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2011年2月

池上彰さん、風評被害が怖くって殺処分しているんじゃありませんよ

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「日本一の知ったかぶり男」こと池上彰氏が、週刊文春最新号で「ニワトリをなぜ殺処分?」というタイトルで解説をしています。まだ書店に並んでいますから立ち読みしてください。お金出すような内容ではありません(私は買っちゃったけど)。

池上氏が鳥インフルの巨大な殺処分に着目したことは評価できます。既に鳥インフルにより、宮崎県で概算102億円、鹿児島で同じく4億円という巨大な経済損失を出しています。(資料1参照)

ですから、池上氏が「感染を拡げないために、どうして、ここまで徹底した対策を取る必要があるのでしょうか」という問い自体はそんなに的をはずれたものではありません。

彼はその「徹底した対策」、つまりは殺処分-埋却処分を取る農水省の理由をこう説明しています。

「一番の目的は風評被害の防止。感染の恐れのあるニワトリは全部処分した、とはっきりさせれせば鶏肉や鶏卵の売れ行きに影響は出ないでしょう」。

池上氏に言わせれば、最大の理由は風評被害の防止、つまりは経済的得失というわけです。

ちょっとおいおいですね。宮崎県口蹄疫でニワトリと牛、豚の差はありましたが、約2350億円の被害額を出しました。しかもこの計算には公務員である家保や県職員、そして自衛隊員、各自治体職員などに要した税金はまったく含まれていないのです。

また、大きな打撃を被った宮崎ブランドの商標の受けた被害も算定されていません。そして国家から口蹄疫特別措置法に基づく補償金の528億円(資料2参照)も含まれていません。

となると、おそらくは最終的に、3千億から3千500億円規模の経済損失が出たと推測されます。池上氏は、これもまた「風評被害を避けるためだった」と説明するつもりでしょうか。

池上氏には口蹄疫や鳥インフル防疫の経済的バランスシートという概念がないのです。ないのはお国も一緒ですから、平気で経済的打撃のほうが、防疫したことによる得るべき利得より大きな方法を取っています。

そこにはまったく「経済のバランスシート」といった民間企業なら当然のこととして発想する思考形式がありません。畜産という生産部門を守るための防疫でありながら、経済の枠組みの中で考えようとはしないのです。

やや脱線しますが、東国原前知事の初動防疫指揮には私も言いたいことは山ほどあります。しかし、彼が結果としてワクチン接種を20日間近く遅延させるという失態を招いたとしても、ワクチン接種はともかくとして、その後にあたかもそれと一体となったような殺処分を簡単に容認できなかった理由は理解できます。

前知事の手記によればそれは、29万頭に及んだ殺処分に伴う巨額な補償金を地方自治体が背負いきれないという反発でした。

結局、それを山田前大臣の「国が全部負担するから」という口約束と、口蹄疫特別措置法があってようやく踏み切ったわけです。それでもなお、山田前大臣の約束は履行されなかったじゃないか、というのが前知事にくすぶる怒りのようです。

山田氏が正しいのか、東国原氏が正しかったのかという話ではなく、殺処分-埋却処分というのは、民間の経済的損失のみならず、このように巨大な財政負担を地方自治体や国に背負わせてしまうものだということを忘れてはなりません。

池上氏はこのような民間の経済的損失、県や国の財政負担まで視野に入れたところで、「風評被害の回避」などとのんきなことを言われるのでしょうか。

さて、このような鳥インフルによる経済損失はどのていどに登るのでしょう。いまだ状況は終了するどころか全国化の一途を辿っていますから(資料⒊)、中間的な概況でしかありませんが、宮崎で102億円、鹿児島で4億円に登っています。

そして養鶏団地ひとつが完全壊滅した愛知ではまだ数字が出てきませんが、おそらくは宮崎県クラスの被害額が出ると思われます。そして今回の三重です。

おそらくは既に300億円ちかい被害が出ているはずです。そしてまだ感染は止まる様子を見せません。渡り鳥が帰るのが5月初めといわれていますから、まだ丸々2カ月間は危険期間だと言っていいわけです。

では、この殺処分がどのていどの経済損失を与えるのかざっと考えてみることにしましょう。

まず一次的には、一カ所で数十万羽に及ぶ殺処分-埋却によるニワトリの損失。その処分に要した延べ千人規模の作業員の人件費、資材費等の経費。消毒ポイントの設置と維持経費。

二次的には、移動制限による半径10㌔もの事実上の養鶏業の経済活動の停止。そして移動制限区域内にあるGPセンター(選別出荷場)に出荷している他地域の同業者まで及ぶ出荷制限。

そして三次的には、防疫作業中はもとより、その後に来る再建期間の長期に渡る休業期間のありうべき収入が断たれたことによる経済損失。再建に要した費用。

また4次的には、その処分に関わる補償による国家、あるいは地方自治体の巨額な財政負担。

5次的には、地域農業のひとつの核である畜産業への打撃と、観光業や商業などへの打撃。

最期に6次的には、宮崎牛や宮崎地鶏に見られるようなブランド価値の低下。

まだまだ書き落としていると思いますが、これら総体の経済的な損失があり、そして今回はあえて見ませんでしたが畜産農家の極度の精神的打撃が重なります。それら一切を含めて「経済的損失」がカウントされるのです。

池上さん、これらと風評被害防止とどっちが重いんでしょうか。どうもあなたは上っ面をなでているだけなように見えます。

池上氏はもう一点、ヒト感染する危険回避を上げていますが、これは長くなりましたから次回に回します。

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■資料1 宮崎、鳥インフル被害102億円 10日時点

「宮崎県は22日までに、県内で発生した高病原性鳥インフルエンザの被害額が約102億円に上るとの試算を明らかにした。

県内12例のうち11例が発生していた10日時点の集計で、被害額はさらに増える見通しだ。県によると、養鶏農場の直接的な損失が約7億円、売り上げ減や出荷遅延の影響が約26億円。このほか、車両の消毒ポイント設置約11億円、食肉処理場の閉鎖による損失が約58億円。}
(共同 2月22日)

■ 鹿児島 鳥インフル被害4億円

「鹿児島県議会は24日、代表質問が行われた。出水市の養鶏農家で発生した鳥インフルエンザ問題で、県は周辺を含む養鶏農家全体の被害額が約4億円に上るとの試算を明らかにし、支援策として今議会中に補正予算案を追加提案するとした。県が被害額を公表するのは初めて。」
( 読売新聞 2011年2月25日 )

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■資料2 口蹄疫補償528億円に、支払い年内完了は困難 

 口蹄疫問題で、同県の東国原知事は14日の記者会見で、殺処分された牛や豚などの家畜約29万頭の補償金の総額が約528億円に上る見通しを示した。

当初、県は10月中に支払いを終えるとしていたが、県と畜産農家との間で家畜に対する評価が折り合わないケースもあり、年内の終了は困難としている。

県畜産課によると、補償金の支給対象は、口蹄疫に感染した農家と、ワクチン接種後に家畜を殺処分した農家の計1379戸。

補償額の内訳は、感染農家が288億円で、ワクチン接種農家が240億円。特別交付税などで、国が全額負担する。

家畜の評価については、飼育期間を証明する書類や血統書などが、口蹄疫ウイルスに汚染されて処分されたケースもあり、作業が難航。

14日現在、18戸で評価を終えておらず、支払いが完了したのも1120戸(81%)にとどまっている。

(2010年12月15日 読売新聞

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■資料⒊ 鳥インフル:鶏26万羽の殺処分始める 三重・南伊勢

三重県南伊勢町の採卵鶏養鶏農場で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されたことを受け、県は27日未明、農場で飼育している採卵鶏約26万羽の殺処分を始めた。今季の全国の感染例のうち、1農場の処分数としては最大となる。同県内での鳥インフルエンザ感染は紀宝町に続き2例目。

 県によると、同日午後6時までに約3万2000羽を処分し、農場の東約1.5キロの町有地2カ所(約3850平方メートル)に埋却している。県職員など140人のほか、県の派遣要請を受けた陸上自衛隊員約60人が24時間態勢で作業。処分には約1週間かかる見通しだ。

 県は発生農場から半径10キロ圏内を移動制限区域に設定したが、圏内には他に養鶏農場はない。また、南伊勢町内の国道2カ所と伊勢市内の県道1カ所に消毒地点を設置した。

 27日、小山巧町長らと現地視察した野呂昭彦知事は「今回の養鶏場は優良農場で、しっかり防疫対策を取り、衛生管理も徹底していた。紀宝町との関連は考えられず、どこで起きてもおかしくない状態だ」などと話した。
(毎日新聞 2月27日)

■ 三重 鳥インフルで処分始まる

三重県南伊勢町の養鶏場でニワトリが鳥インフルエンザに感染していることが分かり、三重県は、この養鶏場で飼育されているおよそ26万羽のニワトリの処分を始めました。

三重県南伊勢町の養鶏場で、26日、22羽のニワトリが死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、10羽のうち4羽から「H5」型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。

これを受けて三重県は、この養鶏場で飼育されているすべてのニワトリおよそ26万羽の処分を27日朝から始めました。処分には、三重県から災害派遣要請を受けた自衛隊員も加わり、作業に当たっているということです。

また、この養鶏場から半径10キロの範囲ではニワトリや卵の移動が禁止されましたが、この範囲内には養鶏場はなく、家庭などで飼われているニワトリなどの移動が禁止されています。三重県内の養鶏場から鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは、この冬、今月16日の紀宝町に続いて2例目です。
(NHKニュース 2月27日)

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■資料3 近年の鳥インフルエンザ発生履歴
http://homepage3.nifty.com/takakis2/ai-rireki.htm

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■写真 わが家の最長老のナビちゃん。たぶん20歳。人間にしたら100歳超え。小型犬としてはありえないご長寿で、獣医さんは毎年狂犬病ワクチンを打つたびに、これは記載ミスですよねと言いますが、ホントです。

性格は温厚というよりボケ。趣味お散歩と食べること。最近はウンチがお尻にくっくいてバッチイです。長生きしてください、ばぁ様。

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名無し氏の投稿にお答えして  われわれが宮崎を助けたのではない、宮崎がわれわれを助けたのだ!

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名無しさん。
バカな書き込みをしないで下さい。あなたが鹿児島人だったら気分だけはわからないではありませんが、口蹄疫やトリインフルは今の韓国のように全国化するものだと思って下さい。

現在の日本の国家としての防疫レベルでは、口蹄疫やトリインフルをコントロールしきれなくなった時代になっているのです。

あなたの時代認識は2001年レベルに止まっていて、現代のグローバリゼーショの加速化の中で、ウイスル自体がボーダレス・ウイルスとなってしまった時代を見ていません。

たとえば宮崎口蹄疫では疫学報告の中で発生国の観光客がウイルスを持ち込んだ可能性に触れていました。たぶん物証はないですが、そのあたりが宮崎口蹄疫事件の発端なはずです。

では10年前に、宮崎のみならず全国各地の地方空港から中国、韓国といった発生国の大量の観光客が来るという事態を誰が想像しましたか?

宮崎県は韓国との観光でのつながりが強いのでその災厄に見舞われただけです。わが茨城も茨城空港で仁川や上海と直結されているので、口蹄疫やトリインフルに大手を開けて門戸を拡げているわけです。

政府は中韓の観光客を倍増するつもりだそうですから、ひとりひとりを消毒チェンバーにでも入れない限り、また発生してしまうでしょう。

「不浄国から人を入れるな」というような空想的なことを言うブログがあります。馬鹿を言うものです。口蹄疫やトリインフルで断交でもしますかね。そんなことをしたら世界の笑い物だ。

好むと好まざるとに関わらず、現代はそのようなボーダレス・ウイルス全盛の時代に既に突入しているのです。だからもはや単純なヒト、モノの遮断は不可能です。

一国的な防疫は不可能な時代だと私は考えています。中国で起きた発生は必ず韓国に伝染し、韓国の感染はかならず海峡を渡ってわが国に襲来すると諦観したほうがいい。

Photo図はトリインフルの発生国の世界地図です。わが国がまさに発生国のど真ん中に位置しているのがわかるでしょう。

トリインフルは渡り鳥がキャリヤーとなります。牛、豚は空を飛べないが、鳥は飛んで来るのですよ。どうやって防ぎますか。ある意味、口蹄疫より更に防ぎにくいでしょう。

私は韓国や中国、ロシアと政治抜きで口蹄疫地域集団防疫体制を構想する時だと思っています。情報の共有、ワクチン・バンクの創設、共同のウイルスや防疫研究、そしてそのための共同の「家畜伝染病アジア基金」の創設です。

そのような時に、一国の中で宮崎県をくさして何になりますか。オージーが安全・・・。すいませんが失笑ですね。オセアニア諸国が、孤立した地理的条件にかかわらず、すさまじいばかりの防疫体制を敷いているのかは有名で、NZなど韓国の救援隊を入国拒否したほどです。

それは彼らは家畜が主要産業だからです。畜産で喰っているわけではないわが国にそんな真似をしろと言う方が無理です。私たちは私たちの国の現実の中で現実的な対策を立てていくしかないのです。

さて、このような状況を頭に置いていただけましたか?この状況下で宮崎が不運に見舞われました。

しかし、私は口蹄疫が宮崎県東部で局部的にくい止められたのは奇跡的なことだとすら思っています。唯一、えびの市に飛び火しましたが、あれは不心得な県外資本の企業畜産の反社会的な行為のためです。

宮崎人は多大な被害を被りながら身を挺して口蹄疫を封じ込めました。自らの牛を豚をワクチン接種して殺処分にした宮崎人たちの気持ちを考えてみたことはありますか。

彼らは単にお上の命令を唯々諾々と聞いていたわけではありません。「これ以上の感染を防ぐ。ここでくい止めるんだ」という自己犠牲的な精神なくしてはありえなかった尊い行為です。

宮崎人はこれをなしました。誰のために?他の地域を守るためにです。宮崎人は我が国畜産の防波堤として戦い、そして巨大な損害を被りながらその目的を達成したのです。宮崎県東部で封じ込めることに成功したのです。

私たち全国の畜産農家はそのことを知っています。くさす人もいるでしょうが、ごく一部です。大部分は自分の身に置き換えて、自分だったらできるだろうかと自問したはずです。そして心の中で宮崎人に深く頭を下げ、カンパを送りました。

ところで、今回のトリインフルは渡り鳥由来です。したがって全国各地でほぼ平等に発生する可能性があります。

たまたまその一枚目のカードを引いてしまっただけだと私は思っていますよ。

あなたのように「汚い宮崎の肉」というようなことを言う人がいるから、風評被害を恐れて畜産家は、発生しても隠匿してしまうのです。

あなたのいう論法で発生地域を「汚い肉」として日本の恥のように言う人が絶えないから、畜産家はいっそう風評を恐れて発生を隠し、かえって感染拡大の火種を再生産してしまうのです。

もの言いに気をつけてください。あなたはかえって感染を拡げるような発言をしているのです。

今必要なことは、宮崎をくさすことではなく、どうしたらこのような伝染病が防げるのか、地域防疫はどうしたらいいのか、殺処分だけでなんとかなるのか、ワクチン戦略はどうすべきなのか、などということを自分の頭で考えることです。そして発言し国を動かすことです。

あなたのように後ろ向きな姿勢で、宮崎を非難してもなにも生まれませんよ。

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以下、名無し氏の投稿です。読みにくいので改行しました。それにしてもなんで鹿児島大学なんですかね。岡本嘉六先生の関係かしらね。岡本先生も迷惑だろうな。

宮崎人に畜産をやる資格なし。というのを鹿児島大学様にメールで送りました。

口蹄疫、鳥インフルエンザではもう中国産の肉と変わりありません。宮崎の畜産農家が日本の畜産の足を引っ張っているのです。宮崎牛、宮崎地鶏がなくなっても日本は困りません。

私はそんな汚い宮崎の肉より安全で安いオーストラリアの肉を買っています。宮崎の畜産農家がどれだけ全国の畜産農家にご迷惑をかけているのか反省しろ!お前らは日本には必要ないんだよ!

詳しくは鹿児島大学様にお問い合わせください。

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■三重で新たに鳥インフル=大分は移動制限解除

時事通信 2月27日(日)0時30分配信

 三重県は26日、南伊勢町の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザに感染した疑いのある鶏が見つかり、遺伝子検査で陽性を確認したと発表した。三重県内では今冬、2例目の発生となる。
 県によると、この養鶏場は鶏舎27棟で、採卵鶏約26万羽を飼育している。感染が確認されたため、全ての鶏を速やかに殺処分するが、一つの農場での殺処分として今冬最大の規模になる見込み。
 この農場を中心に半径10キロで鶏や卵などの移動を制限する。
 同日午前8時に養鶏場から県の家畜保健衛生所に対し、「22羽が死んでいるが、昨日に比べて数が多いので調べてほしい」という連絡があり、簡易検査の結果、10羽中4羽で陽性を確認。遺伝子検査した4羽全てから「H5亜型」のウイルスを検出した。
 一方、大分市の養鶏場の鶏が強毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した問題で、大分県はこの養鶏場の半径5キロ圏に設定していた鶏や卵などの移動制限を27日午前0時に解除した。半径10キロ圏内の検査で異常がなかったため。 
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■三重県における高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜(2例目)の確認について

平成23年2月26日 農林水産省

1.農場の概要

農場所在:三重県度会郡(わたらいぐん)南伊勢町

飼養状況:採卵鶏 約26万羽

2.経緯

1)2月26日午後、三重県から、度会郡南伊勢町の養鶏場より前日の2倍以上の死亡鶏が確認されたとの通報を受け、A型インフルエンザの簡易検査を行ったところ、陽性が確認された旨連絡がありました。(平成23年2月26日公表)

(2)26日深夜、同県の家畜保健衛生所による遺伝子検査の結果、H5亜型陽性であることが判明しました。死亡鶏の状況等も合わせて考慮し、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜と判定しました。

(3)なお、これに先立ち、田名部政務官が三重県知事と電話し、国と県が緊密に連携して対処することを確認しました。

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■写真 モノクロで欅を撮ってみました。なんか怖いですね。

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義父、 最後の職人、そして生き残った兵士

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皆様。たくさんのご丁寧なお悔やみを賜りまして有り難うございました。

長患いの果てでしたので、私たち家族も亡父を既にない義母の住むもうひとつの世界に静かに送り出したという感慨です。

義父は生涯をひとりの東京下町の職人として送りました。精密機械の試作品や、ミクロン単位の部品の旋盤などを業としてきました。

蹴飛ばせば倒れるような小さな工場で、油で黒光りする、しかしサビひとつない機械を操っていました。そして出来上がった部品をマイクロ・メーターという測定具で計測し、そしてミクロン単位の修正をかけていくのです。

今はこのような仕事は、NC旋盤といってコンピュータからダイレクトに図版を送って削り上げる装置が普及してしまたためにほとんど見られなくなりました。

しかし、義父のような職人が日本の高度成長を支えたのです。その意味で義父は最後の職人であり、そして日本の誇るもの作りの無名戦士でした。

しかし、義父はこの15年間は、その愛した旋盤にさわっていないはずです。仕事がなくなったのです。

それは義父の老齢化のためではなく、現在の日本社会と経済の様変わりが原因でした。義父に仕事を出していた会社は海外に工場を移し、義父はさびれた下町工場街に取り残されたのです。

義父にとって仕事がなくなるということは死にも等しいことだったのではないでしょうか。その頃から義父の深酒が始まりました。決して荒れたりする酒ではないのですが、酒が切れないのです。

義父は失ったものを酒で紛らわせていたのでしょう。その酒につきあうと、仕事の話は出ずに、ひたすら南洋で一緒に闘って還らなかった多くの戦友の話ばかりでした。

ある時、なにを思ったのか皇居に詣でると言って、早朝から古びた復員の時に使ったような背嚢ににぎり飯を詰め、これさえあれば生きていけるという鰹節を詰め込んで歩きだしたのです。

もちろん皇居までは行けはしませんでした。老兵は日頃の不摂生がたたって足がつり、目がくらみ警察に保護されました。子供たちに叱られたのは言うまでもありません。

もはや義父が皇居でなにを唱えたかったのかは誰にもわかりません。

最後の職人、そして生き残った元帝国陸軍無線兵は、平成23年2月24日、亡き義母と戦友の待つ国へ旅立ちました。享年90歳。静かな眠るような最期だったそうです。

私は義父の墓に一輪の野菊を供えたいと思っています。
合掌。

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義父死去のため写真のみです

義父が亡くなりました。享年90歳でした。自由に生きた人でした。

昨日は納棺をいたしました。そのようなわけで本日は花の写真のみを掲載します。義父への手向けの花のつもりです。

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鳥インフルエンザ・ワクチン使用に関するワクチン会社の要請文

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いや~、「南の島」様、非常に面白い文献が出てきましたね。この日本パイオロジカルという会社は鳥インフルの政府備蓄I不活化ワクチン(16消安第7189号平成16年12月13日)を作っている会社です。

他の大手ワクチンメーカーが、畜産全般をやっているのに対して、この日本バイオロジカルさんは養鶏専門のワクチンメーカーです。私も名前は知っていましたが、私がワクチンを買っている動物薬品会社では取り扱っていないので、現実には使用したことはありませんでした。ご高名はかねがねというやつです。

この日本バイオロジカルHPも学的で興味をそそられました。以下の資料コーナーでとりあえず現在、私が現在テーマにしている「鳥インフルの制圧に殺処分のみを手段とすることが有効なのか?経済的コストとつりあわないではないか」というテーマの外国語文献(原文は合衆国)の翻訳を読むことができて収穫でした。この経済と防疫に関するリスク評価はできるだけ早く記事化します。

また同HPでリンクされていた篠原養鶏場さんのHPも興味深く拝見しました。私が文書の形で私とほぼ同じ意見の同業者にめぐり合ったのはこれが最初です。わが同業者は会えばだいだい私と同意見なのですが、シャイなので社会的発言をあまりしません。

篠原一郎氏のこの意見などまさに私が書いてきた内容とまったく同一文脈です。

「養鶏現場から見れば生きた心地がせず、鶏の病気の鶏対策を抜きにして人間様用のプレワクチンを云々するなど正気の沙汰ではないと感じても、行政当局などは既に防疫指針を定め、現場には周知徹底してあり備えは万全であると説明することだろう。

たとえ不完全なかたちにしても他の近隣諸国がワクチンを使って防御に努めている現状では、ウイルスはバリアのない残りの国にいずれは押し寄せるのは自明の理ともいえる」。

最新更新が2008年ですので、現在の鳥インフル大流行をどうご覧になっているのかを是非知りたいものです。http://www2u.biglobe.ne.jp/~tamago/ai.htm

あらためて「南の島」様、ありがとうございました。つくづくわがブログは皆様に支えられております。

一方、日本バイオロジカルのHPは、なんといいますか、隔靴掻痒。農水省にワクチン備蓄を提供している会社だけあって、現実の発生には無力だと言っているに等しいことを書いています。

私が強くそう思ったのは、養鶏場におけるAIの緊急対策の文書です。
要するに、危機管理チームを作れと、危機レベルを把握しろと、そして私も書いている防疫3原則、「感染経路の遮断」、「感染源対策」、「感染感受性対策」の実行です。

しかし、肝心のどのようにして現実に鳥インフルから鶏を守るのか、その武器はと言えばなんのことはない以下のようなことしか書いてないわけです。

たとえばこうです。
「5-2. AIワクチンの使用が認められていない現状では、その他の呼吸器系の疾病を徹底的に予防できる体力と免役力をつけておくことが重要である。
5-3. ND, IB(H-120)およびMg生ワクチン(NBI)を4週令までに点眼で確実に接種する」。

鳥インフルワクチンは備蓄しているが、絶対に使ちゃならねぇとお上が言うから、鳥インフルの類似のニューカッスル(ND)などの予防ワクチンを打っておけ、と。ただそれだけです。

どこの世界に「似たもんがあるからそれにしておけ」などとといった防疫指導がありますか。これは日本バイオロジカルに言っているのではなく、指導官庁たる農水省に言っています。

もちろん日本バイオロジカルもそのような無力な閉塞感は重々承知なわけで、以下のような要請文を農水省に提出しています。「農水省は鳥インフルを豚コレラと一緒の扱いをしている。しかし豚は空を飛べない」という一句には、不謹慎ながら大笑いしました。

冗談はさておき、この文書は国の鳥インフルワクチン拒否に対する真正面からの批判となっています。特に殺処分淘汰-埋却処分のみに無意味に固着した政策に対して、ワクチン使用による経済的コストをしっかりと打ち出していることには強く共感できます。

まさにこの要請文が言うように、ワクチンで防げるものを莫大な税金を投入して、地域産業を壊滅しながら進めている現在の防疫方針は愚策の極みです。

「年間僅か7000 億円という産業に対し、その10%にもなる一時的な対策費は、何という税金の無駄使いを前提としたものでしょうか」。

まさにこの部分こそが動衛研系の防疫官僚たちが一顧だにしない問題の核心であり、養鶏業界が切望することなのです。

また、畜産業界やワクチン業界からの強い要望に黙殺で答えている農水省に、「ワクチンが使えない科学的根拠を示せ」と言っている部分には膝を打ちました。

一読の価値がありますので、ぜひ目をお通しください。。

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トリインフルエンザ・ワクチンの使用及び許可の要請書

トリインフルエンザ(AI)は、日本の養鶏産業にとって最大の脅威です。鶏の突然の大量死という経済問題に留まらず、BSE と同様人畜共通感染症という厄介な問題を抱えています。

1997 年に香港で発生したAI は、ヒトに感染し6 名が死亡するという不幸な結果を招きました。AI は最近、1918年に発生したスペイン風邪(推定4 千万人が死亡)との関係でマスメディアにセンセーショナルに取り上げられています。

BSE は、感染の肉や骨の消費をしなければ済みますが、AI はトリの糞便による経口・経鼻の感染が主なルートです。よって、大きな環境問題となり、養鶏そのものを続けてい
くことができなくなる可能性があります。

AI は、幸い不活化ワクチンで有効に防ぐことができます。AI ワクチンをトリに与えることによって、AI の発生を防ぐこと、そしてAI ウイルスの排泄及び水平感染を著しく減少することが、科学的に証明されています。

また、AI の不活化ワクチンはアメリカや欧州(イタリア)そしてメキシコに於いて、AI 発生時の対策として有効に使用された実績があります。アメリカ、イタリア、香港、オーストラリア、最近では隣国の韓国におけるAI の発生は、厳格なバイオセキュリティの実施だけではAI を防ぐことができないことを物語っています。

日本は、AI の発生の地である中国、韓国から渡り鳥がやってきます。渡り鳥やダチョウのような鳥類の検疫が実施されていない現状では、ワクチンによる予防とバイオセキュリティの組み合わせによって、AI の発症と感染を最小限にする必要があります。

しかしながら、国が準備した AI マニュアルは:

① AI を豚コレラと同じであるという考えに立脚した対策を想定しています。これは明らかに間違いです。何故なら豚は空を飛べないからです。

② ワクチンに対する認識も間違っています。何故なら、AI ワクチンは、発症は防御するが感染を防御しないと言う考えに基づいているからです。

現在使用されているニワトリの多くのワクチン(例えばマレック病のワクチン)は、この分類に属しますが立派にその役割を果たしています。

問題はワクチンの使用と非使用の比較でいずれが有効かつ経済的かということです。少なくとも、国はAI ワクチンの積極的な開発を推進すべきです。

ワクチンの有効については最近のイタリアの例及びメキシコの例、でもその有効性及び安全性は明らかです。
③ 発生後のニワトリの淘汰は、日本に於いては明らかに不可能に近いものがあります。埋めるスペースも焼却する施設もありません。

コスト(外国では一羽当り、1000 円以上)も馬鹿になりません。最近の諸外国のコストをみても一発生で500 億円以上かかっています。

ワクチンで予防すれば、国の(国民)の負担はゼロですが、この防疫対策マニュアルに従えば何百億円という単位になります。年間僅か7000 億円という産業に対し、その10%にもなる一時的な対策費は、何という税金の無駄使いを前提としたものでしょうか

以上より、是非早期の AI ワクチンの許可及び使用を要望致します。また、ワクチン業界に対しては、より有効なAI ワクチンの研究開発を進めるよう国が指導することを要望いたします。少なくともワクチンではAI をコントロールできないというのであれば、国はその科学的な根拠を明確に国民に示す義務があります。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■写真 またまた花です。このところ、ファインダー越しに(と言っても液晶画面ですが)覗く花の怪しい魅力に参っています。

           

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鳥インフルは症状が出る前に、宿主が死ぬモンスター・ウイルスだった!

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HIPPO様から貴重な情報を頂戴しました。ありがとうございます。

>症状判定写真はムツカシイと思います。

かつての京都で2件発生したときにお手伝いに入った経験しかありませんが、眠るようにきれいに死んでいること、が一番の特徴だったと記憶しています。
ウイルスの増殖スピードが速くて、病変を作る前に宿主を殺してしまう、というのが2万羽/鶏舎×10棟をほぼ全滅させていたあの時の印象です。

のだめ風に言えば、ギャボーですな。「病変を作る前に宿主を殺してしまう」とは・・・。これが研究室の住人からでしたら、ふ~ん、そうかいていどなのですが、京都の事例に立ち会われた獣医師さんからのものとなると、激しく落ち込まざるを得ません。

だから、家保は写真を配布していないのですか。納得しました。症状写真がないんですね。そんな家畜伝染病があったとは。

症状が出る前に宿主が死ぬ、そんな鶏病ってあったんですか・・・。すいません、率直に驚いています。今まで自慢ではないが(←まったくそのとおり)、ニューカッスルもやりましたが、劇症でしたよ。首はグルググ旋回するわ、鮮やかな緑便は出すわ、バンバン死ぬわで迷いようがありません。

それが一気に症状も出す余裕もなく、一瞬にして感染拡大して殺してしまうとは。まさに絶句です。聞かなきゃよかった。桑原、桑原。

たとえば今朝、この記事を書き終えて自分の鶏舎に行ったら、昨日まで平常だったのに10羽ばかり死んでいると、あれ、おかしいなと当然思います。

私の農場はモニタリング農場なので、朝一番に家保の担当者に電話を入れるでしょう。そして簡易検査。判定クロ。全殺処分。半径10㌔まで移動禁止区域。

しかしその時、畜産家特有の迷いが出たらどうします?モニタリング農場でなければどうでしょう。

ちょっと待てよ、昨日まで元気だったんだ、食下量にも大きな変化はない、鼻汁もない、奇声も発していなかった、産卵量にも大きな変化はない。

ひょっとして夜に野犬でも来て驚いて圧死したのかな、もう少し様子を見よう。もし、家保に電話して大騒ぎになって、新聞種になりたくないし、風評被害もこわいしな。違っていたら、同じ地域の同業者から力いっぱいとっちめられるしな。

ああ、ありそう。ああ、やっちゃいそう。

結果、翌日から脅威的な速度で感染拡大していきます。もう密閉撲滅作戦しかない・・・。マスコミはワンパターに「ネットに穴発見」とはやしたてる。地域の同業者からは袋叩きになって、村にいられないかもしれない・・・。

家畜伝染病対策の三原則というものがあります。
ひとつめは、「感染経路を潰す」。外部からのウイルス侵入を農場に入る前にブロックすることです。鳥インフルの場合は媒介する野鳥、ネズミ、飼料運搬車、処分業者、同業者などの立ち入りを制限し、時には禁じることです。いわゆるバイオ・セキュリティです。

消石灰などの散布、消毒槽は常識です。この頃は、高価ですがシャワーイン、シャワーアウトという農場入り口で、消毒液をぶっかけるという設備も徐々に広まってきています。

次に二つ目は、「感染源を潰す」ことです。感染した家畜の摘発淘汰、畜舎の消毒などにより侵入したウイルスを排除することです。

最後が、伝染病に対しての感受性を低くすることです。実はこれが私たち平飼養鶏の哲学の根幹なのですが、強い個体に育て、ちっとやそっとでは病気に負けない個体を作ります。

また、伝染病に対する体内の抗体値を高めていくためにワクネーションといって定期的にワクチンを投与し、最後はその効果を高めるためのブースター効果として不活化ワクチンを接種します。この抗体値は抗体検査で厳密に測定可能です。

もう何度も繰り返していますので耳にタコができたかもしれませんが、鳥インフルの場合この防疫三原則がまったく不十分です。

感染経路は潰したくとも相手は空を飛ぶ鳥。消毒薬と消石灰という私が厭味を込めて言うところの「竹槍と石コロ」しか許されず、いったん出ようものなら全殺処分、半径10㌔はるか彼方まで移動禁止です。

そして情報も皆無。感染経路は事実上不明。ネットの穴から野鳥が入ったからなどというマスコミ情報を信じているオメデタイ養鶏家はいないでしょう。

せめて欲しいのは詳細な症状の情報です。ところが驚くべきことには、これもない。「トサカがチアノーゼとなる」、「死亡鶏が急増する」程度が細々と家保から送られているていどです。

しかし、トサカがチアノーゼになるっていうのは超一般的な体調不良の特徴であり、死亡鶏の増加といっても各種原因が考えられます。

それを判別するのが、さまざまな伝染病の症例が載っている鶏病事典、図鑑などです。ところがこれには鳥インフルの症状写真がないのです!

