)を徹底した上での補完的な対策である。

 参考:※農業新聞に載っていた酢(ミツカン穀物酢業務用)のpH
  原液×5・・・・・2.59
    ×10・・・・・2.84
    ×100・・・・2.95
    ×1000・・・4.13
    ×10000・・・4.78

具体的な使い方(提供:小林市口蹄疫侵入防止対策本部)

1.動力噴霧器を使って薄めた酢を散布(500倍から750倍)

・動力噴霧器で牛体、畜舎の内外及び周辺に散布。

・雨の日は牛舎内及び牛体に散布。

・牛体には毎日1回、午前中に前と後ろから散布(目に注意)。

・また、餌にかかっても大丈夫です。

2.ハンドスプレーで薄めた酢を噴霧(1000倍)

・朝夕に牛の顔に噴霧。

・車等で外出時には必ず持ち歩き、車の出入り時に噴霧。

・家に帰るときには十分に行う。

・新聞・郵便等を受け取るときもハンドスプレーで噴霧。

・あちこちにおいて体や靴の裏に噴霧。

・搾乳時には、バケツに酢を数滴たらして乳房を拭く。
  (ただし牛乳への混入がないよう注意が必要。)

参考 希釈倍率
500倍 酢20cc 水と混ぜて10リットル
750倍 酢13.3cc 水と混ぜて10リットル
1000倍 酢10cc 水と混ぜて10リットル

酢の種類によるペーハー

1.五倍酢(穀物酢)酸度22.0%
原液 2.0
250倍 3.6
500倍 4.0
1000倍 4.4

2.マルボシ酢(穀物酢)酸度4.2%
原液 2.5
250倍 4.6
500倍 5.2
1000倍 6.6

より低いpH値になるような希釈倍率が好ましい
(山崎記:松本大策獣医師は300~500倍を推奨)

ペーハーの変化、12時間後

矢印(→)の後が12時間後の測定結果。コップに入れて室内で放置。

1.五倍酢(穀物酢)酸度22.0%
250倍 3.6 → 3.5
500倍 4.0 → 3.8
1000倍 4.4 → 4.2

2.マルボシ酢(穀物酢)酸度4.2%
250倍 4.6 → 4.5
500倍 5.2 → 5.2
1000倍 6.6 → 6.7

五倍酢は、若干下がった。下がった理由がよく分からないがpH値は維持されている。
一般の食酢もほとんど変化がない。
半日ぐらいだったら作り置きしていても使えそう。

※踏み込み消毒槽への酢の使用は?

・酢は揮発性があるので、長時間放置するとpH値が上がる。

・希釈により口蹄疫ウイルスを不活性化できるpHは確保できるが「カビや細菌は生育できる」状態となる

・靴底に家畜の糞尿などが付着する事を考えると、アルカリ性の物質や微生物の影響で酢が中和される

上記の理由から、畜舎での踏み込み消毒槽への酢の利用は適さない。

(但し、まめに作り変えるなら一般家庭や商店での使用はできるのでは?)

(引用終了)


■私の農場の入り口です。朝日がこの角度で差し込むのは早朝のほんの5分ほどなので、がんばって待ちました。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

消毒薬が間に合わない等の非常事態には、酢の希釈液でも、効果が期待されるものは何でも利用するしかありません。
今回の発生時には北海道でも消毒薬や消石灰も急激に入手困難になりました。一番必要とされる発生地に集中投入しなければなりませんから、それも仕方無いと思いますが、平常時における「備蓄」の重要性を痛感した次第です。
我町でもビルコン等の消毒薬は若干有りましたが、仮に宮崎県外まで感染拡大したら・・・九州を超えたら・・・北海道まで広がったら・・・と考えたら、とてもとても間に合うような状態ではありませんでした。備蓄も無駄に終わる事が理想ですが、事業仕分けではありませんが、「無駄」と言われかねませんので、どのくらいの量を?と聞かれたら回答は難しいです。行政とは、1年度で用意できなくても酪農畜産農家1戸に取敢えずの消毒用としてビルコン10kgは準備しよう。と話して居る所です。

白井 淳資 さんは、塩酸に対する口蹄疫の感受性の研究結果から、
食酢の1000倍、10000倍でも、口蹄疫ウイルスを殺す(不活化する)ことができると言っています。
試験管の中では、この通りでしょうが、実際の環境中には様々な物質があり、
薄い酸は容易に中和・緩衝されてしまうので、口蹄疫ウイルスに対する有効性を保てません。

では、お酢の場合、どのくらいの濃度が有効なのでしょうか?

