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2010年12月18日 (土)

日本の農産物が高いというのはホントなのか?

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たくさんのコメントをありがとうございます。しっかり読んで後ほどお答えさせていただきます。「りぼん」様、おひさしぶりです。お目付役がいないと寂しかったですよ。cowboy様、山形様、回復されましたか?

日本農業ほど誤解されている産業分野はないと私は常々思っています。このブログにも、かつて農産物完全自由化論者が上陸してきて議論を吹っ掛けられました。

ただ、彼らは相手が悪かったですね。私が「日本農業を守れ」とか、「自由化断固阻止」と言っていると勝手に決めつけていたらしいのです。

私は日本農業は今でも強いし、政権党と農水省がおかしな農政をせねばもっと強くなれると思っている人間です。だから別に「守ってくれ」などとまったく思いませんし、むしろ、危ない外国農産物の洪水をせき止めて国民を守っているのはオレたちだろう、と思っているくらいです。

「自由化阻止」を言ってどうにかなるなら叫びましょう。私たち有機農業業界は、いち早く10年前に有機JASというグローバリズムをまともにくらっていますから、グローバリズムの正体はよく知っています。有機JASが上陸するとわかった時に農業者はふたつに別れました。

研究し、対応を考えて備えた者。一方、多くの仲間は背を向けて住み慣れた個人産直の世界に戻るか、有機農産物の表示そのものをあきらめました。

私は前者でした。このことについては、長くなりますから別の機会にお話するとしましょう。有機以外の分野の方にも多少参考になることがあるかもしれません。

さて今日は、うちのブログに来襲された農産物完全自由化論者の方が言っていた、日本の農産品を頭から高いと思う錯覚について考えてみましょう。

FTAの議論の時もこういった論法がありました。FTAを結べば安価な輸入農産物が大量に入ってきて、市場価格はさらに下がり、それによる国民の経済的な利得はA円であるのに対して、一方仮に日本農業が潰れてもその損害は彼らの老後の年金をみてやればいいくらいなのでB円。

A円>B円=輸入農産物に門戸を開放したほうか国民にとって利益。だから「開国」すべし、という論理です。

日本国民が不当に高い価格の食料を買わされていて、多大な出費を強いられているという話は、どうも都会では「常識」みたいになっているようですね。こんなことをのたもう人たちは、日本の農産物が皆、米価のように決まり、野菜も卵も高関税でブロックしていると思っているらしい。まぁ強烈な印象なのはわかりますが、実証的じゃないんだな。

ではほんとうにそうなのでしょうか、そこでデーターを調べてみることにしました。

具体的な数字を出して比較してみましょう。まず、2003年に総務省統計局が出した「世界の統計2003年版」に家計消費支出の食料支出の占める割合のデーターが出ています。

日本は25%弱です。この数字はカナダ、ドイツ、イタリア、イギリスとまったく一緒です。特に日本の食卓が不利益をしているという証拠はありません。先進国としてはいたって妥当な水準です。現在はこの統計の2003年時よりデフレが進んでいますから、たぶんもっと下落した数字が出るはずです。

次に、ドイツと比べた野菜の価格を調べてみました。ゲッチンゲン市の青空市での価格調査のデーターがあります。青空市で生産者自身が売っていますから、流通コスト(卸と小売)が省かれているので、実際のスーパーではこの2割増していどとお考えになればいいと思います。こちらの道の駅などの直販所などと比較するのが適当だとは思いますが、まぁいちおうの目安にはなります。

ドイツ・ゲッチンゲン市では、ピーマンが300㌘ひと袋で156円。卵が1個36円。平飼卵は1個42円。トマトは300㌘で95円。ブロッコリーが1個で246円。カリフラワーが1個150円。この価格をご覧になって、ドイツって農産物が安いと思われる方があれば、ハイ、手をお挙げ下さい。

