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社会主義統制経済を今どきやっている小麦輸入の仕組み

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まずは自給率(カロリーベース算定)のデーターを上げてみましょう。

■平成18年年度(2006年)自給率39%
果実:35%
大豆:25%
野菜:76%
魚介類:59%
砂糖類:
32%
小麦:13%
油脂類:4%
畜産物:16%
コメ:94%

これがカロリーベースの算定による自給率39%の内訳です。ではこれを41年前と比較します。

■昭和40年度(1965年)自給率:73%
果実:86%
大豆:41%
野菜:100%
魚介類:110%
砂糖類:31%
小麦:28%
油脂類:33%
畜産物:47%
コメ:100%

少し説明をしましょう。2006年度の米が94%と、100%を切っているのは、ミニマムアクセスで低品質の輸入米を買って、市場に出さずに保管しているからです。

よくフード・アクション・ジャパンというCMで「米を食べて自給率を向上させよう」と言います。また農水省がマスコミを通じて国産自給だと、「3食はイモまたイモになりますよ」と言ったイメージをバラまきます。

何度も言っていますが、この政府の宣伝はある種のレトリック、有体に言ってプロパガンダでしかありません。

このカロリーベース自給率40%ということを国民的常識にして、そこからすべての農政を作ろうとしています。たとえば、農家所得戸別補償制度などは、米から始まり、それを畑作にまで広げようとしています。

畑作といっても、野菜や果樹というわけではなく、麦やナタネの類です。なぜ、こんな日本農業の主力ともいえない作物に莫大な税金を投入しようとするのでしょうか?その答えが上の表です。

自給率50%と民主党政府は掲げました。自給率を上げようとすれば、低い自給率しかない作物をテコ入れすることです。つまり、麦類、油脂作物、大豆などです。コメは自給率向上にはなんの関係もありません。

小麦などの穀物の自給率ですが、28%とあります。これには裏があります。小麦には100%の補助金が与えられていての数字です。このことを大部分の消費者は知らないと思います。

では、この国産穀物生産に対する補助金は、なにを財源にしているのかご存じでしょうか?「麦等輸入納付金」がこの財源です。ではこの輸入交付金がかけられた結果、輸入小麦はどのような価格になったのかをみます。

小麦輸入は、政府が管理するというどこぞの社会主義国家のようなことをしています。まず農水省が買い上げて、民間に売り渡すという仕組みです。

農水省HPによれば、値上げ後の政府売り渡し価格は、69,120円/tです。実は国際相場が、3,7000円/tですので、実に2倍です。国際価格の2倍の小麦を国民は食べさせられているわけです。ではこの差額がどこに行くのかというと、その大部分は国産小麦への補助金に化けていたのです。

国産小麦の相場は、43,000円/tですが、これに100%の補助金を乗せると、86,000円となり、国際相場の約2.5倍となります。つまり、輸入小麦を国際相場の2倍とすることで、そのサヤを国産小麦の補助金に回すという方法を農水省はとっていたわけです。

農水省は輸入穀物を輸入を統制することで、パンやうどん、ラーメン、そして同時に輸入穀物に頼る畜産製品の諸物価値上げの原因を作り出しています。

社会主義的な統制経済をして小麦輸入を一手に握り、そしてもう片方の手で国産小麦などへの補助金に回す方法で国内自給率の「向上」をはかる方法をとっていたのです。

大部分の国民は、よもや小麦が国家統制されているとはおもってもいないはずです。それは農水省が沈黙し続けているからです。

このことを公表すると、「国内自給率の向上」が、皮肉にも国民生活への圧迫となりかねない構造となっていることに、国民が気がついてしまうのを恐れているのです。

では、逆に農家から見てこの麦の補助金政策は嬉しかったかと問われれば、冗談ではないと多くの農家は答えるでしょう。なぜなら、麦、大豆への転作は減反の見返りでしかありませんから。

もともと美味いコメを作っていた畑を、減反という国家カルテルを維持するために3~4割作るな、と農水省から言われてきました。ひと頃は青刈りという屈辱的な方法でしのいできましたが、今のトレンドは麦、飼料用米、菜種、大豆を作れに変わってきました。

コメの代わりに麦を作ると転作奨励金がもらえます。作るだけで貰える愚民化政策ですから反収を上げたり、品質を上げたりするようなメンドーなことは考えなくなりました。これこそが、農民自身が最も軽蔑する「捨て作り」です。

日本の小麦の反収(単収)は3.2t/10㌃です。これは麦作に向いた英国の6tの半分強にすぎません。砂漠の国サウジすらわが国を1.2t上回っているほどです。

また反収の収量の伸び率も驚くほど低いのです。サウジは1977年から2.7t伸ばしているのに対して、わが国はわずか0.4tしか伸びていません。

世界でも屈指の技術力を持つわが国の農民とも思えないダルな数字です。これはひとえに、なんの努力もせずとも転作症例が貰える、作れば国家が買ってくれる、市場調査も開拓も考えずに済む、というあたりまえの農家経営につきものの経営努力をしなくて済むからです。

国家は農民に捨て作りを奨励するが如きことを強制して、「自給率向上」に名を借りた減反政策を維持しようとしているわけです。

この転作奨励金だけで実に7兆円が投じられました。よく日本農業を批判する人たちが言う「補助金漬けの日本農業」とは、ここを指します。

では、この巨額な税金によって日本農業はすこしでも強くなったのでしょうか。あるいは、「守られた」のでしょうか?