理由は昨日の獣医さんのコメントで判りました。今現在、私たち全国の養鶏家が迎え撃っているのは、なんと「症状が出たときには宿主のほうが死んでいる」というモンスター・ウイルスだったのです。

もはや鳥インフフルワクチンを使うこと、それで抗体値を上げること、それしか方法はありません。

それをしないで、なんのアナウンスもせずにこのモンスター・ウイルスと立ち向かわせている国家は、行政の無作為を犯しているとしか言いようがありません。

税金払らわねぇぞ。確定申告しねぇぞ。( ゚д゚)、

       ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

農水省プレスリリース

  • 宮崎県宮崎市高岡町(宮崎県11例目)を中心に実施していた清浄性確認検査が終了し、当該区域の清浄性を確認しました。
  • これを受け、2月10日に開催された家きん疾病小委員会及び高病原性鳥インフルエンザ疫学調査チーム検討会の合同開催における専門家からの意見も踏まえ、5km~10kmの搬出制限区域を解除します(5kmの移動制限のみ継続)。
  • 今後、同地域内で新たな発生が認められなければ、発生農場の防疫措置が完了した日から21日が経過する、3月2日(水曜日)午前0時をもって、移動制限を解除する見込みです。

       ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■写真 いちおう花の写真です。ちょっとアートしちゃいました。お恥ずかしい。

■蛇足 本日から「トリインフル」の表記を一般的な「鳥インフル」に変えました。

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ワクチン未接種清浄国というドグマから解放されるためのリスク評価

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昨日からの続きです。 

お題は、「トリインフルにおいてワクチンを接種した場合、症状が抑えられて管理者が発見しにくくなり、感染拡大するのではないか」という難問でした。

さて、ものには軽重というものがあります。前例踏襲ではどうしようもなくなった時、何か新しいことをせねばならないわけですが、そのときに必ず出てくるのが、「ナニナニの危険がある」、「どーたらの事態になるリスクがある」という論法です。

くろうと衆の議論ではこの消極論法が幅を効かせます。失敗した場合の責任を誰もとりたくないので、大小のリスクを並べて、「だからやらない」という結論になるようです。農水省の審議会の議事録を読むと、そのてが多いようですね。

そこで出てきたのが、リスク・アセスメント (risk assessment) という考え方です。日本語でリスク評価という言い方もします。

なにをするかといいますとね、リスクの大きさを評価し、そのリスクが許容できるか否かを決定する方法のようです。

具体的には、以下のように考えます。まず、リスク分析によりリスク要因を洗い出します。これを基にして評価と行動を決定するわけです。

  1. リスク因子により組織の財務基盤にどのような悪影響を及ぼしうるかの評価
  2. それにより、どのリスク因子を優先的に対処していくかの優先順位決定
  3. リスク対処のコストパフォーマンスを、上述の財務基盤への影響度も絡めて分析評価し、再検討

と言った手順を取lります。(出典 Wikipedia)

このように学生のレポートのように書くとメンドーのようですが、要するに庶民が「こっちの道は多少のトラブルがあるだろうが進むべし」と決断することを、小難しく書いたと思えばいいでしょう。

リスク・アセスメントはこの頃よく使われており、たとえばある化学物質が出る焼却炉を作るとして、そこから出る有害物質と、それで得られる社会的利益のどちらが重いのかを判断する時に使われたりします。

有害物質の排出量が無視していいような数値なのか、それとも周辺住民に多大な悪影響を及ぼしてしまうから作らないほうがいいのかを客観的に判断する材料を与えます。

では、お題をリスク・アセスメントしてみましょう。

  • まずは「リスク因子により組織の財務基盤にどのような悪影響を及ぼしうるかの評価」を考えてみます。
  • 主語となるリスク要因はこの場合、「トリインフルのワクチンを接種することによって発症が緩和されて管理者が発見しにくくなる」です。

    そして「組織」はこの場合、国や地域の経済に与える経済的社会的影響としましょう。このトリインフルがこのまま感染拡大し続けて、ヒトの流行しているA型インフルと交差感染を引き起こした場合の社会的経済的な影響と置き換えます。

    想定されるリスクは、単なる家禽や渡り鳥の流行から公園の鳩、カラスなどのように人が大勢集まる場所の鳥類に感染拡大することです。

    感染した鳥類の糞の中には大量のトリインフル・ウイルスが含まれていますから、それを踏んだ靴やうっかりと砂場の中にあった糞を子供が手で触れたなどといった偶然が重なって社会の中に持ち込まれます。

    こうなるともっとも警戒すべきトリインフルエンザH5N1型が、同じウイルスでもヒト感染する株に変異してしまいます。すでにこの事例は世界各国ででており、97年の香港、03年のオランダで変異したウイルスがヒト-ヒト感染を引き起こしています。

    ベトナムやインドネシア、タイでは、感染した子供を看護していたお母さんが感染した例もあります。

    またインドネシアでは、母親からその兄弟と子供たち計6名が集団感染しました。2005年の茨城トリインフル事件では、感染した鶏を処理していた作業員が発症はしませんでしたが、抗体検査で陽性が発見されました。

    私が繰り返し都市部近辺でのトリインフルの感染拡大は絶対に許してはならないと言っているのは、鶏の感染から公園などの住宅地近辺の野鳥に伝染拡大し、そこからヒトにうつる可能性があるからです。

    そしてそのときに、社会でA型季節性インフルが流行していたとしたら、まさに火に油を注ぐ事態となります。トリインフルの都市直下型流行です。

    一昨年の新型トリインフルは幸い弱毒でしたが、ウイルスは感染するに従い強毒性に変異することが知られています。薬剤でウイルスが叩かれているうちに耐性をつけるからです。

    ここにトリインフルを単なる鶏病として捉えてはいけない大きな理由があります。長くなりましたが、これがリスク要因の経済的社会的影響です。

    では、次に「どのリスク因子を優先的に対処していくかの優先順位決定」を考えてみましょう。

    何度となく私が訴えていることは、私たちは巨大な米軍を迎え撃つこん棒と石だけを持った孤島の守備隊のようなものなのです。こん棒と石、つまりは消石灰とネットでどう闘えというのでしょうか!

    宮崎口蹄疫は、当初のこん棒と石から文明の利器であるワクチンを接種することで感染が停止しました。

    ちなみに教訓が残るとすれば、ワクチン接種のタイミングがあまりに遅かったことですが、この教訓はまったく活かされていません。

    今述べたことが社会的なリスク要因だとすれば、もうひとつの側面である経済的なリスク要因はなんでしょうか。それはズバリ清浄国を関税外障壁として使えるという貿易上のメリットと、感染拡大による経済的損失のどちらが大きいかの軽重の判断です

    口蹄疫においてこの判断は微妙でした。口蹄疫はヒト感染がありえません。ですから社会的損失は宮崎県のようにその地域の畜産や地場産業、観光などに与える打撃と、防疫手段であった殺処分を秤にかけねばなりませんでした。

    これに全国化した場合と、清浄国でなくなった場合に受ける輸入食肉の攻勢をどう評価するのかというリスク評価が重なります。

    一方トリインフルにおいては明解にリスク評価ができます。ワクチン接種清浄国になることによる関税外障壁の喪失は、ブロイラーの一部に影響を与えるのみの限定的なものに納まります。

    それに対して、現在全国化しつつあるトリインフル感染拡大による養鶏業への打撃、そしてヒト感染することの重大な危機とは比較しようがない軽重です。

    ワクチンにより症状が和らいで発見しにくくなるというリスク要因も、いったんワクチン未接種清浄国というドグマから解放されてしまえば、徹底したサーベイランス、徹底したワクチン接種など対処の方法はいくらでもあります。

    さて、皆さんはこのリスクの軽重をどうお考えになるでしょうか。

    ■写真 このところ花を撮影するのにはまっています。いいマクロレンズが欲しい。

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    おとり鳥を使ったサーベイランスで 緊急ワクチンは使用できる!

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    りぼん様のご質問をこの数日仕事をしながらずっと考えていました。

    そのご質問とは、「トリインフルにおいてワクチンを接種した場合、症状が抑えられて管理者が発見しにくくなり、感染拡大するのではないか」というものです。

    このことは動衛研も指摘しており、理論的にはありえます。たぶんワクチン接種を拒否する最大の理由でしょう。

    それがどのような状況なのかをもう少し細かく考えてみます。
    ①緊急、あるいは予防ワクチン(N2ないしはN7型)を接種したことにより高病原性トリインフルエンザH5N1型(以下N1型と言うことにします)が侵入した場合に、ウイルスが抑制された結果、本来劇症で出るはずの諸症状が軽くなる。

    ②本来は死亡鶏の急増、食下量の激減、産卵量の激減、呼吸器病の諸症状、トサカのチアノーゼなどが見られるはずが、ワクチンにより緩和されたことにより管理者が発見できない。

    ③感染鶏の糞の中にN1型ウイルスが排出されて、農場内に拡散し、それが管理者の移動や堆肥場から野鳥などによって伝染して感染拡大をする。

    う~ん、悩むなぁ。ありえない理屈ではないでしょうね。(^-^;汗タラタラ

    私は問題を分けて考えたほうがいいと思います。まず、このワクチンが今のようないわば非常事態に求められている緊急ワクチンなのか、それとも平時に行われる予防的ワクチンなのかです。

    それともう一点。トリインフルが、同じ高い死亡率を持つといってもニューカッスル(ND)や、伝染性喉頭気管支炎(ILT)などの通常の家畜伝染病と違って、OIEに報告義務を持つ海外悪性伝染病であることです。

    更にもう一点。トリインフルはヒトのA型インフル(季節性インフル)と交差感染すると、ヒトへ感染し、ヒト-ヒト感染する新型インフルに変異する可能性があることです。最悪な場合、1918~19年にかけて全世界的流行をみたスペイン風邪のような感染者6億人、死者4,000~5,000万人という大惨事に発展することも、あくまで理論上ではですが、ありえます。

    とまぁ、こんな危ないトリインフルを、消石灰と防鳥ネットという原始的な武器だけを頼りに守れちゅうのか(怒)、というのが伝染病と闘う最前線の守備隊である私たち畜産農家将兵の大きな不満です。

    さて緊急ワクチン接種においては、もはやらない理由は私には見あたりません。直ちに、一日も早く発生点半径10㌔ないしは5㌔の外周から発生点に向けてのリングワクチンをするべきです。

    そしてそれと平行して、現在も実施していると思いますが発生動向調査(サーベイランス)を行い、抗体、PCR:、ウイルス分離の3点簡易検査をしらみつぶしに行います。

    ただし、この検査のサンプリング数は千羽に対して10羽(必ずしも鶏舎規模で一定ではない)の検体抽出でしかありません。大分の陽性から陰性への判定変更のように、漏れ落ちはありえます。

    検査でシロ判定が出ても絶対ではなく、あくまでもウイルスは残存していると考えるべきでしょう。だからワクチンが必要なのです。

    このように書くと防疫の「くろうと」衆は必ずこう言うでしょう。ワクチンをいったん入れたら、ホンモノのN1型が来てもわからなくなるぞ、と。

    あるいは防疫陣は多忙を極めているので、徹底したサーベイランスは無理だ、ワクチン接種にしても獣医師が足りないとか言うでしょう。

    ここでようやく冒頭の質問に戻りました。私は緊急時には現行のサーベイランスにおとり鳥を組み合わせることでその問題は簡単にクリアできると思っています。

    おとり鳥(なんつうネーミングだ。でも正式名称のようですが)とは、宮崎口蹄疫事件でもワクチン接種後の清浄性確認に使われた方法です。未感染の家畜を畜舎に入れて、定期的にモニタリングをし、感染しているかどうかで判定する方法です。この方法は茨城トリインフル事件でも使われた一般的方法です。

    ワクチン接種作業については農水省は動衛研文書「鳥インフルエンザのワクチンによる防疫と清浄化 }(2005/09/28)の中でこのように規定しています。(「南の島」様、情報提供ありがとうございました)http://www.niah.affrc.go.jp/disease/poultry/infl_vaccine.html

  • 「ワクチンは、国及び都道府県の家畜衛生当局の指導・管理の下で使用」。つまり、「国、都道府県の指導、管理」があればいいんでしょう。実施者についての規定はありません。だから、農場管理者や、管理者から委託を受けた人なら誰でもいいわけです。
  • たぶん畜産農家、中でもブロイラー業者の側が引っかかるとすれば次の事項でしょう。
    「ワクチン接種を実施した家きん等は標識をし、その移動を制限するとともに、全ての接種家きんが処分されるまでの間、定期的な検査等の監視を行う」。
  • ワクチン接種したら鶏に移動制限をかけて動けなくするぞというわけです。思わず陰険だなぁって言いそうになりました。採卵業は困りませんが、ブロイラー業では出荷ができなくなります。
  • 移動禁止区域にいったん入れば、食肉処理場も事実上閉鎖に追い込まれます(と殺はできず、食肉加工のみ)。
  • そのあたりの事情の違いから、養鶏業界でもワクチン接種について肉屋と卵屋の間で利害の微妙な対立が表面化してきています。
  • しかし、その対立の大本はこの馬鹿げた農水省の規定にあります。もはやこれでは、ワクチン悪玉説ですよ。ワクチンは農水省と動衛研にとって許すべからざる不倶戴天の敵だと思っているのでしょうね(笑)。
  • たぶん弱毒でもウイルスを持って回ることを警戒しているのでしょうが、昨日ご紹介した業界紙「鶏鳴新聞」でも指摘されていたことですが、国際防疫の総本山OIEの規約でも過去12カ月(私は6カ月だと思っていたので調べます)発生がなく清浄性が確認されさえすれば、清浄国に復帰できるのです。

    ハッキリ言ってこんな農水省の規定は、OIEの規約を恣意的に無視した規定に過ぎません。

    さて、もうひとつの問題は平時の予防的ワクチン接種の問題です。これをどうするのかですが、今日は長くなりましたので、明日に繋げます。    

              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    資料1 ■食鳥協会がAI対策を要請


    鶏鳴新聞 2011.02.15発行

     (社)日本食鳥協会(芳賀仁会長)は2月2日、宮崎県、鹿児島県で発生した高病原性鳥インフルエンザ(AI)によって、移動制限区域内に食鳥処理場、種鶏場、孵化場が含まれ、操業停止を余儀なくされるなど、食鳥産業の死活問題になっているため、農林水産省AI対策本部長の鹿野道彦農林水産大臣に対策を要請した。

     同会では、移動制限区域で、1回目の清浄化が確認された後は、迅速に例外措置を発動し、

    (1)移動制限区域の早期の縮小(半径10キロメートルから5キロメートルへ)

    (2)移動制限区域内に立地する食鳥処理場への移動制限区域内の肉用鶏の出荷

    (3)移動制限区域内に立地する食鳥処理場への移動制限区域外からの肉用鶏の出荷

    (4)移動制限区域内の孵化場からのひなの出荷と移動制限区域外からの種卵の搬入――を可能にすることと、移動制限区域内で出荷できない肉用鶏やひなの損失支援を求めた。

     また、AIワクチンについては、平成17年11月28日付の「鳥インフルエンザワクチンの使用について」の考え方を踏襲し、ワクチン接種を行なうと、わが国が鳥インフルエンザ汚染国とみられ、生肉の輸入が停止されている中国、タイなどから鶏肉輸入が求められるほか、ワクチンを接種するとブロイラーは20週間出荷できなくなる――を理由に、「ワクチン接種は行なわないこと」としている。

                ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    資料2 ■口蹄疫ワクチン接種を6カ月ごとに実施、韓国政府が方針

    【ソウル14日聯合ニュース】政府が、牛や豚などの偶蹄(ぐうてい)類に対する口蹄疫(こうていえき)ワクチンの接種を6カ月ごとに実施する方針を決めた。

     中央災難(災害)安全対策本部関係者は14日、口蹄疫清浄国への復帰に向けた政策転換が必要だとした上で、「口蹄疫ウイルスを撲滅するため、6カ月ごとにワクチン接種を行うことを検討している」と述べた。

     政府は、先月終えた牛と豚を対象とするワクチンの第一次接種に続き、今月末までに第2次接種を完了する計画だ。

    資料3 ■北朝鮮が口蹄疫報告書提出、48カ所・約1万頭感染

    【ソウル18日聯合ニュース】北朝鮮が口蹄疫(こうていえき)の発生状況をまとめた報告書を国際獣疫事務局(OIE)に提出したことが18日分かった。

     報告書によると昨年12月25日、平壌市内で牛6頭が口蹄疫に感染したことを初めて確認し、ことし2月7日まで北朝鮮全域48カ所で口蹄疫が発生したとしている。そのうち、15カ所が平壌市内で発生し、平壌の被害が最も深刻だった。

     報告書は獣医・防疫局の李慶根(イ・ギョングン)局長名義で7日にOIEに提出し、OIEはその内容をホームページに掲載した。

     報告書によると、豚9953頭、牛500頭、ヤギ165頭で口蹄疫の感染が確認された。口蹄疫により死んだ豚は8640頭、牛は15頭だったが、殺処分・売却したケースは把握されていないという。北朝鮮は独自に開発した予防ワクチンを接種したが、感染拡大の統制が効率的に行われていないとしている。

     OIEは北朝鮮では現在も口蹄疫が広がっており、発生状況を新たに反映した報告書を追加提出する予定だと伝えた。また、北朝鮮当局と口蹄疫の対応策について協議しているほか、国連食糧農業機関(FAO)などどワクチン提供など、具体的な支援方法についても検討しているという。

    ■写真 今日はちょっと色を遊んでみました。やや不気味かも。

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    畜産業滅びて、防疫官僚栄える  農水省は予防ワクチンを認めよ!

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    私は養鶏を中心とした農業を27年間やってきました。まぁ、いちおうベテランだとは思っています。しかし、疫学やウイルス学を専門で勉強したわけではありません。いわば「素人」です。

    ですから、私たち農業現場を持つ人間は独特の学習をします。現実に起きたことをテキストにして学ぶのです。たとえば、かつての茨城トリインフル事件や山口、京都の事例、そして今回の宮崎や鹿児島、愛知などの事例研究を通して自分の考え方を作っていきます。

    また、私の専門外でしたが、宮崎口蹄疫事件は昨年4月から今年に至るまで130回を超える記事で追跡しました。この体験を通じて、私は防疫とはなにをしたらいいのか、なにをしてはいけないのかを叩き込まれたような気がします。

    私たち「素人防疫学者」の判断基準は実に単純明解で、感染拡大してしまうような防疫方法はナンセンスであり、地域の畜産業を壊滅させるような防疫方法はダメなのです。

    だから、今のわが国がとっている畜産現場に消石灰とネットしか許さないのはナンセンスであり、出ようものなら地域丸ごとを殺処分の対象にして地域畜産業を壊滅させてしまうような防疫方法はダメなのです。

    ところが日本の疫学者や農水省の防疫官僚の「くろうと」の皆さんはそう思いません。戦後まもなく作られた家伝法を後生大事に墨守し、そこから無理やりに現実の事例をあてはめています。

    そして大部分の「くろうと」は、現場に足を運ぼうともしません。せいぜいがところ、疫学調査と銘打って、役人の案内で現地を駆け抜けるだけです。

    それでも疫学者たちはフィールドに来るだけましですが、農水官僚は2万6千人も役人を抱え込みながら殺処分現場にも来ない、前線の家保にすら来ないのです。まぁ2万6千人と言っても、各地農政事務所でMA米の管理と減反の看視などという暇つぶしをしているだけの者が2万人もいるのですが。

    疾病小委の委員の大部分は、動衛研出身者で占められており、彼らは現実の畜産業の仕組みに対して驚くほど無知です。ミクロ的な疫学知識は大量に持っているのでしょうが、それらはすべてが縦割りの知識に細分化されており、マクロ的な「産業としての畜産」と結びつけることができません。

    彼ら疫学者は自然科学者であり、日夜研究室で顕微鏡を覗きながら研究を重ねているのでしょうが、それはいわば深さの追求であって、現実の経済の中に生きる畜産業の拡がりを見ることではないのです。

    ましてや、加速し続けるグローバリゼーションが交差する場所にいる日本畜産業が、日々いかに海外悪性伝染病にさらされ続けているのかなどという思考はほとんどありません。

    宮崎口蹄疫事件は、おそらくは韓国からの観光客、ゴルフ客がウイルスを持ち込んだのでしょうが、このような事態は家伝法が作られた戦後まもなくの時代には想像もつかなかったことです。

    このグローバリゼーションは、TPP時代を迎えることで決定的になります。たとえば、ベトナムというトリインフルで死亡者まで出し、口蹄疫の発生国でもある国からの労働者を大量に受け入れることになります。

    彼らの多くは日本全国各地の農業労働者や食肉処理場の作業員として雇用されることでしょう。これがどのような意味を持つのかを私たちにはピンと来ますが、疫学者や防疫官僚はそれは入管や厚労省、地方自治体が考えればいいことだていどにしか発想しないでしょう。

    そしてあいかわらず「水際防疫」とか、「家伝法○○条に則り」とか言い続けるのです。家伝法がとっくに錆びついた刀であることを見ようともしません。

    家伝法見直しとは、農家に更に重罰をかけて管理することと、患畜の予防的殺処分の規定を盛り込む、ただそれだけです。それでこのグローバリズムの時代に対応できる防疫を構築できると考えているようです。なんとおめでたい人たちなのでしょうか。

    ホットマネーが投資先を求めて世界を駆け回り、穀物や石油に流れ込むように、ウイルスもまた国境なきボーダレス・ウイルスとして世界を瞬時に伝播するのです。

    にもかかわらず、疫学者や防疫官僚は相も変わらずわが国のみの狭い防疫を大前提とした一国的な防疫と殺処分という古典的な手段にしがみついているのです。

    家伝法が想定している日本国内だけでウイルスが発生と死滅を繰り返しているのならばそれもいいでしょう。

    しかし現実の世界は、口蹄疫やトリインフルが常在する国から大量のヒト、モノ、そしてウイルスが流れ込み、そしてわが国の畜産が崩壊しようもののなら、待ってましたとばかりに韓国のように瞬時に安い輸入肉によって市場を奪われてしまう時代となっているのです。

    下の「鶏鳴新聞」の論説にもありますが(リボン様、ありがとうございます)、OIE規約にはワクチン接種の有無に関係なく、定められたサーベイランスをクリアすれば、過去12カ月間トリインフルの感染が存在しなければ、清浄国として認められているにもかかわらず、わが防疫官僚だけは頑として「ワクチン接種=汚染国」という旧態依然たる定義から一歩も出ようとしません。

    はっきり言いますが、こんな頑迷な防疫官僚はわが国にしか存在しないでしょう。

    そしてそれに対して業界がいかに陳情しようと一切聞く耳を持ちません。あくまでもネットに穴が開いていた農家が悪いのであり、徹頭徹尾、殺処分と埋却、消石灰散布という原始的な防疫手段しか許しません。

    なぜなら、それは家伝法と防疫指針にそれしか書かれていないからであり、彼ら防疫官僚は、国内畜産業など壊滅しようとどうしようと、しょせん生産局が心配すればいいと思っているようです。

    養鶏協会が防疫を動物衛生課から生産局に移してほしいと陳情したのもむべなるかなです。省益どころか局益の中で生きている人種が支配しているのが、この防疫の世界の実態なのです。

    この旧い世界を変えるには世論が必要です。もはやそれしかありません。

              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    資料

    産業基盤の崩壊が心配されるAI被害 予防に主眼を置いた対策を

    鶏鳴新聞 2011.02.15発行

     平成16年から国内で発生の高病原性鳥インフルエンザ(AI)は、これまでの例では1月を過ぎるとほぼ終息に向かっていたが、今年は2月に入っても感染が拡大し、関係者は当惑している。

    今年だけで鹿児島、宮崎、愛知、大分の4県、14例で、約110万羽の鶏が殺処分の対象になった。特に養鶏主産地の宮崎県での発生は11例で約93万羽を殺処分した。うち8例がブロイラー農場だ。関係者は「なぜ宮崎で」との驚きとともに、安心して養鶏経営が営める対策を強く求めている。

     宮崎県での高病原性鳥インフルエンザ(AI)の発生は、2月8日現在で11例。うち採卵鶏農場における発生は1例のみで、肉用種鶏が2例、ブロイラー農場が8例で、累計で約93万羽もの鶏が殺処分され、「なぜ鶏を殺さなければならないのか」との疑問の声が周辺の住民からも聞かれた。

     AIが宮崎市から北に向かって点在しながら次々に発生している原因についてはよく分からないが、

    (1)AIの発生が続いている韓国からの観光やゴルフなどでの人の移動があること

    (2)鹿児島県のツルをはじめ、渡り鳥や野鳥の感染が全国的に確認されている中で、比較的温暖な宮崎に野鳥が集まりやすいともいわれ、現に県内の野鳥からもウイルスが確認されていること

    (3)宮崎県は、高速道路網が未整備のため、養鶏に限らず畜産関連農場や施設は、県の経済活動を支える道路「国道10号線」を利用することが多いこと

    (4)畜産王国であるため、各畜種の農場が、系列(農協系、商系)に関係なく混在していること――などから、感染経路の究明は、農場の環境や衛生対策、野生動物のウイルス保有状況、人や資材などの物の動きなどを慎重に考慮し、ウイルス学者だけではなく、渡り鳥や野鳥、野生動物の生態の専門家、防疫の専門家、養鶏の専門家、業界関係者も加えて検討し、現実的な対策を立てることが重要だ。

     特に今回のAI発生での問題は、鹿児島県出水平野の複数のツルからH5N1ウイルスが検出されていることだ。毎年1万羽以上飛来し、生息していることから、今回の広範な感染拡大との関連を疑う見方は多い。ツルやカモなどの渡り鳥は家畜伝染病の対象外であり、環境省や農水省などの行政側は、飛び回っている野鳥は「どうすることもできない」としている。

    こうした中で、AIウイルスを養鶏場に運ぶとされるネズミ、ゴキブリ、ハエなどの野生動物対策も野放し状態となっているにもかかわらず、防鳥ネットに穴があいていたとか、ネズミがいたとか、ウイルスの侵入で被害を受けた養鶏場にAI感染の責任をすべて押し付けている。

     家畜伝染病対策の3原則は、『感染経路対策』『感染源対策』『感受性動物対策』だ。『感染経路対策』はウイルスとの接触を断ち切る衛生対策(バイオセキュリティ)の徹底。

    『感染源対策』は発生した場合の徹底的な摘発・淘汰、水洗・消毒によるウイルスの根絶。『感受性動物対策』は、宿主である家きん類の抵抗性を高めることで、その役割を担うのがワクチン。

     この3原則の対策を総合的に実施し、感染の危険性を可能な限り少なくすることが家畜伝染病の予防対策の常識だが、わが国のAI対策は、殺処分による摘発・淘汰と、バイオセキュリティ対策としての消毒用石灰の散布のみで、AIワクチンの使用を認めていない。

     AIの防疫指針では、「迅速な淘汰が困難」な大発生となった時にワクチンを使用するとの方針を示しているが、具体的にどのような状態になったら使用するかを決めているわけではない。

    むしろ、許可されているAI不活化ワクチンは「発病を抑える効果は期待できるが、感染を確実に阻止することは不可能」とか、ワクチンのウイルス株と野外ウイルスを区別するDIVAシステムについても、「完全に区別できない」などとし、使わせないことに力点を置いている。

     AI不活化ワクチンは欧米だけでなく、ベトナムや香港でDIVAシステムの下で使用されている実績がある。

    当初、「DIVAシステムにだまされてはいけない」などと述べていたわが国のウイルス学者も、世界的に認められた監視・識別システムのDIVAシステムの下で使用するワクチン株は、野外で流行しているウイルス株以外のNを使用すれば解決する(例えば、日本で野外で流行しているH5N1ウイルスに対し、ワクチン株はH5N9にするとか)ため、現在ではさすがに正面から批判することはなくなった。

     日本食鳥協会は、AIワクチンをブロイラーで使用することに反対しており、反対論者は日本食鳥協会の反対を盾にできるとみているようだが、AIワクチンの使用は当初から種鶏や採卵鶏の問題であって、ブロイラーは対象せず、野外におけるウイルスの絶対量を減少させることを目的としているもの。

     採卵、食鳥両業界とも、安心して養鶏経営が続けられるAI対策の確立を求めていることでは利害は一致している。リアルタイムPCR手法の導入による8時間以内(遅くとも1日以内)の迅速な感染の有無調査と、それに基づく移動制限区域の縮小、卵や鶏肉の円滑な流通、移動制限・搬出制限に伴う経済的損失補償の充実など、養鶏産業を守るための施策を共に求めている。

     『ワクチンを接種すると、わが国がAI汚染国とみられる』との心配も、OIE(国際獣疫事務局)の『清浄国の定義』では、ワクチン接種の有無に関係なく、「定められたサーベイランスの結果、過去12か月間本病の感染が存在しないこと」となっている。

    このように、国際的にはワクチン使用は無関係であるが、日本はOIEの考えに反対し、「ワクチン使用は汚染国」との見解を取っている。ただ昨年は、ワクチンを使用しているとみられる中国、メキシコから鶏肉の輸入実績があり、必ずしもワクチン接種国からの輸入がすべて止まっているわけでもないようだ。

     むしろ、種鶏や採卵業界でAIワクチンが使われ、野外におけるウイルスの絶対量を低下させることになれば、食鳥業界のリスクもそれだけ低下することになる。AIが大発生してからワクチンを接種しても、もはや手遅れで、採卵業界も、食鳥業界も壊滅だ。

     殺処分と埋却、消石灰散布に固執した前近代的なわが国の防疫対策では、養鶏産業の崩壊と国民の食糧確保を破綻しかねない。加えて政府は、通常国会に家畜伝染病予防法の一部改正案を提出し、その中で、患畜(鶏も含まれる)等以外の予防的殺処分の規定を加えようとしているとされる。

     今回の宮崎県の例でも、約6万羽の採卵鶏で感染が確認された2例目では、同一団地ということで約34万羽が検査されることなく同時に殺処分され、8例目の肉用鶏でも同一経営者の関連農場の肉用鶏が同じように殺処分された。迅速な防疫対応とはいえ、産業基盤を傷つける手法であり、本当にこれで良かったのか。

     感染の確定診断や移動制限区域内の汚染の有無を迅速に判断できるリアルタイムPCRの本格的な導入や、家畜保健衛生所の人的・技術的なレベルアップ、DIVAによるAI不活化ワクチン接種を認めるなど、安心して養鶏経営を継続できる予防対策に主眼を置いた防疫体制の確立こそ急ぐべきだ。

    ■ 写真 湖沼地帯の夜明けです。

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    韓国殺処分現場の凄惨な実態が明らかになった    京畿道の調査で1割弱が違法埋却をしていたことが発覚

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    [お断り] 本日の記事中写真はご覧にならないほうがいいかもしれません。

    今までネット界では嫌韓的トーンで流されてきた情報ですが、この間、韓国紙大手の中央日報や朝鮮日報、そして国内では朝日新聞なども相次いで報じており、韓国の殺処分の現状であると認識せざるを得なくなりました。

    韓国はいわば殺処分の強固な信奉者であり、殺処分のみが正しく、殺処分をすることだけが感染拡大を阻止し、清浄国復帰できる唯一の手段だと考えていました。

    335万頭に及ぶ殺処分、北から南までくまなく覆い尽くされ、北朝鮮まで飛び火した感染拡大、14億ドル(1月22日現在)を超えて上昇し続ける経済損失、韓国畜産の崩壊、そして残されたものは埋却地の凄惨な状況でした。

    昨年11月の発生以来、韓国は一説で1日数万頭以上という驚異的速度で殺処分を続けていると報じられてきました。しかし、それは手抜きの埋却処分だったことが次第に明らかになってきています。

    地面が凍結しているために重機が定められた5メートルの深さを堀り、2メートルの覆土をかけずに、わずか1メートル程度で埋めてしまったり、河川周辺に埋める場合には鉄板などで補強することが決まっていたにもかかわらず守られておらず、死体から出た汚染物質が水系に流出しているケースが続出しました。

    朝鮮日報(2月18日)はこう報じています。

    「全国約4600カ所の埋却地の多くでずさんな管理が行われている実態が確認された。京畿道が調査を行った1844カ所の埋却地のうち、149カ所が処理作業におけるガイドラインに従わず、河川から30メートル以内に埋却地を設置しているほか、傾斜が急な地域も85カ所に達することが確認された」。

    この調査は京畿道だけのもので、全体の4割ていどでの調査でしかありませんから、この違反処理件数は後日数倍以上に増加するでしょう。

    このような手抜き埋却により、腐敗した死体の露出、悪臭ガスの流出、水系汚染、ワシや野犬などが群がり食い散らすという凄惨な風景が各地で見られるようになりました。

    そして言うまでもなく、このようないいかげんな埋却をすれば、死体をついばんだ鳥類や野犬に感染拡大し、野生偶蹄類へと伝播したのは疑う余地がありません。

    もはや朝鮮半島全域は、北から南まで済州島をのぞき口蹄疫ウイルスが常在した地域ととなり、一衣帯水のわが国はそれを前提に対策をたてねばならなくなりました。

    また一方、殺処分そのものも拙速であったことがわかってきました。これは殺処分をするための薬剤が不足したために急遽中国から輸入したところその効果が薄かったためと言われています。

    そのためにある殺処分現場では、家畜を生きながら埋却するという信じがたい事態も生じました。私はこの情報はかなり前から知っていましたが、複数の情報がとれるまで書かなかったのですが、どうやら真実なようです。その写真が下です。

    頭を抱えたくなります。韓国は防疫だけの敗北ではなく、倫理的な敗北までもしてしまったのです。朝鮮半島全土はこの韓国の防疫の失敗で口蹄疫が常在する地域となりました。韓国畜産は崩壊の危機に瀕しています。

    そして、殺処分で防御できなかった韓国はワクチン接種清浄国になります。

    このような悲劇を隣国でみながら、韓国人タレントの事務所トラブルしか報じない日本のマスメディアは最低です。

    かくして、世界の発生国で、今や殺処分だけにすがって口蹄疫とトリインフルの防疫を考えている国は、ほとんど唯一わが国だけとなりました。

    殺処分は必ず埋却を伴います。この現実の埋却問題を見ることなく、殺処分を机上の疫学テーマでのみ考えているのが、動衛研などを中心とする疫学学界です。彼らはこの韓国の悲劇を見ているのでしょうか。何も感じないのでしょうか。よその国の出来事なのでしょうか。

    私は、口蹄疫における緊急ワクチン接種の明確な規定づくりと、接種後の殺処分を拒否すべき時期になっていると思います。そのことにより、清浄国ステータス復帰までにロスするのはわずか3カ月間だけなのですから!