ものにもよりけりですが、ほとんど同じ価格水準か、品物によってはもうオレ、ドイツに移住したいと思いましたもん。平飼卵が42円ですぜ、俺なんかより高いじゃないか、ウルウル(泣く)。

たしかに農地一戸あたりの耕地の広さはドイツは20倍ですが、だからと言って20倍安いなんてことはまったくないのは、今のゲッチゲン市の調査でお分かりになりましたね。もしそうならば、日本では耕地の大きさに比例してドイツの20倍のピーマンひと袋を3千円強で売っていることになりますからね。ああ、やってみてぇ。すぐに蔵が建つっぺよ(笑)。

欧州の耕作面積は確かに日本の平均20倍程度ありますが、大半は歴史的に牧草地や穀物畑、休耕地として利用されており、実際に畑として利用されているのはその4分の1以下程度にすぎません。ですから額面だけの耕作面積で農業の生産効率を計るのは勘違いの元です。

この日本農業の耕作面積が狭いということも、日本農業非効率論者が好きな論点ですが、ヨーロッパ農業の実態見てから言えよというかんじです。そして日本の農家の耕作面積が狭く見えることの原因には、兼業農家まで含めてやたら農民数が過剰に出る統計のとり方にも一因があるのです。
このことは別の機会に論じるかもしれません。

話を戻しましょう。さて、国産「高級」ということの筆頭によく上げられているコメですが、スーパーで流通するコメの最も安い相場が2000円/5㌔で、1合換算にすると60円、1合で茶碗3杯分ですから、一杯で20円となりますね。
魚沼コシヒカリはこの約倍ですから茶碗一杯あたりで40円。これが高いですかねぇ。日本最高、つまりは世界最高級のお米が、お茶碗3杯で120円、缶コーヒー1本120円と同じ価格です。

1食3杯魚沼コシヒカリを腹いっぱい食べて120円、これを高いと言われると・・・なんともかとも。カリフォルニア米だと100円切ることは確かでしょうが、だからなんだと言う気分です。魚沼米食べて120円のところを、カリフォルニア米で90円になって幸せですかね。私には理解できませんです。

高いと思うのはコメ一回の購買支出が最低5㎏単位だからで、5㎏あれば小家族でそうとうに持つでしょう。それはコメが保存がきく特性があるからで、パンを一時に5㎏買えば同じことです。同じ国産「高級」といってもホンマグロの大トロの「高級」とは同次元の問題ではないのです。

牛肉にいたっては和牛という自他ともに認める世界最高級の牛肉を、オージー・ビーフやブラジル・ビーフごときと比べること自体ナンセンスです。次元が違うものを較べているからです。ホンマグロとビンチョウマグロとを比較して、ホンマグロが高いと言っているようなもので、バッカじゃなかろか。

欧米でグレードの高いステーキを食べれば、それなりに高いのです。品質のグレードを無視して価格を論じても仕方がないと思いますがね。

さて、この農産物価格問題を論じる時にもっとも注意しなければならないのは、輸入農産物を日本円に換算する場合、その時々の為替レートに大きく左右されることです。

今のように80円台まで円高が進んだ時と、かつてのような固定相場制の時のように360円台とは比較にもならないでしょう。今の80円相場で輸入農産物を買えばなんでも安い気がしますよ。輸入農産物が「安い」と言う人は、この為替相場が生きものであることを都合よく忘れているような気がします。

大手商社が海外駐在員に、コメの現地価格の統計を出してもらったデーター(「データーブック世界の米」)があります。北米での価格差が面白いのでご紹介しましょう。1986年に1217円/5㎏だったものが、99年には3200円にと倍になっています。同じ北米コメの価格がどうして円換算するとこれまで違うのでしょう。

中国が元高になった場合(たぶん遠からずなりますが)、今の価格が3割、5割値上がりということもありえます。

なぜこんな大きな変動が起きるのか、答えは簡単。為替相場の上下です。輸入に頼ると上下し続ける為替相場によって食料価格が上下してしまいます。まったく品質と関係がないところで国民生活が左右されてしまうのです。もし、またもや円安にふれて170円にでもなったらどうするんでしょうか。一挙に食品価格が2倍になるんですよ。これは国民にとって「利得」でしょうか?

