韓国口蹄疫 全土にワクチン接種を決定 韓国は宮崎を学んでいなかった
まずは韓国の口蹄疫情報からいきます。
口蹄疫:済州を除く全国でワクチン接種へ
牛や豚の伝染病「口蹄(こうてい)疫」を防ぐため、済州道を除く全国で予防ワクチンを接種することになった。
李明博(イ・ミョンバク)大統領は12日午後、口蹄疫の問題をめぐり緊急の関係閣僚会議を招集し、このような方針を固めた。
孟亨奎(メン・ヒョンギュ)行政安全部(省に相当)長官は、会議後に行った記者会見で、「ワクチンの接種を、(口蹄疫の被害が出ていない)全羅南・北道や慶尚南道などでも行うことを決めた」と述べた。これまでは、京畿道、仁川市、江原道、忠清南・北道の全域と慶尚北道・全羅北道の一部地域で飼育されている牛、繁殖用の母豚や種豚など、278万頭に対しワクチンの接種を行ってきた。
防疫当局はまず、すべての牛(約330万頭)を接種の対象とし、豚(約990万頭)も対象とするか否かについては、今後の家畜防疫協議会で決定する方針だ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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「日本農業新聞」(1月14日)によれば、韓国政府は13日にワクチン接種地域を全土に拡げることを決定しました(済州道は除く)。
対象は牛、母豚、種豚です。
殺処分対象は13日現在で150万頭に達しました。一日3、4例発生しており、拡大ペースは止まりません。
今まで京畿道、江原道、忠清北道、忠清南道、慶尚北道、仁川広域市、および未発生の全羅北道、ソウル特別市を対象にワクチン接種をしてきました。しかし感染に歯止めがかからず未発生地域の慶尚南道、全羅南道でも接種を決定しました。
現在の韓国政府のワクチンの準備量は1100万頭分で、これは家畜総数(豚1千万頭、牛300万頭)の8割にあたるそうです。
なお、口蹄疫発生数は1月13日現在で118例。殺処分対象は農家3695戸で、150万623頭に達しました。内訳は、豚137万5521頭、牛が12万630頭となっています。
また、韓国の畜産専門家は「拡大が続く可能性が高い、しばらくはワクチン不使用・清浄国を断念するしかない」と述べています。
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例によって遅ればせの韓国政府の対応です。隣国でのことなので、あまり批判的なことは言いたくないのですが、韓国は日本の宮崎県の事例をまったく研究にしていないことがはっきりしました。
宮崎県の口蹄疫事件を研究すれば、初動制圧が破綻した場合、通常の防疫包囲網では役に立たず、緊急ワクチンを早急に、かつ、できうる限りの広範囲で接種するしか方法がないことがわかるはずです。
韓国は11月末で初動制圧が失敗し、ウイルスがどこに飛び火したのか分からないにもかかわらず、あいも変わらぬリング・カリング方針で対応しようとしました。
これは韓国の口蹄疫緊急指針が、初動偏重路線だったからです。初動でリング・カリングしてしまい、疫学調査をして拡大を調べ、埋却を素早くする・・・韓国政府はこの3点セットが万能だと考えていたようです。
だからいったん「ありえない」は感染の飛び火をすると、防疫の全面崩壊に近い崩れ方をしてしまいます。二枚目の札の準備がないのです。
言い方を変えれば、リスク・コントロールの発想がなく、すべてで後手後手でした。たとえば、初動のみに集中するあまり、ワクチン備蓄量は30万ドーズというお粗末な量しかなく、本格的な接種は発生から1カ月たって、ワクチンの追加を得てからでした。
しかも初期には地域も少なく、対象は牛に限られていました。現在ですら肥育豚は接種除外されています。
無意味だとは言いませんが、ワクチン接種が有効に働くのは、以下の条件が必要です。
①初期の発生段階。
②牛・豚同時接種。
③発生農場の制限区域外周を中心として、できうるかぎり広域に接種。
宮崎県は①の初動は失敗しましたが、②、③の条件はクリアすることが出来ました。その後にワクチン接種・全殺処分にしたために傷口を広げる結果となりましたが、感染拡大という観点からは成功だったと言えます。
これによって、宮崎県東部に限定された拡大で封鎖することに成功しました。
韓国はこの3条件すべてに後手を踏んでいます。とうぜん、韓国は宮崎県の事例を横目で見ていたでしょうが、学んではいなかったようです。たぶん憶測ですが、自国の口蹄疫指針に絶大な自信を持っていたからです。
また昨年3、4月のように小規模でくい止められるとタカをくくっていたとしか思えません。東アジア随一の口蹄疫防疫体制にあぐらをかいた油断と奢りです。
韓国は、「日本に学ぶものはなにもない。宮崎は日本特有の失敗だ」と思っていたと思われます。その結果がこの防疫体制の崩壊と未曾有の大発生です。
私たち日本人は、韓国のこの事態に学ぶべきです。
初動ではウイルスを殲滅することは不可能だと思って対策をたてるべきです。つまり初動制圧が破綻した「後」を考えておくべきです。
感染が飛び火した場合どうするのか、どのラインでくい止めるのか、どの時期にワクチン接種をするのか、どこまでの範囲で打つのか、その補償はどうするのか、即応態勢はどう整えるのか、近隣の県との共同体制はどうするのか、清浄国復帰は3カ月か6カ月かなどなど、宮崎を見舞った嵐が過ぎ去った今、検討しておくべきことは沢山あります。
■写真 霞ヶ浦にかかる大橋です。光る湖面があまりに美しいので撮ってみました。
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コメント
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昨日は無関係な雑感コメント失礼しました。
韓国のワクチン調達量は十分な数に達したのでしょうか?