                 ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    ■口蹄疫:韓国政府、埋却を最小限にとどめる方針

    高温滅菌、焼却による処理を推奨へ

    口蹄(こうてい)疫に感染した家畜の埋却地から流れ出た浸出水による地下水や土壌の汚染問題に関し、政府は今後、家畜の埋却を最小限にとどめ、すでに造成された埋却地のうち、崩壊や水質汚染の可能性が高い場所については、家畜の死骸を掘り出し再処理する案を検討する方針を打ち出した。

     環境部(省に相当)の関係者は「埋却作業に伴う2次的な環境汚染に備え、埋却地の数を最大限減らすというのが政府の方針だ。(予防ワクチンの接種により)抗体が形成されてから殺処分される家畜については、埋却ではなく高温滅菌処理(スチーム式加熱)または焼却(直接燃やす)によって処理するよう、地方自治体に通告した」と語った。

     現行の家畜伝染病予防法は、殺処分した家畜について、埋却または焼却によって処理するよう定めており、高温滅菌処理を行うためには法改正を経なければならない。
    (朝鮮日報 2011/02/14 )

    口蹄疫:農水部長官、ずさんな浸出水処理に困惑

     劉正福(ユ・ジョンボク)農林水産食品部(省に相当)長官は12日、江原道洪川郡化村面外三浦里を訪れ、口蹄(こうてい)疫で殺処分された家畜の埋却地を視察しながら困惑気味だった。模範的な埋却地として、記者とともに訪れたが、同部と環境部の埋却処理マニュアルに沿った対策がまったく行われていなかったからだ。

     韓牛(韓国伝統の肉牛)70頭が埋却された全長10メートル、幅5メートルの同地には、埋却地を知らせる看板が立てられていたが、家畜の腐敗により発生する浸出水を抜き取る排水管が設置されていなかった。この場合、ガスの圧力で浸出水が流出する恐れがある。

     浸出水が送られる貯溜槽は3メートルほど離れたところに設置されていたが、配水管ではなく、溝で埋却地とつながっていた。この場合、浸出水が周辺の土壌に流れ出る恐れがあり、雨が降った場合には浸出水と雨水が混ざり合うことになる。

     家畜が腐敗する際に発生するガスを抜き取る2本のガス管も誤って設置されていた。ガス管は雨水が入らないよう、地上に出た一番上の部分は「n」字でパイプを設置しなければならないが、カギ字になっていた。また埋却地に盛られた土も、春になって雨が降ると崩れやすい、きつい傾斜だった。

    マニュアルでは、深さ5メートルに家畜の死がいを埋めた後、2メートル以上の盛り土で覆うことになっている。これについて洪川郡の関係者は「土が凍って、1メートルの深さまでしか掘ることができなかった」と釈明した。

     韓牛15頭を埋却した高さ5メートルほどの埋却地も、貯溜槽が排水管でつながっていなかった。

     また、車で5分ほどの所にある埋却地も問題が山積みだった。韓牛38頭と、別に16頭が埋却された場所には、浸出水を抜き取る排水管が設置されていたが、貯溜槽とはつながっていなかった。またガス管も「n」字型ではなく、カギ字で設置されていた。

     現場を視察した劉長官は困惑した表情で、ホ・ピルホン洪川郡守(郡の長)をはじめとする防疫関係者に対し「マニュアルを見たのか。浸出水の配水管を設置し、排水管を通じて貯溜槽につなぐようにしなければならない」と指摘した。

    加えて「ガス管はn字型に設置し、異物が入らないようにすべきだ。埋立地の傾斜がきつく、雨が降った場合、浸出水が流出する可能性があるため、補完工事を実施しなければならない」と指示した。

     こうした指摘を受けた洪川郡の関係者は「現場では政府のマニュアル通りに行ったと話しているが、問題があったようだ。埋却地ごとに状況は異なるが、マニュアルに記載された事項を反映しなかった面もある」と述べた。
    (朝鮮日報 2011/02/14 )

    ■【社説】浸出水の流出防止に総力を挙げよ

    韓国政府が15日、口蹄(こうてい)疫で殺処分された牛の埋却地に関する総合計画を発表した。その主な内容は、「埋却地周辺から浸出水が流出した場合、警報が自動的に発令される」「埋却地から300メートル以内の地下水のモニタリング」「専門家チームを構成し3年間埋却地の管理を行う」というものだ。

     全国約4600カ所の埋却地の多くでずさんな管理が行われている実態が確認された。京畿道が調査を行った1844カ所の埋却地のうち、149カ所が処理作業におけるガイドラインに従わず、河川から30メートル以内に埋却地を設置しているほか、傾斜が急な地域も85カ所に達することが確認された。

    京畿道南楊州市和道邑琴南里の場合、北漢江と合流するムクヒョン川から3メートルしか離れていない場所に埋却地があり、浸出水が漏れ出た場合、すぐさま漢江に流れ込む。

     畜産農家は、住民が嫌うこともあり、殺処分した家畜を自身が所有する農場の敷地に埋却するが、農場が河川のそばに位置するケースも多い。慶尚南道金海市翰林面の場合、ほとんどが河川と接した農場に豚の死がいを埋却した。また、急いで処理したため、豚の体の一部がむき出しになっている所もある。大雨が降ったり河川が氾濫した場合、死がいが河川に流れ出し、河川を汚染する恐れもある。

     そのため、河川周辺の埋却地には河川との間に鉄板を設置したり、穴を掘ってコンクリートを流し込む方法で遮断壁を設けるなど対策を行う必要がある。傾斜が急で豪雨時に崩壊の恐れがある所は、埋却した死がいを別の場所に移す必要がある。李始鍾(イ・シジョン)忠清北道知事は15日、市長・道知事対策会議で「300坪(約1000平方メートル)規模で深さ6メートルのコンクリート施設を設ければ、豚9万頭を処理することができる」と提案した。これは、検討に値する良いアイデアだ。

     衛生・環境面では、800-900度の高温で焼却する方式が最も安全だ。牛40頭または豚300頭しか処理できない移動式の焼却施設は、今回のように口蹄疫が全国的に広まった場合、対処が困難となる。

    焼却処理は、臭いや排気ガスが発生するため住民が反対する可能性が高い。今後、口蹄疫ばかりでなく、鳥インフルエンザといった伝染病が発生する可能性は十分にある。一定規模以上の畜産農家に対して、浸出水汚染と崩壊の恐れがある埋却地の確保を義務化し、政府と自治体が費用を支援し、税金を減免する策を検討すべきだ。
    (朝鮮日報  2011/02/16 )

    口蹄疫:首都圏の飲用水源が危険

    首都圏に暮らす2000万人の飲用水源である八堂ダムなど、漢江上流地域に位置する、口蹄(こうてい)疫に感染した家畜の埋却地のうち、大部分で浸出水が発生し、崩壊の危険にさらされていることが、現地の調査で明らかになった。

     環境部(省に相当)は11日、「(政府・自治体などで構成する)現場調査団が10日に京畿道楊平郡、南楊州市など、漢江上流にある埋却地32カ所を調査した結果、16カ所で崩壊などの恐れがあることが確認され、直ちに補強工事を行う必要がある」と発表した。このうち11カ所は漢江本流や支流につながる河川から、3~30メートルしか離れておらず、浸出水が流出した場合、汚染物質が漢江に流れ込む恐れがある。

     環境部は「これら11カ所の埋却地については、岩盤がある地中深くまで掘り進んで、地下に防水壁を設置するなどの大型補強工事を実施し、浸出水の流出を防ぐための対策を講じる」と話した。16カ所のうち4カ所は埋却地の周辺に排水路を設置するほか、1カ所は流失防止用擁壁工事が必要とみられている。

     政府は漢江上流地域の自治体による第1次予備調査の結果、補強工事が必要と判断された埋却地99カ所のうち、残り67カ所についても、今月14日までに調査を終える方針だ。
    (朝鮮日報 2011/02/12 )

    Photo *上の写真は朝鮮日報;配信ものではありません。

    口蹄疫埋却地から悪臭…ワシ500羽集る

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    17日午後2時、京畿道漣川郡百鶴面(キョンギド・ヨンチョングン・ベクハクミョン)ノゴク2里。ここはもともと大規模な畜産団地だった。しかし最近、村の畜舎はがらんとしていて、静けさが漂っている。

      畜舎の近くには100平方メートル規模にもならない小規模な口蹄疫家畜埋却地があちこちにできている。村の入口にある1カ所を除いた25カ所の畜産農家の韓牛・乳牛・豚がすべて埋却されたからだ。

      昨年12月21日に乳牛を埋めたという警告表示板が設置された50平方メートル規模の埋却地に近づくと、鼻を突くようなにおいがした。家畜の腐った死体から発生するガスを取り出すために設置したプラスチックパイプからは、呼吸できないほどの悪臭が出ていた。ここは傾斜のそばにあり、少しでも雨が降れば埋却地の浸出水が小川に流れ込むしかない。ここから3キロほどの下流には臨津江(イムジンガン)がある。

      埋却地の上空にはワシ(天然記念物第243-1号)100羽以上が2.5メートルほどある羽を広げて飛んでいる。一部のワシはエサを求めて埋却地周辺の地上に降りたり、10余メートルほどの高さで旋回している。村の住民ホン・ソンホさん(52)は「昨年12月末から埋却地で家畜の死体が腐るにおいがし始め、ワシが群がってきた」と話した。

      ワシの群れの飛行について300メートルほど移動すると、口蹄疫発生農家付近の畑に500羽ほどのワシが集まっていた。こちらは世界最大規模のワシの越冬地、民間人統制線内の坡州市長湍面巨谷里(パジュシ・チャンダンミョン・ゴゴクリ)チャンダン半島から18キロほどの距離にある。チャンダン半島には現在700羽ほどのワシが越冬中だ。

      現場に同行した韓国鳥類保護協会のハン・ガブス坡州市支会長(58)は「口蹄疫埋却地とその周辺のずさんな事後管理のため、ワシが民間人統制線の外側の農場と民家の周辺に集まっているようだ」と話した。ハン氏は「もし生き埋めにされた豚の死体が腐敗して膨張し、外に露出でもすれば、ワシがこれを食べて他の伝染病が広がるのではないかと心配している」と語った。

      京畿道利川市(イチョンシ)では実際、口蹄疫のために埋められた豚の死体が腐敗して膨張し、外に露出する例が相次いでいる。利川市によると、1日、戸法面(ホボプミョン)ジュミ里のA農場埋却地から豚の死体が出てきているという申告があった。腐敗しながら風船のように膨らんだ豚の死体が埋却地の外に出てきたのだ。

    市は防疫要員を送って死体を埋め直したが、一週間後、同じ埋却地から豚の死体5-6頭がまた外に飛び出した。これまで6カ所の埋却地で同じ現象が発生している。市は、気温が上昇し、豚の死体が腐敗しながら発生したガスのために死体が膨らみ、埋却地の外に出てきたと推定している。
    (中央日報2月18日)

    ■【社説】口蹄疫問題、最悪の状況も想定せよ

     口蹄(こうてい)疫の影響で1カ月前におよそ2000頭の豚を殺処分した京畿道のある養豚場周辺の山中で、子豚の死骸が野生動物に食い散らかされ、骨が露出した状態で放置されている様子がニュースで報じられた。また別の養豚場でも、4頭の子豚が家畜糞尿の上に捨てられている様子が報じられた。政府の調査チームが漢江上流にある32カ所の埋設地に対して現地調査を行ったところ、16カ所で浸出水が流出し、一部の埋設地は崩壊の危険にさらされていることが確認された。

     同じようなニュースが連日のように報じられる中、国民はウイルスの恐怖がすぐ近くにまで迫っているような不安を感じている。口蹄疫で殺処分された家畜の死骸を無防備に放置すれば、雑食性の野生イノシシなどがそれらを食い散らかすのは当然だ。そうなればウイルスは予想以上に早いスピードで、また広い範囲に感染するのは間違いない。

     口蹄疫は家畜伝染病の中でも感染力が最も強い。感染した動物の体組織の一部、体液、排泄物など全てが感染経路となり、牛乳からもウイルスが検出されている。感染した1頭の豚から1日に4億ものウイルスが放出されるとも言われており、飼料の牧草にウイルスが付着した場合、冬には9週間にわたり活性状態を保つという。

    カラス、犬、猫、ネズミは口蹄疫に感染しないが、ウイルスの媒介となる可能性は高い。1967年に英国で発生した口蹄疫は空気感染し、ドーバー海峡を越えフランスに渡った。また1981年にも、デンマークからスウェーデンにまで海を越えて感染したというケースもある。獣医科学検疫院では空気感染の可能性は低いとしているが、最悪の状況を念頭に置いて、事態に対処すべきなのは言うまでもない。

     環境管理公団が2008年に15カ所の家畜埋設場所近くの地下水を調べたところ、7カ所で基準値以上の硝酸態窒素が検出された。また14カ所でも同じように大腸菌や一般細菌が検出された。硝酸態窒素は有機物で、特に子どもの体内に入ると顔色が真っ青になるチアノーゼや呼吸混乱などを引き起こす。

    昨年1月に781頭の豚を地上に埋めて処分した江華郡では、埋設地の地下17メートルから、生物化学的酸素要求量(BOD)772ppmの浸出水が発生した。これは汚染度としてはゴミの埋設場に匹敵するレベルだ。

     防疫当局は埋設地の底に3センチ以上、死骸を埋めてから再び5センチ以上の高さまで酸化カルシウムをまくため、ウイルスが流出する危険性はないとしている。しかし家畜の死骸が腐敗することで発生するガスが排出口から放出される際、ウイルスも同時に流出する可能性があるとの指摘もある。夏の豪雨で傾斜地にある埋設場が崩壊し、家畜の死骸があふれ出して周辺の河川を汚染することになれば、想像するだけでも恐ろしい大災害になる。

     現在、4200カ所ある埋設地には320万頭の家畜の死骸が埋められている。この規模は、韓国ではかつて経験したことがなく、また世界的にもめったにない例だ。政府はさらなる極限状況を念頭に置いた上で、野生動物によるウイルスの拡散や埋設地の崩壊、浸出水の流出、地下水や河川の汚染などに備えて徹底した調査と対策に力を入れ、国民の不安を解消しなければならない。

    (朝鮮日報 2011/02/12 )
    水道水から血が! 韓国口蹄疫、ずさん殺処分で大騒ぎ
    (朝日新聞 2011年2月18日)

    【ソウル=箱田哲也】「血が混じっている水が出てきた」――。家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)が猛威をふるう韓国で、ずさんな殺処分が原因とみられる苦情が住民から相次いでいる。埋められた家畜の体液が土中にしみ出し、地下水や土壌を汚染しているのが特に深刻とみられている。全国で埋められた牛や豚は335万頭以上。韓国政府は、被害を食い止めようと必死だ。

     韓国政府は15日、口蹄疫や鳥インフルエンザのために家畜を埋却した場所が全国で4632カ所に上っており、2月末までに埋却地の点検を徹底する、と発表した。

     韓国メディアは連日、「水に血が混じって変な味がする」「埋却地から鼻が曲がるほどの異臭がする」といった周辺住民の声を大きく取り上げ、行政の適切な対応を促す。政界では野党も政府の無策ぶりを糾弾。民主党国会議員は、埋められた全ての家畜の体液の総量を人口で割ると、国民1人あたり1.2リットルにあたる量が予想されると警告した。

     汚染の原因は様々挙げられているが、あまりの殺処分頭数の多さに家畜を安楽死させる薬が底をついたことも指摘されている。政府は中国から急きょ薬を輸入したものの成分が弱かったことなどから、家畜を生きたまま埋却するケースが各地で相次いだという。李万儀・環境相は11日に出演したラジオ番組で「家畜が完全に死んでいないまま埋めれば、二重に敷いたビニールシートもツメや口で破れる恐れがある」と語った。

     季節が春に向かうことにも警戒が強まる。いったん埋めた豚が膨張して、土の中からはみ出てきた事例もすでに報じられている。気温が上がれば腐敗が進み、悪臭などが広がりかねない。埋却地自体の自然崩壊や大雨による流出の恐れも指摘される。

    専門家らからは、家畜を焼却したり、切断したりして埋却すべきだとの声も出ているが、処理コストが膨れあがるのは避けられない。

     政府は埋却地の崩壊などは報告されていないとしているものの、南東部の慶尚北道の埋却地89カ所を調べたところ61カ所が何らかの補修の必要ありとの結果が出たことを明らかにした。

     李明博(イ・ミョンバク)大統領は最近、大統領府の幹部会議のたびに「地方自治体と協力し、水質汚染など環境問題が発生しないよう細心の注意を払わねばならない」とげきを飛ばすが、口蹄疫との戦いは、まだしばらく続きそうだ。

    写真 天空の光ショー。

    ■ 追記 北海道様。ご本の紹介に感謝します。実はあれ私のタネ本です(笑)。りぼん様。ワクチンの件、ちょっと待って下さい。できたら明日あたりに書きます。

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    ワクチンを使えないとする動衛研の理由に反論する

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    動物衛生研究所のHPにトリインフルQ&Aというコーナーがあります。ここにトリインフル用ワクチンの項があって、農水省がなにを「使わない」理由にしているのかがわかります。

    4ツばかりその理由を上げているので、一つずつ私のコメントをつけていきます。

    ●動物衛生研究所 トリインフルエンザQ&A

    Q10.鳥用のワクチンはありますか?

    ●A.海外では鳥用のワクチンが生産されていますが、日本を含め世界の多くの国ではワクチンを使用せずに、殺処分による防疫措置が採られています。

    ■私のコメント・・・この動衛研の言う「世界の多くの国」の防疫方法は大きく変化し始めています。特に先年の欧米では大流行を経験したために、殺処分だけで防疫できないという反省が生まれてきています。

    今回の韓国の口蹄疫とトリインフルのダブル大発生をみると、ワクチン接種の遅れにより国内畜産業そのものが壊滅に瀕するケースすら出てきました。

    また韓国では、国内畜産が壊滅状態になったために豚肉価格がモノ不足による高騰を引き起し、結局政府が緊急輸入のために豚肉の無関税枠を急遽設定するという悲喜劇が生まれました。

    アジアでもっとも防疫体制画整っているといわれ、殺処分方針の権化のようだった韓国はこうしてワクチン接種国となりました。

    防疫は完了しました、しかし国内畜産は滅びました、輸入畜産物に制圧されましたでは、防疫官僚の皆さんは税金で喰っているから痛くもかゆくもないでしょうが、農家はそれでは困るのです。

    防疫はあくまでも畜産という経済分野を防衛するためのものです。

    ●動衛研・・・(ワクチンを使わない)理由は、ワクチンは発病を防ぐことはできますが、ウイルスの感染および排泄を防ぎきれないためで、以下のような問題点があります。

    1) 発症及び死亡の軽減により感染の発見が遅れてその間に他の鶏群に蔓延する危険がある、

    ■私のコメント・・・2006年11月の農水省動物用医薬品等部会の審議において、メキシコ製輸入ワクチンは、神奈川と埼玉の農場実験において山口株に対して100%の感染防御をした実験結果が報告されています。

    一方、対照区の無接種区域では100%が死亡しました。これを見ても、トリインフル・ワクチンが非常に有効な感染防疫方法であることは明白です。

    感染鶏の「発見が遅れる」ことを理由に上げていますが、高病原性トリインフルH5N1型は劇症を呈します。数日間で死亡鶏が激増し、それに気がつかないとしたら農家はとんだマヌケか、あるいは意図的な隠蔽を考えているかのどちらかです。

    また、接種に使われるワクチンは同じトリインフルでもN2型と呼ばれる弱毒タイプのものを使います。これはまったくと言っていいほど死亡鶏を出さないタイプの株です。

    それは当たり前で、家畜にワクチンを打ったら死んじゃったではシャレになりません。ですから、死亡鶏の急増、産卵の激減、食下量の激減、トサカのチアノーゼ現象など、感染鶏を区別する指標は沢山あるわけで、これを農家は見逃すだろうと言われれば、はいオラたちオメー様たち学者先生と違って愚民ですから、と答えるしかありません。

    このあたりを読むだけでムカムカしてきます。たぶんこの「見逃すだろう」という理由が最大のものなのでしょうが、動衛研あたりの防疫官僚たちの本心が漉けてみえて実に不愉快です。( ゚д゚)、ペッ

    ●2) 接種群は定期的にウイルス侵入の有無を検査する必要があり、侵入が確認された場合には接種群も淘汰となる。

    ■ 私のコメント・・・な~に言ってんだか、です。茨城県で500万羽超える殺処分対象が生じた2005年の時は、抗体検査で陽性が出たにもかかわらずウインドレス養鶏場のみを「安全性が高い」というわけのわからない理由で殺処分対象からはずし、おとり鳥を置くことで「監視下」にするという仰天の方針転換をしたのは農水省じゃないですか。

    陽性がでても殺処分を回避できるという前例があるのですよ。2005年の茨城トリインフルの疫学報告書を読んでから言って下さい。

    感染拡大が接近したら、接種区域におとり鳥を置けばいいだけです。平時には、家保が定期的に抗体検査すりゃいいだけでしょう。なにをご大層に言っているのか。

    「淘汰をせねばならない」って、あなた、それはワクチンを打っていないので感染が発生してしまったからです。そもそも、感染がでなければ摘発淘汰などする必要そのものがありません。ニワトリが先か、卵が先かをやってるんじゃないですよ。

    要するに、殺処分は家伝法第十六条と十七条に規定されているからという理由だけではないですか。

    法律がありきだというのなら、私はその法律自体が時代遅れで現状に合わないと主張しているのです。そして今私か打てと言っているのは、平時の農家使用ではなく、緊急ワクチンです。

    緊急ワクチンについては家伝法第31条に、「都道府県知事は、原則として同一の移動制限区域内の複数の農場で本病が続発し、発生農場の飼養家禽の迅速な淘汰が困難となり、又は困難になると判断される場合」に都道府県知事の命令で使用できるとあります。

    宮崎県の第1例、、第2例は同一の移動制限区域にありました。ここでどうしてワクチン接種に踏み切らなかったのか理解に苦しみます。たぶん「迅速な淘汰が困難」ではないと判断したのでしょう。結果、続々と飛び火していくことになり、殺処分に追われることになりました。

    あるいは感染伝播が渡り鳥だから、そもそも感染拡大をハナから防疫をあきらめているのでしょうか。まさかとは思いますが。

    養鶏協会も要望書で言っているように、発生を見たら、移動制限区域にワクチンを打つことがもっとも安全かつ安価な方法です。

    そしてかつて2005年に農水省が使った手段のように、ワクチン接種区域にはひと棟ごとにおとり鳥を置くことで監視下に入れ、定期的にモニタリングすることでてほんもの感染かどうかを判別すればいいのです。

    このように言うと必ず、「ワクチン接種すれば殺処分」とオウム返しの答えが返ってきますが、殺処分に要する膨大な費用、人員、経済ロスを考えれば、緊急ワクチンをして2005年茨城おとり鳥方式を取ることが安全、安価、確実な方法です。

    3) 清浄化までに長期間を有し、海外発生国からの生きた家きんおよび家きん肉の輸入禁止措置がとれなくなることにより養鶏業の国際的競争力が低下する可能性がある。

    ■私のコメント・・・そんな心配は防疫当局がすることではありませんが、いちおうコメントしておきましょう。。

    2003年の0IE総会でワクチン接種して清浄性が確認されれば6カ月間で清浄国ステータスに復帰できます。殺処分のみした場合は3カ月間ですから、わずか3カ月間の差でしかありません。

    また清浄国スナータスから転落しても、現実の輸入は2国間交渉で決せられるのであり、充分にブロックできる期間です。

    それに鶏肉や鶏卵は充分な国際価格競争力を持つ分野です。むしろ壊滅したことにより需給関係が狂って、緊急輸入しなければならない韓国のような事態のほうが問題です。

    4) ウイルスが長期残存し、ヒトに感染する新型ウイルスの出現につながるおそれがある。

    ■私のコメント・・・ヒト感染して新型ウイルスになる可能性が高まっているからこそ、ニワトリで納まっているうちに制圧しろと言っているのです。都市近郊に近づかないうちに制圧しないと大変なことになります。

     ●なお、農林水産省は、万一発生が拡大し、摘発淘汰だけでは防疫不能となった場合に備え、輸入ワクチンを備蓄しており、更に国産ワクチンの開発を進めています。
     万が一の場合の鳥インフルエンザワクチン使用は国の監視下で行うことになっており、それ以外での使用は違法行為となります。

    ■私のコメント・・・はい、私も備蓄していることはよ~く存じていますよ。国産もあることも知っていますよ。そして今が「万が一」の時です。

    緊急ワクチンはほんとうに大流行して手がつけられなくなってからするものではありません。決断の鈍さが大災害につながったのは、宮崎口蹄疫を学習すればわかるはずです。

    ■写真 原っぱが朝霜に輝いています。

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    もし離島で口蹄疫が発生したら 家伝法では対応不可能だ

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    「南の島の黒毛和牛繁殖農家」様から下のようなコメントとワクチン開発についての情報を提供いただきました。ありがとうございます。頂戴しました情報はどこかで役立てたいと思っております。

    さていただきましたコメントを読んで、私も沖縄で農業をしていた人間として思わずうなってしまいました。

    >水質汚染に関してです。
    私の地区では、サトウキビに適さない旧水田地帯で草を植えています。山の谷間の田んぼです。1mも掘れば水が湧いてきます。
    そんな所でしか、私の地区は営農していませんから、果たして万が一のときに埋める場所が確保できるのかなと危惧しています。
    また、南西諸島の喜界、沖永良部、与論、伊江、宮古、多良間等の隆起石灰岩の島々では、貴重な地下水が、埋却処分によって汚染されるでしょう。

    日本でも、私のように埋却処分に向かない所で牛を飼っている農家は沢山いるのではないでしょうか?

    ■私が秘かに恐れている事態は、トリインフル.においては、季節性インフルエンザが流行している都市部近郊で発生して交差感染を引き起こすこと、そして口蹄疫では離島で起きることです。

    私はもう20年も前になりますが、沖縄の名護(あの基地移転問題で揺れている街ですが)の山の中の廃村で牛と豚、サトウキビ、野菜などをしょぼしょぼと作っていました。その経験はブログで書いていますので、よろしかったらカテゴリーの「沖縄での暮らし」からお暇でしたらご覧ください。

    沖縄やその離島そして南西諸島の島々の多くは、隆起珊瑚礁でできています。このような島々では土地がそもそも狭い上に、水不足が恒常的です。

    一方、たとえば石垣島では県の特産品となるような石垣牛などを生産しており、県全体でも畜産は盛んです。私自身も、受精師さんがぶったまげるような痩せ牛を作っておりました。(^-^;お恥ずかしい

    もし、私が暮らしていたあのシマ(沖縄では村のこと)で口蹄疫が発生した場合はと考えると絶望的な気分に襲われます。そこは源河の水源地にあり、地誌を読むとかつて大きな湿地帯があったそうです。島米を作っていた跡も残っていました。

    ですから、豊かな水を求めて人が住み着いたわけですが、もしそこで口蹄疫が起きるとなると・・・「南の島」様がおっしゃるようにどうしようもありません。仮に殺処分はなんとかなったとしても、それを埋める場所がないのです。

    すぐに水が湧きだしてくるような場所か、あるいはすぐに岩盤につきあたるような所です。宮崎県児湯郡の場合もそうでしたが、すぐに地下水が湧きだしてくる場所に埋却することはできません。

    そのような場所で埋却を強行すれば、すぐに大量の水が湧きだし、穴も崩落してしまいます。

    その上、敷いた青シートが時間とともに劣化破損して、そこからアンモニア態窒素や硫化硫黄、リンなどが大量に水系に流入していくことでしょう。私が住んでいた村は大きな川の最上流でしたから、そのような場所で水系汚染をしてしまったら、同じ水系で生きる多くの人を巻き込んだ汚染に発展してしまうでしょう。

    もしどうしてもやるなら、何重にもシートを敷いた上に生コンを注入して、穴の底と側面を完全に固めてしまい、埋却後にまたコンクリートで覆うようなチェリノブイリ型石棺方式しか考えつきません。もっとも、生コン石棺方式も、乾燥するまでの数日を考えるとやはりダメか。

    農水省は移動レンダリング装置を考えているようですが、そのようなものが沖縄や南西諸島の離島に到着するのはいつのことでしょうか。自衛隊の大型ヘリで吊って運ぶしかないかもしれません。

    このような地域は沖縄や南西諸島、北海道、九州、瀬戸内海などに無数にあります。宮古島のように島全体がひとつの地下水系で結ばれている島さえあります。

    また、島は四面が海ですので、感染伝播がされにくい代わりに、いったん侵入を許すと蔓延します。人間の医者さえいない離島に獣医師はいない場合がほとんどなので、本島からヘリで来てもらっての診療となります。たぶん初動は極めて遅れるでしょう。

    その上、トリインフルなら家保の簡易検査キットで即時に検査が可能ですが、口蹄疫の場合は遺伝子検査による確定のためになんと東京小平の動衛研まで空輸せねばなりません。ほとんど日本列島を半分縦断する長距離です。自衛隊にでも頼むしかありません。

    島からなるわが国には、同様の条件を抱える地方が北から南まで無数にあり、またそのような場所では山間地を活かした畜産が盛んなのです。

    このように考えると、日本列島という地形で初動殺処分-埋却措置のみで対応するのは限りなく困難であることが分かります。

    現在の家伝法や防疫指針は理想的な環境で、理想的な初動が行われることを前提としてできています。しかし、現実にはそれが可能な条件をもつ地域こそが限定されていおり、困難な地域のほうが圧倒的なのです。

    口蹄疫とトリインフルを経て私たちは、今の日本の防疫体制と法制がもはや時代遅れであり、非現実的であることを認識しつつあります。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

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                 上図 産経新聞 2月17日より転載

    長崎県でハヤブサが陽性

    産経新聞 2011.2.13 22:49

     長崎県は13日、同県諫早市有喜町の路上で衰弱した野生のハヤブサ1羽が発見され、鳥インフルエンザの簡易検査で陽性反応が出たと発表した。県が14日に遺伝子検査をするほか、鳥取大が詳細検査を実施する。

     長崎県によると、ハヤブサは12日、路上にいるところを発見され、県に搬送された後、同日夕方に死んだ。県は13日、発見場所から半径10キロ圏にある16戸の養鶏農家に聞き取り調査するなどしたが、異常はなかったという。

    愛知・新城の防疫措置完了

    産経新聞2011.2.16 20:16

     14日確認された愛知県新城市の養鶏農場の高病原性鳥インフルエンザ感染で、県は16日、同農場の消毒作業を終え、鶏の殺処分や焼却を含む全ての防疫措置を完了した。新たにウイルスが検出されなければ3月上旬に制限区域が解除される。

     10キロ圏内の農場で飼育している鶏やウズラを目視で調べ、異常がないのを確認。さらに血液検査などを続ける。

     県は、農場を運営する業者の孵化(ふか)施設(同県豊川市)にある名古屋コーチンなどの有精卵約30万個の処分を検討。ふ化施設は制限区域外だが、発生農場が出荷した卵が含まれているという。

    野鳥1羽の感染確認 大分

    産経新聞2011.2.12 16:23

     大分県は12日、同県豊後大野市千歳町の県道沿いで衰弱していた野鳥のオシドリ1羽が見つかり、遺伝子検査をした結果、高病原性鳥インフルエンザ感染が確認されたと発表した。

     県は感染確認後、オシドリを安楽死処分にした。今後、鳥取大で検体を詳細検査し、強毒性かを調べる。発見場所から半径10キロ圏内にある養鶏農場9カ所に異常はないという。

    飼育のハクチョウ340羽を殺処分 山口県宇部市の公園で

    産経新聞2011.2.11 21:56

     山口県と同県宇部市は11日、コクチョウ1羽から高病原性鳥インフルエンザ感染が確認された同市の常盤公園で、飼育しているハクチョウなど約340羽の殺処分を終えた。県はコクチョウが見つかった湖の周辺を消毒し、防疫措置を完了したと発表した。

     県は11日、対策連絡会議を開き、同公園での監視を強化するなど対応を確認。半径10キロ以内の養鶏場などから異常は報告されていない。二井関成知事は殺処分について「放置しておけば被害が拡大するおそれがあり、やむを得ない措置だった」と話した。

     市は殺処分を決めた9日、約400羽を殺処分すると発表したが、飼育台帳と実数に差があったとしている。

    宮崎県延岡市の養鶏場で鳥インフル陽性

    宮崎県は16日、同県延岡市北浦町の養鶏場で鶏が死に、鳥インフルエンザの簡易検査で陽性反応が出たと発表した。

     県は遺伝子検査(PCR検査)で詳しく調べている。感染が確認されれば、今冬の養鶏場では、国内19例目となる。

     県によると、16日午後4時頃、肉用鶏約7500羽を飼育している同市北浦町

    三川内みかわうちの養鶏場から「鶏が死んでいる」と連絡があった。10羽を簡易検査したところ5羽が陽性となった。この養鶏場は1月28日に発生した同市北川町の養鶏場の東約18キロにある。

    (2011年2月16日19時26分  読売新聞)

    ■写真 わが村の簡易郵便局。ガタピシいうガラス戸を開けて切手を買いに行きます。

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    拡大を続けるトリインフル! 新型インフルに変異する前に制圧しろ!