農水省「消毒薬の作り方と使い方」には、食酢、酢酸は出てきません。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/syoudoku.pdf

農水省は「畜産車両の運転席の消毒用」として、「食酢の10倍希釈」でも可としています。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/syaryou_houmon.pdf

横浜市衛生研究所HPでは、「2%酢酸」で不活化としています。
(食酢の2~3倍希釈、5倍酢なら10倍希釈)
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/idsc/disease/fmd1.html

「消毒剤の誤用にご用心」(鹿児島大・岡本嘉六教授)では、食酢が効果があるのは
「せいぜい100倍希釈まで」
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/disinfection.htm

OIEのデータでは、クエン酸濃度は0.2%と記載され、酢酸の記述はありません。
http://www.oie.int/eng/maladies/fiches/a_a010.htm
Disinfectants(消毒剤)の項: citric acid (0.2%)

ここで、0.2%クエン酸のPHは約2.5ですから、
同じPHなら、食酢は原液、5倍酢は5倍希釈程度です。

英国農務省も、0.2%クエン酸で効果があるとしています。
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Disinfectant.htm
(但し、置いておくとカビ・真菌が繁殖して効果が落ちるので注意。)

「お酢の口蹄疫ウイルスに対する消毒効果の検証」 (徳島家畜保健衛生所) 2010.9.8
http://www.pref.tokushima.jp/docs/2010090700047/
(以下、上記より引用です。)
検証試験では実際に口蹄疫ウイルスは扱えないため、消毒効果の判定基準はpHとしました。
 結果を要約すると… 

 【無効だったもの】 飼槽(お酢を500倍希釈で使用)
             粗飼料(お酢を1,000倍希釈で使用)
             踏み込み消毒槽、(お酢を1,000倍希釈で使用)

 【有効だったもの】 人間の手指の消毒(お酢を100倍希釈で使用)
             家畜の飲水への利用(お酢を500倍希釈で使用)

【考察】先の口蹄疫発生では消毒薬の不足等からお酢の利用が報道された。FMDV に
対して、今回効果指標としたpH の値からは人体や飲水の消毒に対して補助的に使用
することが可能であることがうかがわれた。しかし、緩衝物や細菌のある現場には効
果がみられなかった。酢の利用はあくまで補助的なものであり、疾病対策には日頃の
基本的な衛生管理が肝要。通常の衛生管理には消毒薬を使用すべきであり、安全で安
価であるからといって酢を使用すべきではない。

べぶろぐの山崎(♀)です。
お酢での消毒についてブログで発信した責任(笑)もありますので、徳島県での検証について鹿児島のシェパードの松本先生にもお聞きしました。

松本先生の返事は次のようなものでした。

「僕も読みましたが、お酢の有効性を否定するのではなく、お酢の希釈時のphを維持できるように、水のphや夾雑物に注意する、ということがよく理解できました。

ただ、他の細菌と口蹄疫ウイルスとを一緒に試験してあるので、誤解を受けやすい部分はあると思います。

あくまでお酢は、酸性による口蹄疫ウイルスの消毒としてのみ考えた方がよいと思いますし、人間や畜体等の消毒には、毒性なども考慮するとかなり有効な物だと思いました。

あと、夏場にカビが生えやすい場所では、原液をスプレーして防いだ経験があります。牧場内の飼料車に残っている餌などの表面にはカビが生えやすいですからね。」

参考までに白井教授の論文は
http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/pdf/society/66-0254.pdf