自由貿易というのは為替というフィルターを通して流通します。このことを農産物完全自由化論者の皆様はお忘れのようです。

現代はデリバティブマネーが為替相場を左右する傾向がありますから、今がたまたま極端な円高だからと言って、こんな水モノの為替相場に国民の命の糧を預けていいとは思えません。

さて皆さん、ここであらためてお聞きします。よく言われるように日本の農産物は果たして「高い」のでしょうか?


■写真 お仕事シリーズ第2回。わが農場の鶏舎と給餌車。鶏舎はすっぽり防鳥ネットで覆われています。うっとおしいだな、これ。作業効率悪くなるし。風ですぐ穴が開くし。島根の方のように2カ所程度の穴でとやかく言われたくないですよ。


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コメント

22日に退院できそうです。ご心配おかけしました。
魚沼コシヒカリ茶碗3杯が缶コーヒー1本と同額とは、高級とは、名ばかりですね。
うちの相方、いつも言ってます、「野菜が10円、20円高かろうが安かろうが、農業機械の修理代に比べれば、誤差みたいなものだ」って。確かに、純正部品は高い(涙)。
毎日の家計を預かる主婦の価格に対する過敏な感情が、「日本産は高い」という幻想に拍車掛けていることも、否定できないと思います。
ところで、管理人さん、円高と円安が逆になってませんか?

為替レートの変動だけで大きく違ってくる価格。
農業保護(&軍事)超大国アメリカの意向。
振り回されるのは、世界中と我が国の農民です。

加州米が悪いとは言いません。結構な旨さで大粒で寿司向きな国宝ローズとか。

ちょっと考えれば、パン屋で買う食パンや菓子パンに比べて、国産米は高いのか?
ブログ主さんのおっしゃる通り、一食あたりにしたら…かなり安いと思います。(だから大手コンビニや牛丼チェーンが「コシヒカリ使用」を謳う)

日本は上手い米と野菜と畜産製品の宝庫。
東京や大阪の大都市から山形に越してきた人は、まず間違いなく「飯が上手い」「水が上手い」と言ってくれます。

だからこそ、消費者の立場からは安全性には絶対の信頼を置ける体制作りを全国規模で早急に進めて戴きたい!


りぼん。さん、氷冷蔵庫導入時代やそれ以前の話を是非少しでも拡げて若者に知らしめて戴きたい!
50以下の世代では「過渡期の伝説的贅沢品」扱いです。力道山が遠征に持ち歩いた伝説は有名。

その頃、今より味が濃くて美味い野菜は多かったことでしょう。
私には知るよしもありません…。

ええっと、一宮崎人さんとCowboyさんは農協・非農協や共済の話で収斂してしまって、ちょっとブログ主様の意向から外れてしまいましたが、私のようなシロウトにも『立場変われば見方も変わる』やりとりで、勉強になりました!

cowboy様、ご養生をお願いします。ご指摘のとおり安と高が逆です(爆笑)。自分で笑ってりゃ世話はない。すいません。オレ、たまに抗体の陰と陽を逆にしたりするんです。馬鹿か。あがとうございました。

日本の農産物が、高いのか、安いのか、正直、答えようがありません。米ですら、自分の田んぼの分を自分で脱穀し、乾燥すれば、そりゃ、安い買い物でしょう。農家さんも責任が持てます。しかし、今は、JAで、共同精米しているでしょうから、自分の米が自分の手元に来ないので、農家さんも責任が持てないでしょうね。
野菜でも、路地物で、完熟1農家出荷なら安いと思いますが、流通の都合で、むりやり早取りしたのなら、いっそ、輸入品の方が安いと判断するでしょう。