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    本日のトリインフル感染拡大状況は下の資料5~6をご覧ください。

    と、事務的に書きたくなるような全国への飛び火です。遠からず関東にもやって来るでしょう。関東は福島まででていますから、東から奥久慈、西から箱根を超えられると、関東平野部でトリインフルが一気に広がっていきます。

    この段階に至るもワクチンの「ワ」の字も出てきません。ひょっとしたらワクチンを緊急接種しろと主張しているのは、このブログに来て頂いている皆さんだけなのかと気弱くなります。

    ネット界の関心も口蹄疫と違ってすこぶる低く、トリインフルを扱っているブログなど片手で足りてしまうほどです。この危機感のなさに支えられてか、民主党政府はこれといった手をうとうとしていません。

    しかして、世の中はあいもかわらず、補償金を全額にしろ、はい家伝法を改正していたします、というようなお話ばかりで、どうくい止めようかという議論はまったくありません。ネットを張りましょう、穴はないですね、消石灰撒きましょう、オンリーそれだけです。もう笑うしかない原始的防衛方法です。

    全額補償は届け出を早めるのに有効だと鹿野農相は言っているようですが、あんた、自民党時代から農水族だったわりには農家知らないね。

    殺処分は鶏代だけですよ。牛なんかと違ってすこぶる評価額は低いのです。現在では、たしか1羽800円でしたかね。だから、はした金なんか貰うより、隠匿したり、発生したニワトリを加工場に出したりする不祥事が絶えないのですよ。

    補償金と罰則強化しか頭にないのかね・・・ため息しか出ませんよ。

    もし仮に私の農場で発生したとすると、私のグループのGPセンター(選別パック場)はすぐそばにありますから、当然移動制限区域で操業停止です。すると、移動制限区域外の12名の仲間も事実上出荷不可能となります。もちろん補償はありません。

    そして現在の移動制限区域はだだっぴろい半径10㌔ですから、旧小川町の養鶏団地内の大規模養鶏場と付属GPセンターまでが軒並み操業停止となります。ここの養鶏場はひと棟が100万羽規模ですから、影響はたぶん数百万羽規模となるでしょう。なんとも壮絶なことよ。

    鹿野さんは関東までトリインフルを入れたいようです。関東にウイルスが侵入して、初めてワクチン接種を始めるつもりでしょう。遅すぎるというレベルではありません。もうお話にならない。赤松大臣並の危機管理能力だ。

    いいですか、関東にウイルスを入れたら、資料4に上げた今関東で流行っているヒトインフルと交差感染しますよ。関東はもう警戒レベルがレッドじゃないですか。

    首都圏に入ってしまったら、新型インフルに変異する可能性が田園部と違って飛躍的に増大します。トリインフルは何度も繰り返しているように、ニワトリという経済価値が低い家畜の病気でありながら、ヒトとウイルスを共有してしまう可能性を持つ恐ろしい伝染病なのです。

    前回のヒトインフルは毒性が低いタイプでした。しかし、ウイルスは感染が拡大するにつれて、変異を重ねて強毒性になることが指摘されているのです。甘くみないほうがいい。

    この乾燥しきった冬季に、消毒液が凍結してしまう真冬に、人口密集地域にトリインフルを入れることがどれほど恐ろしいことなのか考えてみるがいい。

    補償金がどうたらとか、ワクチン接種清浄国へ転落してしまうとか、ここでワクチンを認めたら口蹄疫はどうするのかとか、もうそう言ったくだらない政治的なごたくは止めましょう。

    トリインフルをここでくい止めないと、ほんとうにトヒ-ヒト感染を起こす新型インフルに変異してしまいます。ヒトインフルもH5N1、トリインフルもH5N1なのですから。

    もうすでに遅いが、直ちに緊急ワクチンを打て!養鶏協会は要望書にあったようにワクチン接種を強く陳情しろ!

              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    ■資料1 H5型鳥インフルと新型インフル“交雑”で危険ウイルス出現か

    鳥から人に感染しアジアなどで死者も出ている鳥インフルエンザのウイルス(H5N1)と、新型インフルエンザのウイルス(H1N1)は、交雑して高い増殖力を持つものができやすいとの研究結果を、東京大医科学研究所の河岡義裕教授らが、米専門誌電子版に5日発表した。

    記事本文の続き 新型ウイルスは豚や鳥、人由来のウイルスの遺伝子が混ざり合っており、豚の中で交雑したと考えられている。河岡教授は「H5N1が新型と交雑し、病原性が高く人に感染しやすいウイルスが出現する可能性がある」と話している。

     8本あるウイルス遺伝子のうち、増殖に重要なPB1など4本に注目。H5N1の4遺伝子が新型の遺伝子に置き換わった場合を想定し、16通りの交雑ウイルスを作った。細胞に感染させるといずれも増殖し、増殖力が強くなったものもあったことなどから、H5N1との遺伝子交雑が起きやすいと結論付けた。
    (産経新聞10年8月5日)

    ■資料2 新型インフルで200人目の死者

    厚生労働省は30日、新型インフルエンザに感染した国内の死者が200人に達したと発表した。昨年冬に感染し入院を続けていた幼児1人が6月下旬に死亡した。基礎疾患はなかった。新型インフルによる死者は昨年12月に100人を超え、今年1月に48人、2月に9人、3月に3人、4月はゼロだったが、5月に1人が亡くなった。
    (産経新聞 2010/06/30)

    ■資料3 中国、鳥インフルで死者

    中国衛生省は4日、湖北省鄂州市内の女性(22)が高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)ウイルスに感染し、3日未明に死亡したと発表した。

     女性は5月23日の発症前に、死んだ家禽類に接触したことがあったという。ただ、その後の当局による周辺地域の調査ではトリインフルエンザの発生は確認されなかった。
    (産経新聞6月5日)

    鳥インフルで8人目の死者 カンボジア

     カンボジア保健省は21日、同国南東部プレイベン州の男性(27)が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染して死亡したと発表した。同国での鳥インフルエンザによる死者は8人目で、2007年4月以来。

     同省によると、男性は今月13日に高熱を発症。呼吸困難など症状が悪化したため17日にプノンペンの病院に搬送されたが、同日死亡した。(共同)
    (産経新聞4月21日)

    ベトナムの保健当局は26日、南部ティエンザン省で38歳の女性が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染し、死亡したことを明らかにした。ベトナムでの鳥インフルによる死者は今年初めて。

     女性は入院先の病院で23日に死亡した。(共同)
    (産経新聞2月26日)

    北九州市で女性死亡 新型インフル

    北九州市は19日、新型インフルエンザに感染した女性(42)が、入院先の市内の病院で死亡したと発表した。死因は肺炎で、血液疾患の持病があった。

     市によると、女性は福岡県外在住で、昨年12月に持病の治療で入院。その後、新型インフルエンザと診断されタミフルを投与されたが、感染症による肺炎で呼吸不全となり、今月13日に死亡した。
    (産経新聞2010/02/19)

    ■資料4 インフルエンザ流行拡大、全国に刑法レベルに
    各都道府県がまとめているインフルエンザ定点当たり届出数(速報)によると、4週(1月24日~30日)は全国的に31.88人となり、警報レベルの目安とされる「30人」を超えた。(日経BP 2011年2月4日)

     各都道府県がまとめているインフルエンザ     国立感染症研究所

               インフルエンザ流行レベルマップ(11/2/10 更新)

    Photo
    厚生労働省・感染症サーベランス事業により、全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診した患者数が週ごとに把握されています。

    過去の患者発生状況をもとに設けられた基準値から、保健所ごとにその基準値を超えた場合に、注意報レベルや警報レベルを超えたことをお知らせする仕組みになっています(詳細は「警報・注意報システムとは」をご覧ください)。
    これらはあくまで流行状況の指標であり、都道府県として発令される「警報」とは異なります。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    ■資料5 三重の養鶏場の鶏、高病原性鳥インフル

    読売新聞 2月16日(水)2時51分配信

     三重県は16日未明、同県紀宝町の養鶏場で死んだ鶏から、高病原性鳥インフルエンザウイルス「H5亜型」を検出したと発表した。

     県は養鶏場から半径10キロ以内を鶏や卵の移動、出荷などを禁止する移動制限区域に指定。養鶏場で飼育されている約6万7000羽の肉用鶏を殺処分する。

    ■資料6 和歌山の鶏、高病原性ウイルスを検出 近畿で今冬初感染

    産経新聞2月15日

     和歌山県紀の川市の養鶏農場で15日、鳥インフルエンザに感染した疑いのある鶏が見つかり、県は遺伝子検査の結果、H5型の高病原性鳥インフルエンザウイルスを検出したと発表した。今冬の近畿での感染確認は初めて。

     県は感染拡大を防ぐため、周囲半径10キロ以内を移動制限区域に指定。区域内にある農家11戸の計約2万5140羽の移動や卵の販売などを禁止する。

     県によると15日朝、紀の川市内の養鶏農場の採卵鶏舎で鶏10羽が死んでいるのが見つかった。簡易検査で、死んでいる鶏のうち4羽と生きている鶏1羽が鳥インフルエンザの陽性反応となり、死んだ鶏と生きている鶏計10羽を遺伝子検査した結果、すべてに陽性反応が出た。

     この農場では幼鳥2万羽と成鳥10万羽を離れた区域で飼育している。感染が確認された鶏舎は、成鳥を飼っている14棟が並ぶ区域の1棟。県では、農場の鶏すべての殺処分と周辺農場の立ち入り検査などを始める。
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    ■資料7 殺処分全額補償を トリインフルで民主党対策本部

     高病原性鳥インフルエンザの感染拡大を受け、民主党は8日、鳥インフルエンザ対策本部(本部長・岡田克也幹事長)の会議を参院議員会館で開き、疑似患畜の殺処分に対する手当金(補償金)を現行の「(評価額の)5分の4」から全額に引き上げることなどを求める政府への提言案を承認した。また、本県での拡大要因に関し、防疫上の不備があらためて指摘された。

    国会議員ら約100人が出席。各省庁の担当者が対応を報告した後、質疑応答では本県だけで拡大が続く要因を問われ、農林水産省担当者は「疫学調査チームの報告では、農場のネットに穴や隙間があったり鶏舎にネズミが入ったりしていた他、地表を通った水をそのまま鶏に与えるなど、防疫上の問題が指摘されている」と説明。

    (宮崎日々新聞2011年02月09日)

    ■資料8 豊橋・鳥インフル、14万羽殺処分終了 農家「補償、一日も早く」

     愛知県豊橋市の養鶏場で鳥インフルエンザウイルスが確認された問題で、県は31日午前10時半、感染養鶏場ですべての鶏の殺処分を終えた。2月1日にも卵の出荷が再開される。感染拡大防止の見通しがたってきたことで今後は農家への被害補償など養鶏業の復興支援が課題になる。

    県によると、処分数は14万2191羽にのぼった。処分が終わったことで、発生農場から半径10キロ圏内の移動制限区域の養鶏場も、特例解除申請をして2月1日にも卵の出荷が再開される見通し。制限区域内の卵農家は25戸。埋却地に選定した同市飯村(いむれ)町の県東三河農業研究所では31日午後から、10トントラックで殺処分した鶏を詰めた袋などを搬入。2月3日夜に完了する予定だ。

     家畜伝染病予防法では、ウイルスに感染した疑いがある鶏は1羽につき評価額(上限800円)の8割分、感染した鶏は3割分を国が補償。移動制限による出荷停止などで農家が被った損害なども補償する。

     豊橋市では2年前もウズラが鳥インフルに感染し160万羽を殺処分、7億6000万円が補償された。ただ、豊橋市養鶏農協は「前回は補償に半年以上の日数を要した」と指摘。迅速な補償を要望している。

     2年前に15万羽を処分したウズラ農家は「補償がなかったら、とても立ち直れなかった」と振り返る。この農家は今回は移動制限区域で出荷停止となっており、「今回は一日も早く補償してほしい」と切実に訴える。

     豊橋養鶉(ようじゅん)農協も「2年前、農場は移動制限区域外だったものの、集出荷場が制限内で使えなかった農家への補償はなかった」と訴える。卵は集出荷場の施設で洗浄しないと市場に出すことができない。制限区域内の養鶏農家と同様、損害を受けるのだが補償されない矛盾がある。

     2月6日投開票の知事選候補者はそれぞれ「農家支援策に力を入れる」と訴えており、早期補償や周辺農家の支援策も期待される。
    (中日新聞11年1月31日)

    ■ 写真 蝋梅です。ほんとうに美しくもかぐわしい梅です。この梅でも見て、気を紛らわせましょう。

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    愛知県で再びトリインフル発生! 大規模養鶏場や養鶏団地の見直しが必要だ

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    愛知県で再びトリインフルが発生しました。これで愛知県内では2例目、全国で16例目となります。

    前回の発生で約15万羽が殺処分され、次いで今回の1万6千羽です。前回は養鶏団地という地域畜産の中心部であり、今回は名古屋コーチンという愛知県が誇る特産物でした。

    また平成21年5月のトリインフル発生時には、これも特産のウズラが大打撃を受けました。宮崎といい、鹿児島といい、軒並みに県の特産品を狙い打つかのような感染拡大です。

    なんどとなく書いてきていますが、トリインフルは口蹄疫とは違い渡り鳥と野鳥によって伝播します。野鳥にウイルスが常在しているのです。今年は日本海側に雪が多かったために、温かい宮崎県側にまで移動したと思われています。

    このような渡り鳥の飛来パターンは、シベリアから樺太経由で北海道にいったん来て、以後本州各地に移動すること言われていますが、いまだその正確な実態は解明されていません。

    そして、養鶏協会の要望書にあった「平飼養鶏は発生リスクが高いので看視対照にしろ」というのはとんだ戯れ言だとわかりました。現実には真逆で、ケージや大規模ウインドレスでのみ発生が続いており、特に愛知県ではウインドレスという最新型密閉養鶏工場ですら発生をみています。

    これを見ると、もはや一般的な消毒や防鳥ネットだけでは防ぐことは難しいのではないかと思わざるを得ません。

    もっと厳格に外界と遮断しろという声も畜産界内部では聞こえますが、現実に陰圧をかけて二重の扉で遮断されたウインドレス鶏舎以上のなにが可能なのでしょうか。これ以上の遮断、密閉は不可能です。隔離・遮断が行き着くところまで行っているのが、養鶏の実態なのです。

    今後は、養鶏場のリスクの一点集中である養鶏団地の分散、あるいは経済効率化のみを考えた一棟100万羽単位の大規模農場の規制、大規模系列農場の獣医の定数の法制化などが必要となるのではないでしょうか。

    これ以上の隔離・遮断・集中ではなく、分散のベクトルが見直されるべきです。

              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    愛知 鳥インフルウイルス検出

    高級地鶏の「名古屋コーチン」などを飼育する愛知県新城市の養鶏場で、鳥インフルエンザの疑いがあるニワトリが見つかった問題で、詳しい検査の結果、「H5」型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。

    愛知県新城市の養鶏場では、14日朝、20羽のニワトリが死んでいるのが見つかり、簡易検査で5羽のうち4羽から鳥インフルエンザに感染した疑いがあることを示す反応が出ました。

    愛知県が県の中央家畜保健衛生所で詳しい遺伝子検査を行った結果、「H5」型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。これを受けて、愛知県は、一緒に飼育されている繁殖用の「名古屋コーチン」を含むおよそ1万6000羽すべてのニワトリの処分を始めるとともに、この養鶏場から半径10キロ以内で飼育されているニワトリや卵の移動を禁止することにしています。
    (NHKニュース2月14日)

    愛知 ニワトリの処分進める

    NHKニュース2月15日 

    高級地鶏の「名古屋コーチン」などを飼育する愛知県新城市の養鶏場で鳥インフルエンザの感染が確認された問題で、愛知県は、14日夜から、この養鶏場で飼育されているおよそ1万7500羽のニワトリの処分を進めています。

    愛知県新城市の養鶏場では14日、20羽のニワトリが死んでいるのが見つかり、詳しい検査で鳥インフルエンザのウイルスが検出されました。愛知県は、感染の拡大を防ぐため、14日夜、この養鶏場で飼育されているおよそ1万7500羽のニワトリをすべて処分する作業を始めました。

    県などによりますと、処分の対象には、高級地鶏「名古屋コーチン」の繁殖用の親鳥、およそ3500羽が含まれているということです。作業は徹夜で進められ、15日にも終わる見通しで、処分されたニワトリはウイルスが広がらないよう密閉された容器に入れたうえで焼却されるということです。

    愛知県と、隣接する静岡県は、この養鶏場から半径10キロ以内でニワトリや卵の移動を禁止していて、15日から周辺の7か所に、関係施設などに出入りする車の消毒場所を設けるとともに、周辺の養鶏場などに感染が広がっていないか検査を始めることにしています。

    ■写真 蘭です。美しいとは思うのですが、趣味ではありません。たまにはいいかな。

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    カロリー自給率が国策なら、俺ら畜産農家は国賊だ!さぁしょっぴけ! 速報 愛知県でトリインフル発生!

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    国内食料自給率、しかもカロリーベース自給率なるものは、世界でこんな指標を使っている国は一国もないというケッタイな数字です。

    おっと、その前にわが国しか使っていないということ自体知らない国民が多いんじゃないでしょうか。 いちおうお隣の韓国だけは計算だけはしているようですが、まったく農政の指標には使っていません。

    ではよく農水省が発表する主要各国の数値はどうしたんでしょうね。なんのことはない、あれは農水省がFAOの数値をこね繰り回して作り出したメイド・イン・カスミガセキの数字なのです。世界のどの国も自給率など計算したこともないから公表しようがないのです。

    つまり、まったく意味のない数字が一人歩きしている不思議の国ニッポンというわけです。

    今、こね繰り回してと言いましたが、農水省はこの世界一国でしか通用しないカロリー自給率の算定方式をいまだ公表していません。 ですから民間が独自に試算しようとしても出来ないということになります。

    北朝鮮もビックリの秘密主義ですが、農水省はわれら愚民に結論の「円周率より自給率」(←バカなコピーですなぁ)と刷り込めればいいだけのようです。

    このカロリー自給率では、笑えることには、日本の生産額上位の農産品がオミットされています。野菜、果物、畜産品などです。この3ツの分野だけで、日本農業の生産額の実に7割まで占めているというのにです。トップ3を外してどうする!

    そしてこの主力3分野の自給率貢献度は、わずか5%未満とされています。なぜかって?それは単にカロリーが低いからだけですよo (*^▽^*)

    野菜,果物はカロリーが低いためにサトウキビより自給率が低く判定されています。サトウキビの糖度が低くなると自給率に影響がでるほどです。

    私は沖縄時代にはサトウキビも作っていましたが、サトウキビはトン当たり2万円ていどの作物です。そして国から出る補助金はそのなんと8割の1万6千円。まぁ麦もびっくりの竹馬を履かせて作らしているのです。

    サトウキビの補助金には沖縄の離島振興の役割もあるので、麦とは同列には出来ませんが、いくらなんでもサトウキビのほうが、野菜、果樹、畜産より自給率に貢献しているってのはないでしょう。

    なんのことはない野菜、果樹はカロリーが低いからですって。一把1000カロリーの自給率向上ホウレンソウでもつくればいいんですかね。そんなもん売れないけど。

    とりわけ私の家業の鶏卵などそれはひどい扱い。国産飼料が10%だからというので、ハイあんたの自給率貢献度は10%ね、とされています。もちろん国産鶏卵のシェアは96%なのにです。もちろん無関税です。念のため。

    畜産品は軒並みその調子で、畜産のトータルの自給率貢献度はわずか17%です。

    これがいかに現実離れした数字かは、畜産品のシェアを見れば分かるでしょう。牛乳の100%を筆頭にして、鶏卵96%、鶏肉70%、牛肉60%、豚肉55%となります。

    要するに、農水省にとってわれわれ畜産農家はいてもいなくてもいいということになりますな。日本全国にサトウキビを植えれば自給率向上運動となることでしょう。

    ある養豚農家がこういう啖呵を農水省のお役人に吐いたそうです。
    「あんたらの言う自給率向上ってのが国策だって言うなら、おれらは国賊だ。さぁ国策捜査をして全員検挙してブタ箱に入れてみやがれぇ!」。

    おーよくぞ言ったぞ。パチパチ。こんど飼料米なんてくだらないことを行政が言ってきたら、そう言ってやろうっと。白ゴム長族をバカにすんなよ!ああいかん、ヒートアップしてしまった。

    このカロリー自給率というのは、いかに低くみせようかと涙ぐましいような努力を重ねた数字です。今言った、国産農産物の主力3分野をスパッと切り捨てた上に、それでも飽き足らず産業廃棄物まで分母に繰り入れています。

    産廃として出た事業ゴミである廃油、レストラン廃棄物、コンビニの廃棄した弁当、そしてどうやって計算したのか分かりませんが家庭から出る食品ゴミまで、しっかり分母に繰り入れています。

    いや自分の国の農業という基幹産業を、いかに低く見せるかで日夜奮闘する官僚集団というのは不気味でさえありますな。

    そもそも食料自給率とか食料安保という概念そのものが、どのようにして生まれたかといえば、発展途上国の食糧危機から来る栄養状態を改善するためのに、FAOが作った人道上の概念でした。

    わが国のような飽食とさえいえる国が使うような概念ではないのです。ですから世界主要国はそんな自給率などという概念自体を相手にしていないのです。もし意味があるとすれば、それは内戦で国内の生産と流通のインフラが崩壊した途上国でしょうね。

    もっとも、そのような崩壊国家では逆に自給率が異常に高く出てしまいますが。外貨がなくて難民救援食糧しか外国から来ないからです。

    かつて鹿野農相が(自民党でも農相をしていたという珍しい人ですが、その自民党時代)、米自由化阻止のためにある国際会議で、この得意の食糧安全保障論を述べ立てたそうです。

    それを聞いていた諸外国代表は、初め失笑、バカバカしくて聞いていられないとばかりに続々と退席してしまったそうです。そりゃあそうでしょうとも。世界に冠たる飽食の国、ダイエット産業と脂肪吸引術が繁栄するわがニッポンが、発展途上国が使う食糧安保論を使えば、モラル・ハザードよばわりされて当然です。

    飼料米の話を聞いたバングラデシュの農民団体会長が、「ニッポンはなんという罰当たりな国」だと呆れたという話も伝わってきます。飼料は人間の食と競合しない餌でするのがモラルというものです。

    税金をたんまりと投入して作った飼料米を家畜にやって上げたような食料自給率になんの意味があるのでしょうか。

    ■写真 霞ヶ浦の夕陽に泳ぐカモの一家。お願い、トリインフルもってこないで、と無粋なことを考えてしまのが哀しい。

    ■速報 

    愛知県新城市の養鶏場で鳥インフルの疑い

    読売新聞 2月14日(月)13時18分配信

     高病原性鳥インフルエンザ問題で、農林水産省は14日、愛知県新城市の養鶏場で感染している疑いがあると発表した。

     簡易検査で陽性反応を示した。感染が確認されると、養鶏場ではこの冬、全国16例目となる。

     同省によると、同日朝、「鶏が前日の2倍以上死んでいる」と養鶏場から同県に通報があり、簡易検査したところ5羽のうち4羽が陽性だった。遺伝子検査の結果は同日夜に判明する見通し。感染が確認されると、この養鶏場で飼う約1万6000羽を殺処分する。同県内では1月末に豊橋市で見つかって以来、2例目となる。

    最終更新:2月14日(月)13時18分

    ■名古屋コーチンの死骸も=愛知の農場で新たに感染疑い―鳥インフル

    時事通信 2月14日(月)12時58分配信

     農林水産省と愛知県は14日、同県新城市の養鶏場の鶏が鳥インフルエンザウイルスの簡易検査で陽性反応を示したと発表した。遺伝子検査で陽性が確認されれば、今冬の養鶏場での発生は全国16例目、同県内では2例目となる。
     この養鶏場は約1万6000羽を飼育している。14日に死んだ鶏が20羽見つかり、この中には、全国の地鶏の中でも有名な名古屋コーチンも含まれているというが、陽性かどうかは不明。 


    ■農水省プレスリリース

    愛知県における高病原性鳥インフルエンザの疑い事例について

    • 2月14日、死亡羽数の増加が確認された新城市の養鶏場において、A型インフルエンザの簡易検査陽性となった旨連絡がありました。
    • 現在、遺伝子検査を実施しており、陽性が確認された場合には、1月26日の高病原性鳥インフルエンザ防疫対策本部で決定した対応方針に基づき、防疫措置を開始します。
    • 1.農場の概要

      農場所在:新城(しんしろ)市 日吉

      飼養状況:肉用・採卵用種鶏 約16,000羽

      2.経緯

      (1)14日、愛知県から、新城市の養鶏場より前日の2倍以上の死亡鶏が確認されたとの通報を受け、A型インフルエンザの簡易検査を行ったところ、陽性が確認された旨連絡がありました。

      (2)現在、遺伝子検査を実施しており、陽性が確認されれば、疑似患畜と判定し、速やかに防疫措置を開始します。

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    韓国埋却地の汚染問題の真偽

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    まぁ、福島がシロ判定だったそうで、ああよかった・・・!処分のために農場周辺に待機していた家保の獣医師や県職員が笑顔をみせていました。ほんとうによかった。

    ■石川の口蹄疫疑い牛は「陰性」…農水省発表

    読売新聞 2月12日(土)16時0分配信

     石川県志賀町の放牧場で家畜の伝染病「口蹄疫」に感染した疑いのある牛が見つかり、農林水産省は12日、遺伝子検査の結果、口蹄疫ウイルスは検出されず、陰性だったと発表した。

     牛243頭を飼育する放牧場で11日、15頭の舌に水疱のような突起が見つかった。国の動物衛生研究所の施設(東京都小平市)で、症状の出た4頭の検体を詳しく調べたところ、すべて陰性だった。
    (読売新聞 :2月12日)

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    さて、いただきましたコメントにハンギョレ新聞からの情報がありました。内容は、殺処分された豚が地上で放置されている光景の写真と記事です。

    韓国政府は、コンタンさんよれば埋設忘却地とは関係がないとの反論をしているそうです。ハンギョレ新聞は現政権に批判的なスタンスの新聞ですが、他の一般紙も大規模殺処分に伴う環境破壊について掲載しています。

    下段の資料の朝鮮日報記事をご覧ください。

    朝鮮日報は2日にわたって特集記事を掲載しています。23カ所の埋却地での水質調査を行った韓国環境部(環境省)の発表によれば、23カ所中8カ所、35%の地点で埋却地から汚水が侵出し、地下水系や土壌を汚染していまることがわかったそうです。

    環境部と別途に水質検査をしている各自治体調査によれば、30%から60%の地域で水質基準値を上回る水質汚染が見つかったそうです。

    保健環境研究所が行った江華郡の水質調査では、埋却地51カ所周辺の地下水から、31カ所の基準値を上回る硝酸態チッソ、大腸菌などが見つかったそうです。

    同様の水質検査は各地で行われて似た結果が出始めています。

    一方、これを直ちに殺処分と結びつけるかどうかに関しては懐疑的な見解もあります。

    慶尚南道のイ・グンソン清浄環境局長は「殺処分した家畜が腐敗する際、真っ先に出るのがアンモニア性窒素。検査結果から推測すると、埋却された家畜による影響はまだ出ていないようだ」と話しています。

    今回検査された地点はいずれも元々畜産業が盛んな地域であり、その糞尿などの影響ではないかというわけです。

    確かに硝酸態チッソが増える原因の多くは過剰施肥や不適切な糞尿処理が原因です。肥料中のチッソが過剰な場合、作物は早く生育しますが、過剰なチッソは野菜に吸収しきれずに地下水系に流出します。チッソはリンなどと違って、水に溶けやすい性格があるためです。

    そのために農業灌水や雨水などで溶け出た過剰なチッソは地下水系に出て、硝酸態チッソの形になって汚染原因のひとつになります。ただ、いきなり硝酸態チッソになるわけではなく、アンモニア態チッソが硝酸菌により変化して出来ます。

    アンモニア態から硝酸態になるには多少の時間がかかりますので、埋却してからどのていどたった地点での測定なのか、また、埋却以前の水質や土壌の硝酸態チッソのデータがあるのかを調べないと、埋却との因果関係は分からないことになります。

    このように考えると、調査地点の埋却以前のデータがわからない段階で結論づけるのは難しいと思われます。

    ただし、漢江上流地域のように明らかに埋却地の崩壊が見られる地点が99カ所も見つかったという例もあり、それが首都圏の水源地であることから韓国政府は埋却地付近に防御壁をつくるなどの補強作業に入ったような例もあります。

    後から防御壁を作らねばならないような処分をしたことも事実なようで、300万頭を超える大量殺処分はさまざまなひずみを生み出していることは確かなようです。

                ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    ■口蹄疫:地下水を飲料水使用の江華郡、61%が汚染

    家畜埋却地から半径300mの地下水を検査

    昨年11月に慶尚北道安東市から始まった今回の口蹄(こうてい)疫問題で、殺処分された家畜の埋却地が4200カ所を超えた。

    これに伴い、隣近住民が使用する地下水の安全性に対する懸念が高まっている。環境部(省に相当)が2004年から昨年5月までに発生した口蹄疫・鳥インフルエンザの殺処分家畜埋却地23カ所を対象に、環境汚染の有無を調査したところ、8カ所(35%)で浸出水が流出、地下水・土壌汚染が発生していることが明らかになった。このため、政府と与党は10日、埋却地の全数調査を含む対策の検討に乗り出した。

     各地方自治体は現在、埋却地から半径300メートル以内の地下水を対象に水質検査を実施している。一部の地方自治体では第1次調査を終えたが、調査対象となった地下水の30-60%が水質環境基準値を上回っていることが分かった。

    こうした地下水の汚染が、今回の口蹄疫で殺処分された家畜の埋却地から流れ出た浸出水によるものかどうかはまだ確認されていない。しかし、環境部は各地方自治体の調査結果をまとめ、浸出水の影響を受けたとみられる地下水については調査を実施する方針だ。

     仁川市ではこのほど、当該の保健環境研究所が江華郡にある埋却地51カ所周辺の地下水に対する水質検査を行ったところ、31カ所から基準値を上回る大腸菌・硝酸態窒素などが検出された。江華郡ではまだ上水道が普及しておらず、住民たちは地下水や谷の水などをろ過して使用している。今回の調査では、汚染の割合が61%と判明した。

     これについて江華郡では「今回の調査は使用した試料が間違っていたり、試料を採取する過程で汚染されたもの」と説明している。

    慶尚北道でも埋却地周辺の地下水44カ所を対象に水質汚染の実態を調査したところ、15カ所(34%)で硝酸態窒素など有害物質が基準値を超えていることが分かった。調査試料は昨年12月初めから最近まで、安東・永川・義城・醴泉・漆谷の5地域44カ所にある埋却地周辺の地下水から採取された。

     昨年12月、4カ所に牛・豚など983頭の死がいを埋却した安東市内の地下水からは、硝酸態窒素が42.8ppm(ピーピーエム、100万分の1を表す単位)検出され、飲料水の許容基準(10ppm)の4倍を超えた。

    硝酸態窒素の許容基準値を上回る水を飲んだ場合、呼吸が荒くなるなどの症状を引き起こす可能性がある。慶尚北道の関係者は「硝酸態窒素などが基準を超えることは、ふん尿・堆肥(たいひ)などが多い農村地域の畜産農家ではよくある」と説明している。なお、大邱市北区の埋却地2カ所に近い地下水は安全であることが調査の結果、確認された。

     慶尚南道は、金海市酒村面や梁山市上北面など道内の22埋却地(約3万9000頭を埋却)について、周辺300メートル以内の地下水131カ所中76カ所を対象に第1次水質検査を実施した。

    その結果、飲料水用地下水1カ所、飲料水用ではない地下水3カ所の計4カ所から大腸菌が検出された。飲料水用地下水については再検査を実施し、再び大腸菌が検出された場合には閉鎖する方針だ。

    慶尚南道のイ・グンソン清浄環境局長は「殺処分した家畜が腐敗する際、真っ先に出るのがアンモニア性窒素。検査結果から推測すると、埋却された家畜による影響はまだ出ていないようだ」と話している。江原道・忠清道などでは、水質調査の結果がまだ出ていない。

     環境部は同日、首都圏の住民2000万人の飲料水用水源となっている八堂ダム上流地域を含め、京畿道・江原道・忠清北道地域に現場調査班を派遣し、埋却地による水源汚染調査を開始した。

    この3地方自治体は環境部に対し先日、「京畿道楊平・南楊州など埋却地99カ所が崩壊、あるいは浸出水が流出し飲料水用の水源が汚染されている可能性があるため、詳しく調査してほしい」と要請していた。
    (朝鮮日報 2011年2月11日)

    ■口蹄疫:政府と与党、家畜埋却地の緊急調査実施へ

     政府とハンナラ党が、口蹄(こうてい)疫に感染した家畜の埋却地から流出する浸出水と関連し、全国42カ所の埋却地の環境汚染と安全性について緊急調査を実施することを決めた。