です。


また小林市の対策本部にいた方にも話を聞きましたが

実際問題として不活化するまでの時間を考えた時、1時間もかかるものよりも数秒で効くとされるものを取らざるを得ない状況であった。

えびの・小林・都城では道路の消毒として、散水車による酢の散布を行ったわけだが、これを消毒薬で行うには、消毒薬の不足並びに資金面からも無理だったであろう。
(これに関しては私も実際に散水車を見ましたが、惜しげもなく道路に撒き散らしていました。酢だったからこそ、あれほどの量の散布ができたと思います。)

また、えびの地区で感染が食い止められた事を考えた場合、児湯地区での防疫と違った事をやったと言えば、この散水車による酢の散布だけであった。

との事でした。

現代農業の11月号に川南の農家の話として(2例目3例目から100m以内で、感染疑いを出さなかった農家)「木酢液での消毒を行った」という話もありました。
現地で実際に感染せずに生き残った農家では殆どが酢による消毒が徹底されていたことも伝え聞きます。

実際に酢での効用がどの程度のものかは疑わしい点も多いのかもしれませんが、消毒薬が不足する中、なかでも生体に使える消毒薬の種類が少なく手に入り辛い状況では、農家自身が自ら防疫意識を高める点でも気軽に使える酢の存在は大きかったと思います。

もちろん、消毒薬や石灰を使っての防疫にも全身全霊を傾けていたわけですが、それでも
「他に出来る事はないのか?」
「遣り残した事はないのか?」
「本当に、これで牛たちを守れるのか?」
と、ひたすら不安になる中、気軽に牛にかけることのできる酢の存在は精神的にも助けられた農家が多かったと思われます。


まぁ、どれほどの効果があるのかは実際に口蹄疫ウイルスを使ってぜひ検証して頂きたいと思っていますが。 

長々とこの場をお借りする事をお許しください>濱田さま

コンタンさんは酢による消毒の効果を全くの0だとお考えなのでしょうか?
岡本先生の記述にしても100倍希釈に関しては「踏み込み消毒槽」での効果です。
農水省にしても本当に効果が無ければ「酢による消毒は効果が無いから止めろ」との
通達を出すべきではないでしょうか?

要するに言いたいのは
例え0コンマ01の可能性であっても、現場ではその可能性に頼らざるを得なかったという事です。

例え100万個のウイルスが襲って来たとしても、10個のウイルスが着いて口蹄疫に感染するなら、その10個のうち1個でもが死滅すればいい、

自分の家が口蹄疫に感染すれば、ヘタをすると近隣10キロ圏内がワクチン接種の憂き目に会いまた数万頭の家畜が殺処分されるかもしれない・・・・

そんな時には可能性が0で無い限り、ありとあらゆる方法を試さずにはいられなかったのです。

これを頭から非合理的だと非難するのは簡単ですが、それは当時の現場を知らないからこそいえる事なのです。
わずかな可能性でもそれにすがりつくしかなかった状況を、ホンの少しでも理解して頂ければと思います。

山崎様。引用をさせていただいたばかりか、ご丁寧なコメントまでいただき恐縮しております。

山崎様にまったく同感です。私も現場の畜産家として、あの宮崎の消毒液すら不足していた状況においては、酢の使用も試みたでしょう。

酢は濃度さえ間違わなければ、消毒液と比べ生体に対しては優しく生体噴霧が可能です。cowboy様がご紹介のえびの市の牛飼いの方がおやりになった方法です。

私は養鶏でコクシジウムの予防として酢を飲水に混ぜて使用しております。
酢はあくまでも通常消毒の補助的手段ということを念頭に置いた上で、とりうる可能な手段のひとつだとおもっております。

山崎 さま。 お気を悪くされたとしたら申し訳ありません。

お酢の効果がゼロかと聞かれたら、もちろんそんなことはないと思いますが、
どのような用途に、どのような使い方をするのが効果的なのかは、あまり明らかではないです。

もし次に口蹄疫が起きたときは、なるべく効果の明らかな方法をとってほしいと思うだけです。

それと、伝え方として「補助的手段として有効」と言ったとき、
いつの間にか一人歩きして「手段として有効」と受けとられないよう、注意する必要があると思います。

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