基本的に、加工された食品が、日本には、多すぎますよね。

ノンホモ牛乳を飲んでいますが、都市では、ほとんど手に入りません。

豆腐だって、昔ながらに作っているなら300円でも、安いでしょう。鶏卵に至っては、自分が、子供のころは、当時、1個50円でしたから、平飼いで、えさの管理もよければ、100円でも、安いのかもしれません。(生たまごが、平気で食べられるのは、日本くらいですし)

都会で、いわゆる、本物の農産物は、ほとんど手に入りません。流通の事情で、加工されたものばかりです。昔は、味噌は、竹の皮で包まれてました。今のように、密封してしまうと、発酵のため、袋が爆発してしまいます。

そうやって考えると、山奥の修行僧なんかは、品数は、少ないが、塩、ごまなど、実に、超高級品を食べてますね。すべて、本物だからね~。長生きする訳ですよ。

実際、未完熟温室野菜と旬の完熟路地野菜とは、栄養価も倍近く違う訳ですしね。

見た目で、規格外と言って、流通させないやりかたは、正直、もったいないと思ってます。旬になれば、流通量は、増えて当たり前。やはり、旬の本物が、都会に、流れて消費されないと。加工農産物なら、輸入品と内容の差がなくなります。

スーパーでは、鮮度保持剤とか、平気で使って、翌日、そのまま販売しちゃう訳ですから。。

本物を都会人は、食べたことないですから。。

こんばんは、青空です。
山形様、ご体調はいかがですか。季節の変わり目でもあり、慎重にしていても仲々回復しづらい季節です。どうぞご自愛ください。COWBOY様は退院間近ですね。油断大敵、しっかりとご養生下さい。

銀行業に携わっていると経済の本当の姿が好む好まざるに関わらず実感できます。
報道で騒ぐ事、外交上のスポークスマンが報道すること、各省庁、政府、政治、各団体の主張。様々ですが実態は随分違うことがほとんどです。真の実態は既に現場でも我々金融でも、各団体、政府でも把握ができなくなっているのが実態でしょう。

私個人は日本の農業の実力は高くもあり低くもあると思っています。単位面積当たりの生産能力及び品質については既に他国の追随不能でしょう。農業生産額は世界大5位です。耕地面積はかなり悪い地位にあるのでしょうが、その生産能力は卑下するレベルの物ではないと思っています。ほぼ全農家が他国からすると超高級品を例外無く作り上げている体制です。皆様の記事やコメントの通りですが、農協の指導による全国農家の技術水準の向上は相当な物でしょう。

但し、産業として農業は選択と集中・排除が遅すぎるという弱みがあります。濱田様が記事で触れる通り日本には農業参加者が多すぎるのです。しかし、農業基本法にしばられ、土地の分離が困難な法体系と、元来稲作という地域の全体での水利、治水、治山が必要不可欠な事業形態が専業、兼業、趣味の農家というものを経済合理性だけで整理統合できなかったという農家単体で解決することが困難な問題です。政治も表面上は解決策を模索してはいるようですが、現在に至っても解決方法がでていません。
結果、産業の育成発展に不可欠な合理的な農地整備(集中)と担い手の選抜と弱者排除はできていません。

日本の全産業、それこそ町の商店街ですら戦後50年大きく姿を変えてきました。言い方を変えれば大半が廃業に追い込まれ、
一部が生き残り、勝ち残ったものが更に他を駆逐するという激烈な戦いです。
農業のみ参加者の自然減少しかないということが許容できないと主張する方もいますが、私は同意しかねます。
正直、私自身も答えを見つけられていません。

このことに関しては濱田様が口蹄疫以前に議論されていた記事が参考になります。
いろいろ触れたいこともありますが(農協の功罪等)既に睡魔に勝てません。毎回長文申し訳ありません。

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