    政府は10日、首都圏2000万の住民の水源である漢江上流地域にある99カ所の埋却地が春の解氷期に崩壊し、浸出水による水質汚染が起こる可能性があると判断し現場調査を行った。14日までに専門家の検討を経て、漢江上流地域の埋却地周辺に防護壁や遮水壁を設置するなど、補強工事を行う予定だ。

     政府とハンナラ党は同日、国会内の食堂で口蹄疫対策会議を開き、埋却地汚染対策を策定した。会議には、金武星(キム・ムソン)院内代表や孟亨奎(メン・ヒョンギュ)行政安全部(省に相当)長官、劉正福(ユ・ジョンボク)農林水産食品部長官、李万儀(イ・マンイ)環境部長官、鄭雲天(チョン・ウンチョン)最高委員、李君賢(イ・グンヒョン)院内首席代表らが出席した。なお調査は、環境部と行政安全部主導で来月4日まで行われる。

     さらに政府とハンナラ党は、軍のNBC(核・生物・化学)部隊に「機動防疫団」を設置、口蹄疫や鳥インフルエンザが発生した場合、迅速に投入する策も検討する。全国の自治体が埋却地の300メートル以内の地下水に対する水質検査を行ったところ、仁川市で51カ所中31カ所、慶尚北道で44カ所中15カ所が水質基準を満たしていなかったという。
    (朝鮮日報 2011/02/11 )

    ■写真 画面真正面に見える山が有名な茨城県のシンボルの筑波山です。ツインピークスですよ。筑波山山頂から日の出の方向を見ると鹿島神宮がばっちりあるそうで、パワーボイントなんですと。

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    ワクチン戦略を明確にしろ! 韓国 口蹄疫禍で豚肉を緊急輸入 無関税枠設置

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    私が口蹄疫や今回のトリインフル事件で感じるのは、「理由が明かされていない」というもどかしさです。なぜ、今このような防疫手段を取るのか、あるいは逆に取らないのかの「理由」が明確に当局から説明されたことがない気がします。

    たとえば、口蹄疫においては2003年のOIEの規約改正がありながら、なぜ清浄国ステータスへの3カ月復帰にこだわったのか、6カ月復帰ではまずかったのか、なぜワクチン接種して全殺処分にせねばならなかったのかの理由は、私たちが関係者の話を総合して憶測するしかありませんでした。

    宮崎県口蹄疫事件においては、感染初期にの制圧に失敗しています。確かにこの極初期においては殺処分・埋却は有効な手段でした。しかし、それが破綻をしたのならば、一気に感染は防疫網をすり抜けて拡大していきます。これが5月18日の県緊急事態宣言時の状況でした。

    ここでかろうじて発生拡大が減速したのは、ひとえにワクチン接種による効果です。5月22日から行われたワクチン接種がなければ九州全域に、いや全国に飛び火していたかもしれません。

    しかし、これについて事前の当局のアナウンスはなんと言っていたのでしょうか。「備蓄ワクチンが今流行しているウイルスに効果があるかどうかはわからないから、過度な期待をするな」と言っていました。ならば、なぜ70万ドースもO型ワクチンを国家備蓄していたのでしょうか。

    このうよな消極的な及び腰から一気にワクチン接種と口蹄疫特措法へと突き進んだのは、養豚協会と山田前大臣のいわば個人的なイニシャチブによります。

    しかしこれでも遅すぎました。本来ワクチンを使用するならば、豚の感染が確認された第10例発生時にすべきでした。この時点で、移動制限区域の周辺から感染地帯に向けてワクチン接種をするべきだったのです。

    これが通常のリングワクチンの手法です。感染地帯では徹底した発生動向調査でPCR検査を行い、プラスが出ればその畜房から殺処分しつつ、一方周辺部からワクチン接種して抗体値を高めて守っていくという二段仕立てで臨むべきでした。

    ところが、現実には県との交渉でほぼ一カ月(!)をロストし、ワクチン接種と殺処分を併用したことにより、 どちらが効いたのか皆目わからないという始末になってしまいました。

    これは国がワクチンによる感染コントロールの原則を持っていなかったためです。戦略なきその場しのぎ的なワクチンの投与が、結果として感染拡大を止めたのです。

    当然のことながら、ワクチンは本来このように使用されるべきものではありません。ワクチンは確立された一定のワクネーション・プログラムに基づいて飼育期間中から予防的に行われるべきもので、例外的な緊急的使用に際しては、発生当初の初動破綻直後に始められるべき性格のものなのです。

    今回の宮崎県でとにもかくにも局部的な地域で封じ込められたのは、ぎりぎりの切所にワクチンが間に合ったこと、そして殺処分により無家畜地帯がリング状に出来てしまったからです。

    この教訓をなぜ、トリインフルで活かせないのでしょうか。なぜ、ワクチン戦略を明確に立てられないのでしょうか。

    今回のトリインフルでも旧態依然たる殺処分一本槍路線が踏襲されています。宮崎第1例で初動殺処分が破綻し、第2例に飛び火してもなお殺処分にのみ拘泥しています。

    私は殺処分は初動時のみに有効でしかない限定的戦術だと理解しています。いったんこの初期制圧に失敗してしまえば、殺処分に使用する膨大な数の車両、要員、重機の移動による二次的なウイルス拡散の危険が生じます。

    また埋却地が前回の宮崎県でも、今回の愛知県も決定的に不足してしまい、そのための殺処分の遅延と大量の待機患畜を作り出してしまっています。

    そして、宮崎口蹄疫事件ではワクチン接種後の全殺処分により実に7万7千頭の家畜が処分されました。内訳は、牛が約3万頭、豚が約4万5千頭です。あくまでも私の試算ですが、牛18億円、豚19億2千万円、計37億2千万円にものぼる経済損失でした。

    そして口蹄疫による宮崎県全体の被害額は2350億円、畜産関連で約1400億円に登ると見られています。(下段の読売新聞記事を参照)

    宮崎県はワクチンが、首の皮一枚で間に合ったからこの程度で済んだのです。しかし、全殺処分を回避していれば、清浄国申請が3カ月間遅れただけであり、そのことによる経済損失は、果たしてワクチン接種・殺処分による被害額約37億円(推定)を上回ったたのでしょうか。

    防疫はあくまで畜産という経済部門を守るためのものであり、そのバランスシートも考えないような防疫方針は自己矛盾でしかありません。

    下段の資料に韓国が殺処分にこだわったあげく、国内畜産を壊滅状態にしてしまい、豚の需要高騰のために関税率を引き下げて緊急輸入をしたことが報じられています。

    日本農業新聞(2月12日)によれば、韓国は2月から冷凍豚肉6万tを無関税枠として6月まで継続するようです。これは韓国の豚肉の内需が高騰した結果ですが、養豚農家は口蹄疫で壊滅的な打撃を受けただけでなく、出荷価格が抑えられ、今回の無関税枠設定でもはや立ち直るチャンスを失いつつあります。

    もし、宮崎口蹄疫が拡大して全国化していればこのような韓国と同様の事態になったことでしょう。日本も他山の石とすべきです。

    まして、清浄国ステータスを牛や豚と違って関税外障壁として利用する必要のない養鶏においておやです。ワクチンをためらう理由などなにひとつないはずです。もしあるとすればそれは、頑迷固陋な農水の獣医官僚と防疫学界の壁だけです。

    ワクチン戦略を明確に持ち、それに基づいた防疫体制を再構築する時期に突入していることを私たちは強く自覚すべきです。

    養鶏協会は補償金のみにかかずり合わずに、養豚協会のようにもっと広い目で養鶏のトリインフル防疫対策を国に提案すべきです。             

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    ■口蹄疫経済損失2350億円、宮崎県が試算

    宮崎県は10日、口蹄疫による県内の経済的な損失が約2350億円に上るとする試算を発表した。県が損失額を公表するのは初めて。国に復興支援を要望する際の根拠とする。

     口蹄疫は4月20日~7月4日、川南町など県東部を中心に発生。感染(疑い含む)、ワクチン接種した牛や豚などの家畜28万8643頭を殺処分した。

     畜産関連は、約1400億円と試算した。口蹄疫発生から回復までに5年間かかると見込み、その間に殺処分した家畜など出荷できない牛や豚の損失分を計825億円と算出。さらに、家畜に飼料や飼育器材を提供する業者らの損失を5年間で478億円、最長4か月間工場が稼働停止した食肉加工業の損失を89億円とした。

     一方、イベントの中止や観光客の減少に伴う卸・小売業や飲食業、宿泊業などの損失については、発生から非常事態宣言解除までの約3か月間で、計950億円になるとした。

    (2010年8月11日  読売新聞)

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    ■口蹄疫発生で豚肉の関税を引き下げ 韓国

    (韓国韓国企画財政部は2011年1月25日付けプレスリリースにおいて冷凍豚肉6万トンの関税を25%から0%に引き下げると発表した。これは口蹄疫の発生による国内豚肉価格の上昇に対応するための措置であり、2011年2月1日~6月30日まで時限的に適用されるが、状況によっては延長される可能性がある。

     米国農務省(USDA)のGAINレポートによると、6万トンのうち、5万トンはソーセージなどの加工原料用冷凍豚肉(HS0203.29.1000)、残りの1万トンは小売用冷凍バラ肉(0203.29.9000)となっている。
     USDAはこのうちかなりの数量が米国からの輸入で占められると予想している。

     韓国企画財政部はこの措置によって、輸入される豚肉について関税相当部分安く販売されるだけでなく、輸入数量が増加することによって、豚肉および同加工品の価格抑制につながることを期待している。
     輸入される加工原料用冷凍豚肉は、国内食肉加工業者の8割が加盟する韓国食肉産業協会(KMIA)が、会員・非会員を問わず配分を行う。配分は国産豚肉使用状況、豚肉使用実績(2010年)、年間製造計画などを基準として行われる。
     一方、輸入される小売用バラ肉は、韓国食肉貿易協会(KMTA)が各小売企業の豚肉販売実績や、小売予定価格などを勘案して配分する。
    (畜産産業振興機構 2月9日)

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    北朝鮮、全国に口蹄疫非常防疫宣言

    北朝鮮が口蹄疫の拡散を受け、全国に非常防疫を宣言し、死んだ牛・豚を埋却処理していると、朝鮮中央通信が10日報じた。

    中央通信は「牛・豚およそ1万頭が感染した」とし「金洛姫(キム・ラクヒ)内閣副総理を委員長とする国家獣医非常防疫委員会を組織し、全国に‘非常防疫’が宣言された」と伝えた。

    通信は「昨年末、平壌市(ピョンヤンシ)寺洞区域イヒョン里で口蹄疫が発生し、現在まで平安道(ピョンアンド)、黄海北道(ホァンヘブクド)、慈江道(ジャガンド)、江原道(カンウォンド)など8道に広がっている」とし「最も被害が大きいのは平壌市と黄海北道、江原道」と紹介した。

    朝鮮にFAOの口蹄疫専門家派遣

    ソウル11日聯合ニュース】米政府系放送局のラジオ自由アジア(RFA)は10日、国連食糧農業機関(FAO)が北朝鮮の口蹄疫(こうていえき)発生による緊急救護要請を受け、獣医師らの専門家チームを来週にも派遣すると報じた。

    RFAによると、北朝鮮からの救護要請を受けた直後に開催された緊急会議で、専門家チームを派遣を決定した。獣医師や伝染病専門家、対北朝鮮事業関係者ら3~5人が訪朝し、必要な支援や規模を迅速に把握するという。

    また、FAOは北朝鮮が口蹄疫発生を報告し、公式に支援を要請したことについて歓迎の意を示したと伝えた。FAOは北朝鮮が直接、口蹄疫支援を求めて来ただけに、同国の積極的な協力のもと、速やかに防疫作業が行われると期待しているという。

    RFAによると、北朝鮮では2007年に口蹄疫が発生し、牛や豚3000頭余りが殺処分された。2008年も100件以上の口蹄疫感染が確認された。

    これを受け、FAOは2007~2009年に口蹄疫緊急支援として43万ドル(約3584万円)を提供した。<br /> 一方、朝鮮中央通信は10日、北朝鮮全域で昨年末から口蹄疫が発生し、牛と豚1万頭の感染が確認され、国家獣医非常防疫委員会を設置し、全国に緊急態勢を敷いたと報じた。.

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    口蹄疫拡散の勢いが止まらず、釜山でも初の感染が確認

    釜山市は7日、沙下区の養豚農家から前日の午後に感染疑いの届けがあり、国立獣医科学検疫院で検査を行った結果、陽性判定を受けたと明らかにした。

    これに伴い、同農家で飼育されていたブタ555頭とヤギ7頭など計652頭を今日中に殺処分することにした。また、同農家周辺や半径1キロメートル以内の養豚農家2戸に対しても防疫を強化する。

    一方、同農家には予防ワクチン接種を受けたウシ3頭が飼育されているが、まだこれといった症状はないという。【釜山7日聯合ニュース】

    ■写真 大雪が降りました。わが村はまたまたノーマルタイヤでとってもこわーい。

    ■追記 石川県で口蹄疫の疑い=12日、遺伝子検査を実施-農水省 

    農林水産省は11日夜、石川県から同県志賀町の放牧場で口蹄(こうてい)疫の疑いを否定できない症状のある牛が見つかったとの報告を受けたと発表した。

    同省によると、口蹄疫特有のひづめ部分の水ぶくれなどはないものの、一部によだれや舌にいぼのようなものが見られたという。

    12日に独立行政法人の動物衛生研究所で遺伝子検査を実施する。発生が確認されれば、宮崎県で相次いでいた昨年7月以来となる。

     石川県によると、放牧場では約240頭の乳用牛が飼育されており、うち15頭から口蹄疫を否定できない症状が見られた。同県は、放牧場に牛の移動の自粛を要請した。
     同省では「現在のところ、症状を見る限り口蹄疫の可能性は低い」としているものの、隣国・韓国で口蹄疫がまん延していることなどを踏まえ、遺伝子検査を行うことにした。

    時事 2011/02/12

    ■追記2 石川の口蹄疫疑い牛は「陰性」…農水省発表

    読売新聞 2月12日(土)16時0分配信

     石川県志賀町の放牧場で家畜の伝染病「口蹄疫」に感染した疑いのある牛が見つかった問題で、農林水産省は12日、遺伝子検査の結果、口蹄疫ウイルスは検出されず、陰性だったと発表した。

    最終更新:2月12日(土)16時0分

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    トリインフルエンザ・ワクチンは使ったら最後、殺処分するしかないのか? 殺処分一本槍体制は変わるべきだ

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    トリインフルエンザ・ワクチンを接種した鶏の食肉や鶏卵の流通を厚労省は認めていません。要するに、トリインフル・ワクチンは一度たりとも使ったら、全部殺処分しろということになります。

    その理由は以下にあります。まずは下段の資料1をご覧ください。これは農水省がトリインフル・ワクチンの輸入を承認した2006年11月10日の動物用医薬品等部会で配布された別添資料です。

    これが原田英男氏がツイートで書かれているトリインフル・ワクチンが「使えない」、あるいはワクチン接種後に「殺処分するしかない」理由となっている元の農水省文書です。

    この文書の5の食品健康影響評価の項には、トリインフルワクチンが休薬期間が設定されておらず、アジュバントが人体に接種されることがないように36週の間、食肉処理場に出荷されないように「休薬期間」を設けろと言っています。

    アジュバントという聞き慣れない用語は、ワクチンに添加されている抗原性補強剤のことです。ワクチンと一緒に注射されて、抗原性を高める働きをします。通常のワクチンの多くに使われている添加物です。

    これがワクチン経由で人体の局所に残留する危険があるため、トリインフル・ワクチンを使用した鶏肉は食べると危険であるかのように書いています。

    ほ~ですな。アジュバントってそんなに危険なんですか、初めて知った、今知った。だって、アジュバントなんてヒト用のH1ワクチン、つまり「新型インフルエンザ(」A/H1N1)」ワクチンにも添加されているのですよ。

    あれは一昨年、政府が音頭をとって子供までさんざん緊急接種したでしょう。そんなに鶏肉経由でさえ危ないものを一般国民に接種していたんでしょうか。これはびっくり。

    この「新型インフルエンザ」の株記号(」A/H1N1・JAは日本株を表す)が表すように、今の宮崎のトリインフル(H1N1)とほぼ同じウイルスに対抗するワクチンです。片やヒト用、片やトリ用の違いだけです。

    次に、資料2をご覧ください。これはある日本のワクチンメーカーのHPにあったものです。この会社は動物用ワクチンを製造しており、鶏の5種類の疾病を予防する混合オイル・アジュバント・ワクチンを日本で初めて製造した会社だと書いています。

    このアジュバント・ワクチンに対応する鶏病は、サルモネラ、マイコプラズマ、大腸菌症、鶏伝染性気管支炎、ニュ-カッスル病などのようです。まぁ、私たちがよく使うワクチンですね。

    これは農水省がこの文書で言うように36週間も休薬期間をおかねばならないようなヤバイもんだったんだ、初めて知った、今知った。( ̄◆ ̄;)。お~コワ

    36週間、つまり252日間なんてバカげた休薬期間の設定は、すくなくとも鶏用にはありえません。だって牛や豚と違って、鶏は経済寿命がブロイラーならばせいぜい60日間、採卵鶏ならば、500日程度だからです。どこに経済寿命を上回ったり、その半分に達する休薬期間を設定するバカがいますか。

    時々、この農水省に呼ばれる学者の脳味噌を開けてみたくなります。畜産現場を知らないにもほどがあります。

    現実には、鶏用アジュパント・ワクチンは多く市販されており、現に薬剤と違い残留しないので、ブロイラーにも採卵鶏にも使用されています。なにを今更、休薬期間36週間だと寝言を言うのか、私にはまったく理解できません。

    トリインフル・ワクチンは、ワクチンとしては特別なものではありません。世界各国で使用されており、製造されています。これが休薬期間251日間なら、世界中の誰も使わないでしょう。常識で考えてほしい。

    事実、資料3の食品健康影響評価の項には、「製剤に使用されているアジュバント等の添加剤については、いずれも国内もしくは国外において医薬品や食品添加物としての使用実績があり、国際的な毒性評価も存在している」と書いているではありませんか。

    そしてこうも言っています。「ワクチンの接種量を考慮すると、同様の組成を持つ既承認のワクチンと同様の管理が行われれば、含有成分の摂取による健康影響は実質的に無視できると考えられる」。

    ワクチンによる接種量は微々たる無視するに足る量だから、含有成分による健康影響はないと、農水省自身が断言しているではありませんか。

    頂きましたコメントにありました、「Aはだめ、Bはいいでは風評被害上からすべてダメとしたほうがいいのでは」というご意見ですが、私は納得がいきません。

    なぜなら、農水省はトリインフルに関して一貫して感染した鶏肉さえ食べてももいかなる影響もないとキャンペーンし続けています。あれがなんだったのか、ということになります。

    ただし、「家きん卵、家きん肉を食べることにより、鳥インフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも報告されていません」(農水省HP)という、未感染鶏肉なのか、それとも感染鶏肉のものなのかをあえて不明確にした言い方をしていますが。

    いずれにせよ、この文脈では仮に感染した鶏肉であってもととるしかないわけであり、感染した鶏肉を食べても大丈夫だが、微量のワクチン含有のアジュバントが人体にキャリーオーバーすることのほうが怖いということになってしまいます。そんな馬鹿な!

    アジュバント添加ウンヌンは苦し紛れのこじつけです。先に書きましたように、鶏用アジュバント・ワクチンは沢山存在し、市販もされています。既に多くのブロイラー用、レイヤー(採卵鶏)用ワクチンに使われています。

    これをどう農水省と厚労省が説明するのか、私には皆目見当がつきません。私は今のような殺処分一本槍の防疫路線は、韓国で立証されたように近い将来必ず大きく破綻すると考えています。

    その時に、「一回たりともトリインフル・ワクチンを使用したら殺せ」では、防疫によって受ける利益よりも経済的打撃のほうが上回ってしまいます。防疫は終わった、地域の家畜はいなくなった。農家は出稼ぎに行った、離農したではシャレにならないではないですか。

    私はこのような防疫学界と農水省、動物衛生研究所の中に根強く残る、硬直した殺処分一本槍体制は変えていかねばならないと思います。

    畜産農家にもっと多様な防疫手段を与えていかないと、必ずまたトリインフルや口蹄疫の大発生を見ることになるでしょう。

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    *引用者注 農水省資料では資料1の後に資料3がつきます。展開上逆に並べました。

    ■資料1
     鳥インフルエンザ不活化ワクチンを接種した鳥類に由来する食品の食品健康影響評価について

    5.食品健康影響評価について

    ただし、以下の点については留意すべきであろう。
    ・ノビリスインフルエンザ H5 には、休薬期間が設定されていないことから、局所に残留したアジュバントが摂取されることのないよう、少なくとも接種後36 週間は食鳥処理場に出荷されないよう休薬期間をもうける必要があること。

    トリインフルエンザ・ワクチンの接種は、感染そのものを防ぐことはできないほか、ワクチンによって鳥インフルエンザに抵抗力を獲得した鶏は、臨床症状を示さずウイルスを保有する可能性があることから、早期摘発が困難になるという家畜防疫上及び公衆衛生上の問題がある。

    したがって、鳥インフルエンザの防疫措置は早期の摘発及びとう汰を行うことが基本であ
    り、
    ワクチンの使用は、早期摘発及びとう汰により根絶を図ることが困難となった場合に限定するとともに、その場合にも、国の家畜衛生当局の指導の下に、モニタリングの実施など十分な管理措置を講じた上で行うべきである。
    (動物用医薬品等部会で配布された別添資料)

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    ■資料2 日本で初めて鶏の5種類の疾病を予防する混合オイルアジュバントワクチンを発売するなど、常に使用者のニーズに応え、特徴を持ったワクチンを提供しています。                                      (京都微生物化学研究所HP)

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    ■資料3
    鳥インフルエンザ不活化ワクチンを接種した鳥類に由来する食品の食品健康影響評価について

    5.食品健康影響評価について

    上記のように、ノビリスインフルエンザ H5 の主剤は鳥インフルエンザウイルスH5N2亜型をホルムアルデヒドで不活化させたものである。このため主剤は感染力を有するウイルスを含んでいない。

    また、製剤に使用されているアジュバント等の添加剤については、いずれも国内もしくは国外において医薬品や食品添加物としての使用実績があり、国際的な毒性評価も存在している。

    ワクチンの接種量を考慮すると、同様の組成を持つ既承認のワクチンと同様の管理が行われれば、含有成分の摂取による健康影響は実質的に無視できると考えられる。

    これらのことから、ノビリスインフルエンザH5 については、適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は実質的に無視できると考えられる。(動物用医薬品等部会で配布された別添資料) 

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    ■写真 水仙の季節が来るとなんとなく早春を感じます。今日は大雪警報が出ていたのですが、幸いただの雨でホッとしています。大雪の地方の皆さんにお見舞いを申し上げます。

    ■後記 な~んて書いたら、どどっと大雪です。(。>0<。)ひぇ~

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    養鶏協会の農水大臣陳情書を批評する

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    養鶏協会がこんな要望書を農水大臣に出していたことが分かりました。私はケージ養鶏とウインドレス業者の団体である養鶏協会とはなんの関係もないので、今頃知った次第です。( ̄○ ̄;) !いやー~こりゃまた、すいません

    このような大規模伝染病の場合、業界団体の陳情は大きな力を持っていることは、宮崎口蹄疫の時の養豚協会の山田前大臣への直接の陳情が、ワクチン接種・全殺処分という思い切った手段に踏み切らせたことでも分かります。

    農水省といえど、現実に業界団体の声をまったく無視して防疫活動を展開することは不可能です。現場の農家が非協力的ならば防疫は進まないからです。

    さて、要望書はおおむね私の主張とかさなっていたので、これまたいい意味で驚いた次第です。

    ワクチンに関しては「本病の発生リスクの高まった地域・農場については、条件付きで本病ワクチンの使用を認める」ことを要望しています。まったく同感です。

    ただし、この「発生リスクが高まった地域・農場」という表現に引っ掛かります。「発生リスクが高まった」という基準がどこにあるのか不明瞭な表現だからです。

    発生した県、あるいは地域は当然のこととして、野鳥にトリインフルが見つかった県までも含むのか、さらにはわが茨城県のように渡り鳥が多数飛来しており、関東最大の養鶏県であるが、いまだ発生は確認されていない県まで含むのかが分かりません。

    もっと明確に、トリインフル・ワクチンを民間に解禁せよ、と陳情すべきです。なぜ、そう言えないのか、奥歯にものの挟まった言い方になるのかが分かりません。

    次に、「本病ワクチンの選択権は使用者である養鶏生産者にあり、対象ワクチンは内外無差別とする」としています。

    この文言の中の「ワクチン選択権」とはなんでしょうか。まさかワクチンの種類なわけはなし、やるやらないという選択権のことならば、ありえないことです。発生後のワクチン接種は当該の農家に選択権はありません。

    発生以前の予防的段階ならば接種の選択権はありえますが、発生した地域でやる農家、やらない農家などという不均等なことはありえないことです。やると決めたら、決められた範囲の農家すべてに接種を行うべきです。

    そしてワクチン問題に関しての最大の抜け落ちは、ワクチン接種後に殺処分をかけるかどうなのかという問題になんの意思表示もしていないことです。

    このことこそある意味、宮崎県口蹄疫の際にもっとも難しい問題となったことであり、ワクチン接種を提案している以上、その後についても「殺処分させない」ことを明確に主張すべきでした。

    次に、ワクチン以外では移動制限区域を3㌔にしろと言っています。これはEUの移動制限基準に範をとったもののようで、私も妥当な線だと思います。

    この2カ月後の1月22日に、農水省の疾病小委員会が移動制限の縮小を答申しており、それに基づいて各県で早期の実施がされたことはこの間のブログでも書いてきました。

    今後農水省は、いったんは10㌔の網をかけたのちに、発生動向調査(サーベイランス)をたぶん2回行った後に陰性が確認されれば、5㌔圏まで縮小するといういう方針のようです。

    これが養鶏協会の陳情に対する妥協なのか、そもそもの規定方針なのかは不明です。

    また、「発生農場及び移動制限・搬出制限に伴なう経済的損失についての補償の充実」を陳情しています。まぁ妥当ですが、これもワクチン・全殺処分とのからみで考えないと、規模が桁違いになります。

    どうもこのあたりを読むと、養鶏協会は宮崎口蹄疫事件をちゃんと学習していないようないやな予感がします。

    まったくそのとおりなことも養鶏協会は陳情しています。農水省の疾病小委員会の委員構成に文句を言っているのです。

    「家畜衛生部会及び家きん疾病小委員会の委員構成の変更」として、「①現場実務に明るい研究者・技術者の委員を大幅に増加(1/2以上)させる。」、「②委員又は臨時委員として本病についての海外の国際的学者を追加する」という提案には、私も諸手を上げて賛成です。

    今の疾病小委は動物衛生研究所の派閥によって占められており、民間の畜産家や団体がひとりもいない構成となっています。このために、現場から見ればなにをトンチンカンな議論をしていやがる、と思ったことも数あります。

    口蹄疫ワクチンの時にも思いましたが、国際的にどのような防疫が行われているのかがまったく審議の俎上に乗りません。EUやFAOがどのような口蹄疫緊急対策をしているのかまったく聞く耳を持っていないのが今の疾病小委の現状です。

    海外の進んだ動向に目をとざす今のあり方を変えるために、民間と海外の委員を入れることはたいへんに有効な手段です。

    後もう一点。農水省の防疫主体を動物衛生課から生産局に移せというのもなかなか興味のある話です。動物衛生課は畜産業の現場とかけ離れた方針を平然と出してくると、養鶏協会に思われているようです。

    それと最後にやはりこれも言っておきますか。「感染リスクのより高い放し飼い・平飼い飼育鶏の定期的監視」とはなんのこってす。この間でているのは全部ケージ養鶏とウインドレスじゃないですか。ブロイラーは通常、平飼養鶏とはいいませんよ。 こういうセクト的なことを書くから私は養鶏協会に入らないのです。こんな修羅場でケージ養鶏のセクトを張らないでいただきたいもんです。

             ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    要 望 書

    平成22年12月1日

    一般社団法人 日本鶏卵生産者協会
    会  長   梅 原 宏 保

    社団法人 日本養鶏協会
    会  長   栗 木 鋭 三

           高病原性鳥インフルエンザ対策実施についての要請

     我が国養鶏産業の振興につきましては、日頃より格別のご支援、ご指導を賜り厚くお礼申し上げます。
     さて、この度既に農林水産省による発表の通り、島根県下において高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)の発生が報告されました。しかしながら、既に9県においての発生となりました。従って、このような状況から分る通り、本病対策としての防疫指針は全く機能しないことが明らかであります。
      本格的な本病発生のリスクの高いシーズンを迎えており、養鶏業界にとりましては不安に脅える毎日となりました。
      つきましては、早急に国としても国際標準に適合した本病対策に改定し養鶏生産者が安心して経営を継続できるよう、特に、下記の事項につき要請致します。

    • リアルタイムPCR手法の完全実施による24時間以内の移動制限の解除及び条件付きワクチンの導入

      (1)防疫指針の内容を改定し、本病の確定診断機関としているつくば市の(独)動物衛生研究所(動衛研)に加えて各県の中央家畜保健衛生所を追加する。

      (2)本病確定診断をウイルス分離のみとする現行手法に加えてリアルタイムPCR法を追加し、24時間以内の移動制限解除とする。

      (3)野外ウイルス感染との鑑別手法としてのDIVA(EUで実施中)を導入する。

      (4)本病ワクチンの条件付き使用

      ①本病の発生リスクの高まった地域・農場については、条件付きで本病ワクチンの使用を認める。

      ②本病ワクチンの選択権は使用者である養鶏生産者にあり、対象ワクチンは内外無差別とする。

      ③なお、既に承認の国産ワクチンについては輸入ワクチンと同一の基準・手法により再評価すること。

    • 発生時の対応について

      (1)本病発生に伴なう移動制限をEU並みの半径3㎞とする。(本病ウイルス及び鶏は日本及び欧米では実質的に同じものである。)

      (2)高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の定義をOIE基準に合致させる。(高病原性に強毒型・弱毒型の区別はない。)

      (3)発生農場及び移動制限・搬出制限に伴なう経済的損失についての補償の充実
      本年、宮崎県下で発生した口蹄疫と同様に海外悪性伝染病である高病原性鳥インフルエンザについても同様に損害補償を10/10とすること。

    • 本病対策に係る審議・検討内容の透明性確保

      (1)家畜衛生部会及び家きん疾病小委員会の委員構成の変更

      ①現場実務に明るい研究者・技術者の委員を大幅に増加(1/2以上)させる。

      ②委員又は臨時委員として本病についての海外の国際的学者を追加する。

      (2)同部会および同小委員会に係る資料及び審議内容は全て公開・公表する。

    • 本病予防体制の充実

      - 本病モニタリング・サーベイランス体制の充実 -

      ①野外又は屋外飼育の水禽類を中心としたサーベイランスを徹底し、野外インフルエンザウイルスの動向についての情報の収集・分析。
      →ウイルス分離された事例については高病原性・低病原性の識別・リスク評価を実施し、必要に応じて警報を発する。

      ②感染リスクのより高い放し飼い・平飼い飼育鶏の定期的監視

      ③高病原性鳥インフルエンザ(強毒型)発生事例の早期発見体制と当該情報の養鶏生産者への迅速な通報・連絡体制の確立

    • 家畜衛生組織の見直し

      消費・安全局動物衛生課の全機能を生産局に移管させること。
      現在の動物衛生課は規制中心とする業務運営のため畜産の振興・安定の視点は実質的に皆無に近い状態にある。



    ■写真 霞ヶ浦の内水面試験場の試験水面です。桟橋と資材置き場が見えます。

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    農水省の移動制限区域の事実上の5キロ圏内までの縮小は、吉と出るか、凶と出るか?