いや、まったくそうではなく、一部の人と省益を守っただけでした。多くの嫌日本農業派の人々は、農水省の愚かな政策と、日本農業そのものをごっちゃにしてひとくくりで切り捨てています。

農水省の省益利権の農政で日本農業全体までとやかく言われては、たまったものではありません。

■写真 雪の朝。ひさしぶりに雪が降りました。北国の方からみれば小雪でしょが。

■このところPCが不機嫌で、昨日は一回アップしようとして記事が全部消えるという悲惨なことになり、今日は今日とてフォントが大きくなりっぱなしで修正がききません。霞が関からの妨害電波でしょうか。(u_u。) しくしく、ごめんなさいノースイ様

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日本の農業問題」カテゴリの記事

コメント

小麦も牛肉も濱田様が仰る通り、同じ様な仕組みになっています。
ただ、小麦の生産に関しては都府県の「稲作転換」としての考え方と、国内小麦の主産地である北海道十勝や北見・網走管内の生産者とは、考え方は大きく違うと思います。
十勝では少しでも収量を上げる様努力しています。
平成21年及び22年は天候に恵まれず、10㌃当り製品で5~6俵(300㌔~360㌔)となりましたが、平年では8~9俵(480㌔~540㌔)の収量となっています。品種改良も進んできまして、昨年秋に播種した品種では、20%程度増収が見込まれております。
(7月下旬から8月上旬の収穫時期の天候に左右されますが、期待している所です)
話題を変えて・・・・
帯広空港など道内の国内線の空港で「消毒マット」が設置されました。韓国の口蹄疫の侵入防止のため冬のイベント(札幌雪まつりなど)対応との事です。
昨秋道庁に問い合わせた時は、「国がOIEに対する清淨国復帰申請したのに国内線で消毒マット継続設置は整合性が取れない」と回答した同じ担当者が、新聞の取材で、「侵入防止のため防疫対策を強化する」なんて言っているのを見ると、行政官僚の危機感が低い事とご都合主義が分かります。
侵入リスクを限りなく低減する・・・との考え方で物事を発想して欲しいと願っています。

投稿: 北海道 | 2011年1月21日 (金) 09時08分

北海道様、
酷く寒くて大変ですね。
こっちは内陸では一番少ないエリアですが、毎日クルマ出すのに苦労してます。

今年は極端です。


近くに城跡の堀があり、野鳥には気をつけてるんですが…増えたのはアカゲラ。
時々来る白鳥。 マガン。カイツブリやスズガモ・キンクロハジロ
マガモ・オシドリやカルガモは丈夫。
というか発生しても分かりにくい。

といっても、渡り鳥に罪は無いですから。

投稿: 山形 | 2011年1月21日 (金) 10時38分

濱田様へ、
大きな文字は大変読みやすいですよ!

さて、韓国の口蹄疫に関して、日本の売国新聞:朝日がデタラメを報道すると、無学のアホな奴が以下のような事をインターネットに流すのです!また、日本の報道各社は韓国の正確な口蹄疫情報を意図的に流しません!。だから、両方に誤解が生じるのです!たとえ、日本でもまた感染拡大すると、宮崎以上の被害で出る可能性がある訳ですから、ちゃんと、報道するのが、報道各社の使命ですが、韓国に関しては、「臭い物に蓋」と言う姿勢で報道するから、おかしくなるのです。また、韓国に関して有名な『檀君の呪い」をお忘れなく!!

[韓国の口蹄疫の起源は日本でした]
1 金ちゃん(静岡県) 2011/01/10(月) 09:31:55.23 ID:iVzlsip60
韓国で猛威を振るっている口蹄疫ウイルスが、昨年春に日本の宮崎県で発生した口蹄疫ウイルスと遺伝子配列がほぼ同一だと朝日新聞が8日に報じた。同紙によると、日本の農林水産省が韓国政府の分析結果、韓国で大流行している口蹄疫ウイルスの遺伝子配列の99%以上が宮崎の口蹄疫ウイルスの遺伝子配列と一致すると明らかにしたと伝えた。
韓国政府当局は当初、今回の口蹄疫発生初期にウイルスが東南アジア地域から流入したと推定するという見解を明らかにしていた。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=136489&servcode=400§code=400


投稿: AniVet | 2011年1月21日 (金) 11時13分

北海道様。TPPによる畜産製品への影響はどう出るでしょうか?私は米、野菜、果樹、鶏卵はほぼ完全にディフェンスできると思っていますが、乳製品や牛肉、特に和牛以外の国産牛肉はいかがでしょうか。