緊急輸入→配って接種がギリギリの補給線になってるのではと、心配してます。
青空さんがおっしゃってたように、突破された時の何重もの防衛線を敷く体制整備の大切さですね。
そして濱田さんの仰るように、逆に今回の韓国の惨事を我が国は教訓として研究し取り入れなければなりません。
投稿: 山形 | 2011年1月14日 (金) 08時28分
とにかく見えない敵との戦いですから、感染経路は複雑怪奇で特定もままならず、更に時間との戦い、経済動物と言う点、加えて個人毎・牧場毎の家畜に対する想い入れ(感情論)までもが絡み合い、現地での対応は困難の極みであると思います。また、冬期間と言う消毒対策の困難さなど季節的な要因、旧正月を控えての人や物の動き・・・想像したくないけれど、現地担当者は、可能なら逃げ出したい心境だと思います。
一年前の早期封じ込めに成功した韓国、それを手本に初動対応出来なかった宮崎ですが、結果としては県東部(一部飛び火)で終息したのは、関係者の努力の成果だと思います。今度は宮崎を手本に出来なかった、韓国での爆発的な感染拡大・ワクチン接種手法により、終息の予測も出来ない状況・・・・・を見ると、結果論的には様々な意見が出されますが、この伝染病の封じ込めの難しさを端的に表しているのではないでしょうか?
目に見えない敵との戦い・・・難しいです。
投稿: 北海道 | 2011年1月14日 (金) 11時21分
ところで今鹿児島大学の岡本嘉六教授の見解をお聞きしたいものですね。宮崎県民が他県に行かないのを当たり前だとおっしゃっていました。であれば韓国と日本とも制限すべきでしょう。
投稿: Rainboeplan | 2011年1月14日 (金) 14時19分
連投御容赦ください。
中国やモンゴル・チベット北朝鮮などの状況は良く分かりませんが、少なくとも情報開示(概ね信頼できる)している、韓国や宮崎の例を経験値として様々な角度からの検証により、積み重ねていく事が今後の防疫対策(発生時の初動対応含めて)のベースになり、役に立つものと考えます。
行政含めて関係者の学習能力が試されるのでは無いでしょうか?
投稿: 北海道 | 2011年1月14日 (金) 15時31分
北海道様、米国UCDavisのFMDの情報です。
TYPE: Unofficial、ISSUE: FMD control program
共産国:支那の口蹄疫情報は『国家機密」だから、正しい情報は絶対出てこない!たとえ出てきても、絶対に信用してはいけない!第三者による確認ができない!提出すれば、隠している事がばれるから、絶対に出さない!支那の内モンゴル自治区からの報告もFAOに報告しないし、そこからウイルスが伝播したモンゴル国の現状はひどい状態です!。
SUMMARY: NEMA Chairman and Mongolian Deputy Minister Mr. Enkhbold ordered related/relevant/competent agencies and officials to cooperate with the media in delivering the decisions made by NEMA at the end of 2010 to herders and citizens and open up snow-blocked roads and mountain passages in western regions whenever they are blocked. He also reminded to check the implementation of obligations of bags, soums, provinces and herders to have 30 days reserve of hay and fodder in stock. Also they discussed about foot-and-mouth disease. As of December 24, 2010, 6.7 million heads of livestock in capital city and seven provinces were involved in vaccination. The State Veterinary and Breeding Agency authorities reported that it has drafted a strategic document to fight the foot-and-mouth disease in the future for approval. NEMA chairman also ordered to ensure if the livestock became immune against the disease after vaccination and pay attention to the storage of vaccines.
FULL TEXT: http://ubpost.mongolnews.mn/index.php?option=com_content&task=view&id=5690&Itemid=36
投稿: AniVet | 2011年1月14日 (金) 18時20分
濱田様の指摘の通りです!。当然、反日国家:韓国は宮崎県の事例を横目で見ていたでしょうが、学んではいなかったようです。たぶん憶測(ズバリ)ですが、自国の口蹄疫指針に絶大な自信を持っていたからです。それが裏目に出た!
また昨年3、4月のように小規模でくい止められるとタカをくくっていたとしか思えません。東アジア随一の口蹄疫防疫体制にあぐらをかいた油断と奢りです。特に韓国は、「日本に学ぶものは何もない。宮崎は日本特有の失敗だ」と思っていたと思われます(その通り)。その結果がこの防疫体制の崩壊と未曾有の大発生です。相手(韓国)がヘルプの手を挙げるまで、日本は国内に侵入させない手段に徹するべきです。何せ、日本人は全員:白丁と思っている民族ですから!
投稿: AniVet | 2011年1月14日 (金) 18時40分