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    鹿児島のトリインフルエンザによる移動制限区域内での鶏肉の加工処理について、情報が寄せられましたのでアップいたします。

    結論から先に言えば、鹿児島では移動制限区域内の食鳥は、発生点から5㌔以上離れていれば、今までどおりに処理加工できるようです。

    法的根拠は今年の1月22日に開かれた農水省疾病小委員会によります。
    全文はこちらからどうぞ。http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/eisei/pdf/kakin_37_gaiyo.pdf

    [以下引用]

    食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会
    第37回家きん疾病小委員会概要
    (平成23年1月22日開催)

    6 移動制限区域内の発生状況検査結果をふまえ、以下のようにして差し支えないこと。
    (1)移動制限区域内の採卵鶏農家の検査結果がすべて陰性であれば、鶏卵を出荷すること
    (2)(1)に加えて、移動制限区域内のブロイラー農家の検査結果がすべて陰性であれば、移動制限区域を縮小し、半径5kmから10kmの範囲を搬出制限区域とし、搬出制限区域内のブロイラーを移動制限区域外(「搬出制限区域」及び「搬出制限区域の外の区域」)の食鳥処理場に出荷すること。
    [引用終了]

    また農水省の2月7日のプレスリリースにもこうあります。記事欄外をご覧ください。http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/110207.html

    この農水省疾病小委員会の答申を踏まえて、鹿児島はややっこしことをやっています。
    まず、移動制限区域(半径10㌔)のうち、発生点から5キロと5㌔~10㌔の外縁部をわけて扱います。半径5㌔範囲までに事実上移動制限区域を縮小したわけです。そしてこれを「搬出制限区域」とし、5㌔から10㌔までを検査が陰性であることを条件として移動制限を解除したということになります。

    ただし、5㌔~10キロ範囲を移動制限解除したといっても縛りがあるようで、制限区域「外」の食肉処理場に持っていけと言っています。、

    結果、鹿児島県、大分県、そして本日のプレスリリースでは宮崎県においてもこういうことをしています。
    5㌔内はいかなる移動も禁止し、外縁部は一回移動制限区域の外の食肉処理場に持ち出してと畜し、中抜き(内蔵と肉を仕分ける作業のこと)した後に、再度移動制限区域内の食肉処理場に戻します。

    そしてこの制限区域内食肉処理場で肉の製品化をしているようです。

    解りにくかったと思いますので、もう一回流れを書きますね。移動制限区域の外縁部5㌔~10㌔の鶏を制限区域外の食肉処理場に持ち込みと畜⇒制限区域内の食肉処理場に戻して製品化。

    なぜ、全部の工程を制限内の加工場でしないのかと言えば、と畜ラインが止まってしまっているためです。また5㌔以内のブロイラー農家も出荷はできません。

    う~ん、なんか判断に迷いますね・・・。口蹄疫の時の移動制限区域の取り扱いとはえらい違いです。

    メリットとしては、正直に言って私たち養鶏農家には経営的には朗報です。従来の移動制限3㌔から、一気に今回から10㌔と3倍以上移動制限の幅を増やしたわけです。

    半径10㌔といえば、私の住む地域から旧小川町の養鶏団地がすっぽりと入ってしまいます。あそこでなにかあったら覚悟を決めねばなりません。

    しかし、「移動制限の例外」ということで、検査結果で陰性さえ確認できれば、事実上半径5㌔まで縮小して運用してやろうというありがたい農水省のお言葉ですが、なぜか心から喜べないワタクシ。

    デメリットはと言えば、やはりやはりなんと言っても、移動制限区域というグレイゾーンから生体を清浄区へ移動することのリスクです。

    口蹄疫の時も似たことを農水省はやっています。移動制限区域内の食肉処理場に外周部の家畜を持ち込んで処理させようとしました。少しでも殺処分を少なくしたい、そして無家畜ベルトを作りたいという意図だったようです。

    結果はたいした規模の処理も出来ず立ち消えになりましたが、本来いったん移動制限区域としたら、清浄性確認までは内外の移動は厳に慎むべきなのです。

    生体のみならず、家畜移動車両、作業員などにウイルスが付着している場合があり、それが食肉処理場をハブとして拡散してしまう可能性があるからです。

    私は家保のする簡易検査が絶対であるとは思っていません。なにせサンプリングですから分母が圧倒的に少ない。ですから大分のように一回陽性が出て、その後にあろうことか陰性に逆転するという椿事が起きたりします。

    だとすれば、検査結果で陰性確認したと称する移動制限区域内5㌔~10㌔の鶏や、その移動車両にウイルス付着がなしとはいえないでしょう。

    この移動制限区域の事実上の縮小措置を見て、農水省がワクチン接種を考えていない理由がわかったような気がします。

    既に5㌔以上は出荷を認めているのに、今更ワクチンもないだろう、ということです。たぶんそんなところです。

    この農水省のうすら甘い認識が吉と出ますか、凶と出ますか・・・。

       

     

    ■農水省プレスリリース 2月7日

    1. 大分県の高病原性鳥インフルエンザ発生農場を中心とする移動制限区域内の10農場(採卵鶏農場6戸、肉用鶏農場2戸、その他2戸)については、本日までに、感染確認検査(臨床検査、抗体検査及びウイルス分離検査)ですべて陰性を確認しました。

    2. このため、

    (1)出荷まで毎日死亡鶏の数を家畜保健衛生所に報告すること

    (2)出荷開始日又はその前日に、家畜保健衛生所の臨床検査を受けて異常がないことを確認すること

    を条件として、卵の出荷を認めることとします。

    3.  また、現在10kmに設定されている家きんの移動制限区域の範囲についても、防疫指針において、感染確認検査等の結果を踏まえ、半径5kmまで縮小できることとしています(縮小される範囲については、搬出制限区域に設定)。

    4. このため、移動制限区域を5kmに縮小し、5km~10kmの範囲を搬出制限区域に設定することとします。

    ■農水省プレスリリース 2月8日

    1. 宮崎県における8例目の高病原性鳥インフルエンザ発生農場を中心とする移動制限区域内の32農場(採卵鶏農場1戸、肉用鶏農場30戸、その他1戸)については、本日までに、感染確認検査(臨床検査及びウイルス分離検査)ですべて陰性を確認しました。

    2. このため、

    (1)出荷まで毎日死亡鶏の数を家畜保健衛生所に報告すること

    (2)出荷開始日又はその前日に、家畜保健衛生所の臨床検査を受けて異常がない

    ことを確認すること

    を条件として、卵の出荷を認めることとします。

    3. また、現在10kmに設定されている家きんの移動制限区域の範囲についても、防疫指針において、感染確認検査等の結果を踏まえ、半径5kmまで縮小できることとしています(縮小される範囲については、搬出制限区域に設定)。

    4. このため、8例目の移動制限区域を5kmに縮小し、5km~10kmの範囲を搬出制限区域に設定することとします。

    ■写真 三バカ大将の一匹。モカ太郎。兄弟でいちばん人なつっこく、さびしがり屋です。趣味、食う寝る遊ぶ。特技は食い物を瞬時で呑み込むこと。小犬レスリングで相手のシッポに噛みつくという反則ワザ。

    ■フォントカラーを黒に変えました。多少読みやすくなったでしょうか。

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    国家備蓄しているワクチンを今直ちに使用せよ! また宮崎口蹄疫を繰り返したいのか!

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    農水省動物用医薬品等部会の議事録です。これは平成16年(2004年)11月に行われたトリインフル・ワクチン第2回目の審議の模様です。メンドリまま様、情報提供、ほんとうにありがとうございました。

    実はこのワクチンの存在自体が今まで明らかになっていませんでした。私が農水省に陳情した2005年11月の時には動物衛生課課長補佐氏は備蓄はおろか国内の存在自体に言葉を濁していました。

    さて、かなりの長時間討議となったこの2004年11月10日の動物用医薬品等部会のこの審議でトリインフル・ワクチンの承認がされました。

    これは低毒性N2型ワクチンですが、株としては低病原性を使用していますが、これは考えてみれたりまえですが、高病原性菌でワクチンを作ると製造所から漏れだす危険があるので、USDA(米国農務省)や欧州でも低病原性菌から製造するそうです。

    ただしコメントのcowboyさんの疑問にもありましたが、口蹄疫のようなバイオセキュリティ・レベルの高い施設は必要とされていないようです。これはトリインフル・ウイルスが、口蹄疫と違い野鳥によって遍在しえるウイルスであることが理由のようです。

    ワクチンの効果のほどは、低病原性でも充分なプロテクトができるとされているそうで、現実にメキシコ分離株と日本で採取された山口株のふたとおりで攻撃試験(なんかすごいネーミング)を埼玉と神奈川の2カ所の農場でフィールド・テストをしています。

    このようなウイルス攻撃試験に場所を提供するというのはどんな農場なのでしょうかね。たぶん農水省か動物衛生研究所の施設なのでしょう。

    この攻撃試験で、このワクツチンはメキシコ分離株、山口分離株のいずれに対しても100%の防御をしました。いや、たいしたものです。なぜ、さっさと市販品にしないのかムッとなるくらいです。

    例によって例のごとく、農水省はこのワクチンの使用方法としては、市販して農家に使えることなど念頭にはさらさらなく、土壇場の緊急接種のみしか考えていません。

    この理由を、正直私にはまったく理解ができません。コンタンさんから教えて頂いた、原田英男氏のツイートを読んで驚きました。

    「トリインフルの現在のワクチンは不活化なので、感染を防ぐことが出来ず、重症化やウイルス増殖を抑える効果しかない」。

    そうなのでしょうか。このウイルス攻撃試験結果は下の議事録に出てきますが、メキシコ株と山口株を100%ブロックしていますよ。対照区の未接種鶏は哀れ全滅です。

    これで「感染を防ぐことができない」と言うことはないでしょう。原田さんはいかなる根拠か、ワクチンを過小評価しすぎです。

    そして「予防接種した場合、感染した鶏を見逃して、ウイルスの常在化し、結果としてウイルスの変異を招く」から使用させないそうです。

    原田さん、あなたは現場の養鶏をぜんぜん知りませんね。ではニューカッスル病などどうなるのです?私たちは致死率が高い脅威度ナンバーワンのウイルス病として、ワクチンを接種していますよ。生ワクチンで数回、そして不活化で仕上げています。

    ワクチンをしたら「発生した鶏を見逃す」ですって!失礼ですが、苦笑してしまいます。どうしてこんな農家を愚民視した言い方をするかねぇ!

    そもそも低毒のワクチン接種しても、高病原性を自然感染したような症状を呈するはずがありません。もし、そんな症状をワクチンが出したら、それはワクチンとして失格です。

    実際、下の審議議事録を読めばこの備蓄ワクチンが接種した鶏に「臨床症状、注射局所の反応、増体重、育成率、産卵率すべての項目で適合と判断」さたことがわかります。

    つまり接種された鶏の健康や産卵にはなんの影響も出ないのです。それでなぜ発生したホンモノの伝染病と見分けがつかなくなるのでしょうか。

    ありえないですよ。農水省が、ほんとうにこんな原田氏が書くような理由で、一般使用を禁止ているとすれば、はっきり言ってあんたらアホや(←私は大阪人か)。

    まぁ、要するに摘発淘汰、つまりは口蹄疫でやったような殺処分のみが有効だと農水省や防疫学界はドグマチックに信じているのです。かのOIEもそう言っているそうです。

    トリインフル・ワクチンを使える条件は、唯一感染がバンバン燃え盛って手が付けられない条件下だけです。かつての宮崎口蹄疫の2010年5月の状況を思い出してください。あのような地獄の釜が開かなければ、ワクチンは使えないのだと農水省は言っているのです。

    それはカッタルイ役人用語で言えばこんな状況です。
    同一の移動制限区域内の複数の農場で続発することがまず第一条件。

    次に、「発生農場の飼養家禽の迅速な淘汰が困難となり、又は困難になると判断される場合」です。殺処分と埋却が追いつかないという状況です。

    なんのことはない、移動制限区域半径10㎞で飛び火が続き、埋却も一杯一杯、、もはや感染がコントロール不可能一歩手前でなければ緊急ワクチンは使えないわけですよ!

    緊急ワクチンの国家備蓄はこのような、落城寸前にしか使うことを許されない伝家の宝刀なのだそうです、嗚呼。
    なんたる頑迷、なんたる石頭。

    その時にはもはや農家の被害額は億単位に達しているでしょう、バカか!
    被災農家はこれで最低1年間は出稼ぎでしょう、バカか!
    高齢農家は離農でしょう、バカか!
    地域の農業はズタズタです、バカか!

    今こそ緊急ワクチンを使うべきです。今を逃したら、蔓延してしまいます。蔓延してから使っても後手です。防疫の後手がどのようになるのか、宮崎口蹄疫でいやというほど学んだはずでしょう。

    後生大事に税金かけて備蓄してきたワクチンを、今、ただちに使うべきです!

             ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

                         [議事録要約]

    ①AI(H5N2亜型)不活化ワクチン(NBI) の輸入承認。病原性は低病原性。H1型の高病原性ではない。免疫力には変わりがない。

    ②本剤は、1998年にメキシコのAvi-Mex社がメキシコで分離されたH5N2亜型ウイルスをもとに製造されたもの。

    ③輸入元は日本バイオロジカルズ株式会社

    ④効能・効果は、鳥インフルエンザの発症予防及びウイルス排泄の抑制

    ⑤有効性試験結果・ メキシコ分離高病原性AIV攻撃試験を実施結果
    「ワクチン接種群は攻撃後臨床症状を呈するものは認められず、無免疫対象群はすべて発症・死亡が認められました。よって、本ワクチンは100 %の発症防御効果を示す有効性が確認」された。

    ⑥同じく日本分離高病原性AIV攻撃試験を実施結果。
    「ワクチン接種群では発病、死亡ともに認められず、咽喉頭スワブ及びクロアカスワブからウイルスは回収されなかった」。

    ⑦「山口株の攻撃に対して、100 %の感染防御効果を示す有効性が確認された」

    ⑧臨床試験結果・「埼玉県と神奈川県の2カ所の農場におきまして、試験群200 羽、対照群200 羽の採卵鶏を用いて安全性及び有効性を評価」した。

    ⑨臨床症状、注射局所の反応、増体重、育成率、産卵率で評価し(略)、すべての項目で適合と判断」された。

    ⑩用法・用量に「家畜伝染病予防法第3条の2に基づき規定される高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針に従い使用すること」の文章を追加するした。

    ⑪「都道府県知事は、原則として、家畜伝染病予防法第31条の規定に基づきワクチン接種を実施する」。

    ⑫「ワクチン接種を実施した家禽等について、家畜伝染病予防法施行規則第13条の規定に基づき標識を付し、その移動を制限するとともに、接種家禽、農場等はすべての接種家禽が処分等をされるまでの間、家畜防疫員による定期的な検査等の監視を行う」。

    ⑬「家畜伝染病予防法第50条に基づき、都道府県知事の許可を受けなければ使用してはならない製剤に指定をし、国及び都道府県の管理下で防疫指針に従ってモニタリングも適正に実施される場合に限って使用し得るものとする予定」。

    ⑭ひとつの株の安定性試験期間2年間中に「株を変えたごとにその都度安定性試験をやる必要はない」。

    ⑮「再審査期間は新有効成分含有動物用医薬品ということで6年」。

    適時に読みやすくするために改行を施し、彩色は引用者です。非常に長文ですが、彩色の部分のみでも読まれることをお勧めします。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    動物用医薬品等部会議事録(平成16年11月10日)(PDF:144KB)

    .議題
    [審議事項]

    (1)動物用医薬品の製造・輸入承認の可否、毒・劇薬等の指定及び再審査期間の指定
    について
    〔動物用生物学的製剤調査会関係〕
    【新有効成分含有動物用医薬品】(輸入承認)
    AI(H5N2亜型)不活化ワクチン(NBI) 日本バイオロジカルズ株式会社

    ○○委員それでは審議事項に入ります。
    まず最初に、動物用生物学的製剤調査会関係の(1) の①AI(H5N2亜型)不活化ワクチン(NBI)の輸入承認ということでございます。○○先生から御説明をお願いします。

    ○○委員鳥インフルエンザAI(H5N2亜型)不活化ワクチン(NBI)と省略されていますけど、これは日本バイオロジカルズ株式会社から輸入承認申請された鳥インフルエンザウイルスを有効成分とする鶏用の不活化ワクチンであります。本製剤は、平成16年10月14日に開催された動物用生物学的製剤調査会において事前の審議を終了し、本部会に上程されるものです。詳細につきましては事務局から説明があります。

    事務局それでは、事前に配付させていただきました資料番号赤の1番を御用意くださ
    い。
    「申請書」と書いてありますオレンジ色のタッグをお開きください。本剤は、日本バイオロジカルズ株式会社から輸入承認申請されましたAI(H5N2亜型)不活化ワクチン(NBI)でございます。鳥インフルエンザワクチンは初めての製剤でございますので、新有効成分含有動物用医薬品ということで御審議を願います。

    本剤は、低病原性鳥インフルエンザウイルスをワクチン株とする鶏用のオイルアジュバント不活化ワクチンで、申請書の3ページの下に示しますように、その用法・用量は、10日齢以上の鶏に0.5mLを5~10週間隔で2回、皮下注射するもので、効能・効果は、鳥インフルエンザの発症予防及びウイルス排泄の抑制でございます。

    それでは概要について御説明いたします。「概要」という黄色のタッグの概-1ページをお開きください。高病原性鳥インフルエンザは家禽の急性伝染病疾病であり、OIEのリストA疾病として世界的規模で監視が行われています。

    御承知のとおり、我が国におきましても、今年の1月に79年ぶりに発生したわけですが、「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」に準じて防疫対策が行われ、4カ所の発生にとどめることができ、本病のコントロールに成功いたしました。

    しかし、東南アジアなどの国々では防疫対策が功を奏さず、続発していることから、OIEはこれらの多発地域において、従来の摘発・淘汰による防疫対策のみでは根絶が不可能な場合には、摘発・淘汰方式の補助的な方策としてAI不活化ワクチンを使用することができるとの見解を示しております

    本病の防疫対策の一つであるワクチンは、米国、メキシコ、イタリア及びパキスタンなど
    で使用実績がございます

    鳥インフルエンザ不活化ワクチンの効能・効果は、主として発症の低下及びウイルスの排泄の減少であり、完全に感染を防御できないこと、ワクチン抗体と野外感染抗体と区別がつかないことなどがデメリットとして挙げられています。

    しかし一方で感染防御できるとする試験結果報告もあり、DIVAシステムやおとり鶏を置くことでワクチン接種鶏群での感染を感知できるとも言われています

    本剤は、メキシコのAvi-Mex社が1998年に同国において製造承認を得たもので、1994年にメキシコで分離されたH5N2亜型ウイルスをもとに、メキシコ政府がマスターシード及びワーキングシードを確立し、その配付を受けて製造しているものでございます

    本剤は、メキシコ以外では、概-6ページの表1-2-2に示しますように、グアテマラとかエルサルバドルで承認されており、現在、タイ及びインドネシアでも承認申請中でございます。

    続きまして概-14ページをお開きください。安定性に関する資料でございます。3ロットについて製造直後から6カ月ごとの間隔で免疫原性試験を行い、本製剤の安定性を検討しました結果、概-15ページから17ページまでにHI抗体価の推移を示す図がございますが、それぞれ、85倍、143 倍、63倍と、規格値以上のGM値を示し、安定していることが確認されております。

    続きまして概-18ページをお開きください。安全性に関する資料です。本剤を白色レグホンSPF鶏に、10日齢、その5週後の45日齢、さらに4週後の73日齢に、それぞれ常用量及び5倍量を皮下接種いたしました。その結果を表7-1-1に示しますが、観察期間中の育成率は、すべての鶏群で100 %で、一般状態等にも変化は認められませんでした。

    (略)
    続きまして、概-19ページからは薬理に関する資料ですが、概-22ページの真ん中からですが、このワクチンの有効性ということで、まず
    メキシコ分離高病原性AIV攻撃試験での評価ということで、概-23ページからになりますが、本剤を10日齢のSPFのひなに皮下接種し、21日目にメキシコで分離されました高病原性鳥インフルエンザウイルスで攻撃をし、防御効果を検討いたしました。

    その結果、まずHI抗体価は免疫後2週で90%陽転し、3週では100 %陽転となり、攻撃後の結果は、表8-4A-1に示しますように、ワクチン接種群は攻撃後臨床症状を呈するものは認められず、無免疫対象群はすべて発症・死亡が認められました。よって、本ワクチンは100 %の発症防御効果を示す有効性が確認されました。

    次に8-4Bで、日本分離高病原性AIV攻撃試験での評価ですが、これは動物衛生研究所で実施された攻撃試験です。本剤を3週齢のSPF鶏に皮下接種し、3週後に、今回山口県の発生で分離されたいわゆる山口株で経鼻攻撃いたしました。

    その結果を次のページの表に示しますが、まず表8-4B-1に示しますように、ワクチン接種群では発病、死亡ともに認められず、咽喉頭スワブ及びクロアカスワブからウイルスは回収されませんでした。一方、対照群はすべての鶏が発病、死亡し、咽喉頭及びクロアカスワブからウイルスが回収されております。

    それから、表8-4B-2に攻撃前後におけるHI抗体価の変動を示していますが、HA抗原を山口株とした場合とワクチン株とした場合のそれぞれを示してありますが、ワクチン接種群ではそれぞれ攻撃後にHI抗体の上昇が認められています。対照群は攻撃により死亡してしまいましたので、未検査ということです。

    以上のことから、本ワクチン1羽分注射鶏は、アイソレーター内の好条件下及び免疫後3週目において良好な抗体応答を惹起する免疫原性を有するとともに、ヘテロである山口株の攻撃に対して、100 %の感染防御効果を示す有効性が確認されたと考察されています

    次に概-24ページの8-4C、日本分離高病原性AIV攻撃試験での評価(2回免疫)ということで、これも動物衛生研究所で実施された試験ですが、本剤の用法・用量どおりに2回免疫をし、2回目免疫後27日目に山口株で経鼻攻撃いたしました。

    その結果を次の概-25ページに示しますが、まず表8-4C-1に示しますように、ワクチン接種群では発病、死亡ともに認められず、咽喉頭及びクロアカスワブからウイルスは回
    収されませんでした。

    一方、対照群はすべての鶏が発病、死亡し、咽喉頭及びクロアカスワブからウイルスが回収されています。それから、表8-4C-2にワクチン接種時及び攻撃前後におけるHI抗体価の変動を示していますが、HA抗原を山口株とした場合とワクチン株とした場合のそれぞれを示してありますが、ワクチン接種群では、ワクチン1回注射後に全例が陽転し、ワクチン2回注射後には抗体価が約2分の1に減少しました。これらのHI抗体価は、攻撃後、有意な上昇は見られず、逆に、攻撃前の約2分の1に低下しました。

    以上のことから、本ワクチン1羽分2回注射免疫鶏は、アイソレーター内の好条件下及び免疫後3週目での山口株の攻撃に対して100 %感染防御効果を示し、咽喉頭及びクロアカスワブ、各種臓器からもウイルスが回収されず、攻撃後のHI抗体価の上昇が見られなかったことから、感染防御も付与できたものと考察されています

    続きまして概-31ページをお開きください。臨床試験に関する資料でございます。埼玉県と神奈川県の2カ所の農場におきまして、試験群200 羽、対照群200 羽の採卵鶏を用いて安全性及び有効性を評価いたしました。

    まず安全性につきましては、概-32ページの9行目から記載してありますように、臨床症状、注射局所の反応、増体重、育成率、産卵率で評価をいたし、隣のページの表12-1-1及び表12-1-2に示しますように、すべての項目で適合と判定され、安全性に問題はないと考えられました。

    また、有効性につきましては、概-31ページの下から3行目に示しますように、インフルエンザの流行が認められなかったので、HI抗体価が80%以上の鶏で160 倍以上である場合に有効と判定するとしまして、その結果を概-33ページの表12-1-3に示しますが、試験群の2回注射後4週のHI抗体価が160 倍以上の比率は、実施施設1では90.0%、実施施設2では95%であり、両実施施設とも有効性の判定基準に適合したと判定されております。

    それでは、一番最初の審議経過票にお戻りください。本申請につきましては、7番の欄に示しますように、平成16年10月14日に開催されました動物用生物学的製剤調査会で御審議いただき、次のページの別紙1に示しますような指摘事項、特に御確認いただきたいのは、下から二つ目の丸にあります、用法・用量に「家畜伝染病予防法第3条の2に基づき規定される高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針に従い使用すること」の文章を追加すること。

    この防疫指針の中にはワクチンの使用につきまして、「都道府県知事は、原則として同一の移動制限区域内の複数の農場で本病が続発し、発生農場の飼養家禽の迅速な淘汰が困難となり、又は困難になると判断される場合に、家畜伝染病予防法第31条の規定に基づきワクチン接種を実施する。

    ワクチン接種を実施した家禽等について、家畜伝染病予防法施行規則第13条の規定に基づき標識を付し、その移動を制限するとともに、接種家禽、農場等はすべての接種家禽が処分等をされるまでの間、家畜防疫員による定期的な検査等の監視を行う」と規定されております。

    それから、次の丸にありますように、効能・効果でございますが、申請時はH5亜型の高病原性鳥インフルエンザの発症予防及びウイルス排泄の抑制でしたが、それを「鳥インフルエンザの発症予防及びウイルス排泄の抑制」とすること。それから、次のページの裏面に、使用上の注意を別紙2のようにすること、これらを条件としまして事前の調査審議を終了し、本部会に上程して差し支えない。なお、再審査期間は、新有効成分含有動物用医薬品ということで6年とするということでした

    なお、本日、本製剤の承認が可とされた場合、後に控えています同じ鳥インフルエンザのワクチン2製剤についても同様ですが、薬事法第79条に基づき、輸入に際しては一定の条件を付すことを検討しております。また家畜伝染病予防法施行規則第57条第2号に「高病原性鳥インフルエンザ予防液」を追加いたしまして、家畜伝染病予防法第50条に基づき、都道府県知事の許可を受けなければ使用してはならない製剤に指定をし、国及び都道府県の管理下で防疫指針に従ってモニタリングも適正に実施される場合に限って使用し得るものとする予定でございます

    以上でございます。御審議のほどをよろしくお願いいたします。

    (略)
    ○○委員 ほかに御意見ございますか。
    ○○委員 これは、
    H5のタイプであればNが違っていてもすべて防御をするんですね。
    ○○委員基本的には交差防御はする。少なくとも日本のチャレンジ株はH5N1ですから
    。ここで使っている山口のは。
    ○○委員 よろしいでしょうか。

    (略)

    衛生管理課長 ちょっとよろしいですか。
    ワクチンの今までの承認は、一つの株についての承認ということだったんですけど、これはそういう意味では新しい概念の承認をしようとしておりまして、今目的としているものは一つなんですけれども、そうじゃない株を使ったものも認めるという形の承認をしようとしています。
    それに関連する○○委員の御意見なんで、ちょっと、そこが御説明が前後しているので。

    ○○委員 どうでしょうか。ほかにも2剤ありますね。インフルエンザワクチンというのは来シーズンに向けて急を要する問題だと思うんです。ですから単刀直入に考え方を明らかにしていただいて、それを前提に話し合った方が効率がいいんじゃないかと思いますので、もし差し支えなければ。

    事務局 わかりました。そうしましたら、事前配付資料の7番が製剤基準の一部改正案になりますが、そちらをご覧ください。
    ○○委員 変則になりますが、こっちの方の説明を先にしていただいた方が効率がいい
    と思いますので。
    事務局 
    通常、ワクチンの場合は、承認されて、新薬の場合は6年の再審査期間がつくんですが、再審査が終わった後、製剤基準を規定するとなっています。しかし、このものについては、今言いましたような問題がありますので、これが承認されると同時に製剤基準を規定したいと考えております。その具体的な案が事前配付資料の7番の2枚目から示してあります。

    タイトルは鳥インフルエンザ(油性アジュバント加)不活化ワクチンですが、定義が、低病原性鳥インフルエンザウイルスを発育鶏卵で増殖させて得たウイルス液を不活化し、油性アジュバントを添加したワクチンであるとなっています。

    その下に製法、2.1 製造用株となっていまして、2.1.1 名称のところに「別に定めるインフルエンザウイルスA型株」となっております。これは、今後国が備蓄用のワクチンなりを検討いたしまして、国が配付するウイルスでもこの承認の中で自由につくって、自由につくったものを輸入できるという規定でこのように設定されているものでございます。
    ほかのものも説明した方がよろしいですか。

    ○○委員 関連していますから、前後が逆になりますけど。
    事務局わかりました。では、続きまして具体的な中身も御説明させていただきます。
    このものの
    製造方法は非常に古典的なものでございまして、ウイルスを発育鶏卵で培養しまして、その尿膜液を採取し、不活化して、アジュバントを添加して小分分注するというものでございます

    2ページから各製造段階での試験方法が記載されてございます。まず製造に用いる発育鶏卵の試験ということで、培養観察と鶏赤血球凝集試験が規定されております。それから、3.2 ウイルス浮遊液の試験といたしましてウイルス含有量試験が規定されております。それから、3.3 不活化ウイルス浮遊液の試験といたしましては、無菌試験と不活化試験が設定されております。

    3ページですが、3.4 原液の試験といたしましては無菌試験が設定されております。最後に3.5 小分製品の試験といたしましては、特性試験、無菌試験、チメロサール定量試験、ホルマリン定量試験、安全試験、4ページになりますが、力価試験というものがそれぞれ規定されております。

    それから、最後に5その他という事項がありますが、添付文書等記載事項といたしまして、肉用鶏(種鶏を除く。)には使用しない旨、それから、採卵鶏又は種鶏を廃鶏として食鳥処理場へ出荷する前の所定の期間は使用しない旨を規定することとなっております。以上でございます。

    ○○委員 ありがとうございました。今の事務局の話を前提にして話し合った方が効率がいいかと思います。
    改めまして御意見、御質問等ございましょうか。
    ○○委員 株の名前の話は後で結論を出していただきたいと思います。
    次に、有効期間の記載なんですけれども、申請書の4ページで、8の有効期間、製造後24カ月間。通常、製剤基準は2年間と書いていますけれども、先ほど説明された製剤基準では、「2年間とする。ただし、特に承認されたものはその期間とする」ということで、申請されたH5N2の試作品のデータは24カ月、2年間の有効期間、免疫原性があるということでデータが提出されているんですけれども、それ以外の株で同じような処方でつくったときに本当に2年間かどうか、そこはデータとして提出されていないので、2年間として一律承認していいのか、製剤基準にもあるように「特に承認されたものはその期間とする」ということで、データを確認しながら、別の製造用株で製造されたときには適宜有効期間を設定していくという二面性を持たせた方がいいんじゃないかと私は考えています。

    ○○委員 事務局、いかがでしょうか。
    薬事・飼料安全室長 先ほど○○班長から御説明しましたのは、基本的にはヒト用のイ
    ンフルエンザワクチンの手法を動物用にも当てはめるという対応をとる考えでございます。

    ヒト用の方は現在、A型のH1とH3、それからB型の3価の混合ワクチンになっているわけでございまして、その株については国が定める株を使うということになって、外国とか国内での流行状況を見ながら株を決めていくという対応をとっております。

    緊急に対応しなければいけないわけで、株ごとに一つ一つ安定性試験をやることができな
    いということがございますので、
    このワクチンは不活化ワクチンで、ウイルスは不活化してしまえばあとの成分は基本的に同じということでございますので、安定性試験は24カ月というデータがあれば、ほかの株を使った場合にも当てはめることができるだろうということで、基本的にヒト用と同じような対応をとりたいという趣旨でございます。


    ○○委員 そうした場合、仮に2年間ということで固定したときに、別の製造用株で製造したときに、その製品についても追っかけて安定性試験をつくってもらうというお考えでしょうか。もうつくらない。もし安定性のデータに疑義がある、おかしければ、その時点で新たに有効期間を設定し直すと考えておられるんでしょうか。

    薬事・飼料安全室長 基本的に、特段の疑義が生じなければ、株を変えたごとに安定性試験をやる必要はないのではないかと考えております。毎年株の検討をするわけでござ
    いまして、その都度2年間の安定性試験をやっても、結果的に後でわかるということでございますので、
    特段の問題が生じなければ安定性試験をそのたびごとにやる必要はないのではないかと考えております

    ○○委員 とりあえず先行している製造用株のものを置いておくということで承認して、後で問題があれば変えるということですね。
    薬事・飼料安全室長 はい。そういう考えでございます。
    ○○委員よろしいですか。
    ○○先生、何か御意見ありそうですが。
    ○○委員 僕は○○さんが言われたように、後でもいいからサイエンティフィックにバリデーションされたものに従ってやるべきであって、A株、α株でもいいですが、こいつが24カ月だから、同じ製法でつくられたやつは一律24カ月というのはちょっと乱暴なんじゃないですか。24カ月データのあるものについてはそれでいいですけれども。

    それから、人間の場合は確かにもう定着していますから、A、B、Cを含めてあれですけど、鳥のインフルエンザはすべてA型ですよね。今わかっている限りは。もし人と同じように定着が起こって、BだCだ何だと出てくれば予測と対応というのが必要になるけれども、現時点でヒトとハーモナイズするために全く同じにしなければならないということは、僕はない気がするんです。

    薬事・飼料安全室長 基本的には、先ほど御説明しましたように防疫指針にのっとって、このワクチンは当面備蓄をし、必要な場合に使うという対応をとるわけでございまして、備蓄をするにも数量には限度があるわけで、正直なところ、経済動物でございますので、ワクチンにつきましてもある程度の経費といいますか、そこには限度があろうかと考えております。

    ですから、例えば1,000 万ドースぐらいしか備蓄しないのに2年間の安定性試験を毎回やるというのが果たして製造コストという面でどうかなという面もありまして、いずれにしても全くやらないというわけではございませんので。

    ○○委員 安定性試験をやって、例えば1年安定であることが確かめられれば自動的に
    それは1年有効、さらに18カ月目に引き抜いて試して、それだけのがあれば18カ月とい
    うことですよね。それもやらないわけですか。

    例えば、H5、Nは幾つがあるか知らないけど、N8をだれかが分離して、低病原性であるといって、同じ製法でワクチンをつくろうと、ぽんと不活化したやつを申請してきたら、それは自動的に、安定性試験なしで24カ月いいですよとしてしまおうという考えですか。

    薬事・飼料安全室長 いや、だれかが勝手に株を変えるのではなくて、今のところまだ実際にするかどうかわかりませんけれども、国の方で厚労省の研究班方式みたいなものをつくって、その中で適当なワクチン株を指定するという対応をとって、その株でやる限りにおいては新たに承認を取らずに、現在の承認の中で株を変えることができる。その際の有効期間は24カ月としたいという御提案でございます。自由に株を変えられるというものではございません。

    ○○委員 しかし、もし効かなかったときは大問題にならないですか。例えば24カ月といって1年目に打ったんだけど、何かによって不安定だったために、後で調べてみたら18カ月後にはその株はすごく効きが悪くて、何を打ったんだという問題は起こらないですかね。

    ○○委員 議論が製剤基準の一部改正とAIの不活化ワクチンの輸入承認とごっちゃになっていると思うんですけど、製剤基準の改正については株を定めた後のことを言っておられるんじゃないんですか。株を定めるかどうか、まだ決まっていないわけですよね。