TPPは実質的に過激な日米FTAです。FTAは締結後も交渉の余地がありますが、TPPは多国間協定なのでまったく無理となります。

「清浄国」で防ごうにも、米国は日本以上の清浄国です。

となると、関税という唯一の武器を捨てた場合、いまの日本のデフレ状況の中で、更なる価格競争の泥沼に巻き込まれる可能性が出てきます。

そのあたりを北海道の畜産関係者はどのように考えておられるでしょうか。

投稿: 管理人 | 2011年1月21日 (金) 13時20分

TPPに参加した場合の畜産(酪農と肉畜)の影響ですが、農業の周りにある農業機械や飼料など資材関係及びその地域のコミュニティなど様々な関連産業も当然影響を受けますが専門分野外ですので、個人的見解で答えます。
先ず、酪農関係ですが、国内の生乳生産は約800万トン弱ですが、乳製品の生乳換算需要は概ね1,200万㌧と言われています。
(国内生産量の50%相当が輸入されています)
その約800万㌧の内都府県での生産は約400万㌧でその大部分は飲用で消費され、一部バターやチーズにも使われています。
北海道は約50%の400万㌧弱生産しています。ちなみに平成21年度の生産量は3,824千㌧で、その用途別割合は
①バター・脱脂粉乳1,681千㌧(44%)
②生クリーム原料乳963千㌧(25.2%)
③飲用乳 746千㌧(19.5%)
④チーズ原料乳 433千㌧(11.3%)
となっています。
※飲用乳には、都府県での飲用の為の送乳を含んでいます。
この状況から言える事は、都府県の酪農家がそのまま存続し、生産量も現在と同じと仮定すると、北海道で生産している約400万㌧の生乳の内、フレッシュものとして輸入が厳しいと思われるのが、飲用乳の約75万㌧+生クリーム96万㌧+ソフト系チーズ若干程≒200万㌧ですから、単純に考えれば現在の生産量の半分の生産で間に合う事になります。
国内全体で考えれば飲用乳需要は約400万㌧、生クリームの大部分は北海道産なので約100万㌧合わせて500万㌧チョット程度あれば間に合います。
チーズ(主にハード系)及びバター・脱脂粉乳は全て輸入に置き換わるでしょう。
(一部国産にこだわる実需者が居れば少し上乗せされるかな?)
酪農での影響は牛乳だけではなく、生まれて来る「♂子牛」にも影響が出ます。雌雄判別精液を使わない限り53%前後は♂子牛であり、現在は哺育・育成・肥育して枝肉として消費されていますが、輸入牛肉とまともにバッティングしますので、採算は取れないでしょう。生まれた♂子牛は化成処理される事になります。
話を纏めると、酪農家は半減(戸数か生産量かはありますが)、北海道で主となっているホル♂肥育関係は壊滅、交雑種(ホル×黒毛和種)関係は黒毛和種に近いくらいの枝肉を作れる生産者1/3程度が残る・・・と言った感じかな?と思っています。

北海道では、酪農畜産農家は当然の事、畑作農家も危機感をもち、農業団体挙げて反対運動を展開している所です。(地域が壊滅すると言う危機感から市町村行政なども同じ考えで行動しています)


投稿: 北海道 | 2011年1月21日 (金) 15時46分

連投ご容赦ください。
TPPの酪農畜産に関する影響は、大きなものがあると思っていますが、個人的には先に参加している国々がルールを決めてしまってからの参加は大きな不利益が生じると思っています。
WTOでもEPA・FTAでもいつまでも国際的な大きな流れに乗らず、国家が存続して行くとも思えません。
先々参加せざるを得ないのであれば、当初から参加し10年間の猶予(ルールの決め方によっては品目毎に延長もあるかも知れない)中に、国内農業の方法や方向も見定め、戦略を練る事も可能になると思います。
いつまで守りの農業に徹するのか?
攻撃的な農業は不可能なのか?
ただ単にデモをしたり、署名活動をすればよいと言うものではなく、攻撃的農業の戦略も政府や農水官僚に提案して行く事も重要だと思っています。
ただ、一部大臣や経団連会長等が何も分からず、GDPの1.5%発言をしている事には怒りを感じています。
TPP参加表明と同時に、国民の食糧確保の問題(異常気象が当たり前になっている状況の中で、輸出規制が為された時の対応)、投機資金が流入し価格が異常に高騰した場合の対応、自給率の問題(濱田様が仰るカロリーベースではなく、他国と比較できる数値)、農業の問題、地域やコミュニティの維持の問題、環境の問題、関連産業の問題等々の対応を国民に対して丁寧な説明が必要なのではないでしょうか?
単に所得補償すれば良い・・と言うものではないです。農業者は「物乞い」ではありません。
それと北海道の生乳品質は世界一と自負しています。
でも、狭い国土の中で集約的に生産して行くには、どうしても購入飼料にも頼らざるを得ません。コストがかかる事だけは、いかんともしがたい・・・と言うのが現状です。
(個体改良や自給飼料増産していくにも肥料等はどうしても掛かってしまいます)

投稿: 北海道 | 2011年1月21日 (金) 17時13分

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