    これが承認されて、こいつが入ってきた。こいつを、もとの会社がこちらの方が有効だと株を切りかえたときも、輸入申請を出して、ここで審議して、そのときには当然、有効期間のデータもついてくるわけですよね。製剤基準で株を定めない場合には。

    薬事・飼料安全室長 もちろんそうです。
    ○○委員 そうすれば、そのときにそのワクチンの有効期間のデータも当然ついてきて、この場で審議するということになるんじゃないでしょうか。

    ○○委員 それはいいんだよ。今言っているのは、いずれ国内で自分たち用に自分たち
    でつくり出したときに、今回、読みとしてはH5N1だと思ったけれども違う株がばかんと高病原性で来そうだという委員会の決定になって、急遽新しく国内でつくったやつで対応しなければならないというときに、2年間の安定性の試験がとても間に合わないけど打たなければならない。そのときに一律2年間として決めちゃっておいていいかということですよね。

    薬事・飼料安全室長 とりあえず今回、この製剤は24カ月で……

    ○○委員 これはいいです。データがあるわけですから。
    薬事・飼料安全室長 私どもが提案しております方法は、数年後にそういう方式を採用したいということでございますので、お二方の委員からそういう御指摘がございますので、そういった時点で安定試験をどうするか一緒に議論していただいて、その結果を踏まえて、安定性試験をやるとか、あるいは、最初のうちは安定性試験を義務づけておいて、24カ月安定だということがわかれば将来的にはなくすとか、そういった方針を決めることでいかがでございましょうか。

    ○○委員 それの方が賢明だと思うね。
    ○○委員 いずれにしましても、2題コンフューズしているようですが、ここではこのものについて承認をするかしないか、まずこれが大前提です。ただ、承認するといたしましても、このものが全く動かないという状況ではなくて、場合によってはそのあるいは年によってマイナーの手直しがあり得るということを前提に考えて承認を考えなければならんということだと思うんですね。まだ2剤ございますので、それを含めて後でもう一度ディスカッションがあろうかと思いますが、まずこのもの、1番目の不活化ワクチン、承認かそうでないか結論を出さなければならんと思うんです。
    いろいろな問題を加味しながら、ほかに、否定するというような状況で何か御発言がございましょうか。

    ○○委員 安全性のことで、オイルアジュバントで皮下に接種されるので接種部位等に残らないということなんですか。それとも体全体に残っていないということなんですか。オイルが残るということは。

    ○○委員事務局 どうぞ。
    事務局 オイルアジュバントの残留性につきましては、まだ試験が続行中でございます。
    このものは、3番目に御審議していただきますノビリスIA inac のメキシコ政府が出している同じガイドラインでつくられているもので、製造用株は同一で、アジュバントもほぼ同じものでございます。したがいまして、ノビリスIA inac が出荷制限が36週ついていますので、多分このものについても同じぐらいオイルアジュバントが残るだろうということで、暫定的に36週間という出荷制限がつけられているものです。実際にどれぐらい残るのか残らないのかというのは、今試験をしていますので、今後追加でデータが出てくる予定になっています。

    ○○委員 ある意味では、その結果を見るまで待てないという事情もあることを御配慮
    いただきたいと思います。

    薬事・飼料安全室長 今の件に関しましては、現在、食品安全委員会にも、このワクチンを鶏に接種した場合の食品健康影響評価をお願いしております。10月7日に食品安全委員会の親委員会で御審議をしていただきまして、10月20日に動物用医薬品専門調査会で御審議をいただきました。

    その結果を受けて、11月4日に食品安全委員会がございまして、その中で、実は3月に、本日3番目に御審議いただきます品目について備蓄しているわけでございまして、それについてはオイルアジュバントということで、ほかの製剤と同様36週間の出荷制限をつけるべきだという御指摘をいただいております。

    この製剤につきましても、同じアジュバントを使っておりますので、食品安全委員会から指摘を受けた同じ期間の出荷制限を設定したということでございます。

    ○○委員 ○○先生、よろしいですか。
    ○○委員 はい。わかりました。
    ○○委員 ほかに。
    どうぞ。
    ○○委員 一つお尋ねしたいんですけれども、この製剤は10日齢以上の鶏に打つわけで、2回目の注射が産卵開始前とか産卵中とかいう例もあるわけですね。そういった場合、産卵中に注射を打った場合に産卵率の低下はなかったという報告はデータとして出ているんですけれども、これから卵を産むよという、初めて卵を産む鶏を対象にした場合、
    産卵開始前に打った場合、産卵開始が遅れるというほかの鶏のワクチンもあるわけです
    ね。このワクチンについては注射を打っても産卵開始日齢が遅れることはないというよ
    うなデータはあるんですか。

    事務局 産卵率は調べてないですね。幼すう、まだ産む前の段階でワクチンを打った試験というのは概要の33ページの表12-1-1になりまして、そこでは評価のメルクマールとして産卵率は調べていません。ただ、平均体重、増体重、育成率で目立った変化がないとなっていますので、そこから類推しておそらく産卵率が低くなるとかいうのはないのではないかと思われますが。

    ○○委員 それは、推測ではちょっと無理な話なんですね。インフルエンザと違いますが、別の疾病のワクチンに、産卵何週間前にやってくれ。それは産卵開始日数が遅れるからというようなワクチンが既にあるんですね。これについて、やはりきちっと試験をして、これをしても遅れませんよ、また、産卵開始4週前にやってくれれば遅れませんよという状況かもしれませんが、それはやってみなければわかりませんけれども、初めて産む鶏の産卵開始日数が遅れるということは大変なことなんですから、そういった情報をきちんと入れるべきではないかと思うんです。

    ○○委員 ちょっと聞きたいんですけど、このワクチンは、先ほどの話だと、もはや押さえ込めないというエマージェンシーのときに打つワクチンですよね。備蓄する意味は。実際に打った鶏はどういうことになるんですか。卵は使うわけですか

    薬事・飼料安全室長 現在、ワクチンを使った場合どういったモニタリングをするのか、あるいはワクチンを打った鶏由来の卵とか鶏肉をどうするかというのは、このワクチンが承認になるときにあわせて通知でお出ししたいと思っております。

    その中では、卵につきましては先般の食品安全委員会で既に3月、今備蓄しているワクチンについては食品健康影響評価を終了しておりまして、卵については特に休薬期間は必要ないということになっておりますので、卵はそのまま出荷されることになります

    ただ、○○委員の御指摘のように、私どもの方針といたしましては、当初は緊急ワクチン接種という形になろうかと思いますので、幼すうであろうが採卵鶏であろうが、必要な地域には緊急接種することになりますので、もし採卵鶏に打つ場合には産卵率の影響は出るかもしれませんが、そこについてのデータはないわけでございます。

    ですから、我が国に鳥インフルエンザが長く残るということになれば、用法及び用量に書いてありますように、事前に10日齢、あるいはその後5~10週齢に打つというような対応になります

    必ずしも用法・用量どおりこのワクチンが使われるわけではないということも念頭に置いておかなければいけないと考えております。

    ○○委員 つまり、これは恒常的に使うという意図は今のところないわけですね。蔓延を防ぐ、いわば外壁を固めるという意味合いでのみ使う。ですから、産卵率の低下が見られたとしても蔓延を防ぐためにはやむを得ないという考え方ですね

    ○○委員 それはわかるんですけれども、きちんとした情報は入れておくべきだということなんですよ。

    ○○委員 ○○委員の言うのはおっしゃるとおりだと思うので、これは是非入れていただいて。承認の可否とは別の条件だと思いますけどね。

    事務局 その点、申請者にデータがあるかどうか確認しまして、もし産卵前、直前に打ったりした場合には産卵率が低下するというデータがあれば、少なくとも産卵開始の何日か前に接種が終わるようにという使用上の注意を付すように指導いたします。

    もし何もデータがないということでしたら、接種によって産卵率の低下が認められる場合もあるという情報提供の一文を加えるように指導させていただきます。それでよろしいでしょうか。

    ○○委員 先生のは産卵率ではないですね。産卵開始日の遅延ですね。
    事務局 産卵開始日が遅れるという。
    ○○委員 ただ、緊急事態ですから、やってはいけませんよじゃなくて、こういったことがあるということでとめた方がいいと思うんです。やってはいけないということではなくて、こういった情報がありますということだけはきちんと知らせるべきだという。

    事務局 わかりました。
    ○○委員 これ、輸入品で、かなり中南米で使われていますね。そこでの使用成績とかそういう形で調べていただけるなら、申請者じゃなくて輸入相手先で情報提供してもらいたいと思います。

    事務局 申請者に確認させていただきます。

    ○○委員 よろしくお願いします。
    ほかにいかがでしょうか。
    ○○委員 申請書の中身で、規格及び検査方法の9.2 というところで中間製品の試験方法が書いてあります。中身は先ほど説明された製剤基準と同じ試験項目しか書いてないんですけれども、概-10、11を見ると、ウイルスの試験、不活化後の試験、そういうところを見ると、それ以外の試験項目も向こうでやると規定されているんで、相手先のやっている試験方法はきちっと輸入相手先の試験の中に規定しておくべきではないかと考えます。
    実際に向こうできちっと製造されて、品質検査されたものが日本に来ると思うので、そのものはきちっとこちらも把握しておく必要があると思います。

    事務局 そうしましたら、規格及び検査方法は、メキシコの製造元でやられている試験と、日本バイオロジカルがやる試験と分けて、二つ記載するように指導いたします。
    ○○委員 ○○先生、よろしいですか。
    ○○委員 はい。
    ○○委員 ほかに、まだありますか。
    ○○委員 申請書の製剤基準の小分製品の9.5.5 安全試験の記載方法で、HI試験をやると規定しているんですけれども、製剤基準の規定ぶりと若干ニュアンスが違っています。製剤基準を見ると、吸収処理をした血清できちっと陰性であることを確認するとか、非特異をできるだけ排除するような方法で規定されているので、できればその方法を申請者が自分のところでやる試験に規定した方がいいと考えます。

    ○○委員 今の○○先生のことはいいですね。
    事務局 安全試験のところのHI試験は製剤基準の記載に合わせた形にするということだと思いますので、そのように指導をいたします。

    ○○委員 ○○先生どうぞ。
    ○○委員 この製造用株というのは低病原性ということですね。病原性と免疫原性は関係がないんですか。

    事務局 まず、病原性についてはメキシコ政府で低病原性ということになっていまして、免疫原性については、先ほど攻撃試験とか臨床試験で御説明しましたようなHI抗体価の上昇がきっちり見られていることで免疫原性はあると理解していますが

    ○○委員 あるわけですけど、病原性が強い方が免疫原性も強いということではない。低病原性であっても最高の免疫原性を持っているという試験がなされた上での株の選択ですかね。

    事務局 おそらく、高病原性ですと卵で増やすことができないわけで、低病原性のものを用いて卵で抗原をわっとふやして、不活化してワクチンにしているということだと思いますので、病原性が高くなればなるほど免疫原性が高くなるかというのはわかりません。

    ○○委員 低病原性のウイルスで卵に打った方がたくさんのHA抗原がとれるということですか。
    事務局 
    高病原性ですと、すぐ死んでしまいますので

    ○○委員 わかりました。
    ○○委員 
    高病原性で製造したら、Nタイプが一緒の場合、野外感染鶏と見分けがつかなくなる。

    事務局 そういう危険性もありますね。
    ○○委員
     昨年、動物医薬品検査所で海外の状況を調べたときにも、USDAも製造用株は必ず低病原性でなければいけない。ヨーロッパも低病原性を確認された株でつくるということで、高病原性鳥インフルエンザのワクチンに関しては、製造用株は低病原性でつくらないとかえって危険だ。仮に不活化されていなかったり、製造所から拡散するという話もありますので、低病原性でつくるというのが一つの思想です

    ○○委員 抗原性という意味ではなくて、安全性の面で。
    ○○委員 はい。
    ○○委員 わかりました。
    ○○委員 ほかに。よろしいでしょうか。
    ○○委員 もう一つ。前回の部会の中で、不足するデータは追加させますということで、この中身で見る限りこの製品に問題はないと思うんですけれども、安定性試験とか安全性試験とか、もう一つ、免疫持続の試験も、別の製剤かもしれませんが、確実に不足しているデータに関しては事務局で把握して追加データを求めるということで、別途指示していただきたいと思います。また、必要があれば審議会の方に報告していただく話になると思います。

    事務局 はい。資料については、○○委員から御指摘された部分は追加でやっているの
    を把握しておりますので、コンプリートされたら提出させますので、中身は私どもで審査して、必要があれば調査会、本部会に御提出させていただきます。

    ○○委員 よろしいですか。
    ほかには御意見ございませんか。
    それでは、これは積極的な否定はないと判断いたします。承認でよろしゅうございま
    すね。
    〔「異議なし」の声あり〕
    事務局 ありがとうございました。本剤につきましては、まず○○委員から、接種後、産卵開始日が遅れるかもしれないというお話がありましたので、そこについては申請者に調べさせて、必要な情報を使用上の注意に付すとさせていただきます。

    それから、○○委員から、規格及び検査方法の中で、メキシコの製造元での試験方法が記載されていないので、それを記載するようにということと、これは輸入側の方の安全試験ですが、HI試験が製剤基準とは違うので、それについては合わせるということ、それから一番最初に○○委員から御提案がありました、製品名から(H5N2亜型)という部分を取るということで、それも取るようにさせていただきます。

    あとは、冒頭私どもから御説明させていただきましたように、本製剤の承認に際しては薬事法第79条に基づいて一定の条件を付すことを条件といたしまして、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。なお、再審査期間は新有効成分含有動物用医薬品ということで6年とさせていただきます

    ○○委員 大分時間をとりましたけれども、重要な問題ですから、当然と言えば当然の
    ことだと思います。

    ■写真 雪の朝の木もれ陽。

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    トリインフルエンザ・ワクチンの質問にお答えして

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    cowboy様からいっぱいご質問を頂きました。ありがとうございます。わかる範囲でお答えしていきましょう。

    ▼Q1 、人に感染する恐れのあるトリインフルの検体の検査が各家保で可能なのは何故なのでしょう。

    ■A それは今トリインフルにおいて、3点セット検査方式がとられたからです。血清検査、PCR遺伝子検査、ウイルス分離検査で確定できてしまうからです。
    そして検査で陽性がでれば直ちに対処に入ります。

    今までのように動物衛生研究所に検体送付した結果を待って「確定」判定する必要がないのです。もちろん、検体送付はするにはしますが、家保検査の追認ていどになりました。

    ▼Q2 トリインフル発生農場から半径10km圏内の移動制限が継続中にも係らず、卵の出荷(特例措置?)が可能なのは何故なのでしょう。

    ■A 原則、それはありえないはずです。移動制限には生体、生産物は必須です。養鶏でしたらヒヨコの搬入も認められません。逆に今、されているのでしょうか。

    ▼Q3 野鳥にトリインフルの発生があっても、移動制限がなされないのは、何故なのでしょう。

    ■A 口蹄疫と違ってトリインフルの難しさは、自然界に無数にいる野鳥経由なことです。そしてその感染した野鳥が養鶏場の鶏に感染を伝播したかはまったく不明なわけです。

    実際、水鳥(渡り鳥)⇒内陸の野鳥⇒鶏という感染経路は完全に実体が証明されているわけでもなさそうです。たぶんそうだろう、それしか考えられないという消去法、蓋然性レベルなようです。

    口蹄疫のような農場間、地域内でもさえも難しいのに、相手が自然界ですから迷宮というのが正直なところです。自然界だから渡り鳥に出ても、一回一回やっていたら、現実に成り立たないのではないでしょうか。

    ▼Q4 平成18年以降にワクチン製造が完了した旨の申請は、国内4社から実際にあったのでしょうか?つまり、AIワクチンは実際に存在、備蓄されているのでしょうか?

    ■A トリインフル・ワクチンは存在します。4社の結果はわかりません。そして間違いなく、輸入品であったとしても国家備蓄されています。

    ▼Q5 緊急ワクチンの摂取範囲を、発生農家10km以内にするという妥当性は、如何に?

    ■A これは移動制限区域の半径10㌔を参考にした私の私見にすぎません。しかし、現実に宮崎の飛び火状況からみれば、そのていどの接種範囲は必要ではないのでしょうか。

    ▼Q6 ワクチン接種は、範囲内全ての飼っている鶏などに行うのでしょうか?

    ■A 私は採卵鶏,ブロイラー、そして動物園の鳥類まで含めてそうすべきだと思っています。感染媒体として鳥類なら同一条件ですから。

    ▼Q7 AIワクチン接種による休薬期間があると思うのですが、このことは、ワクチン接種の障害になりませんか?

    ■A ワクチンは薬剤ではないので残留しません。ですからこれも私見ですが、ないと思われます。

    ▼Q8 緊急ワクチン接種をメディアが報じると、接種した鶏などに、風評被害が付き纏う懸念はありませんか?

    ■A 難しい問題ですが、危機管理の中には、危機的状況をいかにして伝えるのかのリスク・コミニケーションが大切です。なにが安全であるのか、なにと闘っているのかをしっかりと消費者に伝える必要があります。その意味で前知事は優秀でした。リスク・マネージメントはちょっとでしたが。

    さて、ここからは質問回答形式から離れます。

    率直に言って、宮崎県の畜産は最悪の状況にあります。かくも被災が重なれば、それが畜種は違ったとしてもひとつの地域として支えきれるのかという瀬戸際にあると思います。

    そしてもうひとつ、今回のトリインフルの宮崎発生に対して国民の支援の声は少なくなりつつあります。私たち畜産農家からすれば自然由来の悪い偶然の累積と見ますが、残念ですが一般国民はそう見ないでしょう。

    要するに、国民一般にとって「またか」なのです。このような時に宮崎畜産農家が風評被害をいまだに気にかけているとすれば、それは既に遅いのです。

    宮崎ブランドは地に落ちたと思って下さい。いまだ宮崎のブランドがあるとすれは、それは地獄から立ち直った強さとその流された涙に感動しているからです。

    いうまでもなく、それは宮崎畜産ブランドのほんとうの復興ではありません。ほんとうの復興は風評を恐れないことです。真正面からその風評と闘うことです。そしてその根拠を明らかにすることです。

    そのような素朴で原則的な方法を積み重ねていくしかないと私は思います。

    ■写真 わが家の三バカ大将の一匹。モナカ君です。趣味は小犬レスリング、無意味に走ること。特技は早食い。

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    農水省はトリインフル・ワクチンを備蓄している!  直ちに発生県にワクチン接種せよ!

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    本日は、 メンドリまま 様から非常に重要な知見を頂戴しました。大変に重要な情報ですので、今回と数回にわけて全文を公開いたします。ありがとうございました。

    農水省は平成16年(2004年)9月2日に動物用医薬品等部会でAI(トリインフルエンザ)ワクチンについて審議をしていました。

    審議されたのが、平成16年9月と11月ですから、あの2005~6年の茨城トリインフルのパンデミック時には既に国家備蓄があったことになります。

    実は私はこの審議会が開かれた翌年の2005年11月に、農水省動物衛生課に発生の真相解明を求めて陳情に行っています。被災地農民として泣き寝入りは許さないと思ってのことです。

    この会談の中で農水省はこのようなことを言っています。

    まず、農水省も限りなく茨城の大発生は違法ワクチンであると考えている。しかし、物証がない以上「グレイをクロとは言えない」。

    そして、ワクチン接種は野外株と混同されるので接種を認めていない。そしてワクチン備蓄自体についても明言を避けました。

    この農水省の言い分は当時それなりに説得力を持っていました。なにせ茨城県内の大型農場で広範に使われたのが違法ワクチン、別名「未承認ワクチン」だったからです。グアテマラ株から採取したおそらくは中南米で製造された不活化が甘いものだったようです。

    不活化がルーズだったために、接種した農場からなにかしら原因で漏れだして感染を拡大しました。特にひどかったのは廃鶏(*ひとつの農場で一定期間産卵を終えて後に、再使用される鶏のこと)経由だと思われる水海道地区の養鶏団地でした。第1例はここで出ました。

    一方、感染源となった養鶏場には共通項があります。獣医師を常駐させる大規模養鶏場であり、経営者ワンマンでの同族経営であり、しかもウインドレス(*無窓鶏舎・完全密閉式の工場型鶏舎のこと)であったことは可笑しみさえ覚えます。

    唯一例外的な小規模養鶏場はK農場といい、ここも獣医師自らが経営しており、農場内にはワクチン製造ができる研究室もありました。

    原因は違法ワクチンです。これはA鶏園裁判を経てほぼ定説なっています。シラばっくれているのは農水省動物衛生課のみです。、

    さて、この茨城で使われたと思われるウイルス・タイプが、多数米国内に流入して始末に困っていることが、農水省の疫学報告の中に米国研究者からのサゼスチョンとして出てきます。

    しかし、実はこの議事録を読むと農水省はしっかりと自ら「未承認ワクチン」を備蓄していたようです。

    平成16年9月2日の農水省•動物用医薬品等部会議事録はこのように記録しています。

    事務局(農水省衛生管理課)
    鳥インフルエンザワクチンにつきましては、現在インターベット社製のものを国は備蓄をしておりますが、このものについては薬事法未承認ということで、今後は薬事法で承認されたものを備蓄したいというふうに考えてございます。」

    正直、これには驚きました。農水省は私の陳情と対応した時点で既に、トリインフル・ワクチンを備蓄していたのです。しかも薬事法未承認のワクチンを承知で。

    そしてこう農水省は述べています。

    鳥インフルエンザ不活化ワクチンの製造用株の選定・配布について」ということで、先ほど申しましたように、今後は国が製造用株を選定いたしまして、その製造用株をもってワクチンを製造していただいて、それを国が備蓄したい。そういうシステムを今考えているところでございます。」

    そしてトリインフル・ワクチンの国内開発をしていることも記録されています。

    国内製造ワクチンにつきましては、(略)4社が開発を進めております。スケジュールとしましては、今年度から平成18年度にかけまして開発を進めていただいて、それが終わりましたら申請していただくという形になってございます。」

    そして今後に関しては国家備蓄をすると書かれています。

    「鳥インフルエンザ不活化ワクチンの製造用株の選定・配布について」ということで、先ほど申しましたように、今後は国が製造用株を選定いたしまして、その製造用株をもってワクチンを製造していただいて、それを国が備蓄したい。そういうシステムを今考えているところでございます。」

    まぁ、それにしてもこの文書を「くれぐれも取り扱い注意ということでよろしくお願いします」と参加委員に念を押すのも分からないでもないですね。

    これでトリインフルワクチンが存在し、国家備蓄していることが分かりました。宮崎で2件のトリインフルが発生しています。緊急ワクチンを接種する時期は今しかありません。

    鹿野農水大臣は山田前大臣の前例を踏襲すべきです。ただし、ワクチン接種後に殺処分する必要は養鶏においてはありません。

    政府はただちにトリインフル・ワクチン情報の備蓄に関して情報を開示し、宮崎県を中心とする発生農場周辺10㎞に緊急ワクチン接種を行うべきです!

    全文はこらからご覧いただけます。

    動物用医薬品等部会議事録(平成16年9月2日)(PDF:201KB)

               ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    農水省•動物用医薬品等部会議事録(平成16年9月2日)

  • 薬事・食品衛生審議会 動物用医薬品等部会 議事録

    (5)鳥インフルエンザ不活化ワクチンの承認について
    ○○委員その他、(5)鳥インフルエンザ不活化ワクチンの承認について、事務局から
    お願いします。

    事務局当日配付資料、黒の№4をご覧ください。この資料なんですけれども、もしお
    持ち帰りになられるようでしたら、くれぐれも取扱注意ということでよろしくお願いいたします。

    「鳥インフルエンザ不活化ワクチンの承認について」ということで、鳥インフルエンザワクチンにつきましては、現在インターベット社製のものを国は備蓄をしておりますが、このものについては薬事法未承認ということで、今後は薬事法で承認されたものを備蓄したいというふうに考えてございます。それで今鳥インフルエンザワクチン等緊急開発事業というものをやっておりまして、その中で輸入ワクチン、それから国内製造ワクチンの開発促進を進めております。

    まず輸入のワクチンでございますが、1の(1)で示してありますように、①から③の3つの製剤の開発が進んでいるところでございます。これらにつきましては、今後承認申請が上がってきます。

    承認申請は、今月9月、今の予定ですと、9月15日にこの3製剤の承認申請が上がってくる予定でございます。そうしましたら、今予定されておりますのは10月14日に生物の調査会がございます。そこで御審議をしていただいて、11月に本部会が開かれる予定にさせていただきますので、次回の本部会で御審議していただきまして、問題がなければ承認ということで、12月の薬事分科会に報告というスケジュールを立てさせていただいているところでございます。

    (3)の「審査に当たって」ということなんですけれども、このものについてはまず基本的にはクラシカルな不活化のオイルアジュバントワクチンであるということから、そういう前提に立てば、添付資料に基づきまして安全性及び有効性に特段の問題がなければ御承認させていただきたいと存じております

    なお、不足のデータ等がございましたら、薬事法第79条の条件に基づきまして、後ほど追加要求ができるようになってございます。
    ③、本剤は、現状におきましては、承認後直ちに野外で使用されるものではないということなのですが、これにつきましては、つまり防疫マニュアルというものがございますので、その防疫マニュアルに従って使用することが条件とされるものということでご
    ざいます。

    また、4番については、輸入等に対して、条件を付すことがあるということでございます。
    5番に、「承認後は、動物用生物学的製剤基準の医薬品各条に収載し、国が別に定めた
    製造用株を用いても製造できることとする。」ということで、次の2のところで、「動物用生物学的製剤基準の医薬品各条の作成」ということなんですけれども、通常ワクチンの場合は6年間の再審査を終了した後に、動生剤基準をつくることになってございますが、このものについては、これを承認する際に動生剤基準をつくりまして、その中で製造用株を「別に定めるA型株を用いる。」というふうに規定いたしまして、今後、国が指定する製造用株ならば、いわゆる事項変更ですとか、新たな承認申請を出さずに、その承認の中で製造できるという形に、つまり人のインフルエンザワクチンがこういう形になっていまして、それに倣った形をとりたいと考えてございます。

    動生剤基準のスケジュールにつきましても、製品と同じように10月の生物学的製剤調査会で御審議いただき、その後、11月の本部会で御審議していただいて、その後、告示という手続をとりたいと思っています。

    3の国内製造ワクチンにつきましては、今、①から④に示します4社が開発を進めております。スケジュールとしましては、今年度から平成18年度にかけまして開発を進めていただいて、それが終わりましたら申請していただくという形になってございます

    3ページ目になりますが、「鳥インフルエンザ不活化ワクチンの製造用株の選定・配布について」ということで、先ほど申しましたように、今後は国が製造用株を選定いたしまして、その製造用株をもってワクチンを製造していただいて、それを国が備蓄したい。そういうシステムを今考えているところでございます

    一番最後に図が添付してございます。このシステムは現在厚生労働省がとっていますシステムをまねしたようなものでございます。左側が厚生労働省のシステムを簡単に示したもので、右側が今後農林水産省で実施していきたいというふうに考えているものでございます。

    衛生管理課の方から動物医薬品検査所の方に次のシーズンの株の選定依頼をいたしまして、動物医薬品検査所の方は大学ですとか試験研究機関、それからこのインフルエンザのワクチンの承認を持っているメーカーさんと協力しまして製造用候補株を選定いたします。

    その後、検討委員会の中で近隣諸国での流行ですとか、国内分離株の解析、それから製造用候補株の物理化学的な試験、こういったことから株から選定していただいて、それを衛生管理課の方に回答する。それをもちまして衛生管理課は備蓄用ワクチンの入札をいたしまして、ワクチンメーカーは指定されました製造用株を用いて製造し、検定を受け、合格したものを衛生管理課の方に納品して、それを国が備蓄するというシステムを考えています。

    以上でございます。
    ○○委員ありがとうございました。

    以下続く

              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    ■写真 棕櫚が雪を被りました。なんか南国的な棕櫚ですから面白いですね。

    ■ 追記 OIEで口蹄疫の清浄国に復帰が認められました。このことについては別途にコメントいたします。まずはめでたいことです。

    日本 口てい疫清浄国に認定

    NHKニュース 2月5日 21時45分

    去年7月以降、口てい疫の新たな発生が確認されていないなどとして、家畜の伝染病を監視する国際機関は、日本を“口てい疫が発生していない国”と認定しました。これを受けて農林水産省は、一部の国や地域を除いて禁止されている、牛肉などの輸出の再開に向けて、本格的な交渉を進めることにしています。

    日本は、去年4月に宮崎県で口てい疫が発生して以降、家畜の伝染病を監視している国際機関、OIE=国際獣疫事務局から“口てい疫が発生している国”と指定され、牛肉などの輸出が一部の国や地域を除いてストップしていました。これについてOIEは、今月1日から4日までパリで開いた委員会の中で検討した結果、▽去年7月以降、口てい疫の新たな発生がなく、▽OIEの基準に従って宮崎県内の150か所の農場で行った検査でも、新たな感染が確認されなかったなどとして、日本を“口てい疫の発生していない国”「清浄国」と認定しました。これを受けて農林水産省は、現在輸出が止まっている国や地域との間で、牛肉などの畜産物の輸出の再開に向けて本格的な交渉を進めることになりました。一方、隣の韓国では口てい疫の感染が拡大しているとして、農林水産省は、今月を日本への侵入を防ぐための強化月間と位置づけ、空港や港での監視を続けています。この決定を受けて、宮崎県の河野知事は「口てい疫が発生していない国に復帰できたのは、畜産農家をはじめ関係者が、畜産を守るという強い決意のもと、防疫措置を講じたたまものです。韓国などでは依然として口てい疫が発生しており、宮崎県としては今後も防疫対策に全力を注いでいきたい」というコメントを発表しました。

    ■追記2 

    都農・門川で鳥インフル=感染、今冬14例に―宮崎

    時事通信 2月6日(日)0時38分配信

     宮崎県は5日、都農町と門川町の養鶏場でそれぞれ鳥インフルエンザに感染した疑いのある鶏が見つかり、遺伝子検査の結果、ともに「H5亜型」ウイルスが確認されたと発表した。養鶏場での感染確認は今冬、宮崎県内で計10例、全国で計14例に拡大した。
     県では自衛隊に派遣を要請して都農町の農場の鶏約9万6000羽の処分に着手したほか、門川町の農場の鶏約3万羽についても6日朝から殺処分を行う。また、鳥インフルが発生した両町の農場の半径10キロ圏内には家禽(かきん)類の移動制限を出す方針。 

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    国際穀物相場高騰 日本に食料危機は来るのか?

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    穀物の高騰が止まりません。下の記事にもあるように、一部の国では食料危機からの暴動が伝えられ、政権を揺るがす問題に発展しています。

    まずは資料から見ていきましょう。

                 ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    世界の食料価格が過去最高に

    FAOは、先月の世界の食料価格指数が過去最高となり、今後も高値の傾向が続く見通しであることを明らかにし、食料価格の上昇で発展途上国などの貧困層に深刻な影響を及ぼすことも懸念されます。

    FAOの食料価格指数は、穀物や食肉、砂糖など主な食料の国際価格から算出しているもので、FAOは3日、2002年からの3年間を100とした指数が、先月は前の月より3.4パーセント上がって231になったと発表しました。

    これは、統計を始めた1990年以降、最も高い値となっています。内訳で見ますと、価格が横ばいだった食肉を除き、乳製品、砂糖など主な食料品がすべて値上がりしています。

    その理由については、▽オーストラリアで続く豪雨の被害など、各地の天候不順が農作物の収穫に影響を与えたほか、▽中国やインドなど経済成長を続ける新興国で食料の需要が高まっているためとみられます。

    世界的な食料価格の上昇は、中東地域のチュニジアの政変の発端となったうえ、エジプトでの大規模な抗議デモの一因ともなっています。

    FAOによりますと、食料価格の高値傾向はさらに数か月続く見通しで、発展途上国などの貧困層に深刻な影響を及ぼすことが懸念されるほか、国によっては今後も反政府デモなどの要因となる事態も予想されます。(NHKニュース 2月4日

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    この穀物類の中で特に小麦の国際市場価格が注目されます。エジプトなどの中東全体の政治地図を塗り替える可能性がある国で、小麦の高騰が起き、それが国民の独裁への不満に点火したためにムバラク政権が退陣に追い込まれる寸前までいっているからです。

    では、わが国ではどのような影響が出るでしょうか。農水省は、「食料安保の危機」という構図を作りたいようです。

    私はジワリとした影響は出るであろうし、畜産農家の経営は一定期間厳しくなることはありえるでしょう。しかし、中長期的には「食料安保」(私はこの概念自体に懐疑的ですが)を揺るがす事態にはなりえないと思います。

    下の図をご覧ください。これは世界の主要小麦輸入国とその量を示したものです。典拠はFAOです。先日も篠原副大臣が「日本は世界最大の食料輸入国だ」などと言っていましたが、小麦の輸入量においては5位にすぎません。

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    世界一の小麦輸入国はなんとあのパスタを世界中に輸出しまくっているイタリアです。なんのことはないイタリアン・パスタの原材料は輸入穀物が多かったようです。

    イタリア人は大戦中のアフリカの戦地にもパスタを担いで行ったようなパスタが命の国民です。それが日本より200万tも多く輸入しているのは驚かされます。

    イタリアは1970年代の100万t台から実に7倍も小麦輸入を増加させており、日本のコメを全量外国に依存しているようなことをしているわけです。イタリアはせっせと小麦を輸入し、せっせとパスタを世界に輸出している食糧加工国だったのです。

    第9位のオランダもシブイですね。オランダは食料国内自給率過去30年間で72%から53%へ急落しています。落ち幅では同時期の日本より大きいほどです。

    にもかかわらず、オランダは世界第2位の食料輸出国です。オランダは価格が低く、耕地面積を食う飼料作物の栽培を止め、国際的な評価があり競争力の強い花や野菜、食肉の輸出にシフトしたからです。

    ですから、カロリーが下がった分だけカロリー自給率上は、国内自給率が激減することとなりました。もっともオランダでカロリー自給率など問題にする人間はひとりもいませんが。オランダは非常に面白い農業政策をしているので、別途にまとめてみたいと思っています。

    さて、小麦輸入第2位は、世界の穀倉を自他ともに認めるブラジルです。ブラジルという国は私にはサッカーくらいしか縁がないのですが、実は世界の穀物需給を考える時にはずせない存在です。

    この「世界の穀倉」ブラジルで、どうしてこのような大規模な小麦輸入が行われているのかといえば、非常にビジネスライクなことが原因です。

    ブラジルは小麦などという儲からない、ブラジルが競争してもしかたがない穀物はそもそも作らないからです。ブラジルが作る穀物は、バイエタで大儲けしたサトウキビ、中国市場を制圧している大豆、綿花などに重きを置いています。

    ちょっと話はそれますが、大豆は日本人にとって豆腐や味噌として食品として食べるのですが、諸外国では一般的に大豆油を絞るための油糧作物として位置づけられています。FAOも大豆を油糧作物に分類しています。

    中国ではこの油を絞った後の搾りかすを大豆ミールとして家畜や養殖魚の餌としてきました。この結果、小麦やトウモロコシの輸入量が抑えられたそうです。

    この中国で激増した大豆を供給したのがブラジルです。ブラジルは、1960年代に3千万㌶だった農地を、90年代にはその倍の6千万㌶まで拡げています。この耕地面積の大部分が大豆に当てられているようです。

    中国の大豆輸入に見られるように大豆ミールの使用量は1960年代を1とした場合2000年代にはその10倍とになるまで急増しました。では、国際市場価格が上昇したかといえばノーです。

    急増した部分は、ブラジルが生産拡大することで補ったのです。ですから、日本の豆腐も味噌も値上がりをしませんでした。

    話を戻しましょう。食糧危機が来るのかと問われれば、私は来る国は来るが、来ない国は来ないと答えることにしています。もちろんわが国は来ません。

    先日のニュースで、ケーキ屋さんが小麦と砂糖の値上がりで困っているとこぼしていました。しかもデフレ過当競争で価格に転化もできない。キャスターが「また世界に食糧危機が来るのでしょうか」としたり顔で嘆いてみせていました。

    小麦と砂糖ですか・・・、いつだったか私のブログでも取り上げましたが、小麦は国が輸入の独占的卸もとです。国家が独占輸入をしているという、自由主義経済国とは思えないことをしているのです。

    たとえば国際市場で3万7千円/tで買い入れた小麦を、国内にはその2倍の6万9千円/tを政府売り渡し価格としています。日本の消費者や畜産農家は国際市場価格の実に2倍もの高い小麦を買わされていることになります。

    そしてこの差額は国内小麦の補助金に化けます。これも100%補助というとてつもない竹馬を履かせて、国内小麦相場4万3千円/tのところを8万6千円/tで政府買い入れをしています。

    国際市場価格との差、実に2.5倍!私はひとりの畜産農家として言いますが、かんべんして欲しいものです。

    私たちは複数の輸入業者が競合して相場を形成する世界に生きていないようです。日本政府が独占輸入する国際市場の倍額の穀物で家畜を養うことを強制されているのです。

    このような奇怪な仕組みが「食糧安保」の名の下に行われています。国産小麦を作れ、それで食料国内自給率をアップしろと号令をかけるのなら、まずはこのような馬鹿げた国家独占輸入体制を一刻も早く止めるのが先決でしょう。

    菅内閣は「農業改革」とやらを唱えていますが、まずは農水省の省益によってバカ高い小麦を買わされている日本国民にそのカラクリを説明することから始めてほしいものです。

    世界は確かに今、食糧危機の足音を聞いています。しかし、食料危機の原因は、発展途上国の貧困問題、流通インフラの内戦などによる崩壊、国内農業生産の破壊、輸出商品がないための外貨の不足などによるものです。いずれもわが国には当てはまりません。

    私は今後、世界的な穀物危機を迎える可能性があると思っています。その都度、私たちにも影響が出るでしょう。しかし、その国際的穀物危機の処方箋は、農水省が言うような「食料安保」、言い換えればカロリー自給率の向上ではありません。

    農水省の言う食料自給率の向上とは、単に飼料作物の国内生産を増加し、米の減反政策を維持し続けることに過ぎないからです。国産飼料用麦を増産するためには、その財源である輸入小麦の輸入を伸ばさねばならないとは逆説もいいところではないですか。

    そのためには、前世紀の遺物と化した食料の国家統制を止めることを考えていかねばなりません。

    ■写真 早朝の雪の湖岸です。

    ■追記 コメントをいただいて、もう少し補足説明をしました。コメ欄と重複しますが転載します。

    もう少し追加で説明いたします。

    伝統的な中国の食風土との関係で考えてみようと思います。中国は伝統的に大豆を油糧作物として大量に使ってきました。

    しかし1970年代までは中国が準鎖国体制にあったためにそのほとんどを自給してきました。しかし開放経済の発展と共に大豆の需要が急増しました。

    それに伴って輸入量も急増し、91年には85万tだったものが、2004年には2190万tと実に25倍に増えています。中国国内の大豆生産量も同じく91年に972万tから、04年には1760万tにまで増えています。

    この増加は大豆油とその絞りカスである大豆ミールの需要急増のふたつの増加要因が重なったためです。

    つまり大豆油と食肉、特に豚肉の生産急増が原因で中国の大豆の輸入が急増したわけです。

    そして、その大豆の輸入増加分はほぼすべてがブラジルからの輸入でまかなわれました。中国の大豆輸入量とブラジルの輸出を比べると見事なパラレルのグラフになります。

    利根様がご指摘のようにトウモロコシも併用していることは間違いないでしょうが、大豆ミールを使うことが中国の食肉生産で重要だったことはその輸入量の圧倒的多さからみても間違いありません。

    さて、世界の「畜産革命」が1970年代から80年代にかけて起きました。これは飼料要求率の極小化と短期飼育の定着、短期飼育用品種への転換、高蛋白飼料が容易にえられることが背景にあったわけです(ちなみに私はこれに批判的ですが)。

    このために60年代には年間2億tだった世界の飼料穀物の消費量が、70年代には5億tへと増加したものの80年代以降はこの飼料用穀物の伸び率は鈍化しています。

    この飼料の高蛋白化の主要原因は、やはりこの大豆ミールです。特に中華料理で多用する大豆油のいわばリサイクルで出来る大豆ミールは中国で重用されたようです。

    利根様の「合理性がない」との仰せですが、私は彼らの食体系からみて充分に合理性があると思っていますが、いかがでしょうか。

    一方わが国は伝統的に沿海のイワシなどを使った魚粉が養鶏の蛋白の主成分でした。これはわが国においては容易に得られて、大豆ミールより食味にコクが生まれることから利用され続けてきました。

    これも日本の伝統的な食体系と無縁ではありません。世界の畜産飼料組成を研究したわけではありませんが、やはり置かれた地理的条件、伝統的な食体系と無縁ではありえないと思います。

    わが国は米国を飼料基地とし、かつ飼育方法も大きな影響を受けたせいかトウモロコシを穀類のベースにしますが、欧州では伝統的に麦類を使っています。それは牧草と麦類の輪作体系という歴史的背景があるからです。

    わが国においては、養鶏が卵黄色のカロチノノイド色素との関係でトウモロコシを欲しがるのは分かりますが、価格的なことがなければ麦類がベースとなったのではないでしょうか。

    いずれにせよ、私が本日のブログで言いたかったことは、飼料用にせよ、食用にせよ、国際市場価格とかけ離れた価格で政府渡しにする構造自体がナンセンスだということです。

    ましてや現在の食糧高騰の時期にしてはならないことを政府はしてきたことを批判して書いた次第です。

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    トリインフル・ワクチンを解禁せよ!

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    トリインフルエンザ(AI・Avian influenza)という悪魔がまた広がる気配を見せています。

    先日の記事でも書きましたが、シベリア地域といういわばトリインフルの供給元の地域において、今まで言われてきた弱毒タイプから強毒タイプH5N1型に既に変異しているのではないかという暗い予想が立てられています。

    ということは・・・、毎年必ずトリインフル強毒タイプを持った渡り鳥は日本や韓国に飛来するということになります。トリインフルの定期便が開通してしまったようなものです。

    下図を見てください。わが国は完全に発生国によってぐるりを包囲されてしまっています。わが国自体も発生国です。

    トリインフルはアジアこそが発生の本場なのです。しかも伝播するのは国境なき渡り鳥です。これでどうやって防げというのでしょうか!

    Photo  H5N1型の流行状況 :家禽か野鳥が死亡 :人と家禽か野鳥が死亡
    [Wikipediaより引用]

    私たち畜産農家にとって致命的なのことは渡り鳥のみならず、防疫方法が消毒と防鳥ネットしかないという情けなさにあります。

    私はもう何度も言ってきていますが、事後に疫学調査をしても真の原因はつかめません。

    マスメディアは、やれ、防鳥ネットに穴がひとつ開いていただのと鬼の首を取ったように書き立てますが、そんなものは開いていてあたりまえです。ネットは風ですぐに破れてしまうものなのです。

    愛知でネズミ穴があったって?そんなもののひとつもない養鶏場などこの世にありゃしませんって。

    疫学調査など、「わからないと行政の責任問題になるからやっている」ようなしろものにすぎません。行政の自己満足に堕していると言ったら言い過ぎでしょうか。

    本来このような強力な伝染力を持つ悪性海外伝染病を防ぐには、ただひとつの方法しか有効ではないはずです。

    そう、ワクチンです。ワクチンを定期的に初生雛(*生まれたばかりの雛のこと)からおおよそ30日間隔で接種し、最終的に大雛期に不活化ワクチンを接種して終了するワクチネーション・プログラムを実施することです。

    ワクチンによって抗体を上げる、これしか防ぐ方法はないはずです。百人の養鶏家に聞いても百人がそう答えるでしょう。ワクチンしかない。ワクチンを解禁せよ、と。

    かつてN2型弱毒タイプの大発生があった時にも、養鶏協会は緊急の全国集会を持ち、強くワクチン解禁を求めました。

    しかし農水省にニベもなく拒否されました。その理由は、以下です。

    「鶏用ワクチンが開発されているが、感染予防には完全ではなく、ニワトリの感染を完全回避はできず、感染しても発症を低減できるのみである。

    そのため、鳥インフルエンザウイルスの感染拡大の阻止には無力であると判断されている。また、ワクチンを使用すると、抗体検査による感染鶏区別が不能となり摘発淘汰が困難となる。ワクチンを使用した地域ではウイルス撲滅に失敗している。日本では、使用は禁止されている。」
    [Wikipediaより引用]

    要するに、一回接種すると、ワクチンによる抗体か、自然感染による抗体か区別がつかなくなる、という例のお定まりの言い分です。

    この言い分は確かに2005年の茨城トリインフル事件においては有効な言い訳でした。なぜなら、茨城の場合発生した理由は業者による違法ワクチンの可能性があったからです。

    しかし、現在は明らかに状況が違います。感染拡大の原因は、渡り鳥であり自然界由来のものであることは明白です。ならば、ワクチン抗体と混同される可能性はありません。

    もうひとつの理由に、ワクチンがいまだ臨床試験の段階で、「プレパンデミックワクチン」にすぎず、実用のワクチンの開発には実際のトリインフルがが発生してから、その株をもとに開発開始するため半年以上かかるから、とも言われています。

    要するに、現在流行しているトリインフルの株を見てから作るので間に合わないと言いたいようです。

    この理由も変ですね。現場の家保の獣医師さんがなんと指導しているかといえばこうです。

    「トリインフルエンザと似た症状を呈するニューカッスル病(ND)は、あるていどトリインフルにも有効です。NDワクチンををしっかり打って下さい」。

    で、養鶏農家は藁にもすがるような気分でたぶんダメだろうと思いながらもNDワクチンを打っているわけです。ばかばかしい。ならば初めから、H5N1型の去年発生したタイプの株のワクチンを打てばいいではないですか。

    それでもなおかつダメと言う理由があるとすれば、それは接種した地域の疫学調査においてワクチン由来の抗体と自然界由来の抗体の見分けがつかないということくくらいでしょうか。

    ところがこれもおかしいのです。トリインフルのNSP(非構造タンパク)フリーワクチン、別名マーカーワクチンを使えばいいだけのことです。マーカーワクチンによって確実に自然由来の抗体と識別が可能です。

    そんなものはないって?ないのではありません。開発していないから「ない」だけの話です。口蹄疫とトリインフルは初めから殺処分ありきの一本槍でしたから、製薬会社が商売にならないので作らないだけにすぎません。

    解禁しないから、開発が極度に遅れてしまっているのです。ニワトリが先か、卵が先かをやっている時じゃないでしょう、今は!

    宮崎口蹄疫事件でNSPフリーワクチンが使用できなった、というか本来の接種後識別可能という特長を生かして使用できなかったのは、清浄国への転落を短期間で終わらせるという関税外障壁がひとつの理由でした。

    牛、豚は確かに関税外障壁の部分は大きいと思います。私もそれを否定できません。しかし、養鶏は違います。日本の畜産業数あれど、数少ない国際価格競争力を持つ分野です。

    今でも関税はないに等しいところで日本の養鶏業はやっています。ワクチン未接種・清浄国から転落してワクチン接種・清浄国にランク落ちしてもいっかなかまいません。

    困るのはワクチン未接種・清浄国というトップランクからころがり落ちて傷つく農水省官僚の自尊心くらいなものです。ああ、バカバカしい!

    直ちに農業現場の声に耳を傾けて、農水省はAIワクチン接種を解禁しなさい!
    それしか防ぐ方法はないのです!

    ■写真 見事に斜めに並んだので撮ってみました。

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    OIE、発生国でも衛生基準が適合した区域ならば清浄国扱いにする規約変更を審議中

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    日本農業新聞(2月3日)によれば、韓国口蹄疫の殺処分数がとうとう300万頭を超え、史上空前だった英国2001年の規模に近づきつつあります。まだいっこうに衰えない勢いをみると、このままではかつてない世界最大規模の発生となります。

    この55万頭を飼育する韓国最大の畜産団地である忠清南道洪城郡の豚の発生は、既にワクチン接種をしていた豚だった模様です。

    これで2月2日現在で累計142例、殺処分対象は302万4661頭,うち豚が287万6568頭、牛が14万8093頭となりました。

    また韓国トリインフルも拡大の一途を辿り、2日現在で40例、243農家、541万1483羽が殺処分対象となりました。まさに蔓延状況です。こちらも歯止めがききません。

    一方日本がOIEにが申請していた口蹄疫清浄国回復について 2月1日~3日にパリで科学委員会を開いて決定されます。これで復帰が認められれば、個別の国との交渉の後に輸出が再開されることになります。

    なお、現在OIE科学委員会は家畜の国際基準の見直しを進めており、「口蹄疫の汚染国でも、一定の衛生条件を満たした区域で生産された偶蹄類は清浄国で生産されたものと同等に扱う規定」(日本農業新聞2月3日)を審議します。日本は「慎重な扱い」を求めていますが、同委員会を通過すれば5月のOIE総会で決定事項となります。

    これは、仮に発生国であったとしても、OIEが定める一定の衛生基準に適合した地域でさえあれば、清浄国として輸出ができることを意味します。

    これは最大の食肉貿易国にして、最大の清浄国である米国の動向にもよりますが、もし総会で通るとなると、今までの口蹄疫防疫そのもののあり方を考えなおさねばならなくなります。

    かねてからOIEは清浄国ステータスが関税外障壁として利用され、国際貿易を阻害しているとして批判を浴びてきました。

    これは事実上の清浄国ステータスの段階的な見直しです。今まであったワクチン未接種・清浄国、ワクチン接種・清浄国、発生国というカテゴリー分類が条件付きで意味をなさなくなります。

    まだ情報が少ないので決定的なことは言えませんが、これはOIE内のEU諸国がかねてから提唱する、ワクチン接種を前提とした口蹄疫防疫方法となにかしらの関連があるのかもしれません。

    今回の韓国の巨大発生は世界でも注目されており、今までかたくなに初動殺処分にこだわってきた韓国の失敗を背景にしていると思われます。

    つまり、もはやこのグローバリズムの時代に口蹄疫をワクチンなしで阻止することは不可能であり、マーカー・ワクチン(NSPフリーワクチン)を使って行くべきだとの認識が広まりつつあるのではないでしょうか。

    この動向次第では、この5月OIE総会が日本の口蹄疫防疫の分水嶺となるかもしれません。

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    大分でも鳥インフル=感染5県に拡大

    時事通信 2月3日(木)0時4分配信

     大分県は2日、大分市の約8100羽の採卵鶏を飼育する農場で、高病原性鳥インフルエンザに感染した疑いのある鶏が見つかり、遺伝子検査で陽性を確認したと発表した。養鶏場での感染確認は今冬同県で初めて。鳥インフルの発生は島根、宮崎、鹿児島、愛知の各県に次いで5県目、全国の養鶏場では11例目となった。
     県によると、同日午後2時20分ごろ、この農場から「通常より多く鶏が死んでいる」との報告を受けた。県が検査したところ、遺伝子検査で11羽中9羽に陽性反応が出て、H5亜型の高病原性鳥インフルエンザと確認された。
     感染の確認により、全ての鶏を殺処分し、この農場を中心に半径10キロ圏内にある11の養鶏農場も含めた家禽(かきん)類などの移動を制限する。 
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    ■写真 雪の早朝の静まり返ったレンコン田。わが地方はノーマルタイヤで雪の日でも走るので、皆ケツを振るというのがこわい。

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    2005年茨城トリインフル事件においてはトリインフルエンザがヒト感染していた!

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    2005年茨城トリインフル(N2型弱毒型)事件では、食肉処分にあたった作業員40名にヒトへの感染が見つかりました。
    なぜか?信じられないかもしれませんが、2006年茨城県はトリインフルに感染した鶏を食肉加工することを認めたのです!
    なんとまぁ、今思っても仰天決定ですが、県はレンダリングと食肉加工はN2型弱毒だから大丈夫だとしました。
    もちろん命じられた作業員の人たちはゴム手袋をして作業し、直接に鶏体には触れてはいないはずです。マスクもしていました。
    だから感染はありえないと言うとしたら、はい、あなたは現場を知らない人です。
    現場は鉄火場です。スピードが命です。ラインの速度に合わせて懸命に作業します。たとえば、汗を拭くためにゴム手袋を脱ぐとします。その時に次の鶏体が回ってきたとしたらそのまま素手で触ってしまうこともあるでしょう。
    ゴーグルをしろ(食肉加工時にはゴーグルはしませんが)と言われても曇ってはずす場合もあります。今日は風邪気味なのでクシャミをするためにマスクを取ることもあるでしょう。現場は机上の想定通り動かないものなのです。
    もしその作業員が単なる風邪ではなく、インフルエンザだったとしたら、トリインフルとの混合感染になるかもしれません。
    当然ながら防疫計画には、このようなケースは想定されていません。性善説というか、「出来ていて当然」から発想してしまいます。
    ところがあいにくなことには、人間は過ちを犯すから人間なのです。ヒューマン・エラーとは、このような偶発的で不幸な偶然の累積から生まれるようです。
    さて、2006年にはインフルエンザの発症はなく、作業員からの抗体検査結果の陽性に止まりましたが、それはあくまでも弱毒N2型だったからです。強毒タイプのN1型ではどうなるのかはわかりません。
    今年の事例においても既にヒト感染されている可能性があります。行政は至急検査をするべきです。
    2005年の経験者である私の経験からみれば、九州の取り組みは制圧活動においては優れていますが、トリインフルをやや甘く見ているような気がしてなりません。
    今回のトリインフル事件において、ヒト感染の危険が報道についてはまったく触れられていません。行政もその危険を関係者に通達しているようには思えません。
    風評被害対策と、そこに現実にある危機を知ることとは本質的に別なはずです。
    参考のために当時の地元紙「茨城新聞」報道と、茨城家保の養鶏関係者への緊急通達を掲載します。
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    鳥インフルエンザ 県内養鶏場関係者ら40人ウイルス感染か             
    茨城新聞2006/01/08

    ■2次感染恐れなし
     茨城県内の養鶏場関係者ら約四十人が、H5N2型の高病原性鳥インフルエンザに過去に感染していた可能性が強まり、厚生労働省と国立感染症研究所が、体内にできた抗体などの詳細な検査を進めていることが七日分かった。
    いずれも症状はなく、二次感染の恐れもない。同県内の養鶏場では、昨年六月から鶏への感染が相次いで判明したが、抗体検査の結果から関係者が感染した時期はそれより前の可能性があるという。
     茨城県内で流行したH5N2型は、アジアを中心に人への感染が広がり新型インフルエンザへの変異が懸念されるH5N1型より、毒性は弱い。
    しかし感染が確認されれば、鳥から人への感染報告がほとんどないH5N2型が、人へも予想以上に広がることを示す結果で、対策が課題となる。
     国内で鳥ウイルスの人への感染は、京都府の農場で二○○四年二月にH5N1型が発生した際、男性従業員(当時)で初めて確認された。今回、感染が確定すれば、それ以来。
     厚労省や茨城県などは、養鶏場の関係者や鶏の処分作業に当たった自治体職員らを対象に、ウイルス感染がないか調査を実施。鶏との接触状況や症状の聞き取り、のどなどの粘液を採取して行うウイルス検査のほか、感染研では血液で感染の有無を調べる抗体検査などを進めている。

    ■県、400人検査
     鳥インフルエンザの鶏への感染が昨年六月以降、四十養鶏場で相次いで発覚した茨城県では、新たな感染が確認される度に、県が養鶏場に職員を派遣し、従業員など約四百人を対象に体内にウイルスや抗体がないか検査を行ってきた。
     県保健予防課によると、調査対象には、養鶏場経営者や家族、従業員のほか、鶏を食肉処理する施設の従業員や、鶏の処分作業に当たった自治体職員も含まれる。
     問診のほか、のどの粘膜をぬぐって迅速診断キットでウイルスが存在するか調べる。
     しかし、迅速診断キットはウイルス量が比較的多くないと反応が出ない問題点があり「東南アジアでは感染者の50%程度しか引っ掛からなかった例もある」(同課)という。
     このため県は、ウイルスのDNAを増幅させるPCR検査も行っている。さらに約二カ月の間隔をおいて採血し、国立感染症研究所に送付、二度の採血の間に感染によって体内にできる抗体の上昇がないかも調べている。だが、検査期間の途中で養鶏場を辞め、二度目の採血ができない元従業員もいるという。
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    ■養鶏場従業員感染の疑い
    茨城新聞 2006/01/18

     国の抗体検査で県内の養鶏場従業員らが過去にH5N2型の鳥インフルエンザに感染していたと見られる問題で、県は十七日、厚生労働省に対し、詳しい追加検査の実施や本県で独自検査を行うためのウイルス分与などを要望した。
     要望書は橋本昌知事名で、県保健福祉部の泉陽子次長が厚労省を訪ね、担当者に手渡した。
     要望書は、養鶏場従業員ら県内の七十人が過去にH5N2型に感染していた可能性が強いとした抗体検査について「現在では十分な知見が得られていない」とし、
    ①抗体検査で感染が疑われる人に対する遺伝子レベルの検査実施
    ②H5N2型が発生していない養鶏場従業員や一般人を対象とした検査実施
    ③抗ウイルス薬タミフルが抗体検査に及ぼす影響の検討
    ④県衛生研究所で抗体検査を実施するため、本県で検出されたH5N2型ウイルスの分与-を求めた。
     県保健予防課によると、これらのうちH5N2型ウイルスについては、抗体検査を行った国立感染症研究所ではなく動物衛生研究所(つくば市)から分与を受ける見通しとなり、県衛生研究所で検査体制確立の準備に入る。
    また、水戸保健所は十六日から三日間、国の抗体検査を受けた養鶏場従業員らを対象に、検査結果について説明会を開催。十七日までに約四十人が参加し、「家族の赤ちゃんに感染しないか」などと不安な声が寄せられたという。
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    養鶏関係者の高病原性鳥インフルエンザ感染予防のための
     留意点
    (養鶏関係者のみ家畜保健衛生所から2006年2月下旬通達文書抜粋)
    1.(前略)発熱等の健康状態の以上が認められた場合には、速やかに医療機関を受診すること。
    2.鶏の異常死の生むの観察に努め、高病原性鳥インフルエンザが疑われるような異常が認められた際は、死亡鶏等への接触を避け、速やかに家保に連絡し、対応を相談すること。
    3.高病原性鳥インフルエンザの感染の生むが確認されるまでの間は、可能な限り鶏舎への立ち入りを控えることとし、どうしても立ち入らねばならない場合には、医療用マスク(N95推奨)、ゴーグル、頑丈なゴム手袋、防護服、長靴を着用するなど、必要な感染防御に努められたい。((後略)
    4.鶏の異常死が認められた養鶏場の従事者については、直ちに全員の健康状態の確認を行うこと。また、その方法については、保健所に相談されたい。
    家禽と接触がある者において、通常のインフルエンザに罹患した場合には、鳥インフルエンザとの混合感染を予防する観点からも、インフルエンザ罹患中に養鶏場での作業を避けること。
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    ■宮崎市のブロイラー19万羽を飼育する大規模養鶏場で1日、トリインフルが発生しました。県内7例目、全国10例目です。「県内事例との疫学的関連はない」(農水省)とのことです。
    ■記事右隅の1字分がが切れてしまいました。改行もできないし。原因はわかりません。修正しよとするとかえってすねます。察してお読みください。ごめんなさい。(。>0<。)なぜなんだぁ~

     

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    トリインフルの怖さは豚を経由してヒト感染する可能性があることだ

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    トリインフルエンザというのはある意味、口蹄疫よりやっかいな悪性海外伝染病です。

    その理由の第1は、感染を持ち込むのが日本の場合渡り鳥だということです。相手が野鳥なんですよ・・・日本防疫陣が得意の水際作戦ができないじゃないですか。

    昨年10月半ばに北海道稚内市で、野生のカモの糞の中からH5N1ウイルスが見つかりました。今年はこのことが発端でした。

    シベリア方面で営巣し、樺太を経て北海道に渡ってきた渡り鳥には、毎年そうとうな確率でトリインフル感染鳥が混ざっています。

    そして日本海側を通って南下する際に立ち寄った中継地で、たまたま居合わせたハクチョウなどに感染を移しました。これが富山、鳥取などでの発生例です。

    もともと、渡り鳥は弱毒型のウイルスを持っています。夏場に北極圏の営巣地で感染します。しかし、そのウイルス・タイプは弱毒型なので死にません。そして糞の中に大量にウイルスを排出し湖などの水場を汚し、それを他の鳥が飲んで感染が広がるというわけです。

    島根県安来市や宮崎県の養鶏場は、野鳥の集まる水辺の近くにあったため、渡り鳥がウイルスが持ち込んだと言われています。

    と、ここまでは去年までのパターンです。今年は大きく様相を異にしていました。どこか?
    シベリアからの渡り鳥がいきなり強毒型のH5N1ウイルスを持ち込んだのです

    従来の定説は、強毒型ウイルスに感染した鳥は死んでしまうので、ウイルスは宿主ごと死んでしまう、従ってシベリアへ帰る渡り鳥が強毒型ウイルスを運ぶことはない、だからシベリアなどの北極圏の湖は弱毒型であると言われてきました。

    しかし、そうではなかったのです。今年のシベリアから来た渡り鳥に強毒型トリインフルが見つかって、それが日本全国にバラ撒かれたとすれば、既にバイカル湖などのシベリア北極圏の湖ではウイルスは強毒タイプに変異したと思われます。

    ということは、今後日本や韓国に毎年飛来する渡り鳥には、かならず強毒性トリインフルエンザ感染鳥が多数混ざっていることを覚悟せねばならなくなったということになります

    また渡り鳥相手となると、空港の消毒などの水際作戦の効果は半減します。トリインフルはヒトをも媒介にしますから空港などの消毒は有効でのですが、大空には国境はありません。

    第2に、これがもっともやっかいなことなのですが、非常に少ない可能性ですがヒトに感染しいわゆる「新型インフルエンザ」二変異する可能性があります。

    特に東南アジアでは感染例が多く、死者さえ出しているためにWHOがベトナム、インドネシアなどに常駐しています。

    強毒型H5N1型ウイルスの鳥からヒトへ感染した数は、2009年は60~70人と、08年の2倍ぐらいに増えました。2010年も既に50人弱の患者が出ており、うち約半数は亡くなっています。

    これはもちろん、発生国の衛生環境が劣悪であった場合や、鶏肉の売買が生体で売り買いされたり、家の土間で鶏を飼っていたりするケースに、感染した人が虚弱だったりすることが重なって起きた、ある意味偶発的で不幸な出来事と言われています。

    しかし、これを偶発的不幸な事例、劣悪な衛生環境の国でしかありえないと切り捨てることはできません。

    というのは近年の事例では、たとえばインドネシアのケースにおいては感染した鶏から豚に感染する事例が出たのです。

    ウイルスは特定の種を自然宿主とすることは知られています。トリならトリの呼吸器の中にのみしか生存できないと言われてきました。原則としては鳥類のインフルエンザは人類に感染できるはずがないと思われてきたのです。これがウイルスが「ひとつの鍵穴にひとつの鍵」といわれる存在のゆえんです。

    しかし、このトリインフルエンザにおいては、そのありえないはずの「種の壁」を飛び越えて感染する事例が出始めました。

    その橋渡しをしたのが、ヒトと同じ哺乳類の豚です。感染した豚は豚に感染を移します。ところが豚はカモといっしょで感染しても症状が出ないのです。もちろん死亡もしないし、食下量も異常がみとめられないから困ります。

    豚の管理者は自分の豚が罹ったことに気がつかずに、群れの中でそのまま飼って、市場に出してしまいます。ここからトリインフルの豚感染がいっきに拡がります。

    となると、後はご想像どおりです。豚はヒトと共通のウイルスの宿主である場合がありますから、ごく稀ですが豚経由のトリインフルに感染してしまう場合が出るのです。

    インフルエンザウイルスを構成するアミノ酸は5000個ぐらいあり、トリ型とヒト型では30個ぐらいのアミノ酸に違いがあります。

    ブタ型は30個の半分が鳥型、半分が人型です。このようにウイルスのアミノ酸組成の半分ずつをトリ型とヒト型で併せ持っているためにブタ型はヒトインフルエンザに変異する可能性が高いのです。

    インフルエンザ・ウイルスはウイルスの特性として非常に変異しやすく、30のアミノ酸全部がヒト型にならないとヒト感染しないわけではなく、半分の15個変われば十分だそうです。いわば30桁のスロットマシーンを回し続けて、15の桁がいつ出るのかを待つ、ということだと研究者の間では言われているそうです。
    (以上の知見は、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター・田代真人センター長による)

    とまぁ、こんな風にトリインフルほど扱いにくい人類の敵は自然界にいません。口蹄疫は牛と豚、野生偶蹄類にのみ照準を絞って対策をたてればよかったのですが、トリインフルは無数にいる野鳥と豚までも防疫の対象にせねばならないのです。

    私は先日の宮崎県の大規模ブロイラー業者を反社会的だと批判しました。その理由のひとつには、食肉処理場ほどトリとの濃厚接触が起きやすい場所は世の中にないからです。

    処理するトリを一羽ずつ出荷コンテナに詰める、それを一羽ずつ出す、そしてまた一羽ずつラインのコンベアーのフックに吊るす、一羽ずつ頸動脈を切る、そして一羽ずつ包丁で解体して食肉加工する・・・このような一連の作業は近代的食肉加工場といえどすべて手作業です。

    この過程にヒト感染がありえる感染鶏を大量に持ち込んだら・・・。実は、2005年の茨城トリインフル事件においても、弱毒タイプでしたが食肉加工場の作業員40名が感染したことがわかっています。

    今回、かろうじて処理以前にストップがかかってよかったと思います。あのラインを回していたらと思うとゾッとします。

    トリインフルをむやみと恐れる必要はありませんが、非常に怖いウイルスであることを頭に入れて闘わねばなりません。

    ■ 写真 わが家の小犬。名前はミルク♂です。趣味は食べることと小犬レスリングです。ただし強くありません。実にシャイな可愛い子です。

    ■ 大分の検査結果が修正されたようです。最初にアップした記事の当該部分を削除し、修正しました。

     大分県は29日、同県宇佐市の養鶏場から出荷された鶏が熊本県内の食鳥処理場で死んでいるのが見つかり、鳥インフルエンザの簡易検査でいったんは陽性反応が出たが、再検査の結果、陰性だったと発表した。大分県が出荷元の養鶏場でも簡易検査をしたが、陰性だったという。

     県によると29日午前10時、熊本県の保健所職員から、簡易検査の結果、5羽中5羽から陽性反応があったと連絡があった。このため、大分県の家畜保健衛生所が出荷元の養鶏場で25羽を簡易検査したところ、いずれも陰性だった。

     熊本県も別の保健所の職員と、同県の家畜保健衛生所の職員が再度、簡易検査したがいずれも陰性だったという。熊本県から大分県に対し、「ご迷惑をかけた」と謝罪があったという。 (朝日新聞 1月29日)

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